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プロ野球のドラフト会議が開かれた。 日本球界か米大リーグ挑戦か、で進路が関心を呼んだ左腕、菊池雄星投手は6球団が競合した末、西武が交渉権を獲得した。 大学日本代表の強打者、中原恵司外野手(亜大・武蔵工大二高=現都市大塩尻高=出)がソフトバンクから4位指名を受けた。 育成枠でもBCリーグ・信濃グランセローズの星野真澄投手が巨人から、高田周平投手が阪神からそれぞれ指名された。 将来が楽しみな選手たちだ。 あこがれのプロ入りである。 球界を代表する顔に育ってほしいと切に願う。 目指す舞台は日本シリーズである。 今季はきょう、札幌ドームで開幕する。 セ・リーグの巨人とパ・リーグの日本ハムが日本一を目指して対戦する。 米大リーグでは、松井秀喜選手がワールドシリーズを戦っている。 日本球界も負けていられない。 好ゲームに期待したい。 今季のプロ野球は話題が豊富だ。 春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本が2大会連続で世界の頂点に立ち、野球人気が高まった。 シーズン終盤を盛り上げたのは、創設5年目の楽天。 野村克也監督が率いて、パ・リーグ2位に躍進した。 東北地方を拠点に多くのファンを獲得している。 「地域密着」を掲げる信濃グランセローズをはじめ、独立リーグの球団の手本になるだろう。 監督の去就をめぐる騒動がロッテや楽天で浮上した。 つらい思いをするのはファンだ。 球団はそのことを忘れないでほしい。 プロ野球をどう活性化していくか、引き続きの課題である。 マリナーズを退団した城島健司捕手の阪神入りが決まった。 5年ぶりの日本球界復帰だ。 故障の影響もあって出場機会は減っていたものの、力は衰えていない。 好プレーを見せてくれるだろう。 優れた選手たちが日米球界を行き来しやすいように、環境を整えることが大事になる。 菊池投手もいずれ海外挑戦するだろう。 フリーエージェント(FA)の権利取得までの期間(海外9年)の短縮が必要だ。 レッドソックスの田沢純一投手のように、アマ選手が直接海外に挑戦するケースが出てきた。 厳しく規制することが球界や選手のためになるかは疑問だ。 日本球界はファンの声にもっと耳を傾けるべきだ。 米球界とも対話しつつ、発展のためのルールづくりを進めてもらいたい。
Oct 31, 2009
予定より2カ月早かった。 元気な男女が一緒に生まれた。 かつて「ベトちゃんドクちゃん」と呼ばれた双子の兄弟の弟、グエン・ドクさんが先日28歳で双子の父親になった。 1981年に結合双生児としてベトナムで生まれ、88年に分離手術を受けた時は日本でも大きく報道された。 「成功すれば奇跡」といわれた手術には日本の医師も加わって成功した。 ベトナム戦争で米軍がジャングルなどにまいた枯れ葉剤の影響とみられる被害は3世代に及ぶ。 下半身でつながっていた兄のベトさんは、分離手術前から患っていた脳症のために寝たきり状態が続き、26歳で亡くなった。 ドクさんは車いすを自在に操るようになり、病院でコンピューター事務の仕事に就いた。 3年前に結婚したテュエンさんとは友人を通じて知り合った。 貧しい子どもたちを慰問する活動に誘ったりして交際を実らせた。 自分も子どもがほしいと思っていた。 「どんな子であっても僕は幸せに感じると思う。自分の血を引き継ぐわけだから」。 父親になると分かったときは喜びのなかに不安も交じった。 「双子ちゃん」はともに健康だという。 枯れ葉剤の影響を受けた人は数百万人とされる。 障害との因果関係は未解明だが、被害の実態を伝えるために今でも企画される写真展は、見る人に、人間はどこまでも残酷になれることを教える。 それ以上に人間は強くなれることを、ドクさんは教えてくれる。
Oct 30, 2009
「上に行けば何があるの?」「命がある」。 大津波でひっくり返った豪華客船の中で、ジーン・ハックマン演じるスコット牧師は、船底へと登っていくことが生への道だと、他の乗客を説得する。 そしてその言葉通り奇跡が起きる。 そんな映画「ポセイドン・アドベンチャー」を思わせる出来事だ。 八丈島近海で4日間連絡が途絶えていた漁船の中から、3人の生存者が見つかった。 救助隊が船底をたたくと中から反応があったなんて、まるで映画のラストシーンだ。 それにしても運がいい。 船底の空気が、3人もが何日間も過ごせるほど残っていた。 水を飲めた。 台風もしのげた。 比較的温かい海だった。 もしかすると3人のうちの1人が「スコット牧師」だった可能性もある。 ただたくましい海の男といえど、いつもこうした幸運を引き寄せられるとは限らない。 この漁船でも1人が死亡、4人は行方不明のままだ。 県内では2006年からの3年間で、17人もが船舶からの海中転落で死亡・行方不明となっている。 その生死を分ける要素の一つがライフジャケット。 「暑い」「作業しにくい」と着用しない人は少なくないが、高松海上保安部によると着用していれば8割は助かっているが、未着用だと9割が死亡しているという。 海がいつも穏やかなわけではないし、その場にいつもスコット牧師が現れるわけでもない。 そうした時、スコット牧師を演じられるのは家族しかない。 「ジャケットを着れば何があるの?」「命がある」。
Oct 29, 2009
