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男が一度はやってみたい職業には「オーケストラの指揮者」が入っていることが多い。 歳末恒例の「第9」コンサートでの指揮ぶりを見ていると、なるほどと思う。 一度はなってみたいものに総理大臣が入っていた時代もあった。 鳩山由紀夫氏の場合はどうだったのかはさておき、首相の横顔の趣味欄にはクラシック音楽鑑賞とある。 鑑賞の域にとどまらない。 自身を指揮者にたとえてきた。 民主党幹部連を前にいわく。 「オーケストラでいうなら皆さんはいい演奏者。それを調和させればいいハーモニーになる。そのための指揮者として頑張りたい」。 確かに演奏者はそろっている。 しかし、ここまで続いた「お披露目演奏会」では不協和音が目立った。 指揮者ではなく、民主交響楽団を仕切る党幹事長という名のコンサートマスターを見ながら演奏している人もいる。 音合わせをしたのかどうかさえ怪しい場面が普天間基地問題などで見られた。 来年度予算案の出来を含め、最初の演奏曲目「マニフェスト交響曲」に対する国民の採点は総じて低い。 首相の元秘書2人が偽装献金問題で起訴され、事態は暗さを増す。 ベートーベンの交響曲第9番は、苦難を越えて「歓喜の歌」に至る。 民主党の交響曲のほうは「第1楽章が終わったばかり」とみる人もいる。 「第4楽章までいけば『第9』と同様に苦難の後の歓喜を国民に」と首相は言うかもしれない。 そんなには待てない。
Dec 25, 2009
「子ども持つ必要ない」42%。 新聞のこんな見出しを見て、驚いた人は私だけではないだろう。 内閣府が発表した男女共同参画に関する世論調査のことである。 今年10月、全国の成人男女5千人を対象に面接(回収率64・8%)して「結婚しても必ずしも子どもを持つ必要はないか」と尋ねたところ、「どちらかといえば賛成」を含めて賛成派が過去最高の42・8%に上ったというのだ。 女性は20代から40代まで、男性も20代、30代で5割を上回り、とくに20代、30代の女性は6割を超えた。 賛成は若い世代ほど高く、男女別では女性の方が高いという傾向が出ている。 また、高齢層になれば反対が多くなっている。 調査は1992年から6回目だ。 男女間、世代間のギャップはあろうが、実は2回目の97年以降、3回続けて賛成派が4割を超えていたのである。 前回2007年は36・8%だったが、それでも高率だ。 これをどう見るべきか。 年々高まる晩婚化や少子化と相まって時代の趨勢(すうせい)という側面はあるだろう。 今回、結婚について「個人の自由だから、してもしなくてもいい」とした人が70・0%と過去3番目の高さだった。 女性の社会進出の高まりによる価値観の多様化のほか、「結婚して子を持つ」という伝統的家庭観が揺らいでいることもあるのかもしれない。 しかし、経済や社会状況が影を落としているのも間違いのない事実だ。 調査の2回目以降は、就職氷河期といわれた時期と重なる。 そして今年は、高校生や大学生が就職氷河期の再来に苦悩している。 若い世代ほど時代の空気に敏感に反応するものであり、単純に「結婚しても子どもは要らない」という考えが増えていると見るわけにはいかないだろう。 調査では「仕事」「家庭生活」「地域・個人生活」に関し、優先して希望するものを聞いている。 結果は「仕事」が8・5%だったのに対し、「仕事と家庭」「家庭」が30%前後で最も多かった。 一方で、現実はどうか聞いたところ、「仕事」が25・8%に跳ね上がっている。 家庭生活を大事にしたいが、仕事を優先せざるを得ない。 そうした思い、実態が浮かび上がるようではないか。 景気低迷や格差、雇用不安などが若年層の結婚観や家庭観に影響を及ぼさないはずはない。 子を産み、育てることに希望を持てない層が増えているのなら、憂慮すべき事態であり、見過ごせない。 今回の調査では行政に対し、子育て後の再就職支援や子育て中でも仕事が継続できる支援、保育の施設・サービスの充実を求める声が6割を超えた。 鳩山政権は子ども手当を掲げるが、そうした政策と併せて、将来を見据えた子育て支援など制度の充実を急ぐべきだろう。 結婚や出産、子育てには、将来への安心感と希望が必要なのである。 今回の調査結果には、若い世代のそんな悲痛なメッセージが込められているのではないだろうか。
