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舞台「千と千尋の神隠し」ロンドン公演には、成功の条件がもともと備わってたのよね。それは以下の3点です。1.RSC版「トトロ」の成功2.ミヤザキ・ハヤオの知名度3.ジョン・ケアードの知名度のみならずジョン・ケアードには、失敗させないための周到な戦略もあったはず。それは、おそらく以下の3点です。1.ストレートプレイにする2.大掛かりな舞台装置を用いる3.子供の世界を題材にするともかくは、こうした戦略によって、日本語演劇でも英語字幕で上演できることを証明した。その意味は大きいと思います。◇ジョン・ケアードが、今回の「千尋」をミュージカルにしなかったのは、早い話、日本人の歌が下手だからです。さすがに海外では通用しませんから。かりに韓国人の歌手だったら、欧米でも通用するかもしれませんが、日本人は身体的な資質に劣るし、筋力に差があります。ミュージカルを輸出するとなれば、キャストをすべて現地の歌手に入れ替えねばならない。もちろん民謡や演歌にまで目を向ければ、日本にも世界を圧倒できる歌い手は存在するはずだし、オペラ界にも海外で活躍している日本人はいますが、現状、ミュージカルの分野で、世界を圧倒できる歌手を揃えるのは不可能です。◇しかも、今回の舞台は、大掛かりな装置やパペットなどを用いる作品であり、演技力や歌唱力だけで見せる作品ではありません。そのうえ「千と千尋」は子供の世界です。ヒロインを演じるのは小柄な体格の女優だけど、それは子供の世界こそが日本人キャストに適してるからです。もちろん、過去には、寺山修二や蜷川幸雄のような舞台も海外で成功してるのだから、《仕掛けを駆使したストレートプレイで子供の世界を見せる》というだけが成功要件じゃないと思うけど、日本人キャストの舞台輸出を目指したジョン・ケアードが、欧米での客層開拓と支持基盤構築のために、もっとも確実な戦略と判断したのがこの手法であり、消去法から導き出した最適解だったのでしょうね。◇いずれにせよ、今回の「千尋」の成功を舞台輸出の足がかりにするには、やはり綿密なマーケティングが必要です。ジョン・ケアードのように、「海外の観客にどう見えるか」を熟知する必要があるし、プロデュースと演出の両面からそれを考えねばならない。ちなみに余談ですが、韓国では「ベルばら」をミュージカルにするらしい。…といっても、男性キャストも出演するとのことで、宝塚のように女だけで繰り広げる世界ではありません。宝塚みたいな《百合的》な世界を受け入れてもらうには、萩尾望都や竹宮惠子のような高度な日本の少女漫画を、もっと海外のマンガ市場に向けて発信しなければなりません。東宝は、そういうメディアミックスも視野に入れて、今後の海外展開を考えていくべきだろうと思います。
2024.05.10
かねてから浜辺美波が推してた、阿部智里のファンタジー小説「八咫烏シリーズ」。わたしは、今回のアニメ化ではじめて触れたのですが、設定を理解するのがなかなか大変でした。ようやく第4話あたりで分かってきた感じ。簡単にいったら、皇位継承&お妃選びをめぐる権力闘争なのですね。その意味ではシンプルな物語だといえる。東・西・南・北の4家が争ってます。主人公の雪哉くんは、真の金烏たる皇太子に仕える狂言回し的な役どころ。◇皇位の長子相続制に反して、「金烏の生まれ変わりこそが皇位を継ぐべし」という謎の伝承があって、それが混乱の原因になってるのだけど、この《転生者による継承》という発想は、ダライラマとかサイババとかに似てますよね。その一方、《太陽にカラスがいて、月にウサギがいる》…という「金烏玉兎きんうぎょくと」なる考え方は、古代中国や日本神話に由来してるそうです。◇そもそも、この物語でいちばん謎なのは…すべての登場人物が、ことごとく八咫烏ヤタガラスの化身だってことw普段は人間の姿をしてるけど、どういうときにカラスになるのかいまいち分からない。カラスの本性を晒すのは卑しいことなの?第1話の冒頭では、幼いころの雪哉くんが巨大なカラスに助けられてましたが、その過去に何の意味があるかもまだ分かりません。…なお、アニメの作画については、女性キャラの顔がイマイチなのが残念です。◇原作は長大なファンタジーシリーズらしく、さながら栗本薫の「グイン・サーガ」とか、日本版「ハリポタ」みたいな感じなのかも。『烏に単は似合わない』からはじまる阿部智里さんの八咫烏シリーズの新刊『楽園の烏』がほんとにすきでした!!だいすきなシリーズの新刊で、読むのを楽しみにしていました🦦今回から新章開幕ということで🐳ぞくぞくしました!!面白すぎて1日で読んじゃいました!!なんといっても、私が好(文字数) pic.twitter.com/QPQj0UNAQ4— 浜辺美波 (@MINAMI373HAMABE) September 6, 2020 🪶キャラクター相関図🪶第1話から登場人物がすごく多い…!という声を受けまして、人物相関図を公開いたします🐦⬛ぜひ予習・復習にご活用ください!▼各種配信サービスhttps://t.co/k2OR96c6BP▼NHKプラスhttps://t.co/IU4GbrVSHi#烏は主を選ばない #yatagarasuhttps://t.co/L3Xy7zK51e pic.twitter.com/ZQ2LFyI7yl— アニメ『烏は主を選ばない』NEP公式 (@nep_yatagarasu) April 11, 2024
2024.05.07
映画「ラ・カリファ」がついに劇場公開されるそうです。以前から、映画は無名なのにエンニオ・モリコーネの音楽だけが有名で、日本盤のサントラも何度か発売されていました。わたしは、だいぶ前に、この映画を YouTube で観たことがあります。もちろん字幕なしの原語音声ですが、だいたいの内容は分かりました。ロミー・シュナイダー演じる労働運動の女性リーダーが、企業側の工場長と禁断の男女関係になる話。いちおう社会派作品なのでしょうね。音楽は素晴らしいけれど、映画としては可もなく不可もないという印象。それにしても、なぜ映画「ラ・カリファ」の音楽は日本で有名だったか?もともと、日本のモリコーネ受容には大きく3つの段階があるのよね。1964年:セルジオ・レオーネ「荒野の用心棒」1985年:NHK特集「ルーブル美術館」1988年:ジュゼッペ・トルナトーレ「ニューシネマパラダイス」映画「ラ・カリファ」の音楽は、NHK特集「ルーブル美術館」で使われて有名になった。それも含めてですが、エンニオ・モリコーネという音楽家は、いろんな意味で日本との因縁があるように思います。◇1.荒野の用心棒セルジオ・レオーネの西部劇「荒野の用心棒」は、黒澤明の時代劇「用心棒」を無断でパクった作品です。訴訟のすえに和解してリメイク扱いになってますが。つまり、黒澤明の「用心棒」の物語をそのまま借用して、イタリア人の西部劇に仕立ててしまったわけです。なお、イタリア製の西部劇とは、あくまでも架空の「無国籍映画」ですよね。本来の西部劇というのは、米国の西部開拓時代の物語なのだから、イタリア人によるイタリア語の映画ではありえない。しかし、1964年に「荒野の用心棒」が成功したことで、イタリア製の西部劇が数多く作られることになった。そうして成立した無国籍映画の謎のジャンルを、淀川長治が「マカロニウエスタン」と名づけたので、日本ではその呼称が定着しています。クリント・イーストウッドの出世作は、この「荒野の用心棒」だと言ってよいのですが、※撮影時のイーストウッドは英語で台詞を喋り、公開時には各国の言語に吹き替えられたようです。エンニオ・モリコーネの出世作も、ほかならぬ、この「荒野の用心棒」なのです。口笛とムチの音を使用した斬新な音楽ですが、楽音でなく具体音を用いるのは、いわば現代音楽的な手法だったかもしれません。もともとモリコーネは純音楽の作曲家を志していて、映画音楽のことは軽蔑していたようですが、この「荒野の用心棒」の仕事が認められて以降、有象無象のB級映画から、パゾリーニやベルトルッチなどの芸術映画まで、多くのイタリア映画の音楽を手掛けることになります。…黒澤明の映画は、スターウォーズのようなSF映画にも、手塚治虫のような漫画にも影響を与えていますが、じつはマカロニウエスタンというジャンルにも関係してる。そして、黒澤明の「用心棒」がなければ、モリコーネが映画音楽の分野に進出することも、パゾリーニやベルトルッチの音楽を手掛けることもなかった。また、クリント・イーストウッドが俳優として飛躍し、のちに監督として活躍することもなかった。…かもしれません。2.ルーブル美術館こうしてエンニオ・モリコーネの名前は、マカロニウエスタンの音楽を手掛けた作曲家として、日本の映画ファンにもある程度は知られることになった。1984年には、やはりセルジオ・レオーネの作品で、「Once Upon a Time in America」もヒットしましたが、それでも一般のモリコーネの認知度はまだ低かったはず。その名前がお茶の間でも注目されたのは、翌85年のNHK特集「ルーブル美術館」によってです。この番組でモリコーネの音楽がふんだんに使われた。わたしも当時、毎月の放送を欠かさず見てました。いまでも覚えてますが、番組のオープニングで、ルーブル宮殿の空撮映像にあわせて印象的な音楽が流れ、画面の右下に「エンニオ・モリコーネ」とテロップが出る。しかし、当時のわたしは、「えん、にお、もり、こーね??」と呟くばかりで、それが何語なのか、曲名なのか人名なのか、はたまたグループ名なのかも分かりませんでした。わたしと同じような視聴者は日本中にいたらしく、やがて新聞記事に「NHKに問い合わせが殺到」と書かれ、番組の放送が終わった翌年には、そのTVサントラがレコードになりました。そして、じつはその音楽は、番組のオリジナル楽曲ではなく、モリコーネの既存の映画音楽の寄せ集めであり、その中心になっていたのが、映画「ラ・カリファ」(La Califfa)映画「ある愛の断層」(Questa specie d'amore)…などの70年代初期の音楽だったのです。音楽を選定していたのはNHKではなく、番組を共同制作したフランスの民放局でした。オープニングで流れていたのは、「恋の始まりと終わりに」(Prima E Dopo l'Amore)という映画「ラ・カリファ」の2分足らずの挿入曲で、番組では、わずかに再生速度を変えて使っており、サントラ盤では「永遠のモナリザ」と曲名を変えてます。再生速度を変えることについては、当然ながらモリコーネが不満を示したようですが、最終的には折れたのでしょうね。結果的には日本での知名度が大きく高まり、のちに大河「武蔵」を担当することにも繋がった。ちなみに、NHKの番組テーマになった曲も素晴らしいのですが、海外で有名なのは映画のタイトル曲「La Califfa」のほうで、その優美なメロディには歌詞もつけられ、サラ・ブライトマンなど多くの歌手がカバーしています。NHKのドキュメンタリーシリーズは、それまでにも「シルクロード」で喜多郎を発掘してたし、その後も「大黄河」では宗次郎の音楽に、90年代には「映像の20世紀」で加古隆の音楽に光を当てます。ある意味では、モリコーネの音楽も、NHKのドキュメンタリーシリーズで認知を広めたのですね。3.ニューシネマパラダイスそしてNHK特集「ルーブル美術館」から3年後に、映画「ニューシネマパラダイス」が公開されて大ヒット。そのテーマ曲が泣く子も黙るモリコーネの代表曲になった。しかし、この映画音楽は、モリコーネにしては、ずいぶん甘くて分かりやすいですよね。それまでの作品を聴けばわかるとおり、本来のモリコーネの音楽は、けっして万人受けするような作風のものではなく、どちらかというとビターで渋い音楽です。わたしが思うに、彼がオスカーを逃しつづけた理由もそこにある。1988年の米アカデミー賞において、モリコーネの「アンタッチャブル」の音楽は、坂本龍一の「ラストエンペラー」の音楽に敗北しました。本来なら、ベルトルッチの「ラストエンペラー」の音楽も、モリコーネが担当していたはずなのですが、もしそうだったとしても、やはりモリコーネはオスカーを逃したと思います。なぜなら、モリコーネの音楽は、坂本龍一のようなキャッチーさに欠けるからです。モリコーネはオスカー受賞を望んでたらしいけど、その機会を若い日本人にあっさり奪われてしまった。しかも、よりによって、ずっとコンビを組んでいたベルトルッチの映画で!かたや「ニューシネマパラダイス」の音楽については、あまりにモリコーネらしからぬ作風のために、「じつは息子が書いたんじゃないか?」…という、まことしやかな噂さえあります。もしかしたら、みずからの作風をねじ曲げて、俗受けしそうな映画のために、俗受けしそうな音楽を書いたのかもしれませんが。【中古】ラ・カリファ 楽天で購入 ラ・カリファモリコーネの甘美なメロディが心に沁みる─。伝説の女優ロミー・シュナイダーが許されぬ恋におちる女性を演じた社会派メロドラマが、待望の日本初公開!本作のテーマ曲は、数あるモリコーネのスコアの中で人気の高い曲♪👏劇場情報↓https://t.co/npcyrT5O0U pic.twitter.com/CXvh5ylp2Z— エンニオ・モリコーネ特選上映 (@morricone_ss2) April 18, 2024
2024.04.20
↓2ヶ月前の記事にも書いたとおり、https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202402280000/U-NEXTの1ヶ月見放題カードを、誤まって2枚も買ってしまったので、「せっかくだから元を取らねばっ」と、2ヶ月で映画30本観るつもりで意気込んだものの…1ヶ月以上経っても4~5本しか観れず…その後、春ドラマが終わったタイミングの、残り半月でスパートをかけるつもりが、体調を崩して映画どころではなくなってしまい…ようやく最後の1週間でラストスパートをかけ、なんとか期限までに以下の11本を観ました。大林宣彦「時をかける少女」沖田修一「子供はわかってあげない」相米慎二「魚影の群れ」ジャン・コクトー「双頭の鷲」ジョン・フォード「怒りの葡萄」ウォシャウスキー兄弟「マトリックス」濱口竜介「ドライブ・マイ・カー」ジャック・ドゥミ「シェルブールの雨傘」川島雄三「女は二度生まれる」ロバート・スティーヴンソン「ジェーン・エア」周防正行「舞妓はレディ」何事もギリギリに追い込まれなければつくづく物事ができない人間なんだなと、われながら痛感しました(逆に、追い込まれると出来てしまうのが不思議なんだけど)まあ、映画以外にも、「峰不二子という女」などのアニメ数本と、TVerで見逃したドラマやバラエティ、読み放題の雑誌なども見ることができたので、なんとか元は取れたかな、と思う。いろんな映画をつまみ食いしてたので、最初のほうだけをチラッと観たまま、中途半端にしてしまった映画もかなりある。◇夏ドラマか秋ドラマが終わったぐらいのタイミングで、またこのサービスを利用してもいいかなとは思うけど、1200ポイントの使い方がちょっと難しいのよね。端数を余らせるのももったいないし、ポイントの利用期限が異様に短い(チャージから90日間)のも難点です。
2024.04.14
立川智也のバースデー配信ライブを見ました。ゲストは由貴ちゃんのほかに、橋本さとしとソニンと鈴木蘭々。アーカイブなしの配信ライブは悪い意味で緊張感がありすぎる。うっかり見忘れたり、通信障害に見舞われたり、途中で家族の邪魔が入ったりしたら、チケット代がパーになるし。せめて数日間のアーカイブは配信ライブの最低限のサービスとして必要だと思います。最初に細田幸子が歌ったスピッツの「チェリー」は、ゆったりしたテンポで原曲とはずいぶん違ったアレンジ。鈴木蘭々の「キミとボク」はEPOの詞曲だそうで、立川智也がなんども言ってたように、なかなか佳曲でした。あとでYouTubeで見てみたら、立川智也が作った「Rain」もいい曲だった。ライブでは難しそうに歌ってたけれど。鈴木蘭々はひさしぶりに見ましたが、いまは実業家だそうで、だいぶ雰囲気が変わってた。先日、鳥山明が亡くなりましたが、鈴木蘭々はその昔「アラレちゃんの影響を受けた」と言ってて、若いころの彼女ってリアルにアラレちゃんみたいだったのよね。ソニンが歌ったのは、ノラ・ジョーンズの「Sunrise」と「カレーライスの女」。ノラ・ジョーンズは難しいと思ったけど、ミュージカル仕込みの現在の歌唱力で「カレーライスの女」を聴けたのはファンにしたら貴重だったかも。橋本さとしが歌ったのは、Kissのなんとかいうバラードと八神純子の「パープルタウン」。ちなみに今回の立川智也&House Bandは八神純子のサポートメンバーからなるそうです。ヤガミグミ&Learn to flyってこと?橋本さとしは「どうする家康」にも「VIVANT」にも出演してたそうですが、ぜんぜん記憶にない(笑)。それからアニメ「リメンバーミー」でも悪役だったと!萌音萌歌が好きなディズニー製のメキシコ映画です。由貴ちゃんは、サプライズの「Happy Birthday」合唱とケーキセレモニーのあと、立川が作った「ココロッチ」と定番の「かなしいことり」を歌いました。贔屓目ってわけじゃないけど、由貴ちゃんのパフォーマンスがいちばんよかったな。ほかのゲストは難しい曲に挑んでましたが、由貴ちゃんだけは自分の持ち歌のなかでもとくにゆるめの曲だったし、いちばんリラックスして歌えていた。見たところ体調なども問題ないみたい。各事務所のOKが出たので昨日の立川バースデーライブの全員写真を。🎵#斉藤由貴#鈴木蘭々#ソニン#橋本さとし#立川智也#佳尚#草間信一#細田幸子#是永巧一 pic.twitter.com/vmiGrMMNB8— 是永巧一 (@KORE1225) March 18, 2024一般にベーシストは話し声も低音ってイメージがあるけど、立川智也の声はとくに低音というわけでもなく、どちらかというとピアニストみたいなキャラの人なのかなと思いました。ライブについては以上です。NHKラジオ第1「佐藤二朗とオヤジの時間」も聴きました。由貴ちゃんと井森美幸がキャニオンの同期とは知らなんだ。東宝のアイドル女優とホリプロのバラドルはちょっと結びつかなくて、年齢も由貴ちゃんのほうがだいぶ上かと思ってた(実際は2歳上)。映画「変な家」はまだ観てないけど、なかなか評判みたいですね。由貴ちゃんと川栄李奈の関係についてはこちらを参照↓。https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202204270000/映画『変な家』初日舞台挨拶の模様③映画『変な家』出演者の中からもっとも「変な人」(=Most Valuable HEN。略してMVH)を決めるコーナー。#佐藤二朗 さん、#斉藤由貴 さんが同率でMVHの座を獲得しました! pic.twitter.com/t7EGs6u5sj— 映画『変な家』公式 (@hennaie_movie) March 17, 2024東宝&TikTokの縦長映画祭グランプリ記念作品「立て髪貴婦人」も観ました。一見して「ヨコハマメリーさん?」って思うよね。実際、斉藤由貴の主演で何か作れと言われたときにヨコハマメリーさんをモデルにするって発想は何となく分かるかも。ある意味では「横浜の暗部」ともいえますが。共演は、白山乃愛&小谷興会&森日菜美という東宝芸能の後輩3人。なにやら虐待されてるっぽい少女が、ヨコハマメリーさんみたいな謎の貴婦人のボロ小屋にかくまわれ、彼女が誘拐容疑で警察に連行されたあとは、お金持ちの少年と逃避行に出そうなところで終わる。なぜ天井を頭で押したら床の蓋が開く仕掛けなのかも謎。話は変わりますが、U-NEXTのラインナップに「恋する女たち」があったので、例のラストシーンが東尋坊なのか加佐ノ岬なのか確認してみました。放送が終了してしまったブラタモリ的にいうと、東尋坊が《柱状節理》の断崖なのに対して、加佐ノ岬は《砂岩》の断崖なのよね。だから、見た目がまったく違う。やっぱり「恋する女たち」のラストシーンは加佐ノ岬だと思います。ちなみに加佐ノ岬は、去年の群発地震の影響で、岬のくびれ部分が一部崩落して、そこから先が通行止めになってたみたい。今年の元旦の震災の影響があったかどうかは分かりません。そもそも「恋する女たち」の舞台は金沢なので、今年の震災のことも考えたら、福井の話が出てくるのは変だなと思ったのだけど、実際に調べてみると距離的にはけっこう近いですね。まあ「恋する女たち」のロケ地の金沢市内も、それほどの大きな震災被害はなかったと思うし、40年も経ってれば街並み自体がだいぶ変わってる可能性もある。あの映画には石川県立美術館のシーンが出てくるけど、いまの金沢では21世紀美術館のほうがお洒落なデートスポットになってるようで、浜辺美波も地元でいちばん好きな場所だと言ってる。21世紀美術館が開館したのは2004年だから、当時はまだなかったのよね。https://hanspotter.hatenablog.com/entry/2019/10/22/204737そういえば、相米慎二の「あ、春」の終盤の散骨シーンも、やっぱり断崖に囲まれた河口みたいなところで撮影されてます。あのロケ地はどこだったでしょう? そちらも東尋坊ではなさそうだけど。恋する女たちあ、春
2024.03.21
放送からだいぶ経ちましたが、Eテレで映画「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」を見ました。日本が舞台になってますが、作ったのはアメリカ人。日本文化のモチーフがいろいろ散りばめられてる。◇以下は、Wikipediaの解説。封建時代の日本を舞台に、左目を盗まれ、魔法の三味線を操る主人公のクボを中心に展開する。クボは擬人化されたニホンザルとクワガタムシを仲間に、邪悪な叔母そして左目を奪った祖父のライデン(月の帝)を倒す宿命を課せられる。https://ja.wikipedia.org/wiki/KUBO/クボ_二本の弦の秘密三味線や雪山の猿が出てきたり、盆踊りや灯篭流しの場面もあるので、近世の青森や秋田の白神山地あたりが舞台?…かとも思いました。なお、灯篭流しの起源は「水灯会すいとうえ」で、江戸時代に京都・宇治の万福寺などで行われていたようです。水灯会は、七月十六日の夕、川や湖に火をともした紙灯籠を流すこと。盂蘭盆会の川施餓鬼の行事の一種。https://ouchidehaiku.com/contents/353225水死人の霊を弔うために川岸や舟の上で行う施餓鬼供養は「川施餓鬼」といい、夏の時期に川で行なわれる。https://ja.wikipedia.org/wiki/施餓鬼◇その一方、母が「月の帝の娘」という設定は、平安時代の竹取物語/かぐや姫っぽくもある。また、かりに「KUBO」が公方のことなら、それはおもに足利一族の称号だろうと思えます。もともとは天皇や将軍の意味ですが、いずれにしても支配階級の物語ってことになる。公方は「公家の方」の略で、もとは朝廷、武家時代には将軍をさした。「おおやけかた」とも読む。鎌倉末期ごろから将軍の尊称となる。https://kotobank.jp/word/公方-55893室町時代の後半には、将軍の公権力の代行者として君臨した足利将軍家の一族の者の肩書きとして用いられた。3代将軍義満以降、将軍の敬称として公方号が積極的に称されることとなった。当初、関東管領として鎌倉府に在った足利基氏も、将軍家が公方を称するようになると鎌倉公方と称するようになった。以降、幕府の主宰者たる将軍や、鎌倉公方を称した関東足利氏一族により、公方号が世襲されることとなる。鎌倉公方はさらに古河公方、堀越公方両家に分裂し、古河公方はさらに小弓公方と分裂する。https://ja.wikipedia.org/wiki/公方実際、月の帝になってしまった祖父は、かつて地方豪族みたいな城主だったと思わせる描写があります。◇大魔神みたいな埴輪型の巨石仏像がたくさん立ってたり、三種の武具を探す物語になってたり、白鷺が魂を運ぶ話が出てくるところを見ると、古代のヤマトタケルの東征神話が基礎になってる気もする。すなわち、> 草薙の剣で東国征伐に来たヤマトタケルの長女が、> 敵側である地元の武将と結婚してしまったみたいな話っぽく見えます。「日本書紀」などによると、日本武尊ヤマトタケルは東国での戦いの帰り道、伊勢の能褒野のぼのの地で亡くなりますが、その姿を白鳥に変え、大和の琴弾原ことひきのはらに降り立ったあと、河内の旧市邑ふるいちのむらに飛来したといわれています。日本武尊が没した場所(三重県亀山市)、白鳥が一旦舞い降りた場所(奈良県御所市)、最後に降り立った場所(大阪府羽曳野市)のそれぞれにお墓が造られ、合わせて「白鳥三陵」と呼ばれています。https://www.mozu-furuichi.jp/jp/column_report/furuichi/vol003.htmlそのほか、河合豊彰みたいに「折り紙に魂が宿る」ゲゲゲの鬼太郎みたいに「左目を奪われた少年」細長い湖に棲む「目玉の妖怪」なにかの漫画で見たような「おばさん仮面」歌川国芳に由来する「がしゃどくろ」…などのモチーフが脈絡なく並びます。◇ところが、公式サイトによると、主人公の「クボ」は、今作のキャラクターデザイナーであるシャノン・ティンドルの日本の友人の名前から取った。クボの眼帯は、封建時代の伝説的な武士であった片目の伊達政宗と、徳川幕府に仕えた剣の名士、柳生十兵衛三厳に敬意を表したものである。クボの亡き父ハンゾウは、黒澤明監督の名作『七人の侍』で、史上最高の侍の役を演じた日本の伝説的俳優、三船敏郎に敬意を表し、彼に似せて作られている。https://gaga.ne.jp/kubo/つまり、クボは「公方」のことじゃないらしい。ちなみに「七人の侍」の三船敏郎の役名は菊千代。父の名の「ハンゾウ」は、服部半蔵(服部正成)あたりから取ってるだろうけど、祖父の名の「ライデン」は、相撲力士の雷電爲右エ門から取ってるでしょうか。母の名の「サリアツ」ってのもネタ元が分かりません。男性名なら「サネアツ」から来てる可能性もあるけど。闇の姉妹(おばさん仮面)が烏&鷲なのも謎です。それ以外にも、ゴキブリが鎧兜をかぶったら「クワガタ」になるとか、人面魚みたいな「鯉」が龍になる…みたいなイメージが、どれだけ日本の歴史や習俗に取材してるのかは怪しい。◇三味線の3本の弦は、父と母と息子の比喩のようですが、最後は、その三味線をギターに置き換えるごとく、レジーナ・スペクター or 吉田兄弟が、ビートルズの「While My Guitar Gently Weeps」をカバーしてる。なお、ジョージ・ハリスンは、もともと中国の「易経」に触発されてこれを作ったそうです。ハリスンは、イングランド北部のウォーリントンにある母親の家で「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」を書いた。本作は中国の易経の書籍に触発されて書かれており、ハリスンは「僕は易経の写しを持っていた。中国にはすべてが必然であり、偶然というものは存在しないという考えがある。一方、西洋では偶然のことをまれにあるものだと考えられている。本を開いたときに見えたのが『gently weeps(そっと泣いている)』だった。僕は本を閉じて、曲を書き始めた」と語っている。歌詞は、そこに眠っている愛がありながらも、それに気づけていない人類の哀歌となっている。https://ja.wikipedia.org/wiki/ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープスKUBO/クボ 二本の弦の秘密【Blu-ray】 [ アート・パーキンソン ] 楽天で購入
2024.03.20
