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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「攻撃開始」三方向から一斉に放たれた砲弾はザクへ向かって一直線に伸びていく。「命中!」放たれた砲弾は少なくとも4発は命中した。ザクはもんどりうって地面にキスをする羽目になった。「ザク大破。戦闘不能です」十分な布陣からの砲撃であり、当然の帰結ではあるが、やはり巨人を仕留めたという事実は気分を高揚させる。いつもは冷静なオペレータの声も少しばかり上ずっているようだ。「よし、新型は?」「退却を開始しています」「退却?」新型モビルスーツは反撃することもなく、左右に崖がそそり立つ谷の部分に姿を消した。(いくらなんでも鮮やか過ぎる)「ワナだな」「ワナでしょうね。」副官も同意する。「各員第一戦闘配備で待機。索敵班は谷入り口付近を調査」「ザクはどうしますか?」「放っておけ。どうせスクラップだ」この戦争が始まった直後はザクの回収は非常に優先度の高いミッションであったが、いまでは見向きもされない。それだけ研究も進み、恐れを抱く存在ではなくなったということである。10分後、索敵班から報告がもたらされた。「谷の入り口に機雷が多数設置されています。ある程度以上の 重量が載ると爆発するようです。」「どう思う?」「たとえ、機雷を排除するとしても時間もかかりますし、その先も ワナが待ち構えていると考えたほうが良いと思います」なかなか優秀な副官だ、と男は満足した。さて、どうしたものか。デルタツーにはこの谷を通っていくのが一番の近道ではあるが、敵の得意とする地形で戦うわけにはいかない。なんとか敵を出し抜かなければ・・・周辺地図を見回しているうちにあることに気が付いた。「おい、右側の崖の外周をぐるっと回っていったらどうだ?」「ええ?ああ、デルタツーに近づくことはできますが、この崖が ありますから、それ以上近づくことは難しいかと思います。」「だからここだよ」男がある一点を指差した。地図は等高線が描かれていて、崖の高さを表している。男の指差しているところだけ、等高線の間隔が広い。「ああ!この間隔なら傾斜角はこのくらいですね。 登りきる事は不可能ではありませんが・・・」「しかし、不可能ではないのだろう?」リスクはあるが、挑戦する価値は十分ある。しかし、この行動に気が付かれてしまえば対策を立てられてしまう。「よし、各部隊、今から戦闘配備を解除して、5分休憩。 その後は最大速度で行動すっからな。 付いて来い!」つづく
2010.10.15
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「中佐!」オペレータが叫んだ。「敵モビルスーツです。数2!」眼前には大きな岩山があり、その中央に切通しのような細い道がある。それを越えさえすれば後は平坦な地形で、デルタツーまで遮るものはない。敵モビルスーツはその切通しから出てきたところで我が部隊と鉢合わせてしまったわけである。まさか我々が既にここまで来ているとは思っていなかったのであろう。報告では、デルタツーには10機程度モビルスーツがあると聞いていたが、やつらは戦力を分散を分散してきたようである。モビルスーツを各個撃破したいこちらにとってはありがたい話である。もちろん、残りのモビルスーツが藪に潜んでいる可能性は十分にある。「よし、微速前進。左右の部隊は索敵を怠るな」我が部隊の最終目的地はオデッサである。しかし、彼はそれを重要視していなかった。輸送機もない戦闘大隊であるこの部隊が指定されたXデーまでにオデッサに辿り着くためには昼夜を問わず、それこそ破損した車輌を破棄して一直線に向かわなければならない。命令を与えた側も間に合うことはおそらく想定していない。であれば道中散々暴れて、ジオン軍の戦力を分散した方がメリットが高い。つまり、デルタツーを討つことが上層部にとってもメリットがある行動というわけである。「敵モビルスーツのタイプ判明。 1機はザクです。古いタイプのもののようです。 もう1機は・・・パターンノーマッチ!新型です。」チッ!中佐と呼ばれる男は舌打ちした。何でこんなところに新型がいるんだよ。しかし、いざとなればこちらにも切り札がある。「まずは弱いほうから仕留めるぞ。 第1、第3中隊、緩やかに後退、第5中隊側面に回り込め。 第4中隊、新型とザクを分断するように威嚇射撃開始。 包囲網ができたらこっちのものだ。」ザクは無造作に前進してくる。まるでこちらの存在など眼中にないかのような警戒感の無い動きである。「61式戦車だから舐めているのか?」戦車乗りとしてプライドを持っている彼からすればこれほど不愉快な話はない。だが、甘く見ているうちがチャンスだ。「第5中隊より通達。側面への回り込み完了」「観測データは?」「先ほどの威嚇射撃の際に合わせて収集済みで、攻撃には十分な 精度かと思われます」電子機器による誘導が使えないため、照準は光学センサーが主になるが、誤差の補正が不可欠で、そのための威嚇射撃でもあるのだ。「よし、各車輌、車体固定。砲撃体制へ移行。」停止させることで危険度は増すが、移動しながら攻撃ではまずザクに命中させることはできない。ヘタな鉄砲は数撃っても当たらないのだ。(よし、ザクもらった)「攻撃開始」三方向から一斉に放たれた砲弾はザクへ向かって一直線に伸びていく。つづく
2010.09.30
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6周年の記念として、昔書いていた小説の続きを書いてみることにしました。週一くらいのペースで書き続けられれば良いのですが・・・-------------今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「よし、前進開始」ミニトレーのメインブリッジに乗った男は部隊の進軍を指示した。ミニトレーとはビッグトレーの小型版の陸戦艇である。ビッグトレーは言わずと知れた連邦軍のフラグシップ機であり、佐官クラスに与えられることはありえない。佐官クラスの部隊長に指揮車輌として与えられる艇がミニトレーである。それにしても、ミニトレーという安直な名前はどうにかならないものかと男は思う。ビッグトレーの廉価版だとことは明らかで、部隊の母艦としての権威など微塵もない。現場で通称として使われている「スピードクルーザー」という名前こそ、正式採用されてしかるべき名前であろう。実際のところ、この陸戦艇はビッグトレーほどの大きさも火力も装甲もないが、軽快な機動力と充実したセンサー類を有しており、むしろビッグトレーより扱いやすいと感じるのは負け惜しみ・・・ではないはずである。この陸戦艇に率いられているのは100を越す61式戦車である。ジオン軍によって生み出されたモビルスーツ、ザクは戦争を大きく変え、従来兵器を無力な存在に変えたとさえ言われた。そのザクの優位性は・ミノフスキー粒子散布下における有視界戦に特化した機体仕様・AMBACシステムの採用による抜群の機動性と大きく2つあることが分かっている。しかし、逆に言えば装甲はそれほど優秀なわけではない。「攻撃を避ける」ということを主眼において作られた兵器であって、「命中しても耐えられる」兵器ではない。それはある意味当然で、装甲も厚くて、機動性も高い兵器を作ることなど資源のないジオンにはできるわけもないのだ。そのザクが地上に降りてきた。一蹴りで30mものジャンプができるモビルスーツはやはり脅威である。しかし、その機動性は宇宙でこそ最大限に発揮されるものであり、地上では従来兵器にも十分対抗の余地はある、と男は思うのだ。そして、男は指揮車輌に有視界戦闘で有効な光学センサーを導入し、61式戦車10輌を一単位として、指揮車輌からの指示に従って火力を集中するようにしたのである。照準の精度の低さを指揮車輌からの観測と、複数車輌による同時砲撃で補おうと考えたわけである。現在のところ、この作戦はなかなか奏功しており、実戦3回で、破壊したザクは2機、こちらの破壊された61式戦車は6輌である。コストの面から考えれば十分な働きをしていると言えるであろう。今までは小競り合い程度であったが、今度の敵はデルタツーだ。ここにいるモビルスーツを撃滅すれば戦車はもう時代遅れだ、お荷物だと揶揄している同胞の鼻を明かすこともできるというものだ。デルタツーには我が部隊の礎になってもらう。そんな思いを胸に男は闘志を燃やすのであった。つづく
2010.09.14
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------翌日、ステインがいつものように作業場へ向かうと、荷造りをしているヒロロの姿があった。 「帰るのか?」「ああ、この実験で終わりにしようと思っていたんだ。 仕事を1週間も休んじまったし、そろそろ潮時かな、と思ってね」「そうか、残念だがしょうがないな」「オレにとってはモビルスーツは趣味の世界なんでね。 コレだけやってて、食べていけるわけでもないし・・・ ただ、逆に趣味だからこそ、これからも離れるつもりはないよ。 また面白い題材を見つけて、リベンジしてみせる!」「ハハ、それでこそ、ヒロロだ」実験が失敗に終わり、その直後、機材を壁に叩きつけて落ち込んでいたヒロロだったが、1日たってやる気も復活して、いつものヒロロに戻ったようだ。「今はまだ構想段階なんだが、次はこんなものを作ろうかと思っている」「どれどれウィング・・・なんだこりゃ!?」「ああ、羽根が生えているモビルスーツなんて画期的だろ? まずは立体模型を作成して、実用化の検討を行うつもりだ。 1年以内に必ず完成させてみせる!」「羽根ねぇ・・・」ステインは訝しげな顔でヒロロを見つめる。「1年以内って、お前、ファインモルモル社から、設計図の作成依頼が 来ていたんだろ?2つも間に合うのか?」「大丈夫。ファインモルモル社からの依頼はさっさと片付けて、 この羽付きも1年で仕上げてみせるよ」ヒロロは拳を握り、天に向けて、突き上げてみせた。「さてと、梱包も終わったし、帰るとするか。 世話になったな」「ああ、おっとこんな時間か。飯でも食っていくか?」「お、良いねぇ」ステインは検索ページをたぐり、一番最初に目に付いた店に電話をかけた。「はい、ピザステーション「ホーネット」です」「ソーセージピザを頼みたいんだが」「かしこまりました。 サイズは3.5インチ、5.25インチ、8インチのいずれかになります」変に細かいな・・・だいたい、いまどき、インチって何なんだよ「・・・8インチでお願いします」「かしこまりました」30分後、届いたピザをむさぼる二人。「来年もこんな楽しい時間が過ごせたらいいな」「お前ならできるさ」「うへー、美人の姉ちゃんに言われるならまだしも、お前に言われると 寒気がしてきたぞ」「・・・もう機材貸さねえぞ!」「えー、冗談ですよぅ。少尉殿ぉ」「お前の甘え声の方が寒気がするわ!」「にゃんだとぅ・・・」・・・こうして、一年戦争の凄惨さとは裏腹に、お気楽な時間は過ぎていくのであったエピソード「アナファイザク編」 完
2008.10.06
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「では、二次テスト。アルファ伍長準備は良いか?」「はい」「それではエネルギー注入開始!」ステインは淹れてきたコーヒーをヒロロに手渡す。「彼は鍛えているから、5分以上かかるかもしれないな」自分のコーヒーを飲みながら、ステインは独り言のような調子で言った。「鍛えている・・・鍛錬することができるのか!?」実験中、今まで一度もモニターから目を離さなかったヒロロが驚いた顔で、ステインを振り向いた。「さあな、オレも良く知らんが、CHARINKOという道具を通販で 買っているらしいぞ」「CHARINKO・・・そんなものがあるのか。 これは考慮するべき事項かもしれないな」「少尉!」「どうした伍長」「ちょっと発射は無理なようです」「確かに内圧が低いな」データを確認しながら、ヒロロがつぶやく。「もっと純度を上げて、試してみよう」・・・「ダメです。まだ溜めが足りません」「ここまで来ると、アルファ伍長の鍛えているという 説を信じざるを得ませんね」畏敬の念のためか、丁寧語になっているヒロロ。「少尉、申し訳ないが、最高純度でやらせてもらうが良いかね?」「ここまできたからには仕方ない、好きにしな」「了解!最高純度のエネルギーを高速注入!」・・・「少尉!動きました!いけます!」「よし、お前のタイミングで発射しろ!」「了解・・・・ファイヤー!」シルフ伍長が発射したときとは異なり、青白い色をしたビームは宇宙を引き裂くかのようであった。目標となったデブリは飲み込まれ、一瞬のうちに消失した。「す、すげえ」「実験成功。出力は想定の131%!」ヒロロの声も興奮気味で、早口になっていた。「内圧を高めることで出力は圧倒的に高まるということか。 しかも、先天的な才能だけでなく、鍛えることが可能という ことであれば量産も可能ということになる・・・」「いや、無理だな」冷や水を浴びせられたようにビクッとしたヒロロはステインを睨み返す。「お前も今の結果を見ただろう!」「ああ、見た。だが、あそこまで内圧を高めるのは致命的なんだよ。 ほら見ろ、アルファは失神寸前だぞ」「!!!」「作戦ごとに、機体とパイロットを失うことになるぞ」ヒロロは言葉も出ない。「それともう一つ。あそこまで高純度のエネルギーはもう用意できない。 今回はテスト用だったんで、かき集めてきたが、あれで全部だ。 ジオンにはもうロクな資源は残っていないんだよ」「純度が低ければ出力が低くて実用性が低い。 かと言って純度を高めようにも資源がない・・・」「非常に面白いんだが、残念ながら兵器としては無理だな。 アナファイ社がアレを玩具として販売している理由も分かった気がするよ」それはヒロロも認めざるを得なかった。改良を重ねれば、パイロットへの負担も、出力の問題も解消できる可能性はあるが、非常に資金と時間がかかることが予想され、ステインとヒロロだけで実現できるレベルを超えてしまっている。「まあ、楽しかったから、それで良しとしようぜ」ステインの慰めも耳には入らない。ヒロロはがっくりと肩を落とした。その視線の先では「暴君ハバネロ」が笑っていた(終)
2008.10.02