日本で7人に1人以上が貧困状態にあるとのデータを、政府が初めて公表した。 生活に苦しんでいる国民の割合が、2007年調査で15・7%に上るという。 世界有数の経済大国として、平均的に豊かな暮らしぶりをイメージされがちの日本だが、実態は大きく食い違うということだ。 この現実から目をそらさず、国民全体で貧困問題を直視していく必要がある。 厚生労働省が今回初めて、生活に苦しむ人の割合を示す相対的貧困率を発表した。 経済協力開発機構(OECD)が採用している計算方式に基づくもので、国民の所得分布を順に並べ中央値の半分未満しか所得がない人の割合を指す。 04年の14・9%から07年の15・7%へ急伸したのは、非正規労働の広がりと軌を一にしているとみられる。 昨年のOECD報告では、加盟30カ国のうち日本は上から4番目の水準にあり、「貧困大国」とも言えそうだ。 さらに、低所得家庭で育てられている18歳未満の子どもの割合を指す「子どもの貧困率」は14・2%だった。 不況により親が国民健康保険の保険料を滞納し「無保険」状態になる児童や、高校中退を余儀なくされる生徒の増加などは、近ごろとみに深刻化が指摘されている。 母子家庭などひとり親家庭では、貧困率の数字はさらにはね上がるはずだ。 「格差社会」については議論がそれなりに交わされてきた観がある。 ネットカフェ難民の増加などが社会問題化したことを受けたものだろう。 近年は主に小泉構造改革の功罪を論じる中で取り上げられている印象が強い。 一方で貧困問題には、日本の政治が正面から向き合ってこなかったように感じられる。 政府は1960年代前半まで、消費水準が生活保護受給世帯の平均額を下回る層を「低消費水準世帯」と位置付け、その増減などを調べていた。 しかし、高度経済成長で「一億総中流」とも言われるようになり、調査は行われなくなった。 貧困層の実態を把握せず、対策を放置してきたとのそしりは免れない。 この点をまず反省すべきだ。 今回厚労省が出した数字は、既存の国民生活基礎調査のデータを使って計算したにすぎない。 民主党がマニフェスト(政権公約)で約束したように、貧困の実態についてはホームレスの声を聞くなどさらに詳細な調査が必要だ。 貧困の実態を示す数字を公とした以上は、これをどう改善していくかも問われる。 子ども手当などの看板政策を実施するための口実とするだけで終わってはならない。 生活保護などセーフティーネットの強化、非正規労働者対策などを総合的に進めていく必要がある。 国が保障するべき「最低限の生活」はどんな形なのか。 財源が限られている中で手を打っていくには、政策をどう順位づけて実行していくのか明確な理念がいる。 貧困層の増加は、例えば皆保険制度や年金制度などに大きな影響を及ぼし、皆で支え合う社会の崩壊に結びつきかねない。 誰にとってもひとごとではないはずだ。 腰を据えて改善していかねばならない大きな問題である。
Oct 29, 2009
「自分には良いところがあると思うか」 「難しいことでも失敗を恐れず挑戦するか」 兵庫県内の小中学生が、 これらの問いに 「いいえ」 と回答した割合が全国平均よりも上回るという調査結果が出た。 なぜ、 そうなのか気になるところではあるが、 わが国の子ども全体が外国に比べて、 否定的な傾向が見られるという事実も見逃してはならない。 日本、 中国、 アメリカ、 スウェーデンの中学3年生を対象に、 「自分に積極的な評価をしているか」 を聞いた調査によると、 中国では92%、 スウェーデンでは83%、 アメリカでは77%が 「している」 と答えたのに対して、 日本は40%に過ぎなかった。 また、 「自分を誇れるものがあまりない」 という項目に対して、 「そうは思わない」 と否定した割合が他の国では70―80%あったのに対して、 日本では半数にも満たなかった。 自己主張を控える国民性を反映した回答だと好意的に理解できなくもないが、 日本の中学生は、 他国の中学生に比して、 自分に自信が持てずにいると推測せざるを得ない。 それは中学生に限らず、 小学生も同様だろう。 とすれば、 子どもの自尊感情をおとしめるものが、 この国にはあるということになる。 自尊感情の低さは、 大人社会も含めた日本社会の縮図と言えそうだ。 ペスタロッチ賞を受けた但馬出身の教育者、 東井義雄氏は 「中学校などの成績は、 頭のよしあしの違いや、 学力の違いなどよりも 『志』 のあるなしが基本である」 と説いた。 志を育て、 志を持つことをうとんじ、 「志」 という言葉を古めかしく感じる現代の空気が、 自尊感情の低さにつながっているように思えてならない。
Oct 20, 2009
1984年、広島でのゴルフの試合中に、当時、米国でも活躍していた岡本綾子さんが泣き出した。 トップ争いをしていた外国人選手がパットを外し、岡本さんにチャンスが転がり込んできた時だった。 その外国人選手に観客が大声でこう言ったのだ。 「ナイスボギー」。 その選手も怒ったが、岡本さんも最低限のマナーを守れない観客が情けなくなり、涙ながらに詰め寄った。 「なんでそういうことを言うんですか」。 岡本さんもきっと米国では陰口をたたかれていたはずだが、誰も試合中に聞こえるようには言わなかったという(海老沢泰久「ゴルフが好き」毎日新聞社)。 スポーツには敵味方が付き物だが、守るべき最低限のマナーはある。 昨日の男子ゴルフの石川遼選手も、泣きたい気分だったのではないだろうか。 日本オープン最終日、観客のカメラの音に集中力を乱され、スコアを落とす場面があった。 結果的に彼は優勝を逃した。 恐らくそのこと以上に、マナー違反を情けなく口惜しく思っているだろう。 彼を応援する観客が増えているが、マナー違反をテレビで見かける機会も増えた。 まだ18歳の青年が発言などで他の選手を気遣っているかのような様子は、時に痛々しく見える。 スポーツに限らず、どんな場所でも最低限のマナーはある。 それなのに国会は言うに及ばず、県内の議会でも、特定の議員の発言中にヤジの嵐が起きることがある。 市民に情けなくて涙が出そうな思いをさせていると、気付いていないのだろうか。