東日本大震災から13周年の祈念日に、『ゴジラ-1.0』がオスカーを獲得し、受賞後の山崎貴は、「オッペンハイマーへのアンサーを作らなければ」と発言しました。◇国際的な評価とは裏腹に、国内の怪獣ヲタクの多くは、今回の作品にネガティブな反応を示していたし、ネトウヨやミリタリーヲタクも、ゴジラが社会派作品であることを望まないので、次回のゴジラ映画は、きっと、いつものように、怪獣が暴れまわるだけの痛快なエンタメに揺り戻す…とも予測してたわけですが、意外なことに、山崎貴は、あくまで「社会派路線」を強めるのかもしれません。◇実際のところ、海外市場のいっそうの拡大を目指すなら、国内のヲタク層の嗜好なんぞに合わせるべきではない。ちなみに、国内の怪獣ヲタクが、『ゴジラ-1.0』を正当に評価しなかったように、国内のアニメヲタクも、宮崎駿の新作をまともには評価しませんでした。結局のところ、国内のヲタク層というのは、怪獣やロボットや美少女への「萌え」を追求するだけで、作品のテーマ性には関心がなく、理解力もないのです。もちろん、怪獣映画やアニメ映画にとって、怪獣やロボットや美少女への「萌え」は必要条件だけれど、たんにそれだけでは、海外市場に訴求するための十分条件にはなりえません。怪獣映画であれ、アニメ映画であれ、国際的な評価を獲得するためには、いっそうのテーマ性の追求こそが不可欠だし、そのためには社会派作品であることを畏れるべきではない。◇今回の米アカデミー賞では、『ゴジラ-1.0』や『君たちはどう生きるか』だけでなく、作品賞の『オッペンハイマー』にせよ、国際長編映画賞の『関心領域』にせよ、短編アニメ賞の『War is Over!』にせよ、戦争をテーマにした作品が高く評価されました。なお、短編アニメ『War is Over!』を作ったのは、ジョンとヨーコの息子のショーンですが、もともとジョン・レノンが反戦運動に身を投じたのも、被爆国出身のオノ・ヨーコの影響だったのは疑いないし、ショーン・レノンも当然ながらその志を継いでいる。◇一方、わたし自身もふくめた国内のリベラル層は、山崎貴のことを、「百田尚樹の小説なんぞを映画化した男」として、やや警戒もしてるわけですが、もともとの話をすれば、本多猪四郎や円谷英二の場合も、けっしてリベラルな人間だったわけではなく、どちらかといえば保守的だったと思います。むしろ、保守的な日本人だからこそ、反米的な意志をもってゴジラを作ったのだ…とも言える。現代のネトウヨみたいに、広島や長崎の原爆被害をも過小評価して、反核運動を抑圧しようとする新米右翼は、もはや「日本人ですらない」と言うべきですが、ほんとうの保守思想をもつならば、日本人が被った悲惨な原爆被害について、「アメリカ人に正面から思い知らせるべきだ」…と考えるのが普通だろうと思います。◇もちろん、アメリカの一般の観客や評論家たちが、それを真面目に受け止めるかどうかは別問題です。しかし、ゴジラ映画のなかで、「原爆症」などの被害を表現する場合に、かならずしも米国を加害者として描く必要はないし、物語の舞台を広島や長崎に設定する必要もないとは思う。たとえば、ひとつの手法として、福島の原発事故をモデルにしながら、そこで「原爆症」と同様の被害を表現することも、テクニックとしてなら十分に可能だろうし、それどころか、ゴジラが、「原爆」のみならず「原発」の問題に向き合うのは、ある意味での必然じゃないかとすら感じます。それは、とりもなおさず、ゴジラが「東北」に向き合うということでもある。◇本多猪四郎や円谷英二は東北の人間でした。とくに円谷英二はフクシマ出身です。ゴジラ誕生から70年目のオスカー受賞が、よりによって「3.11」だったのは偶然ではないかもしれない。福島第一原発が立地する双葉町は、フタバスズキリュウなどの恐竜の化石の宝庫であり、そこもまた広島や長崎と同様の「被爆地」なのです。◇これは、一義的には東宝の責任でしょうが、今回のような世界的な栄誉をめぐっても、ゴジラの生みの親である本多猪四郎や、視覚効果技術の原点である円谷英二へのリスペクトは、まったく足りてないんじゃないかと思います。本多や円谷の地元の東北で、今回の快挙がどう受け止められてるのかも、メディアの報道からはまったく聞こえてこない。東宝は、ライセンスなどの面でもそうですが、内容の面においても、円谷英二や本多猪四郎の業績に対して、もっと真摯な形で向き合うべきです。◇山崎貴が、どのような構想をもって、「オッペンハイマーへのアンサーを作る」と言ってるのか分かりませんが、わたしは、ゴジラの次回作が、東京でもなければ、広島や長崎でもなく、東北に結びつく形で作られる可能性もあると思う。▶ 山崎貴『ゴジラ-1.0』と関川秀雄『きけ、わだつみの声』の関係。『ゴジラー1.0』Blu-ray 豪華版 3枚組【Blu-ray】 [ 神木隆之介 ] 楽天で購入
2024.03.12
日本アカデミー賞の授賞式を見ました。およそ20年前、井筒和幸の「パッチギ」をおさえて、山崎貴の「三丁目の夕日」が12部門総ナメにしたときは、さすがに出来レース感がバリバリだったので、思わず不満たらたらの記事を書いたものですが↓https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/200603030000/去年は、わたしも「ゴジラ-1.0」の出来にかなり満足したし、今回の日本アカデミー賞は、ノミネートされた作品のラインナップを見るかぎり、どれが受賞してもおかしくないほど豊作だったので、授賞式を見ていても楽しかった。濱口竜介の「ドライブマイカー」が、海外のみならず国内の賞でも評価されたあたりから、全体的に映画界の意欲が高まってる気はする。◇去年は、坂元裕二の「怪物」の脚本がカンヌで評価され、ゴジラと宮崎駿のアニメも海外でヒットし、ヴェンダースの作品もオスカーにノミネートされ、かつてないほど日本映画が国際的に注目されました。関東大震災100年目に作られた「福田村事件」も、クラファン予算の自主映画ながら話題になりました。できることなら、山田洋次じゃなく宮崎駿の作品を、アニメ枠ではなく一般の作品賞枠でノミネートしてたら、賞予想はもっとヒートアップしただろうに!と悔やまれる。◇なお、主演女優賞はともかくとして、助演女優賞は安藤サクラじゃなくてもよかったよね。逆にいうと、作品賞の枠が豊作だったわりに、助演女優賞の枠は不作だったのかもしれませんが…。◇それから、坂元裕二が脚本賞にノミネートされなかったのは何故?もしかしたら、ノミネートしなかったのではなく、本人が拒否した可能性もあるかしら?日テレとなんらかの距離を取ってる気もしなくはない。でも、いちおう一昨年には「初恋の悪魔」を書いてるんだし、べつに日テレと関係が悪化してるわけでもないと思うけど。ちょっとそこは不可解でした。『怪物』 豪華版【Blu-ray】 [ 安藤サクラ ] 楽天で購入 初恋の悪魔 Blu-ray BOX【Blu-ray】 [ 林遣都 ] 楽天で購入 anone【Blu-ray】 [ 広瀬すず ] 楽天で購入
2024.03.09
日テレ「ANOTHER SKY」のMCは、いつのまにか八木莉可子に変わってる!そして、いつのまに萌歌はメキシコへ行ったの?姉の萌音が、> 長期休暇もらって家族4人でメキシコに里帰りしたい!って言ってたの最近だよね。ひとりで抜け駆けww◇姉にくらべて、まだ幼かった妹は、メキシコ時代の記憶がちょっと薄いのでは??と思ってたのだけど…全然そんなことなかったね。ふつうに会話もできて、メキシコ舞踊もバリバリおどれるし、音楽や食べ物も覚えてるし、街並みも、生活の記憶も、かなり鮮明に覚えてるみたいです。姉妹で同じこと言ってるwhttps://mdpr.jp/news/detail/3799772#google_vignette上白石萌歌さんが八木ちゃんと旅をするなら…?#アナザースカイ #Pixelで撮影 #上白石萌歌 #メキシコ pic.twitter.com/tF2aQnpfbN— ANOTHER SKY | アナザースカイ (@ANOTHERSKY_NTV) February 22, 2024上白石萌歌&八木莉可子&石田真澄は青森へ?#上白石萌歌 さんが今とても気になる人を訪ねてお話を伺う連載!✨「上白石萌歌のぐるぐるまわる、ときめきめぐり」Vol.7は、写真家 #石田真澄 さんが登場!👀 ⏩https://t.co/IajnyIMOoP@moka_____k @adieu_staff @Masumi_Ishida_ pic.twitter.com/ZA0DuJ893M— 装苑ONLINE (@fashionjp) July 28, 2023 八木莉可子×石田真澄 3年半の記録 「八木莉可子はそのままでいいよ って受け止めてもらった気がする」 #八木莉可子 #石田真澄 #PitterPatter #写真集 https://t.co/N67Mf8s9vx— CREA (@crea_web) June 30, 2022◇~ソチミルコ~Xochimilcoアステカ時代の歴史が残る世界遺産の湖上都市メキシコシティの南部に位置し、ソカロ周辺の歴史地区とともに世界文化遺産に登録されているソチミルコ。水路が発達しており、アステカ帝国の繁栄を支えた重要な水上都市として「南米のベネチア」とも呼ばれている。現在は当時の水路を利用し、カラフルな小舟「トラヒネラ」に乗って運河を渡る遊覧船ツアーが行われている。運河には、お土産や食べ物などを売る舟や、マリアッチと呼ばれる陽気な伝統音楽を奏でる楽団を乗せた舟もあるそう。上白石さんは、ブルーの花冠とマヨネーズとチーズがたっぷりかかった焼きとうもろこしを購入。https://anothersky-ntv.com//20240224_mokakamishiraishi/萌音が語ったソチミルコ。ソチミルコという街があるのですが、運河が流れていて、カラフルなボートがいっぱい並んでいるんです。そこには観光客が乗るボート以外に、トウモロコシ屋さんのボートとか、マリアッチが乗っているボートもあって、トウモロコシが食べたくなったら「お願いしまーす!」って呼んで買ってみたり、マリアッチのボートを呼べば、私たちのボートに乗ってきて演奏してくれたりするんです。そこは大好きでしたね。https://transit.ne.jp/2023/06/002242.htmlhttps://t.co/tP8PzJrMxX pic.twitter.com/Yh55fQ4RHt— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) March 5, 2024念のために補足すると、ソチミルコ=南米のベネチア…とはいうものの、そもそもメキシコが「南米」ってのが間違いで、地理的にいえば完全に北米なのよね。南米でも中米でもない。わたしも萌歌の「ダリア」のことを書いたときに、メキシコを完全に「南米」扱いしてましたwhttps://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202106160000/それどころか、わたしは、ある時期まで、コロンビアと位置関係を混同してた!でも、メキシコはテキサスに隣接してるし、場所によっては車でカリフォルニアに行けますよね。メキシコといえば、サボテンの生える砂漠のイメージがあるけど、それってたぶんテキサスとかネバダとかも同じ。…にもかかわらず、メキシコ=北米のイメージが薄いのは、ラテンアメリカを「中南米」と同一視するから。ラテンアメリカは北アメリカ大陸のメキシコをふくみ、南アメリカ大陸のガイアナ・スリナムをふくまない。日本においては「広義のラテンアメリカ」を総称して中南米と表すことが一般化している。https://ja.wikipedia.org/wiki/ラテンアメリカつまり、メキシコは、地理的には「北米」なのだけれど、英語圏の米国&カナダとは違って、旧スペイン領でありスペイン語圏なので、文化的には「ラテンアメリカ」に分類されます。そのうえ、日本ではラテンアメリカを「中南米」と呼ぶので、結果的にメキシコは、北米なのに中南米…みたいなことになるわけですねw米国のなかでさえ、カリフォルニアやテキサスやルイジアナは、スペイン系やフランス系の人が多いから、文化的には「ラテンアメリカ」に近いのかもしれません。トラヒネラからウーパールーパー博物館に上陸。アナザースカイ オフショットメキシコで出会った仲間たち🐍🐈①と② ソチミルコのウーパールーパー博物館で出会ったカメレオン氏とヘビ氏。速攻なかよくなった③メキシコ舞踊教室にいた飼い猫さましゃがんだらお膝に乗って下さった#アナザースカイ pic.twitter.com/Y4AI7Djbyr— 上白石 萌歌 (@moka_____k) February 22, 2024◇~カナネア民族舞踊文化センター~ExHacienda Centro Cultural, Social y Ambiental El molinoメキシコの民族舞踊が体験できるカルチャースクールメキシコ北西部の都市・カナネアの民族舞踊「Ballet Folklórico de Cananea(バレエ・フォークロリコ・デ・カナネア)」の体験ができる文化センター。上白石さんは、メキシコに住んでいた際に、お姉さんの萌音さんとメキシコ舞踊を習っていたのだとか。今回のロケでは講師のハビエル先生のもと、15年ぶりにチャレンジし、見事に踊り切った。https://anothersky-ntv.com//20240224_mokakamishiraishi/萌音が語ったメキシコ舞踊。ベジャス・アルテス宮殿という古い劇場では、メキシコ舞踊の公演をよくやっていたんです。そこも家族で、何度も観に行ったのを覚えています。ちょっとだけ習っていましたね。最後の4カ月ぐらい。なので、2曲だけ踊れます(笑)。https://transit.ne.jp/2023/06/002242.html◇~エル・リンコン・デ・ラ・レチュサ~El Rincón de la Lechuza当時、上白石さんが行きつけだったメキシカンレストラン上白石さんがメキシコに住んでいたときにご家族でよく行っていた、1971年創業のメキシコ料理屋。地元住民や観光客で賑わっているアットホームな雰囲気の人気店。ここで上白石さんは、トルティーヤを細く切って揚げ、トマトベースのスープに入れて煮込んだ「ソパ・デ・トルティージャ」と牛肉とチーズのタコス「牛肉スペシャル」をいただいた。https://anothersky-ntv.com//20240224_mokakamishiraishi/萌音が語ったエル・リンコン・デ・ラ・レチュサ。上白石さんにとって忘れられない料理が「ソパ ・ デ ・ トルティージャ」だった。その料理を家族みんなでよく食べに行ったのが、3年間過ごした街・メキシコシティにあるタコス店「El Rincon de la Lechuza(エル・リンコン・デ・ラ・レチューサ)」。ソパ ・ デ ・ トルティージャは、細長くカットしたトルティージャを油で揚げた後、ゴーダチーズ、アボカドをのせ、玉ねぎ・にんにく・ししとうを具材にしたトマトソースベースのスープをかけた一杯。帰国後、いろいろなメキシコ料理店で同じ料理を食べてみた上白石さんだが、やはり本場の味にはかなわないという。https://www.tbs.co.jp/saikourestaurant/old/archive/20210109.htmlhttps://t.co/vvW9CHp6Qb pic.twitter.com/4LxiNVWBeW— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) March 5, 2024 「忘れられない味がある。」上白石萌歌#アナザースカイ #Pixelで撮影 #メキシコ#タコス #上白石萌歌 pic.twitter.com/COXNxKDB4X— ANOTHER SKY | アナザースカイ (@ANOTHERSKY_NTV) February 23, 2024 「ソパ・デ・トルティージャ」(1枚目)細く切って揚げたトルティーヤをトマトベースのスープに入れて煮込んだ料理。上白石さんにとっては「これを食べるとメキシコ制覇って感じがする味」と話す想い出の味。「タコス」 (2枚目)メキシコの主食であるトウモロコシのトルティーヤで様々な具を包んで食べる料理。ロケでは牛肉とチーズのタコスを注文。本場メキシコのタコスは皮が柔らかいのが大きな特徴。「エローテ」(3枚目)「メキシカン・ストリート・コーン」とも呼ばれるメキシコのストリートフード。焼いたとうもろこしにマヨネーズを塗って、その上にスパイスやチーズ、パクチーをかけ、ライムをしぼって食べる人気の屋台料理。「サボテンサラダ」(4枚目)食用サボテンを使用したサラダ。メキシコ国旗にサボテンが描かれているように、メキシコではサボテンを食べる食文化がある。食物繊維、ビタミン、カリウム、カルシウム、ビタミン類が豊富に含まれているので、健康にも美容に良いと言われている。https://www.instagram.com/anothersky_ntv/p/C3sENMJvfjJ/?img_index=1今週放送の上白石萌歌さんが堪能したメキシコ料理を4つご紹介🌮✨▶︎「ソパ デ トルティージャ」(1枚目)細く切って揚げたトルティーヤをトマトベースのスープに入れて煮込んだ料理。▶︎「タコス」 (2枚目)メキシコの主食であるトウモロコシのトルティーヤで様々な具を包んで食べる料理。… pic.twitter.com/5MV5h3LBhM— ANOTHER SKY | アナザースカイ (@ANOTHERSKY_NTV) February 23, 2024◇~コヨアカン市場~Mercado de Coyoacánカラフルな色彩と活気に満ちあふれたマーケットメキシコを代表する画家フリーダ・カーロ(Frida Kahlo)とディエゴ・リベラ(Diego Rivera)が暮らした街・コヨアカンにある市場。市場が充実している中南米の中でも、特にコヨアカン市場は大きく、食料品や日用品、お祭りの装飾や楽器など、ありとあらゆるものが手に入るので、地元住民にとって欠かせない場所の一つとなっている。上白石さんは自分用のお土産に食器を、MC2人にカラベラ(骸骨)モチーフのフィギュアを購入した。https://anothersky-ntv.com//20240224_mokakamishiraishi/映画『リメンバー・ミー』(Coco)死者の日の間、骸骨となった死者達が陽気に暮らすテーマパークのような死者の国を舞台に、そこへ迷い込んだミュージシャンを夢見る少年ミゲルと、死者の国に暮らす骸骨のヘクターの2人を主人公に据え、2人が死者の国で繰り広げる冒険を軸に、生死を超えた家族の絆がエモーショナルに描かれている。アレブリヘ(Alebrije)作中では独特の色彩を持ち、死者に従う怪物の総称として登場する。元々はメキシコの伝統工芸品のことで、木彫りの動物に独特の彩色を施したものである。当初は木彫りの工芸品を指す総称がなく、メキシコシティのリナレス家によって「アレブリヘ」の名で製作された架空の動物を模した木彫りや、その奇抜な色彩を一般的な木彫りに施したものが国際的に有名となったためこの名が定着した。https://ja.wikipedia.org/wiki/リメンバー・ミー#上白石萌音 #リメンバーミー https://t.co/aCt1Ba4q8z pic.twitter.com/kxIxAAuwnf— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) June 7, 2023◇~フリーダ・カーロ博物館~Museo Frida Kahlo女性画家フリーダ・カーロが生まれ育ち、夫のディエゴ・リベラと共に長年暮らし続けた「青い家」をリニューアルし、公開している美術館です。フリーダ・カーロの作品はもちろん、彼女が暮らしていた部屋も再現されています。アートだけではなく、インテリアも楽しめる美術館です。https://media.thisisgallery.com/world_museum/museofridakahroメキシコ壁画運動(メキシコ・ルネサンス)は1920年代から1930年代にかけてメキシコ革命下のメキシコ合衆国で起こった絵画運動である。主な作家にディエゴ・リベラ(Diego Rivera)、ダビッド・アルファロ・シケイロス(David Alfaro Siqueiros)、ホセ・クレメンテ・オロスコ(José Clemente Orozco)らがいる。https://ja.wikipedia.org/wiki/メキシコ壁画運動#上白石萌歌 #フリーダ・カーロ #ホセ・クレメンテ・オロスコ https://t.co/iv6soZrFzQ pic.twitter.com/mS2QUp7fQ4— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) March 4, 2024◇~ラ・コヨアカーナ~La Coyoacana地元住民で賑わう老舗のバー。コヨアカン地区にあるローカルなバー。注文したのは、テキーラとカリブ海発祥のカクテル・ピニャコラーダ。上白石さんは「バンデーラ」という飲み方で、人生初のテキーラを楽しんだ。「バンデーラ」とは、スペイン語で「旗」という意味。メキシコ国旗の色に見立てたライム汁、テキーラ、トマトジュースがそれぞれグラスに入っており、それらを順番に飲むというテキーラを美味しく楽しむための飲み方の一つ。マリアッチを聴きながらゆっくりグラスを傾け、当時住んでいた頃には楽しめなかったメキシコ本場のバーを思う存分味わった。https://anothersky-ntv.com//20240224_mokakamishiraishi/九州女がテキーラぐい呑みでよか晩!マリアッチにリクエストしたのは「ハラベ・タパティオ」と「ラ・バンバ」。https://t.co/JUexfiEBaV pic.twitter.com/NmWYYvfoB0— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) March 5, 2024◇~日本メキシコ学院~Liceo Mexicano Japonés, A.C.上白石さんが通っていた日本人学校。メキシコシティ南部アルバロ・オブレゴン行政区ハルディネス・デル・ペドレガルにある日本人学校。日墨の友好関係の象徴として1977年に設立された。日本コースとメキシココースがあり、教育と文化交流活動を通じて両国の文化の連帯と協調、理解への架け橋となることを目的としている。日本コースの教員は日本政府から派遣されているそうで、上白石さんのお父様もこの学校で教鞭を執っていた。今回の旅で、偶然にも上白石さんが東京で進学した中学校の校長先生と再会。現在は、日本メキシコ学院に派遣されているそう。https://anothersky-ntv.com//20240224_mokakamishiraishi/上白石萌歌さんが小学1年生から3年間通っていた日本メキシコ学院🏫懐かしい宿舎で当時の文集を発見した上白石さん👀文集に書かれていた将来の夢とは…?🤔#アナザースカイ #Pixelで撮影 #上白石萌歌 #メキシコ pic.twitter.com/gdFrgBYwzO— ANOTHER SKY | アナザースカイ (@ANOTHERSKY_NTV) February 22, 2024 2/24 アナザースカイ に出演させていただきます。3年間住んだメキシコに、15年ぶりに里帰りしました🇲🇽 あらゆる場所に想い出が踊っていて、幼き自分に会えた気がしました。この頃の自分が知ったらびっくりするなああ。ぜひぜひぜひご覧ください! #アナザースカイ pic.twitter.com/8oxwWXhWld— 上白石 萌歌 (@moka_____k) February 17, 2024◇~上白石家~Moka's former house上白石さんが小学1年生から3年生まで住んでいたマンション。敷地内には広々としたテニスコートや屋内プール、公園などを完備。15年ぶりの訪問となったこの場所で、メキシコで生活していた当時の確かな記憶が蘇ってきた。https://anothersky-ntv.com//20240224_mokakamishiraishi/治安の悪い地区の先にあるマンション。陸上選手のお父さんがアキレス腱を切ったテニスコート。https://t.co/Iz2jfyfrPt pic.twitter.com/p3TF9tywpZ— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) March 5, 2024 ◇~中村家~Nakamura's house上白石さんがメキシコに住んでいたときに家族ぐるみで仲良くしていた中村さん一家。音楽好きな中村家との交流で、歌うことの楽しさ、素晴らしさを知った。今回の旅でそんな中村家と久しぶりにセッション。15年経った今でもあの時の自分に戻り、歌うことができた。https://anothersky-ntv.com//20240224_mokakamishiraishi/メキシコでオーストリアのエーデルワイス&ドレミの歌。家族でサウンドオブミュージックbyロジャース&ハマースタインを歌う環境は斉藤由貴と同じ。#上白石萌音 #上白石萌歌 #斉藤由貴 https://t.co/XrSStCsRDL pic.twitter.com/mKUCKcBwCR— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) March 5, 2024メキシコ時代から、萌歌がリードボーカルで、萌音がハモリ。そして、萌音は見るからに日本人顔の眼鏡っ娘だけど、萌歌は昔も今もメキシコにいて違和感のない顔立ち!…もともとネイティブアメリカンってモンゴロイドだしね。スペイン人も、ラテン系とアラブ系が混じってるから、ゲルマン系やスラブ系のような北方ヨーロッパ人にくらべて、背も低く、髪の毛や瞳の色も黒く、アジアっぽい風貌。かたや日本では、近畿や四国などに比べて、沖縄や鹿児島は縄文系の要素が強いといわれてますが、どちらかというと弥生系より縄文系のほうが、ポリネシアの人に近い風貌じゃないかと思うし、そういう顔立ちの人は、南米にいてもさほど違和感がないのかもしれません。◇~メキシコの色彩~https://t.co/gLgBFXK17h pic.twitter.com/Cqz6g3nBf2— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) March 5, 2024 華々しい芸能界デビューを果たした彼女だが、これまですべてが順調だったわけではない。今日にいたるまで幾度となく壁にぶつかり、幼少期の頃、純粋に好きだった表現や歌をいつしか愛せなくなってしまっているような気がした。https://anothersky-ntv.com//20240224_mokakamishiraishi/歌の表現に迷いが生じるのは、本人の欲求と噛み合ってないのか、世間のニーズと噛み合ってないのか、…って問題もあるけれど、そもそも萌歌とソニーの相性が良いのか悪いのか、…って問題もあるとは思う。原点に返るという意味では、午後の紅茶のカバー曲を本腰入れて作品化するとか、あるいは『Moka sings Noda Yojiro』みたいな作品集も、ひとつの可能性としてありえるかもしれないけど、むしろ萌歌にカラフルな音楽を歌わせてきたのは、ソニーよりもむしろNHKだったわけなので、たとえば菅野よう子あたりがプロデュースするなら、みんなの歌とか合唱曲などからセレクトして、『Moka sings NHK songs』…みたいなものを作る方向性はあるかも。◇メキシコから五島列島。この流れは八木莉可子コネクション?#八木莉可子 #上白石萌歌 #福原遥 #アナザースカイ #パリピ孔明 #舞いあがれ https://t.co/cWg8cC7s9e pic.twitter.com/q109KFGoFN— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) March 4, 2024 変なポーズと変な儀式。#八木莉可子 #上白石萌歌 https://t.co/N6ZnfiZJbY pic.twitter.com/vUzoetoXVr— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) March 5, 202415年ぶりに訪れたメキシコは相変わらず鮮やかで、笑ったり涙ぐんだり心が踊りまくった。匂いが、音が、風の肌ざわりが、たくさんたくさん覚えていたなあ。心から言えます「ここがわたしのアナザースカイ、メキシコ!!」観てくれてありがとうございました🇲🇽#アナザースカイ #メキシコ pic.twitter.com/AE9O13M8nr— 上白石 萌歌 (@moka_____k) February 24, 2024上白石萌歌さんがメキシコ以外で行きたい国とは?#アナザースカイ #Pixelで撮影 #メキシコ #上白石萌歌 pic.twitter.com/YHK7agzpWm— ANOTHER SKY | アナザースカイ (@ANOTHERSKY_NTV) February 21, 2024
2024.03.05