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「つまりさ、この経歴を見る限り、彼らはモビルスーツの搭乗経験が 不足しているように感じられるが?」管制室にはヒロロとステインの2名だけである。通信機器の電源をオフにさえすれば、二人だけで会話することは造作もない。「端的に言ってしまえば、彼らはモビルスーツパイロットですらない。 ステイン、どうなんだ?」当然の疑問であろう。ステインは頭をボリボリと掻く。「んー、まあ、その、なんだ、モビルスーツパイロットか否か、という 二者択一であればNoということになるわな」「おいおい、俺は優秀なパイロットをお願いしておいたはずだぞ。 赤い彗星のようなエースパイロットは無理としても、モビルスーツを まともに操縦もできないようなやつではさすがに困るんだが・・・」(こんな実験に赤い彗星なんて呼んだら、俺が銃殺になっちまうよ!)と言いたいところだったが、ヒロロのおごりで飲みに行って、良いパイロットを連れてくると、良い気分になって安請け合いしたのはステインである。「ただな、彼らはモビルスーツのパイロットではないが、 モビルスーツの操縦は標準レベル、いやそれ以上だぞ」「そうなのか? 彼らはモビルスーツ転属試験に少なくとも1度は落ちている。 モビルスーツパイロットに向いていないんぢゃないのか?」「いいや、そんなことはない。 彼らはモビルスーツパイロットとしての適性がないのではない。 モビルスーツパイロット転属試験に合格する適性が少々足りないだけだ」「なんだそりゃ?」「転属試験に合格するにはな・・・」ちょっとステインは言いにくそうに言いよどむ。「合格するには?」「合格するには、試験官の尻を喜んで舐めるくらいの従順さが必要なのさ。 あとは十分な金を持っているかだな」ヒロロは顔をしかめた。「おい、ジオン公国軍は人材不足じゃなかったのか? そんな不正は連邦軍の十八番だろ」「人の集まるところ、常に不正あり!ということだよ。 結局はスペースノイドもアースノイドもたいして変わらんということさ」「わけが分からん。 戦争に勝てなくても良いってのか?」「ほほう、ヒロロ君、言うねぇ。 では尋ねますが、あなたの科学の世界で、他の人の功績になりそうな 大発見に喜んで協力できる奇特な科学者は何人いますかね? むしろ、邪魔する人の方が多いんじゃないかね?」ヒロロは言葉も出ない。「小事に気を取られて、大局を見失う輩が多いってことなのだよ」ステインはさも自分だけは全体を見通しているかのような発言で締めた。言い返したくても言い返せないヒロロは悔しくて仕方がない。何かステインの失態はないものか・・・もうこの辺で大局を見失っていることにヒロロは気付いていない。が、丁度めぼしいものを見つけた。「おい、この候補者リストおかしいぞ?」「あん?」「お前、この6人の中からベストな2人を選んだ、って言ってたけど、 候補者の番号、1/8から6/8になっているぞ。」リストの番号は確かにそうなっている。「後ろの番号って全体の人数だよな? お前、全部印刷していないのか?」「いや、コレで全部のはずなんだが。 おかしいな・・・印刷の指定を間違えたのかな?」「なんかおかしいな。お前がそんなミスするわけなんだけどな。 まさか、お前、俺に見せたくないパイロットが最終ページに いたわけじゃないだろうな?」「そ、そんなわけあるわけないだろ。け、け、決して、そんなわけは。 そもそも最終ページに載っていたやつなんてもう誰だったかも 忘れちまったし・・・」「ふーん・・・」まだ納得いかないそうなヒロロであったが、最終ページに載っているパイロットが知りたいわけではない。「大局を見られない小者がここにもいるってことかな」愉快そうな口調でヒロロがとどめを刺す。今度はステインが苦虫を噛み潰したような顔になっていた。ふー、すっきりした。そう、ステインに勝てれば良いのだw「さ、実験を続けようではないか、少尉」「おう・・・」小者コンビの実験は続く・・・続く------ククク、早速使わせていただきましたぞ、少尉www
2008.09.23
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------アルファ・エイサク。アルファの父は当初地球に住んでいたようである。しかし、アルファが生まれたのを機にコロニーへ移住。「大海原で我が子を育てたい」と父は言っていたようだ。アルファは父の願いが通じたのか、腕白で元気いっぱいな少年に育つ。一年中、外を駆け回って遊んでいたアルファはいつも真っ黒に日焼けしていた。元気すぎて、近所からは「悪戯小僧」と二つ名を貰っていたほどである。野生児のような少年時代を過ごした彼は日に焼けいつも真っ黒で、腕は丸太のように太く頑丈、だが、走れば短距離選手として代表になれるほどの運動神経を有するまでになったいた。その後、ジオン体育大学へ進んだアルファはそこで「ワンハンドタイピング」という競技に目覚める。残念ながら「ワンハンドタイピング」という競技がどのようなものか現在では資料が残っておらず、詳細は不明であるが、彼の並外れた腕力が生かせるような競技であったものと推察される。ここでシルフ・ユキカゼと出会っており、シルフがこの競技において「ハヤウチ君」と称されていた一方、アルファは「デコメのエイ」と呼ばれていた。こちらも今となっては資料が散逸しており、「デコメ」の意味は判明していない。ちなみに学生時代の彼の友人に話を聞いたところ、幼少時代の悪戯はすっかり治まり、礼儀正しく、我慢強い性格であったとのことである。我慢強い、と言えば聞こえは良いが、彼の場合は少々行き過ぎていて、自分から進んで苦境に入り込み、我慢強く粘って、苦境を脱するという過程を楽しんでいるようですらあったという。プロスポーツ選手としてスカウトも来ていたようであるが、時代はジオン公国の設立、地球連邦政府との関係悪化が進んでいた。そんな中、アルファが選んだ道は軍隊への入隊であった。「スポーツ冬の時代」と言われた当時の状況を考えれば仕方のない選択だったのかもしれない。しかし、当時、軍隊の給与は比較的高く、入隊後、ずっと父に仕送りをしていたことを考えると、大学まで行かせてくれた父のために一刻も早く恩返しがしたかったのかもしれない。0079年1月。一年戦争開始。彼は第2次降下作戦に従事している。実際にはキャリフォルニアベースは無血制圧されており、彼は無傷で地球に降り立つこととなった。その後、彼はマゼラアタックの戦車長として活躍。数々の戦場を巡ることになる。0079年11月。連邦軍のオデッサ作戦によりジオン軍は重要な拠点を失った。その後の連邦軍による掃討を避けるために、十分な宇宙装備を搭載していないジオン軍の部隊が数多く、宇宙への脱出を試みたという。第603技術試験隊の言葉を借りれば、「溺れている!」という状況だったようである。その中にアルファはいた。もがき苦しみながら、彼は連邦軍の追撃を辛くも切り抜け、友軍に救助された。雪辱に燃えるアルファであったが、戦いの舞台は宇宙へ移っており、戦車乗りの彼には戦う舞台すら用意されていなかった。モビルスーツ科への転属のために訪れたのがステインのいる施設であった。そこで、かつてのライバル、シルフと出会い、ともに非公式ながらモビルスーツに搭乗することとなる。その後の彼の軍隊での経歴ははっきりとしていない。高熱を出して1ヶ月ほど寝込んでいた、上官を殴って独房入りしていた、ア・バオア・クーでジオングを整備している姿を見た、などさまざまな話があるがどれもこれも信憑性のある話ではない。0080年 退役。退役後、彼はかねてより温めていた「CHARINKO ダイエット」というダイエット製品を発売する。この当時、体重も体型も、サプリメントでいかようにもなるというのが常識であったため、当初は見向きもされなかった。しかし、彼自らがCMに出演し、「CHARINKOで楽しく汗を流そう!」というキャッチフレーズとともに自身の肉体を宣伝したことで、有効性が徐々に評価されていき、0090年代を代表する商品となった。
2008.09.17
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------シルフ・ユキカゼ伍長。U.C.0074 入隊U.C.0080 退役ジオン公国軍の公式記録に残っているのは上記のみである。そこで本書では友人たちを訪ね、有形無形の思い出から彼の人生を振り返ることとする。内容は必ずしも100%信用が置けるものではないことを付記しておく。----------シルフ・ユキカゼ。スペースコロニー産まれの生粋のスペースノイドである。父は農業を営んでおり、ネギを主に生産していた。子供のころのシルフの格好の遊び場はそのネギ畑であった。5歳年下の妹がおり、名前を「ミク」という。幼少のころは、父の後を継いで、農家になることを夢見ており、学校の「ゆめ」というタイトルの作文で「しょうらいわ、お父さんのような、のうかになって、 コロニーぜんぶを大ねぎはたけにしたいです。」という大きな野望を持った子供であったようだ。しかし、ジオン体育大学を卒業後、突如として、彼は農業へのこだわりを捨て、職を転々とした挙句に、軍隊へ入隊する。本人は理由を明確にしてはいないが、親しい友人の話によると、溺愛していた妹のミクに「農家ってダサいよね」と言われたことがショックだったようである。なお、ジオン体育大学在学時にアルファ・エイサクとも出会っている。当時シルフは「早撃ちクン」というニックネームを持っていた。「ワンハンドタイピング」という競技において、シルフは圧倒的なスピードを誇り、大学一の実力と噂されていた。その彼に挑戦してきたのがアルファであった。出会いはライバルであったが、いつしかお互いの実力を認め合い、同じ競技を愛するものとして意気投合するまでに至るのである。その後、二人は別々の道を辿ることとなる。シルフが入隊して初めて配属され、愛機としたのはガトルであった。入隊当時、まだモビルスーツというものは存在していなかった。いや、存在はしていたが、秘密裡な存在であり、末端の兵士であるシルフがその存在を知ることはなかった。そして、ルウム戦役。シルフはガトルで出撃していた。日々、訓練に訓練を重ねてきたシルフにとって初めての実戦である。ガトルは火力不足は否めないものの、機動性は悪くない。もともとの素質を開花させたシルフはこの戦闘でトリアーエズ1機の撃墜に成功し、見事帰還を果たすこととなる。しかし、この戦闘で初めて見た「モビルスーツ」という存在はシルフの目に焼きついた。メガ粒子砲とミサイルの雨を軽々と避け、敵艦艇に致命的な一撃を加えて離脱する姿は、まさに羨望に値する機体であり、シルフのモビルスーツ熱はここから始まったようだ。その後、ソロモンに配属されていたシルフは後方の施設に異動になっていた。この辺の異動の経緯は不明であるが、彼のモビルスーツへ熱が原動力になっているのかもしれない。偶然にも同じ時期にこの施設にいたアルファとも再会を果たすこととなる。そして、ステインに出会い、憧れのモビルスーツに乗ることとなった。ただし、結局はモビルスーツに乗って戦場に出ることは一度もなく、目立った活躍もせずに終戦を迎え、退役。「本当はコレがしたかった」と後に述懐している画家としてデビューすることとなる。彼の代表作「さいていやらう」はそこそこの評価を得たようである。なお、晩年、モビルスーツに乗ったときのことを思い出しては「モビルスーツに乗ることがあれほど辛い(からい)、 いや、辛い(つらい)とは思わなんださね」と彼にしか分からないジョークを飛ばしては周囲を困惑させていたいという。-----------続く
2008.09.09
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------ステインがマイクに手を伸ばして、指示を出す。「シルフ伍長、準備は良いか?」「少尉、いつでも大丈夫です」コロニーからすこし離れた宇宙空間にザクとスペースボードは浮いていた。ザクにはまさに「急ごしらえ」という言葉がぴったりな不恰好な形で、メガ粒子砲が接続されていた。接続はできたとしても、ザクのジェネレータではこのメガ粒子砲を発射することなど不可能である。しかし、ヒロロという男がそれを覆そうとしているのである。「それではテスト開始!伍長、エネルギー注入開始せよ」マイクを切って、ヒロロを振り返って、聞いてみる。「エネルギー注入から、発射まで何分くらいかかるものかね?」「本人次第というところもあるが、5分程度というところかな」「5分か・・・戦場なら永遠とも思えるほどの長さだな」「大丈夫、実験さえ成功すれば改良の余地はある」5分ほどして、シルフから通信が入る。「ちょ、少尉!」「どうしたシルフ伍長!」「そろそろもうダメです!」「よし、目標、前方デブリ、試作型ビーム、発射!」「は、発射!」ザクよりほとばしる光の渦は激流となって、前方のデブリを飲み込む。「やった!」おいおい、本当にビーム兵器ができちゃったよ、ジオンの技術部はいまだに理論の構築しているレベルだというのに・・・ステインはヒロロの「本物を見抜いた才能」に慄然としていた。しかし、当の本人のヒロロの顔は冴えない。「ダメだ」「どうした?」「目標命中時のエネルギーが想定の60%程度しか出ていない」「途中に変換ロスがあるのか?」「いや、その辺は想定の範囲内だな。 ベースとなるエネルギー量が少なすぎる」確かに命中したデブリは変形しているものの、いまだその姿は健在で、非常に装甲が強固であるという連邦軍のモビルスーツを倒すには十分とは言えない火力であったことを示している。「もう一度やろう」「オッケー。伍長、もう一度いけるか?」「りょ、了解であります」・・・「ファイヤー」ほとばしる光。光に飲み込まれるデブリ。しかし、やはり前回と結果は同じであった。「残念ながら、シルフ伍長は・・・」「ま、しかたないさ、パイロットは適性がどうのこうのと 言われるのは慣れている。大丈夫だ」ステインは言いにくそうにしているヒロロの心中を察する。「シルフ伍長、ご苦労だった。ボートに接舷して、 アルファ伍長に交代してくれ」「りょうかい!」(むしろ、適性がないって言われてホッとしているかもしれないけどな)ステインは今度は嬉しそうに返事をしたシルフの心中を察した。続く
2008.09.06
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「よし、できたぞ」「まったく、モビルスーツにこんな改造ありえねぇだろう」「先入観はいけませんな、ステイン少尉」「そうでございますか、ヒロロ教授」ヒロロは昼夜を問わず、作業を続け、わずか1週間で改造を終えてしまった。「さすがは天才ってところか」「ふむ、天才か。この仕組みを考えたものこそ、天才と言えよう。 私はソレをなぞったに過ぎない。 まあそんなことはどうでもいい、被験者は集まったのか」「ああ、2名集めたよ。入っていいぜ」2名のパイロットが入ってきた。「アルファ・エイサク伍長であります!」「シルフ・ユキカゼ伍長です!」「シルフは稼動テスト要員だ。アルファは耐久テスト用だな。 ともにジ体大出身だ」ジ体大とはあの「ジオン体育大学」です。「ほう!ジ体大出身ですか。」ヒロロはすこし躊躇いながら、話を続ける。「・・・ もしよろしければあの綱領の発声をお願いできませんか? あれは何度聞いても感動しますからね」「おい、アルファ、シルフ良いか?」「もちろんです!」両伍長は休めの姿勢だったが、かかとをカツーンと音がするくらい勢い良くそろえ、直立し、手を腰の後ろで組んだ。そして、大きな声で綱領を諳んじ始めた。「ジ体大、綱領」「ジ体大、綱領」アルファが先導し、シルフがそれを復唱する。小さな声で、ステインも唱和しているようだ。「一つ!」「一つ!」「緑濃き ジオンヶ丘に空高く! 青年の意思を 宇宙(そら)に発揮せよ! 時代の創造は常に 宇宙市民(そらたみ)に かかれることを 熟知すべし」「一つ!」「一つ!」「健全な精神の宿は 健全な肉体のみなり! 吾等 ジ体大 時代の創造のために 己(おの)が 肉体を 鍛むる ・・・」ジ体大の綱領は6部で構成されており、スペースノイドの目指す未来、そしてその中でジ体大生が目指すものが高らかに歌い上げられている。ジ体大生ともなれば、節まわしなども抜群に鍛えられていて、いやでも気分が盛り上がってくる。(テストの開始にはまさにふさわしい綱領だな)ヒロロは満足していた。「ありがとう。大変感動しました。」「光栄であります!」「寄り道してしまいましたが、そろそろテストに入りたいと思います。 シルフ伍長、ノーマルスーツに着替えて、搭乗をお願いします」「ハッ!」情報収集用の機材を満載したスペースボートに乗りながら、ヒロロはステインに話しかける。「テストはやはり宇宙でやるしかないよな」「当たり前だ。 コロニーの壁に穴を開けても困るんでな」(それに、あんなものをコロニー内に撒き散らすわけにはいかんだろう)ステイン少尉は心の中ではそう思っていた。
2008.09.04