Dec 20, 2009
会社の生命は永遠です。 その永遠のために私達は奉仕すべきです。 責任とります。 1979年に自殺した日商岩井常務島田三敬さんの遺書だ。 ノンフィクション作家の梯久美子さんが著す「昭和の遺書」(文春新書)をめくると、いかに昭和が個をのみこんだかが分かる。 政財界を揺るがしたダグラス・グラマン事件。 戦闘機購入をめぐる汚職に絡み、島田さんは事情聴取を受けていた。 故人が書きのこしている。 「政治家は便乗、役に立たない。本当の力は私達でした」と・・・。 自己と家族を犠牲にし、日本を経済大国に押し上げたすべてのサラリーマンの本音だろう、と梯さんは記す。 時は高度経済成長の終わり。 政官財の鉄の三角形は、不況を乗り切るための仕組みに変わる。 好景気でも借金と公共事業を乱発。 再分配は個人や家族に届かない。 あわてて規制緩和にかじをとったころ、島田さんが永遠と信じた会社の名は消えた。 すべて自民党のせいとは言わない。 しかし、党の政権構想会議がまとめた新たな政治理念を見る限り反省の色を感じない。 「正しい保守」こそ永遠とし、民主党の政策を「国家社会主義」と切り捨てる。 冷戦思考から抜け出せない文面が、遺書にも見えてくる。 財源。 普天間。 献金。 何を批判しても我が身に返る自民党に説得力はない。 それが鳩山政権の逃げ道になっているのが危うい。 元与党の責任は重い。
Dec 17, 2009
「うつ病患者が遂に100万人台に」。 今月初め厚生労働省の調査結果として公表された。 1億総ストレス社会の到来が言われ始めたのは、わずか10年ほど前。 一向に回復しない経済情勢など多々要因があるにせよ、なんとも由々しき現実なのだろう。 うつ病は気分が塞ぎ、気力が萎え、不安や焦燥感に陥る症状の病気。 幾つか自己診断できる基準があり、毎日のこととして、例えば食欲の減退、不眠や睡眠過多、思考力や集中力の減退など。 そのうつ病の中で大半を占めるのが「気分障害」で、厚労省調べによると…。 1999(平成11)年に44万人だった患者数が、その後、急激な増加に転じて2002(平成14)年には71万人、2005(平成17)年には92万人となり、今回公表の昨年は104万1000人。 確かに、その人たち全員が重い症状というわけではない。 最近は自覚症状を覚えると、早めに受診する人が増えているという。 啓発活動等が浸透し、医療機関に専門の診療科が増えてきたことなどが促している現象で、それはいい傾向だが、だからと言って患者数100万人超という現実が軽減されるわけでない。 一般的に発症し易いタイプとして繊細、生まじめ、責任感の強い人などが挙げられる。 世の中の速い変化、競争が激しく消耗する企業活動、希薄になった人間関係など、病んでいる今の社会の姿を重ね合わせると、いつ誰がそうなったとしても不思議でない。
Dec 17, 2009