映画『マッチング』のプロモーションで出ずっぱりの由貴ちゃん。昨日はフジテレビ「突然ですが占ってもいいですか」に出演。この収録は、まだ「ぽかぽか」や「ネプリーグ」のときほどには痩せてない。直近のインタビューでも「死」について語ってたけど、年齢的なこともあるし、本人もすこし健康面が気になってるっぽい。当たり前の順序として“死”について考えるようになったという斉藤さん。だからこそ、そこに「悲壮感はない」とも。「もちろん若干、恐怖心はあります。病気はつらいだろうなとか。でも本当に“死ぬ”ってどんな感じだろうということは、よく考えるようになりました。同時に、それは当たり前のことなんだということも」https://futabasha-change.com/articles/-/655?page=2でも、星ひとみの占いによれば「60代でまたやらかす」ってことだから、まだ健康面で衰えることはないってことでしょ。それですこし安心しました(笑)。◇痩せてるのが気になりはしたものの、2月21日の「ぽかぽか」生出演でも、いろいろ面白い話が聞けました。てっきり神田愛花と横浜トークで盛り上がるかと思いきや、神田愛花のほうは横浜よりも港区のほうが好きだと(笑)。まあ、そういう人もいるでしょうね。横浜といっても、ド田舎もあれば旧スラムもあれば旧遊郭もあるし、いろんな面があるわけだから。じつは由貴ちゃんも「8年くらい自由が丘に住んでいた」そうです。この話ははじめて知った。わたしが忘れてるだけかもしれないけど…。凜が「東京出身」といってるのは、それゆえなのかしら?でも、横浜を抜ける風って大事だよね。横浜の海と風は、由貴ちゃんの作品のテーマにもなりうるはずだとずっと思ってる。この日の冒頭のトークでは「ストイック」という形容詞について「ストアという哲学者の名前からきてる」との小ボケもありましたが、これは人名じゃなくて学派名ですね。ストア派は、ゼノンがアテナイのアゴラ北面の彩色柱廊(ストア・ポイキレ)で教授していたことにちなむ。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A2%E6%B4%BEそれから映画『恋する女たち』の快晴のラストシーンが加佐ノ岬(石川県)じゃなくて東尋坊(福井県)で撮られたみたいに言ってたけど、これもたぶん勘違いじゃないかな。ほかのサスペンスドラマかなにかと混同してるのでは? 立川智也を中心とするバンドメンバーと数ヶ月おきに遊んでるって話もしてた。アクアラインを走ってたのは「ちゃんゆき」呼びしてる立川智也の車だったのだな。https://t.co/fISfV3xTbo pic.twitter.com/NfZ01VCtti— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) December 28, 2023年齢的にも健康面を気にしはじめてるっぽい。https://t.co/H2OSIYnNWp pic.twitter.com/V7zIdoUrHh— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) February 27, 2024 いままでになく次女をディスりがち。ペットボトルが気になるらしい。次女は占い好き。そして佐久間大介と相性がいいって!!由貴ちゃんにとって次女は救いの存在。https://t.co/afRLKxDBMq pic.twitter.com/wMJ7AmIA61— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) February 27, 2024 長女は母親似で、警戒心が強いわりに騙されやすく、男運も悪い。似てるだけに厳しくしすぎたのね。でも、音楽に向いてる!https://t.co/lhbXc6GcfR pic.twitter.com/8CFOYEnETg— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) February 27, 2024…さて、ここからは配信ライブの話。上記の「ぽかぽか」に生出演した2月21日の夜、デビュー曲39周年の記念トークライブを武部聡志とともにU-NEXTで配信しました。◇わたしは、そのチケットを買うべく近くのファミマでU-NEXTのプリペイドカードを買ったのだけど「3500円のチケットだから、とりあえず2000円のカード2枚買えば十分よね~♪」などとテキトーな考えで買ったのが大間違い!1ヶ月見放題プランとの組み合わせだったので、カードのポイントは2枚足しても2400円分にしかならず、結局はセブンイレブンで金額指定のカードを買い、不足分の1100ポイントを補うハメに(笑)。でも、結果的にU-NEXTの見放題プランを2ヶ月分ゲットしたのは良かったかも。「1ヶ月見放題+1200ポイント=2189円」だったので、実質的には1000円弱で映画が1ヶ月間見放題なのですね。見放題オンリーの「3ヶ月=4917円」のプランより割安だし、Amazonのレンタル視聴が1本300円だと考えたら、月に4本ぐらいで元がとれる感じ。ためしに観たい映画をリストアップしてみたら、かるく100本は超えた(笑)。シリーズもののドラマやアニメを含めたら200本以上になりそう。まあ、放送中のTVドラマも観なきゃいけないし、さすがに2ヶ月で映画100本観るのは無理だけど、1日1本ずつ観れば2ヶ月で60本、2日に1本のペースでも30本はイケる。これはもう時間との勝負!(笑) なんとか頑張って30本は観たい。これまでU-NEXTのことはよく知らなかったけど、現金派のわたしとしてはクレジットカードなしで利用できるのがありがたいし、去年まで利用してたGYAOの無料動画より検索しやすくて使い勝手もよかった。今後は自分で《映画月間》を設けて、このサービスを利用しようかな、などと思ってます。U-NEXTのラインナップでちょっと驚いたのは、およそ半世紀前に宮城まり子がアフレコしてた『まんが世界昔ばなし』が全話視聴できること!まだ「レミゼ」などという呼称が存在しなかった時代の「ああ無情」や「少女コゼット」が見れる。子供のときに見て以来だけど、絵のテイストとかけっこう覚えてました。それ以外にも、凜が演じてる「オルペウス&エウリディケ」とか、ゲーテの「ファウスト」とか、大人になったいま見ても面白くてためになります。キリスト教文化圏のお話が多いので、けっこう宗教色が強いけれど。…てな話はどうでもいいとして。なにやら「水響曲」は、由貴ちゃんと武部のユニット名になるらしい。由貴ちゃんが「水」の字を選び、武部が「響」の字を選んだわけだけど、由貴ちゃんにとっての「水」は、たんなる思いつきじゃなく、じつは『透明な水』からずっと繋がってたことに気づきました。《透明で形がなく変化していくもの》という概念は、93年の短編集『透明な水』から2010年の『何もかも変わるとしても』まで一貫して変わってない。由貴ちゃんが引用した《この世の中で唯一絶対があるとすれば、それは変化することだ》って何の漫画のセリフか分からなくて、なんとなく『ポーの一族』のような気はしたものの、残念ながら確認はできませんでした。一般的にはスウィフトの《There is nothing in this world constant but inconstancy》という言葉が知られてます。由貴ちゃんいわく、水は「いちばん必要な根源でありながら、透明で、いかようにでも形を変え、ひとところに留まらず流れていく」と。わたしは『透明な水』のタイトルの意味がいまいちよく分かってなかったけど、今回の話を聞いてようやく分かった感じ。ヘラクレイトスの「万物流転」も平家物語の「諸行無常」も同じことだけど、むしろ由貴ちゃんにとっては「透明」というところに力点があるのかも。かりに人生が透明な水であるのなら、それはいっさいが「無」であり「無常」ということです。余談ですが、…漫画といえば、上述の「ぽかぽか」でもアニメの話題になってて、近年の由貴ちゃんは『鬼滅』『チェンソーマン』『呪術廻戦』『葬送のフリーレン』などを観てるらしい。『呪術廻戦』の影響でKing Gnuのドームライブにも行ったと。チェンソーマンなんて怖そうな漫画を読んでるのは浜辺美波や山崎紘菜だけかと思ったら、由貴ちゃんもしっかり観てるのね…(笑)。さすが鬼滅どまりのわたしなんぞとはアニメ好きの格が違う。正直、北斗の拳にもベルセルクにもついていけなかったけど、チェンソーマンにもついていけません。ちなみに、奥森皐月と結婚しちゃったハライチ岩井も、山崎紘菜とアニソンバトルを繰り広げるほどのアニメヲタクだよね。#山崎紘菜 #浜辺美波 #チェンソーマン pic.twitter.com/kFJ5KMyNgg— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) February 28, 2023ライブの1曲目は「MAY」でした。長岡と武部の蓼科選曲合宿の話。そして、谷山浩子と中島みゆきにはホワイトorブラックの二面性があり、中学時代の由貴ちゃんにとって、この2人は対照的ながらも双璧だったとのこと。先日の「霜降り80'S」でも、中島みゆきについてかなりツッコんだ話をしてましたよね。以下は由貴ちゃんの話。ーー初心者の方に伝えたい、中島みゆきの魅力って何ですか?自分の傷をあからさまに晒しているところ。よく見せたいとか、綺麗に思ってもらいたいとか、キチンとしてると思ってもらいたいとかっていう風に、なんとなく表現をオブラートに包んでしまおうとする自分がやっぱりどっかしらにいると思うんですけど、自分ががむしゃらに向かっていって痛みや傷を負って血を流して…っていうのを全部表現してる。表現に命かけてる感じがすごくする。リスキーでもそうやって生きていくしかない…っていって生きてる感じがする。さらけ出してるという意味でいえば、すでに斉藤由貴のほうが中島みゆきを凌いでますけどね。…というか、現代の日本社会で斉藤由貴ほど自分をさらけ出して生きてる人など存在しない。みんな他人のことばかりあげつらって卑怯な自分を隠しながら生きてるのだから。https://t.co/RlTP1myyHf pic.twitter.com/PQDTkvVzWI— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) February 27, 2024 由貴ちゃんとヒコロヒーの選曲が対照的なのも面白かったな。ヒコロヒーが「負け女のやさぐれたセンチメンタリズム」に共感してるのに対して、由貴ちゃんは中島みゆきの「孤独」や「達観」に共鳴してる感じだった。斉藤由貴という人は、どんな状況でも自分のことを惨めだとは考えないと思ってたのよね。これはたぶん「横浜だからカモメ好き」ってのが最大の理由だとは思うけど、カモメの孤独をさえ「惨め」とは考えず、むしろ「美しい」と思うのだろうし、なんなら「そこにこそ至高の悦びがある」と考えるのが斉藤由貴だろうと思ってた。ーー「かもめはかもめ」について。横浜だからカモメ好きっていうのもある。「青空を渡るよりも…♪」みたいに、すごく明るいじゃないですか。ふわっと広がっていくビジュアルの感じと。でも、ふっと曲調が一瞬にして入れ替わって「かもめはかもめ、ひとりで空をゆくのがお似合い」って、ちょっと悲しくなる。その変化の仕方がすごく素晴らしいなって思います。よく私たちって「空を飛べる鳥がいいな」とか言うじゃないですか。「飛べることが羨ましい」みたいになるけど、最終的にいわんとする究極のところは「孤独」っていうことなんだと思うんですよ。その「孤独」を悲壮感をもって抱きしめるんではなくて、ふわふわ空を浮きながら「ひとりで孤独で、もう行くんでいいんじゃん」みたいな感じの軽やかさがすごい好き。でも、昨日の星ひとみの話によれば、じつは斉藤由貴は「孤独に弱く依存しがち」なのだと。これはあくまでも占いですが、そのように看破されるのも、ひとつの気づきになるかもしれません。高い場所に住むのは、丘の上が約束の地だからね。https://t.co/jY7vA1C8JK pic.twitter.com/r3BMxJ5D4Z— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) February 27, 2024さらに由貴ちゃんの場合は、80年代の中島みゆきに対して世代的なノスタルジーがあって、たぶん「悪女」とか「夜曲」とかが好きなのはそういうことでしょう。80年代の中島みゆきのポップでキャッチーなところに惹かれる感覚はわたしにもある。わたしは86年の「横恋慕」がいちばん好き。ヒコロヒーのほうは、由貴ちゃんとは対照的に、泥水を舐める人間の悲哀や感傷や慰めに共感してるっぽかったけれど、その反面で「うらみ・ます」の歌詞を俯瞰的な自虐ユーモアと解釈してたのは興味深かったです。凜も由貴ちゃんもキョコロヒー。由貴ちゃんのときと同じ企画w安里麻里は『氷菓』の監督。#斉藤由貴 #水嶋凜 #キョコロヒー #泥濘の食卓 #ヒコロヒー #齊藤京子 https://t.co/dvUsqLKckX pic.twitter.com/unyUGQdjZN— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) October 31, 2023なお、由貴ちゃんは、リスペクトライブに出演したものの、中島みゆき本人にはまだ会ったことがないとのこと。「歌縁」(うたえにし)-中島みゆき RESPECT LIVE 2023- [ (V.A.) ] 楽天で購入 中島みゆきのシングル曲はサブスクで聴けますが、いまのところアルバム曲のほうはSpotifyとかには配信されてませんね。「夜曲」の原曲も聴きたいし、由貴ちゃんバージョンの「夜曲」も聴いてみたい。中島みゆきといえば… 由貴ちゃんは、櫻井・有吉の「夜会」にも出演して《超速台詞覚え》にチャレンジしてました。台本をもちかえらず現場でその日のセリフを覚えるってのも不思議だったし、もしかして由貴ちゃんが読書家なのは映像記憶的な速読術を体得して超人的な集中力をもってるからではないの??などとも思ってたのだけど、あえなくレベル2で撃沈してました。わりと普通の人だったので安心(笑)。https://t.co/2squUNjaQl pic.twitter.com/oXXYhN52f4— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) February 27, 2024…ライブの2曲目は「青春」でした。母ピッチャー、娘キャッチャー。#斉藤由貴 #水嶋凜 #デビュー作#直ちゃんは小学三年生 #直ちゃんは小学五年生 pic.twitter.com/GeJg3BtKdx— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) October 9, 2022 筒美&松本による「卒業」「初戀」「情熱」と合わせて漢字2文字4部作になるという話。音楽惑星さんは、松田聖子の「制服」も合わせれば松本隆の5部作だと言ってたけれど。(ちなみに「制服」の作曲はユーミンです)ま:「卒業」に続いて「初戀」と「情熱」で二字熟語の3部作になるわけですけど、ほんとは、なにげに「青春」も二字熟語だったんですよね。惑:松本さんの作品として見れば、松田聖子の「制服」からはじまる5部作という見方も可能かもしれません。http://manzara77.blog.fc2.com/blog-entry-248.html…3曲目は「木綿のハンカチーフ」。由貴ちゃんの「卒業」が、太田裕美の「木綿」のエピソード0にあたるという噂の話。噂の出どころが松本隆本人かは判然としない。映画『青いうた〜のど自慢青春編』のときは、めずらしく体調が悪くて立ち上がることもできず、点滴を受けてから車椅子で撮影現場に入り、歌った後はまた車椅子で帰ったという話。そんなことあったのね。…4曲目は「夢の中へ」。井上陽水にかんしても、崎谷健次郎のプロデュースした『âge』にかんしても、おおむね音楽惑星さんとの話は終えてるのだけれど、公開のタイミングを逸したまま、もう5年も経ってるwww音楽惑星さんは「そのうちアップする」と言ってるけど、このままお蔵入りでもいいんじゃないかなあって気がしなくもありません。情弱すぎて事実関係のわからないことも多いし、谷山浩子の歌詞について勝手な解釈を垂れ流すのも、若干の後ろめたさを感じるようになってきたから。…情弱といえば、最近はだんだん萌音・萌歌・美波の情報も追いきれなくなってきたのよね(笑)。とくに年末年始は、去年もすごかったけど今年もすごかった。大晦日と元旦だけでも3人が出まくってました。12/31萌歌:Nコン90回のあゆみとともに 7:20~萌音:ポルトガル・アゾレス諸島 12:15~美波:紅白歌合戦 19:20~美波:ぐるナイおもしろ荘 23:45~1/1萌音:朗読『妹』という祝福 6:05~萌音:四国お遍路の旅 7:20~萌歌:バナナサンド元日SP 17:00〜美波:有吉弘行の爆食ツアー 20:50~萌音:あたらしいテレビ 22:15〜(元旦の番組のいくつかは地震の影響で延期)萌音が朝ドラ主演のあとに帝劇『千と千尋』初演をしたのも、朝ドラ『はね駒』のあとに帝劇『レミゼ』初演をした由貴ちゃんを彷彿とさせたけど、由貴ちゃんと同じく朝ドラ主演のあとに紅白司会をやってのけたのは浜辺美波でした。ちなみに美波は『ゴジラ-1.0』で国際的な評価を得てますが、萌音が主演した『夜明けのすべて』のほうも国際的に注目されてる。すくなくともヨーロッパでは濱口竜介と三宅唱が並び称される形になってます。そして、この2人は相米慎二の系譜を引いてる面がある。…5曲目は「春よ、 来い」でした。ユーミンの春の曲ってことで、てっきり「ダンデライオン」かと思ったら、これはまさかの選曲。去年は一青窈が歌ったわけですが。https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202304180000/この曲は迷宮的だ、と話す由貴ちゃん。いわれてみれば、そうなのです。迷宮といっても、けっして「不思議の国のアリス」のような謎や魅惑に満ちた世界じゃなく、むしろ人生の春を待ちつづける者の永遠の迷いの歌です。谷山浩子のような自虐的なユーモアもなく、むしろひたすらに悲しい曲だというべき。もしかしたら世間では希望の歌だと受け止められてるかもしれないけど、じつはとても悲しい歌だと思う。ここ最近の由貴ちゃんが「死」について考えるようになったこととも無関係な選曲ではないのかも。春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき夢をくれし君の 眼差しが肩を抱く 夢よ 浅き夢よ 私はここにいます君を想いながら ひとり歩いていますそういえば、朝ドラ『春よ、来い』に主演したのは安田成美でしたが、彼女も由貴ちゃんと同い年で、やはり3人の子育て(男・男・女)が終わって一段落したらしく、夫婦それぞれ活動が顕著になってます。夫はドラマ『春になったら』の末期癌の父親役で奈緒と共演してるし、安田成美は細野のリアレンジで「風の谷のナウシカ」を再録音して、先日は「徹子の部屋」に出演してました。いちおう安田成美も相米組だったのよね。当初は『雪の断章』に彼女が主演する予定だったって噂もある。でも、彼女の口から相米の話ってあんまり聞いたことがない。いまのところU-NEXTのラインナップにも『光る女』は含まれてません。U-NEXTのラインナップは、ゴダールは充実してるのにエリック・ロメールが1本もないとか、小津や黒澤は充実してるのに山本嘉次郎や溝口健二にだいぶ不備があったりとか、けっして万全とはいえません。まあ、わたしの場合はとりあえず2ヶ月間利用するだけなんだから、まったく問題ないけど。…ライブの話はここまで。◇以下は「霜降り80'S」で由貴ちゃんが中島みゆきについて話した内容のメモです。ーー中島みゆきの歌詞の世界について。ダークで恨みとか情念みたいなところがあるかと思うと、地球とか人生とかをものすごく俯瞰で見たような作品もけっこう書かれてて、「時代」もそうですけど、人生とはそういうものっていうのを、私たちに諭し、諦めさせ、そのあとに勇気づけてくれるみたいな、多分そういう歌なんだと思うんですよね。ーー「炎と水」について。炎と水、相反するものが対照的なところに立っているんだけれども、その2人がどうしようもなく惹かれあって、ともに歩んでいくみたいな感じ。北海道出身ですから、炎とか水とか雪とか氷とかっていうのを歌うと、彼女の生まれもってきた土地のバックグラウンドがすごく感じられる。(この話を聞いて相米慎二の『風花』のことをちょっと思い出しました)ーー「永久欠番」について。歌詞の中に「100年前も100年後も私がいないことでは同じ」っていう歌詞があって、本当そのとおりだなと思う。私たちはいま生きてるけど、100年前に生きてなかったし、100年後もたぶん生きてないじゃないですか。自分がこの年齢になって人生の残り時間とか人生ってどんな意味があるんだろうなとか、やっぱりけっこう考えるわけですね。救いと、あとそれから「執着するなよ」っていうことをメッセージとして与えてくれる歌です。ーー「夜曲」について。たぶん、みゆきさんが本当に自分のことを書かれたんだろうな。どの曲もそうなのかもしれないけど。彼女がラジオやってて、その深夜ラジオで「私が言ってることとか歌ってる歌はすべてあなたに向けて歌ってるのよ」っていう歌なんですね。「どこかの街角でこの私の声とか歌を耳にしたら、すこしだけ私のことを思い出して」っていうような。私、ラジオがすごく好きなんです。耳だけで聞いて、たくさんの人が聞いてるかもしれないけど、不思議な「1対1感」があるじゃないですか。彼女はしゃべりながら、ただひとり自分が本当に心から愛する人たちに向かってしゃべってる、…あるいは歌ってるんじゃないのかなっていう感じがすごくする。だから有名な曲ではないかもしれないけど、私にとってはいちばん好きな曲に近いかもしれない。ーー中島みゆきの曲をどういうときに聴きますか?くじけそうなときですかね。自分の中にいろんなものが絡まってしまって、何が正解かとか何を選ぶべきかとか分からなくなるような、自分の中でこんがらがっちゃったときとかに、そういうものを「大したことじゃないんだよ」っていう風に「とりあえずみんな捨てちゃっても良くない?」とか「とりあえず手放してみなよ」っていうようなことを言ってくれる気がする。
2024.02.28
映画「マッチング」のプロモーションがはじまってから、ずいぶん痩せて見えるんだけど。配信ライブのときとくらべても、急激に痩せてる感じがする。役作りなの?腕まで細くなってる感じで、あまり健康的な痩せ方には見えないし、ちょっと気になる。年齢的にも、そろそろ健康を第一に考えるべきでは?
2024.02.26
TBS「せかくら」を見てて驚くのは、日本のアニメ「セーラームーン」が、とんでもなく海外に浸透してるんだなあ…ってこと。街なかに設置したカラオケで、現地の女性が主題歌の「ムーンライト伝説」を歌うと、通行人が足を止めて、みんな懐かしそうに口ずさむ。メキシコでは、女の子にいちばん人気のあるテレビ番組だったらしく、ポルトガルでは、テレビ史上もっとも視聴者数の多かった番組だそうです。◇調べてみると、アニメ「美少女戦士セーラームーン」は、1993年にスペインとフランスで放送され、その後はロシア、韓国、フィリピン、中国、イタリア、さらに台湾、タイ、インドネシア、香港、そして北米へ広がり、最終的には「世界40ヶ国で放送されている」とのこと。2017年の世界フィギュアのときに、メドベージェワが「ムーンライト伝説」で踊ったときは、あくまで日本向けのファンサービスよね…などと思ったけど、案外、そうじゃなかったのかもしれません。彼女も本気でセーラームーンが好きだったらしい。◇英語のWikipediaによると、セーラームーンは、フェミニズムやガールパワーなどの面で、女性視聴者を力づけた作品と見なされてるようです。In western culture, Sailor Moon is sometimes associated with the feminist and Girl Power movements and with empowering its viewers, especially regarding the "credible, charismatic and independent" characterizations of the Sailor Guardians.実際、せかくらに出てきたメキシコやポルトガルの女性も、「セーラームーンは女の子にとっての夢だった」「セーラームーンの主題歌は女の子にとって大事な曲」と話してました。世界中の女子に与えた影響力の大きさからいうと、ジブリ作品をも上回ってた可能性がありますね。◇もともとセーラームーンは、武内直子の漫画「コードネームはセーラーV」を、東映の企画によってアニメ化したものです。それはいわば、・魔法少女路線・戦隊ヒーロー路線・セーラー服少女戦士路線を結びつけたところに生まれている。このうち、東映の魔女っ子シリーズというのは、1966年の「魔法使いサリー」にはじまっていて、東映のスーパー戦隊シリーズは、1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」にはじまります。https://ja.wikipedia.org/wiki/東映魔女っ子シリーズhttps://ja.wikipedia.org/wiki/スーパー戦隊シリーズ◇そして、東映のセーラー服少女戦士の路線は、薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」(1981)にはじまり、斉藤由貴の「スケバン刑事」(1985)に受け継がれた、と考えるのが一般的でしょう。しかし、これについては、以前、音楽惑星さんと話したことがあるので、その部分をすこし抜粋しておきます。青字が音楽惑星さんで、赤字がわたしです。薬師丸ひろ子は、セーラー服を着て機関銃をぶっぱなしながら「快感…!」などと呟いてしまった。これが世間の度肝を抜いてパンドラの箱を開けたのです。これが1981年の出来事なのですね。赤川次郎の『セーラー服と機関銃』は78年の小説です。和田慎二の『スケバン刑事』の連載は75年にはじまっています。しかし、それらのイメージは、あくまでも小説や漫画の中にとどまっていて、お茶の間で共有されるようなものではなかったと思います。やっぱり実写のインパクトは強い。実写でいうと、72年にはじまる東映の「恐怖女子高校シリーズ」なんてのもありました。じつは、ここらへんが起点のひとつではあります。その前に日活の「黒猫ロックシリーズ」や東映の「女番長シリーズ」などがあり、それが若年化して不良女子高生のシリーズになっていたんですね。和田慎二の漫画よりも、チンピラ映画のほうが先にあった。もともと「スケバン」という用語も、71年の『女番長ブルース牝蜂の逆襲』という東映の成人映画にはじまってます。「セーラー服と機関銃」も東映の配給だし、「スケバン刑事」も東映のドラマだから、東映ヤクザ映画の流れを汲んでるのはまちがいない。http://manzara77.blog.fc2.com/blog-entry-363.html#sailorもともと東映は、バイオレンスやエロティシズムなどの表現も、まったく臆することのない会社だし、幼女向けの魔女っ子シリーズにさえ、永井豪の「キューティーハニー」みたいに、けっこうエロティックな作品があったりします。そんな東映の作品に、とてもフェミニズム的な観点があったとは思えないし、むしろ少女を性的な商品とみなす発想のほうが、はるかに強かっただろうと想像できます。そもそも、「魔法使いサリー」の横山光輝も、「キューティーハニー」の永井豪も、「スケバン刑事」の和田慎二も、「セーラー服と機関銃」の赤川次郎も、ことごとく男性作家なのだから。◇英語のWikipediaによると、武内直子も、「東映のアニメは男性的な視点で作られている」との思いを抱いていたようです。Takeuchi later said because Toei's production staff were mostly male, she feels the anime has "a slight male perspective."しかし、制作側の意図がどうであれ、受け手側の少女たちは、「魔女っ子メグちゃん」や「セーラー服と機関銃」などを、女子を勇気づける作品と解釈した可能性はあるし、とりわけ「セーラームーン」の場合は、作者の武内直子が女性だったこともあり、なるべく男性的な視点を排除して、女子を中心とする市場にターゲットを絞ったようです。Although the audience for Sailor Moon is both male and female, Takeuchi does not use excessive fanservice for males, which would run the risk of alienating her female audience. それは端的にいえば、男性向けのエロティックな描写を控えたってことでしょう。そしていまや、東映の生んだ美少女アニメが、世界の「女性解放」を象徴する文化として共有されてる。それはちょっと不思議なことです。ムーンライト伝説。セーラームーン。この曲はメキシコの女の子にとってシンボル的な存在なの。子供のころアニメがはじまるとテレビの前で歌いながら踊ってたわ。メキシコの女の子が大事にしてる曲です。 https://t.co/GcHTERXm24 pic.twitter.com/KV1ZwUSe9S— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) January 25, 2024メキシコではセーラームーンは女の子にとって1番っていうくらい人気。#美少女戦士セーラームーン #SailorMoon #せかくら pic.twitter.com/cPV5J85krC— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) January 25, 2024セーラームーンで育ったようなものよ。セーラームーンがいちばん好き。セーラー服で戦うのが斬新だった。セーラームーン(1997放送)ポルトガルテレビ史上もっとも観ていた人が多い番組。記録は未だに抜かれていない。#美少女戦士セーラームーン #SailorMoon #せかくら pic.twitter.com/cfVq04zlPD— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) January 25, 2024◇余談ですが…主題歌の「ムーンライト伝説」の冒頭のメロディは、倍賞千恵子の「さよならはダンスの後に」のパクリなので、著作権使用料を一部分けることで和解してますね。◇…ちなみに、TBS「せかくら」のカラオケ企画は、機械採点でランキングをつけてるのだけど、あいかわらずカラオケの機械採点ってのは、人間の歌を譜面に押し込む発想で設計されてて、細かい節回しやリズムの揺らぎなどを許容せず、あろうことかプロのジャズ歌手に低い点をつけたりしてる。こういう機械採点は歌の多様性を殺しますよね。人を感動させる歌の何たるかをまったく理解してない。たとえば米国の黒人音楽なら、自由に節やリズムを変えて歌ったりするわけだから、こんなバカげた機械は絶対に作らないと思いますけど、もしかしたら、カラオケの設計をしてる日本の企業人は、「ボーカロイドの歌がいちばん上手い」とでも思ってるのでしょうか?
