話飲徒然草(S's Wine)

話飲徒然草(S's Wine)

2022年04月13日
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「酒を1日1合飲み続けるだけでも、がんのリスクは意外に上がる」
「量にかかわらず飲酒は脳に悪影響 英研究」

少し前に、酒の健康への影響に関する記事を紹介したばかりですが、そういえば私自身、川島なお美さんが亡くなられたときに、以下のようなコラムを某誌のコラムに書いていたことを思い出しました。改めて読んでみると、飲酒に関するリスクについてはこのころからすでに同様のことが言われ続けていて、最近その声が大きくなってきたという印象です。


***************
前回、「ワインは老後の趣味にはふさわしくないのではなかろうか?」というような趣旨のコラムを書いたばかりですが、そんなところに川島なお美さんの訃報が飛び込んできました。
熱心なワイン愛好家として知られた川島なお美さん。彼女がワインエキスパート資格を取得したのは、私と同じ1999年のことでした。当時、彼女は主にアカデミー・デュバンに通っていると聞いていましたが、私が通っていた自由が丘ワインスクールの講座にも参加されたことがあって、講義終了後、熱心に講師に質問されていたのを覚えています。
 その川島なお美さんが亡くなったことには、私も大変なショックを受けました。
これまで飲んできたワインの価格やランクこそ雲泥の差かもしれませんが、飲酒の頻度や酒量については私とよい勝負でしょう。年齢的にも近いし、私自身、肺や胃に経過観察中の所見があることもあり、とても他人事とは思えません。
川島さんの死因となった「肝臓胆管がん」については、飲酒との直接的な因果関係が証明されているわけではないようですが、そうは言っても、という部分はあります。

あらためてアルコールと癌の関係についてネットで検索してみると、それこそ山ほどの記事がヒットすることに驚かされます。医学的な内容に関してあまり不正確なことを書くわけにもいかないので、詳細については読者のみなさんがご自身で調べていただければと思いますが、キーワードのように出てくるのが「一日1~2合程度(理想は1合程度)」、「飲酒と喫煙の組み合わせはよくない」「休肝日を設けるべき」といったことです。また、日本人には遺伝的にアセトアルデヒトを分解する力が弱い人が多く、そのような人が飲酒を続けるとリスクが高まるということもよく書かれています。
私の場合はどうかと言われれば、喫煙はしないのですが、休肝日については完全にアウトです。(ここ数年、休肝日は2週間に一日程度でした。)酒量については、日本酒換算でギリギリ一日2合程度というところですが、ワインの特性として一度開けてしまうと日持ちしないという問題もあり、一日1合に抑えるのはハードルが高そうです。ひと晩でボトル半分程度という酒量は、愛好家の中ではとりたてて多いほうではないと思いますが、世間的に見れば、通年単位で、ろくに休肝日もとらずに飲んでいるというのは、いわゆる「大酒飲み」に分類されてしまうようです。


もうひとつ、ネットで検索していて、背筋が寒くなるような記事を見つけました。
それは「長期にわたる多量の飲酒の習慣が認知症のリスクを高める」というものです。具体的に、一日にどのくらい飲むと何年早く脳の委縮が進行するといったデータを謳った記事もありましたが、ここでの引用は控えます。ただ、前述のように、世間的に「大酒飲み」に分類されてしまう私なぞは、やはりここでもリスクの高いグループであるようです。

前号同様、なんだか世知辛い内容になってしまいましたが、前号のコラムでも書いたように、私としては、これまで辛いときやシンドイ時に何度もワインという趣味に助けられてきましたし、十分飲酒によるプラス面も享受してきたと思うので、決してこれまでワインを飲み続けてきたことを悔いているわけではありません。しかし、いかんせんこの2~3年、野放図に飲みすぎたことは大きな反省材料です。
このままではいけない。日々そう思いつつも、かといって、ワインという趣味をバッサリと一切やめてしまう気はないし、日常的に飲酒を一切断つような覚悟や決意があるわけでもありません。
現実には、ワインという趣味との距離感を保ちながら、だんだんとペースを落としていくしかないのだろうと思いますが、では、どうやってペースを落としていくか、それが問題です。

■休肝日の定期的な取得。そのためには‥
私がまずやらなければならないこと、それは「定期的に休肝日の取得する習慣をつけること」です。
~週に四日、本数にして二本(二日で一本)に留め、残りの三日は休肝日とする。
または
~一本を三日に分けて飲み、週に四日休肝日にする。

といったあたりが落としどころかなと思っています。


・小瓶に分ける。200ml×2本と300ml瓶1本に分けるとちょうどきれいに分けられます。
全部足しても700mlにしかなりませんが、ワインの保存時はきっちり瓶口すれすれまで注ぐので、実際は表記量より20~30mlほど多く注げるのです。