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「本日はわざわざお時間を取っていただき、ありがとうございます」マスター・テラはみんなを和ませるにこやかな笑顔で挨拶する。ここはジオン施設内、ステイン技術少尉の居室である。「いえいえ、こちらこそ、わざわざきていただきありがとうございます」ステインは客であり、軍人でもあるわけで、こんな礼儀正しく対応する必要はないのだが、ステインも聞きたいことがあるので、下手に出ている。ソファに案内されたタートルと、テラ。部屋を見回したタートルは感嘆の声を上げる。「ほお、見事な作品の数々ですね」タートルも聞きたいことがあるので、まずは褒める。ただ、実際にはお世辞を言う必要もないくらい見事な作品が並んでいたわけであるが。「ありがとうございます。ほとんどがそちらで買ったものですよ」「最近は骨董的価値があるとかなんとか言って、買う割には作らない輩も増えていて、 おもちゃ屋のてんちょとしては少々悔しい思いをしているんですよ」「中世期の戦闘機が好きなんですよ。ただ、扱っているショップが少なくてね。 そちらでは珍しいものを多く扱ってくれているので、助かっています」「現用機は作らないのですか?」宇宙世紀の現用機とはもちろん「モビルスーツのプラモデル」のことである。「ああ・・・最近現用機にも目覚めてきて、作ろうかと思っていた矢先に面白い ものを手に入れましてね。今はそちらに夢中になっております」「ほほう、面白いもの、ね。」値踏みするかのようにタートルはステインを見つめる。ステインも相手がどこまで知っているか分からず、躊躇っているようだ。「そう言えば、物理学者として有名なヒロロ教授がこちらにいると聞いたのですが、 面白いものとヒロロ教授がいることと何か関係があるのですかな? 彼は弊社のザク型玩具を買っていかれましたが、なにかお手伝いできるかことは ありますでしょうか・・・」むう、さすがに情報が早い、ステインは焦った。こうなったら、正直に話すしかない、とステインは開き直った。「ぢつはですね、ご推測のとおり、ヒロロ教授は御社のザク型玩具の機能に 注目されて、内部の仕組みを紐解こうと試行錯誤しております。 開封厳禁だと言うことは重々承知しているのですが、科学者の性だと 思って、勘弁してください」タートルは「やはり」と心の中で頷いた。ただ、この先、どう出るかは相手次第である。「ただ、どうしても分からない部分がありまして、せっかくここでご縁を 得たことですし、今回の玩具の高出力の仕組みをちょっとでも良いので 教えていただけないかと・・・」「うまくいったら、本物のザクに搭載して戦闘に参加させるわけですね」「え?いや!その可能性はまずないとお考えください。 ヒロロ教授は実戦に使える代物を・・・と考えているようですが、 私はあくまでも1/1スケールのおもちゃと考えており、戦闘での 使用はまったく考えておりません。」嘘は言っていない、ようにタートルには見えた。「今回、懇意にしていただけるのであれば、今後ますます御社の店舗は 発展することでしょう」ここの部分だけ、ステインは突然棒読みになった。言外に、協力しなければショップに圧力をかけると言っている様なものだ。逆に、協力さえすれば、彼は今後もお得意様として、ショップに貢献してくれるだろう。テラは心を決めた。ホビーショップの経営も楽ではないのだ。「・・・ところで」テラが口を開いた。「中央駅から歩いてすぐのところにおいしいチャイナ・ヌードルのお店が あります。 名前を「NAKAMOTO」と言います。 ぜひ食べに行ってください。」「は、はあ・・・」突然の話題の方向転換にステインは戸惑い気味だ。「それではそろそろ失礼しようか」タートルが巨体をゆらりと揺らして、立ち上がる。「ちょ、ちょっと・・・」「ぜひ、食べに行ってくださいね」テラは「ぜひ」のところに力を込めた。(その店で何かを見つけ出せということか)「分かりました。ありがとうございました」ステインはにこやかに二人を見送った。-------「あ、話に夢中になって、返金するって言ってたお金渡すの忘れちゃった」「渡すの忘れたこと自体、忘れろw」-------その夜、ヒロロとステインは新たなヒントを得た。続く
2008.08.28
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「ぢゃあ、そんな感じで行こうか」挨拶もそこそこに今回のプランを練っていたタートルとマスター・テラ。「りょうかいです。ただ、軍曹はおしゃべり禁止ね。」「は?」「さながら、連邦訛りが強すぎますから」「はい・・・って言うわけなかろう。 オレのどこが連邦訛りだって言うんだよ!! それにな、俺だって受付のおねーちゃんとだな・・・」「まあまあ、連邦訛りってのは冗談ですが、ジオン軍の施設に行くわけですから、 ここは私に任せてくださいよ」「・・・分かった」タートルは恨めしそうにつぶやいた。-----------「ふむ、パイロットのエナジーが変換されて、エネルギーになるということか。 何度見ても、画期的な発想だな。 こんな技術がおもちゃに組み込まれているとは・・・ そのエネルギーと流体パルスの関係は・・・ このエネルギーを使うことで、ミノフスキー粒子の縮退を促し・・・ いやいや、それにしてもどうやってザクに装備させる? 今回はテストだから、肩に直接接合してしまえば良いか。 実用段階ではもっと小型化した携行型兵器が必要だな。 一番変換効率が高いのは・・・コックピットの改造か・・・ それにしても・・・」ジオンの施設の一区画で作業を続けていたヒロロ・バスケットマンはぶつぶつと独り言を言いながら、コンピュータにデータを入れ、設計を続けていた。独り言を言うのは彼がノリノリに乗って、考え事をしているときの癖だ。頭の中にはヘビメタが大音響で流れているらしい。「それにしても、だ」そうなのだ。何かが足りない。テストを繰り返しても、想定どおりに出力が上がっていかないのだ。「なにかもう一つ鍵となるものがあるのだ」それが何なのか、ヒロロはここ2日間ほど昼夜を問わず実験を繰り返していたが、どうにも分からずにいた。---------------「もしもし、わたくし、ホビープラザのてんちょのテラと申します。 ぢつは先日、お買い上げいただいた商品なんですが、先週より値下げして おりまして、その分を多くいただいてしまっておりました。 大変申し訳ありませんでした。 ・・・ そこで、そちらへ伺いたいと思いますので、お時間をいただいても よろしいでしょうか? ・・・ いえ!いえ! こちらへきていただくなどお手数をとっていただく必要はございません。 本社社員とこちらから、お伺いし、謝罪させていただきますので。 ・・・ はい、ぜひ謝罪させてください。よろしいですか? ありがとうございます。 はい、はい、それでは午後にお伺いさせていただきます。 それでは失礼します・・・」テラはタートルに指で丸を作って合図した。タートルの顔は若干冴えない。「おまえ・・・32だぞ。いくら返金する気だよ・・・」---------------午後、タートルとテラはジオン軍施設の前に立っていた。つづく
2008.08.27
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「軍曹!軍曹いますか?」「マスター・テラ!何度言ったら、分かるのかね? 階級を呼ぶのは厳禁だと言ってるのが・・・」「それどころじゃありません。 さながら、彼、何かに気が付いたみたいです」「彼・・・つまり、ヒロロ・バスケットマンか?」「はい」「何でそんなことが分かる? ヒロロ教授の部屋に隠しカメラでも仕込んでいるのか?」「そんな危ないことしませんよ。 ばれたらこっちで商売できなくなっちゃいますからね。 分かったのは偶然です」タートルはテラの次の言葉を待つ。「先ほど、うちのバイトの子があるところにプラモデルの代金の 集金に行ってきたんですよ」「ちょっと待て。今どき、ツケ扱いにして、後日相手のところまで 集金に行くなんてそんな商売しているのか?」「まあ・・・先方もいろいろ事情があるんでしょう。 カードで決済すると、いろいろ記録が残りますからね。」「ふむ、それは分かる気がするぞ」タートルは椅子をきしませながら、部屋を振り返り、おもちゃに目をやった。この中に私的な所有物があることをは妻には知られてはいない、はずだ。「普段は店頭できっちり払ってくれるし、今回は 大物をたくさん 買ってくれて、ちょっと持ち合わせが足りない、ということ でしたので・・・」「脱線ついでに聞いてしまうが、大物とは何を買ってくれたのかね?」「32を4つです」「ははは、そりゃすごい。そんな上得意様にはサービスはしないとな」「はい」テラも売り上げが伸びて、声が弾んでいる。「で、話を戻しますが、その購入された方って、ジオン軍関係の方なんですよ。」「軍人か・・・」「はい、普段は入れない軍施設の部屋に来いって言われたんで、ちょっと 心配だったんですが、あっさりとお金は払ってくれました。 そっちは無事解決したんですが、帰るときに見たらしいんです。 ヒロロ・バスケットマンの姿を」32が4つも売れたことも気を良くしていたタートルは肝心な今回の話の趣旨を忘れかけていたので、突然話が核心に戻ってきて、我に返った。「だからと言って、気が付いたかどうかは・・・」「軍施設にヒロロ・バスケットマンらしき人物がいた。 その傍らには我が社のおもちゃの箱があり、おもちゃ自体は分解されて いるようだった。 さらに、今週に入って、ヒロロ・バスケットマンは講演などのすべての 活動をキャンセルしています。 状況から考えると、間違いなさそうです」「うーむ」タートルは考えに沈んだ。確かに間違いなさそうだが、今結論を出すのは危険だ。「もう少し状況をはっきりさせたいなぁ。テラ、今度はバイトの子ではなく、 君がその施設に潜入して、状況を調べてきたまえ」「さながら、拒否します」「なんだと!」「こんなおっさんに潜入できるほどいい加減な施設ではありませんよ。 成功率ゼロパーセントです」まあ、そうだろうなぁと、残念ながら、タートルも思う。テラは商売の才能はあるが、スパイとしての才能はからっきしなのだ。「潜入は難しいと思いますが、今回、ステイン・レス少尉と知己を 得ましたので、その線で1回くらい入り込めるんじゃないですかね?」「しかし、アナファイ社の社員として行くってことか?」「施設を爆破するとか、何か盗むとか、そういう目的だったら、まずいと 思いますが、ヒロロ教授があの施設にいる目的と、研究の進み具合を 確認する、または盗み見るだけであれば、問題ないかと思いますが・・・」「・・・」「テラ、貴様の言うとおりのようだ。 今から出張申請を書いて、そちらへ向かう。 落ち合ってから、細部を詰めよう」「イエッサー!」「ただ・・・最近、出張への審査が厳しくなっていますが、大丈夫ですか?」「ば、バカモン!コレは立派な現場視察だ。決して遊びではないぞ。 遊び目的で出張申請したことなぞいままで一度も・・・」「はいはい、そうでしたね。そんでは通信切ります~」静かになった部屋で、今の会話が誰にも聞かれていなかったか見回すタートルであった。続く
2008.08.23
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「ステイン入るぞ」質素な居室にノックもそこそこにヒロロが入ってきた。「おい、ヒロロ、ここは軍事機密資料も置いてある部屋なんだ。 きちんとノックして、許可が下りてからじゃないと、銃殺しちまうぞ」「やれるものならな」ヒロロがにやりとする。ステインも毎度のことなので、にやりと笑い返す。ステイン・レス技術少尉。ジオン公国軍の技術少尉である彼が民間人に呼び捨てにされているのはある意味異常な光景といるだろう。だが、ステインはあまり気に留めていない。ある民間のサークル活動の際に、ふとしたきっかけでヒロロと出会う。意気投合し、それ以来、軍と民間の垣根を越えての付き合いとなっているのだ。「ステイン少尉、聞いて欲しい報告がありますです!」「ほほう、ヒロロ殿、ぜひ拝聴したいものですな」・・・・・・「で、その荒唐無稽な話を信じろというのか」「言いたいことは分かる、だが何度やっても同じデータが出る。 これは本物だ」「しかし・・・」「しかしもなにもなかろう。この結果データが何よりの証拠だ。 なぜこうなるのか、という部分は私にも説明できない部分はあるが、 ここまで再現性がある以上実効性があると判断できるだろう」「まあそうなんだが、みんなヒロロのような人間ばかりじゃないんだよ。 どんな事実も、見た目だけでニセモノと判断されてしまうことは良くあることだ。 実際、コレに対して上司の開発承諾をもらう自信ないよ・・・。」無理は承知だった。自分でも容易に納得できなかった内容を簡単に理解してくれるわけもない。それでもこの発見を誰かに伝えたかった。この発見はジオン軍の切り札になるかもしれないのだから。あまりの気迫に気圧されたステイン・レス技術少尉は大きく嘆息した。「ふー、ヒロロには負けたよ。 なんでこのタイミングなんだろうなぁ。 お前タイミング良過ぎるんだよ」ステインはにやりとした。「ここにおんぼろのザクがある。 ルウム戦役から前線にいたというなかなかの逸品だ。 今回、廃棄ということになったんで、伝票を操作して、オレの所有物となった。 改造したり、色塗ったりしていろいろ遊んでみようかと思ったんだが・・・」「くれ!」「おい、少しは頼み方ってもんがあるだろう」「ステイン少尉!ビールおごるから、ぜひ譲ってください」「ビールは10杯おごれよ」ニヤッと笑いながら、ステインは言った。「それと、やるからにはオレも混ぜろ。 ザクを改造するにも場所が必要だろうから、ソレを提供して やろうってんだから、感謝して欲しいもんだ」「すまない、助かる」「カカカ、良いって。俺もこれがもし本当にすげえ発見になるんなら この目で見てみてえんだよ。良い夢見させてもらうぜ! あ、あとさ、色塗って良い? ・・・」-----------ここまで書いてて思ったんですが、ステンレス屋さんってお酒飲みましたっけ?w
2008.08.22
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ヒロロ軍曹さん>>ちなみに「ケツァクウァトル」とは中世期の>>アステカ神話における「全能の神」という意味を表し>嘘つけ!!(爆)フフフ、ヒロロ君、ちゃんと調べたほうがいいぞwケツアルコアトルまあ、カタカナに直すと若干違いがあるけど、まったくのデタラメではないのだよw気を取り直して、続きをどぞーw-------------今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------ヒロロ・バスケットマンは酒を飲んでいた。昼間から。飲まずにはいられなかった。「こ、こんな馬鹿なことあっていいのか」ヒロロ・バスケットマン、天才的物理学者であり、機械工学の造詣も深い。彼は普段はあまり酒を飲まない。酒で失敗したことが何度もあるからだ。この間は何を思ったのか、突然壁にキックを繰り返し、朝、家で骨折した足の激痛で目が覚めたこともあった。(本人は良く覚えていないので、目撃者の情報による)しかし、科学者としては優秀で、若くして実用的な発見をし、モビルスーツの理論に転用することで、現在の地位と名誉を築いてきた。その地位も名誉も、正確で先入観のないテストを繰り返し、優秀なサンプルデータを多数集め、その結果のみを信じてきたからだ。しかし、今の彼はどうしても目の前にあるテスト結果が信じられなかった。「コレがおもちゃであるということはまだ良い。あのにこやかな店長は実は武器商人であったということだ。おもちゃがこんなにすごいのではなく、武器がおもちゃに偽装されていたと考えれば納得がいく」ぶつぶつ独白が続く。「しかし、しかしだ。あのインプットから、なぜあのアウトプットが算出される!しかも、高純度であればあるほど、高い出力が得られるなんて、馬鹿げているのもほどがある!」ヒロロはいまほど自分が科学者であることを憎んだ時はなかった。科学者でなければ、この出力に疑問を持ったりしなかっただろう。科学者でなければ、おもちゃの中の構造に興味を持ったりしなかっただろう。科学者でなければ、気に食わない結果は忘れて、酒を飲んで寝てしまうこともできただろう。科学者でなければ・・・「やはり、オレは科学者だということか」多少の逡巡の末、彼は受話器を取った。「ステイン技術少尉につないでくれ」
2008.08.21