よく見ると、その中には「つらい」と読める「辛」が含まれている。 日本漢字能力検定協会が募集した今年の漢字は「新」。 不祥事で一新した協会には皮肉だが、確かに「新」には「辛」が含まれていると実感させられた1年だった。 自民党から民主党へと歴史的な政権交代が行われ、日本の政治は新しくなった。 事業仕分け、米軍基地の見直しなど新しい試みも行われた。 高く評価された面もあるが、まだまだ辛く苦しい道のりが続く。 世界中で猛威をふるう新型インフルエンザについては、辛いことばかりだ。 国内の感染者は1千万人以上、死者は100人を超えた。 ようやく流行の峠を越えたとの見方もあるが、油断はできない。 イチロー選手の通算安打数、ボルト選手の100メートル走などで、驚異的な新記録が生まれた年でもあった。 こうした新記録も、辛い努力を重ねてこなければ生まれなかったのではないだろうか。 漢字学の権威・白川静さんによれば、「新」とは、新しい死者のために位牌( いはい)を作るという意味。 位牌を作るため「辛」(針)を投げ、刺さった「木」を「斤(おの)」で切る作業だ。 しかし辛さの先には新しい地平が開けている。 新しい年は、そんな希望に満ちた年であってほしい。 ところで昨年の漢字は「変」、2位は「金」だった。 新しくなったはずの政治だが、こと政治家に限っては、昨年の漢字を引きずっているような印象だ。 いいかげん新しくなってくれなければ、見ている国民は辛いばかりである。
Dec 12, 2009
やはり怪物だった。 高校3年生18歳の石川遼選手が賞金王に輝き、男子プロゴルフ界の頂点に立った。 ゴルフのトップ選手には研ぎ澄まされた集中力が必要とされる。 まだニキビが残るあどけない表情からは想像もつかない快挙だ。 さらなる飛躍を期待したい。 これまでの最年少記録は1973年に尾崎将司選手が達成した26歳だ。 36年ぶりの大幅更新である。 並外れた資質の高さを物語るものだ。 石川選手は15歳でプロ選手を抑えてツアー初優勝を飾り、ゴルフファンのみならず世間を驚かせた。 初々しくインタビューに答える姿から「はにかみ王子」の愛称が与えられ、ゴルフ界のアイドル的な存在となった。 昨年1月、高校に在籍しながらプロ転向を表明し、過酷なツアー生活の道を歩み始めた。 プロスポーツでは人気に実力が追い付かず、脱落していく選手が数多くいる。 しかし、石川選手はわずか2シーズン目でトップに登り詰めた。 人気と実力を兼ね備えたスーパースターの誕生である。 ゴルフへの真摯(しんし)な取り組みと探究心、18歳とは思えぬ精神の強さには感服するしかない。 「新星」の出現を最も喜んでいるのが日本のゴルフ界だろう。 トーナメントツアーはスポンサー企業で成り立っている。 長引く不況の中で、スポンサーから撤退する企業が続出してもおかしくない状況下にある。 それを救ったのが石川人気だ。 40万人台だったツアーの年間ギャラリー(観客)数が昨年は52万人、今年は59万人に増えた。 関心のなかった若い女性などが、石川選手を目当てに集まってきているからだ。 ゴルフ人気が高まり、ギャラリーが増え、メディアの扱いが大きくなれば宣伝効果は大きい。 スポンサー離れに歯止めがかかるのは当然といえる。 一時、低迷していた女子プロゴルフ界は、宮里藍、横峯さくら選手らが10代でトッププレーヤーとなり、一気に活性化した。 若林舞衣子選手もその一人だ。 男子も石川選手の登場で大きく変わるのではないだろうか。 これまで大人のスポーツ、あるいは遊びと見られがちだったゴルフの低年齢化が進むはずだ。 宮里選手はすでに主戦場を米国のツアーに移している。 石川選手もいずれそうなるだろう。 日本選手の世界での活躍は、子どもたちに大きな夢を与える。 米大リーグで次々と記録を塗り替えるイチロー選手や欧州でプレーするサッカーの中村俊輔選手にあこがれる子どもは多い。 ゴルフ界もこの流れを大切にしたい。 第2、第3の「新星」を発掘し育てる努力が求められる。
Dec 8, 2009
