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2007.07.27
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カテゴリ: Essay
靖国神社参拝そのものについては、アメリカはこれまでほとんど問題にしてこなかった。だが、今回のフクヤマの主張から予見できることは、アメリカは必要とあれば、これまで何も言わなかったことについても、問題点の「萌芽」を見つけだし、すばやく批判や攻撃をしかけてくる可能性があるということだ。遊就館の主張は日本の中でもかなり特異なものだ。だが、それについてフクヤマは「日本の20世紀の歴史に関して、遊就館の主張に代わる見解を提示している博物館はどこにもない」ことを論拠に、「歴代政府は、靖国神社は民間の宗教法人であるとの理由から、遊就館で主張されている歴史見解に対して政府には何ら責任がないと主張してきたが、そうした態度は説得力に欠ける」としている。そのうえで、フクヤマは、遊就館展示に見られるような日本のナショナリストの主張が、「日本にとって重要な同盟国であるアメリカにも複雑な思いをさせている」と述べるのだ。それは慰安婦決議案を採択した際に下院外交委員会ラントス委員長が表明した、「当惑」と共通する感情だ。

慰安婦問題が人権問題だなどという主張は、もちろんただのベールに過ぎない。少なくとも日本人の保守派にはそう映る。人権問題ならば、より深刻で現在進行中の人権問題が世界にはいくらでもある。中国系の団体から突出した献金を受けているマイク・ホンダは当初、「過去のあやまちを認めるのに遅すぎることはない」と教師的な論調で日本を諭し、「これは日米同盟を強化するもの」などと独善的な見解を述べていた。もちろん、そんな詭弁を今の日本側が「はいそうですか」と受け入れるはずがない。加藤駐米大使はきっぱりと、「日米同盟に長期にわたって負の影響を及ぼす」と警告した。そこで最近のホンダは、「日米同盟に影響はないと思う」とトーンを下げている。

加藤大使だけではない。この慰安婦非難決議案については民主党の重鎮、ダニエル・イノウエも「日米同盟に悪影響を及ぼす」という立場から反対を表明している。過去の国家の犯罪行為に対して、他国の議会が裁判官の役目を果たそうとするなど無意味なことだし、少なくとも政治的に白黒をつけることではないはずだ。現在は良好な関係である日本人の感情を傷つけてまで行う意味があるのかと問われればなおさらだろう。

ワシントン・ポストに意見広告を出したすぎやまこういちは、慰安婦非難決議案は「日本人全体に対する名誉毀損」だと憤る。すぎやまの言葉は、アメリカ人の独善的な態度に対する、日本人の感情的な反発を表わしている。アメリカ人が日本人の戦争犯罪を人権問題として追及すればするほど、「慰安婦が20世紀最大の人身売買というなら原爆はどうなる。原爆投下こそ人類史上最悪の殺戮ではないか」――必ずそういった反応が出てくるだろう。それは、かつての「鬼畜米英」の記憶を呼び起こす。「日米同盟への悪影響」とは、こうした日本人のアメリカ人への感情の悪化に他ならない。感情が悪化すれば信頼が揺らぐ。信頼が揺らげば不信感が増す。そうなったとき、アメリカ人の感情の中にも「ジャップ、カミカゼ」の忌まわしい記憶がよみがえるだろう。

にもかかわらず、下院はこの決議案を採択しようとしている。しかも、安倍政権が選挙で負けるタイミングを狙っている。そうなると、それはもう特定アジア国のロビー活動にアメリカ人がのせられたなどという単純なものではない。もちろん日本の保守派の「女性への性暴力に対する意識の低さ」がアメリカ人の意識(特に下院議長ナンシー・ペロシを筆頭とする「人権派」)とのギャップになっているという側面は否定できない。だが、性暴力に対する認識の甘さは何も、東アジアの中で日本だけに突出したものではない。またアメリカの「人権」がしばしば「利権」の前で沈黙することを私たちは知っている。

さらに、この慰安婦問題の蒸し返しは、6カ国協議でアメリカが急速に北朝鮮に軟化し始めたタイミングともぴったり歩をそろえている。拉致問題と慰安婦問題を関連づけて日本を牽制する論調はすでにアメリカのメディアに見られる。そうした意味では、拉致問題で強硬な姿勢を取る安倍政権への中韓米からの牽制とも取れるだろう。

中国は今回の決議案の下院外交委員会通過を待っていたかのように「慰安婦報告書」を発表した。終戦から62年もたって初めて報告書を作成するというのはそもそも奇妙なことだが、さらに、その報告書には、「山西省にあった慰安所が、終戦後2年たった1947年まで運営されていた」という、朝鮮日報ですら「奇妙な話」とする逸話が盛り込まれている。中国で発見された証拠文書によると、敗戦後、日本に戻れなかった旧日本軍の一部が国民党に編入された。この部隊は独立を保ち、山西省太原市に旧日本軍の敗残兵のための慰安所を設置したというのだ。

また中国は、南京大虐殺記念館を改築し、世界遺産登録を目論んでいるらしい。マイク・ホンダは慰安婦の次は、日本のアメリカ軍捕虜に対する虐待についても追及を始めるという。こうした過去からの思いもかけない攻撃に対して、日本は毅然とした態度をとることができるだろうか。

慰安婦問題について、アメリカは、政府と議会とは立場が違うとしながら、事実上非難決議案の採択を黙認した。そうはいいながらも、今のところ、たとえ下院の本会議で採択されても、それ以上事を大きくしたくはなさそうだ。アメリカが日本の歴史問題についてどういった態度をとるかは、今度の日米同盟の方向性にかかっているだろう。



日米同盟の強化を現在のアメリカがどれくらい必要としているのか、それはこれからアメリカ人が決めていくことだ。だが、日本人も見きわめなければいけないことがある。そもそも、日本にとってアメリカは信頼するに足る相手なのだろうかということだ。このままゲタの雪のようについていっていいのだろうか。そうした疑念は常に日本人の中にくすぶっている。そして一方的なストーリーと、押し付けがましい教唆を並べた「慰安婦非難決議案」の採択は、眠れる疑念を密やかに呼び覚ます。

だが、そうしたことに関心を払う日本人は少数派のようだ。参議院選挙では、年金と事務所費問題ばかりがいわれている。与党内での権力争いも露骨になっている。民主党と手を組んで、政界の再編をもう一度目論む勢力もいるらしい。野党第一党の民主党にあまりに雑多なイデオローグが入り込んでしまっている現状を考えると、あるいはそれはそれで悪くはないのかもしれない。だが、どちらにしろ選挙で負ければ、安倍総理の求心力は低下せざるをえない。

そこに「慰安婦非難決議案」という小さな爆弾が炸裂する。もちろん安倍総理を権力の座から引きずり下ろしたい人々は、これを政権の外交上の失点として大いに利用するだろう。その先に待ち受ける政局の不安定化が一時的なものになるのか、長期におよぶのか。今は誰にもわからない。それが日本になにをもたらすのか、そこまで考えて選挙に行く人が果たしてどれくらいいるのだろうか。しかも、それを仕掛けているのは1993年に野党から上程された宮沢内閣不信任案に賛成し、自民党単独政権にとどめを刺した小沢一郎その人だということに、一種のデジャビューを感じないか。






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最終更新日  2007.07.27 00:16:48


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