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------これまでトーチャンガンダムというタイトルで、一年戦争におけるおやぢたちの戦いを書いてきました。コレから書く内容も一年戦争のおやぢたちの戦いを描いたものです。が、彼らは戦闘はしません。そうです、おやぢたちはいつでもどこでも戦っているのです、愛する者のために。------------アナハイム・エレクトロニクス。いわずと知れた電子・電気機器の製造販売を中心とする軍産複合企業である。地球連邦軍からの兵器受注額ではトップを占めていたという資料もあるように一般的には地球連邦軍寄りと思われがちだが、ジオン公国ともつながりを持っていたことをご存知であろうか?「アナファイ・ケツァクウァトルニクス」という社名の会社がそれである。ちなみに「ケツァクウァトル」とは中世期のアステカ神話における「全能の神」という意味を表し、書類上もアナハイム社とは何の関係もないことになっている。だが、実際にはアナハイム社のコピー品や、アウトレット品、さらには内部コンペで負けた商品などを売りさばくルートとして、活用されており、この企業がアナハイム社とまったく無関係と考えるものはほとんどいなかった。そして、今日も二人の男が売り上げを伸ばそうと戦っているのであった。「マスター・テラ、売り上げはどうだ?」音声のみの回線で相手に話しかける。「タートル軍曹、さながら、売れました!」タートル軍曹と呼ばれた男は眉を吊り上げた。「テラ、階級を呼ぶのは厳禁だぞ!あくまでもわれわれはアナファイ社の 本社社員と支店長。分かるかね?」「イエッサー!」怒りを超えて、諦めムードが漂う。良く見ると、タートルと呼ばれた男はパンツ一丁である。空調が故障しているのか、しきりに手に持った紙で自身に風を送っている。部屋には一生遊んでも遊びきれないのではと思えるほどのおもちゃが整然と積み上げられている。ごみ同然に見えるものも少なくないが、全部「商品」らしい。タートルが「地震」という存在を知ったら、もうちょっと積み方を工夫するかもしれないが、コロニーには地震というものは存在しない。「もういい・・・で、何が売れたんだ?」「例のザクが、2体です」「ほう!あの新作のおもちゃが早速売れたのか! しかも2体も! やっぱりアレは売れると思ったんだよ。 税関のアンチャンに握らせた甲斐があったってもんだな。 ちなみに買ったのはどんなやつだ?」「ソレが少々気になるところで。 いまデータを送るので、そちらで照合お願いできますか?」購入時の伝票が送られてくる。「ふむ、14歳のハイスクールボーイ?コレのどこが問題なんだ?」「そちらは問題なしです。もう一つのほうが少々気になりまして」「ヒロロ・バスケットマン・・・ってコレ、本人か!?」「はい、雑誌に載っていた写真と同じでした」ヒロロ・バスケットマン。天才的物理学者にして、ジオン公国軍とのつながりが持つ人物である。「本人は子供用の誕生日プレゼントに買って帰ると言っていましたが・・・」「となると、いまのところ、アレには気付いていないのか」「まあ、見た目はおもちゃそのものですからねぇ」「・・・」もう売ってしまったものは仕方がない。「まあいい。彼が気付いて、万が一実用化できたとしても、連邦軍からの 発注が増えるだけで、困ることは何一つない」「さながら、連邦軍担当の営業から、謝礼がもらえないのが残念ですな」「ハッハッハ、そりゃ無理だ。俺たちはアナハイム社とは何の関係もない 会社の人間だからな」近くにおいてあった缶ジュースを飲み干す。「さて、ヒロロ殿、あなたの天才振りを拝見させていただこうじゃないか」続く
2008.08.20
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告知です。あっちのほうで、おかしなザクのこと書いていたら、どうしてもその設定で小説が書きたくなって、現在書き進めています。止まりませんwまあ、細かい設定等は適当なんで、気楽に書いていますが・・・その小説のキャラクタにコックピットのメンバーを使わせてもらいたいのですが、小説のキャラクターなんてイヤーな人は連絡ください~今のところ、登場予定メンバーは以下の通り。・かめたかさん・てんちょさん・ひろろさん・ステンレス屋さん・Aザクさん・ザクシーさんご協力よろしく~
2008.08.19
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------ノイエンとユッキーが格納庫でお話中・・・-------------「それにしても、ザクIの機体番号ってなんで099なんですか? ザクIIの方が新しい機体なのに004ってのも変な話ですよね」「それはな・・・こやつがダダをこねたんじゃ」ヌッとクマが顔を出した。「おお、クマか、整備は終わったか」「おおよ」「えっと、その話本当なんですか?駄々をこねたって」「本当も本当。基地司令の機体は001から連番というのが決まりだった。 デルタワンの司令が001、デルタツーの司令であるノイエンは002を拝命する 予定じゃったんじゃ。」クマはそこでニッと笑った。「だがのう、ノイエンが嫌がっての。 基地司令の中でも古株だったのをいいことに、一番最後の番号、ということで 無理やり099という番号にしたのさね。 まあ、もっとも、整備の連中も学習しての。 次のザクIIの時は有無を言わせず、004という機体番号をペイントしてからノイエンに 与えたのだがね」楽しそうに話を聞いていたユッキーだが、次第に顔が曇ってきた。「普段なんて、文句ひとつ言わずに物資の割り当てを受諾しちゃうくせに!!! うちの基地はこんなに頑張っているんだから、ほかの基地の倍は支給されても良いはずなのに!!! 司令はそんなくだらないところでわがまま行使していたんですか?」私が苦労して物資を調達している影で・・・この男は!!!「何を言っておる。 権限行使して、物資を多めに割り当てさせるなんて、悪徳司令のやることじゃないか! わしはクリーンな司令で通っているのじゃ」むぐぅ。クリーンかどうかは別として・・・「それはそうですが」確かに機体番号くらいであればわがままと言っても可愛いものだ。整備のクルーも困ったと思いつつ、特に問題視しなかったのも不思議ではない。「それにな・・・」ノイエンは真剣な眼でユッキーをまっすぐ見つめた。「機体番号はパイロットの心意気を表すものなのじゃ。 こここそ、無理を言ってでも、自分の好きな番号にすべきところじゃよ。 なあクマ、貴様もまずいメシは我慢できても、ふんどしがビッと決まらないと おさまりが悪かろう。」「うむ、ふんどしがビッと決まらんと気合が入らんのは事実じゃな」「やっぱりそうか、ガハハハ」「ガハハハハ」真剣な顔して何を言い出すのかと思ったら・・・「もういいですぅ!!! とーにーかーくー、無事にザクを連れ帰ってきてくださいね!」ユッキーは早足でその場を後にした。「あのー、わしの無事は祈ってくれないのかのう・・・」おっさんのか細い叫びはユッキーには届かなかった。続く。
2007.09.11
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!なお、お知らせが文末についています。そちらも見てね。-------------ノイエンとクマは格納庫で機体の整備に精を出していた。-------------「あああああ! 司令、どこにいるのかと思ったら! 司令自らが機体の整備なんて・・・」「わしが好きでやっていることだよ」ノイエンは手を休めずに、穏やかな笑みを浮かべながら応えた。司令として基地でふんぞり返っているより、MS乗りとして戦地を駆け巡る方が好きなノイエンにとって、油にまみれながら愛機の整備する時間も楽しいひと時なのであった。「これでよし、と」ノイエンはハッチを閉めて、ようやく立ち上がった。「今回はこちらで出撃するんですね」ノイエンはMS-06F ザクIIとMS-05B ザクIの2機を保有していたが、ユッキーの見上げた先にはMS-05B ザクIが佇んでいた。「うむ。久々にこいつの出番のようじゃの。 このタイプのモビルスーツを時代遅れだとして、廃棄する輩も少なくないが、 なかなか良い機体なんじゃがのう・・・」「好きなんですね、この機体が」ユッキーの問いかけにノイエンはニンマリと笑みを浮かべた。ふと、何かを思いついたかのようにノイエンが振り返った。「そうだ!今回の作戦が終わったら、ユッキー、お前にこの機体を払い下げようと 思うのじゃが、欲しいか?」「ええええ!私に?」「ああ、もちろん、戦場に出ろと言うのではない。 資材の運搬等にこの機体を使ってもらってかまわないと思ってな。 わしが持っているより、有効利用できそうに思うのじゃが、どうだ?」「・・・ ・・・ ・・・ ものすごくうれしいですぅ。」「そうかそうか。」「いや、最近ホントに大きな荷物の依頼が増えてきて、フォークリフトだけじゃあ ダメだって思っていたところだったんですよ。 ザクをどっかから調達する策を練らないとだめかな~って思っていたところだったんですぅ」いや、そんな簡単にザクなんて調達できるわけないぞ、とノイエンは心の中で突っ込む。・・・・・・いや、ユッキーなら、調達しかねないな。しかも、このノイエンの機体よりランクの高い機体を(-_-;)「ノイエン司令、無事帰ってきてくださいね!」「え?ああ、もちろんだ」ノイエンは一瞬、無事を祈られたのは自分ではなく、MSの方な気がして、ドキッとした。続く---------------緊急告知!!今後、侵攻してくる連邦軍視点で、物語を進めようと思っています。そこで、連邦軍の部隊の司令官のモデル募集します!!立候補していただいた方のハンドルネームから、キャラの名前をつけさせていただきます。経歴や性格なども要望がありましたら、できる限りお応えします。んではよろしく~
2007.08.28
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!なお、お知らせが文末についています。そちらも見てね。-------------ブリーフィング終了後、フラットは作戦の展開を予想しながら、廊下を歩いていた。-------------「A隊として、司令が出撃される、か。 A隊の役割から言って、ある意味最適とも言えなくもないが、危険度も高い。 ゼロがうまくサポートすれば・・・ B隊はテツとB.B.だな。 B隊もきつい任務だが、あの二人のコンビネーションがあれば・・・」「よお、フラット」フラットはあからさまにイヤな顔をした。あいつが声をかけてくるなんて今日は厄日に決まっている。「ジャックか」ジャックは第2小隊の副隊長である。第1小隊の隊長であるフラットに以前から対抗心をもっており、ことあるごとに突っかかってきていた。「会えてうれしいぜ、フラット少佐殿」「俺はまったく逆の気分だ。ぶん殴られたくなかったら、さっさと失せな」「ハハハ、隊長さんは短気でいけないね」どうしても話がしたいらしい。仕方なく、フラットは付き合うことにし、思っていた疑問を口にした。「ところで、第2小隊はなぜ今回の作戦に参加しないんだ。 ミイコから協力要請が出ているはずだが?」「うちの隊はあんな頭の悪い作戦には参加しねえんだよ。」「だが、戦いに敗れれば、お前たちだって・・・」「とはいえ!」ジャックはフラットの発言を大きな声で遮った。「とはいえ、戦ずに基地で震えているつもりは毛頭ない。 俺たちは俺たちの好きにさせてもらう。」この期に及んでこの態度か!こいつらの作戦無視はもう1度や2度ではない。「目標を達成できさえすれば良い」という考えで、何の連絡もなく、とんでもない行動に出るのだ。しかし、確かに多くの戦果を残しており、ノイエンも容認せざる得ない有様だ。今回も何か考えているのだろうか?無理に帯同させても、やっかいごとが一つ増えるだけだ。「ふん、勝手にすればよかろう」「少佐殿に言われなくても、もちろん勝手にやるさね。 そうそう、今回の作戦、少佐殿は後方支援らしいな。 やっぱ頼りにされているエース様は違うね。」「なに!?」「危険な任務が割り当たらないように司令に取り入って頼んだんだろう? 『ぼくはこわいのがきらいなので、あんぜんなところがいいでちゅ』ってな」「おい、どの口が言っているんだ?」フラットは手が出そうになる衝動を抑えながら、低い声で鋭くつぶやいた。ケチな挑発に乗って、こちらから暴力を振るうようなまねを避けなければならない。「おー、怖い怖い。 ま、せいぜい頑張るんだな、後ろで。 ハーッハーッハー」立ち去っていくジャックを見送りながら、こんなヤツを仲間を呼ばなくてはならないかと思うと、フラットはめまいを覚えた。続く---------------緊急告知!!次回から、侵攻してくる連邦軍視点で、物語を進めようと思っています。そこで、連邦軍の部隊の司令官のモデル募集します!!立候補していただいた方のハンドルネームから、キャラの名前をつけさせていただきます。経歴や性格なども要望がありましたら、できる限りお応えします。んではよろしく~
2007.07.31
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「・・・ 以上のように敵の最終目標地点はオデッサあるものと推測される。 その通り道に我々がいるため、それを踏み潰していこうと考えているようじゃな」場所をブリーフィングルームに変えて、ノイエンは状況を話し始めた。「オデッサでの作戦に参加するということであれば我々が手出しをしなければ 敵も素通りするのではありませんか?」「ふむ、その可能性もないではない。 しかし、敵がこの基地を攻撃してくると分かってから準備するのでは間に合わない のも事実じゃ」ノイエンは一息ついた。「連邦軍もモビルスーツの量産に成功したと聞く。 しかし、まだその数は多くはない。 今回進軍してくる部隊も主力は戦車との報告である」「なんだ。あのへっぽこ戦車か。あんなのマシンガンの的でしかありませんぜ」G.G.がホッとしたような顔で言った。ノイエンは頷きながらも、厳しい顔を崩さずに話を続けた。「あの戦車の砲撃など、モビルスーツであればいとも簡単にかわすこともできよう。 じゃが、命中すれば行動に支障が出るくらいの十分な威力を持っていることも事実じゃ。 我々の基地は要衝に建てられているわけではない。 絶対数に大きな差があるこの状況で、見晴らしの良い基地周辺にずらりと戦車を 並べられて叩き合いの展開に持ち込まれるのは避けなければならない。 敵の戦車には代わりはいくらでもいるが、我々は代替パーツも不足している 状況なのだ。」「つまり、打って出ようというわけか」テツがつぶやいた。ノイエンを我が意を得たりとばかりに破顔した。「今回の戦いではむしろ、基地は我々の足かせになってしまう。 基地への被害も最小限にする必要もある。 少数であることの利点を生かすためには打って出るしかあるまい」「基地という守るべき存在がなければMSのフットワークが生きるというのは 理解できます。しかし、依然として、敵は大多数。こちらは少数のMSと 数輌のマゼラトップのみ。 いったいどういう作戦で挑みます?」 フラットが発したのは全員の疑問であった。 打って出て勝算があるのであれば最初からそうするに決まっている。 一同の目がノイエンに注がれた。「うむ・・・包囲戦じゃ」一同は耳を疑った。「おいおい、ご老体! 老いが進んでしまわれたか! 大多数の敵を少数の我々で包囲して攻撃できるわけがなかろう!」皆の気持ちを代弁するかのようにクマが叫んだ。「まあまあ、ご老体。そうカリカリすんな」ノイエンとクマは同じ歳である。ノイエンの顔にはお前にご老体呼ばわりされたくない、と書いてあった。「まさかのときのために調べていたことが役に立つとはのう。 ユッキー、説明してくれ」「あ~い!」緊張感のない声が部屋内に響いた。しかし、作戦を聞くうちに半信半疑だった各員の顔が驚きに変わった。ユッキーは鼻をこすりながら自慢げだ。「今回この作戦で行く。異存はないな」部屋は無言が貫かれた。「よし!ではA隊はわし、ゼロ、ピヨンセで出る。 B隊はテツ、G.G.。 C隊はフラット、クマ。 ほかのメンバーへの指示は追って出す。 作戦開始は8時間後。 以上。解散!」各員は立ち上がり、慌しく準備を開始し始めた。続く人気blogランキング
2007.06.26
