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2013.04.20
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カテゴリ: 自然・環境
図書館で「タネが危ない」という本を借りたのは、モンサント社が売っているF1タネのいかがわしさが糾弾されているのではないかと言う理由だったが・・・・
絶滅に瀕している固定種タネとか、ミツバチ大量死の原因とか、予期しない知見にふれたのです。
特に第5章「ミツバチはなぜ消えたのか」で著者が提起する疑義には驚いたが・・・
この本は、F1タネと固定種タネにまで、大使の関心を誘うのであった。

第5章の一部を紹介します。

<ミツバチはなぜ消えたのか>p117~143
 ミツバチは雄性不稔の花の蜜を集めている。その密で次代の女王バチやオスバチを育てる。この密とは何だろうか。蜜の糖はタンパクとは違う。糖を食べてミツバチの体質が変わったり、生殖能力が落ちるようなことはあるのか。このことを調べようとしても、書いてある本はなかった。
 巣箱にいる2万~5万のハチはほとんどがメスの働きバチで、繁殖能力はない。このメスバチたちが次の世代を育てている。メスバチたちを統括しているのは女王バチである。女王バチは1日に1500の卵を産む。大半はメスの働きバチになり、一部に次の女王バチとオスバチが5~10匹生まれるという。
 特別大きな部屋(王台)の中で、女王バチは次の女王バチの卵を産む。幼虫が育つと、働きバチはタンパク質が主成分であるローヤルゼリーを与え、幼虫は女王バチになる。同時に、オスバチが何匹か生まれるのだが、このオスバチは自分の巣の女王バチとは交尾しない。未受精卵から生まれるオスバチは、ミトコンドリア遺伝子だけでなく、核の遺伝子も女王バチの遺伝子しか持たないから、近親婚を回避する力が働いているのだろう。
(中略)
 ミツバチの進化は、百万年以上前に完成しているのだという。百万年以上ずっと子孫の繁栄のために無償の奉仕を続けてきた働きバチたちが、1960年代に小規模に一度、2006年冬と2007年冬の2年間に、それぞれ全米で240万群という巣箱から、3割以上のハチが消えてしまったというのだ。百万年耐えることなく受け継がれてきた本能を、覆す何かがこの数10年に起こっている。それはいったいなんなのだろう。
 日本では、ネオニコチノイドという新農法によるものという説が一般的である。しかし、ネオニコチノイドは1960年代にはなかった。日本で起こっているのは、外で農薬を舐めた働きバチが、巣に帰る途中や巣のまわりでバタバタと地面に落ち、ベロを出したままで死んでしまう現象で、これは確かにネオニコチノイドによる農薬被害だろう。しかしアメリカやヨーロッパで起こったCCD(蜂群崩壊症候群)は、巣箱のミツバチのほとんどが女王バチと数匹のハチを残して突然いなくなり、死体がどこにも見つからない現象だというのだから、日本で起こっている現象とは明らかに違う。
 ベストセラーになったジェイコブセンの『ハチはなぜ大量死したのか』では、CCDの原因説として。
1 ヘギイタダニ説
2 ハチのエイズ説
3 携帯電話の電磁波説
4 遺伝子組み換え作物説
5 地球温暖化説
6 イスラエル急性麻痺症ウィルス説
7 ノゼマ病菌説
8 ネオニコチノイド説
9 抗生物質説
10 単一作物ストレス説

 など数々の可能性を検証している。しかし、どれも「ミツバチから集団としての知性が失われたような」巣を見捨てていなくなる原因には直結せず、環境汚染も含めた「複合的な原因」ということで、犯人探しはストップしてしまっている。本書をここまで読まれてきた読者だったら、「何か忘れていませんか」と思わないだろうか。
 ミツバチが消えた季節は、晩秋から早春のようだ。女王バチと巣の半分の働きバチたちは、分封(巣別れ)準備を始めるころにあたる。数万匹の働きバチたちは、役目を終えて巣から解放され、飛び立ったのだろうか。いや、古い女王バチが分封しても、新しい女王バチは交尾後、生まれた巣に戻り、新しい卵を産み続けるのだから、彼女ら働きバチたちの育児という役目は終わっていないはずだ。では、なぜ?
(中略)
 僕は20年後に起こる事態を待っていられない。というのも、今、世の中の園芸食物がすべてと言っていいほど雄性不稔化に向かって進んでいるからだ。玉ネギ、ニンジン、トウモロコシ、ネギ、大根、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、白菜、シシトウ、ピーマン、ナス、オクラ、シュンギク、レタス、インゲンといった野菜ばかりではない。ハイブリッドライスと呼ばれるコメをはじめ、砂糖の原料のテンサイ、油糧用や観賞用のヒマワリ、花粉症対策として広まりつつあるスギ、ありとあらゆる園芸植物が効率の良いF1化=雄性不稔化されつつある。健康な生命体から、ミトコンドリア異常という生命エネルギーに欠損があって子孫を生み出せない植物に変わりつつあるのだ。
 もし雄性不稔の蜜や花粉を餌に育ったミツバチが無精子症になっているとしたら、ミツバチで起こったことは、同じ動物である人間にもきっと起こるだろう。そのとき世界中の食糧作物がみんな雄性不稔になっていたら、取り返しがつかないのだ。