たばこ税が、2010年度に1本3円前後引き上げられる方向となった。 そもそも今回のたばこ増税論議の出発点は、健康の観点から大幅値上げによって喫煙率を低下させることが狙いだった。 厚生労働省は1本10円程度の引き上げを求めていたが、値上げによる税収減を避けるため小幅にとどまった。 現実的な対応ではあるが、これでは何のための増税かという理念はあいまいになると思う。 今後、段階的に引き上げるというが、健康のためを貫くべきではないだろうか。 民主党は「政策集」で「たばこ税は国民の健康確保を目的とする税に改めるべき」と記した。 「1本当たりいくら」といった課税方法ではなく、より健康への影響を考えた基準で、国民が納得できるような課税方法を検討としていた。 そうした主張に比べ、今回の小幅値上げ方針は後退といえる。 日本も批准した世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約は、喫煙率を下げるため価格の引き上げを求めていた。 長妻昭厚労相は、たばこの価格を「ヨーロッパ並みにする必要がある」とし、厚労省は1箱300円を600円にすることを想定していた。 鳩山由紀夫首相も健康面からの増税に前向きな姿勢を示していた。 一方、たばこ税収は国と地方を合わせて約2兆円に上ることから、財務省は大幅引き上げによるたばこ離れで税収が減ることを懸念した。 結局、政府税制調査会の議論が、小幅増税の方向となったのは、税収確保を優先した結果といえる。 確かに景気後退で財源不足は深刻な状況にある。 葉タバコ農家などへの配慮も要る。 しかし、増税に踏み切るからには、これまでのような小幅値上げではなく、目的や理念が見える形で実施すべきだろう。 政府税調は、たばこ税を段階的に引き上げるとし、たばこ産業の育成と税収確保を目的としたたばこ事業法を廃止し、課税目的を健康に切り替えるとも表明している。 実現できれば、大きな転換になる。 今回の小幅引き上げでも、民主党内に参院選前の増税に反対する声がある。 「健康重視」の看板をしっかり掲げてほしい。 先進国の中で遅れているたばこ対策を前進させる一歩である。 段階的な引き上げを進めるのなら、明確なスケジュールを示す必要がある。 理念なき増税に終われば、「取りやすいところから取る」という印象だけで終わってしまう。
Dec 7, 2009
親が育てられない子どもを匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)が、熊本市の慈恵病院に設置されて2年半がたつ。 その運用実態を検証する熊本県などの有識者会議が、最終報告書をまとめた。 それによると、2007年5月から今年9月末までに51人の乳幼児が預けられた。 病院の予想を大きく上回り、切羽詰まった状況の親が多いことが明らかになった。 51人のうち、残された手紙などから39人の身元が分かり、7人は親元に戻った。 匿名で預けられる「ゆりかご」については、開設当初から「命を救うための最終手段」と評価する声と、「安易な遺棄や養育責任の放棄につながる」などの批判的な意見があった。 確かに、匿名は預け入れる側の心理的ハードルを低くする。 「戸籍に入れたくない」「世間体が悪い」など大人の身勝手といえる理由での利用があり、幼児や障害児も複数預けられていた。 さらに、身元が分からなければ、親が後から名乗り出てトラブルになりかねず、特別養子縁組などの手続きに入れない。 子どもが出自を知る権利も保障されない。 子どもの養育面からも、匿名の問題性があることが浮かび上がったといえる。 一方、不倫や未婚などの事情で周囲に知られず、名前も明かさずに子どもを預けたいという人が数多くいることも確かだ。 そんな母子を受け止める施設は「ゆりかご」以外にない。 身元が分かった39人の居住地は関東11人、中部6人など全国に広がっていたことが、その現実を示している。 本来、「ゆりかご」に匿名で預けられる前に、出産や子育ての悩みを解決できる手だてがあることが望ましい。 慈恵病院は24時間体制で相談を匿名で受け付けており、年間約500件の相談が寄せられている。 その結果、子どもを預け入れることを思いとどまったケースも少なくないという。 こうした相談しやすい窓口がもっと必要である。 追いつめられた親が多くいること、それに十分に対応できる体制がないことを、「ゆりかご」の2年半は示した。 報告書は国に対し、匿名で相談でき、一時的に母子を緊急保護する施設の整備を提言した。 「ゆりかご」は、あくまで最後の安全網である。 そこに多くの子どもが預けられた事実を重く受け止め、親を孤立させない支援策をつくっていって欲しい。
