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北原みのりさんの「メロスのようには走らない。 女の友情論」を買書つんどく。買ってはみたものの、僕なんかは、ちょっと対象読者ではないような気がしてきた・・・・・。「「女友だち」の新しいカタチを描く、北原みのりの最新エッセイ!独身、既婚、子持ち、子なし、お金持ち、貧乏、美人、不美人・・・・・ちょっとの「違い」ゆえに、時々ぶつかる私たち。それでも、男には絶対に見出せないものが、女の友情にはある。」(KKベストセラーズの紹介)
2014年01月31日
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「そうだね・・・・・言葉を選んで説明すると」真面さんは少し考えてから言う。「数多君はそのシナリオを二日間も読み続け た。その時の数多君の脳内でどん なことが起きていたかまでは解らないけれど、結果としては取り憑かれたように二日間過ごしたという事象だけが残っている。それこそまるで麻薬中毒のよう に」「はい」「なら、麻薬をやればいい」「・・・・・え?」「麻薬をやったような結果が欲しければ、麻薬を使うのが一番早いってことだよ」真面さんは身も蓋も無いことを言った。いやまぁ、それはそうだけど。「僕が言いたいのはこういうことさ。早く簡便に代替する手段があるとしたら、最原さんがそれを選ばない理由を考えなければならない。麻薬で済むことをなぜ麻薬でやらないのか。論理立てて理解しようとしたらそこが避けられない命題になってしまう」(中略)「最原さんは映画を作っている。創作活動を行っている」真面さんが宙空を眺めながら続ける。「だからそこには、創作活動でなければいけない理由が存在すると、僕は考えているんだ」(野崎まどさん「2」P323)
2014年01月30日
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長沼毅さんの「死なないやつら 極限から考える「生命とは何か」」を買書つんどく。この書評を見て、買ってみました。「超高温、超高圧、高塩分、強放射線、強重力・・・・・過酷な環境をものともしない極限生物たちの驚異の能力と、不可解きわまる進化。シュレーディンガーの生命観、エントロピー増大の原理を超えて40億年も地球にはびこる「不安定な炭素化合物」の本質に迫る。」(「BOOK」データベースより)
2014年01月29日
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「ですが、それすらも」最原さんが少しだけ微笑む。「創作の持つ可能性の一つに過ぎない」話がぐるりと回って戻ってきた。創作の可能性。「創作は人を別人にすることもできる。ですが同時に他のこともできる。創作によって様々なことを成せる。では、その数多の可能性の中において、一番正しいことはなんなのか。創作とは、何のため・・・・・」僕は漠然と考えながら、最原さんの言葉を繰り返す。隣では紫さんが僕と同じような顔をして、その質問の答えを考えていた。壮大な質問だった。今までの中で一番壮大な質問だった。創作とは、何なのか。「最初に言った通り、創作とは人の心を動かす行為です。ですから質問はこう代わります。“私達は何のために人の心を動かすのか”」最原さんは僕らに向かって静かに語り続ける。「“私達はなぜ創るのか”」最原さんは薄く微笑む。「その答えが、人間の自由意思なのです」エアポケットのような瞬間だった。(野崎まどさん「2」P301)
2014年01月28日
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刊行されたら、読み続けているコミックあれこれ。最近、23巻が出た、おがきちかさんの「Landreaall」。まだ、読めてない・・・・・。最近、読み始めた、葦原大介さんの「ワールドトリガー」。まだ3巻までしか出てない。ついに、男将軍が復活した、よしながふみさんの「大奥」。おっと、忘れそうになった、諸星大二郎さんの「西遊妖猿伝」。もうどうなってんだか、わけわかんない、三浦建太郎さんの「ベルセルク」。たぶん、作者も、どうしたらいいのかわかんなくなっちゃってるんじゃないかと思う。
2014年01月27日
