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2017.02.24
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カテゴリ: アート
図書館で宮崎駿著『折り返し点』という分厚い本を手にしたのです。
宮崎さんの近作『風立ちぬ』は、かなりジジ臭くて子ども向きではなくてがっかりしたが・・・
『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』を生んだ栄光の時代を回顧するのも一興かと思うのです♪



宮崎

宮崎駿著、岩波書店、2008年刊

<「BOOK」データベース>より
『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』から最新作『崖の上のポニョ』までー企画書、エッセイ、インタビュー、対談、講演、直筆の手紙など60本余を一挙収録。宮崎駿12年間にわたる思想の軌跡。

<読む前の大使寸評>
近作『風立ちぬ』は、かなりジジ臭くて子ども向きではなくてがっかりしたが・・・
『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』を生んだ栄光の時代を回顧するのも一興かと思うのです♪

rakuten 折り返し点


シトロエンシトロエン2CV

宮崎さんの自然観を見てみましょう。
p202~205
<自然に対して礼儀をもってつきあう>
Q:今回の特集のテーマは「自然」なんです。いままでのお話も当然かかわりますが、自然環境や地球規模の現在をどう見ていらっしゃいますか

宮崎: ぼくはみんながすでにいっていることしかいえないですよ。そのなかで、どういうふうに生きるかということを自分なりに結論を出さなきゃいけないと思っています。いまつくってる映画のテーマもそうですし、『ナウシカ』という作品もそうでしたけれども、そういうのは人間のもっている根本的なジレンマだと思うんです。バランスのとれた農業をやっているように見えていても、じつは自然を収奪しているんですよね。農耕を始めたときから、こうなってしまう運命が決まったといっていい。

Q:火をもったときから、というふうにもいわれますね

宮崎: 農耕をやめたとしても、狩猟民だと地球上で400万人しか生きられないらしいですね。
 だから、ぼくらができることはなんなんだろうって考えていくと、やっぱりぼくは自然に対する一種の礼儀作法、日常のつきあいだと思ってるんです。

 自然環境が、たとえば過去はすばらしくていまが最悪になったという考え方は間違いだと思うんです。なんでそんなこと思うようになったかといいますと、自分が散歩していくところに八国山という山があるんですよ。それは狭山丘陵のいちばん外れなんですが、そこはその丘の上に立つと、昔は八国見える、相模の国とか武蔵の国とかの国が全部で八国見えるから八国山といわれるようになった所なんです。

 だけどいまは雑木林に覆われていて、まわりはなにも見えないんですよ。だから鎌倉時代にはつんつるてんだったんでしょうね。そこに将軍塚という、仁田義貞が群馬から押し寄せてきたときに、源氏の白旗を立てたという場所もあるのですが、雑木林なんかに旗立てたって見えやしないですからね。そうすると、この丘は、人間によって何度も焼き払われたり、畑になったり、また木が植わったり、刈り取られたり、延々とやってきた山だというふうに思うんです。つまり、人間の手の届く範囲は相当めちゃくちゃやっていたんじゃないかと思うんですね。相当前からかなり乱暴に切るものは切ってたんじゃないかという気がしてきたんです。

 この前、新聞にある人が書いてましたけど、絵巻物の絵をずっと調べて絵巻に出てくる風景を見ると、里のすぐそばまで原生林が押し寄せてるような自然観というのはうそなんだそうです。日本人が草木を大事にしたというのはうそでね、相当切ってるぞって書いてありました。雑木林のある関東地方の、二次林の風景が人口的にできて、安定したのは明治の中頃から昭和の初めにかけてなんじゃないかと。つまり、雑木林の薪や炭が、商品として値打ちをもってきたから、植生を人口的に持続しようとなったんじゃないかというふうな仮説が書いてありまして、ぼくは自分の八国山体験からすると、それは正しいんじゃないかなという気がしているんですよ。

 人間は生死のぎりぎりで生きてきたわけですから、自然に対してそんなにやさしくなかっただろうと思う。ぼくらが直面している問題というのは、じつは何度も何度も直面してきたんだと思う。

Q:ヨーロッパの国なんかみんなそうですものね。日本に比べれば、スペインにしてもはるかに緑が少ない。牧場と畑、あとは砂漠ですよね。

宮崎: ですから、自然とどういうふうにつきあうか、どれだけのリスクを自分たちが払うかということですね。全面的にディープ・エコロジストになって、自然のなかに入って幸せになれるっていったって、幸せにならないですよ。縄文時代の人が、みんな幸せだったかというと、違うでしょ。だってお釈迦様が生きた時代でも、キリストが生きた時代でも、なぜ人間はかくも苦しまなければいけないんだといって世界的宗教が生まれたんですから。ずっと繰り返してきたことなんですよ。

 ついこの間まで平和だったんです。日本は。なぜかというと、右肩上がりの経済成長のせいで、なんとなく楽天的だったんです。危機に瀕しながら、周りの自然をぶっ壊して、やばいと思って、なんとか持ち直した国もあるし、そのままだめになった国もある。そういうことをやってきたのが人類なんだと思ったほうがいいですね。

 それが世界的規模になったから簡単に解決はつかないけれども、でもじつは根本的解決はついてきたためしがないんだとわかれば、逆にいうとやりようがあるんです。礼儀として近所の川を少しぐらい掃除しようとか、木を全部切っちゃうのやめて、柿の実も全部取るんじゃなくて、これは鳥が食うぶんだと、半分は残しておくとかね、そういうふうに具体的に思ったほうがいいと思うんですよ。世界の運命はと悩み始めても、解決なんかつかないんです。だって、お釈迦様も悩み、孔子も悩み、親鸞も悩み、みんな悩んで、たぶんこれからも悩み続けるんですよ。だから自分の能力に合わせて悩みながら(笑)。

Q:それはニヒリズムといってよいのですか、楽天主義ですか

宮崎: 堀田善衛さんは「透明なニヒリズム」という言葉を使っていました。でも、やけくそでいっているんじゃなくて、そういう生き方ができて、感動したりやさしい気持ちになれたりして生きられたら、それは最高じゃないでっすか。ぼくは、炭酸ガス税を払ってもいいから、自分は最後まで自動車に乗り続けるっていい張ってる人間ですが、一方でこの木は残すとか、トトロ基金に少しはお金出しましょうとか、このスタジオをデザインするとき、駐車スペースを削っても木を増やそうとか、そうやって残りを生きていくつもりです。


『折り返し点』1
『折り返し点』2





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Last updated  2017.02.24 00:15:45
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