Oct 19, 2009
スポーツ界で若い力を印象づける快挙が相次いだ。 国内、海外を問わず、大舞台で力を発揮する新しい日本の若者たちに、飛躍へのエールを送ってあげたい。 ロンドンで開かれている体操の世界選手権。 男子個人総合で20歳の内村航平選手が金メダルを獲得した。 2位に大差をつけての圧勝で、五輪、世界選手権を通じて日本勢では最年少となる個人総合王者だ。 3年後のロンドン五輪に向け、「体操ニッポン」の弾みになるだろう。 知的な競技ともいえる囲碁は、国際社会ではれっきとしたスポーツに数えられている。 同じ日、その囲碁でやはり20歳の史上最年少名人が誕生した。 大阪府出身の井山裕太八段。 ここぞという場面での勝負勘は天性のものだそうで、これからどれだけ強くなるか、将来が楽しみな逸材だ。 若い新風はスポーツ界に活力をもたらすだけでなく、感動と、困難に挑戦する勇気を与える。 2人のほかにも、存在感を示す若手アスリートは少なくない。 体操の世界選手権の女子個人総合で、43年ぶりの銅メダルに輝いた鶴見虹子選手は17歳だ。 先日のサッカー国際親善試合でも、日本代表チームの若い2選手が光った。 初代表でいきなり初得点を挙げた森本貴幸選手。 香港戦に続いてハットトリック(3得点)を演じた岡崎慎司選手は宝塚市出身だ。 ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会を来年に控え、頼もしいエースの登場だ。 まだいる。 米国のマスターズ・トーナメントに招待された石川遼選手も、まだ18歳。 来年の冬季五輪でメダルが期待されるフィギュアスケートの浅田真央選手は19歳。 こうした若手アスリートに共通するのは、幼いときから競技に打ち込んできたひたむきさと、世界の舞台でも堂々と戦えるしなやかな強さを兼ね備えていることだ。 日本オリンピック委員会(JOC)は、2016年の五輪で金メダルの獲得を世界3位に押し上げる計画を掲げる。 その実現には、日本のスポーツ界が長年、培ってきた経験や技を、若者たちにしっかりとつないでいくことが欠かせない。 北京五輪で銅メダルを獲得した朝原宣治さんが先日、小学生たちと走りを競う催しを開いた。 一流選手のスピードを実感してもらい、世界で通用する選手に育ってほしい。 そんな願いが込められていた。 間近で触れ、スポーツの素晴らしさ、奥深さを実感するところから、世界に飛躍する一歩が始まるに違いない。
Oct 18, 2009
プロ野球・楽天の野村克也監督が今季限りで退任する。 チームを創設以来最高の2位に導き、本人は続投を望み、地元仙台の民間アンケートでも85%が続投を望んでいるにもかかわらず、退任する。 つまりクビになる。 「監督とは辞任するものではなく、クビになるものだ」。 そんな言葉を残したのは米大リーグ・ドジャースの名監督、ウォルター・オルストンだ。 彼は在任23年間ずっと単年契約だった。 どんなに実績を残そうが最後はクビというのが米国流なのだろう。 日本の場合、事実上のクビでも、形だけは辞任としていたことが多かったように思う。 いわば武士の切腹である。 しかし近年は外国人監督も増え、米国流のクビが目立ってきた。 楽天はその最たる存在と言える。 いくら世間から野村再生工場と称賛されたところで、しょせん監督は工場長にすぎない。 経営者にすれば工場以外の面倒もみなければならないし、まして赤字工場なら、費用対効果や将来の見通しを考えるのが当然だ。 しかしそうして米国流の球団経営が広がる状況だからこそ、それに反発し、残された日本的なものに引かれていくファンがいる。 地方のちっぽけな球団に寄せ集められた選手が見せる浪花節のような世界に、社会や会社での自分を重ねたくもなる。 今日から日本一を目指すクライマックスシリーズが始まる。 楽天が並み居る強豪を撃破できるか、野村工場長が最後の意地を見せるか。 今季限りでの退任が決まった野村克也監督(74)率いる楽天が11-4で第1戦に快勝した。 ノムさんの勝利会見がスタート。 開口一番「まず1勝!」。 そして「あと1つが大変。すんなりといってくれればいいが。すべては(第2戦先発の)マー君に託す。やってくれるでしょう」。 さらに試合前のミーティングで涙を流したことを明かし「悔し涙だよ。一生懸命やって、良い結果出して、悔しくて、血も涙もない」と話した。
Oct 16, 2009
北朝鮮の金正日総書記が日朝首脳会談で日本人拉致を認め、本県の蓮池薫さん夫妻と曽我ひとみさんら被害者5人が帰国してから15日で丸7年を数えた。 しかし横田めぐみさんや、曽我さんの母ミヨシさんをはじめとする残りの政府認定拉致被害者、特定失踪(しっそう)者の行方について、北朝鮮は何一つ誠意ある回答をしていない。 それどころか、ミヨシさんについては入国自体を否定し、横田めぐみさんのものだと出してきた遺骨は日本側のDNA鑑定で別人と判明した。 圧倒的な国家の暴力によって無辜(むこ)の市民をさらった犯罪行為を到底許すことはできない。 拉致への怒りを新たにし、早期全面解決に向けた決意を持ち続けなければいけない。 「これまで何度も歴代の首相に助けてほしいとお願いした。その都度、政府を信頼してきた」。 めぐみさんの母早紀江さんは被害者家族会と鳩山由紀夫首相の初面談を終えてこう話した。 7年で鳩山氏は5人目の首相だ。 家族らは時の政権にすがっては突き放されるような悔しさをかみしめてきた。 高齢の親たちの思いをくめないようでは政治とは呼べない。 痛切な叫びに応えなければならない。 政府は首相と全閣僚でつくってきた従来の拉致問題対策本部を改組した。 首相と関係3閣僚にメンバーを限定し、機動性を高め解決を積極推進するという。 副大臣らによる関係府省連絡会議を設置した。 情報収集のための専従職員配置も検討するとしている。 