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2024.11.24
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『疑史世界伝』という本を、手にしたのです。
おお 清水義範さんのパスティーシュ短編集ではないか♪
フェイクが混じるかもしれないが、軽く読み飛ばす分には許されるだろう♪・・・ということでチョイスしたのです。




清水義範著、集英社、2007年刊

<「BOOK」データベース>より
ソクラテスとオリンピックの意外な関係(「戦場のソクラテス」)、超スピードで語り尽くす中国三千年の歴史(「あわただ史記」前編・後編)、あの十字軍遠征をイスラム社会側から見てみると…?(「フランクが来た」)などなど、おもしろ世界史短編全19編。

<読む前の大使寸評>
おお 清水義範さんのパスティーシュ短編集ではないか♪
フェイクが混じるかもしれないが、軽く読み飛ばす分には許されるだろう♪・・・ということでチョイスしたのです。

rakuten 疑史世界伝


「中国三千年の歴史の後半」が語られているあたりを、見てみましょう。
宋と金とに分裂して戦っていた時代の史記なんですが。
p267~271
<あわただ史記・後編>
 やれって言われりゃなんとかやってみるけれど、中国三千年の歴史の後半を、原稿用紙30枚にまとめるってのは暴挙だよなあ。前半では、唐が滅んだところまでを語った。それって10世紀の初頭のことだよ。そこからあと千年分を語らなきゃいけないのだよ。
 千年を30枚ってことは、計算してみたら1年分を12字で書かなきゃいけないわけなんだが、やめよう、そんな計算をして愚痴をこぼしているからそれだけでもう10年分ぐらい使っちゃったじゃないか。

 中国の歴史だけを語ろう。
 さて黄巣の乱がきっかけとなって唐は907年に滅びたのだが、すぐさまそれに代わる大きな王朝が始まるわけではない。50年ばかりの間、華北では王朝が五つ入れ替わり、そしてそのほかには小国が十ばかり乱立した時代があったのだ。その50年あまりを、五代十国の時代、という。

 華北の五つの王朝を順に並べると、後梁、後唐、後晋、後漢、後周である。地方政権である十国の名は省略しよう。とにかく、互いに戦いに明け暮れ、次々に王朝が入れ替わる争乱の時代だったのだ。
 そうしてようやく960年になって、趙匡胤が後周を倒して、宋を建国したのである。趙は初代皇帝となり、太祖と呼ばれる。

 宋の時代は、新しい社会システムが作られた時代である。宋は、唐などにくらべると、国を外に向かって広げていくだけの国力を持たず、かろうじて現状を守るのが精いっぱいという王朝だった。中国東北地方に遼(契丹)という別の王朝があったが、これを倒して全中国を平定することはできず、条約を結んで並立していたくらいだ。

 しかし一方では、国内を整備し、学問を盛んにし、芸術も花開いた。三大発明として知られる火薬、羅針盤、印刷術の発明は宋代のものとされているのだ。
 宋では、中央集権的な官僚の支配システムがつくられ、軍制も整備され、道路網も完備されていった。科挙の制度はますます重要なものになり、学校教育の初歩のものが始まったと言ってもいい。

 芸術のほうを見れば、庭園の造営が盛んになり、絵画では、山水画や文人画が発達した。
 だから宋は決して弱小王朝だったわけではない。日本の平清盛は大いに日宋貿易をしたぐらいである。
 だが北方に悩みの種を抱えているのが宋であった。遼のほかに、ウイグル地方にも西夏という王朝ができたが、討伐することはできなかった。
(中略)

 かつて5世紀に、五胡十六国時代の後、北に北魏、南に宋があって並行する時代があり、6世紀末に隋によって統一されるまで分裂していた頃を南北朝時代と言っていた。今、12世紀になって、北に金、南に南宋のある時代もまた、もうひとつの南北朝時代と言うべきかもしれない。

 南宋は、宰相たちの時代である。それはつまり、皇帝たちの権力が弱かったということである。初代の高宗にしても、正式な譲位なしにどさくさにまぎれて帝位についているので、正当性に疑問を持たれていたのだ。そんな中で、なんとかふんばって南宋を成立させたのである。南宋のほうが米がよく稔る豊かな土地だったことが幸いしたのだ。





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Last updated  2024.11.24 00:04:44
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