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三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖 5」を買書つんどく。ページを開いたら、プロローグで、いきなり寺山修二さんの「五月の詩・序詞」の一節が目に飛び込んできました。そこで、前にもアップしましたが、もう一回。五月の詩・序詞 きらめく季節に たれがあの帆を歌ったか つかのまの僕に 過ぎてゆく時よ夏休みよさようなら僕の少年よ さようならひとりの空ではひとつの季節だけが必要だったのだ 重たい本 すこし雲雀の血のにじんだそれらの歳月たち萌ゆる雑木は僕のなかにむせんだ僕は知る 風のひかりのなかで僕はもう花ばなを歌わないだろう僕はもう小鳥やランプを歌わないだろう春の水を祖国とよんで 旅立った友らのことをそうして僕が知らない僕の新しい血について僕は林で考えるだろう木苺よ 寮よ 傷をもたない僕の青春よさようなら きらめく季節に たれがあの帆を歌ったか つかのまの僕に 過ぎてゆく時よ二十才 僕は五月に誕生した僕は木の葉をふみ若い樹木たちをよんでみるいまこそ時 僕は僕の季節の入り口ではにかみながら鳥達たちへ手をあげてみる二十才 僕は五月に誕生した(寺山修二さん「われに五月を」より)「静かにあたためてきた想い。無骨な青年店員の告白は美しき女店主との関係に波紋を投じる。彼女の答えはー今はただ待ってほしい、だった。ぎこちない二人を結びつけたのは、またしても古書だった。謎めいたいわくに秘められていたのは、過去と今、人と人、思わぬ繋がり。脆いようで強固な人の想いに触れ、何かが変わる気がした。だが、それを試すかのように、彼女の母が現れる。邂逅は必然ー彼女は母を待っていたのか?すべての答えの出る時が迫っていた。」(「BOOK」データベースより)
2014年01月26日
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「そう・・・・・ですね。最近やっとシナリオ作業に入ったところなんです。そのシナリオだって僕は一行も見せてもらえてないですから、正直僕が映画についての情報を持っているかというとそんなに・・・・・あ、でも」僕は思い出した。「タイトルは、もう決まっているそうです」「タイトル?」「ええ。タイトルだけはずっと前から決まっていたって」真面さんの双眸がほんの僅かに真剣味を帯びて、僕を見た。「聞いても?」小さな覚悟を決めて頷く。そして僕は、そのあまりにも短い映画のタイトルを口にした。「2」(野崎まどさん「2」P273)
2014年01月25日
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佐藤亜紀の「小説のタクティクス」を買書つんどく。久々の、佐藤亜紀さんの著作です。ただ、以前の、大学での講義をもとにしたものらしいですが。「小説において形式とはなにか。それはどのように機能するのか。美術の表現から小説へ。『小説のストラテジー』に続き、小説の未来をうらなう大胆評論が展開する。」(筑摩書房の紹介)
2014年01月24日
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「どれくらい面白いんですか?」舞面さんは非常にアバウトでなんとも答えにくい質問をした。映画がどれくらい面白いか、とは。また難しい問題だ。○○くらいと言っても人によって感じ方が全然違うだろうし。あまり有効な回答が得られなさそうな質問だなと思う。(中略)「どれくらい・・・・・」最原さんが言葉を探りながら話す。「映画の面白さを映画以外で説明するのは難しいですが・・・・・」「可能な限りでいいですよ」「そうですね・・・・・なるべく齟齬のない表現をすると」小さな沈黙の後、最原さんが口を開く。「この映画で」「うん」「これまでの映画は全て・・・・・過去のものとなります」(野崎まどさん「2」P170)
2014年01月23日
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何も答えられない僕に構わず、彼女は言った。「創作とはなんですか?」それはあまりにも壮大な質問だった。わからない。答えられない。その質問の答えはもう僕の、僕らの、人間の理解の範疇を超えているような気がした。「それがわかりそうなのです」彼女は変わらない声で、そんな大それたことを呟いた。「映画を撮ります」新人の言葉が続く。「役者を探していました」彼女は一歩踏み出すと、僕に手を差し伸べた。「数多一人さん」彼女は。薄く微笑んだ。「映画に出ませんか?」彼女は最原最早といった。(野崎まどさん「2」P114)
2014年01月22日
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野崎まどさんの「know」を買書つんどく。なにか、評判になってるようなので、とりあえず買ってみた(いっつもやけど)。ところで、今日の晩は、たぶん職場で明かすことになりそうなので、ご訪問はできそうにありません。のと、明日の朝の更新は難しそうなり。「超情報化対策として、人造の脳葉“電子葉”の移植が義務化された2081年の日本・京都。情報庁で働く官僚の御野・連レルは、情報素子のコードのなかに恩師 であり現在は行方不明の研究者、道終・常イチが残した暗号を発見する。その“啓示”に誘われた先で待っていたのは、ひとりの少女だった。道終の真意もわからぬまま、御野は「すべてを知る」ため彼女と行動をともにする。それは、世界が変わる4日間の始まりだった―」(「BOOK」データベースより)