これが早期解決姿勢のアピールだけに終わるようなことがあってはならない。 北朝鮮との交渉を再開し、実質的な前進を勝ち取っていくために政府は全力を傾けるべきだ。 拉致交渉に臨む鳩山首相の具体的方針は必ずしも明確ではない。 日本は拉致問題を含む北朝鮮問題の包括的解決を目指す立場だが、朝鮮半島非核化を優先する中国とはなお溝がある。 米朝交渉進展を前提とする6カ国協議への復帰を示唆するなど、北朝鮮の姿勢に変化の兆しがある。 拉致の解決が地域の安定に貢献する道だと各国を説得し、今後の交渉に拉致問題をどう組み込むか。 政権の手腕が問われる。 金総書記は日本との2カ国対話の意欲も示したとされる。 対話に向かうならば、拉致再調査の約束が第一歩だ。 帰国した被害者や家族はそれぞれに職を得るなど自立の道を歩んでいる。 地域、国全体で支えたい。 しかし残る被害者らが救われるまで心安らぐ日は来ない。 私たちもその日まで強い関心を持ち続けなければならない。
Oct 16, 2009
「それ貸してくれる?」 「はいよ」 そんな会話が交わされているのだろうか。 チンパンジーが隣室にいる仲間の求めに応じて道具を手渡す行動をすることが、京都大の実験で確認された。 ストローやステッキを相手に渡したところで、自分がジュースを飲んだり遠くのえさを手にしたりできるわけではない。 動物にとって最大の関心事である自分の生死には直接関係ないはずだ。 それなのに他者を助けるところが興味深い。 彼らがそんな行動をとるのは、相手を助けることが自分たちの群れ(社会)の維持に役立ち、自分も生き延びやすくなるということを知っているからではないだろうか。 ヒト社会で言う「情けは人のためならず」の原点は、ここにあるような気がした。 しかし、近ごろのヒトは、そんな原点を忘れがちだ。 見返りがなければ動かなかったり、社会から離脱しかけている弱者に対して「自己責任」を振りかざしたりする。 ヒトがヒトになる前から持っていた記憶など忘れてしまったかのようだ。 また実験では、仲間の要求には応じるが、困っている仲間を自発的に手助けすることは極めて少ないことも明らかになっていた。 本来はそうしたチンパンジーにできないことができるのが、ヒトがヒトたるゆえんだろう。 しかしその点も、21世紀のヒトは忘れかけている。 「それ貸してくれる?」 「なんぼで?」 そんな会話が飛び交っていても不思議ではないヒト社会である。 ヒトは進化しているのか退化しているのか。
Oct 15, 2009
スポーツの秋に考えた スポーツマンシップと言うが、スポーツマンとは何か。 フェアにプレーする人、がまず浮かぶ。 それだけでは足りない。 「グッド・ルーザー(良き敗者)である人」と以前聞いたことがある。 悔しさはぐっとこらえて勝者をたたえる。 勝者も敗者のことを思っておごらない。 そんな光景がスポーツの後味を良くする。 「勝っても負けても、相手を思いやる大きな心。トップレベルの選手こそ、良き勝者であり、良き敗者であってほしい」。 川淵三郎さんが日本サッカー協会の会長だった昨春、協会のホームページにコラムで書いていた。 国際オリンピック委員会(IOC)副会長の猪谷千春さんが先週、「グッド・ルーザーにならないといけない」と語っていた。 夏季五輪招致レースで敗退した東京都の石原慎太郎知事を指してのことだった。 知事は帰国後「目に見えない政治的な動きがある。これは歴然としている」などと発言し、勝ったリオデジャネイロを怒らせた。 関係者に謝罪した猪谷さんはこうも言った。 「僕もぐっとこらえている。そうしないと次に(招致に)立つときに影響する」 川淵さんのコラムの続き。 「日本は良き敗者が育ちにくい世の中になってしまいました」。 思いやりや協調性を自然にはぐくむ機会や場が減った昨今「その役割を果たせるのはスポーツなんじゃないか」とも。 スポーツをする人だけに限った話ではない。
Oct 14, 2009
日本中で戸惑いの声が上がっているらしい。 国土交通省が高松自動車道など高速道路の4車線化工事を凍結、48のダム事業も年度内は凍結するのだという。 凍結は溶ける可能性もあるが、そのまま氷漬けになることもあり得る。 今さらダム事業をやめられても困るとか、渋滞や重大事故が相次いでいるのになど、恩恵を期待していた人たちは不満をあらわにしている。 無駄な公共事業を削ることに反対する人はまずいないし、国が変わることを多くの人は望んでいた。 しかし削られる事業が自分たちのこととなると、うなずくのが急に難しくなる。 どんな事業だってどこかの誰かが恩恵を受けていることに、あらためて気付く。 どんな事業でも何が無駄で何が無駄でないか、線引きは容易ではない。 特に当事者にとっては、頭ごなしに無駄だなんて言ってほしくはない。 しかしどこかで線を引かなければならない。 政策シンクタンク「構想日本」の進める「事業仕分け」は、そうした線引きを手助けする手法だ。 そもそも本当に必要な事業なのか、本来の目的にかなっているのか、必要ならばどこが主体でやるべきなのか。 それらを他自治体の職員らがしがらみのない立場で、公開の場で議論しながら仕分けしていく。 既に50以上の自治体で実績があり、政府も取り入れる方針だ。 無駄について考える貴重な機会、無駄にすべきでない。
Oct 12, 2009