2024.01.26
NHKの100分de名著「シャーロック・ホームズSP」を見ました。わたしのお目当ては、1887年の「緋色の研究」(A Study in Scarlet)です。ホームズシリーズの第1作だけど、以前から、このタイトルの意味を知りたかったのよね。でも、残念ながら、それについての言及はなかった。◇フリッツ・ラングが、ジャン・ルノワールの映画「牝犬」をリメイクしたとき、かなり"イヤミス"っぽいフィルムノワールにアレンジして、タイトルも「緋色の街」(Scarlet Street)と改めたのだけど、 おそらく欧米では「スカーレット=緋色」というのが、ゴシックロマンス世界を象徴する共通イメージなのだと思う。そして、その元ネタは、たぶん米国のナサニエル・ホーソーンが書いた、1850年の「緋文字」(The Scarlet Letter)じゃないのかしら?…ってなことを、以前、シネマレビューのほうに書いたんだけど、https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?SELECT=24063&TITLE_NO=15518#HITそれと同じことが、ホームズの第1作にもいえる気がする。◇スカーレット=緋色というのは、ナサニエル・ホーソーンの小説では、ピューリタンの社会が、姦通した女性の服に、その罪を刻印した際の「A」(=adulteress)の文字色です。かたやコナン・ドイルのホームズ第1作では、恋人を一夫多妻制だった初期モルモン教会に奪われた男が、血で壁に「RACHE 」(=復讐)と書いたときの色です。この小説の原題「A Study in Scarlet」は、日本では「緋色の研究」と訳されてきたけど、英語の「study」は仏語の「étude」と同義であり、絵画なら「習作」、音楽なら「練習曲」と訳す言葉なので、邦題を「緋のエチュード」としている訳もあります。コナン・ドイルとホームズにとっては、謎解きの対象となった米国のゴシックサスペンス事件が、いわば「緋色のエチュード」だったのかもしれません。◇そしてフリッツ・ラングの映画では、通りの名前が「Scarlet Street」なのです。原作の「牝犬(La Chienne)」は、パリのモンマルトルを舞台にしてますが、フリッツ・ラングの映画では、それをNYのグリニッジ・ヴィレッジに移してる。モノクロ映画だから分からないけど、グリニッジ・ヴィレッジは赤煉瓦の町だから、それにちなんで「Scarlet Street」としたのでしょう。(実際にそういう呼称があるかどうかは不明)◇思えば、マーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」が、ヒロインの名前をスカーレット(Scarlett O'Hara)にしたのも、南部ゴシック的な世界観を暗示してのことかもしれない。ちなみに、ナサニエル・ホーソーンの「緋文字」は、17世紀の北東部ニューイングランドの物語ですが、コナン・ドイルの「緋色の研究」は、19世紀、南北戦争前の西部ユタ州の物語で、マーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」は、19世紀、南北戦争下の南部ジョージア州の物語、…ってことになるかと思います。◇余談ですが、現在の日本では、あまり「緋色」という言葉を使いません。もともとは「火色」が転じたものらしく、すこし黄味がかった赤のことなのだけど、一見しただけでは、たんなる「赤」としか思えないし、せいぜいのところ「濃い橙色」とか、あるいは「赤味の濃いオレンジ」って感じです。そして、紛らわしいのはバイオレットとの区別なのよね。バイオレットは青紫/菫色のことだから、本来はスカーレットとまったく違うのだけど、日本では、桑名正博の「セクシャルバイオレットNo.1」のせいで、セックス&バイオレンスからの語感的な連想があり、バイオレットのほうがどぎつい色と思われがちだし、かなり"赤寄り"に誤解されてる感じもある。松本隆の書いた歌詞は、《情熱の朱/哀愁の青》《ときめきの赤/吐息の青》と、赤と青の混じった色と言ってるだけですが、ジャケットデザインはあきらかに"赤寄り"の紫です。欧米人がスカーレットに託す暴力的なイメージは、日本人がバイオレットに抱くイメージに近い気がする。ちなみに、桑名正博の曲のタイトルは松本隆の発案ではなく、CMソングを依頼したカネボウ側の提案だったらしい。追記:▽こんな考察記事がありました!https://itukami.lampmate.jp/study-of-scarletコナン・ドイルの「緋色 /Scarlet」の由来として、ギリシャ神話由来、聖書由来などの説が紹介してあります。へええ~。▽こちらの論文によると、https://www.jiu.ac.jp/files/user/education/books/pdf/841-73.pdfもともと日本の「緋色」には、明るい赤(スカーレット)&暗い赤(茜色や赤紫)の2系統があり、フランス語の「pourpre」の訳語にもなってるらしい。へええ~。
2024.01.24
もともとミクロス・ローザは好きだったけど、最近はYouTubeやサブスクでたくさん聴けるようになり、あらためてその魅力を認識しなおしてる。なぜか日本のWikipediaやクラシック系サイトでは、ハンガリー風の表記で「ロージャ・ミクローシュ」となってますね。◇一般的には「ベン・ハー」の音楽が有名ですが、わたしがとくに好きなのは、ヒッチコックの「白い恐怖」、フリッツ・ラングの「ムーンフリート」、ダグラス・サークの「愛する時と死する時」の音楽です。Alfred Hitchcock/Spellbound (冒頭がテルミンではじまる) Fritz Lang/Moonfleet Douglas Sirk/A Time to Love and a Time to Die 好きになった最初のきっかけは、30年くらい前に映画館で観た「ムーンフリート」。シネマスコープによる冒険絵巻でした。物語はよく覚えてないけど、ミクロス・ローザの血湧き肉躍る音楽が、ゴシックロマン的な冒険譚を否応なく盛り立てていた。◇ラフマニノフやレスピーギあたりと同じく、「遅れてきたロマン派」とも「擬古典主義」とも言えるけど、本家のロマン派より、もっとロマン主義的なのよね。まさに大迫力のスペクタクルにふさわしい作風。場面の転換にともなって、分裂症的に目まぐるしく変わっていく曲想にも、物語的なロマンティシズムを掻き立てられる。口ずさめるようなキャッチーなメロディも豊かで、ジェリー・ゴールドスミスやジョン・ウィリアムスが、ミクロス・ローザの弟子だってのも合点がいく。もともとはユダヤ系のハンガリー人ですが、土俗的な響きを大胆に打ち鳴らすところとか、そこはかとなく東欧的なエキゾチズムも感じられる。どこかしら日本の伊福部昭を思わせる面があるかも。◇わたしはコダーイやバルトークも好きだけど、同じハンガリー出身の作曲家として、彼らに並べるべき存在じゃないかと感じます。実際、映画音楽以外にも、バイオリン協奏曲などの純音楽を残してる。映画音楽にくらべれば、純音楽のほうが近代的かもしれません。ちなみにハンガリーでは、日本と同じようにファミリーネームが先に来るのだけど、Wikipediaなどの表記が、ハンガリー風に「ロージャ・ミクローシュ」と書くのは、米国ではなく、ハンガリーの作曲家と見なすがゆえ?それって、もしかして、「ヘンデルは英国人じゃなくドイツ人だ!」みたいなのと同じ理屈でしょうか??たしかに純音楽のほうでは、「Hungarian Serenade, Op. 25」(1945)のような作品もあったりするので、ハンガリーの作曲家と見なすのは妥当ともいえる。かたや英語のWikipediaのほうは、あくまで英語風に「Miklós Rózsa」の表記になってるのよね。◇その英語のWikipediaによると…母親はフランツ・リストの孫弟子にあたるピアニスト。やはり当初はブダペスト北部の民謡を収集したりして、コダーイやバルトークの後継者たろうとしてたようだけど、まもなく個人主義を抑圧する民族主義の危うさに気づき、一転してドイツ音楽のほうへ傾倒し、19才でライプツィヒ音楽院に入って作曲を学び、バッハゆかりの聖トーマス教会では合唱音楽を学んでる。しかし、純音楽の作曲家としては生計を立てられず、フランスで映画音楽を手掛けてた友人のオネゲルにならい、同じハンガリー出身の映画制作者アレクサンダー・コルダのために、ロンドンやハリウッドの映画界で作曲に従事する。ワーグナー風のライトモチーフをもちこむなどして、第二次大戦中の米国映画界で高い評価と成功を収め、戦後まもなく米国籍を取得し、後半生は米国で過ごしたようです。アカデミー賞には11度ノミネート。そして3度受賞。◇そこから考えると、祖国ハンガリーを捨ててドイツに学び、米国で生きることを選んだように見える。(ユダヤ人だったことも関係してるかもしれないけど)…とはいえ、音楽そのものは、やはりドイツ的とも米国的とも言い切れない何かがあって、そこはかとなく《ハンガリーっぽさ》を感じるのよね。ハンガリーのマジャール人の祖先は、コーカソイドじゃなくモンゴロイドだったらしく、ファミリーネームが先に来ることからも分かるように、言語的にもインド・ヨーロッパ語族とは別系統。ヨーロッパでは例外的なほどアジア・ユーラシア的で、かなり特殊な民族なのだといえます。ミクロス・ローザの音楽からも、しばしばアジア風の旋律が聞こえてくることがある。◇コダーイやバルトークは、いわば「近代の国民楽派」だと思いますが、チェコのヤナーチェクやマルティヌーも、米国のガーシュウィンやコープランドも、アルゼンチンのヒナステラも、ブラジルのヴィラ=ロボスも、同じように位置づけることが出来るし、わたしの好みも、そこらへんに集中している。そして個人的には、ミクロス・ローザもそこへ並べたい気がしてます。
2024.01.23
NHKスペシャル「世界に響く歌 ~日韓POPS新時代」を見ました。1980年代の台湾ニューシネマ(侯孝賢や楊徳昌)もそうですが、2000年代以降の韓ドラやK-POP(冬ソナやBTS)も、国家的な文化事業が成功した結果だったのね…。かたや日本の場合、今回のYOASOBIの「アイドル」がアニソンだったことを考えると、日本の文化政策が基幹産業に位置づけるべきなのは、映画や音楽ではなく、やっぱりアニメなのかなあ…と思う。◇ひとたび海外でアニメ作品がヒットすれば、それにともなってアニソンや劇伴音楽も輸出できるし、さらには実写映画化、演劇化、ゲーム・玩具化、あるいは出版・ノベライズ化などによって、周辺産業にまで海外展開の可能性がひろがるし、もちろんライセンスの使用権を輸出することもできる。アニメに登場するシーンが、海外からの観光客の「聖地巡礼」を促すことも、ファッションや食品の輸出増につながることもある。ジブリパークのような施設さえ輸出できるかもしれない。◇国家的な文化政策としては、助成制度、受賞制度、教育制度などを整備する、…みたいな方法もありますが、たとえば、ブラック労働を強いられてる末端のアニメーターを、経済的な面から支援していくだけでも、産業全体の底上げになるんじゃないかと思います。ソニーや東宝のような国際企業を通じて、海外の市場調査・マーケティングをしていくのも重要になる。◇…さて、ここからは昨年末の紅白についての話です。ジャニーズを排除したぶんK-POP勢が増えて、いろいろと賛否両論もあるのだけど、わたし自身は、なんだかんだで、やっぱりK-POPのパフォーマンスの実力を見せつけられ、日本のアイドルとの差を痛感させられた感じ。◇文化の違いといえばそれまでだけど、K-POPのグループには、音楽とダンスを一体的な作品として見せる発想があって、わたしみたいに個々のメンバーに興味のない人間でも、そのパフォーマンスの魅力は十分に伝わってくる。わたしは、K-POP勢にアイドル的な興味はもってないし、そもそもメンバーの名前もまったく知らないけど、それでもBTSやTWICEのパフォーマンスには魅了されます。今回の紅白でも、SEVENTEENやNewJeansのパフォーマンスに惹きつけられた。◇ダンスの技術にかんしては、日本人と韓国人の筋力の差ってのもあるだろうけど、それ以上に重要なのは、やっぱり振り付けやプロデュースの方法じゃないかな。SEVENTEENなどは、「自分たちで振り付けをした」と言ってましたが、音楽とダンスの相乗性が高くて、テレビの生パフォーマンスでも映えるように、視覚的な効果がよく考え抜かれている。YOASOBIの「アイドル」のときにも、日韓のアイドルが代わる代わる踊ってたけど、やっぱり日本勢より韓国勢のダンスのほうが映えます。日本勢で対抗できるのはPerfumeぐらいじゃないかしら?◇日本のアイドルグループの場合は、個々のメンバーをアピールすることが主目的で、ダンスはそのための手段でしかないように見える。旧ジャニーズやAKBのパフォーマンスを見てても、ダンスそのものの魅力を感じることはほとんどない。個々のメンバーに興味がなければ、パフォーマンスそのものはちっとも魅力的に思えない。これは子供の学芸会と同じことで、親たちは大喜びしてるけれど、無関係な第三者から見たら、ただの取るに足らないお遊戯でしかないってこと。この点が世界市場にアピールするか否かを分けていると思う。◇もちろん、今後も日本のアイドルグループが、国内のガラパゴス的な市場だけで活動していくのなら、それもまたひとつの文化だとは思うけど、NHKの紅白歌合戦が、そういうガラパゴス的な文化を披露する場なのか、それともボーダレスな文化に開いていくべきなのか、そこは判断の分かれていく部分になる。おそらく、ボーダレス化を拒否して、あくまでガラパゴス的な文化の存続を望むのは、おもに40代以上の世代だろうと思うけど、コンテンツの未来を考える上では、そういう層は無視すべきじゃないかって気もする。◇先日、ネットニュースを見てたら、AppBrew「今なりたい顔」ランキングってのがあって、↓どれだけ信用できる調査かは知らないけど、https://news.mynavi.jp/article/20231220-2844783/どうやら日本の10代・20代の女子は、みんな「韓国アイドルみたいな顔になりたい!」と思ってるらしい。あまりの隔世の感に驚いてしまいましたが、若い世代はあきらかにボーダレス化のほうに向かっていて、日本のガラパゴス化なんてぜんぜん望んでないのでしょう。◇来年の紅白には、旧ジャニーズ勢もすこし戻ってくるだろうけど、ふたたびガラパゴス的なイベントへ逆戻りするのなら、紅白という番組自体を存続させる意義も薄いかなと感じます。
2024.01.17
NHK「あたらしいテレビ2024」を見ました。MCは、東京03飯塚悟志/上白石萌音/星街すいせいコンテンツバトンリレーは、白山乃愛~福田雄一~山崎貴ダイヤモンドトーク座談会は、ダウ90000主宰の蓮見翔漫画家の魚豊ミュージシャンのアンジェリーナ1/3作家の日比野コレコ映像作家の今井環…という面子でした。なお、ほとんど誰もテレビの話はしてませんでしたw◇小学生の白山乃愛ちゃんと今井環くんは、奇しくも福田雄一の作品をよく見てるとのこと。マンガ的な作風が小学生にもウケるのかしら。また、山崎貴と福田雄一は、「日本の映画はアート系ばかり!」「ハリウッド的な本流のエンタメが皆無!」という見解を共有してるらしい。なるほどね。そして、座談会の参加者のほとんどが、老いるほど若々しい作品をつくる宮﨑駿を、もっとも理想的なクリエイターとして憧れてるようです。◇番組の制作者や参加者それぞれが、去年の《超個人的コンテンツアワード》を選んでました。以下の画像をクリックすると閲覧できます。https://www.nhk.jp/p/ts/R32JGQLRW6/blog/bl/plndyemZbD/bp/p5R4wDQEp6/ちなみに、萌音の選んだ「コンテンツアワード2023」は以下のとおり。クリックすると、ひととおり予告等が見れます。ブラッシュアップライフVIVANT君たちはどう生きるかBLUE GIANTスピッツ「ときめきpart1」ちひろさんハミルトンスイッチインタビュー「山里亮太×古舘伊知郎」EP1https://www.nhk.jp/p/switch-int/ts/K7Y4X59JG7/blog/bl/peZjvLyGze/bp/pReJ3rz4X2/スイッチインタビュー「山里亮太×古舘伊知郎」EP2https://www.nhk.jp/p/switch-int/ts/K7Y4X59JG7/blog/bl/peZjvLyGze/bp/pGPPV6mj9G/NHKスペシャル「新・ドキュメント太平洋戦争」https://www.youtube.com/watch?v=bPHtxZ0hMcwQ~子供のための哲学https://www.nhk.or.jp/school/sougou/q/onair/
2024.01.09
浜辺美波がようやくSNSを再開しました。(友人でもある橋本環奈のSNSはいまだ再開せず)昨年は、らんまん、ゴジラ-1.0、紅白司会と、彼女にとって絶頂の年だったのですが、皮肉にも、紅白が終わったその翌日、地元の石川県が震災に見舞われた。本人は無事のようですが、メンタル面の打撃は大きいでしょう。こういうときは、幸運と引き換えの悲劇のように思えてしまったり、辰年にゴジラの予言が現実になったように感じたり、意図せずして自分自身を責めがちにもなる。絶頂から一気にどん底へ突き落とされた気持ちでしょう。しかし、できることをやるしかありませんし、それ以上のことを望むことは不可能です。とりあえず、本人にできる範囲での支援や支援の呼びかけ。それから、すこしずつ気持ちを落ち着けながら、もとの仕事の軌道へ戻していくしかありません。皆さまへ。 pic.twitter.com/Y5eIoKlqS7— 浜辺美波 (@MINAMI373HAMABE) January 8, 2024 【令和6年能登半島地震災害義援金】受付開始この度の地震の影響により、家屋倒壊や断水など甚大な被害が発生しています。日本赤十字社は被災された方々を支援するため、義援金の受付を開始しました。お寄せいただいた義援金は、被災地の義援金配分委員会へ全額お届けします。— 日本赤十字社 (@JRCS_PR) January 5, 2024 ◇紅白については、旧ジャニーズの排除と、K-POP勢の出演への賛否両論や、視聴率の問題などもありますが、個人的には、なんだかんだで韓国勢のパフォーマンスに感嘆した、という事実はあります。それについては、落ち着いてからまた書きます。
2024.01.08
NHKプラスで「没後15年~氷室冴子をリレーする」を見ました。今年6月に北海道ローカルで放送された番組。萩尾望都や藤田和子が出演してました。30分弱の番組でしたが、北海道では《43分の拡大版》も放送されたとのこと。特設サイトには、出演者インタビューの全文が掲載されてます。https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n753ef2a5e0bb◇もちろん、わたしとしては、斉藤由貴がらみで、萩尾望都と氷室冴子の関係が気になるのだけど、両者の出会いについての話はありませんでした。…わたしが知ってる範囲でいうと、氷室冴子は、もともと萩尾望都のマンガを愛読してて、高校時代には漫画家になることを夢見てて、大学時代には「トーマの心臓」に言及した評論も書いてる。『氷室冴子とその時代 増補版』には引き続き附録として氷室冴子が大学時代に執筆した『トーマの心臓』論ともいえる評論「少女マンガの可能性」が収録されています。90年代に行われた氷室さんと萩尾との対談中の氷室さんの発言(『物語るあなた 絵描くわたし』収録)のルーツがうかがえる内容です。— 嵯峨景子@『氷室冴子とその時代 増補版』発売中 (@k_saga) June 21, 2023そして、作家デビュー後には、同じ北海道出身の藤田和子のマンガの原作を担当。宝塚歌劇団をモデルにした「ライジング!」という作品で、その取材のために1年ほど宝塚市に住んだのですが、1988年に「ポーの一族」(小学館叢書)へ解説を寄せ、1993年の「氷室冴子読本」で萩尾望都と対談したころに、2人の共通の趣味になったのが、その宝塚だったのです。同じ93年には、三重県で上演された萩尾望都の舞台作「斎王夢語」を、2人で一緒に観劇したらしい。さらに2001年、氷室冴子が斎宮歴史博物館の学芸員と対談したのですが、その学芸員が氷室冴子の死後に書いた記事によると…氷室冴子もまた、萩尾望都と同じように、斎宮を舞台にした作品の構想をもっていたようです。…じつはコバルトの対談の時に、斎宮を舞台にした平安時代小説の新作、という話で盛り上がったのです。1. 主人公は斎宮に仕える筆頭女官、内侍にしよう。2. 彼女は正義感が強く、そのために都にいられなくなって斎宮に転勤してくる。少しぶーたれながらもやる気はいっぱい。3. 斎宮に着く直前、里の娘のようなお転婆で快活な、しかし少し不思議な少女に出会う4. 斎宮について、斎王と対面した時、斎王の座にいたのは、その少女だった。5. お転婆で型破りな斎王を中心に、内侍の視点から物語は進む。彼女らをとりまく貴族たちの思惑、伊勢神宮や朝廷を巻き込む陰謀などに、聡明な斎王と賢明な内侍の少女コンビが、時には弥次喜多のように、時にはホームズとワトソンばりに立ち向かっていく。…平安時代の雰囲気や斎王の儀式など、斎宮ならではの要素を生かして、物語を進めよう。https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/saiku/senwa/journal.asp?record=101◇とはいえ、氷室冴子と萩尾望都の出会いが1993年だとすれば、意外に遅かった気もします。由貴ちゃんのほうは、映画「恋する女たち」に主演した1986年に、雑誌「non-no」で萩尾望都と対談してるし、翌87年には「斉藤さんちのお客さま」にも迎えてる。ちなみに、86年の萩尾望都は、甲斐バンドのアルバム「らいむらいと」再発版で、ジャケットのデザインを手掛けていました。もしかすると、そこで長岡和弘との接点が生まれて、由貴ちゃんとの対談に繋がったのかもしれません。氷室冴子が「ポーの一族」の解説を書いた翌89年には、由貴ちゃんも「トーマの心臓」に解説を寄せています。◇由貴ちゃんは東宝の女優ですが、もともとの東宝の母体は宝塚だし、由貴ちゃんのお母さんも宝塚に憧れた人です。また、映画「恋する女たち」を監督したのは大森一樹ですが、彼も芦屋市の育ちで、何かと宝塚には縁がありました。1987年の映画「さよならの女たち」も、大森一樹が撮ったわけですが、もともとは氷室冴子が脚本を手掛ける予定で、彼女の宝塚在住時の自伝的な作品になるはずだった。そう考えると、氷室冴子、萩尾望都、斉藤由貴、大森一樹は、みんな宝塚という共通項でつながってた感じ。◇いずれにせよ、氷室冴子が萩尾望都に出会うのは必然だった。長年の愛読者だったのもあり、同じ宝塚ファンだったのもあり、案外、斉藤由貴が両者を繋いだのかもしれない。たとえば「クララ白書」の物語の舞台が女子校の寄宿舎だったりするのを考えると、たしかに氷室冴子の作品は、萩尾望都の影響をたぶんに受けていたと思えます。◇…とはいえ、両者の作品が共通のテーマで繋がってるかというと、それはそれで、ちょっと疑問に感じるところはある。今回のNHKの番組も、「氷室冴子は男性社会と戦っていた」というスタンスで作られてましたが、実際、氷室冴子は、男性社会との葛藤を乗り越えることで、女性としての自由を獲得しようとしてたのでしょう。しかし、萩尾望都の場合は、あまり男性社会を仮想敵にしてるようには見えない。むしろ「母との葛藤」や「父との葛藤」という面が強く、それゆえに彼女のテーマには現代性と普遍性を感じます。そもそも、「女性による少女マンガ」だけを読んで育った氷室冴子と、「男性による少年マンガ」から影響を受けた萩尾望都では、作家としての起点や基盤がちがってる気もする。◇…余談ですが、わたしは以前の記事に、由貴ちゃんと富田靖子の共通点について、両者とも「シャア推し」で「谷山浩子推し」と書いたのだけど、考えてみたら、由貴ちゃんが「恋する女たち」に主演した1986年に、富田靖子も「なんて素敵にジャパネスク」に主演したのよね。映画じゃなくテレビだけど。たんに主演しただけなので、べつに両者が「氷室冴子推し」とは言えませんが(笑)(由貴ちゃんがとくに氷室冴子を愛読してたとも思えない)なお、今回のNHKの番組では、酒井若菜がナレーションを務めていました。彼女はまぎれもない「氷室冴子推し」のようです。『海がきこえる』、解説を担当しました。ジブリ作品の原作。今回でジブリ関係の執筆は3回目。夢のようです。この文庫には近藤勝也さんのイラストが盛りだくさんで、たまらないです。涙 pic.twitter.com/8tABv1oPZs— 酒井若菜 (@_sakai99) July 8, 2022
2023.12.31
朝ドラ「ブギウギ」欠かさず見てます。趣里は、美人というわけじゃないし、とくに歌唱力に長けてるわけでもないけど、さすがにランちゃんと水谷豊の血を引いてて、物語を引っ張るだけの説得力を感じるし、不思議と惹きつけられる魅力がありますね。東京出身なのに、大阪人っぽいド根性もよく出てます。恋愛展開になってからは、ほのかに色気も漂ってる。ドラマの内容も申し分ないです。途中で脚本家の交代もあったらしいけど、とくに大きな違和感もなく展開してます。◇わたしはもともと、笠置シヅ子の歌が好きだったので、ベスト盤などはよく聴いてましたが、生い立ちなどについては、今回のドラマを見てはじめて知ったことが多い。服部良一とか、吉本興業の息子とかは、てっきり大阪で出会ったと思ってましたが、そうじゃなかったんですね。まあ、大阪人脈みたいなものが、東京の芸能界にもあったのでしょうが。◇わたしが以前から好きだった曲は、「東京ブギウギ」とか「買い物ブギ」とかじゃなく、まさに今回のドラマで取り上げられた曲。すなわち「ラッパと娘」「アイレ可愛や」でした。この2曲は、楽しいというより、不穏なほど過激なエネルギーに満ちてて、それこそが魅力だったのです。どこかしら戦争の雰囲気も感じていた。今回のドラマを見て、それらが、ごく初期の曲だったことを知った。スキャットだらけの「ラッパと娘」の歌詞を、服部良一みずからが書いてたのも知らなかった。…最初のヒットソングの「ラッパと娘」は、笠置シヅ子の曲のなかで、いちばん過激に感じる。わずか3分ほどの曲ですが、その後の歌謡曲の様式には全然収まってなくて、とくに後半の展開は異常なくらいに凄まじい。スウィングジャズというより、むしろモダンジャズみたいにラリった感じがあり、笠置シヅ子の日本語の発音も暴力的かつ不埒で、人心を惑わすような力を感じさせるヤバい曲です。国の検閲を受けても無理ないと思うほど、いかがわしくてクレイジーな音楽。初期の曲のほうが、戦後の作品以上に過激です。戦前のモダニズムの極致だったかもしれない。◇ちなみに、トミー・ドーシーの「ブギ・ウギ」が、米国でヒットしたのは1938年のこと。笠置シヅ子の「ラッパと娘」はその翌年です。服部良一によるブギウギの受容は驚くほど早かった。追記:「ラッパと娘」は4ビートのスイングなので、8ビートのブギウギではないそうです…。米国では、40年代にブギウギブームがあり、50年代にロックンロールが誕生しましたが、日本でも、40年代に笠置シヅ子がブギウギを歌い、50年代にロカビリーブームが起こってる。つまり、米国と日本のタイムラグは、ほとんど無いに等しい。そこから考えても、「日本のロックははっぴいえんどから始まった」なんてエセ神話は、ちゃんちゃらおかしいのです。もちろん、加藤和彦も細野晴臣も、そのことをよく分かってたからこそ、服部良一をリスペクトしたのでしょうが。分かってないのは本人たちじゃなく安易なフォロワーってこと。◇当時、映画評論家の双葉十三郎が、笠置シヅ子のパフォーマンスを絶賛してたらしい。しかも、それはまだ「ラッパと娘」が発表される前。帝劇でSGDの「カレッジ・スヰング」を観たらしく、"マーサ・レイやアリス・フェイをも凌ぐ!"と言って、エラ・フィッツジェラルドのような黒人のスウィング感が、日本人にも可能かもしれない…と希望を述べてます。いうならば、米国の白人より、笠置シヅ子のほうが黒人のフィーリングに近いってこと。https://fujinkoron.jp/articles/-/10212?page=3Martha Raye "You'll Have to Swing It" Rhythm on the Range 1936Martha Raye "What a Rumba Does to Romance" College Swing 1938Alice Faye "Alexander's Ragtime Band" 1938◇さて、ドラマのほうの内容ですが…すでに宝塚の小林一三らしき人物も登場して、前作「らんまん」と重なる部分もありました。さらに、3年前の「エール」に描かれた、古関裕而の戦時歌謡の話なども出てきました。年下の恋人が出てきてからは、6年前の「わろてんか」にも重なる内容になってる。要は「宝塚・松竹・吉本」という、関西で生まれた戦前の三大興行すべてが絡んでるのよね。笠置シヅ子は、宝塚に落ちて、松竹に所属し、服部良一に見出され、吉本の御曹司と恋愛した。まさに近代の関西大衆芸能を体現したスターなのです。◇わたしは、あまり「わろてんか」をちゃんと見てなかったけど、人物の対応関係はたぶん次のようになるはず。北村てん(葵わかな)=村山トミ(小雪)※モデルは吉本せい。伊能栞(高橋一生)=坂口(黒田有)※モデルは林弘高。北村隼也(成田凌)=村山愛助(水上恒司)※モデルは吉本頴右。加納つばき(水上京香)=福来スズ子(趣里)※モデルは笠置シヅ子。なお、今回の「ブギウギ」はわりと史実に忠実ですが、吉本せいをモデルにした「わろてんか」は、かなり史実をアレンジしてたようで、実在の人物とはだいぶ違っていたみたいです。「わろてんか」隼也の悲恋のモチーフか。笠置シヅ子の名曲「東京ブギウギ」は恋人との別れから生まれた https://t.co/DWcwsMhm6O @Excite_Review pic.twitter.com/TaV1kbK556— エキサイトニュース (@ExciteJapan) March 4, 2018 【コラム】水上京香、『わろてんか』3人目のヒロインへ 成田凌との恋路に注目!#わろてんか #水上京香 #成田凌 https://t.co/bfQ9MHNzQq pic.twitter.com/caWQu23xCB— リアルサウンド映画部 (@realsound_m) February 18, 2018 【コラム】成田凌は松坂桃李と同じ道を選ぶ? 『わろてんか』隼也とつばき、切ない“最後”#わろてんか #成田凌 #松坂桃李 https://t.co/WXBAROi125 pic.twitter.com/mnTZBa6zhC— リアルサウンド映画部 (@realsound_m) February 24, 2018 村山興業東京支社長の坂口。モデルは林弘高と考えられる。吉本興業の吉本せいの実弟で、兄はのちの吉本興業社長の林正之助がいた。せいの息子・頴右が上京し早稲田大学に通っているあいだ、弘高が面倒を見ていた。お目付け役であったともいえる。#わろてんか には出てこなかった。#ブギウギ— 酒上小琴【サケノウエノコゴト】 (@raizou5th) December 13, 2023 「当時見ていた人は知ってる」大事にしていた息子以外の設定の共通点はないので比べる意味がない。「愛した歌手」もいない。なお、 #わろてんか ラストは1946年春なので #ブギウギ 愛助モデルの人の最期1947年よりも前に終る https://t.co/g6MzaBn5AW— 松井一郎 (@ichiromatsui) December 25, 2023◇今回のドラマは、主人公が早い段階で社会的な成功を手にして、すでに淡谷のり子にも匹敵するスターになっています。なので、物語は、世間的にも知られた話になってる。笠置シヅ子は、戦後に頂点へ昇りつめますが、その後は美空ひばりが登場することもあって、あっという間に斜陽になるはずですね。そう考えると、どのあたりの時期が、物語の落としどころになるのかも気になります。