2014年01月21日
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ただ、それよりも。今、少しだけ何かが引っかかった。そう・・・・・階段を降りていく前。御島さんは振り返る一瞬に、僕を横目に見て、なんだか気になる表情をした。(野崎まどさん「2」P60)稽古が続いていく。新しい場面が始まる度に驚かされ、怯えさせられ、そして感動した。その時の僕たち新人は、劇団「パンドラ」の一員などでは絶対に無く。稽古を見学に来ただけの、ただの観客だった。僕の隣で、桜鳥さんが真円の目で稽古を見ている。彼女の綺麗な瞳が、見てはいけないものを見るように、だんだんと小さくなっていく。僕はその時、彼女の心が潰れる音を聞いた気がした。ああ、そうか。ついさっき僕が見た、玄関で一瞬だけ見た、御島さんの表情の意味がやっと解った。あれは“悲哀”だったんだ。「ああ、この子とも今日でお別れかもしれないのね」という“悲哀”だったんだ。翌日。八人の新人が退団した。(野崎まどさん「2」P66)「数多一人は超有名劇団『パンドラ』の舞台に立つことを夢見る青年。ついに入団試験を乗り越え、劇団の一員となった彼だったが、その矢先に『パンドラ』は、ある人物の出現により解散してしまう。彼女は静かに言う。「映画に出ませんか?」と。役者として抜擢された数多は、彼女とたった二人で映画を創るための日々をスタートするがー。果たして彼女の思惑とは。そして彼女が撮ろうとする映画とは一体・・・・・?全ての謎を秘めたまま、クラッパーボードの音が鳴る。」(「BOOK」データベースより)
2014年01月20日
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2は私たちにとって最も馴染みの深い数です。理由は至って明白で。数というものをその性質で大雑把に分類すると、「何も存在しない0」「何かが存在する1」「複数存在する2」の3種類になりますから、ぶっちゃけ2以上は3だろうが100だろうが無量大数だろうが複数であるという点において全て2の仲間であり、この世界は虚無の0でなく単数の1でなく複数の2でできています。私たちは複数の世界に生まれ、複数の世界で育ち、複数の世界の中に複数人存在しています。(野崎まどさん「2」あとがきP560)
2014年01月19日
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さなかは顔をあげながら。ゆっくりと目を開いた。落ちていた瞼が大きく開き、真円の瞳が現れる。「これが」さなかは呟いた。「これが世界」(中略)世界は溢れていた。何が溢れているのか把握しきれないほどに。(野崎まどさん「パーフェクトフレンド」P258)というわけで、野崎まどさん「パーフェクトフレンド」を読みました。まあ、かいらしいお話であることよ。で、これまでの、お話のおさらいをしてみると、「「映」アムリタ」:天才(最原最早)が、「最高の映画」を作るお話。「舞面真面とお面の女」:妖怪と妖怪じみた人間が、お友達になるお話。「死なない生徒殺人事件」:不死の人間が、お友達を探すお話。「小説家の作り方」:人工知能が、「最高の小説」を書くお話。「パーフェクトフレンド」:天才(最原最中)が、お友達をつくるお話。要は、「最高の創作物」を創るお話と、「お友達づくり」のお話なんですね。さてさて、これが、どのように「2」へと繋がっていくのか・・・・・。
2014年01月18日
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本日は、1月17日。時刻は、5時46分。それでは行ってまいります。
2014年01月17日
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木村朗子さんの「震災後文学論 あたらしい日本文学のために」を買書つんどく。これは、震災後文学論なのかな?原発事故後文学論なのかな?カバーの写真が、なんで、熊の置物なんかな?「未曾有の事態をどのように理解し、そして受けとめるか。いち早くその現実を咀嚼しようとし言葉にしてきたのはまさに文学であった。「たかが文学。その内容を議論するよりももっと現実的なことを議論した方がよい」。はたしてそうだろうか。もし文学が、直視しがたい現実を言葉にしているとするならば、そこで描かれているもの、描かれていないものは、まさに現実そのものの縮図ではないのか――。ゆえにわたしたちは「震災文学」を読まければならないのだ。「震災」以後の文学全体をとらえ、これまでの文学の歴史と断絶したところからはじまるあたらしい文学の歴史を見出す。私たちはあれから、何を表現することができ、そして何を表現することができなかったのか――「震災後文学」を読みつづけ、海外に紹介しつづけてきた気鋭の国文学者が、専門領域を侵犯してまで著わす決意の書。」(青土社の紹介)