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------ナハナハイムジャーナル 特別増刊号14ページ・・・(略)以上のように先の大戦において、ジオン公国軍のモビルスーツの機体番号は公国軍内で統一された付番体系ではなかったようである。そこで、ここでは地球方面軍所属の「東アジア方面軍」の話に限定して付番体系を検証していくこととする。比較的整理された付番が行なわれたといわれている東アジア方面軍においても、体系的な資料は残っておらず、わずかな資料及び実機に振られた番号からの推察であることを先に断っておく。東アジア方面軍では3桁の機体番号を使用していたようである。1桁目が基地番号、2桁目が小隊番号、3桁目が個体番号を表していた。たとえば、223であれば基地番号2 => デルタツー基地小隊番号2 => 第2小隊 狂銀小隊(Crazy Silver)個体番号3 => MS-06J ザクII(ナギサ・スカイウォーカー軍曹 搭乗機)という意味となる。なお、小隊長の機体番号は「0」を用いるのが一般的であったようだ。また、この機体番号はモビルスーツの左胸のあたりにペイントされていることが、戦後発見されたモビルスーツの写真から明らかとなっている。ただし、物資に乏しいジオン公国軍において、「小隊に何機のMSが存在するのか」を連邦軍に知らしめるような行為は自軍にとって不利なことこの上なく、個体番号が明記されていないケースも多かったようだ。下記はデルターツー基地、第1小隊隊長、フラット・ティガー少佐の先行量産型ドム・カスタムである。先行量産型ドム・カスタム本来であれば210という機体番号がペイントされているところであるが、この機体の左胸には01と小隊番号と思しき、番号が振られているのみである。以下、現在までに判明している機体番号を記す。デルタワン基地(中略)デルタツー基地004 MS-06F ザクII ノイエン中佐 搭乗機099 MS-05B ザクI ノイエン中佐 搭乗機01 MS-09C 先行量産型ドム・カスタム フラット・ティガー少佐 搭乗機210 MS-07B・F・T グフ フラット・ティガー少佐 搭乗機ドムカスタムの正式な機体番号は資料が散逸しており、不明である。211 MS-05Z ザクI改 G.G. 伍長 搭乗機212 MS-05L ザクI・スナイパータイプ テツ・サーカスタム伍長 搭乗機213 MS-09K ドムキャノン イーポン・イーヨー少尉 搭乗機219 MSM-04 陸戦型アッガイ マクシミリアン・ウィニー軍曹 搭乗機(後略)--------------今回は史料風味で書いてみました。人気blogランキング
2007.06.20
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現在進行中の小説「トーチャンガンダム」ですが、すみません、続きはもう少しお待ちください。頑張って執筆中です。んで、ノイエン中佐のモデルとして登場していただいているビッター8042さんから、「トーチャンガンダムに登場する各MS達の機体番号を設定して(^-^) 立体栄えするのではないか思い、面白いのではないかと思います」というアドバイスを頂きました。ふむふむ、立体と言えば、現在、モデルとしてご協力いただいているビッター8042さんと、2G-G2さんが小説での設定を活かしてMy モビルスーツの作成を行ってくださっています。自分の小説の行く末以上のこれらのプラモの完成も楽しみなわけですが、確かにこれらにきっちりとした機体番号が設定されていれば作成する時に色々使えて面白いかもしれませんねーーーというわけで・・・・・・・・・><機体番号ってどういうレベルでどういう順番で振られるものかご存知の方、いましたら教えてください~><今回登場する部隊は東アジア方面軍のデルタツー基地所属、と設定はあるんですが、機体番号って基地レベルで振られるものなんですかねぇ?んで、さまざまなMSが混在している状況でどういう順番で振るのが正しいのか・・・ある意味、妄想の世界で良いのかもしれませんが・・・ある程度規則性があるのだったら、それには則りたい所です。人気blogランキング
2007.06.17
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------今回の防衛戦の章で活躍する新キャラをご紹介します。名前:G.G. 伍長搭乗機:MS-05Z ザクI改第一小隊:深紫小隊(Deep Purple)所属。陽気な酒好きのオッサンでMSはいつも飲酒運転の危険なヤツ。本人曰く「戦場には間違って踏んで困る敵はいないし、 間違って踏まれるような情けない仲間も必要ない」が、基地内で飲んだ後はMSはおろか自転車にも乗らない。以前、酔っ払ってMSに乗り、格納庫のドアを蹴飛ばしてユッキーに大目玉を食らったのが相当堪えている模様。こんな彼だが、MSの操縦の腕は確かで信頼できる。ごちゃごちゃと改修を施した彼の機体はザクIIのパーツを流用している部分が多数あり、個々のパーツの性能はノーマルなザクIより高いものの、バランスはあまり良くない。テツとは幼馴染で、飲み友達であり、戦友である。抜群のチームワークで多くの作戦をこなしてきた。趣味はサッカー。モデルは2G-G2さん名前:テツ・サーカスタム 伍長搭乗機:MS-05L ザクI・スナイパータイプ 第一小隊:深紫小隊(Deep Purple)所属。G.G.とは同じ年とは思えない若々しい風貌。ナンパな性格で、基地内の女の子という女の子に声をかけている。なかなかのルックスと軽妙な話術で、ナンパ成功率は意外にも高く、昼夜問わず活躍している。本人の好みで機体はスナイパータイプとして改修されているが、彼の射撃の腕はぎりぎり平均レベルと言う始末で、遠距離からの狙撃が当たったことはほとんどない。しかし、格闘戦での動きは悪くなく、基地内の仲間からはグフへの乗換えを勧められているが、頑なに拒んでいる。G.G.とは幼馴染で、飲み友達であり、戦友である。趣味はエアブラシによる塗装。特注の大型エアブラシを調達し、MSの塗装もやったりしている。ユッキーのザクの塗装は彼が暇を見つけて一人で行ったものであるが、非常に素晴らしいデキと評判である。モデルはTっささん彼らがどんな活躍をするか・・・お楽しみに~人気blogランキング
2007.06.06
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------基地指令であるノイエンは視察に訪れていた少将の命令を無視して、拠点防衛作戦を開始しようと決意していた。-------------「よお!」ノイエンが勢い良く部屋を出ると、外には一人の男が立っていた。通称、クマ。ノイエンのもっとも信頼できる部下であり、おない年の親友でもある。「その顔は・・・やっぱり少将にやらかしたのか」「フフ、さすがクマ、察しが良いな」歩きながら、会話を続ける。「あの少将、この基地を見捨てて、自分だけ助かる方法を考えろ、なんて言うもんだから 危うく殴りつけるところじゃったわい」「ふむ、殴るのは我慢したのか。大人になったのう」「当たり前だ。わしは前から大人じゃ。 勝手なことをされると困るんで、部屋は外からロックしてやったけどのう」「ムハハ、少将も頭は良いんじゃ、これで腹を決めて、協力してくれれば良いのじゃが」誰もいない休憩室に入り、コーヒーを2つ入れて、席に着いた。「んで、どうするんだ?少将に啖呵切ったからには勝算はあるんだろうな?」「まあな」「ほほう!用意が良いな。 じゃあ、まずは作戦への参加メンバーを聞こうじゃないか?」「今のところ、俺とお前、2名じゃ」「・・・」「どうした?そんな顔して? お前の好きなヤポンでは、『はとが豆鉄砲くらったような顔』って言う んだったか?」クマは頭を掻きながらあきれたようにつぶやく。「・・・やれやれ、昔から無茶する奴だったが、ここまで無鉄砲とはのう」「ケッ!あんなこと言われて黙ってみていろとでも・・・」「じゃが、そこがノイエン中佐の良いところでありますな」ノイエンの話を遮るようにクマは言葉を紡ぎ、ニヤリと笑った。「そんなこと言っても、何も出んぞ」ノイエンもニヤリと笑い返す。「もちろん、このまま二人だけで戦うつもりはない。 しかし、勝ち味の薄い戦いな上に、少将の命令を無視して戦うわけだ。 強制するわけにはいかんだろう。」「いいえ、逆に制止したって、出ますよ」突然背後から声をかけてきた若い声・・・「フラットか」ノイエンは振り返りもせずにつぶやいた。「この期に及んで、我々に罪が及ばないようにするとか、しないとか そんなこと言っていられないでしょう! 第1小隊、第3小隊、ミイコやユッキーの協力は取り付けました。」「そうですよ、指令!基地の危機を見過ごすわけには行きません」ユッキーが大きな目を輝かせながら、話に入ってきた。厄介な事態にもむしろワクワクしているかのようだ。うつむき加減に皆の話を聞いていたノイエンはぼそりとつぶやいた。「・・・立ち聞きはいかんぞ、立ち聞きは」それはノイエンの照れ隠しであることは誰の目のも明らかであった。続く人気blogランキング
2007.05.15
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------男「・・・ というわけだ、至急準備しろ」男「お言葉ですが、少将!」少将と呼ばれた男の神経質そうな顔はこわばり、眉がつりあがった。少将「中佐。私は相談しているのではない。命令しているのだ」中佐「・・・」少将「わかったら、3時間以内に私が無事この基地を脱出できるよう 準備を開始しろ。この基地も将兵も犠牲にしても構わん」中佐「・・・せん」少将「ん?」中佐「できません!!」少将「貴様、自分が何を言っておるのかわかっているのか?」中佐「はい、わかっております。 要するに少将を命をかけてお守りすればよろしいのですよね? このノイエン、全身全霊をかけて、少将、基地、将兵をお守りいたします」少将「おい、ノイエン、貴様!」中佐「自分はこれから拠点防衛作戦に向けて行動を開始いたします。 少将殿におかれましてはこちらでじっとしていただければ幸いです。 失礼します。」最敬礼をした中佐は返事を待たずにきびすを返し、ドアへ向かった。少将「ば、ばかもん、戦力差がどのくらいあると思っているんだ。 守りきれるわけがなかろう。 わ、私という人材が失われることが公国にとってどれだけの損害だと・・・」中佐はもう何も聞こえないかのように部屋を出て行った。中佐「さて、パーティの始まりだな」続く--------------久しぶりに書いてみました。とーちゃんガンダムの外伝、新シリーズです。ノイエン中佐というキャラが、以前はMS-05 ザクIに乗っていたという設定を書いたところ、このキャラのモデルであるビッター8042さんがなんとそれをイメージして、プラモ(もちろんザクI)の製作を行っております。それに私も触発されて、「じゃ、中佐がザクIに乗って活躍した話を書いてみるか」と思って書き始めてみました。これにビッターさんが触発されて、がっつり完成までもっていってくれることを祈ります(^-^)人気blogランキング
2007.02.22
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------Scene1:オヤジ「ふいー、アレから抜け出すためとは言え、派手にやっちまったなぁ。 セパ班長にどやされるな。 いや・・・もとはと言えばセパの野郎がトンデモブースターを付けて くれたのが、苦戦の始まりだった! さて、セパにはどんなお礼をしてもらおうか・・・」--------------Scene2:隊長「マコト、マコト!生きてるか?」男「ああ!隊長!!!隊長~!!!」隊長「なんだいなんだい、泣くことはなかろう。 初出撃のお前を一人にしてしまうなんて、まんまと敵に作戦にはまって すまなかったな。 それをお前は生きのびたな。良くやったぞ。」男「・・・はい」---------------Scene3:ヘッドセットを外す女女「ふう、彼って何を言おうとしていたのかしら・・・ まさか・・・」「告白!?キャーキャー」隊長「おーい、何騒いでんだ?無事か?」女「あ、はい、脚部を一部破損しましたが、あとは問題ありません。 敵は不明ですが、退却したものと思われます。追撃しますか?」隊長「冗談じゃない。こっちは満身創痍だ。 敵さんが退却してくれてかえって助かったと思っているくらいだよ。 さあ、ピクニックはおしまいだ。帰還するぞ」女「はい!」隊長「家に帰るまでが遠足だぞ!警戒怠るなよ!」---------------表へ続く人気blogランキング
2006.04.29
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------前回までのあらすじアッガイを駆るクマはガンキャノンと対峙していた。ガンキャノンの撃破は時間の問題と思われていたが・・・------------クマはだんだんイライラしてきていた。ガンキャノンの射撃はお粗末なもので、初弾こそアッガイに向かって飛んできたが、次第に、的外れな砲撃ばかりとなっている。反応も遅く、間の取り方も適切ではない。そんな動きではアッガイの突進を食い止めることは不可能であり、ガンキャノンは、何度となくアッガイに肉迫を許している。にも関わらず、クマの駆るアッガイをもってしても、未だにガンキャノンを仕留める事ができずにいた。先ほどもこちらのフェイントに体勢を崩した瞬間にクローを打ち込んだものの、崩れた体勢を利用して、そのまま後ろに転ぶように倒れこむことで回避され、逆に、蹴りを喰らってしまったのだ。そのまま追撃されていれば危ないところであったが、その後の砲撃は相変わらず精度は低く、難を逃れる事ができた。ヘタクソな(ように思える)敵パイロットにてこずっている自分にイライラしていたクマであったが、戦うにつれ、だんだん様子が読めてきた。敵は実戦経験は乏しいルーキーで、もしかしたら今回が初出撃かもしれない。そのせいで、右足と右手を一緒に出しそうなほどの操縦しかできていない。しかし、訓練は十二分すぎるほどに積んできているのであろう。ピンチになると頭で考える余裕がないために、訓練が染み込んだ体の方が反応しているように見える。「反射に近い形で動けるほどしっかりと訓練されているとは・・・ 訓練官はなかなかの手腕のようじゃな。 だが、今のままでは宝の持ち腐れじゃ」ギリギリまで追い込むのは得策ではないと踏んだクマは敵の攻撃を軽くかわしながら、のんびりと近付いていき、フェイントもかけず、大振りのクローやキックを幾度となく繰り出してみた。目で追える程度のスピードで懐に入り込もうとしてくるので、視覚に頼り過ぎる。キックもそれほど鋭いものではないので、どう避けようか考えてしまう。そのいずれもガンキャノンの動きをぎこちないものにしていた。たわいもない攻撃であるはずだが、ガンキャノンは何度となく受け損ない腕や脚部で何とか攻撃をブロックし、致命傷を防ぐという事が続く。クマは何度目かのローキックを打ち込んだ。アタフタしているうちにキックは膝に命中し、ガンキャノンは吹き飛んだ。「この部位では致命傷にはなりえないが、こう何度も攻撃を受けては・・・」クマの言葉を証明するかのように、ガンキャノンの左膝はおかしな方向に曲がり、バランスを維持するのがやっととなっていた。と、その時、クマは退却の発光弾が上がるのを見た。フラットのものである。「フラットのヤツ、しくじりおったか・・・」退却の発光弾を上げたということはフラットは敵を撃破できずに退却したと言うことであろう。あと一押しでガンキャノンを撃破することはできる。しかし、ほどなくガンダムはこちらへ向かってくるだろう。ガンキャノンに粘られて、ガンダムと併撃されてはたまったものではない。無理することはない。今回はこちらは無傷でガンキャノンに損害を与えたこと、敵パイロットの腕を確認できたことで満足することとしよう。「ガンキャノンのパイロットよ!その命預けたぞ!」動けないガンキャノンを尻目に、アッガイは一気に加速して、ガンキャノンと距離をおいた。「次会う時にどんなパイロットになっておるかの」敵ながら成長を楽しみにしている自分がいることに、クマは驚いた。人気blogランキング
2006.04.27