・あらたなワインセーバーへの期待。
コルクを抜かずに、高級ワインを酸化させることなくバイ・ザ・グラスで楽しめる機器を開発した「コラヴァン」。コルクに針をさして、不活性ガスを注入しながらワインを吸い出すことでワインボトルのコルク(キャップのシールは付けたままでOKとのこと)に細い針を挿し、アルゴンガスを注入しながらワインを注げるようにします。ワインを注いだ後は針を抜くだけ。あたかも未開封のワインのように保存できます。ロバート・パーカーは「過去35年でワイン業界における最も画期的な発明だ」としています(パーカーは同社への出資などはおこなっていないとのこと)。

・つまみを常備しない。


うものです。

ひとつには、前号で書いたように、もっと他に打ち込めるような趣味を見つけること。ただし、新たな趣味といっても、「内なる衝動」がないとなかなか長続きするものでもないでしょう。

■日頃飲むワインの種類を見直す
実は今回の記事で書きたかったのはこのことなのです。万人にあてはまえるかどうかはわかりませんが、私は最近、最近晩酌でシャンパーニュをよく飲むようになって、ブル赤を飲む機会が相対的に減っています。
実は、これが、今後の私のワインとのつきあいの中で大きな意味合いをもつことになりそうな予感がしています。

プライス高騰が大きな理由であるのはいうまでもありませんが、それ以外にも、
・アルコール度(12%)の点で自分好みだったり、
・さまざまな食事に合わせやすい。
・炭酸のおかげで、腹が膨れる。(あまり量を飲まなくても満足できる)
・品質が比較的均質化されている、ブルゴーニュで出くわすような馬小屋臭がしたり、泥水みたいだったり、枯れてスカスカだったりというようなボトルにあまり出会わないのも利点だと感じています。そう思うと、小規模ドメーヌによる手製&農作物的要素の強い多いブルゴーニュワインは、アルコール飲料としては、甚だ不完全な飲み物だよなぁと今更ながらに思います。
まあシャンパーニュもこのご時世結構なお値段なので、日常的に飲み続けるというわけにもいきませんがね。

■シャンパーニュを飲み始めてあらためて思うこと
こうしてシャンパーニュに凝り始めてみると、今までなんて「もったいない」ことをしていたのだろうと悔やむことがあります。
それは、今まで数多くのワイン会に出席してきて、参加者のみなさんからそれこそめくるめくような絢爛たるシャンパーニュの銘柄たちをご馳走になってきたのにもかかわらず、私自身の興味の対象から外れいてたため、「のんべんだらりと飲んでいた」り、単なるスターターとしての扱いしかしてこなかったことです。
僻地で作られる無名生産者のムニエばかりのセットを飲んで、シャンパーニュって大したことないよね、といいっていた時期もありました。

もうひとつは、せめてもう少し基本的な知識を身に着けて飲んでいればこんなに遠回りをしないですんだのだろうな、ということ。
日頃、ワイン初心者に対して言っていることが、そのままシャンパーニュ初心者の自分に当てはまってしまうから、なんとも笑えます。



ただ、飲み続けるには難しい面もあります。
・価格レンジが高いこと。
・保存性という面では、翌日は全く問題ないと思っていますが、「小瓶に移す」という芸当ができないことから、ついつい初日に飲みすぎてしまいます。
・状態管理の面でも、あまりコンディションのよくないボトルにあたる可能性も少なくなさそうです。これなどはかつて「脱酸素パック」に入れ込んでいた身からすれば、本来酸素が流入しない(炭酸ガスが瓶内に満たされているため)シャンパーニュが劣化するというのは理屈がつかないことであり、温度以外に「光」の要因。温度についてはどうなのか?
・具体的にはポリフェノールやリスベラトロールといった成分による、いわゆる「健康酒」としてのワインの効能については、赤ワインの方が好ましい。
・夏場はよいが冬場になってくると、習慣的に赤ワインの方が恋しくなってくる。(クリスマスと正月を除く)

とはいえ、前後からずっとワインという趣味に対してネガティブな視点で書き続けてきましたが、ここにきて、シャンパーニュとの新たな出会いが、また別のワインライフを切り開いてくれるかもしれないなと思い始めています。
前に書いた休肝日との兼ね合いでいえば、一週間のうち3日間ノンアルコール日を作り、残りの四日については、主にブルゴーニュを中心とした赤ワインとシャンパーニュ(や白ワイン)とのローテーションにするという方法もあります。

文末になりましたが、あらためて川島なお美さんのご冥福をお祈りします。





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Last updated  2022年04月13日 19時00分05秒
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shuz1127 @ Re[1]:Ch.リヴェルサン2018(10/16) Henryさんへ おお、オーメドックいろいろ…
Henry@ Re:Ch.リヴェルサン2018(10/16) 私も最近、オー・メドックを愛飲してます…
shuz1127 @ Re[1]:家族でトゥールダルジャン(09/25) Henryさんへ こんにちは。グランメゾンに…
Henry@ Re:家族でトゥールダルジャン(09/25) 大変貴重な現地レポートありがとうござい…
shuz@ Re[1]:今になって新型コロナ感染(8日目)1週間ぶり出社(04/25) うまいーちさんへ お久しぶりです。コメ…
うまいーち @ Re:今になって新型コロナ感染(8日目)1週間ぶり出社(04/25) コロナですか。お大事に。 私もなりました…

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