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2012.01.02
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カテゴリ: 経済
 日本にも住んだことのあるカレ・ラースン氏が「ウォール街を占拠せよ」という呼びかけを発したが・・・・
日本の潜在能力を高く評価するラースン氏にとってはしょぼんとして見える日本が、私にはなさけない気がするのです。

元旦の朝日からラースン氏へのインタビューを紹介します。
(デジタル朝日では記事が見えないので、新聞から転記するしかないのです)


<カオスの深淵「ウォール街占拠の仕掛け人」>

カレ・ラースン

 ニューヨークから各地へ広がった反格差社会運動「ウォール街を占拠せよ」。米国中心の経済システムのゆがみを世界に印象づけ、各国の若者たちが共鳴の声を上げた。指導者はいない。組織もない。「正体のつかみにくい運動」と言われたが、仕掛け人はいる。カナダの雑誌発行人カレ・ラースン氏(69)だ。「成長一辺倒の米国型の経済モデルが行き詰まり、格差が目に余るようになったから、占拠運動が広い支持を得た」と話し、第2弾の運動を構想している。

―あなたの提唱した「米ウォール街占拠」に共鳴して、新年を公園や大学構内で迎えた若者もいます。ところが肝心のウォール街では警察に解散させられ、冬を越せなかった。落胆していますか。

A:とんでもない。私にとっては大成功です。最盛期には世界1千ヶ所を若者が占拠しました。これほど広範な共感を得られて落胆するわけがない。
 もともと私は越冬せよと訴えるつもりもなかった。発行している雑誌『アドバスターズ』と自社サイトで「ウォール街を占拠せよ。9月17日決行、テント持参のこと」と呼びかけただけ。多くの人々がモヤモヤと感じていた不公平感に私の呼びかけが火をつけ、燃え広がったのだと受け止めています。

(中略)
―キャッチコピーの「私たちは99%だ」はだれが考え出したのですか。

A:ニューヨーク在住のある大学教員が考案しました。ウォール街占拠の立ち上げに加わった男性です。1%の大金持ちが富を独占していることを鋭く突いた言葉で、世界中の人々の格差感を端的に表現してくれました。社会運動史に残る名作だと思います。

―今後、占拠運動はどこへ。

A:春になったらまた新しい仕掛けをしていきます。まず「ロビン・フッド税」の実現が目標です。お金を右から左へ動かすだけの投機的な国際取引に対する課税で、それには、投機的な取引の本山である米国を巻き込まないと効き目がありません。欧州には賛成するリーダーが多い。かたくなに反対しているのは米国と英国。12年は米国は大統領選の年なので、米国の世論を揺さぶれば実現できるかもしれません。

(中略)
―発行している『アドバスターズ』はどんな雑誌ですか。

A:商業広告を退治しようと呼びかける隔月刊誌です。毎号約9万部発行でしたが、占拠が話題になって12万部に増えました。創刊したのは20年以上前、米国流の広告が世の中をおかしくしていると訴えるためでした。

―なぜ広告を敵視するのですか。

A:敵視はしていません。消費者をおかしくする商業広告と闘うために、反広告という名の、これまた広告を作ってきたのが私ですから。おかしいと訴えてきたのは、テレビに広告を流す権利が営利企業に独占されてしまっていることです。かって、30秒ほどのドキュメンタリー風の意見広告をオンエアしようと、各国のテレビ局と交渉しました。日本ではTBSを訪ねて「ノーバイ・デイ(無買日)」の趣旨を説明したが、広告放映を断られました。カナダでは森林破壊の実態を伝える広告をCBCに拒まれた。公共の電波が企業に握られている実態を悟りました。広告に対抗するには広告しかない。

(中略)
―母国エストニアはどんな国でしたか。

A:独立は1991年。私が生まれた時は旧ソ連の支配下にありました。デモなど打てば逮捕される国でした。両親とともに難民としてドイツへ逃れたのですが、意見を封殺するものへの反発は幼少期に覚えたと思います。