食品の安全性に、たとえわずかでも疑問が生じたとき、メーカーや行政はどう対応すべきなのだろうか。 そんな問題をあらためて考えさせられるるケースである。 国の特定保健用食品(特保)の表示が許可されていた花王の食用油「エコナ」に、発がん性物質に変わるおそれのある成分が含まれていることが分かった。 問題の成分は「グリシドール脂肪酸エステル」だ。 体内で発がん性のある「グリシドール」に分解される可能性が指摘されている。 花王が6月に分析したところ、エコナには一般の食用油よりも高い濃度で含まれていた。 花王は9月半ばに関連商品を含めて販売を中止し、先ごろ特保を返上した。 消費者庁が許可の取り消しに向け、再審査に入ると決めたことが大きい。 グリシドール脂肪酸エステルの安全性については、食品安全委員会が調べている最中だ。 その結論を待たずに、消費者庁は手続きに入った。 食品に含まれる微量成分の安全性を見極めるのは難しい。 かといって、健康被害が出てからでは遅い。 リスクから消費者を守るには、科学的な確証がなくても機敏に対策を取ることが大事になる。 疑わしきは、より安全な策を選ぶ。 消費者の安心も欠かせない。 今回はこの原則が取られた。 食の安全の問題は、行政、企業ともこれを基本としてほしい。 安全性の確認が残っている。 さまざまな角度から検証が要る。 花王は販売を取りやめる一方、いまも「安全性に問題はない」との立場を取っている。 分かりにくいと感じる人もいるだろう。 エコナは「体に脂肪がつきにくい」として人気を集めてきた。 長年愛用している人も少なくない。 花王は安全である根拠をもっと丁寧に説明する必要がある。 消費者が正確に判断できるよう、十分にデータを示してもらいたい。 食品安全委員会も、引き続き健康への影響を調べている。 科学的に安全性はどこまで確認されているのか。 リスクがあるとすればどういう点なのか。 審議を分かりやすく公表してほしい。 特保のあり方にも再考が要る。 900品目近くが指定されているものの、審査の基準や内容はよく知られていない。 国のお墨付きが独り歩きするようではまずい。 消費者庁の真価が問われるのはこれからだ。 中国製ギョーザ中毒事件の解明をはじめ、食の安全をめぐる課題は山積みである。 踏み込んだ対応をお願いしたい。
Oct 11, 2009
私たちは、いつもその何かが自分の身にはふりかからないものだと信じている。 目の前にある日常が、その先もずっと続くと信じている。 かつて彼女がそうであったように…。 宮下マキさんの写真集「その咲きにあるもの」(河出書房新社)に、こんな一節がある。 彼女―乳がんを患った洋子さんの手術前から全摘、乳房再建までの記録。 失った胸の痛々しさも心の乱れもさらした写真の数々は、多くを語りかける。 10月は乳がん月間。 女性の二十数人に1人が罹患(りかん)するが、早期発見すればこわくない。 でも米国などが死亡率抑制に成功しているのに対し、検診が広まらない日本は上昇の一途。 その理由には冒頭のような心理もあるだろう。 晩産化でいま初産の平均年齢はほぼ30歳。 そして乳がんにかかる人は40歳前後を境に急増する。 子どもがいれば、まだ母のぬくもりに守られていたい年ごろのはず。 そんなところに降りかかる不条理がある。 ロック歌手の川村カオリさんもそうだった。 7月に亡くなったときはいまの洋子さんと同じ38歳。 まだ小さい娘を1人残さねばならない。 そう知ってからの心中を思うと、同じ年代の親として胸がはりさけそうになる。 川村さんは啓発のためのピンクリボン運動に尽力した。 恐怖、喪失感、疎外感…極限状態に直面した人たちが、自らの生をかけて女性を、その家族を守ろうとしている。
Oct 10, 2009
その時、警報は生かされなかった。 1959年9月26日、地元気象台は午前中に自治体や警察など関係者を集め、その台風の恐ろしさを説明した。 しかし風雨が収まっていたこともあり、多くの人は警報を真剣に受け止めなかったという。 夜に入って高潮が発生した。 逃げ遅れた人々は、容赦なく泥の海に、のみ込まれた。 計5千人以上もの死者・行方不明者が出たのだから、それはもう地獄のような光景だったに違いない。 伊勢湾台風である。 「伊勢湾台風並み」「過去10年で最強」などと言われた台風18号が過ぎ去った。 幸いなことに県内は大きな被害を免れた。 全国的にも、「伊勢湾台風並み」の被害はもちろん出ていない。 「過去10年で最悪」にも至らずに済んだ。 伊勢湾台風ほどの被害が出なくなったのは、日々の科学技術の進歩が大きい。 防潮堤などの強化が進んだ。 テレビが普及し、情報が伝わりやすくなった。 気象予報も飛躍的に進歩した。 今年からは5日先の台風の進路予報も発表されている。 ただ人間も同じように進歩しているとは限らない。 避難の遅れが命取りになった例は、今でもよく聞く。 警報を聞き流して多くの県民が家財を失い、犠牲者まで出してしまったのが、5年前の高潮だった。 そろそろ台風の恐ろしさが「忘れたころ」になりつつある県民もいるだろう。 そうした中で、自主避難している人たちがいた。 その姿勢を見習いたい。
Oct 9, 2009
俳人・高浜虚子はよほどリンゴが好きだったのだろう。 「食ひかけの林檎をハンドバッグに入れ」と詠んだ。 一説では、胃弱のせいで片時もリンゴを手放せなかったらしい。 携帯食にリンゴという虚子にとっての必然も、その光景を想像するとほほえましい。 リンゴには滋養がある。 子どものころに風邪を引くと、すったリンゴを食べさせられた。 食欲がなくても、不思議とのどを通った。 元気なときは丸かじりがいい。 小気味よい音と食感は、この果物ならではの醍醐味(だいごみ)である。 リンゴを材料にした加工品も多い。 パイなどの菓子やアルコール飲料が代表的だが、料理にも使われる。 函館大妻高校の生徒たちが、リンゴの創作料理発表会に挑戦した。 取り組み自体も珍しいが、ひときわ目を引いたのが斬新なメニューの数々だ。 ギョーザやグラタン、さらに「豚肉のリンゴ巻き」なる一品も。 バターでいためたリンゴに豚肉を巻く。 さらにバターでいためた後、しょうゆ、みりん、砂糖で作ったたれをからませる。 出来上がった料理はごはんにも合うという。 ミスマッチが醸す妙であり、生徒が創作料理をうたった理由もここにある。 幸い、七飯町というリンゴの産地が身近にある。 ぜひ食卓でお試しみてはいかがですか。 これらの創作料理を虚子が口にしていたら、リンゴ好きがさらに高じていたかも。
