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2016.08.14
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カテゴリ: 気になる本
<『帝国日本の生活空間』>

著者の切り口が奇抜とさえ言えるわけで・・・・植民地的レイシズムなどと堅いことをいわなければ、面白いかも♪



日本

ジョルダン・サンド著、岩波書店、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
上流階級の「洋館」生活を売り物にした大衆メディア、「味の素」(グルタミン酸ナトリウム)の世界への普及、バンガロー式住宅の移入、「文化生活」言説と「文化住宅」、床座と椅子座の交差と籐椅子の伝播、海外植民地から帝都東京への「内地観光」など、知識、もの、人の流通回路を通じて、帝国が引き起こしていた不平等な出会いと差異の構造を明らかにする意欲的論考集。

<読む前の大使寸評>
著者の切り口が奇抜とさえ言えるわけで・・・・植民地的レイシズムなどと堅いことをいわなければ、面白いかも♪

<図書館予約:(8/08予約、8/12受取)>

rakuten 帝国日本の生活空間


大使にとって土地勘があるということで・・・・
植民地朝鮮での文化住宅を見てみましょう。
p174~180
<植民地における文化>より
 1922年6月末に出版された『朝鮮の建築』の創刊号は文化生活と文化住宅の特集を組んだ。編集者の巻頭言では新たな朝鮮建築会の使命を「内鮮の文化的生活改善と共に気候風土に適応せる住宅建築の普及」にあると掲げた。この巻頭言に続いて、東京帝国大学の歴史学者である黒板勝美が京城公会堂で「文化と建築」と題して講演した。同会結成講演会の記録がある。

 同号は文化生活とバンガローに関する記事も掲載しており、『アメリカン・アーキテクト』誌から引用したバンガロー2棟の設計と建設費用の完全な明細もそのまま転載している。3年後、朝鮮建築会は文化住宅研究委員会を設け、京城郊外の土地を将来の文化村建設のためにいくつか調査した。

 内地と同様、文化住宅という呼称は、建築家が設計し雑誌に掲載した住宅には限られなかった。大衆の言説では、擁護者によって使われたときは肯定的なものの印として、批判や嘲笑を受けるときには否定的なものの印として、どんな新住宅でも新奇な特徴があれば文化住宅と呼ばれた。

 植民地朝鮮では、西洋の建築様式の徴に加えて二階があることが文化住宅の基本的な基準だったようである。これは内地でも同様であったが、朝鮮半島ではより強く主張されたようだ。それまでの朝鮮の都市では、日本の都市に比べ二階以上の建物が少なかったためだろう。京城の住宅地の多くでは、1920年代になっても萱葺き平屋建ての住宅しかなかった。

 文化住宅の文化的な含意には、内地でも流行していた核家族世帯と夫婦愛という連想を含んでいる。内地でも植民地でも、郊外の小さな専用住宅という理念が、とくに複数世代家族の負担から逃れようとする若い夫婦にとって魅力的だった。日本と朝鮮双方の主唱者が、自国の「家族制度」を改革する必要を語った。

 建築的に見れば、デザインの語彙とその含意の幅もまた内地と同様だった。つまり朝鮮のムンファジュテクも日常生活上の要求にまつわる空間を合理化することが期待され、単なる流行を理由とせずに西洋の手本を採用したのである。

 主唱者は世界中から最良の特徴を採り入れれば、世界的なものを効果的に土着化できるものと信じていた。日本の一部の論者と同様、朝鮮の知識人も安価で自国の住居と類似しているとみなしたバンガローを適応させることを提案した。また、朝鮮の気候への合理的な適応でもあり民族的な誇りでもあったオンドルの維持を求めた。

 しかし、京城郊外の新たな「文化村」計画は、内地と植民地の経験の間に横たわる深い溝を示している。1922年平和博覧会の上野「文化村」建設の後、「文化村」と呼ばれた新たな開発がいくつか東京やその他内地の都市の郊外に出現した。

 鉄道会社やその他民間開発業者がこうした住宅地を建設した。鉄道資本が農地を取得し、そこにホワイトカラーの通勤者という新たな居住者が住み、長く維持されてきた農村を圧倒するという過程は、一種の植民地化ではあった。
(中略)

 しかし、内地諸都市の郊外における「植民者」の状況は、朝鮮における内地人の状況とは根本的に異なっていた。朝鮮では総督府が直接、内地人の居住を目的とした原居住者からの土地強制買収に関与していたからである。

 国策会社である東洋拓殖会社によって、朝鮮半島全域の農地が日本人の手許に移転させられたことの都会版が、京城周辺の新たな「文化村」開発にみてとれる。たとえば旧城壁の西に位置する新堂里の桜ヶ丘郊外住宅地は、土幕民と呼ばれる小屋住まいの都市流入民の大規模な集住地があった場所に建設された(図21)。東洋拓殖会社はこの土地の権利を略取し、1931年に現状の住民に対処し土地を管理するため朝鮮都市経営会社という子会社を設立した。京畿道警察部は住民を立ち退かせ、反抗者に対しては武力をもって鎮圧した。
土幕民
(図21)土幕民住居

(中略)
 朝鮮の場合、世界文化的な近代性を指し示す日常品や流行だけでなく、グローバルな近代性という理念自体が舶来品であった。衛生運動、また伝統的な髪型や服装への規制のように帝国の警察権力が「近代」を押し付けた場合もあった。そうでない場合も近代性は、すでに日本のメディアを通じて日本人によって仕立てられて到来したのである。






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Last updated  2016.08.14 22:11:41
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