2014年01月16日
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「“友達”」魔法使いは頷いた。「いいかい、さなか。“友達”はね、そもそもが論理的に証明できない存在なんだ。もちろん今は無理でも未来になればできるのかもしれないけど。でも現在の僕らは友達を語り尽くせる言葉を、数式を、概念を持っていない。友達というのはね、人智を超えた存在なんだよ。 問:“友達とはなにか”答え:非論理的で反利害的で超経済的な、人の理解を超えた存在。 問:“なぜ友達が必要か”答え:人が無限の世界を手にするため。だよ」(野崎まどさん「パーフェクトフレンド」P207)
2014年01月15日
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東雅夫さん編集の、「日本幻想文学事典」を買書つんどく。須永朝彦さんの、「日本幻想文学史」てのもありました。「作家事典と作品案内の両面を兼ね備えた必携のレファレンス・ブックが誕生!日本が生んだ怪奇幻想文学の系譜を3巻本構成で展望する画期的なシリーズ“日本幻想文学大全”の掉尾を飾る本巻は、幻想文学史を彩る文豪や鬼才たちの生涯と代表作の数々を、年代順に網羅紹介した充実の解説篇。かつて「幻想文学」誌上で実施された識者による「日本幻想文学オールタイムベストテン」を巻末に併録。」(「BOOK」データベースより)
2014年01月14日
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「この三ヶ月間、私は小学校で、中学校で、高校で、人間のデータを、友達のデータを集め続けました。個人の、グループの、種類、数、構成、行動、変化、それらを全て記録し、変換し、数値化し、余すところなく記述し続けてきました」数字は流れ続ける。高速で過ぎ去る数字を背景にして、さなかが言う。(中略)「膨大な量の作業でした。夥しいデータと、計り知れないとすら思える観点。本当に時間がかかりました。ですが私は、ようやく計り切った。先日のお泊り会の前の日に、私はとうとう“解”に到達することができたのです」数字のスクロールが突然消える。無限の数字はどこかに流れ去り、真っ白な画面に、シンプルな一行だけが表示されていた。理桜は画面に顔を近付けた。f=3.323018「これは・・・・・?」「“友人定数”」さなかがキーを叩く。「そしてこれが」画面に幾つかの代数を含む複雑な式が現れた。「“友人方程式”です」(野崎まどさん「パーフェクトフレンド」P155)
2014年01月13日
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鐘が鳴り、長かった一時間目が終わる。終わったのにさなかはまだ榎木薗君を見ている。精神が汚染されそうな榎木薗君は千里子先生に泣きついた。理桜はああ、あのイベントに関わりたくないと思いながら、義務感と使命感に押されて事件現場に向かった。「なにやってんのよあんたは・・・・・」呆れた声をかける理桜。「いえ・・・・・こちらの榎木薗さんに、よろしくねと言っていただいたので、私も是非よろしくしたいと思ったのですが、私はまだよろしくするということにあまりにも無知だったので、まずは榎木薗さんを見てよろしくとはどういうことなのかを勉強させていただこうかと」理桜は首を振った。最初の一時間でこれである。(野崎まどさん「パーフェクトフレンド」P62)
2014年01月12日
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伊集院静さんの「ノボさん 小説正岡子規と夏目漱石」を買書つんどく。伊集院さん、読まず嫌いしてるところがあり、これが初めての買書つんどくです。「「ノボさん、ノボさん」「なんぞなもし」明治二十年。新時代の躍動とともに、ノボさんこと正岡子規は二十歳を迎えた。アメリカ渡来のべーすぼーるに夢中の青年は、俳句・短歌・小説・随筆、あらゆる表現に魅入られ、やがて日本の文芸に多大な影響を及ぼす存在となる。子規は常に人々に囲まれていた。友人、師、家族から愛され、子規もまた彼らを慕った。そしてこの年、東京大学予備門で運命的な出会いを果たす。同じく日本の文学の礎となる、金之助こと夏目漱石である。志をともにする子規と漱石は、人生を語り、夢を語り、恋を語った。明治三十五年、子規の余命が尽きるまで、誰もが憧れた二人の交際は続く。子規と漱石の友情を軸に、夢の中を走り続けた人、ノボさんの人生を描く。」(講談社の紹介)