Oct 8, 2009
日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで亡くなる。 がんは身近な病だが、孤独だったがん患者や家族たちが励まし合って、医療行政に要求する市民運動も広がっている。 一方で世界で使われている抗がん剤がなかなか承認されず、患者に届かない状態もある。 この「ドラッグ・ラグ」で日本は最初の発売国から平均4年遅れている。 抗がん剤で治療を受けている患者が世界の標準的な薬を使えないのは、深刻な悩みといえる。 この問題を考える講演会が患者団体の企画で兵庫県で開かれた。 がん患者で医師の小倉恒子さんは20年を超える自らの闘病体験から、抗がん剤肯定者になった。 「抗がん剤が効かなくなったら、次、次と別の薬を使えばよい。それには薬がいっぱいあることが必要だ。がん患者は待てない。遅れを何とか短くしたい」と訴えた。 がん患者は命がけで、わらをもつかむ思いが強い。 標準治療から外れたがん難民たちの足元を見るように、効果が不確かで高額な医療関連ビジネスも横行する。 小倉さんは「いい先生を見つけるのは大変。悪い先生ほどホームページに何回も登場してアピールがうまい傾向にある。最後まで値段が出ていないのは怪しい」と指摘した。 もっとも薬は副作用への注意が欠かせない。 承認後も副作用を監視し、薬害を抑える姿勢は必要だ。 それでも日本の4年のドラッグ・ラグは長過ぎる。 医学の進歩を待望する患者の願いに応えるため、製薬会社と厚生労働省の責任は大きい。
Oct 7, 2009
91歳になる今もグラウンドゴルフを楽しんでいるおばあさんが紹介されていた。 片道が2キロある雑貨店へ自転車で買い物にも出かけている。 健康の秘訣について 「取り越し苦労をしてはだめ。 なるようにしかならんの精神で、 楽しく過ごすこと」 と答えていた。 くよくよしない。 これは、 健やかな長寿者に多くみられる性格であり、 医学的にも証明されてきているようだ。 アメリカの病院での調査によると、 230人の男性の75歳時点での死亡率は、 「苦悩していない人」 が5%なのに対して、 「苦悩している人」 はその7倍の35%だった。 この結果から得られた結論は、「心理的苦悩のほとんどない安定した感情を維持する性格の方が、 運動や食習慣よりも身体的健康に役立つ」。 人は生きている限り、 苦悩から逃れられない。 大事なのは、 苦悩を吹き飛ばしたり、 いなしたりできる性格や態度ということだろう。 大徳寺の住職をつとめた一休禅師は、「大徳寺が困ったときだけあけなさい」 という遺書を残した。 一休の死後、 困ったことが起き、 遺書をあけてみた。 そこには 「なるようになる。 心配するな」 と書かれていた。 ならないときも、 ならないようになる、 だから心配するな。 これが一休の教えだった。 一休が87歳まで生きたのも納得できる。
Oct 6, 2009
精神保健福祉センターの「『こころ』の電話相談」は、1日10件程度という。 担当者は複数いるし、少ないかなと思ったが、1件当たりの時間が長くて、1時間や1時間半になることもあるということだ。 さまざまな悩みを抱えた心を解きほぐすのは容易ではない。 聞き手も忍耐が求められる。 精神的にはきついだろう。 実際、深刻な相談を受けるうちに聞き手も重い気持ちとなって、強い疲労感や無力感などを抱くこともあるという。 「共感疲労」と呼ばれているらしい。 医療や介護、福祉の現場などでも起きている。 精神的緊張を強いられる職場にいる人たちに対する支援が必要だといわれるが、対策はこれからのようだ。 全国の自殺者数が2008年まで11年連続で3万人を超えた。 特に08年は「生活苦」「失業」など不況の影響とみられる原因・動機が大幅に増えたという。 失業率は今年に入って悪化を続け、7月には過去最悪となった。 雇用環境に改善の兆しは見えない。 そうなると、経済的な問題で精神的に追い詰められる人々が昨年以上に増える可能性が高い。 実際に今年1―8月の自殺者数は昨年同期を上回っている。 極めて深刻な事態だ。 職を失わなくても、人が減って仕事量が増えたり、経営が厳しいと賃下げを求められたりする人もあるだろう。 住宅ローンなど借金があれば苦悩はより深くなる。 家庭不和や親の介護、自分の病気と、中高年の悩みの種はさまざまあり得る。 人知れず悩みを抱えて、もんもんとするうちに心のバランスを崩して、うつ病になることもあるだろう。 酒に逃れてアルコール依存症になる人も出てくる。 人に悩みを話すことで精神的な重荷を一度下ろさせる。 「いのちの電話」などで早くから取り組まれてきた。 06年に自殺対策基本法が成立し、国は翌年、自殺総合対策大綱をまとめた。 自殺を「追い込まれた末の死」ととらえ、防止策として9項目の重点施策を掲げ、自治体にも対策強化を求めた。 精神保健福祉センターで相談を受け付けたり、適切な窓口などを紹介してくれたりするはずだ。 「悩みを語ろう」などとあえて書くのはなぜか。 警察が、アルコール依存症が疑われる職員に職務命令で医療機関の受診を指示、従わない場合は懲戒・分限処分にする方針を出したからだ。 不利益を被るとなると巧妙に隠すようになるかもしれない。 根本的な問題解決になるのか、と疑問を持ったのだ。 「北風と太陽」ではないが、悩みを抱える人には強制力より寛容の精神と忍耐で徹底的に聞くことの方が有効ではないだろうか。 健康ウオークなどの催しが秋は多い。 身体の健康だけでなく、心の健康もここで見つめ直してみたいと思った。