―日本に住まれたと聞きました。

A:60年代半ばから10年近く東京におりました。豪州の大学を終えて、23歳で欧州へ向かう船旅の途中、日本が気に入ってしまいました。三重県四日市港で下船すると、小学生が僕を見て「ガイジンだ」と叫ぶ。泊まっていた安宿へ友達を連れて見に来るほど。「これほど外界と隔絶した国があるのか」と驚きました。一方で経済発展はすさまじい。通産省がぐいぐい産業界を引っ張って、輸出力を高めていく。学生運動にも力がみなぎっていた。国全体がダイナミックで、その異世界ぶりが面白くて住み着きました。北海道・登別出身の妻とも出会いましたし。

―日本ではどんな仕事を。

A:最初は東京で市場調査の会社を起こしました。その後はドキュメンタリー制作に転じました。テーマは、日本企業の急成長の秘訣とか、女性が職場や家庭で低い位置に置かれている問題とか。交番のお巡りさんとヤクザの親分に取材して、治安の裏表を描いたこともあります。子供の塾通いも撮りました。驚きの連続でしたね。

―日本でもウォール街に呼応したデモがあったが、小規模でした。大人も若者も元気がないと言われます。

A:いまの日本はしょぼんとして見えるが、元来ものすごく創造性豊かな国だと思います。米国主導の経済モデルに取って代わるものを打ち出せるとしたら、おそらく日本しかない。経済成長が永遠に続くと思い込んできた米国中心のシステムはもうダメになった。米国の衰退は誰の目にも明らか。欧州債務危機を見てもわかるとおり、G8とかG20とか世界の主要国がやっているのはしょせん対症療法です。

―新経済モデルの構築を日本に期待するのはなぜですか。

A:成長一辺倒モデルの限界を世界で最も早く体感した国だからです。高度成長をへて、バブル崩壊と20年の停滞。日本の困難を欧州や米国は遅れて経験しているのです。いま求められているのは壮大な構想力。経済成長が止まった後にどう経済を持続させられるか。解を日本が見つけてくれたら、若者が公園を占拠する必要はもうなくなります。

<取材を終えて>
 ラースン氏の雑誌社は、築100年の古民家の地下室でした。地元カナダでも無名の雑誌ですが、「ウォール街を占拠せよ」というキャッチコピー1本で五大陸の若者を引きつけ、デモに駆り立てました。よく練られた言葉が、時を得ると、世界の潮流すら変えてしまう。近年これほどの動員力を持った言葉をほかに知りません。

商業広告を退治しようと呼びかける隔月刊誌『アドバスターズ』を発行するなど・・・・
それから、ロビン・フッド税実現を目指すなど、経済の本質がわかっているんでしょうね。
それにしても、ラディカルな人である。



ウォール街を占拠せよ より
<発端>
 2011年7月、カナダの雑誌アドバスターズの創始者カレ・ラースンが金融機関や政界に対して抗議の意志を表明するために、金融界の象徴といえるウォール街での行進やニューヨーク証券取引所前での座り込みなどを行い、ウォール街を数ヶ月占拠するというデモ活動を呼びかけ、2万人を目標として賛同者を募り始める。告知のためウェブサイトを開設し、TwitterやSNSサイトなどを通じて活動内容が広められていった。ラースン自身は、当初は保守派によるティーパーティー運動に対抗する意図があったと述べている。同年8月にはハッキング活動で有名なアノニマスがこれに賛同し、デモ活動へ参加するよう呼びかけた。
 ラースンはこの活動がアメリカだけでなく、チュニジアから始まった抗議活動が北アフリカに広まったアラブの春と同様、世界中で起こるべきであり、また2011年8月に起こったイギリス暴動とは違う、平和的な抗議活動にするべきという考えだとされる。


国際連帯税をはばむものとは?





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Last updated  2012.01.03 09:18:34
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