2023.12.27
NHKラジオ第1「もねがたり2023」。今年のテーマは《私のマニアック》ってことで、内容もけっこうマニアックでした(笑)。◇ゲストは屋比久知奈。先日の広上淳一&小林武史との共演もそうでしたが、近ごろの萌音の歌唱力の進化は目を見張るものがある。…と思ったら、どうやら「ジェーン・エア」のときに、屋比久知奈と歌唱技術の研究をしあったようです。番組では、ウィキッドの「For Good」と、ビートルズの「Here Comes the Sun」を、林正樹のピアノでデュエットしてました。Wicked "For Good"glee "Here Comes the Sun"林正樹は水嶋凜「エウリディケ」の音楽も担当。◸ rehearsal ! ◿本日は、#林正樹 さんのピアノと合わさる#水嶋凜 さん(エウリディケ)と#和田雅成 さん(オルフェ)の掛け合いを公開◎ピアノの音色が2人の言葉と混ざり、情景を描きます☁️🫧全公演、生演奏でお届けします⋆。˚♪🎫一般販売中https://t.co/xC7EQpDEC8#エウリディケ pic.twitter.com/JboMWPBRbb— 舞台『エウリディケ』 (@eurydice_stage) December 22, 2023グレゴリー・マグワイアの『Wicked』は、1939年の映画『オズの魔法使い』の前日譚ですが、その関連なのかどうか、ジュディ・ガーランドの「I Got Rhythm」もかけてました。こちらは1943年の映画『ガール・クレイジー』の曲。最近はガーシュインにハマってるとのことで、もしかしたら黒人音楽にもすこし足を突っ込んでる?Judy Garland "I Got Rhythm"◇いくもねがピアノやバレエを習ってたことは、以前の記事に書きましたが、屋比久知奈にいたっては、コザの母親がバレエの先生だったのですね。http://dancestudio123.com/ds/tomona/彼女も舞台人になるべくして生まれてる感じ。三文字苗字の「上白石」「屋比久」に象徴されるとおり、萌音&知奈は《薩摩・琉球コネクション》なので、萌音は知奈のことをウチナー風に「ともなー」呼びしてる。◇上のビートルズ選曲にも表れてますが、萌音&知奈は趣味嗜好も似通ってるらしく、箱根の美術館じゃ、偶然に遭遇してしまう恐怖体験をしたのだと。箱根の美術館ってどこだか知らないけど、やっぱりモネ好き萌音だからポーラ美術館?https://www.polamuseum.or.jp/stories/20230330/山の中にある美術館。ほぼほぼポーラ美術館ですwそして2人は、「足は速いが球技は苦手」という点でも共通してるそうです。◇足が速いといえば…放送前日の萌音は、クリスマスの銀座を、トレンディドラマ最終回ばりに疾走し、中村屋の十二月大歌舞伎に駆けつけた模様。https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/846いうまでもなく、「怪談牡丹燈籠」では七之助と、「中村仲蔵出世階段」では勘九郎と共演してるので、萌音と中村屋との縁は深い。どの演目を観たのか分かりませんが、午前の第1部なら、獅童の主演した「今昔饗宴千本桜」。午後の第2部なら、勘九郎&七之助が狐と鷹を演じた「爪王」。夕方の第3部なら、七之助が富姫を演じた泉鏡花の「天守物語」です。(おそらく第2部か第3部でしょう)◇そのほかのマニアックなネタとしては、川原繁人の『フリースタイル言語学』を読み、言語学の世界に足を踏み入れたとかで…音声学を専攻する番組リスナーからは、「萌音のbpmの発音は唇歯音」とのマニアックすぎる指摘もありました。また、三宅唱からは幸田文の本を薦められたそうです。たぶん『崩れ』だと思いますが、映画作家が幸田文を読むのは蓮實重彦の影響だね。https://2021.rau-ynu.com/talk-1/必読?ーー 今、読んでいるのは幸田文さんの『崩れ』。映画『夜明けのすべて』の撮影中、三宅唱監督から上白石萌音さんに、上白石さんから僕に、『とにかく一度、読んでみて』と伝わってきた作品。#上白石萌音 #松村北斗 #もねがたり https://t.co/J3oBCyxdqp https://t.co/E8YEFXcWoZ— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) December 28, 2023
2023.12.27
由貴ちゃんが、ライブで椎名林檎の曲を歌ったらしい。従来のイメージからすれば、かなり意外です。正直、椎名林檎の曲を、歌詞の面で評価できると思ったことはないけど、(全般的にはサウンド重視でコケオドシの無意味な歌詞だと思ってる)こういうところの由貴ちゃんの眼識はさすが。この曲は、坂元裕二「カルテット」のテーマ曲だったので、このたび由貴ちゃんが出演した、生方美久「すき花」との関連もなくはないけど、それ以上に、これはやっぱり、由貴ちゃんの現在の心情を託した選曲というほかない。◇まあ、考えてみれば、ジブリの「さよならの夏」もそうだったのです。先日の武部聡志のジブリ作品集では、「ジブリをうたう」のタイトルに反して、あの曲を誰に歌わせることもなく、最後にピアノインストで収録されてたけど、本来なら、あれを歌うべきは斉藤由貴だったってことでしょ。手放してみたい 両手塞いだこの知識言葉の鎧も呪いも一切合財脱いで剥いで好きとか嫌いとか欲しいとか滅びの呪文だけれど口走ったら如何なるでしょう切実に生きればこそああ白黒付けるのは恐ろしいおとなは秘密を守る怖すぎるのよ…由貴ちゃん(笑)。カッコいいけどね。馬鹿な週刊誌記者なら、きっと低次元な邪推をするだろうけど、そんなものははなから超越してるというほかない。このメドレーもけっこう怖い。ワンコーラスだけ並べてもメドレーにならないし、アルバムからエッセンスを抽出して1曲に纏めるのに苦労しました。由貴さんはストーリーにも拘るので曲順や歌詞も丁寧に選びました。『いつか』から『Yours』でアガって、『このまま』のAメロをチェロに弾かせて『LETTER』をすっと歌い出す所が↓— 立川智也 (@TachikawaTomoya) December 20, 2023
2023.12.22
ディズニー100周年にちなんだNHKの番組。「星に願いを~ディズニー夢と魔法の100年」。生田絵梨花がLAのディズニースタジオを訪ねてました。先週の土曜日には、NHK-FMでも「ディズニー三昧」が放送され、そちらにも生田絵梨花や屋比久知奈が出演してました。生田絵梨花と屋比久知奈は、ともに「レミゼ」でエポニーヌを演じてますが、ディズニーでは、屋比久知奈がモアナを演じてて、生田絵梨花も新作「ウィッシュ」でアーシャを演じます。⋱🌟#ディズニー三昧🌟⋰*‥∵*‥∵‥*‥∵‥*#生田絵梨花 さんと#山寺宏一 さんがスタジオに✨*‥∵*‥∵‥*‥∵‥*最新作『#ウィッシュ』のお話もたっぷりと❣お2人へのメッセージはハッシュタグをつけてポストしてください💌https://t.co/b0K6hMBt8g pic.twitter.com/5TVnKcsQo5— 今日は一日○○三昧 (@nhk_zanmai) December 9, 2023 ⋱#ディズニー三昧✨⋰このあとは…*‥∵*‥∵‥*‥∵‥*『#モアナと伝説の海』で主人公 #モアナ を演じた🏰#屋比久知奈 さん登場✨*‥∵*‥∵‥*‥∵‥*♬どこまでも~How Far I’ll Go~をスタジオから生歌でお届け🎤💕▼リクエスト&メッセージはHPからhttps://t.co/b0K6hMBt8g pic.twitter.com/0VdGctBoAf— 今日は一日○○三昧 (@nhk_zanmai) December 9, 2023📺今夜(12/12)NHK 19:57〜#ディズニー100 周年特番放送「星に願いを~ディズニー 夢と魔法の100年~」※大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山は12/15放送出演:#生田絵梨花ナレーション:#松たか子ディズニー社創造の原泉を探る。さらに歌唱も披露🎤楽曲 https://t.co/bNvOaqgMAh (外部リンク) pic.twitter.com/v40wrXa9Ir— ディズニー・ミュージック (@disneymusicjp) December 12, 2023◇萌音は、いくちゃんとも屋比久知奈とも親交がありますが、レミゼもディズニーも好きなだけに、2人の仕事を羨ましく思ってるかもしれません(笑)。ちなみに、いくもねは、先月のテレ朝「Mステ」のディズニー特集に2人並んで出演。7月のTBS「音楽の日」でも、ディズニーシーの園内でそれぞれディズニーソングを披露した。ディズニーといえば、萌音が司会の「せかくら」でも、3月にディズニー100周年の特集をやってました。カリフォルニアのイベントに参加したのは渡辺直美でしたが。年末のNHK-R1「もねがたり」には、ゲストとして屋比久知奈が出演します。おもな話題は「ジェーンエア」のことだと思うけど、もしかしたらレミゼやディズニーの話にもなるかもしれない。https://kamishiraishimone.com/contents/696135https://t.co/vUYBjN1xxb pic.twitter.com/G4JxOOsKBj— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) November 11, 2023 生田絵梨花「パート・オブ・ユア・ワールド」inマーメイドラグーン。上白石萌音×大森元貴「ホール・ニュー・ワールド」inアラビアンコースト。#音楽の日日本に #歌のGIFT をお届け🤲リアルタイム実況で激レア本番直前ショット配信📸 ✨#東京ディズニーリゾートスペシャルパフォーマンス✨このあとは#生田絵梨花 が登場!東京ディズニーシー「マーメイドラグーン」からディズニー映画「#リトルマーメイド」より… pic.twitter.com/canMjOL0XU— 音楽の日 (@TBS_ONGAKUNOHI) July 15, 2023 #音楽の日日本に #歌のGIFT をお届け🤲リアルタイム実況で 激レア本番直前ショット配信📸 ✨#東京ディズニーリゾートスペシャルパフォーマンス✨このあとは#大森元貴 (#MrsGREENAPPLE) と#上白石萌音が登場!東京ディズニーシー「アラビアンコースト」から… pic.twitter.com/W2slb3XCCF— 音楽の日 (@TBS_ONGAKUNOHI) July 15, 2023 ◇東宝の女優である萌音が、ディズニー作品に出演することはありうるか。また、ジョン・ケアード作品の常連である萌音が、新演出版のレミゼに出演することはありうるか。これって、わりと微妙な問題です。東宝とディズニーは、配給会社としては競合関係にあるともいえる。実際、2019年には、東宝や松竹が国内からディズニー作品を締め出しました。https://taroimovie.com/tohocinemasnews/2/まあ、今回の新作「ウィッシュ」の公開にあたっては、TOHOシネマズでディズニーシアターを開催したりしてるし、べつに犬猿の仲ってわけじゃないだろうけど。…過去に遡ってみると、(ディズニーの企画といえるか分かりませんが)ディズニーソングのCDに斉藤由貴が参加したり、ENEOSのCMで萌歌とミッキーマウスが共演した例はあります。NHKでジブリ&ディズニーの音楽番組が放送されたときには、長澤まさみが案内役を務めたりもしている。とはいえ、ジブリなど国内アニメに出演する機会の多い東宝の女優が、競合関係ともいえるディズニー作品に起用されるのは、よほどの合同企画でもないかぎり難しいかな…とも思う。ENEOSさんの新CM「ENEOS 東京ディズニーランド貸切ナイトキャンペーン」編に出演させていただきます!今日から全国で放映されるので是非ご覧ください! #ENEOS pic.twitter.com/06wqmarQaS— 上白石 萌歌 (@moka_____k) July 1, 2019NHK音楽特番『みんなをつなぐ魔法のメロディー』案内役を長澤まさみが!ジブリ美術館とディズニーで撮影をしてきました。番組では様々なアーティストがジブリとディズニーの名曲を披露!放送は8/14 (水)[総合] 19:30〜20:43 http://t.co/mI3LXRvLJ4— 長澤まさみマネージャー (@nagasawamg) August 7, 2013 ◇ちなみに、萌音がミュージカル女優を目指したきっかけは、ディズニーランドで「美女と野獣」のショーを観たことだそうです。さらには、ブロードウェイで「メリーポピンズ」を観た影響も大きいとのこと。きっと子供のころからディズニー作品の刷り込みがあるのでしょう。https://news.1242.com/article/136372とくに「美女と野獣」との縁は深く、山崎育三郎や井上芳雄とのデュエットなどもやってます。それから、メキシコ育ちということもあり、姉妹ともに「リメンバーミー」には思い入れがあるっぽい。https://ameblo.jp/mone-kamishiraishi/entry-12366525062.html以前、萌歌が、自宅のアナログレコードのコレクションとして、「メリーポピンズ」のサントラを紹介してたことがありますが、あれを買ったのは萌音ですね。姉妹で共有してるのでしょうけど。https://www.chintai.net/news/2019/09/20/71077/「美女と野獣」フィルムコンサートで上白石萌音がベル、山崎育三郎が野獣に(コメントあり)https://t.co/g8tvlINPQ6 pic.twitter.com/KggJZmK9hb— ステージナタリー (@stage_natalie) January 21, 2020きょうの「#行列のできる相談所」ミュージカルSP第2️⃣弾✨#上白石萌音&#井上芳雄 が"美女と野獣"をデュエット🎶ミュージカルトップスター大集結!上白石萌音の初武道館にあの大物がどっきり登場❕📺今夜9時放送です🏛️#森公美子 #田代万里生#斎藤司 #斉藤慎二 ほかhttps://t.co/3JQAkM4qE5— Daiichi-TV (@SDT_bansen) February 26, 2023 #メリーポピンズ #上白石萌音 #上白石萌歌 https://t.co/VXg5lbZWoD pic.twitter.com/vfzzq1MDA7— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) December 12, 2023◇ついでにいうと、萌歌も美波も、橋本環奈やら佐倉綾音やらと一緒にディズニーランドにはしばしば行ってるみたいです。ディズニー連なり。#上白石萌歌 #浜辺美波 #橋本環奈 #佐倉綾音 https://t.co/jP5MH6qpID pic.twitter.com/n6qJxTii6j— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) December 12, 2023
2023.12.13
TBS「A-Studio+」杉咲花の回で、萌歌との親交について話がありました。やはり出会いは2019年の「いだてん」だそうです。共演シーンはなかったけど、撮影終了後の打ち上げのとき、花ちゃん推しだった萌歌がアタックして、ライン交換して自宅まで遊びに行ったとのこと。ちなみに、橋本愛も「いだてん」以来の仲だそうです。今夜の #Aスタプラス ゲストは #杉咲花 さん🌸#笑福亭鶴瓶 は映画『 #市子 』から#戸田彬弘 監督と #若葉竜也 さんに取材実は“植物が怖い?”🪴意外な弱点を若葉さんが告白🤭出演オファーは監督からの直筆手紙?✉️映画への熱い思いが語られる!さらに大好きなアーティストからサプライズが🥳 pic.twitter.com/eRjuMMsjpW— A-Studio+ (Aスタプラス、Aスタジオ) (@a_studio_tbs) December 1, 2023今年のWOWOWドラマ「杉咲花の撮休」第1話で2人は共演。演出は、なにかと萌歌に縁のある松居大悟。一方、第5話には橋本愛が出演してて、こんどの萌音の映画を撮った三宅唱が演出してます。『杉咲花の撮休』上白石萌歌、光石研、橋本愛らメインキャスト発表 主題歌はChilli Beans.が担当(動画あり)https://t.co/XGyHjiNfpN#杉咲花の撮休 #杉咲花 #上白石萌歌 #光石研 #橋本愛 #ChilliBeans— ぴあ 音楽編集部 (@OngakuPia) December 20, 2022このドラマの放送前には、NHK「土スタ」の杉咲花の回で萌歌のコメント出演がありました。↓そのときの記事にも書きましたが、https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202207120000/もかはなの共通点はおもに音楽。#上白石萌歌 #杉咲花 https://t.co/phm22gqznN pic.twitter.com/0CZEMGI0r8— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) November 25, 20232人でandymoriの聖地「ハンサム食堂」にも行ったっぽい。ベトナム料理と言ってたけど、正確にはタイ料理屋です。雑誌「popeye」7月号で女優、歌手の上白石萌歌さんがハンサム食堂のオススメ料理紹介してくださいました、ありがとうございました🙏さてどの料理でしょうか?是非チェックしてみてくださいね👍 pic.twitter.com/hgP6fNxTRe— 🇹🇭西荻タイ料理 ハンサム食堂 (@handsomedelica) June 10, 2020 本日の「行きつけ教えます!」ゲストは女優の上白石萌歌さんでした!〝20歳の私へ〟と当時10歳の上白石さんが書いた手紙✉️を披露!!その内容は…番組公式Instagramで❗️行きつけ店は、杉並区にあるタイ料理〝ハンサム食堂〟さんのパッタイでした。 pic.twitter.com/8Xl9qfwIps— 【公式】『ノンストップ!』 (@nonstop_fujitv) December 22, 2020萌歌がandymoriを聴きはじめたのは、おそらく萌音が「明るい夜に出かけて」に出演した2018年。オールナイトニッポンのSPラジオドラマです。この物語の題材になったアルコ&ピースANNのED曲が、andymoriの「夢見るバンドワゴン」でした。【豪華キャストが登場】#ANN 50周年スぺシャルラジオドラマ「明るい夜に出かけて」が4/16(月)に放送!菅田将暉さんや上白石萌音さん、山下健二郎さん、花江夏樹さんのほか森山良子さん、春日俊彰さん、欅坂46のメンバーの出演が決定。詳細は放送でご確認くださいね!https://t.co/Z49fSLYvOf pic.twitter.com/jHo23LB2eF— radiko (@radiko_jp) April 2, 2018以下はニッポン放送「good‐night letter」での姉妹の会話。萌音:萌歌ちゃんはandymoriを誰に教えてもらったんですか?萌歌:姉です。https://www.allnightnippon.com/mone/mone_blog/20180604-20997/小山田壮平が九州出身なのもあり、萌歌は姉をも凌ぐ《andymori/小山田壮平推し》に。◇杉咲花の《andymori推し》が判明したのは、それより3年前。2015年の「しゃべくり007」出演時です。ラジオDJをする夢を語り、andymoriの「クラブナイト」を選曲したのですね。2017年には《自分の感情に素直になりたいときに聴く3曲》として、奇妙礼太郎「白鳥のおもちゃ」RADWIMPS「お風呂あがりの」andymori「ジーニー」を挙げてます。以下は、そのときのインタビュー。andymoriは、解散してから好きになったバンドです。小山田さんの歌詞はとてもロマンティックなんです。すごく共感できる言葉がたくさんある。この「ジーニー」という曲のイメージは夕暮れです。私は、日が暮れる時間帯のオレンジの光やゆっくりと空気が流れる感覚がすごく好き。そんな時間に、ふと頭の中に流れるのがこの曲。大事な人のことを想って歌っている歌で、自分も同じだと思えた。好きなアーティストのアルバムは全部聴きたいって思う方ですが、自分の感情と重なる歌と出合えるのは、なかなかないこと。https://ananweb.jp/news/144309/2018年にはラジオDJの夢が実現して、TOKYO-FMの番組「Flower TOKYO」を担当。実際にandymoriの曲をかけまくってたようです。ざっと確認したところ…25 Nov 2018「青い空」31 Mar 2019「ナツメグ」14 Apr 2019「投げKISSをあげるよ」12 May 2019「ユートピア」02 Feb 2020「ゴールデンハンマー」16 Feb 2020「ジーニー」14 Mar 2021「誰にも見つけられない星になれたら」03 May 2020「Peace」25 Apr 2021「兄弟」22 Aug 2021「革命」12 Sep 2021「ハッピーエンド」26 Sep 2021「サンシャイン」…などを選曲してました。そして、萌歌もこの番組を聴いてたようです。上白石萌歌ちゃんも花ちゃんラジオ聴いてるのアツイ〜!!!このおふたりすごくすごく音楽の趣味合うと思うので、是非とも萌歌ちゃんもラジオゲストに来て欲しい〜💐andymori対談してください…✨ #杉咲花のFlowerTOKYO pic.twitter.com/tNmzjHGtNn— yu (@hana_7991) October 7, 2019萌歌も、2021年からJ-WAVE「LOVEFAV」を担当して、RADWIMPS、andymori、奇妙礼太郎はよく選曲してたし、ゲストに小山田壮平を招いての対談もありました。今夜のGYAO! #LOVEFAVゲストは小山田壮平さんです!andymori時代から崇拝していた小山田さんをお迎えできて本当にしあわせでした。💐J-WAVEにてこのあと22:00〜!GYAO!の独占配信もあります。https://t.co/93b16jClwz pic.twitter.com/Pfef9qHLom— 上白石 萌歌 (@moka_____k) August 7, 2021ちなみに、下の記事にも書きましたが、https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202203240000/このころに水嶋凜が「直ちゃんは小学三年生」に出演してて、その主題歌が小山田壮平の「恋はマーブルの海へ」だった。萌歌との対談のなかでも、小山田壮平はドラマの話をして、この主題歌を流しました。◇そして、今年のドラマ『杉咲花の撮休』では、萌歌のギター弾き語りでandymoriの曲を演奏するシーンが。以下は、撮影時のエピソードを語ったインタビュー。杉咲:劇中で萌歌ちゃんが弾き語りしたandymoriの「16」という曲は私も大好きだったのですが、これには奇跡的な裏話があって。脚本が上がった頃はどの曲を弾き語りするのか決まっておらず、松居監督のなかで「16」を歌ってもらいたいと思っていたそうなんです。そして萌歌ちゃんとの顔合わせで、彼女が持参した楽譜ノートの1ページ目も、なんと「16」が書かれてあったという。――それはすごい偶然ですね!杉咲:あの弾き語りのシーンを撮った時に、とても深いところで萌歌ちゃんと繋がることができた気がしたんです。萌歌ちゃんは歌っていて、私はタンバリンを叩きながら、ただただずっとお互いの目が合っていて。それだけで、「なんて儚くて尊い時間なんだろう」と感じて、泣きそうになってしまいました。https://telling.asahi.com/article/14834783なお、ハンサム食堂がきっかけかは分かりませんが、萌歌はタイ料理にもハマってて、TOKYO-FMの「adieu LOCKS!」でもタイ料理愛を語ってます。ちなみに「adieu LOCKS!」は来週が最終回!今日の授業はゴールデンウィークに何も予定がないという生徒のために、私、上白石萌歌が好きなことをたくさん詰め込んだ理想の休日プランをみんなに提案したいと思います!!…18時からタイ料理を作ります。だから、スーパーに買い物に行きます。スーパーで色々と買う物があるだろうから、40分ぐらいいるとして、19時ぐらいにお家に帰って、タイ料理を作り始めます。何作ろうかな~。この前、よくある調味料で、トムヤムクンをお家で作ってみたんですよ。すごく美味しかったからトムヤムクンを作るでしょ。あとは生春巻きも作るでしょー。ビーフがあったらパッタイも作るでしょ!あとは空芯菜も作ろうかな。4品作るとしたら、頑張ったら20時半にはできるから、友だちを呼ぶなり、お姉ちゃんを呼ぶなりして誰かと一緒に食べます。https://www.tfm.co.jp/lock/girls/moka/index.php?itemid=20800私、タイ料理が本当に大好きで、行きつけのタイ料理屋さんがいくつかあって、そこで注文するリストがあるんですけど…!生春巻き、エビのすり身トースト、トムヤムクン、パッタイ、プーパッポンカレーとグリーンカレーはいつも頼むリストにあって、全部頼まないよ!?『今日はこれとこれかな~』みたいな感じで頼んでいます。あと『ラクサ』ってわかりますか?エビベースのスープで、すごく濃厚でちょっと辛くて、そこに中華麺かご飯を入れたりすることもあるのかな?とりあえずヌードル系なんですけど、すごくスパイシーでエビの香りも感じられておいしいんですよ~!なので、今言った私の大好きなタイ料理の本場をぜひ食べてみてほしい!!https://www.tfm.co.jp/lock/girls/moka/index.php?catid=173&page=3もともと萌音もタイとのかかわりがあって、最初はバンク君ことティティ・マハーヨーターラックとの共演。2017年のNHKBSプレミアム佐賀発地域ドラマ『ガタの国から』です。本日鹿島市エイブルホールで、NHK佐賀発地域ドラマ「ガタの国から」プレミアムトークショー開催。上白石萌音さん、ティティ・マハーヨーターラックさんがゲストに来られています。間もなく開演です。 https://t.co/qBfOe4w0wH pic.twitter.com/rxkmzBw0c0— エイブル (@kashimacc) July 2, 2017そして去年は「せかくら」のロケで初めてタイへ行き、バンク君に再会してタイ料理を堪能しています。https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=17421タイ料理って基本的にエビだね。生春巻き、エビのすり身トースト、トムヤムクン、パッタイ、プーパッポンカレー、グリーンカレー、ラクサ。 #adieulocks #上白石萌音 #上白石萌歌 pic.twitter.com/E863ngp6Xk— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) December 2, 2023 大河「いだてん」つながり。#杉咲花 #橋本愛 #上白石萌歌 #Aスタプラス https://t.co/BggeAe5rSY pic.twitter.com/gLsIi5zhYC— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) December 3, 2023 WOWOWドラマ「杉咲花の撮休」のインタビューをプレイバック🌸🩵VOL.1 杉咲花 × 松居大悟 https://t.co/gQicMQqBWuVOL.2 杉咲花 × 今泉力哉https://t.co/FjVAGqZ1mHVOL.3 杉咲花 × 三宅唱https://t.co/KywAmc6GTP#杉咲花 さん pic.twitter.com/jDzRkeQeBL— 装苑ONLINE (@fashionjp) December 1, 2023 上白石萌歌、花澤香菜の“娘”に J-WAVEの新感覚ドラマに出演(写真 全8枚)https://t.co/26yBGfGIOy#上白石萌歌 #稲葉友 #花澤香菜 #村上航 #松居大悟 #ラジオ #JWAVE #本折最強さとし #鈴政ゲン #竹田海渡 @moka_____k @lespros_inaba @hanazawa_staff— ORICON NEWS(オリコンニュース) (@oricon) June 19, 2020