【タネが危ない】
タネ

野口勲著、日本経済新聞出版社、2011年刊

<「BOOK」データベースより>
手塚治虫『火の鳥』初代担当編集者となり、我が国で唯一、固定種タネのみを扱う種苗店三代目主人が、世界の農業を席巻するF1(一代雑種)技術が抱えるリスクを指摘、自家採種をし、伝統野菜を守り育てる大切さを訴える。
【目次】
第1章 タネ屋三代目、手塚慢画担当に/第2章 すべてはミトコンドリアの釆配/第3章 消えゆく固定種 席巻するF1/第4章 F1はこうして作られる/第5章 ミツバチはなぜ消えたのか(2007年に起こったミツバチの消滅現象/F1のタネ採りに使われているミツバチほか)

<大使寸評>
席巻するF1に対して固定種の消滅が危惧される潮流のなかで・・・
日本が取り組むタネとモンサントの取り組むタネについて、どう違うのか?考えてみたいと思い、この本を借りたわけです。

時代遅れと言われようと固定種のタネにこだわる野口さんであるが・・・
周回遅れでもオンリーワンで世界のトップに立っていたという時が、もうすぐ見えるような気がするのです。

rakuten タネが危ない


自然破壊にみる政府の「不思議な理屈」を池田教授が指摘 によれば・・・
最近亡くなられた久志富士男さんは、ネオニコチノイド系の農薬が昆虫減少の最大の原因だという。
そして去年、米科学誌「サイエンス」にネオニコチノイド系農薬がミツバチの帰巣能力を阻害するとの論文が出て、久志さんの年来の主張が裏付けられたそうです。



新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす
農薬

<「もうひとつの安全神話」指摘:福岡伸一>
ミツバチの大量失踪。謎の異常現象が2000年代後半から世界的に顕在化してきた。ウイルス、ダニ、環境変動など様々な要因が取り沙汰された。
 そんな中、いまひとつの物質名が浮上しつつある。ネオニコチノイド。害虫には卓効、人間には無害。少量で効き目が持続するから減農薬になる。画期的な新農薬として日本では水田に大量散布されるようになった。著者はこれを、企業、政府、農協、あるいは食の問題に敏感なはずの生協でさえもが参加して作り上げた「もうひとつの安全神話」だと指摘する。
 効果が持続するがゆえに中長期的な影響こそが問題なのだ。実験データはこう告げる。致死量以下でも、ネオニコチノイドを浴びたハチは神経を侵され巣に帰らなくなると。
 自然は動的平衡の網目からなりたつ。ひずみは全体に伝播(でんぱ)する。ゆっくり時間をかけて。これは想定外の事象でない。私たちは意識の警戒レベルを上げなければならない。

水野玲子著、七つ森書館、2012年刊

<「BOOK」データベースより>
2009年、日本全国の2億匹のミツバチが死んだ―その原因とされるのが、フランスでは禁止されながら「ネオニコチノイド安全神話」により、日本では10年で3倍に増加した新農薬だ。ネオニコチノイドは、人間への神経毒性があり、子どもたちの未来をも脅かす。NPO法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議(JEPA)、およびNPO法人化学物質による大気汚染から健康を守る会(VOC研)理事をつとめる著者が、最新データをもとにその危険性を追及する。

<大使寸評>
ミツバチの大量失踪は聞き捨てない事態だと思っていたが・・・・
福岡伸一さんの推す本となれば、見過ごせない訳です。

rakuten 新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす


農薬に関しては、農協や農水省の利権がからむ問題であるが、地球的視点で考えるべきなんでしょうね。

アメリカ的な農法なんかを根本的に見直さないかぎり・・・ミツバチは本当にいなくなるかもしれないのです。

ミツバチのいない世界とは?・・・


アフリカで無償のジャポニカを普及させる日本人がいるそうだが・・・モンサントのGM作物とは対極の思想が見られます。
「タネが危ない」については 気になる本11 で、より多く紹介しています。





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Last updated  2013.04.22 10:51:59
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