2014年01月11日
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さなかが立ち上がる。理桜から視線を外すと、よそ見をするように首を捻って、なにもない空間をじっと見つめる。「興味が出てきました」理桜は。嫌な予感がした。「やややさん」「うんっ?」「こちらのお二人とは友達ですか?」「へ?もちろん!理桜ちゃんもひいちゃんも親友だよ!」「いつからの?」「え。えーとー、一年から、だよね?」やややが聞くと柊子がうんと頷く。「一年の時に同じクラスになってからだよね」「同じクラスというのは重要ですか?」「え、う、うん・・・・・。やっぱり隣のクラスよりは仲良くなりやすいと思う・・・・・。席とかも近い方がいいし・・・・・」「なるほど、距離・・・・・」少し考えるような仕草を見せた後、さなかは理桜に向いて、微笑んだ。さなかの初めての笑みを見た理桜は。もう嫌な予感しかしなかった。「明日から学校に行きます」理桜は。この少女と友達にならないで済む方法を必死で考えていた。(野崎まどさん「パーフェクトフレンド」P51)
2014年01月10日
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「不登校の理由とか書いてないんですか」理桜は先生の後ろから生徒資料を覗き込んだ。備考の欄に目をやる。「前学校でも不登校」と簡単に書いてある。その下の一行に目を止める。「なんですかそれ?」理桜が指差して聞く。千里子先生もそれを見て、何かしらねぇ・・・・・と首を捻った。備考欄には「数学者」と書かれていた。(野崎まどさん「パーフェクトフレンド」P19)「周りのみんなより、ちょっとだけ頭がよい小学四年生の理桜。担任の千里子先生からも一目置かれている彼女は、ある日、不登校の少女「さなか」の家を訪ねるようにお願いをされる。能天気少女のややや(注:「ややや」で名前)や、引っ込み思案の柊子とともに理桜は彼女の家に向かうが、姿を現したさなかは、なんと早々に大学での勉学を身につけ、学校に行く価値を感じていない超・早熟天才少女であった。そんな彼女に理桜は、学校と、そこで作る友達がいかに大切であるかということを説くのだったが・・・・・果たしてその結末は!?野崎まどが放つ異色ミステリ、まさかの小学校編登場!」(メディアワークス文庫の紹介)
2014年01月09日
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松家仁之さんの「沈むフランシス」を買書つんどく。ああ、「火山のふもとで」は買っていないな。買わなくては・・・・・と思ってしまうところが病気なんですなあ。「森をつらぬいて流れる川は、どこから来てどこへ向かうのかーー。『火山のふもとで』につづく待望のデビュー第二作。北海道の小さな村を郵便配達車でめぐる女。川のほとりの家屋に暮らし、この世にみちるさまざまな音を収集する男。男が口にする「フランシス」とは? 結晶のまま落ちてくる雪、凍土の下を流れる水ーー剥き出しの自然と土地に刻まれた太古の記憶を背景に、二人の男女の恋愛の深まりを描きだし、五官のすべてがひらかれてゆくような鮮烈な中篇小説。」(新潮社の紹介)
2014年01月08日
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「物実さん」むらさきさんは、まるで小説の登場人物のような台詞めいた言葉で、その為に作られた人間が話すような淀みない言葉で、自らの役割を全うするために必要な、あまりにも単刀直入で、あまりにも公明正大な、最高に正しい質問をした。「小説とは、なんでしょうか?」それは小説の最初にある問題だった。それは小説の最後にある問題だった。(野崎まどさん「小説家の作り方」P238)というわけで、野崎まどさんの「小説家の作り方」を読みました。これは、自意識を持った人工知能(AI)の話なんですが、その姿を借りた、もう一つの「「映」アムリタ」と言っても良いかも知れません。本家より、ちょっと軽めではありますが・・・・・。ところで、昨年末の「今年の本2013」に、「映」アムリタ」を入れてもよかったかも、と今思っています。
2014年01月07日
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千早茜さんの「あとかた」を買書つんどく。この本は、直木賞候補作ですね。「きれいに洗っても、忘れようとしても、まだ残っているもの。それで、人生は満ちている――。結婚直前の不実も、不倫も、自分の体を傷つけてしまうのも、ここにずっといて欲しいとうまく言えないのも、ぜんぶ同じ。怖いから。抗いたいから。体と心が触れあった痕跡を遺すことだけが、私たちの唯一の寄る辺なのです――言葉にしたら消えてしまうかもしれない感情の奥底まで踏み込んで描ききった、痛くて優しい連作小説。」(新潮社の紹介)
