| 違いがある |
わずかに違いがある |
わずかにあるが気にするレベルでない |
ない |
|---|---|---|---|
| ひと夏経過後 |
●●●● |
● |
●● |
| ふた夏経過後 |
●●●● |
| 違いがある |
わずかに違いがある |
わずかにあるが気にするレベルでない |
ない |
|---|---|---|---|
| ひと夏経過後 |
●● |
●●● |
● ● |
| ふた夏経過後 |
●●● |
● |
ずっとリビングに保存したボトルについては、すでに、ひと夏経過後とふた夏経過後の2回検証を行ってきた。
ひと夏経過後とふた夏経過後のデータは、テイスターの人数が違ったりして、定点観測的に比べるにはやや無理があるとか、酷暑だった初年度とそれほど暑くなかった2年目の夏を同列に比べてよいのかという話もあるが、とりあえず話をシンプルにすすめるために、その辺は端折らせていただく。
まず、ひと夏経過の時点では、約半数のテイスターは「気にするレベルでない」「わずかな違い」と答えており、違いを指摘したテイスターも「常温で保存していたものよりはずっとよい」、「変化は認められるが、リビングで保存したものも十分美味しい」とコメントするなど、全般に好意的な回答が多かった。
これが、ふた夏経過後のデータになると、ほとんどすべてのテイスターが「違いがある」と指摘したように、
セラー保存のボトルとの違いは一目瞭然だった。
よって、5号の記事では、
と一定の結論づけた。
もっとも、2年経過のボトルも、時間の経過に比例して変化が大きくなっていたとはいえ、「
促成栽培を施したようなこなれた熟成感があり、フレッシュさがない代わりに旨み感が強く感じられる味わい
」
とか、「日ごろあまりワインを飲みつけていない人の中には、セラー保存のボトルよりこちらの方を美味しいと回答する人もいるかもしれない」というような、必ずしもネガティブ一辺倒の印象ではなく、それなりに許容できる範囲の変化だった。
今回検証するボトルは、さらにもうひと夏、すなわち3夏リビングで過ごしたということで、ふた夏経過後から状況が好転しているは考えにくい。よって、どの程度まで許容できる範囲におさまっているのか、あるいはもはや許容できないレベルにまで劣化してしまっているか、というところが焦点になってくるだろう。
ちなみに、実験に使わせていただいたのは徳丸編集長宅のリビングで、夏場のエアコン稼動時の温度は
25
~
26
度。日中は
比較的留守勝ちだったため、夏場 30度を超えることも少なくなかったはずだ。したがって、専業主婦や老人が同居しているなど、日中ずっとエアコンを稼動している家庭なら結果はもっと良好だった可能性は大だ。
■夏場冷蔵庫で保存したボトル
このように、ずっとリビングだけで保存しておいたボトルは、ひと夏はともかく、ふた夏経過後はかなりツライ結果になってしまった。では、夏場だけ冷蔵庫に「緊急避難」させたボトルの場合はどうだろうか?
実は「夏場冷蔵庫+それ以外の季節はリビング」のボトルについては、今まで2度(ひと夏経過直後の
11
月と、翌年3月)検証しているのだが、ふた夏経過したボトルというのははまだ検証していない。(よって、今回はこれがメインテーマとなる。)
以下に示すのは翌年3月の検証結果である。
<リビング+夏場冷蔵庫のボトル>
リビング+夏場冷蔵庫(通常室)
| 違いがある |
わずかに違いがある |
わずかにあるが気にするレベルでない |
ない |
|---|---|---|---|
| ブルゴーニュ |
●● |
●●●● ● |
|
| ボルドー |
●●● |
●● ● |
● |
リビング+夏場冷蔵庫(野菜室)
| 違いがある |
わずかに違いがある |
わずかにあるが気にするレベルでない |
ない |
|---|---|---|---|
| ブルゴーニュ |
●● |
●● ●●● |
|
| ボルドー |
●●● |
●●● |
● |
●
は、基準グラスより良好と回答したケース
冷蔵庫は、コンプレッサーの振動がよくないとか、他の食品の臭いがうつるとか、温度が低すぎるとか、湿度が低くコルクが乾燥するとか、扉の開閉による温度変化や振動がよくないとか、さまざまな理由でワインの保存には向かないと論じられがちだが、この連載においては、夏場だけの短期においても、通年の比較的長期においても、今のところこのようなリスクを肯定する結果はみられていない。(むしろ
むしろ実生活においては、ワインの緊急避難的な保存には大いに役立ちそうだ、という結果になっている。
まあ、延べ日数にすると最長1年程度しか保存していないので、これが
3
年、5年となってくるとまた違うのかもしれないが‥。)
この時の検証においても、
コンディション的には、通年でリビングに保存していたものよりは「かなり」良好であり、セラー保存のものに比べると少しばかり違いが見られるという回答が多かった。ワインの保存に関するセオリーからすれば、温度も湿度も少しばかり高く管理されている野菜室の方が状態がよくてもよさそうなものだが、上記の結果に限らず、今までの冷蔵庫を使った検証で野菜室と通常スペース
(
以下通常室と呼ぶ
)
の間に明確に違いが見られたことはない。
また、夏をすごした直後の
11
月に検証したボトルに比べると、3月に検証したボトルの方が、軽微とはいえ、変化が顕著に見られた。これは、真冬にエアコンを稼動させていたことによる温度変化の影響ではないかということになっていて、ここらあたりも今回の検証のポイントである。
■そういうわけで今回の検証
当日参加したテイスターは6名。前回同様(といってもメンバーは異なるが)私と編集部以外は酒販業の方だった。
用いた銘柄はいつものとおり、ミシェルグロの
99
ニュイサンジュルジュ(村名)と
99Ch.