Dec 6, 2009
幸せの合言葉は「そのまんま、そのまんま」だと、宗教評論家・エッセイストのひろさちやさんは話す。 優等生も劣等生も、金持ちも貧乏人も、そのまんま、そのまんまだと。 例えばわが子が劣等生だったら、これでは不幸な人生を送ってしまう、何としても優等生に、と考えるのが多くの親だろう。 だけどひろさんにすれば、「優等生の方がいいと考えることがおかしい」。 優等生すなわち幸せではない。 優等生ゆえ不幸になる人もいる。 劣等生は幸せになれないと思い込んでいるだけだろう。 劣等生でも、勉強ができなくても幸せになれる。 そもそも100人の子どもがいたら、100人とも優等生になることは不可能だとひろさんは説く。 「金持ちになりたいと思うのも間違い」という。 あくせくしてやっとの思いで金持ちになったものの、わが身を振り返れば不幸だったなんてことは珍しくない。 不幸な金持ちと幸福な貧乏人がいるのなら後者を目指せ、というわけだ。 戦後の日本は高度経済成長を体験し、右肩上がりを目指し続け、カネがある方が幸せだと思い込んできた。 そうした経済偏重は今もそう変わらない。 その結果はどうか。 どのくらいの人が幸福を実感できているだろう。 東京に比べて地方は不幸なのか。 歌のうまい人より音痴の人は不幸なのか。 常勝チームのファンよりも弱小チームのファンは不幸なのか。 幸せになる方法は今の自分の中にある。 そのまんま、そのまんまと唱えてみる。
Dec 4, 2009
自殺防止に向け政府の緊急戦略チームが「100日プラン」をまとめた。 やっと重い腰を上げたというべきだろう。 自殺対策基本法が成立したのは2006年6月である。 当時、年間の自殺者が8年連続で3万人を超え、国を挙げた総合的な対策が急務とされていた。 07年6月には「自殺総合対策大綱」が閣議決定され、16年までに自殺死亡率を20%以上減少させるなどの目標が掲げられた。 しかし、仏造って魂入れずだったとしか思えない。 自殺者は昨年まで11年連続して3万人を上回っている。 今年も10月末までの累計は2万7644人で、昨年同期より450人ほど多い。 12年連続で3万人を超えることは間違いないだろう。 「100日プラン」は雇用情勢の悪化で年末や年度末に、自殺多発が懸念されることを受けての緊急対策という。 ハローワークでの総合的な相談窓口開設や来年3月を防止強化月間とすることなどを盛り込んだ。 鳩山政権が自殺問題に取り組もうとする姿勢は評価したい。 しかし、キャンペーンや相談窓口だけで自殺は減るのだろうか。 しかも100日限定だ。 自殺問題にかかわる団体などからも効果に疑問の声が上がっている。 厳しい不況が続く。 過重な労働を強いられているサラリーマンがいる。 資金繰りに頭を抱える中小企業の経営者もいる。 彼らがうつ病など心の病に取りつかれれば、自殺予備軍となる。 大綱にいう「20%以上減少」を実現させるには、働き方を含め社会の在り方から見直す必要があるのではないか。 場当たり的な「プラン」では抜本的な解決にはならない。 福島瑞穂担当相は「わが国は自殺戦争の中にある」と危機感を表明してみせた。 それなら、なぜ100日間なのか。 恒久的な対策を練り上げてこそ、言葉に魂が入るというものだ。 