Oct 5, 2009

きのう3日は旧暦8月15日、中秋の名月だった。 井伏鱒二は「けふは仲秋(ちゅうしゅう)明月/初恋を偲(しの)ぶ夜」と歌っている。 月が美しく見える季節。 「無月(むげつ)」は「曇る名月」とも言い、雲が広がって見えない状態。 それでも昔の人たちは空のほのかな明るさに名月を感じた。 「雨月」は全くの雨の月。 雨の上がるのを待ち望んだ。 世界遺産・国宝姫路城でも観月会が催された。 ライトアップされた天守閣をバックに三の丸広場の特設ステージで郷土芸能などが披露された。 また、姫路市の新イメージキャラクター「しろまる姫」も登城していた。 三枝草獅子保存会による、険しい山に見立てた高さ約7メートルのはしごを獅子が登る「梯子獅子」を披露していた。 賞月の風習はどの民族にもあるという。 月には餠(もち)を搗(つ)くウサギが住む、と見たのは日本人。 中国にもウサギ説があるが、搗いているのは薬だとか。 それよりも、中国では月の精はヒキガエル、との言い伝えがある。 「淮南子(えなんじ)」によると、弓の名人が手に入れた不死の霊薬を、妻の嫦娥(じょうが)がかすめ取って月に逃げる。 月では死ぬことともかなわず、ヒキガエルと化した。 2007年10月、中国が打ち上げた初の月周回衛星は「嫦娥1号」と名付けられた。 月にはまだ多くの神秘が残されている、というだけでなく、時には空を仰ぎ、星や月をめでる心のゆとりは失いたくないものだ。 古人は月を仲立ちに、遠く離れた友や肉親と心を通わせた。 唐の詩人、杜甫は「月夜」の中で、戦乱を避けて疎開させた妻子をしのぶ。 再び妻と二人、月光に照らされる日の来ることを祈る。 旧暦9月13日に当たる10月30日が「十三夜」。 後の名月とも言う。 2016年の東京オリンピックは残念ながら落選と決まり、雲の広がりが満月を隠すような結果に終わった。
Oct 4, 2009
年齢とともに衰えていくのは「体力」「記憶力」、逆に増加していくのは「知力」「気力」「忍耐力」の順。 健康・体力づくり事業財団(東京)が全国の50~80歳の約1400人に、加齢に伴うイメージを「○○力」で聞いたところ、こんな答えが返ってきた。 この5つの「力」は男女とも同じだったが、女性だけでみると、増加していくのは「気力」「知力」「忍耐力」の順で、気力がトップ。 一般的に高齢者は男性より女性が活発のように見えるし、平均寿命も長い。 気力はその要因の一つのようだ。 面白いのは、同時に聞いた個々人の体型や体力、気力に対する年齢の自己評価だ。 3項目について「自分は何歳相当か」という感覚年齢を答えてもらったら、実年齢に比べ、平均で体型6歳、体力4歳、気力は8歳も若くみていた。 実際に若々しいのかもしれないが、若くありたいという願望も含まれているのではないかと、同財団は分析している。 そして、ここでも気力年齢では、女性の方が男性より若く評価する傾向が強かった。 しかも、その感覚年齢と先ほどの「力」との関係では、「向上力」が最も影響していることも分かった。 向上力が増加するというイメージを持つ人は、少なくとも感覚年齢を3歳若くする効果がみられたという。 気力と向上力。 大まかにいえば、何事にも前向きの姿勢で取り組むことが、いつまでも若さを保つ秘訣(ひけつ)ということだろうか。 あなたの場合は、あなたのパートナーはどうだろうか。
Oct 3, 2009
高齢化と核家族化が進むにつれ、妻や親を介護する夫や息子が増えている。 しかし、悩みを抱え込み、孤立してしまう例が目立つという。 ある日、妻が認知症と診断された。 仕事一筋の夫だったら、どう受け止めるだろう。 会社を辞めて、介護に専念するか、それとも仕事と介護を両立させながら頑張るか。 重い選択を迫られるに違いない。 家族観や生活スタイルの変化とともに、「介護は女性がするもの」ではなくなった。 夫婦二人暮らしならば、どちらかが担う可能性がある。 厚生労働省の調査などによると、全介護者に占める男性の割合は1977年は9%だった。 それが2007年には28%にも上った。 今後、結婚しない子どもが親の介護をする数も増加するとみられている。 在宅での介護は、肉体的にも精神的にも家族にとって大きな負担だ。 家事を妻や親に任せていたのならば、なおさら戸惑うことは多いはずだ。 男性介護者の傾向として、介護の悩みを打ち明けられる相談相手が少ないことがあるという。 職場と家との往復ばかりで、地域とのつながりを持てない人が少なくない。 深刻なのは、精神的に追い詰められ、被介護者に暴力を振るうケースが絶えないことだ。 殺人事件につながる悲劇も相次いでいる。 研究者が、介護を苦にした過去10年間の殺人事件350件を調べたところ、息子や夫が加害者になったケースが約7割に達したという。 介護を乗り切るには、仲間をつくったり、地域の中に入ったりすることが大切になってくる。 情報の交換はストレスの軽減にもつながる。 行政や福祉団体が連携して、男性向けの「介護講座」を開催するのも、孤立を防ぐ方法の一つだろう。 介護のために仕事を辞めれば、経済的に苦しくなる。 仕事との両立を図ろうにも、なかなか介護休暇は取りづらいのが実態だ。 現行の介護保険制度では、同居人がいるとサービスの提供に制約がかかる。 施設を希望しても、満杯状態で入所待ちを余儀なくされる。 こうした悩みや解決への取り組みは、男性介護者に限らない。 女性にとっても共通のものがある。 社会全体で介護する人たちを支え合う。 この流れを強固なものにしていかなければいけない。
Oct 3, 2009