2023.12.02
2018年に『きみの鳥はうたえる』、2022年に『ケイコ目を澄ませて』を撮った三宅唱が、松村北斗&上白石萌音で『夜明けのすべて』を撮ったと。原作は、瀬尾まいこの同名小説。濱口竜介とも並べられて注目される、わりと通好みの映画作家ですが、朝ドラコンビを迎えて本格的に商業映画へ進出?公開は来年の2月9日。おもに東宝系の劇場で見られるようです。(配給は東宝じゃありませんが)https://theatertable.com/movie/?m=33萌音の出演にかんしては、「NHK朝ドラに乗っかって東宝の女優を起用」…ってのとは別の面もあって、もともと彼女が瀬尾まいこの愛読者でした。2018年に「戸村飯店 青春100連発」を読み、つづけて「そして、バトンは渡された」を読み、2020年に発売された文庫本では解説を寄せています。https://news.1242.com/article/161082https://books.bunshun.jp/articles/-/5735#瀬尾まいこ さんの「そして、バトンは渡された」文庫の解説を書かせていただきました!読書の秋にも!もちろんですが、季節関係なく、年がら年中何度でも心に寄り添ってくれる作品です。9/2から書店に。MG https://t.co/F1CS4sYsuI— 上白石萌音マネージャー (@mone_tohoent) August 29, 2020さらに、同年11月のNHKラジオ深夜便では、瀬尾まいこと対談した際に、(萌音)私には夢があって。 瀬尾さんの作品が映像化されたら出たいっていう。(瀬尾)『夜明けのすべて』の藤沢さんやってください!藤沢さんって、ぴったりだと思いますよ。とのやり取りがあり、すでに作家本人から太鼓判を押されていました。https://www.thefirsttimes.jp/news/0000310083/11/12(木)23時代後半に、NHKラジオ第一放送 #ラジオ深夜便 にて、ななななななななんと!瀬尾まいこさん出演回の聞き手!として出演させて頂きます🙇♀️📻瀬尾先生の新刊 #夜明けのすべて 以外にも、あれやこれや楽しいトークをさせて頂きました☺️MG https://t.co/cwTcJLkwpo— 上白石萌音マネージャー (@mone_tohoent) November 5, 2020そのあたりから映画の企画が始動したのでしょうね。なお、萌音の「カムカム」出演の発表は、同年の12月24日でしたから、(主演のオーディションは夏におこなわれていた)朝ドラと映画は、ほぼ同時期に始動していたのかも。約1年後には、松村北斗も「夜明けのすべて」を手にして雑誌に登場。ダ・ヴィンチ2022年12月号そして映画化が発表されたのは今年の2月。#瀬尾まいこ さんの原作『#夜明けのすべて』映画化です㊗️それだけで嬉しいのに…“山添くん”を #松村北斗 さんが!深くて優しい演出を #三宅唱 監督が!萌音が演じさせていただく“藤沢さん”との、友だちや恋人とは違う特別な関係性…1年後、劇場で味わって頂けましたなら✊何卒何卒🙇♀️@yoakenosubete pic.twitter.com/mDoqipvXRg— 上白石萌音マネージャー (@mone_tohoent) February 12, 2023◇三宅唱にかんして言うと、わたしは、GYAOで「きみの鳥はうたえる」をチラ見しただけで、正直、ちゃんと観てないのだけど、北海道出身ということもあって、相米慎二に比較されることもあるみたい。実際、2010年の「やくたたず」の予告映像を見て、相米が北海道で撮った映画をちょっと思い起こしました。↓相米が北海道で撮った映画についてはこちら。https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202205140000/📬ユリイカ最新号 三宅監督から濱口監督へ10の返事が届きました『#寝ても覚めても』公開に合わせユリイカで組まれた #濱口竜介 監督特集。その中で同日公開『#きみの鳥はうたえる』の #三宅唱 監督へ投げかけた質問の回答が発売中の号に掲載されました📩@miyakesho @kiminotori pic.twitter.com/pVhX2syFv3— 映画『寝ても覚めても』 (@netesame_movie) November 1, 2018以下は、蓮實重彦のインタビュー。現在、わたくしが濱口竜介監督とともにもっとも高く評価しているのは、『きみの鳥はうたえる』(And Your Bird Can Sing, 2018)の三宅唱監督です。https://kangaeruhito.jp/interview/14526⠀映画『#夜明けのすべて』⊹ ‧˚✶✶˚‧ ⊹ 𝟮𝟬𝟮𝟰.𝟮.𝟵(𝗙𝗥𝗜) 公開決定🎬 🎞 特 報 映 像 解 禁 🎞夜にしかみえないものも、きっとある。ささやかな、でも確かなつながりが照らす、かけがえのない物語──#松村北斗(#SixTONES)#上白石萌音監督 #三宅唱 原作 #瀬尾まいこ pic.twitter.com/Kj12oZAYev— 映画『夜明けのすべて』2.9 (FRI) (@yoakenosubete) October 4, 2023
2023.11.22
Norah Jones Is Playing Along with Rufus Wainwrightノラ・ジョーンズのポッドキャスト・シリーズ。今回のお相手はルーファス・ウェインライト。とても素敵な共演でした。合間にはすこし政治的な話もしていたようです。◇一般に、ノラの音楽はジャズで、ルーファスの音楽はオルタナロックに分類されるだろうけど、2人とも根っこにあるのはカントリー/アメリカンフォークなのね。だから、音楽性がとても近いんだなと思った。ルーファスは現在50才。ノラが44才。デビューしたのもルーファスが3年ぐらい先ですが、ともに00年代を代表する存在だったと言っていいでしょう。ノラは、ビリー・ジョーと共作した2013年の『Foreverly』で、エヴァリー・ブラザースを取り上げたりしてますが、ルーファスも、今年の『Folkocracy』で、アイルランド、ドイツ、ハワイ、カナダなどへ越境しつつ、アメリカ音楽のさまざまなルーツを探っています。ノラも、ルーファスも、もともとの声質がカントリーシンガーっぽいのよね。ルーファスは顔つきもカントリー歌手みたくなってきた。◇今回、演奏したのは4曲。1曲目は「Poses」ルーファスの2ndアルバム(2001)のタイトル曲。2曲目は「Going To A Town」ルーファスの5thアルバム『Release the Stars』(2007)の曲。今年の『Folkocracy』ではアノーニと一緒に歌っています。3曲目は「Down In The Willow Garden」人殺しの男を歌ったアパラチアンバラッドですが、ノラは、これを『Foreverly』のときにカバーしてるし、ルーファスも今年の『Folkocracy』で、ブランディ・カーライルと一緒に演奏しています。4曲目は「How Long Has This Been Going On?」1927年にガーシュインが作ったミュージカル曲。ルーファスは、ジュディ・ガーランドへのトリビュートとして、07年の『Rufus Does Judy At Carnegie Hall』と、去年の『Rufus Does Judy At Capitol Studios』で取り上げています。Poses & Going To A Townhttps://t.co/UZDhYTeJby— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) November 17, 2023 Down in the Willow Garden & How Long Has This Been Going On?https://t.co/smFO7S1ikb— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) November 17, 2023ガーシュインの曲については、こちらに詳しい解説が。▶ https://blog.goo.ne.jp/keyagu575/もともと1927年のミュージカルのために書かれたものの、実際には1957年の映画『パリの恋人(Funny Face)』の中で、オードリー・ヘプバーンが歌って有名になったのですね。エラ・フィッツジェラルドも早くから歌っていたようですが、ヘプバーンの映画公開後はスタンダード曲として、サッチモ、チェット・ベイカー、サラ・ヴォーン、レイ・チャールズなど、いろんな人が取り上げているようです。一般には「いつの頃からか」という邦題で知られてますが、ジュディ・ガーランドの61年のライブ盤は、邦題が「いつからこんなことに」になっています。Ella Fitzgerald「How Long Has This Been Going On?」Audrey Hepburn「How Long Has This Been Going On?」Louis Armstrong「How Long Has This Been Going On?」Chet Baker「How Long Has This Been Going On?」Judy Garland「How Long Has This Been Going On?」Sarah Vaughan「How Long Has This Been Going On?」Ray Charles「How Long Has This Been Going On?」Rufus Wainwright「How Long Has This Been Going On?」(2007)Rufus Wainwright「How Long Has This Been Going On?」(2021)Rufus Wainwright「Poses」Rufus Wainwright「Going To A Town」Rufus Wainwright feat. Anohni「Going To A Town」The Everly Brothers「Down in the Willow Garden」Billie Joe Armstrong & Norah Jones「Down in the Willow Garden」Rufus Wainwright feat. Brandi Carlile「Down In The Willow Garden」Norah Jones & Rufus Wainwright「Down in the Willow Garden」
2023.11.18
Mステに生田絵梨花と上白石萌音が出演。萌音は新曲の「ひかりのあと」を、いくちゃんはディズニー映画「ウィッシュ」の劇中歌を披露。過去にも同じ歌番組に出演することはありましたが、ツーショットで画面に収まるのは初めてだったかも。https://t.co/vUYBjN1xxb pic.twitter.com/G4JxOOsKBj— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) November 11, 2023いくもねの親交が知られるようになったのは、去年の「櫻井・有吉THE夜会」にいく&エラが出演したとき。生田絵梨花と池田エライザは、上白石萌音を介して知り合った…との話でした。しかし、じつは2018年にも、いくもねが大原櫻子の舞台楽屋に訪れた写真が、Instagramにアップされたことはありました。萌音&櫻子は2014年の「舞妓はレディ」以来の付き合い。(共演シーンはほぼないに等しいけど)いく&櫻子は2016年の「FNS歌謡祭」で共演しています。(井上苑子とのトリオです)萌音萌歌人脈&大原櫻子人脈。#上白石萌音 #上白石萌歌 #大原櫻子 pic.twitter.com/XNLfXJiM65— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) January 30, 2022そして、大原櫻子ちゃんと生田絵梨花ちゃんとのコラボ。「大好き」🎉可愛い曲で可愛いお二人と一緒に歌わせていただけてドキドキしたけど、お二人とも優しくて安心して歌えました☺もう終わりなのかって思ったら寂しくなったのでまた3人でお会いしたいと言ってしまった…。本当に楽しかったです😢 pic.twitter.com/Y3fwT5oHd8— 井上苑子 (@inouesonoko) December 14, 2016◇いくもねの共通項が「レミゼ」であるのは疑いようがない。いくちゃんは、祖父がビクターの洋楽担当だった人で、親戚には音楽プロデューサーの佐久間正英もいました。かたや萌音の母親は、音楽教師を経て現在はピアノ指導者。2人とも音楽一家に育ち、幼いころからピアノやバレエを習い、はやくからミュージカル女優になることを夢見ていた。いくちゃんは10才でミュージカルの初舞台を踏み、乃木坂46在籍中に音楽大学へ進学。萌音は鹿児島のミュージカル教室に学んだあと、13才で東宝のオーディションに合格しています。つまり、どちらもミュージカルの英才教育を受けたエリート。◇東京育ちのいくちゃんは小学4年生ぐらいから、繰り返し帝劇で「レミゼ」を観てたらしい。ジョン・ケアードの旧演出版を観てたのでしょう。帝劇で旧演出版が上演されたのは2011年まで。2012年にトム・クーパーの映画が公開されて以降は、ミュージカルのほうも新演出版になりました。萌音は鹿児島やメキシコに育ったので、上京するまで帝劇に行く機会はなかったろうけど、初主演映画となる「舞妓はレディ」のオーディションの際に、レミゼの「ON MY OWN」を英語で歌ったのは有名な話。その後もたびたびこの曲を歌ってます。そして「ナイツテイル」に出演する直前には、ロンドン在住のジョン・ケアード夫妻に会いに行き、そこで念願だった「レミゼ」旧演出版を観劇したらしい。◇結果的に「レミゼ」の役を射止めたのは、東宝の萌音ではなく、AKBグループのいくちゃんでした。しかし、萌音のほうは、レミゼの生みの親であるジョン・ケアードの専属女優として、「ナイツテイル」「千と千尋」「あしながおじさん」「ジェーンエア」と立てつづけに出演し、来年には世界進出しようとしています。ジョン・ケアードは、かつて斉藤由貴を「Yuki Baby」と呼んだように、萌音のことを「My Little Girl」と呼んでいる。◇いくちゃんは、乃木坂46を卒業する際に、斉藤由貴との共演で「卒業」を歌いました。最後が乃木坂の曲ではなかったために、ファンからは反感を買ったとも言われてますが、この選曲は、乃木坂を"卒業"することに掛けただけでなく、彼女自身を「レミゼ女優」と位置づける宣言でした。いうまでもなく、斉藤由貴は初代コゼットだからです。🌸🌸🌸 NEXT 🌸🌸🌸#斉藤由貴 さんが名曲 #卒業 を#乃木坂46 卒業を発表した#生田絵梨花 さんとコラボレーション!早く聴きたい…!!みなさんテレビの近くにハンカチのスタンバイは大丈夫ですか😭😭😭この楽曲の編曲者でもある武部さんのピアノ演奏にも👀#いくちゃんありがとう pic.twitter.com/yke0ArL52C— FNS歌謡祭【公式】 (@fns_kayousai) December 8, 2021いまや彼女はエポニーヌだけれど、2017年にコゼットを演じはじめたときから、自身のことを「斉藤由貴の後継者」と位置づけ、その年には由貴ちゃんと同時に岩谷時子賞も受賞した。(日本版「レミゼ」に訳詞をつけたのは晩年の岩谷時子でした)第8回「岩谷時子賞」は加山雄三に!乃木坂46生田絵梨花 奨励賞の賞金の使いみちとは? https://t.co/MU8X6w81Uc #岩谷時子賞 #加山雄三 #瀧山久志 #斉藤由貴 #乃木坂46 #生田絵梨花 pic.twitter.com/6kAXxgnesJ— edgeline(エッジライン) (@edgelinetokyo) June 12, 2017いくちゃんにとっても、萌音にとっても、当初から「レミゼ」が共通の目標だったと言っていい。ちなみに、山本耕史も、高橋一生も、山崎育三郎も、みんな「レミゼ」つながりで共演しつづけています。レミゼ共演。#斉藤由貴 #山本耕史 #高橋一生 #生田絵梨花 #山崎育三郎 #レ・ミゼラブル https://t.co/kZEFGREbhe pic.twitter.com/J3cTCsKUNE— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) July 5, 2023ついでながら、いくもかの共演もあります!!!(笑)魔物が呼ぶ声/セイレーン(Sirens)#上白石萌音 #上白石萌歌 #生田絵梨花 #ジェーン・エアの予習 pic.twitter.com/mHMImG7FLr— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) May 10, 2022
2023.11.12
ひさしぶりに映画館へ出向き『ゴジラ-1.0』を観てきました。いつものとおり、レビューはこちらに書いています。大迫力の怪獣エンタメに期待したのですが、実際は、かなり陰鬱な戦争映画といった印象でした。でも、観てよかった。上記のサイトにも最高点につぐ9点をつけました。◇タイトルが「-1.0(マイナスワン)」となっているとおり、戦争の "負の遺産" をいかに乗り越えるかが作品のテーマです。戦争の負の遺産というのは、米国が投下した核爆弾と放射能でもあるはずですが、それだけではありません。登場人物はそれぞれに戦争の負の遺産を背負っている。神木隆之介が演じる男性は、特攻の命令に背いた逃亡兵として負い目を感じている。山田裕貴が演じる若者は、その若さゆえに従軍できなかった負い目を感じている。浜辺美波が演じる女性は、空襲で両親を亡くしたらしき戦争孤児を育てています。多くの日本人が、本来なら背負わなくていいはずの何かを背負っている。◇物語の序盤では、米軍が日本近海にばらまいた機雷の除去の様子が描かれます。これも、やはり戦争の"負の遺産"です。米軍がばらまいた機雷なのに、それを日本人が除去する羽目になっており、終戦直後の日本には軍隊も自衛隊もないので、あろうことか民間の組織がそれを請け負っている。そして、海域にばらまかれた機雷に怒っているのは、かならずしも日本人だけではありません。海中生物であるゴジラも怒っているわけです。ゴジラは、その怒りの矛先を、米国ではなく、目の前の日本に向けてきます。米国の占領軍はソ連との関係に配慮して出動せず、日本にも軍隊はもちろん自衛隊もまだ存在しないので、結果的に、旧軍人と民間人の有志がゴジラに立ち向かうことになる。…そのような物語です。◇◇ところで、わたしが注目したのは、ゴジラ撃退法が「ワダツミ作戦」と名付けられたことです。ワダツミとは、記紀神話に登場する海神のことです。以前の記事にもワダツミのことは書きましたが↓https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202102260001/https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202208290000/おもに長野や島根(出雲)にゆかりのある神であり、わたし自身は新海誠のアニメにも関わりが深いと感じています。ワダツミは、水の神である蛇神や龍神に比定されることもあるはずなので、その意味では「ワダツミ=恐竜ゴジラ」と解釈することもできます。◇しかし、その一方で思い起こされるのは、「きけ、わだつみの声」のタイトルで知られる学徒兵の遺稿集と、それを原作にした1950年の関川秀雄の映画です。手記を残した戦没学生のなかには、上原良司のような特攻兵も含まれます。とくに上原良司は、ワダツミの故郷とされる長野県安曇野市(旧穂高町)の出身なので、彼自身が "海に沈んだワダツミ" だったとも言える。安曇氏は、海神の「ワタツミ(綿津見)」を祖とする氏族。安曇は「アマツミ(海津見)」に由来するとの説がある。博多湾の志賀島から散った一族は、信濃国の安曇郡(現・長野県安曇野市)などに移ったとされ、穂高神社には安曇氏の祖神として「ホダカミ(穂高見)」や「ワタツミ(綿津見)」などの海神が祀られている。そこから考えれば「ワダツミ=特攻学徒兵」とも解釈できます。◇音楽惑星さんの以下の記事にも、関川秀雄と本多猪四郎のことが触れられていたのですが、http://manzara77.blog.fc2.com/blog-entry-368.html#honda「わだつみ」を作った関川秀雄は、「ゴジラ」を作った本多猪四郎と東宝の同僚でした。関川のほうが3つ年上ですが、東宝に入ったのは本多のほうが5年ほど早いようです。本多猪四郎には過酷な従軍経験があり、復員後はもっぱら戦争映画を作っていました。…といっても、本人が語っているように、彼には左翼的な思想らしきものは見られません。かたや関川のほうは、従軍経験がない代わりに、非常に理念的で左翼的な思想の持ち主だったようです。労働争議を経て東宝を離れ、1950年に「日本戦歿学生の手記~きけ、わだつみの声」を、1953年に「ひろしま」を監督しています。当時はレッドパージの余波もあり、彼の作品は東宝や松竹のような大手の配給を得られず、その後も長らく忘れられていましたが、2019年にNHKが「ひろしま」を放映したことで、ふたたび注目されるようになっています。◇関川秀雄の「ひろしま」は1953年に、本多猪四郎の「ゴジラ」は1954年に作られています。どちらも反核をテーマにしており、ひそかに反米色を滲ませているだけでなく、両作品には《伊福部昭が音楽をつけた》という共通点もある。しかも、伊福部昭は、「ひろしま」の音楽を「ゴジラ」に転用しているらしい。2つの映画が共通のテーマで通底していると考えたのでしょうか?◇今回の『ゴジラ-1.0』は反戦的ではありますが、非武装や非戦を主張しているとまでは言いがたく、情報統制を敷く日本政府の隠蔽体質は批判しているものの、米国への怒りを滲ませるだけで、日本政府や日本国民の戦争責任を問うているとも言いがたい。そのことには賛否両論あっても仕方ないと思いますし、わたし自身、正直なところ、山崎貴の憲法観や政治姿勢については、よく分かりません。(これは庵野秀明についても同じです)ただ、反米色をにおわせる傾向は、関川秀雄の「ひろしま」や本多猪四郎の「ゴジラ」以来の、伝統的な姿勢といえなくもありませんし、今回の映画は、その背景にある政治思想や信条とは切り離して、とりあえず作品自体として評価したいと思います。
2023.11.11