大綱では自殺予防は社会的要因と心の健康問題について、総合的に取り組むことが必要と指摘している。 具体的には失業、多重債務などの対策とうつ病の早期発見、精神疾患に対する偏見をなくすことである。 閣議決定されたのは2年半も前だ。 失業、多重債務、うつ病。 どれも当時より状況は悪化しているといっていい。 「自殺戦争」というのなら、もっと根源的な部分に目を向けてほしい。 3万人は異常な数字である。 大綱で解決の道は示されている。 あとはどう実行していくかだ。 鳩山政権の本気度が試されている。 自殺予防対策は国民の命を守るということだ。 啓発など100日限定のキャンペーンだけでいいのか。 もっと真剣に考えてもらいたい。
Dec 4, 2009
「わたしたちの身近なHERO」 「熱き想い、熱き心を!」 消防庁が消防団員募集を呼び掛けている。 消防団を「地域防災の核」と位置づけて、ここ数年、団員の確保に力を入れているが、なかなか人が集まらないという。 地域社会の崩壊がいわれるようになって久しい。 警察は、人間関係が希薄になったため聞き込み捜査がやりにくくなったと嘆く。 そうした中、全国の消防団員の数は年々減り続け、消防庁は危機感を強めている。 消防団員は2004年には約98万人いたが、今年4月現在、88万5千人余り。 消防庁が掲げる「全国で100万人以上、うち女性10万人以上」の目標からどんどん遠ざかっている。 消防団員は非常勤特別職の地方公務員として、初期消火や災害時の住民の避難誘導などに当たる。 危険も伴う。 昨年は5人が死亡、1100人余りが負傷した。 報酬や出動手当が支給されるが、無料奉仕に近い。 現在、40歳以上の割合が4割を超えるなど高齢化が進む。 またサラリーマンは1960年代には4分の1程度だったが、既に7割を超えた。 このため勤務時間中の消防団活動を認めてくれるよう勤め先に協力を求める一方、処遇改善や装備の充実に取り組む。 お先真っ暗かというと、そうでもない。 女性の団員は年々、増え続けている。 90年の2千人弱が、今年4月には約1万7800人に達した。 女性を採用している消防団は全都道府県に及ぶ。 ただ消防団員全体から見ると、まだ2%にすぎない。
Dec 3, 2009
今日からはや師走。 忙しくて師も走り回るという由来だけでなく、四季の果てる「四極(しはつ)」、年の果てる「年果つ」、総じまいする「為果(しは)つ」なんて由来もある月だ。 いずれにしても、尻に火がついたような落ち着かない月が始まった。 そうでなくとも日本人は、スピードや効率を追い求め、せっかちだと言われてきた。 身に覚えのある人も少なくないだろう。 実際、人々はどの程度でイライラしているのか、時計メーカーのシチズンの調査が示している。 例えばエレベーターの待ち時間。 30秒までで半数近くが、1分で4人に3人がイライラしている。 パソコンの立ち上げも、1分で6割の人がイライラしている。 なるほど立ち上げが早いとされる「ウィンドウズ7」が売れるわけだ。 年末にかけて出向く機会が増えそうな金融機関のATMでは、5分で7割の人がイライラ。 急用ができ、相手の携帯電話に伝言を入れた。 返事があるまで5分で2割、10分で4割強の人がイライラしていた。 携帯電話やパソコンなど文明の利器が、かつては考えられなかったイライラを生み出したのは皮肉な話だ。 豊かさを実感したいとスローライフなんて言葉が広がって久しいが、イライラの種は尽きることなく、まだまだ社会はイライラだらけである。 師走には、普段以上に用事が舞い込み、普段以上に道路が車で混み合う。 その上、今年はデフレ不況や大型倒産だ。 走り回るな、イライラするなという方が難しそうだが、安全第一で過ごして欲しい。
Dec 1, 2009
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