タルボ。一時はすっかり閉じこんで眠たげだった両銘柄だが、だんだんと開いてきているようで、とくにブルゴーニュの方は検証というシチュエーションを抜きにして飲みたいと思わせる味わいに育っていた。タルボはもう少し時間がかかりそうだ。
ブルゴーニュ(ミシェルグロ ニュイサンジュルジュ
99
)
| 違いがある |
わずかに違いがある |
わずかにあるが気にするレベルでない |
ない |
|---|---|---|---|
| リビング+冷蔵庫の通常室で 2夏 |
●● |
●●● |
● |
| リビング+冷蔵庫の野菜室で 2夏 |
●●● |
●● |
● |
| リビングで3夏 |
●●●●●● |
| 違いがある |
わずかに違いがある |
わずかにあるが気にするレベルでない |
ない |
|---|---|---|---|
| リビング+冷蔵庫の通常室で 2夏 |
●●●● |
● |
● |
| リビング+冷蔵庫の野菜室で 2夏 |
●● |
●●● |
● |
| リビングで3夏 |
●●●●●● |
まず、夏場冷蔵庫に入れて2夏過ごしたボトルたちだが、ひと夏時点のものに比べると、さすがに変化は大きくなっていた。色調こそそれほど違いは見られないものの、香りは芳香力自体が弱く、ドライフルーツやワラのような乾いた香りやジビエ香などが主体主体になっていた。味わいは果実味はそれなりに残っているのだが、全体的に雑味が目立つようになり、中盤から後半にかけてのゆたかな広がりがなく、フラットな印象。冷蔵庫の使用により、夏の高温は避けられたにしても、秋以降リビングにおいておいたことによる温度変化の影響、それに春先や秋口にも結構高温になったりしたので、そうした影響がボディブローのようにじわじわと積み重なったのだろう。
それでもテイスターのうち、半数前後が、「わずかにある」以下の違いしか指摘しなかったことを思えば、この結果はむしろ良好な部類というべきかもしれない。前述の「2年間ずっとリビング」に保存しておいたボトルに比べれば、果実味がよく残っていたし、変化の度合いも小さかった。やむをえず、セラーなしでふた夏過ごさせるのであれば、やはり夏場は冷蔵庫に避難させるのが最低条件と言ってもよいかもしれない。
次に3夏リビングに置きっぱなしだったボトル。こちらはテイスター全員が満場一致で違いがあると指摘。回答欄に「ある」の上に、さらに「すごくある」というような項目を作ったら、おそらくそちらにマルをつけた人も多かったことだろう。まず色調からしてかなりレンガが入ってしまっている。香りは弱くなっており、ひからびたような中からリキュールや麦わらのような古酒のような香りが見られる。味わいはすっかり時計を早回ししたような味わいで、儚げになり、果実味は失われて、タンニンだけがフィニッシュに残る。セラー保存の基本ワインとは全く別モノに変化していた。
【過去記事】川島なお美さんの訃報に接し… 2022年04月13日
私のワイン履歴その2(RWGコラム拾遺集) 2021年07月17日
私のワイン履歴その1(RWGコラム拾遺集) 2021年07月16日
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