生方美久の「すき花」に由貴ちゃんが出演する直前になって、まるで炎上商法かと見まがうタイミングで文春の記事が出たので、長女の水嶋凜について検索する人も多いかと思います。◇水嶋凜は、テレ朝「泥濘の食卓」やNHK「大奥」にも出てますが、おりしも、つい先日、来年の舞台「エウリディケ」への出演が発表されました。シンデレラの次はエウリディケ。いずれも古典的なお姫様の役です。日本版の演出は白井晃。月9で福本莉子と共演中の栗原英雄も出演。…2人とも三谷組ですね。音楽を担当するのは林正樹&藤本一馬。去年の出演作「シンデレラストーリー」。林正樹&藤本一馬のライブ動画。今回の戯曲「エウリディケ」のオリジナルは、米国の女性作家サラ・ルールの2003年作品で、マシュー・オーコインのオペラにもなっている。オリジナル版「エウリディケ」。オペラ版「エウリディーチェ」https://www.shochiku.co.jp/met/program/3768/https://www.shochiku.co.jp/met/news/4261/一般に、ギリシア神話の「オルペウス&エウリディケ」は、イタリア語なら「オルフェオ&エウリディーチェ」、フランス語なら「オルフェ&ユリディス」との日本語表記になります。それから「オルフェウス」ってのはラテン語らしい。…以下は公式サイト(https://eurydice-stage.com)のあらすじです。愛し合う二人の切なくも美しいラブ・ストーリー…。その根底に描かれる「父と娘の愛」。音楽家であるオルフェは、エウリディケと愛し合い結婚を約束する。結婚式当日、危険でおもしろい男に見初められてしまったエウリディケは、亡くなった父からの手紙を渡してもらえるという言葉につられ、彼が住むとても高い場所の部屋に行ってしまう。手紙を取り戻し彼の誘惑から逃れたエウリディケだったが、はずみで階段から足を踏みはずし、転び落ちて死んでしまう。死者の国で父親と再会したエウリディケは、父親からの愛によって「忘却の川」で消し去られた様々な記憶やオルフェと愛し合った日々の記憶を取り戻す。一方、オルフェはエウリディケを探し続け、とうとう地獄の門までたどり着く。自らの歌によってエウリディケを取り戻せる可能性を掴んだオルフェだったが、地下の国の王から「振り返って決して彼女を見てはいけない」という約束をさせられる。そして…たとえばオペラの歴史は、ペーリやカッチーニの『エウリディーチェ』(1600)や、モンテヴェルディの『オルフェオ』(1607)にはじまってる。その後も、グルックの『オルフェオとエウリディーチェ』(1762)や、オッフェンバックの『地獄のオルフェ(天国と地獄)』(1858)があります。そこから考えても、このギリシャ神話は、ヨーロッパ演劇にとって古典中の古典。…由貴ちゃんなら、コクトーの映画『オルフェ』(1950)を観てるかもしれない。わたしが観てるのは、ブラジルを舞台にした『黒いオルフェ』(1959)だけですが。◇◇由貴ちゃんが今回のドラマ「すき花」で演じたのは、例によって依存型の毒親でしたが、思ったより物分かりのよい毒親でした(笑)。今後の由貴ちゃんがどうするのか分からないけど、すでに下の娘も成人してるわけだし、もう親は親、子は子の選択をすればいいんじゃないかな。すくなくとも由貴ちゃん自身は、長女に対する依存などはないだろうし、凜は凜で自分の仕事を着実にやってくれればいいと思います。◇なお、オルペウス神話とイザナギ神話の類似性のことは前にも書いたけど、https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202209140000/これはもちろん松江の黄泉比良坂にもかかわる話だから、https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202310070000/わたしの最近の出雲ネタにもつながる!(笑)そして、エロス&プシュケーの話に似てるところも。https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202303300000/◇一方、わたしが観た『黒いオルフェ』は、ヴィニシウス・ヂ・モライスの戯曲を、フランス人のマルセル・カミュが映画化したもので、カンヌのパルムドールと米アカデミー外国映画賞をW受賞し、それがブラジルのサンバカーニバルや、ジョビンのボサノバを世界中へ知らしめることになった。ヴィニシウスは、外交官でフランス文化にも精通してたから、彼が1956年に戯曲『Orfeu da Conceição』を書いたのは、きっとコクトーの映画の影響もあったと思うけど、もうひとつ、わたしが気になってるのは、サルトルが1948年に「黒いオルフェ」という文章を書いたことなのよね。(レオポルド・サンゴール編『ニグロ・マダガスカル新詞華集』の序文)このサルトルの文章は、黒人文学への賛辞であると同時に、当時のネグリチュード運動に対する批評でもありました。https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/106_fanon/index.htmlhttp://homepage1.canvas.ne.jp/sogets-syobo/rinri-7.htmlhttp://www.kiss.c.u-tokyo.ac.jp/eng/docs/kss/vol17/vol1702nakamura.pdf『リオデジャネイロから降る雪』の福嶋伸洋さんの新刊『オルフェウ・ダ・コンセイサォン』(松籟社)、映画『黒いオルフェ』原案の戯曲です。ボサノヴァの詩人、ヴィニシウス・ヂ・モライス著。カッコいい装丁! 訳者あとがきにはサルトルとボーヴォワールのブラジル滞在時の興味深いエピソードが。 pic.twitter.com/0KnKtccBKi— tomoka watanabe (@scentofmatin) September 27, 2016カエターノ・ヴェローゾなどは、マルセル・カミュの作った映画について、「黒人社会の実態を描いてない!」「ヴィニシウスの作品とは似て非なるもの!」みたいに批判してたけど、それがサルトルの批評と繋がるかどうかは分からない。かたや、マーティン・バナールの『黒いアテナ』(1987)なんかは、もともとギリシャの神々はアフロ・アジアの黒人だったのだ!…みたいに主張しました。実際のところ、ギリシャ文明にせよ、ヘブライズムにせよ、それは西欧文明の起源というより、本来はオリエンタルな異文化だったはずです。◇◇最後に、9月に発表された凜の曲のことも書いておきます。3rdシングル「涙、かくれん坊」は武部聡志&一青窈によるオリエンタル路線でした。おのずから由貴ちゃんや一青窈の楽曲の雰囲気に似てくる。もともと武部は凜の歌声を「エアリー」と評してたけど、これを聴くと彼女が「n」の鼻音を出せる歌手だとわかります。かくれん坊の「ん」の音だけでなく、「ぜんぶ」「つつんで」「ゆけるんだ」「なれるんだ」など…重要な箇所で「ん」をしっかり歌えなきゃいけないからですが、あえて、そういう楽曲にしたんでしょうね。それこそカエターノ・ヴェローゾなどは、こういう鼻音を得意としているわけですが、日本人には、そういう歌手は少ないかもしれません。そこが凜の歌手としての特性なのだろうな。こちらは長女じゃなくて姪。姪でなければ許されないイジり物まねwかなり失礼ww#斉藤由貴 #芹澤優 #セリコソロ pic.twitter.com/o4oBLBjG5C— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) October 25, 2023 泥濘の食卓&大奥。#水嶋凜 https://t.co/TUn45Mi9oq pic.twitter.com/XY9j9BdkGu— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) October 30, 2023由貴ちゃんのときと同じ企画w安里麻里は『氷菓』の監督。#斉藤由貴 #水嶋凜 #キョコロヒー #泥濘の食卓 #ヒコロヒー #齊藤京子 https://t.co/dvUsqLKckX pic.twitter.com/unyUGQdjZN— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) October 31, 2023 ◸ news ◿舞台 #エウリディケメインビジュアル公開☁️🫧愛し合うエウリディケ( #水嶋凜 )とオルフェ( #和田雅成 )。ふたりを待つのは青空か、それとも…▼2024年2月4日 - 25日...東京・大阪にて上演https://t.co/NwHp9heonJ◎他出演者#栗原英雄 #崎山つばさ#櫻井章喜 #有川マコト #斉藤悠 pic.twitter.com/YBFXF6hCZS— 舞台『エウリディケ』 (@eurydice_stage) November 3, 2023 舞台「#エウリディケ」に #水嶋凜 さん #和田雅成 さん #崎山つばさ さん #栗原英雄 さんの出演が決定✨演出を #白井晃 さんが担当します🎤水嶋さんは「感じたことのない悲しみや喜びを経験するのが楽しみ」とコメント😊2024年2月に上演🎭@eurydice_stage ▶️記事https://t.co/RQYtmF4eEJ pic.twitter.com/SZCcTLfHlg— フジテレビュー!! (@fujitvview) October 24, 2023https://en.wikipedia.org/wiki/Eurydice_(Ruhl_play)
2023.11.05
ジャニーズ問題の落としどころ。◇まずは被害者救済が先決ですが、これはジャニーズだけの問題ではない。メディア全体の共犯関係が指摘されています。なので、ジャニーズ関連のコンテンツを有している企業が、共同で「被害者救済基金」を設立しなければならない。すなわち、放送局、レコード会社、出版社、映画会社、さらに広告代理店や広告クライアントなどが、共同で「被害者救済基金」を設立し、ジャニーズ関連コンテンツの資産を、そのために充てるのが妥当だろうと思います。もちろん、スマイルカンパニーのように、強固なタイアップをおこなってきたプロダクションも、そこに加わらなければならない。※スマイルカンパニーが生き残れればの話ですが。◇なお、タレントの性被害は、ジャニーズ事務所だけに限られているわけでもありません。たとえば、スマイルカンパニーでも、女性タレントの性被害の告発があります。つまり、加害者はジャニー喜多川だけに限らないし、被害者は業界全域のタレントに及んでいる可能性がある。…現在のところ、政府は「個別事業者の案件」などと言ってますが、数十年にわたって性被害が黙殺されてきたことに鑑みれば、これはメディア全体の「構造的な問題」なのです。したがって、政府は、業界全域を網羅的に実態調査し、長年にわたり性加害が野放しにされた背景を解明し、再発防止のためのガイドラインや法整備に取り組み、被害者救済の仕組みを確立していく必要があります。◇◇一方、ジャニーズ事務所については、解体してしまうか、かりに継続するにせよ、「ジャニーズ」の名を掲げ続けるのは不可能だと思うので、なんらかの改組が必要です。個々のタレントやグループがどこを拠点に活動するかは、それぞれに判断すべきことですが、かりにジャニーズ事務所に残るタレントがいるとしても、いったんは企業を改組することが必要です。ジャニーズの中には、タレント育成システムとか、レッスンのシステムとか、舞台運営のシステムとか、マネージメントのシステムとか、いろんなノウハウがあると思いますが、何を残して、何を失くすべきか、ひとつひとつ検討しなければならない。◇一部には、「ジャニー喜多川は死んだのだから、もう性虐待は起こり得ない」との意見もあります。しかし、それは楽観的に過ぎます。ジャニーズ事務所の中にも、あるいは周辺業界の中にも、同じような性癖の人物がいても、まったく不思議ではありません。たとえば新宿二丁目が、ゲイカルチャーのメッカになっているのと同様に、メディア業界もまた、ゲイやペドフィリアの人々を、全国から呼び寄せている側面はあると思うし、ジャニーズ事務所は、そうした界隈への "人材供給源" になっていた疑念もある。たとえば辛坊治郎のメルマガには、銀座にはもうずいぶん前から「売れずにジャニーズを退社した元タレントさんが集団で働くおかまバー」があって、そこでは先代トップの性的虐待の様子が夜な夜な赤裸々に語られたりしています。https://www.mag2.com/p/news/576347…との記述がありますが、みずからのセクシャリティを満足させるために、ジャニーズから直接・間接に恩恵を受けていた人々は、かならずしもジャニー喜多川だけではないと思います。◇もちろん、セクシャリティそのものは罪ではないので、本人が望んでそこに取り込まれるなら問題ありませんが、性的嗜好を共有できない男性や、性的に未発達な子供を巻き込むのは許されません。ジャニーズの改組がありうるとすれば、それを未然に防げるような形に、システムや契約のあり方を作り替えなければならないし、その内容が公にも明示されなければなりません。◇少年や少女を集めてタレントを育てる際に、いかにしてコンプライアンスを遵守させればよいのか。これを機に、人権上の問題が生じないようなモデルケースを作ると同時に、それを監督する仕組みも明確にしなければなりません。
2023.08.08
キャンセルカルチャーを日本語でいえば、さしずめ「自粛要求運動」とでも訳せるでしょうか?検閲でもないし、法的な根拠もないので、キャンセルするかどうかは、あくまでメディア側の自主判断に委ねられます。…先月のピーター・バラカンのNHKの番組でも、今日の山下達郎のTOKYO-FMの番組でも、ティナ・ターナー追悼という名目で、実質的な「アイク・ターナー特集」が組まれました。いうまでもなく、アイク・ターナーはDV野郎だったのだけど、検閲の対象になってるわけではないので、Rケリーの場合と同様に、その音楽を自粛するかどうかは個々に判断すればよい。◇ちなみに、NHKは、市川猿之助の出演作も配信するそうです。つまり、「作者に罪があっても作品に罪はない」のと同じく、「出演者に罪があっても作品に罪はない」との判断でしょう。日本では、とりわけ「不倫芸能人へのキャンセルカルチャー」が強烈で、世界的にも例がないほど異様にヒステリックなのですが、もちろん法的な根拠もなければ、社会的な正当性があるとも思えないので、スポンサーに左右される民放とはちがい、NHKはあまりキャンセルカルチャーに屈しない傾向があります。…しかし、ジャニーズ問題については、それほど単純ではありません。◇もともと日本の言論は「メディアの自粛」に否定的でした。その発端は、昭和天皇が病気になったとき。井上陽水の「お元気ですか~」のCMが自粛されたときです。このときにメディアの横並び的な自粛があり、表現の自由や放送の独立性の問題などが議論されました。…現在の自粛要求運動(キャンセルカルチャー)は、それとは真逆のベクトルですが、実際のところ、メディアの自粛には2つの相反する側面があります。1つめは「公共目的の自粛」。2つめは「経営目的の自粛」。メディアがジャニーズについての報道を自粛するのは、忖度や圧力を背景にした企業側の都合にすぎません。なので、報道が「経営的な自粛」をすべきでない、と批判されている。その一方、メディアがジャニタレの起用を自粛しないことに対しては、(これも忖度や圧力を背景にした経営上の都合でしょうから)むしろ「公共的な自粛」をせよ、と要求されているわけです。小山田圭吾の音楽についても、(放送で自粛すべきかどうかはともかく)すくなくともパラリンピックでの使用については、公共的な観点で疑問符がついて、自粛されたといえます。◇NHKも、民放も、ジャニタレの起用について、「出演している方々には問題がない」と、おしなべて横並びの弁明をしてますが…さすがに、この理屈には無理があります。「社員には罪がないから、不正企業との取引も続ける」と言ってるのに等しい。たしかにジャニー喜多川は死んでいるけれど、ジャニーズ事務所が、彼の性虐待に組織的に加担し、なおかつ隠蔽してきた疑いは晴れていません。…わたしの想像ですが、メリー喜多川とスマイルカンパニーが共謀し、飯島三智とSMAPを排除して同族経営を維持し、強権的な手法でメディアを支配してきたのは、ほかでもなく、ジャニー喜多川の性虐待事件や、中森明菜排除事件を隠蔽するためだったと思えます。今回のスマイルカンパニーによる松尾潔の排除も、それとまったく同じ構造でおこなわれたように見える。今日はNHKホールで、山下達郎さんのコンサートでした🎉演目後半の曲の途中で、竹内まりやさんがコーラスで参加!紹介では「何故か竹内まりや」と紹介されていました🤣そして客席には木村拓哉さんの姿も😳会場がどよめく事の多かった本日の公演でした🎉#山下達郎 #竹内まりや #木村拓哉 pic.twitter.com/K5H8iwHIsG— Shy Boy's Each (@todaysongbook) July 29, 2023ジャニーズの場合も、スマイルカンパニーの場合も、批判的な意見を排除して、盲信的な支持者ばかりを集めていますが、その結果、ジャニヲタも、達郎&まりや信者も、まるで教祖を崇めるような異様な集団になり、国際的な人権感覚からは乖離し、ガラパゴス的な文化を形づくった結果、虐待の告発者に対する二次的な加害さえも辞さなくなっています。多くの盲信的なジャニヲタが、デヴィ夫人の発言を称賛している事実もある。デヴィ夫人めっちゃ叩かれてますがその一方で2万いいねがついてるジャニーズをキャンセルカルチャーする動きに怒りを感じている人は、たくさんいるどんなに叩かれようが自分の意見をツイートできる強さはさすがだなと思います https://t.co/4UOIIORB3Q— みやびmama (@miyabi39mama) July 22, 2023 ◇もちろん、ジャニーズ事務所だけに問題があるのではありません。NHK・民放・大手新聞の報道部門が、上層部の圧力や、ジャニーズへの忖度によって、性虐待事件の話題を自粛してきたとすれば、これは、公共性をないがしろにした「経営的自粛」であり、報道の独立性という点でおおいに問題があります。…すでに国連が調査に入っていますが、本来ならBPOや日本新聞協会が調査すべき案件だし、これらの機関が、まともに機能を果たしているのかどうかも問われている。ちなみに国連は、2016年にも日本政府とメディアの癒着を調査しています。https://www.unic.or.jp/news_press/info/18693/今年の「報道の自由度ランキング」では、日本は180カ国中の68位。主要7カ国で最下位が続いています。◇わたしは、てっきり、松潤大河が終了する12月を目安として、NHKはジャニーズとの取引を自粛するものと思ってました。ジャニーズへの疑惑が晴れないかぎり、この事務所との取引には公共性の観点で問題がありますし、NHKはたんなる国内メディアではなく、そのコンテンツは海外へも発信されているからです。紅白をはじめとして、NHKの音楽番組は世界中で視聴することができる。◇ところが、NHKは、12月以降の「ザ少年倶楽部」の放送を決定したらしい。これは事実上の《ジャニーズアイドル支援番組》で、NHKワールド・プレミアムで海外放送もされています。NHKの番組にジャニーズのアイドルを出演させるのは、日本の異常な文化を世界へアピールするのにも等しい。ある意味で、NHKは、外圧にも屈せず、キャンセルカルチャーにも屈せず、ジャニーズのアイドル文化を、世界に発信しつづける意思を固めたのかもしれません。◇しかし、ジャニーズ事務所に対する疑惑も、NHKをふくめた日本メディア全体への疑惑も、いまなお進行中なのですから、この問題はまだまだ続いていくだろうと思います。
2023.07.30
達郎批判ではなく、やや基礎的な考察です。「なぜ日本人がジャニーズのエンターテイメントを愛したか」という本質的な問題にもかかわる話になります。◇かつて山下達郎は、ジャニーズのエンターテイメントのことを、宝塚歌劇団と並べて語ったことがあるのだけれど、両者に共通するのは「性の消滅した世界」ということ。これは、男性が女形を演じる歌舞伎にもいえることですが、もともと日本人はそういう芸能を好んできた伝統がある。かつては、西洋にもカストラートのような人たちがいたし、中国の宦官の文化とか、日本の戦国時代の男色文化にも、そうした側面があるのかもしれません。現在の日本のBL文化にも同様のことはいえると思う。◇ジャニーズのアイドルというのは、いわば芸能のために「虚勢された男性」じゃないかと思うのですよね。ジャニヲタがジャニタレの恋愛を忌避するのも、たんに「擬似的な恋愛対象にしてるから」というだけでなく、そもそも彼らの「性的な部分」を見たくないから…という面が強いように思う。そして、ジャニー喜多川の性犯罪は、そのような「去勢された男性アイドル」を育てるための、ある意味で合理的なシステムだった可能性があります。もしかすると、ジャニー喜多川とのセックスを受け入れるかどうかで、アイドルの資質があるかどうかを選別していたかもしれない。(あくまで憶測ですが)もし、そうだとすれば、ジャニーズのアイドル文化やエンターテイメントそのものが、ジャニー喜多川の性犯罪と切り離しがたく存在していた、…とさえ思えてきます。◇原則的にいうなら「作者」と「作品」は別です。作者に罪があっても、作品に罪はないし、その反対に、どんなに作品が素晴らしいからと言って、作者の犯行が免罪されるわけでもない。そこは厳密に区別されなければいけません。…そもそも犯罪者の表現行為は禁じられていません。犯罪者にも「表現の自由」が法的に保障されています。永山則夫のように、獄中で表現活動をすることも、それを世間に公表することも認められています。◇ただ、テレビ局などは、犯罪者の表現を忌避する傾向が強く、それは自粛されがちです。とくに民放の場合は、(婚外恋愛は犯罪でないにもかかわらず!)不倫芸能人の出演さえ控えてしまうことがあります。視聴者やスポンサーの意向に左右されるからです。NHKの場合は、スポンサーの意向に左右されないこともあって、すくなくとも民放に比べれば、不倫芸能人の出演などには寛容です。さらに、出版社の場合は、何よりも「表現の自由」が優先されるので、多くの場合は犯罪者の表現行為にさえ寛容です。◇ただし、表現行為そのものが犯罪によって成立している場合は、その限りではありません。たとえばベルトリッチの「ラスト・タンゴ・イン・パリ」は、(わたしがとても好きな映画のひとつなのですが…)撮影中に強制的なセックスが行われ、そのシーンが劇中で使われているとされています。つまり、犯罪行為によって作品が成立している。荒木経惟の写真や、園子音の映画などの場合も、モデル・女優への性的な支配が、作品の内容に反映されているのではないか、と疑われています。ジャニーズのアイドル文化についても、ジャニー喜多川の性的支配がアイドルを育てたとすれば、エンタテインメント作品そのものが、その犯罪によって支えられていた、と言えるかもしれません。まあ、かりにそうだとしても、ジャニタレの表現活動までが禁じられるわけではありませんが。◇ちなみに、昔の歌謡曲に「芸のためなら女房も泣かす」という文句があります。わたしは、最近の歌舞伎界を見ていて、もともと役者ってのは、「芸のためなら家族も殺す」ような人たちではないのか、と感じています。小林麻央も死んでしまったし、竹内結子も死んでしまったし、猿之助の両親も死んでしまった。歌舞伎役者というのは、それら家族の死をも含む「業」を積み重ねることによって、その深い「業」をこそ、自分の芸に生かしているのではないか、と思えてくるのですよね。日本人を含め、人間社会は、そのような芸能を長いあいだ容認してきたのかもしれません。しかし、いよいよ、それが許されない時代がきたのではないか、とも感じています。◇山下達郎は、小杉理宇造やジャニー喜多川との「縁」こそが何より重要であり、リスナーやファンとの「縁」は、それに比べれば二の次でしかない、…という趣旨のことをラジオ番組で公言しました。つまり、達郎にとって何よりも大事なのは、あくまで「音楽を作らせてくれる人間」であって、けっして「それを聴く人間」ではないのだ、ということ。これはある意味、じつに芸術家らしい考え方であって、実際のところ、作品が世に放たれ、それが一人歩きしてしまった後のことは、もう作者が関知できる領域ではないのだし、音楽の場合も、聴きたい人間が勝手に聴いているだけなのだから、彼らがどんな気持ちで音楽を聴いて消費していようと、もはや作者の知ったことではない、…というのは、一定の真実だろうと思います。したがって、芸術家にとって何より大事なのは、「作りたいものを作り続けられる環境」であって、それを支えてくれる人脈さえ保全されていれば、それ以外のものが失われても、さしたる問題ではないのだろうと思います。◇さらに、美空ひばりが田岡一雄との「縁」を切れなかったように、山下達郎がジャニー喜多川との「縁」を切れないように、たとえ彼らが犯罪や犯罪組織に関与しているとしても、やはり創作活動のためには、その「縁」が何より優先されるのだ、ということですね。かりに自分の作品が、その犯罪や犯罪組織を利することになるとしても、それはもう作者の関知できる領域ではないのだから、そこまでの責任を負う必要はないってことかもしれません。しかし、そういう発想が今後も許されるかどうかは微妙です。もちろん法的には何ら問題がないけれど、テレビ局やスポンサーがそれを許すかどうかは難しい。◇◇◇余談ですが、最後にすこしだけ達郎批判をすると、彼は、松尾潔の契約終了にかんして、「自分がその決定を促したわけではない」と言い、ジャニーの性加害行為についても、「1アーティストの自分に分かるわけがない」と言いました。しかし、すくなくともスマイルカンパニーという会社の中で、山下達郎が「1アーティストにすぎない」というのは、たぶん嘘だろうと思います。噂によれば、山下夫妻は会社の半分近い株式を保有しているらしいし、おそらく社内における発言権や決定権は、「前社長 > 山下夫妻 > 現社長」ぐらいの順位じゃないかと、わたしは想像しています。(憶測ですが)そうでもなければ、松尾潔はいちいち山下夫妻の「賛意」などを確認するはずがない。実際のところ、ヤマザキマリや鈴木おさむの「賛意」を確認したという話はないし、あえて山下夫妻の「賛意」だけを確認したのは、そこに大きな決定権があると考えればこそでしょう。(もちろん松尾潔はそうした内実まではバラさないでしょうが)そもそも「スマイル」という社名は、ビーチボーイズの作品名(未完)から取られているわけだし、それを達郎が命名したことは一目瞭然なのです。なので、実質的に、スマイルカンパニーという会社は、小杉家と山下家の共同経営ではないかとわたしは見ています。(憶測ですが)
2023.07.17
今回の山下達郎問題の最大の焦点は、スマイルカンパニーと山下夫妻が、長いあいだジャニーズと昵懇だったことではなく、あくまでも「松尾潔を排除したこと」です。もちろん、長年にわたってジャニーズと昵懇だったからこそ、松尾を排除したのだろうことは想像に難くありませんが、今さらジャニーズとの関係を問題視しても仕方ないし、それ自体が罪だったとも言いがたいし、そのような企業やアーティストは他にも多いはずですから。◇最大の問題は、改革を促そうとした松尾潔を排除したこと です。山下夫妻がそれを追認したことは明らかになっています。一部には、松尾潔がこの問題をメディアへ持ち出したことに対して、「当事者どうしで内々に解決すべきだった」と主張する人もいます。しかし、それこそが、ジャニーズ問題を内部に隠蔽して、うやむやに終わらせてしまいたい勢力の思う壺です。むしろ、今回の松尾潔のように、メディアにはびこる隠蔽体質を外側に向けて告発する人が、各所で声を上げるようでなければいけません。そうでなければ、日本の芸能界の改革が進まないからです。◇たとえば、古関裕而のような音楽家が、戦時中に、国家の要請に応じて、軍歌や戦時歌謡を量産した問題にも関係するのですが、かりに達郎のようなノンポリの音楽家であっても、・音楽家としての存続や利益を選ぶのか・社会正義や倫理を選ぶのかそういう選択を迫られる局面があります。山下達郎にとっては、今回がそれでした。◇じつは若き日の山下達郎は、少女の人間性を搾取するフィル・スペクターに否定的だったそうです。山下達郎「若いアイドルの人生を消耗させて金儲けする芸能界のシステムを僕は容認できない。そういうシステムに加担したくない」#山下達郎 pic.twitter.com/euUrNBE75A— ガリで (@garide2525) July 9, 2023 しかし、それなら何故、少年の人間性を搾取するジャニー喜多川には肯定的であり得たのか?わたしが気になっていたのは、《坂本龍一に弄ばれた女性を山下達郎が懐柔した》とのエピソードです。「遊ばれたー!」と泣き出す女性に山下達郎が'10年代に坂本さんのツアーがあり、リハーサルにスタッフの女性も同行していました。でも、なにがあったのか、その女性は来るなり“遊ばれたー!”とわんわん泣き出したんです。たまたまスタジオが一緒だった山下達郎さんが“この人と付き合ったら遊ばれる可能性があるのはわかっていたはずだから、文句を言っても仕方ないでしょう”と諭したと聞いています。(レコード会社関係者)https://news.yahoo.co.jp/articles/532b5a12f940f278a9a7074f267a7ae3f5b72ab9?page=2これもまた、「権力者による性の搾取を呑み込ませた行為」…に等しいのではないか、とわたしは疑っています。◇ミュージシャンにとって、「ご縁」や「ご恩」や「義理人情」こそが大事だという発想は、さながら美空ひばりと田岡一雄の関係とも同質です。今回の山下達郎は、世間で「シティポップス」とも呼ばれてきた世界が、まるで演歌と同様の泥臭いしがらみで成り立っている実態を、公然と認めてしまいました。…たとえ事務所の社長が田岡一雄のようなヤクザでも、たとえ取引先の社長がジャニー喜多川のような性犯罪者でも、音楽家が優先すべきは「ご縁」「ご恩」「義理人情」という、今回のあからさまなメッセージは、山下達郎の「希望という名の光」や、竹内まりやの「いのちの歌」のような楽曲に、どのような意味を与えることになるでしょうか?だからどうぞ泣かないでこんな古ぼけた言葉でも魂で繰り返せば あなたのため祈りを刻める泣きたい日もある 絶望に嘆く日もそんな時そばにいて 寄り添うあなたの影これらの歌を、性搾取の被害者たちはどのような気持ちで聴けばいいのか?◇松尾潔も引用したように、新曲の「弾圧のナンチャラ」は、もはやギャグにしか聴こえなくなってしまいましたが、たとえノンポリの達郎&まりやであっても、それなりに社会的なテーマを題材にした楽曲はあったのです。わたしが思うに、竹内まりやの「縁えにしの糸」という曲も、今では「ご恩と義理人情の糸」と読み替えねばならなくなった。この世で出逢う人とはすべて 見えぬ糸でつながってる天が描いたシナリオに沿い あなたと私知り合うの時に愛して 時には泣いて やがて固い絆へとそれはもはや、NHK朝ドラの主題歌というよりも、ほとんど東映ヤクザ映画の主題歌みたいに思えます。ちなみに、達郎は、> オレにとっては小杉さんやジャニ―さんとの「縁」が大事で、> 松尾みたいな批判的な連中との「縁」など無かったも同然なのだから、> それで文句があるなら、おまえらもオレの歌は聴かなくていい⇒ 発言の全文はこちら…という趣旨のことを述べて、長年のファンとの「縁」もみずから断ち切りました。
2023.07.11