2014年01月06日
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紫さんは小説を習いに来た。むらさきさんは小説を習いに来た。そして彼女が一番熱心に聞いたのは、キャラクターの話だった。彼女が本当に知りたかったのは。彼女はキャラクターを作ろうとしている?そして彼女には。自我がない。「むらさきさんは、自分の手で、自分の自我を作ろうとしている・・・・・?」(野崎まどさん「小説家の作り方」P188)「だって、見たいじゃない?これからあそこに現出するのは、自分で自分の心を作って、自分で自分の体を作った、まるで神様みたいな子なんだから」(野崎まどさん「小説家の作り方」P202)
2014年01月05日
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「読むと死ぬって事ですか?」「そうじゃなくてですねぇ・・・・・なんて言えば良いかなぁ。「この世で一番面白い小説」って、きっと世界を変えてしまうポイントなんですよ。あれだ、ターニングポイント。転換点なんです。この世界を、その小説の前と後の二つに分けてしまうような、読んだらもう二度と前の世界に戻れないような、そんな線路の切り替えポイントみたいな、そういう小説なんだと私のよく当たる勘は言ってます」「なんか・・・・・怖いですね。読みたいような、読みたくないような」「私だって怖いですよ。私に何かあったら猫のエサとトイレどうしようかと不安であまりませんよ。でもきっと読んじゃうんだなぁ・・・・・」「付白さん、こらえ性ないですからね」「今を維持しようする力と変えようとする力、その矛盾する二つの性質を一緒に共有しているのが生き物なのふぉ」付白さんはエヴァの台詞を引用して格好よく語った。最後にすあまを齧らなければ完璧だった。(野崎まどさん「小説家の作り方」P111)「すあま」というのは、関西では未知の食べ物かも知れない・・・・・。
2014年01月04日
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ジュール・シュペルヴィエル「ひとさらい」を買書つんどく。澁澤龍彦さんの訳への挑戦ですね。それは、なかなか・・・・・。「貧しい親に捨てられたり放置されたりしている子供たちをさらうことで自らの「家族」を築き、威厳ある父親となったビグア大佐。だが、とある少女を新たに迎えて以来、彼の「親心」は、それとは別の感情とせめぎ合うようになり・・・・・。心優しい誘拐犯の悲哀がにじむ物語。待望の新訳!」(「BOOK」データベースより)
2014年01月03日
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私は、どうしても小説を書かなければならないのです。これから書き認めます事は、嘘のような本当の話です。私自身、未だに信じられないでいるような話です。ですが、全て本当の事なのです。どうか信じてください。私は、この世で一番面白い小説のアイデアを閃いてしまったのです。それをここに書き留める事はできません。私にはその力がありません。私には小説を書く力がありません。今の私は、この星のように煌くアイデアを、頭の中から一歩も出す事ができないのです。このアイデアを、この世で一番面白い小説の種を、私の頭の小部屋から解き放ち、一冊の本としてこの世に現出させる事こそが、私という人間の生まれた意味であると確信しております。どうか物実先生のお力をお貸し下さい。(野崎まどさん「小説家の作り方」P31)「「小説の書き方を教えていただけませんでしょうか。私は、この世で一番面白い小説のアイデアを閃いてしまったのですー」。駆け出しの作家・物実のもとに初めて来たファンレター。それは小説執筆指南の依頼だった。出向いた喫茶店にいたのは、世間知らずでどこかズレている女性・紫。先のファンレター以外全く文章を書いたことがないという紫に、物実は「小説の書き方」を指導していくがー。野崎まどが放つ渾身のミステリー・ノベル改め「ノベル・ミステリー」登場。」(「BOOK」データベースより)
2014年01月02日
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今年は、恒例の(?)しめ縄と鏡餅の写真からではなくて、歌から入ってみよう。ポケビの「DAYS」です。本年も、よろしくお願いいたします。
2014年01月01日
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