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本日の2本目です。今までのまとめは上記のバナーをクリック!--前回までのあらすじ--相手の出方を待つために待機状態となったイーポンは暇つぶしに作戦中にも関わらず、コックピットで携帯ゲーム機でオンラインゲームを始めた。そこで、sevenというキャラと出会った。----------------------「sevenさんはどんな仕事しているんですか?」「私?私はね・・・そう、オペレータよ。 社内の電話の取次ぎとかしているの」「そうなんですか~大変そうですね」「でもね、今の上司は面白い人なのよ~ いつもお子さんの話ばかりしていてね、 この間は朝起きて開口一番『カニのおなかからカニがでたー!』って 言われたんですって」「ハハハ、変な上司ですね~」「ウフフ~」会話が止み、しばらく狩りに専念していた。イーポンは何度も口を開いては閉じ、また開いては閉じた。ネットゲームでリアルのことを根掘り葉掘り聞くのはマナー違反だ。自分だってそんなことを聞かれたら、不愉快になるし、軍人である以上、リアルのことで話せることなんてわずかである。しかし・・・(あなたはどなたですか?)その時、イーポンは外が突然明るくなったのに気付き、ハッと声を上げた。外には発光弾が上がっていた。フラットからの退却命令である。発光弾が上がり、混乱気味のこのタイミングであれば移動しても敵から発見される確率はぐっと下がるだろう。命令通りさっさと引き上げることにしよう。「sevenさん、リアルで急用ができたんで、これで失礼するね」「あ、そうなんだ・・・ 私も・・・そろそろ落ちようかなって思っていたところだから気にしないでね」彼女の優しさがうれしい。「sevenさん」「はい?」「・・・今度会えたら・・・僕の質問に・・・」聞き取れないほど小さい声でつぶやいた。「え?」「いや、なんでもないです。じゃあ、コレで失礼します」「はーい」ゲーム機の電源を落とし、ヘッドセットを外しながら、イーポンは大きく息を吐いた。(僕は何を言おうとしていたんだ?)イーポンは頭を振った。しかし、ある想いが頭から離れなかった。発光弾を見た時、イーポンはつい声を上げてしまったが、同じタイミングで、ヘッドセットの奥から聞こえたのだ。sevenのハッと息を飲む声だった彼女と自分は同じ風景を・・・?(そんなことあるわけない)イーポンはもう一度大きく頭を振って、変な妄想を頭から追い払い、ドムの操縦に集中した。
2006.03.09
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------Z3 onlineとは古く中世期の時代から存在していた剣と魔法の世界を舞台としたオンラインゲームでA -> B -> C ・・・と徐々にバージョンアップを繰返し、現在のZ3に至っている。特徴は携帯型ゲーム機を使用しており、いつでもどこでも楽しめることである。またオンラインゲームの醍醐味である「チャット」はボイスチャットを採用しており、入力はヘッドセットで行う。この戦時下にいったいどうやって維持しているのか分からないが、ジオン軍と連邦軍による戦争が始まってからも、Z3 onlineの運営は続けられ、ミノフスキー粒子が非常に濃いエリア以外はたとえ戦場や基地内であってもネットワークへの接続ができた。軍事衛星回線の一部がハッキングされ、このゲームのネットワークとして利用されているという荒唐無稽な噂もあるが、真偽は不明である。イーポンはゲーム内ではアーチャー(弓使い)として活躍していた。3次元でリアルに表現されるゲーム内ではイーポンの遠距離視認能力が役立ったのである。「やあ、sevenさん」「あら、ポンさん、こんにちは」ポンとはイーポンのゲーム内の名前である。ポンが敵と戦っている時に、最近良く出会うsevenさんが通りかかったのだ。「一緒に狩りでもしましょう」「あら、よろしいことよ」sevenは魔法使いだ。彼女(言葉使いから勝手に想像したものだが)も遠距離攻撃を得意としている。二人とも防御力は低いので、接近戦は不得意だが、息のあった攻撃で、敵が近くに寄ってくる前に次々と殲滅していく。彼女と狩りをするのは非常に楽しい。(彼女は一体どんな人なんだろう?)最近こんなことを良く思うようになっていた。唐突にsevenが話しかけてきた。「ポンさんはお仕事何しているんですか?」sevenとは狩りは何度かした事があったが、リアルのことを聞かれたのは初めてだった。いくらイーポンといえども、ジオン軍人であることを言うわけにいかないことくらいわきまえている。「えと、乗り物に乗る仕事です」自分でもあまりにも苦しい言い訳だな、と思った。しかし、sevenは良いように解釈してくれたようだ。「まあ、レーサーか何かですか?」「え?まあ、そんなところです」「レーサーって恐くないですか?何キロくらい出るんですか?」えっと、ドムは・・・「最高300キロくらいです」たわいもない話をしながらリラックスした時間がゆったりと過ぎていく。続く
2005.12.15
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「ハア、フウ、ハア、フウ」緊張した面持ちで、呼吸を繰り返すイーポンの顔は真っ青だった。苦しい・・・プレッシャーが重くイーポンにのしかかり、まるで呼吸の仕方を忘れてしまったかのような不器用な息の吸い方、吐き方だった。ふと見ると、時計はまだ5分と進んでいない。時間も進みを止めてしまったかのようだ。ドムのコックピットの温度は一定に保つよう制御されているはずであるが、イーポンはさっきから汗が止まらなかった。たまらずイーポンはヘルメットを外した。「いったい・・・どうすれば・・・」周囲は物音一つない。イーポンの声もすぐに静寂の中に掻き消えた。(このままずっとドムの中で暮らすことになって餓死するのかな~)思考回路もおかしくなっているのかもしれない。イーポンは突拍子もないことを考えている。(餓死するくらいなら、いっそのこと特攻して華々しく散るか)(いや、それこそ、敵の思うツボだ)(ツボっていやあ、ノイエン司令、壷好きだよなぁ。 あんなガラクタどこが良いんだろうなぁ)(あーあ、敵の位置さえ分かったらなぁ)ん?俺、何か言ったか?敵はなぜ攻撃してこない?オレノ イバジョガ ワカラナイカラ・・・そうか!!!!イーポンの楽観的思考回路に突然閃光が走った。敵が攻撃してこないのは自分と同じくこちらの正確な位置が掴めていないからだと思っていた。それはその通りだ。だが、もう一つ、自分と同じ思いがあるはずだ。正確な射撃をしてくる敵、つまりイーポン様に恐れをなしているのだ!!敵に恐れをなしているのは自分だけではないのだ。楽観主義はここまで来るともう止まらない。そうだ。敵は俺のことを恐がっている。敵は恐くてコックピットでブルブルと震えているに違いない。こちらが先に手を出すようなことをしなければ絶対に負けることはないのだ。こちらから事態を打開する手段は分からないけど、フラット少佐がそのうち助けにきてくれるだろう。途端に気分が楽になった。リラックスして、体力を蓄えながら、助けを待とう。そうと決めたら、こうしちゃいられない。「リラックスするんなら、コレだね」イーポンは携帯用ゲーム機を取り出した。Z3 onlineゲーム機にはこんなタイトルが浮かび上がってきた。続く
2005.12.14
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------ガンダムがもがいている。罠にかかったライオンが抜け出そうとしているかのようだ。ガンダムはこちらへ向かってくる素振りをみせた。「無駄だ!大人しくお縄を頂戴しろ」フラットは余裕が出てきたのか、ヤポン好きのクマが良く言うセリフを真似てみせた。うまく動けないようではあるが、ガンダムは頑強に放電に耐えている。パイロットもかなりの痛みであろうに失神もせずにいるようだ。フラットはヒートワイヤーへの出力を最大にした。出し惜しみしている場合ではない。奥の手を出してしまった以上、ここで一気にケリをつけなければこちらが苦しくなるのだ。バババババッ!!ガンダムは白い光に包まれた。カッ!ドーーーーン!「やった!」フラットは快哉(かいさい)を叫んだ。しかし、爆炎の中から、ガンダムが飛び出してきた。「バカな・・・」ガンダムは自身の左腕を切り落として罠から抜け出したのだ!ガガガガ・・・ヒュィィィィィィィィィン・・・・不規則な音を立てていたガンダムのバックパックが規則的な音に変わり、キレイな火花を散らした。エースとはいくら調子の悪いMSでもどうしても動いて欲しい時に、動かす事ができるものだ。腕も必要だが、そういう天運も備わっていなければ数々の戦いを生き残ることはできない。そういう意味でも、今この瞬間、ガンダムを動かすことのできたこのガンダムパイロットは間違いなくエース中のエースなのだろう。ガンダムは猛進してきた。フラットはヒートサーベルに火を入れようとするが、ヒートワイヤーに出力を使いすぎたため、なかなか出力が上がらない。「クッ」ガンダムがビームサーベルを振り下ろす、フラットはヒートサーベルで応戦した。ガキッ!受け止めたのも束の間、グフのヒートサーベルは一瞬で砕け散った。だが、ヒートサーベルは僅かながら効果を発揮し、コックピットを狙ったビームサーベルの軌道はわずかに逸れた。ビームサーベルはグフの右肩を大きくえぐるに留まった。しかし、武器も破壊され、肩部分も大きく破壊された状態ではもはや勝機はない。フラットは一気に後方へジャンプした。敵もバックパックに不調を抱えているのだ。追っては来まい。退却命令の発光弾をフラットは発射した。クマもイーポンも無事でいてくれれば良いのだが。予想通りガンダムは追ってこないようだが、フラットはどうしようもないほどの敗北感を味わっていた。
2005.12.09
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本日の第2弾です。今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「どすこーい」気合と共に放たれたアッガイの突きは寸分違わずガンキャノンのコックピットへと伸びていく。連邦軍のモビルスーツの装甲は非常に厚い、と聞いている。ザクマシンガンの直撃を受けてもビクともしないらしい。だが、アッガイのクローも鋭利な超硬質スチールでできており、さらにスピードを殺さず、流れるような動作で放たれた突きはアッガイの重量を乗せ、凄まじい運動エネルギーとなって敵の装甲を打ち抜くこととなる。分厚いコックピット周りの装甲であろうと無事でいることはまず不可能なはずである。アッガイの動きに翻弄されて、金縛りにあったかのように立ち尽くしていたガンキャノンであったが、アッガイの攻撃が命中しようかという直前に、突然慌てたように腕を振り回した。バキィィ!!!!「むぅ」突きは胴体には命中せず左腕に阻まれた格好となった。左腕はアッガイの突きを受け、肘下から吹き飛んだが、その結果に満足するようなクマではなかった。「タイミングといい、角度といい、避けられるような攻撃では なかったんじゃが・・・」偶然か?それとも・・・?「踏み込みが甘かったか。 気付かぬうちに油断しておったのかもしれんの」兵器において、致命傷となるポイントと言えば、コックピットと動力部と言うことになるだろう。モビルスーツとてそれは例外ではなく、コンピュータにオートで攻撃箇所を選択させるとコックピットとなる事が多い(最も効果的だからだ)。逆に言えば、攻撃を受ける側からすれば、読みやすい攻撃であるとも言えるのだ。クマが「気付かぬうちに油断しておった」と言ったのはあまりにあっけなくベストポジションを確保できたために、攻撃も直線的になってしまった事を言っているのだろう。 「まるっきりヒヨッコというわけでもなさそうだ」ガンキャノンは今の攻撃で大きくよろけながらも、何とか持ち堪え、60mmバルカンを発砲してきている。そんな体勢からの射撃が当たるわけがなく、ほとんど威嚇にすらなっていなかったが、逆に腕一本持っていかれても闘志を失わない敵パイロットにクマは興味を抱いた。「ふむ、ふんどしを締め直してかからんとまずいかの」もちろん比喩のはず・・・である。彼がパイロットスーツの下にふんどしを締めていないことを祈りたい。続く
2005.11.17
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------Scene1:「なんじゃこりゃ~」女「中尉どうしたんですか?」「どうもこうもない。機体とバーニアのバランス設定めちゃくちゃだよ! パワーがあれば良いってもんじゃないんだけどなぁ。 セパ班長の今までの3倍は出力が出るなんていう言葉に 乗った俺がバカだった・・・」女「私が換装手伝ったんですよ(^-^)」「最悪だ・・・ 道理で出力調整もめちゃくちゃなわけだ・・・」女「え、そうですか?踏んだ時、ブゥワーとパワー出て ドキューンって行けるようにセッティングしておいたんですが」「・・・なあ、聞いてくれよ、マコトォ(>_
2005.11.11
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本日の第2弾です。今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------危機は脱したものの状況は良くない。フラットはガンダムの出方を伺う。相変わらずガンダムの動きは鈍い。ご自慢のバックパックから出る火花もさっきより不規則に見える。「・・・?」もしや・・・「俺の考えが正しければ攻めるのは今を置いてなかろう、良し!」グフはガンダムに向かって走り出した。ガンダムはその場から動かず、両サーベルを交差させて、防御体制を敷く。「いくぜーーー!」グフは一気にジャンプし、空中からシールドを投げ付けた。うなりをあげて飛んでいくシールドであったが、ガンダムは苦もなくサーベルで両断した。しかし、次の瞬間、その両断したシールドの隙間からヒートワイヤーが飛んできてガンダムの左腕に絡みついた。「フフフ、やはりバックパックが不調なのだろう?避ければ良いところだが、避けられないから、サーベルで弾く。サーベルで弾いた後の無防備な状態ではヒートワイヤーは避けられない!すべて読みどおりだ!」ジャンプしたフラットはシールドを投げ、右手に持っているヒートサーベルをいったんドロップし、ヒートワイヤーを投じたのであった。着地と同時にヒートサーベルを左手で拾い上げ、すぐさま放電を開始した。フラットのグフが装備するヒートワイヤーは通常のグフの装備するヒートロッドのように溶断機能はなく、放電機能に特化&強化しているが、実戦的にはかなり効果的であり、放電で電子回路がショートすれば簡単に敵MSを無力化できるのだ。非常に強力ではあるが、飛び道具としては速度が遅いため、普通に使ったのでは簡単に避けられてしまう。フラットは敵が動けないことを見越して、シールドの影になるようにヒートワイヤーを投じたのであった。このままいけば勝てるかもしれない。フラットは一瞬そう思った。しかし、ガンダムのパイロットはこのまま引き下がるようなパイロットではなかった。続く
2005.11.04
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------左手にシールド、右手にサーベルを身構えたグフを駆るフラットはガンダムの攻撃に備えて身構えた。ガンダムは間欠的にバックパックから派手な火花を散らしている。こちらを威嚇するための空吹かしなのか?意図は良く分からないが、相変わらず派手である。両手にビームサーベルを構えたガンダムは両腕を大きく広げ、猛禽が羽根を広げているかのような構えから一気に突進してきた。来た!フラットはダッチン中尉のアドバイスを思い出していた。まだだ。ヒートサーベルに火を入れるのはもう少しひきつけてからだ!と、ガンダムのバックパックからひときわ派手な火煙が上がった。その途端、ガンダムの突進は急加速した。迅い!信じられないような加速力だった。今からヒートサーベルに火を入れても間に合わない。やむなくフラットはガンダムの一撃目をシールドで受けようと左手を上げた。ガシィィィィィン。加速に乗って繰り出されたガンダムのサーベルをグフのシールドが受け止める。ヨシッ!このスキを利用して、サーベルに火を入れ、ガンダムに切りかかれば・・・「うわああああ」ガンダムの加速も予想外ならば、そのパワーもフラットの予想を遥かに超えるものであった。振り抜いたガンダムの一撃にグフは体ごと吹っ飛ばされたのである。瞬時にスラスターを吹かし、何とか無様にひっくり返ることは避けたが、しりもちをついて、しゃがみこむグフ。そして、シールドに目を移して、驚く。ガンダムのサーベルを受けた部分はほとんど溶けかかっていて、あと僅かで切断されかねない状態であった。ガンダムの加速にパワーがあり過ぎたために吹き飛ばされたのが幸いだったようだ。もし、ガンダムのパワーを受け止めていたら、そのままシールドごと両断されていたかもしれない・・・「こりゃあ、とんでもねえバケモンだ」だが・・・「だが、追撃してこねぇなんて、詰めが甘いな!」圧倒的にガンダムが有利な状況にも関わらず、ガンダムの動きは鈍い。グフは立ち上がり、危機を脱した。続く