戦術に徹底する打撃、いぶし銀の守備、時にはONを叱咤、巨人の名二塁手、名脇役として活躍した土井正三氏が9月25日に膵臓(すいぞう)がんのため亡くなった。 V9を支えた名声は永遠の記憶に残るが、否定的なある風評は川上哲治元監督の言葉で消えた。 土井氏はオリックスの監督時代、鈴木一朗という新人を二軍に落とした。 監督が変わり鈴木はイチローとしてスター街道を進み、大リーグでも数々の記録を生んだ。 そんな才能を「見抜けなかった指導者」と一部で言われた。 川上氏は告別式の弔辞で「野球は全員が力を合わせてやるべきもの。それを若いうちに教えるため、意図的に二軍に落とした。君はイチロー君の才能を初めから見抜いていた」と話した。 イチローも土井氏に付けられた印象について「そうじゃないのにね…」と振り返る。 指揮官として経験を積ませたことが明らかにされ、誤解は否定された。 見ている限りで事実は判断できないが、大相撲の世界は…。 先の秋場所で5大関を破り、12勝の小結・把瑠都が殊勲賞を受けられなかった。 5場所連続受賞者なしだが、今回は大関陣の不調が影響しているようだ。 千秋楽に解説者北の富士勝昭氏は「大関を破っても殊勲と言える価値はないのでは」とばっさり。 1人途中休場、残る4人は全員勝ち星ひとけたという事実では辛口解説を浴びる。 ダメ大関からの名誉回復は力で示すしかない。
Oct 2, 2009
作家の吉村昭さんは若いころ、命にかかわる大病を患っている。 定期的に医者に診てもらい、体調管理には気を付けていた。 そのうちあることに気付き、それは信念に近いものになっていく。 「病は気から」だ。 平穏な日々を過ごしていた人が思いがけず発病し、亡くなることもあるとしながらも「病は気からという言葉がある通り、精神的なものが病気に大きく影響し、発病をうながす重要な要因になっているように思えてならない」とエッセーに書いている(『わたしの流儀』)。 そんな吉村さんの信念を裏付けるような調査結果を厚生労働省の研究班が発表したもので、生活を楽しんでいる意識が高い男性は脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの循環器疾患の発症、死亡リスクが低かったそうだ。 なにかとストレスの多い社会だけに、楽しいと思ったのはいつのことだったかと考えなければ浮かばない人もあるだろう。 調査にあたった琉球大の准教授によれば「生活を楽しもうと意識し、楽しむ方法を自分なりに見つけることが大切だ」とのこと。 楽しみが見つかればいいが、ないときはどうすればいいのか。 吉村さんは朝、目覚めると「大過なくすごしている自分は幸せだ」と胸の中でつぶやくのを常としていたそうだ。 気分が明るくなり、一日しっかり仕事をしようと思えたのだという。
Oct 1, 2009
進化した首縄と考える人もいれば、敵と戦う剣と見る人もいる。 プレゼントされた物なんか使う気にならないという趣味人もいる。 こだわる人はとことんこだわる。 それがネクタイ。 今日はネクタイの日だ。 東京の帽子商・小山梅吉が1884年、日本で初めて製造した日とされる。 衣替えと重なるのは全くの偶然だが、昨日でクールビズを終えたサラリーマンにとっては、自分の主張を再び世に示すことができる日でもある。 欧米に首元で自己主張をする人が少なくないのは、歴史の長さゆえだろうか。 例えば英国の紅茶王リプトンは、独特の結び方をした蝶ネクタイを偏愛した。 その形がアイルランドによくある三つ葉に似ており、その血を引く自分を誇っていたらしい。 スリムな暗色のネクタイしかしなかったのは、米国のケネディ元大統領。 エリートくささを嫌ったからだという。 高松出身の服飾評論家・出石尚三さんの著書で知った(「男はなぜネクタイを結ぶのか」新潮社)。 日本にもネクタイで自己主張する政治家はいた。 幅広のネクタイを流行させたのは佐藤栄作元首相、水玉が記憶に残るのは海部俊樹元首相だ。 小泉純一郎元首相も「ノーネクタイ」という名のネクタイを世に広めた。 鳩山由紀夫首相の場合、奇抜な花柄ネクタイから金色の勝負ネクタイまで、守備範囲は随分広い。 宇宙人ぶりを主張していると言えなくもないが、実際に選んでいるのは幸夫人だと聞けば、ネクタイが首縄に見えてきて仕方がない。
Oct 1, 2009
進化した首縄と考える人もいれば、敵と戦う剣と見る人もいる。 プレゼントされた物なんか使う気にならないという趣味人もいる。 こだわる人はとことんこだわる。 それがネクタイ。 今日はネクタイの日だ。 東京の帽子商・小山梅吉が1884年、日本で初めて製造した日とされる。 衣替えと重なるのは全くの偶然だが、昨日でクールビズを終えたサラリーマンにとっては、自分の主張を再び世に示すことができる日でもある。 欧米に首元で自己主張をする人が少なくないのは、歴史の長さゆえだろうか。 例えば英国の紅茶王リプトンは、独特の結び方をした蝶ネクタイを偏愛した。 その形がアイルランドによくある三つ葉に似ており、その血を引く自分を誇っていたらしい。 スリムな暗色のネクタイしかしなかったのは、米国のケネディ元大統領。 エリートくささを嫌ったからだという。 高松出身の服飾評論家・出石尚三さんの著書で知った(「男はなぜネクタイを結ぶのか」新潮社)。 日本にもネクタイで自己主張する政治家はいた。 幅広のネクタイを流行させたのは佐藤栄作元首相、水玉が記憶に残るのは海部俊樹元首相だ。 小泉純一郎元首相も「ノーネクタイ」という名のネクタイを世に広めた。 鳩山由紀夫首相の場合、奇抜な花柄ネクタイから金色の勝負ネクタイまで、守備範囲は随分広い。 宇宙人ぶりを主張していると言えなくもないが、実際に選んでいるのは幸夫人だと聞けば、ネクタイが首縄に見えてきて仕方がない。
Oct 1, 2009
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