まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.01.06
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テーマ: ジャズ(202)
NHK-FM「蓄音機ミュージアム~セロニアス・モンク」を聴きました。



セロニアス・モンクといえば、

濁った音色、
奇妙なメロディ、
よたったリズム、

…みたいなイメージ。要するにヘタウマ。



あくまで音だけを聴いたイメージでいうと、


節々の曲がった太い指で、
ラリって弾いたような音楽。
あるいは酔っ払って足のもつれたダンス。

…みたいな映像が目に浮かびます。



しかし、
今回の番組のなかで、
挾間美帆はこう話していました。

ただたんにピアニストとしてとらえることは出来ない。
作曲家が自分の個性を存分に引き出すためにピアノを弾いている。
頭の中に色々な音色とか音程がうごめいていて、
それを演奏するとああなる。…ピアノを超えた演奏なんじゃないか。


つまり、
モンクの特殊な音楽は、
演奏の癖とかスタイルによるものじゃなく、


本人の頭のなかでは、
ピアノ以上の作・編曲がなされていたかもしれない。

それを譜面に起こすことが出来るのか分からないけど、
すくなくとも本人の頭のなかには何らかの楽曲像があって、
それを鍵盤のうえに再現してたってことですね。


作曲過程を録音した音源も流していましたが、
"ヘタウマ風"の楽曲を意識して作っているのが分かりました。



挾間美帆は、
モンクの楽曲をビッグバンドのために編曲してますが、
じつは自由度が少ないとも話しています。

自由度の高い曲のはずなのに、すごく首を絞められるんですよ。
有余があるようで全然ない。
4小節しかメロディがなくてすごく単調なはずなのに、
和音1つ変えちゃうとその曲じゃなくなってしまうような感じがあるんです。
どの曲もテーマは和音1つ変えられずリズム1つ変えられず、
そのまま提示するだけ…そうしないと彼の曲らしさがなくなっちゃう。

≫ 挾間美帆が語るセロニアス・モンク



コードや旋律だけでなく、
音色の濁りとか、リズムの揺らぎまでが、
あらかじめ「作曲されたもの」なのだとしたら、

一般的なジャズの楽曲のように、
シンプルな構造だけを提示するものとは違って、
演奏や編曲の自由度がとても少ないってことですね。



もし、それが、
「演奏様式」でなく「作曲様式」だったとするなら、
かつてホンキートンクピアノとも呼ばれた黒人独特の感覚が、
モンクの頭のなかでは抽象化され形式化されていたってこと。

つまり「ニュアンスの言語化」みたいなことが、
彼の頭のなかでは実現していたってことだと思います。



ちなみにモンクのような音楽性は、
たしかに西洋音楽の対極に位置するものだと思うけど、
それをただちに「アフリカ的」と呼べるのかどうかは分からない。

フランス的な諧謔モダニズムのようにも聞こえるし、
ユダヤ的な変態エキゾチズムのようにも聞こえます。







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最終更新日  2023.01.08 09:22:31


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