2005.11.02
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------ミイコがよそ見をしている間もユッキーとウィンザーの戦いは続いていたのであった。「・・・なので、とっても忙しいんです、その上金欠です」「でもアイスくらいのお金あるでしょ?」「ダメったらダメ!」あまりにつれない返事にユッキーの顔が曇る。ウィンザーを部屋の角に連れて行き、小声で話しかける。「そんなこと言うとこの間お願いされて調達したビデオ、何てタイトルかミイコに言うわよ!」「おいおい、秘密保持契約したじゃないか~」「『業務上知りえた知識は公言しません』ミイコにしか言わないから契約違反には当たらないのだ!」「なんだよその理屈~」だいぶ動揺しているようだ。すると、ユッキーは今度はうって変わってやさしい声で話し始める。「それにほら、私とミイコでアイス食べようと思ってたんだけど、おごってくれるんなら、ウィンザーも同席させてあ・げ・る」「み、ミイコさんと一緒にアイスを・・・」「そうよ。悪くないでしょ?」ユッキーはウィンザーの了承を得ずに振り返った。考える時間を与えてはならない!「ミイコ!ウィンザー軍曹がアイスおごってくれるって~」「まあ、本当ですの?ウィンザーさん」さすがにウィンザーもユッキーにはめられていることくらい分かる。でも、ミイコと一緒にアイスを食べられるのは事実だ。・・・仕方がない。今回はユッキーに騙されてやるか。「も、もちろんです。ぜひおごらせてください」ユッキーはウィンザーに見えないようにミイコにブイサインを出した。ミイコはにこやかに微笑み返す。ミイコはウィンザーが入手したビデオのタイトルをいまさら教えてもらう必要などない。なぜなら・・・既に知っているから。実際に調達を行うのはユッキーだが、受注状況の管理などの裏方は全部ミイコがやっているのだ。裏方に徹しているので、ミイコが絡んでいる事を知る者はいない。二人だけの秘密だ。ウィンザーはそんなことも知らずにいそいそとアイスを買いに行った。その後、ウィンザーは美人二人の囲まれ、しばし至福の時を過ごすが、作業をその日のうちに終える事ができず、上官のゼロ大尉に大目玉を喰らうのであった・・・ああ、合掌。
2005.10.15
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本日の第2弾です。今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「ミイコ~アイス食べよー!ミイコのおごりで」「あらあら、随分なご挨拶ね。もう少しで資料の整理が終わるから少し待ってて」「わかったのだー」ミイコは私室に戻ってからも事務処理を続けていたようだ。しばらく大人しく壁に飾られた絵を眺めていたユッキーだが、不意にミイコに近付いていき、コンピュータを覗き込む。「T・O・C・A・G・・・ああ!あのモビルスーツの資料かあ」「ええ、今までの戦闘で得られたデータをまとめていたのよ。うちの基地で戦ったことのある人は少なくて、情報不足だから、他の基地にも連絡して集められるだけの資料を集めてみたわ。私はモビルスーツに乗って戦う事はできないけど少しでもみんなの力になれればと思って。」「ふーん・・・オペレーターのミイコが戦闘データの集計ねぇ。専門外の仕事でも彼のためとあれば・・・」ニヤニヤしながらユッキーはミイコを見つめる。「ち、違うわよ!まとめておけば誰でも使えるでしょ!ほら、汎用的な形にまとめてあるからシミュレータやその他どのシステムでも使えるのよ!」「ははあ。なるほど。とーーーっても便利そうですね。あいつ、リベンジに燃えているもんね~。間抜けで鈍感なあいつのどこが良いんだか」みいこの顔が赤くなる。「あ、ちょうど終わったわ。アイス食べるのよね、行きましょ」コンピュータの電源を落としながらミイコがそそくさと立ち上がる。これ以上からかうのはまずいと思い、ユッキーは素直に従い、連れ立って部屋を出た。「で、アイス食べるのは良いけどおごるのは無理よ」「大丈夫大丈夫。ユッキー様に任せなさーい。えーとね・・・」ユッキーの眼が瞬間的に獲物を探すハンターのように鋭くなった。そして・・・見つけた。スキップをしながら、獲物に近付いていく。「ウィンザーちゃーん、ねえねえ、アイスおごってよ~」「ん?なんだ~いきなり。武器弾薬の整理、模擬戦の考察レポート2本、シミュレータ5セットこれを全部明日までにやらないといけないの。なので、とっても忙しいんです、その上金欠です」ここは第3小隊の溜まり場らしく、少し離れたところではノイエン司令とピヨンセ少尉がなにやら話している。どうやらノイエン司令が新しく買った骨董を造詣が深いピヨンセ少尉が鑑定しているようだ。「・・・というワケで、底の部分にマンセーマークが付いてないでありまうす。 つまり・・・」「つまり?」ノイエンはゴクリとつばを飲む。「これは真っ赤な偽物でありまうすね」「そ、そんなぁ」「ノイエン司令また無駄使いしちゃったみたいね」ミイコはくすくすと笑った。続く
2005.10.14
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------オレンジ色のガンダムはいきなり、バズーカとマシンガンを投げ捨て、両手にサーベルを構えたのである。フラットには一瞬何が起こったのか理解できない。いくらなんでも、この距離で飛び道具を捨て、格闘戦装備に切り替えるのは早すぎる。先ほどの避け方を見て、砲撃を当てるのは無理と判断したのだろうか?それとも、よほど格闘戦に自信があるのだろうか?「グフを駆っている俺を・・・挑発してやがるのか?」積極的に戦う必要は必ずしもない。飛び道具を捨てたのなら、この距離を保ったまま時間を稼ぐのも悪くない。だが・・・----------------------「ビームサーベル?」聞きなれない言葉に思わずフラットはオウム返しにつぶやいた。雑談していた時に、ダッチン中尉が教えてくれたのだ。ダッチン中尉はデルタツーから編入されたパイロットだが、パイロットにも関わらず、ミノフスキー物理学を修めたユニークな経歴の持ち主である。テーブルには「The 改造」「Model Graphics」「キャノン砲大百科」「月刊ミノフスキー」「相対性理論とAMBAC」「核融合炉の歴史」など硬軟様々な雑誌が並んでいる。いずれもダッチン中尉の愛読書だ。「そう、簡単に言うとビーム--メガ粒子ね--を袋に入れて、棒状のアイスみたいに固めたものって感じです」遠くでおしゃべりをしていたユッキーとミイコが「アイス」と聞いてサッとこちらを見た。「すまん、なんでもないぞ~」二人はがっかりしたような顔をしてまたおしゃべりに戻っていった。「分かったような分からんような・・・」「まあ、理屈は分からなくても良いですが、要は非常に危険なシロモノってことですね。ザクの装甲なんてバターを斬るくらい簡単に行きます。シールドでも一撃防ぐことができるかどうか・・・。私は、ガンダムの強い道理がここにあると踏んでいます。」洒落にならん・・・フラットは慄然とした。「ただ、まったく受け止められない、というわけでもないようです。ヒート剣の出力を最大にすれば受け止められるかもしれないとの研究発表が「月刊ミノフスキー」に載っていたんです。ヒート剣の出力を最大にした際の熱エネルギーと付随的に発生する超強磁界の影響により・・・って理屈はどうでも良いですね。ただ、ジオン軍ではビームサーベルは理論上は確立していますが、実装上の問題があり、検証実験はできていません。あくまでも、机上のお話です。仮に受け止められるにしても、ヒート剣を最大出力で使用すればモビルスーツ本体のジェネレータにかなりの負荷がかかる上、ヒート剣自体が高温で溶けてしまう恐れもあります。」「最大出力にしたら一気にケリをつける覚悟が必要ということか」「その通りです。時間の経過と共に不利になっていくと思います。まあ、私なら接近せず、砲撃で倒す方法を考えますけどね。」----------------------「グフ乗りが接近戦の誘いを断るわけにはいかねえな!・・・良いだろう、その挑発乗ってやるよ!」フラットは覚悟を決めた。ヒートサーベルを引き抜き、身構えた。続く
2005.10.12
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「きたな」焼け焦げんばかりに派手にブースターを噴かして近付いてくるモビルスーツ。先ほどまで黒い点に過ぎなかったが、今や、ド派手なオレンジ色のガンダムの姿をはっきりと捉える事ができる。ガンダム・・・ジオン軍において「連邦の白い悪魔」と言えば知らないものはいない。しかし、基地内で実際見た者はおらず、情報の信憑性は今ひとつである。携行するビーム兵器は戦艦の主砲並みの威力で、一撃でザク10機を串刺しにできるとか、ジャンプで数百メートル跳び、空中で蹴りで航空機を撃墜したとか、およそ信じがたい情報ばかりである。そのガンダムタイプのモビルスーツがこの方面に配備され、大騒ぎとなった。噂の「白い悪魔」とは別機体と判明したが、後に「オレンジ色のにくいヤツ」と称されるこの機体はずば抜けた機動力と格闘戦能力を発揮し、ジオン軍兵士を恐怖に陥れた。そのガンダムと目視できるほどの距離で対峙しているのだ。数え切れないほど戦場を駆け巡ってきたフラットもさすがに緊張した面持ちである。ただし、今回の戦闘、ガンダムを倒す事が目的ではない。「損害を最小限に抑えつつ、敵にお帰りいただくこと」が目的である。戦闘とは「戦闘の目的」と「味方の損害」を天秤にかけて必要に応じて実施すべきものである。今回の戦闘は想定外の遭遇戦であり、こちらには「戦闘の目的」はない。人的にも物的にも資源が乏しくなっている昨今では無用な消耗は絶対に避けなければならなかった。そこでフラットは敵3機の中で最強のガンダムを引き受け、クマとイーポンの機体の損害を抑えようと考えたわけである。ガンダムは倒せなくても、残りの2機に損害を与えることで、敵が退却してくれることにフラットは期待したのだった。「とは言え、これを何とかしないと、俺が持ち堪えられるかどうか」これとはバズーカの携行してこなかったことだ。遠くオレンジ色のガンダムが佇んでいる。どうやら武器はバズーカとマシンガンのようだ。飛び道具に乏しいこちらから動くのはどう見ても危険だ。無理をせず、反転してガンキャノンと合流しようとしたら、それを妨害するという方針を固めた。すかさずガンダムはバズーカを構えて、発射してきた。計器が砲弾の接近を察知し、警戒音を鳴らしたが、フラットには射撃がわずかに右にずれているのを感じた。「避ける必要もない!!」どのくらいの反応速度で動けるかなど、手の内を見せるのはまだ早い。計器は狂ったように警戒音を鳴らしていたが、グフは微動だにせず、砲弾はグフの肩をかすめて外れていった。背後で大きな爆炎が上がった。「少しは警戒すべき敵であると分かってもらえたかな?ガンダムさんよ!」敵を驚かせるには十分であったようだ。すぐには次の攻撃は仕掛けてこず、間合いを計っている。時間を稼ぎたいフラットにとっては好都合であった。しかし、ガンダムのパイロットが出した結論はフラットの予想を大きく裏切るものであった。続く
2005.10.08
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------イーポンは祈るような気持ちでトリガを引いた。手ごたえは・・・ない。そして、今度の敵からの射撃はさらに正確でドムキャノンの胸元をかすめた。今のは命中しなかった方が奇跡に近いように感じた。イーポンは焦っていた。より正確に言えばパニック状態に近かった。イーポン・イーヨー後世の歴史家は彼の事を「接近戦を好む超長距離砲撃手」と矛盾した表現で説明する。超長距離戦もこなし、なおかつ接近戦にも強いという彼の特性を伝えたものであるが、敵が近付いてこようものなら、高価なロングレンジバズーカをあっさりとドロップする彼の性格が皮肉られているのだろう。なお、実際には、「接近戦を好む」ようになるのはもう少し後のことであり、今の彼はまだ「超長距離射撃のスペシャリスト」という表現が正しい。当然のことだが、当時の彼はこの距離で撃ち合いになるなど想像したこともなく、極度の動揺と焦りが彼を覆いつくしていた。落ち着け、落ち着け!楽天家のイーポンが恐ろしく動揺していた。肩で息をしながら、必死で状況を整理してみた。あれだけ正確な射撃であることから、移動しながらの射撃とは思えない。イーポンがウロウロしている間に、射撃ポジションを確保し、モビルスーツを固定して、この戦闘に臨んでいるようだ。そして今ではイーポンもモビルスーツを固定している。当然動き回りさえすれば攻撃を受ける可能性は低い。しかし、攻撃を命中させる可能性も低下してしまう。今の状態は両者ともに回避する事を捨て、攻撃に特化し、どちらが先に致命打を与えるかを競っているようなものだ。敵からの攻撃は3回。ここからコンピュータがはじき出した敵の射撃地点は十分信頼に値するものであった。しかし、100%命中、さらに言えば致命傷を与える事ができるかどうかはまた別の問題である。この距離であれば発射時点での数ミリのずれが着弾地点では数メートルの違いとなるのである。先ほどの敵の射撃を考えれば、今度下手な射撃をすれば、間違いなくこちらがやられる。そう思うと、イーポンはどうしてもトリガを押す事ができなかった。あと2撃、いや、あと1撃敵の射撃が見られれば・・・この思いは敵も一緒だろう。我慢強く沈黙を守っている。どうすりゃ良いんだ?先に攻撃した方が死ぬ、その恐怖がイーポンを硬直させ、額を脂汗が伝い落ちた。続く
2005.09.15
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------イーポンは十分に間合いを取り、戦闘体制に入る。敵はこちらを見失ったのか、積極的に距離を詰めてこれない。この距離ならドムキャノンに分がある。もらった!しかし、そう思ったとたんに、ジムから発射されたビームが隣に生えていた樹木をなぎ払うのを見て、イーポンは度肝を抜かれることとなる。「なんだあのジムは?普通のジムじゃないぞ」仲間内で「スプレー」と揶揄しているジム標準のビーム兵器とは、比べ物にならないほどの射程を有しているようだ。ビーム兵器部分にカスタムチューンが入っているのだろうか?しかし、超長距離射撃戦なら自信がある。この距離ならモビルスーツの性能もあるが、パイロットの射撃技術が命中率の大きなウェイトを占めるのだ。すぐさまイーポンは先ほどの射撃から敵の射撃地点を計算する。命中確率・・・2%!コンピュータがはじき出した確率は無残なものだった。クマからの砲撃指示のありがたみを痛切に感じた。やはりこの距離では敵の射撃から計算するだけではデータが足りなさ過ぎる。こんなもの当たるわけないが、様子見も兼ねて、イーポンはバズーカを発射した。射撃は当然のごとく外れた。ため息混じりに息を吐き出したその瞬間、敵からの射撃が飛んできた。先ほどの射撃から微調整が行われているようだ。今度は足元にビームが着弾し、イーポンは寒い思いをした。ここに至り、敵パイロットも超長距離射撃戦を得意とする有能なパイロットであるとイーポンは認めざるを得なかった。こちらが間合いを広げた際も、こちらを見失ったわけではなかったのだ。むしろ、長距離戦になることを歓迎して、追撃速度を遅らせたのだろう。まずいまずいまずい。このまま意味もなく動くのは敵に情報を与えるだけだと、イーポンは見晴らしの良いポジションでドムを停止し、アンカーを出して固定した。まだデータは足りない。命中確率・・・24%イーポンは祈るような気持ちでトリガを引いた。続く
2005.09.09
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------イーポンは焦っていた。より正確に言えばパニック状態に近かった。クマを援護するべくジムのレーダーに引っ掛かるように近付き、その後牽制攻撃を繰り返しながら後退し、ジムをおびき寄せ孤立させる。ここまでは計画通りで、ジムはガンキャノンから離れ、ドムのあとを追ってきている。「良い子ちゃんだぁ!」ジムの武装はたいしたことはない。名ばかりのビーム兵器を携行しているに過ぎず、それであれば実弾兵器ながら、ドムキャノンのバズーカのほうが威力はもちろんのこと、射程も格段に上である。イーポンは今回が2回目の実戦である。前回の戦闘では大活躍だった、と自負している。クマが敵近くに潜入し、砲撃指示を出してくれた。イーポンは得意の超長距離射撃を敢行し、3機のジムを打ち抜いたのである。3機のジムはいずれも一撃で仕留めたのだ。今回はクマの砲撃指示は望めないため、一撃で敵を倒すことはできないだろうが、相手の砲撃から居場所を特定し、射程外(アウトレンジ)からゆっくりと仕留めれば良い。ガンダム、ガンキャノン、ジム・・・相手としてはもっとも楽な相手である。「少佐ももうちょっと俺のこと評価してくれても良いのにな~」しかし、こののんびりムードが一変するのにそう時間はかからなかったのである。続く
2005.09.07
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------さて、一部で好評(不評)を得ている「どすこーい」です。クマを色々イメージしていたら、気合の言葉はこれ以外思い浮かばなくて・・・(^-^)反響の大きさにびっくりです。-----------なんか文字ばっかりじゃ寂しいので、今回のアッガイ-ガンキャノンの戦闘シーンのイメージアルバムを作ってみました。ただし・・・家にあるものでみつくろったので、実際と(文章中と)異なる部分があるのはご了承ください。というわけでこんな感じ
2005.09.03
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------クマはキャノン砲をサイドステップでかわしたのだった。紙一重の荒業に見えるが、クマにしてみればこの距離で予備動作の大きな攻撃を避けることなど造作もないことであった。モビルスーツの操縦は何から何までパイロットが行うわけではない。モビルスーツは人型の汎用兵器であり、人間と同様の複雑な動作が可能である。しかし、逆に言えば「歩く」という動作1つをとっても、その複雑さゆえパイロットが「(バランスに注意しながら)右足を6m前に出して、着地したら左足を・・・」とすべて操作することは不可能である。操作は主に2本のレバーとフットペダルに集約され、パイロットは「前に走り出せ」「攻撃しろ」などと「指示」を出しているに過ぎないのである。射撃に関して言えば、ガンキャノンであれば、指示に従ってコンピュータがキャノン砲の仰角を調整し、反動に備えて腰をかがめて、その後、キャノン砲が発射されることになる。この実際に射撃を行うまでの動作(モビルスーツが人に模されているゆえに人が取る動作と似ている)が予備動作と呼ばれるものであるが、仰角調整、腰をかがめるといったわずかな兆候を見逃さなければ、そのコンマ何秒後に射撃が行われるのか、見切る事ができるのだ。もちろん、理屈で言うほど簡単なものではない。兆候は僅かなものであるし、頭で考えるより早く、体が反応するほど熟練していなければ、「えーと、この予備動作の時は確か攻撃・・・?」などと考えている間に死ぬこととなる。しかし、クマはガンキャノンの射撃プロセスを正確に把握し、発射の瞬間を見極めて、絶妙のタイミングでサイドステップすることで、射撃をかわしたのである。「この距離では予備動作は丸見えじゃ。コンピュータの指示通りの 操作しか出来ないうちはこのクマ様に当てることは出来ぬわ!」アッガイは2射目、3射目も見事にかわし、ついにガンキャノンの至近距離まで距離を詰め、左側面に回り込んだ。「どすこーい!」気合いとともに相撲の張り手を彷彿とさせる突きが繰り出された。続く
2005.09.02
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------クマはアッガイをするすると動かしていく。静音性が高いとは言え、90トンもある兵器が動いているとは思えない熟練の技である。敵の間に割って入る・・・うまくいけば敵を分断できるが、当然割って入った楔(くさび)の部分には敵の反撃も集中するため、非常に危険な役回りとも言える。しかしクマは心配はまったくしていなかった。フラットの攻撃を無視して後ろを振り向いたものは己の浅はかさを死をもって償うこととなるだろう。後ろの心配はないので、クマは前方のガンキャノンに注意を集中した。今回は不意打ちが目的ではないため、できるだけ早く敵を分断できるポジションを確保しようと高速で行動していた。アッガイのステルス性能は非常に高く、遮蔽物の影に隠れたり、ゆっくりと移動することで、センサーを欺くことは難しいことではない。しかし、今回のように高速に移動していれば微弱ではあるが、センサーに反応が出てしまっているだろう。注意していれば気がつきそうなものであるが、ガンキャノンは離れてしまったガンダムに追いつこうと必死で、周囲に注意が回っていないようだ。結局、アッガイは易々とガンダムとガンキャノンの間に位置することに成功した。あまりの無警戒さに一瞬罠かとも思ったが、どうやらガンキャノンはことがここに至ってようやくアッガイのことに気がついたようだ。「いまさら慌てても遅いわ!」アッガイはガンキャノンに突進を開始した。ガンキャノンは突然近距離に現れた敵にキャノン砲で応戦しようと考えたようだ。ガンキャノンが腰をかがめ、キャノン砲の発射体勢を取るのをクマは冷静に分析していた。「周辺への注意の払い方と良い、何から何まで未熟だな! そんな長物がこの距離で役に立つわけなかろう。1、2・・それっ」当たればアッガイなど一撃で破壊するほどの威力を持つキャノン砲が発射された。しかし、一瞬前までそこにいたはずのアッガイはすでにそこにはおらず攻撃は空を切った。続く
2005.08.26
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------今回の遭遇戦は時間的には過去のことになります。このまま決戦の様子を書いていくつもりだったのですが、遭遇戦の方も書いてみたくなり、過去の経緯と言う感じで書いてみました。設定だけの登場予定だった狂銀小隊やグリーン小隊を出すことができたし、良かったのかなあと思う半面、セーパパさんのプロットと異なる部分も出てきてしまって申し訳なく思っています。狂銀小隊のシノリ大尉とジャック小尉の関係はグインサーガのイシュトバーンとアリからイメージしてちょっと悪い子も出そうと思いました。しかしダークなキャラなので人選に苦労しました。たまたましのりさんがスターウォーズエピソードIIIを観て、暗黒面に堕ちたという楽しい日記を書いていたのでシノリ大尉はそそのかされてダークに染まっていくというイメージが固まり、同じくしのりさんの日記で悪をアピールしていた象のぬいぐるみに悪役を当ててみました。悪くないと思っているのですが、今のところシノリ大尉よりジャック小尉の方が目立っており、しのりさんの心配が的中してしまっています。はたしてシノリ大尉の反撃はあるのか?要チェックです。あとグリーン小隊ですがやられキャラ希望という覇gyouさんの要望通りいきなりやられちゃいました(^-^)ただグリーン小隊は偵察部隊ですから敵発見後速やかに撤退したカモ。それをジャックが大袈裟に撃退したと言ったのカモ。この辺はどなたか書いてくれないかなあなんてお願いしてみたり(^-^)さてこの後は本格的な戦いに進んでいくわけですがフラット小佐が「同じ敵に二度負けるわけにはいかない」と言ってましたから、そこに向けて話は進んでいくと思います。そこで、この殺風景な作品を彩る挿し絵募集中!どんなワンシーンでも結構です。よろしくお願いします。それと私のほうはジオン軍側のエピソードなわけですが、連邦側のエピソードを書いてくれる方も募集中です。みんなで楽しく遊びましょ~
2005.08.13
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!---------------前回まで--巡回中の深紫小隊は敵影を発見する。ほぼ同時に連絡をしてきたミイコにフラットは八つ当たりしていた・・・----「言い訳するつもりはありませんが、B地区最外周の警戒センサーがさきの戦闘で破損した模様とつい5分前に狂銀小隊から連絡がありましたの。敵発見の情報が遅くなって申し訳ありません」狂銀小隊!敵の殲滅能力は高いがそれと同じくらい周辺施設も破壊する壊し屋小隊。副隊長のジャック少尉は深紫小隊へ一方的に敵意を持っており、もちろん証拠はないが、彼の仕業とおぼしき妨害が過去何度も行われている。さきの戦闘・・・そう言えばオレンジドームのグリーン小隊と戦闘になり、撃退したと吹聴していたな。警戒センサーは敵に破壊されたというより、狂銀小隊がいつものように派手にやりすぎて、一緒にぶっ壊してしまったと考えた方が良いだろう。やれやれ、まったく。センサーの予備も残り多くないんだから、敵の撃退を自慢するよりもっとセンサーを大切にしてくれないと・・・などと思いをめぐらしていた時、フラットはふと疑惑を感じた。今回の件も・・・次に哨戒に出るのが深紫小隊だと知ってわざと連絡を遅らせた、のか?「フラット!ぼやっとするな」クマの声にフラットは我に返った。そうだ、そんなことは今考えても仕方のないことだ。隊長のシノリ大尉を問い詰めるのは、基地に帰ってからだ。「ミイコすまなかった。君は最大限やってくれている。感謝する」「とんでもございません」回線を切り、フラットは作戦を考える。ガンダム以外の2機はガンキヤノンとジムタイプのようだ。情報通り戦車もどきはお役ごめんになったらしい。キヤノンとジムは動きがぎこちない。ガンダムの動きについてこれず、結果的にガンダムが突出してしまっている。よし、3対3の戦いではなく1対1の個人戦に誘導しよう。その方がこちらの損害も小さくなるはずだ。フラットは腹を決めた。「クマ、ガンダムと残り2機の間に割って入れ。お前はそのまま キヤノンと交戦、ガンダムは正面から俺が当たる。 イーポンはクマの援護射撃を行った後、後退し、ジムを誘い出せ。 そしてアウトレンジからジムを撃て」「了解」「了解」キビキビとクマとイーポンが散っていく。「問題はバズーカを忘れた俺がお荷物にならないようにうまく事を 運べるかってことだな」続く
2005.08.11
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------「仕方ないだろ! あそこで武器忘れたので取りに戻ってきましたなんて 恥ずかしくて言えるかってんだ」深紫小隊は巡回中である。コースは自陣勢力範囲内ではあるが当然敵との遭遇も予期しなければならない。にもかかわらずフラットはグフの主武装であるバズーカを持ってこなかったと言うのだ。「まあ、こんな時間だし、敵も昼寝しているんじゃないかなあ」イーポンの読みはかなり希望的だ。「だと良いがな。 今日は良い天気だ。 敵サンこっちまでピクニックに来ているかもしれんぞ」クマは皮肉まじりに冗談で返す。「ピクニックかぁ。良いなあ」あくまでもイーポンは呑気だ。二人のやり取りを聞いていてフラットはますます不機嫌になった。そんな気分を油を注ぐかのように警報音が鳴り響いた。不明機、数3。距離10。距離10?どうしてこんなに近付くまで気付かない?警戒センサーはなぜ鳴らない?フラットは苛立ちを隠せなかった。ピー!基地より入電だ。「ミイコいったいどういうことだ?」「フラット小佐タイヘンですわ」いつもクールに仕事をキメるミイコの声にわずかに慌てた雰囲気がある。「小佐のいるB地区に敵影発見。うち一機はガンダムタイプ」よりによってオレンジレンジかよ、フラットは嘆息した。「有益な情報ありがとう。 もう敵に挨拶できそうな距離だよ」苛立ちのためか毒のある言い方をしてしまっていた。続く
2005.08.10
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今までのまとめは上記のバナーをクリック!-------------デルタスリー第3小隊:静青小隊(SilentBlue)河川における戦闘を想定して組織された小隊であるが、水陸両用MSを持たない連邦軍は河川側からは牽制程度の侵攻しかしてこないため、活躍の場はあまり多くない。部隊章はIRIPONさんが作ってくれました。ありがと~~フォーミュラ・ゼロ大尉 搭乗機 MSM-07S ズゴック筋骨隆々の偉丈夫。頭は見ていて気持ちが良いほどのスキンヘッドである。人材の育成には定評があり、模擬戦で抜群の強さを見せたかと思えば、適度に負けて、自信を付けさせるなど、アメとムチの使い分けがうまい。彼のもとで育ち他の部隊に転籍し活躍しているパイロットは両手では足りない。モデルは一応私の友人というかなんというか。ピヨンセ・カピバラ少尉 搭乗機 MSM-07 ズゴック茶褐色の肌を持つ女性パイロット。名前から性別を判断しにくいが、顔立ちも中性的で士官学校時代に女性からラブレターを間違えて受け取ったこともある。趣味は骨董品集めとペットの飼育。現在はモルモットを飼っている。モデルはぴよんせさんモルモットなので、肌は茶褐色。モルモットなので、見た目からは性別判断しにくい。ウィンザー・ノートン伍長 搭乗機 MSM-07 ズゴック基地一番のお調子者で、ムードメーカーでもあるが、調子の乗りすぎて怒られたことも一度や二度ではない。MSの操縦は下手で、ゼロ大尉に腰より深い河川に入る事を禁じられる始末である。ちょい役のつもりだったので、モデルは特にいません。ダッチン・ホフマン中尉 搭乗機 MSM-03C ハイゴッグ歴戦の勇士。さきの戦いで壊滅したデルタツー所属のパイロット。最後まで粘り強く戦い、敗戦後もデルタツーの敗残兵をまとめ、デルタスリーまで導いた。多くのMSは破損がひどく廃棄されたが、彼のMSはほぼ無傷であったため、第3小隊に編入されることとなった。実はすごい改造マニアで現在搭乗しているハイゴッグも相当チューニングを施している。ただし、デルタツーを脱出するに当たり、ほとんどの備品を置いてきてしまったので、最近は改造もできず日々悶々としている。モデルはだっちんZさんその他ミイコ・ウニャリー 伍長デルタスリーのオペレータ。その美貌と、冷静にてきぱきと仕事をこなす所作から、クール&ビューティと謳われる。モデルはunyariさんユッキー・ケイム 上等兵 搭乗機 MS-05W ザクI武器調達と輸送のスペシャリスト。ミイコと双璧をなす美人でこちらはスピード&ビューティと呼ばれる。マンガ、アニメが大好きで、暇を見つけてはマンガを読み耽っている。搭乗機のザクIはノイエン中佐が登場していたものを譲り受け、ワーカー用の改修したもの。女性らしいカラーに塗りかえられている。モデルはyuukeimさん-----------こんなもんかな~だいたい出揃ったと思うんで、次回からお話の方を進めていきます。次回からは新章でオレンジレンジと深紫小隊との初対決、遭遇戦について書いていきたいと思います。
2005.08.09
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