ネトウヨのなかには、「とにかく左翼を攻撃できれば手段は選ばない」…みたいな人たちがいます。一方、ジャニヲタのなかにも、「ジャニーズさえ守れれば手段は何だっていい」…みたいな人たちがいますよね。そんな見境のないネトウヨとジャニヲタが、なぜか山下達郎擁護のスローガンのもとで共闘しはじめてるw◇さらには、出版不況にあえぐ音楽雑誌も、そこに乗っかるかもしれない。実際、『ミュージックマガジン』あたりは、なおも《山下達郎擁護》の姿勢を変えそうにないし、それどころか、ジャニヲタやネトウヨにも媚びを売って、部数の回復や再起を図っていく可能性があります。その結果として、内容がほとんど『WILL』や『Hanada』みたいになっていくかも。松尾潔が『赤旗』での言語活動続けるんなら、スマイルと関係断ってお互いばんばりましょうというだけの話なのに。なんで山下達郎がここまでバッシングされなきゃならんのか。アベさんがいなくなって、正義厨が暴走し始めた。周りにいる小さな幸せを求める者を、屁理屈言って火あぶりにかけてる。— Yuji TANAKA (@ugtk) July 9, 2023ちなみに、上のようなツイートに対して、漫画家のヤマザキマリが「いいね」しまくっていた…と話題になっています。ヤマザキマリと達郎&まりやが親しくしてるのは、すこし前から知られていましたが、何のことはないスマイルカンパニー所属なのですね。わたしは、ヤマザキマリが、専門家でも何でもないくせに、NHKの教養番組などに専門家ぶって出てくるのが不思議でしたが、組織的な後押しがあったと考えれば納得がいきます。ヤマザキマリのTwitterにおける挙動も、彼女が「組織人」として動いていることを示している。◇ところで、目下、ジャニヲタ&ネトウヨ連合がよりどころにする情報があります↓。【マスコミの闇】ジャニーズ報道の裏側にColabo・フラワーデモ・キボタネの影?https://t.co/LmmZSBMQuZ— Johnny's Navi (@tokyojapan999) June 19, 2023まだボヤッとした話ですが、たぶん「中国人陰謀説」に寄せようという意図なのでしょう。南京事件と似たような構図にも見えますね。まあ、たとえ中国人やBBCやリベラル派の人たちが、日本についてのネガティブ情報を発信・拡散しているとしても、それで「ジャニー喜多川が無罪になる」なんてことはありえません。◇とはいえ、こういったジャニヲタ&ネトウヨの結びつきには、けっこう不気味な面もあります。両者を結びつけているのは、達郎&まりやに象徴されるようなノンポリ層なのですが、ノンポリを公言する音楽家や音楽愛好家は、(ふだんはリベラルな態度を装っていますが)政治的選択を迫られる局面では必然的に保守化します。彼らにとって重要なのは、慣れ親しんだ幻想や、身の回りの小さな幸せを維持することであり、国際問題や人権問題などは二の次だからです。その点でこそ、彼らはジャニヲタにもネトウヨにも通じ合う。 山下達郎のラジオでの発言を一通り読んで思ったのは、デズモンド・ツツのこの言葉:「不正義を前にして中立でいるということは、抑圧者の側につくことを選んだということである」“If you are neutral in situations of injustice, you have chosen the side of the oppressor.”— Yuko Watanabe 渡邊 裕子🇺🇸🇯🇵 (@ywny) July 10, 2023 達郎&まりやの岩盤的な支持層は、日曜の午後に「サンソン」を聴くことが、なかば自分たちの《生活そのもの》になっており、今回の事態には、たぶん実存的な危機を感じているはずです。ジャニタレの恋愛報道だけで狂気に陥るような人たちも、やはり現在のジャニーズの危機に直面して、自分たちの存在基盤が脅かされる恐怖におののいている。彼らが敵視するのは、慣れ親しんだ幻想や小さな幸せを破壊する者なので、性被害の告発者さえ、現在の彼らにとっては敵になりえます。そして、こうしたメンタリティは、やはりネトウヨによく似ている。ネトウヨにとっては、人権主義を標榜する国連も、国際主義を標榜するリベラル派も、たんに国内の権力構造を揺るがす敵でしかありません。彼らもまた、長いものに巻かれ、大きな権力にグルーミングされ、(竹内まりやと同じように)出雲につどう八百万の神々にひれふしながら、日常の幻想と小さな幸せを保守することを選択します。◇余談ですが、生前の中村とうようは、達郎&まりやの音楽を意外なほど高く評価していました。なぜ「大衆音楽」の可能性を信じていた中村とうようが、サザンオールスターズではなく、中産階級気取りの達郎&まりやなんかを評価していたのか、わたしはずっと不思議に感じていたのですが、いまにして思うと、まさに達郎&まりやこそが、日本人の総中流幻想に親和的なのであって、その点でこそ保守的な大衆の無意識に訴求するのです。◇ところで、松尾潔のTwitterによれば、テレビのみならず、音楽雑誌も、今回の問題にまったく無関心を装ってるそうです。やはり、『ミュージックマガジン』も『ロッキングオン』も、岩盤層と同様、変わらぬ《達郎支持》の姿勢を続けるのでしょう。そちらもゼロです。 https://t.co/YVwNPaIpem— 松尾潔 (@kiyoshimatsuo) July 8, 2023 こうした音楽雑誌が、ノンポリを自称しながらも実質的には保守化し、ジャニヲタ&ネトウヨに連携していく可能性は否定できません。…わたしは、7日の坂本龍一についての記事で、「日本のミュージシャンは言語的知性に欠けている」と書きましたが、それと同じことが日本の音楽ジャーナリズムにも言えます。本来なら、映画批評であれ、音楽批評であれ、言葉を扱う職業である以上、言語的知性が不可欠だと思いますが、現在の日本で「音楽ライター」などを自称する人たちは、たんなる "ミュージシャン崩れ" みたいな連中ばかりで、本質的に言語的知性が抜け落ちているのです。そのため、歴史的な批評も、アクチュアルな状況への批評も出来なくなっている。彼らが「なしくずし的な保守化」に傾くのは必然だと思います。◇わたしが、音楽惑星さんと日本語ロック論争について議論したときも、参照したのは『ユリイカ』のような文芸誌であって、けっして音楽雑誌ではありません。日本語ロック論争は、もとはといえば、当時の『ニューミュージックマガジン』などの音楽雑誌で行われました。しかし、現在ではその雑誌こそが、よりによって「はっぴいえんど史観」の担い手みたいになっています。歴史や現状に対する批評的な観点が、まったく無いからです。◇わたしは3日の記事のなかで、日本語ロック論争の議論に反応した栗原や佐藤のツイートを紹介しましたが、じつは、あの議論に対して、一人だけおかしな反応をしていた人物がいました。それが、よりにもよって、現在の『ミュージックマガジン』の編集部の人間だったのです。このページが異様に詳しい"1980年1月号より、「ニューミュージック・マガジン」は「ミュージック・マガジン」へと変更されました。当時、日本ではフォークからよりポップでロック寄りな音楽へと変化した新たなポップスに「ニュー・ミュージック」という名前を付…"https://t.co/cQdp1ChPva— 矢川俊介 yagawa shunsuke (@yasnsk) December 20, 2020中村とうようの考えていた「ニューミュージック」が、ポール・ネルソンの述べた「The New Music」に由来していること、(フォーク雑誌『シング・アウト』に掲載された66年の論文です)それがフォークとロックを統合する概念だったのは、日本のロック史に詳しい人ならば周知の事実です。しかし、何故かこの人物は、ほかならぬ『ミュージックマガジン』の編集部にいながら、その誌名の由来すら知らなかったらしいのです。…上記のツイートでは、ニューミュージックに「異様に詳しい」と書いたうえで、ミュージック・マガジンの歴史 - 中村とうよう(後編) という外部記事にリンクを張っていました。このサイトは現在は消えていて、キャッシュだけ残っています。じつは、このサイトの前半部分にも、ポール・ネルソンの件はちゃんと記述されていたのですが、この矢川という人物は、それすらもまともに読解できず、まったく無関係な後半部分にリンクを張っていたのです。(そこに書いてあるのは1980年の誌名変更の話)歴史について無知なだけでなく、資料の読解力もないってこと。◇歴史に無知なうえに、資料もまともに読めないのでは、音楽史を批評的にとらえることはおろか、アクチュアルな状況を分析するのも不可能でしょう。現在の『ミュージックマガジン』に、なんらの批評性も感じられないのは、そもそも批評の意思のあるかないか以前に、ただたんに無知でバカな人間しかいないからかもしれません。この矢川俊介という男も、(かならずしも編集部の中枢の人間ではないかもしれませんが)やはり今なお「達郎擁護」の立場のようですし、今後の『ミュージックマガジン』も、おそらく「達郎擁護」の姿勢を貫くのではないかと思います。そして、はっぴいえんど神話を保守しながら、日本語ロック派と同じく「リベラルを装ったノンポリ」の道をたどり、やがてはジャニヲタやネトウヨとも連携していくでしょう。ツイッターは今日もツイッターだね何にせよ、片側の1ツイートだけ読んで、山下達郎さん側の表明が何もないうちに何かを決めつけたりすることはしないほうがいい— 矢川俊介 yagawa shunsuke (@yasnsk) July 2, 2023
2023.07.10
TOKYO-FMの「サンデーソングブック」で、達郎からのスピーチがありましたね。◇ジャニーズについて語った後半部分については、これといって、とくに何も言うことはありません。達郎が言うには、「ジャニー喜多川の性加害については噂でしか知らなかった」「99年の裁判のことも知らなかった」…とのこと。本人が言うのだから、きっとそうなのでしょう!(知らんけど)また、達郎が、ジャニー喜多川をずっと尊敬し、ジャニーズのエンターテイメントを愛し、ジャニタレの活動が続くことを願っている、…と述べた部分についても、とくに何も言うことはありません。前回の記事にも書きましたが、わたし自身も(ジャニ―喜多川の人間性については知りませんが)、ジャニーズのエンターテイメントは素晴らしいと思ってます。◇問題になるのは、むしろ前半の部分だと思います。…まずは以下の部分。私の事務所と松尾氏とは、彼から顧問料をいただく形での業務提携でありましたので、雇用関係にあったわけではない。また、彼が所属アーティストだったわけでもなく、したがって解雇には当たりません。弁護士同士の合意文書も存在しております。松尾氏との契約終了については、事務所の社長の判断に委ねる形で行われました。松尾氏と私は直接何も話をしておりませんし、私が社長に対して契約を終了するよう促したわけでもありません。じつは、松尾潔も、山下夫妻が契約終了を「促した」とは言ってません。松尾が言及したのは、山下夫妻が「賛成した」かどうかであり、それを弁護士に確認したら「Yes」と返事がかえってきた、という話なのです。双方の言い分に矛盾はないけれど、ポイントを置く部分にズレがあるのですね。◇…そして以下の部分。そもそも彼とはもう長いあいだ会っておりません。年にメールが数通という関係です。今回、松尾氏がジャニー喜多川氏の性加害問題に対して「憶測にもとづく一方的な批判」をしたことが契約終了の一因であったことは認めますけれど、理由はけっしてそれだけではありません。他にも色々あるんですけれど、今日この場ではそのことについては触れることを差し控えたいと思います。※松尾は「批判」ではなく「提言」と言ってるので、そこにも表現の違いがありますが…まず重要なのは「憶測にもとづく」という部分でしょう。松尾の発言のどの部分が「憶測」だったのか。そして、達郎とスマイルカンパニーは、何故それが「憶測」であると判定できるのか。そのことは契約終了の正当な理由になるのか。…という問題があります。もしかすると、達郎とスマイルカンパニーは、被害者たちの告発そのものをまだ疑問視していて、ジャニー喜多川の性加害問題に言及すること自体を、いまも「憶測にもとづく批判」と捉えてるのかもしれません。最初にも書いたとおり、達郎は「99年の裁判のことも知らなかった」と言うけれど、いったい、いつまでそれを知らずにいたのか??松尾の契約を切る段階でもまだ知らなかった…なんてことは、さすがにありえないと思います。…さらに、達郎は、松尾が「一方的な批判」をしたと言ってるわけですが、日刊ゲンダイの松尾の記事には、Jに対しても提案したいことがあるので、ジュリー社長とつないでくれるよう請った。だが周水社長が首を縦に振ることはなかった。…と書いてあります。それが事実だとすれば、むしろ対話を遮断したのはスマイルカンパニーの側では?って気もします。…くわえて、達郎は、松尾のジャニーズ批判は「契約終了の一因」に過ぎず、理由は「他にも色々ある」と言いました。しかし、それが何なのかは触れられませんでしたし、松尾もまだ書いてないことが何かあるのかもしれないし、それが契約終了の正当な理由になるのかも分かりません。とはいえ、積もりに積もった「色々」があるのだとしても、直接の引き金が「ジャニーズ批判」だったのは間違いない。やはり、それが契約終了の正当な理由かどうかが問われるところです。◇今回の話を聞いて、わたしが思っていた以上に、達郎と松尾の関係は冷え切ってる感じでした。今後、この案件は、ジャニーズ問題の場外乱闘的な感じで、けっこう泥沼化しそうにも思えます。…ちなみに、スマイルカンパニーって、ジャニーズだけでなく、ハロプロ(アップフロント)とも密接なんですね。
2023.07.09
さほど坂本龍一を熱心に聴いてきたわけでもないのに、死んだ途端に語りまくるってのもどうかとは思うけど、これで第4弾ですw…前回からだいぶ時間が空きましたが。◇…というのも、例の松尾潔の日刊ゲンダイの記事に、https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/325603/4またも「炭鉱のカナリア」なんて表現が出てきたからです。まあ、松尾潔は、あくまで達郎への皮肉で書いてるのかもしれませんが、そもそも音楽家ごときが「カナリア」であるはずがない!ミュージシャンに、そんな能力はありませんwなぜか晩年の坂本龍一が、そんなことを口にしはじめたせいで、湯川れい子までがそれに同調したりしてるのですが、坂本龍一ともあろうものが、そんな下らない幻想を本気で信じていたとしたら、あまりに愚かじゃないの?と思っていたわけです。◇一般的にいっても、「音楽家が時代のカナリアだ」という考えは、まったく根拠のない幻想にすぎません。一部の馬鹿なミュージシャンが、自分で勝手にそう錯覚しているだけの話。歴史的に見れば、社会の変化にもっとも敏感なのは文学者であって、けっして音楽家ではありません。むしろ音楽家が、いちばん鈍感なのです。音楽は、芸術の諸分野のなかで、社会の変化に対する反応がもっとも遅い。これには必然性があります。◇たとえば「文学のロマン派」は、フランス革命が起こる前から存在していましたが、「音楽のロマン派」が登場するのは、フランス革命の後です。つまり、文学者ははやくから革命の時代を予兆していたけれど、音楽家たちは、モーツァルトにせよ、ベートーヴェンにせよ、革命が起こるまでロマン派の時代の到来に気づかなかった。※ウィーンが辺鄙だったからってのもあるけど。それと同じことは、印象派やシュルレアリスムにも言えます。音楽の印象派は、美術の印象派よりも遅いし、サイケデリック音楽も、美術のシュルレアリスムに比べて、だいぶ遅い。◇同じことはロックにも言えます。アウトロー/アウトサイダーの表現は、米国でいうなら1940年代の、ビート文学やハリウッド映画の中に予兆されているし、ヨーロッパの退廃主義や実存主義は19世紀から存在しています。しかし、音楽の世界でロックンロールが登場するのは、せいぜい50年代の半ば。ここでも音楽がいちばん遅い!日本でも、無頼派の文学や東映・日活映画などが、アウトローの表現を終戦直後から先取りしてましたが、日本の学生たちが、アウトロー気取りでフォークやロックをはじめたのは、ようやく60年代も後半になってからのことです。それにもかかわらず、自分たちが「時代の先端」のように勘違いしていたのなら、たんに滑稽というほかありませんw◇文学者が時代の変化に敏感なのは必然です。それは、人間の精神や感性そのものが、時代の言語や観念に規定されているからです。そのことに自覚的な文学者ほど、社会の変化を必然的に予兆することになる。それに対して、音楽家というのは、往々にして、自分自身の感性の構造に無自覚なのです。だから、「インスピレーションは空から降ってくる」だの、「感性こそが言語に先立つ」だのと、ファンタジックな勘違いをしてしまう。つまり、無邪気な音楽家ほど、自分の感性が時代の観念に規定されていることを、なかなか自覚できないのです。そのくせ「空からのインスピレーション」があれば、自分たちこそが時代を先取りできると思い込む。…坂本龍一は、日本の音楽家の中では、かなり「文学的」なほうだったと思うのですが、それにもかかわらず、《音楽の予知力》なんぞを本気で信じていたとしたら、意外に迂闊だったんじゃないか、と思います。◇◇ちなみに、ジョン・レノンの「イマジン」という有名な曲があって、なぜか、日本の頭の悪いロック愛好家ほど、この曲を「ジョンの妄想」だと言って馬鹿にするのだけど、そもそも、あの曲の内容はジョンの独創ではありません。あれは、いわば文学思想の翻案であって、一種のパクリです。そのことが分かっていれば、あの歌詞の内容を一概に「妄想」だとはいわない。◇ジョンの「イマジン」の思想は、おそらくカント哲学を根っこにしていて、国連やEUや戦後の日本憲法の理念としても受け継がれてきた、一種の文学的な予言なのです。それが、被爆国出身のオノ・ヨーコを介して、ジョンのポップソングの形に翻案されたってこと。その予言は、すくなくとも、国連やEUの形で暫時的に実現してきているのだから、たんにミュージシャンの気まぐれな「妄想」ではありません。◇実際、クラシックの分野であれ、ポピュラーの分野であれ、欧米の優れた音楽家というのは、けっこう文学に対する造詣があって、作品の基礎を文学に置いている場合が多いと思います。ジョン・レノンの場合も、(ビートルズのやんちゃ時代はともかく)ボブ・ディランやオノ・ヨーコの影響を受けて以降は、それなりに文学的になっていったわけですよね。それに対して、日本のミュージシャンの多くは、「感性こそが言語に先立つ!」と思い込んで、本も読まずに、空からの啓示ばかりを後生大事にしている。こうした点は、もっと欧米を見習うべきで、根拠のない幻想に酔っている暇があったら、もっと多くのことを文学から学ぶべきです。
2023.07.07
ジャニーズ批判を展開した松尾潔が、山下達郎の会社から契約を切られた件についてです。…結論から先にいうと、この期におよんで達郎を批判するつもりはありません。いまさら言っても仕方のないことだから。ただ、今回の件にかんして、「松尾潔の姿勢を支持する」とだけは言っておきたい。◇◇◇わたしは以前、音楽惑星さんのサイトで、> 1970年代の「日本語ロック論争」は、> ナベプロに反旗を翻した内田裕也と、ナベプロに寝返った松本隆との対立だった。※正確には「寝返った」じゃなくて「やがて寝返ることになる」ですが。…みたいに言ったことがあって、その発言が評論家の栗原裕一郎のTwitterに取り上げられて、ちらっとだけバズったことがあります。先ごろ亡くなった佐藤剛(甲斐バンドの元マネージャー)も、わたしたちの議論に反応を寄せていました。意外とない視点。どなたのブログか存じませんが。「結局さあ、「日本語ロック論争」ってのは、ごく簡単にいうと、「内田裕也はナベプロに反旗をひるがえしたのに、松本隆はまたナベプロに寝返ってるではないか」みたいな話だよね(笑)」内田裕也と日本語ロック論争https://t.co/bBE5cY17mp— 栗原裕一郎 (@y_kurihara) December 19, 2020 最近もこのことについて、考え直しているところでした。管理人 : 中村とうようが考えた「ニューミュージック」というのは、おおむね米国の「フォークロック」に相当するものですね。のちに、ぜんぜん違う意味に変わってしまいますけど(笑)。まいか:それが最大の問題なんだよなあ!(笑) https://t.co/DPlI3jddWQ— 佐藤 剛(sato go) (@gosan5553) December 20, 2020◇旧はっぴいえんどのメンバーを中心とする「日本語ロック派」の人たちが、反権力の姿勢を弱めて、歌謡界との関係を強めていった動きは、おもに作詞家の松本隆を中心におこなわれたのですが、その中でも、山下達郎とジャニーズとの結びつきは、かなり目立つものでした。べつに「歌謡曲が悪だ!」というつもりはないし、わたしもナベプロの音楽は素晴らしかったと思うし、ジャニー喜多川のつくったエンターテイメントも素晴らしかったし、松本隆のつくった歌謡曲も素晴らしいと思うし、大滝詠一がこよなく歌謡曲を愛したのも理解できます。だから、山下達郎が、ジャニー喜多川のエンターテイメントを、宝塚歌劇団と並べながら高く評価していたことについても、(若干胡散臭いとは感じながら)「まあ、そういう考え方もあるかな」と聞き流していました。とはいえ、達郎がジャニーズに提供した楽曲はちっとも面白くなかったし、山下夫妻とジャニーズとの蜜月ぶりも、うっすら醜悪だと感じてはいた。◇アルファムーン/スマイルカンパニーの小杉理宇造が、ジャニー喜多川に出会ったのは、達郎がソロデビューした75~76年のことだそうですが、達郎がとくにジャニーズと結びつきを強めるようになったのは、80~82年ごろのことであり、それは、竹内まりやと結婚する時期にぴったり符合します。1980年竹内まりや「不思議なピーチパイ」にコーラスで参加。1981年近藤真彦「ブルージーンズメモリー」「ギンギラギンにさりげなく」等にコーラスで参加。竹内まりやのアルバム『PORTRAIT』制作に参加。1982年アルファ・ムーンを設立。竹内まりやと結婚。近藤真彦「ハイティーンブギ」を作編曲。達郎は、先日の『関ジャム』のインタビューで、> 80年代に「売れる音楽」を目指すようになったのは、> 自由度の高い音楽作りの可能な環境を手に入れるため。> 金がなければ自由に音楽を作れないから。▶ https://www.cyzo.com/2022/06/post_314074_entry_2.html…という趣旨のことを話していました。しかし、わたしが思うに、達郎が「売れる音楽」を作るようになった最大の理由は、やはり彼が80年代に「家庭をもったから」だろうと思います。そして、現在の達郎がジャニーズと関係を切れないのも、(ちょうどキムタクだけがジャニーズと関係を切れなかったのと同じように)やはり「家庭をもっている」ことが最大の理由だと思う。◇近年のシティポップブームの影響もあり、山下達郎は、世界中の音楽ファンから尊敬を集めていますし、ほかならぬ松尾潔も、折にふれては山下達郎への敬愛を口にしてきたわけだし、わたし自身も、山下達郎が日本で最高水準のミュージシャンだと思ってます。しかしながら、多くの音楽ファンが愛してきた達郎の音楽というのは、ようやく売れはじめた80年代以降の音楽ではなく、むしろ売れてなかったころの70年代の音楽なのです。まして、ジャニーズに提供した「ハイティーンブギ」だの「硝子の少年」だのは、達郎の音楽キャリアにとって、正直どうでもいい代物だと思っている。◇言い換えるならば、山下達郎の音楽がもっともカッコよかったのは、80年代に竹内まりやと組んで以降のものではなく、70年代に大貫妙子や吉田美奈子と組んでいた時期のものであり、結婚して所帯じみた達郎の音楽はかえってつまらなくなった。…ってのが、世界の音楽ファンの、ほぼ共通の認識だろうと思う。達郎自身が、「売れるようになってはじめて本当に作りたいものが作れるようになった」と、本心で思ってるのかは知りませんが、多くの音楽ファンはむしろ、売れてなかったころの達郎のほうが、よほどカッコよかったのに …と思っているわけです。◇皮肉なことに、今回の件で山下達郎のことを擁護しているのは、じつは達郎のことなどよく知らないジャニヲタみたいな人たちばかり。昔ながらのファンは、むしろ今回のような達郎の立場にうんざりしている。それは今に始まったことではないからです。すでにSMAP解散のときにも、竹内まりやと工藤静香とメリー喜多川の蜜月ぶりが報道されていた。先日のNHK-FMの「山下達郎三昧」でも、(ジャニー喜多川の性虐待問題が取り沙汰されている真っ最中だというのに!)露骨なまでに「ジャニーズ推し」の態度を示し、いかにジャニタレの面々と私的に交流しているかを吹聴していました。また、達郎は、かねてからNHKのことを、皮肉を込めて「某国営放送」などと言ってきたわけですが、最近では、その「某国営放送」が、なぜか山下夫妻の作品プロモーションのために、大々的なキャンペーンをおこなうようにもなっていました。その露骨さも、かなり醜悪だったのです。◇◇◇ついに山下達郎は晩節を汚しましたが、それは今に始まったことではなく、80年代に竹内まりやと家庭をもったときから、すでに始まっていたことなのだ、といえます。なので、いまさら達郎がジャニーズ批判をするとは思えないし、まして関係を断ち切るとも思えない。はっきりいえば、山下家は、ジャニーズで飯を食ってきたのであり、一蓮托生なのです。むしろ、現在の達郎の立場は、「ジャニーズとその周辺の仲間たちを守らねばならない」ということなのだろうと思います。◇実際のところ、性犯罪の加害者は死んでいるわけだし、ジャニーズのタレントたちは被害者でもあるわけなので、「ジャニーズ叩き」をすることが絶対的正義とは言えない面もあるし、すべての業界人がジャニーズとの関係を断つべきとも思わないし、今後も山下夫妻がジャニーズと仕事をしたって構わないとは思う。それによって夫妻の晩節が汚れるのだとしても、もはや彼らはジャニーズと一蓮托生なのだから、ある意味では身から出たサビであって当然の帰結なのです。ジャニー喜多川も大いに晩節を汚しましたが、山下達郎が晩節を汚すのも必然的であって避けようがない。◇今回の件は、小山田圭吾が国家に擦り寄って墓穴を掘ったのにも似ているし、キムタクがジャニーズに擦り寄って墓穴を掘ったのにも似ています。しかし、山下達郎の場合は、(いまもなお十分に演奏ができるとはいえ)音楽家としてのピークはとっくの昔の70年代に過ぎているのだし、もう晩節ぐらいは汚したって屁でもないでしょう。それに対して、松尾潔の場合は、まだまだこれから先の音楽人生がありますから、ジャニーズとの関係を断ち切るのが賢明な判断だと思います。実際のところ、松尾潔がスマイルカンパニーを離れるといっても、達郎への尊敬の念というのは変わらないのだろうし、両者の個人的な関係が切れるわけでもない気はします。達郎がジャニーズとの関係を切れない立場にあり、松尾がジャニーズから離れねばならない立場にあることを、お互いに承知した上での、それぞれの身の振り方とも見える。◇わたし自身、作品そのものには罪がないと考える主義なので、今後も達郎の昔の演奏を聴き続けるつもりだし、性犯罪者がプロデュースしたジャニーズの音楽も聴くだろうし、もちろんNHKの松潤大河も見続けるつもりだし、さらには、好みと気分に応じて、ウンコを食わせた小山田圭吾の音楽を聴くこともあろうし、人を殺したフィル・スペクターの音楽だって聴くと思う。◇それに対して、正直、松尾潔の音楽はさほど趣味に合わないので、あまり聴くことがないだろうとは思っています。しかし、だからといって、ジャニーズの性犯罪の問題にメスを入れなくていいという話にはならない。最初にも述べたように、今回の件にかんしていえば、わたしは松尾潔の姿勢を支持します。繰り返しますが、山下夫妻の晩節が汚れたのは当然の報いです。◇◇◇そして、最終的な批判の矛先になるべきは、ジャニーズとその関係企業のガバナンスの問題ですよね。義理人情的な結びつきばかりを重視して、「都合の悪いものは排除する」という内向きの発想が、SMAP解散とジャニーズ帝国崩壊の発端になったわけですが、今回もやはり、「都合の悪いものは排除する」という姿勢を繰り返すことで、またしても企業イメージを悪化させてしまっています。表向きは、社外取締役を迎えるだの、経営体制を見直すだのと言いながら、ちっとも体質が変わっていない。過去の反省から何も学んでいないことが露呈しています。山下達郎&竹内まりやまでが「老害」と見なされはじめた今、いよいよジャニーズ帝国は崩壊するしかないかもしれません。
2023.07.03
鬼滅の刃。刀鍛冶の里編は、ほとんど戦闘シーンばかりなので、ドラマ的な要素がちょっと少ないけれど、それでも蜜璃ちゃんの登場シーンは胸アツでした…!あらゆるカットが素晴らしくて、おもわずフィギュアが欲しくなってしまった。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) June 5, 2023 — まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) June 5, 2023 でも、蜜璃ちゃんのフィギュアって、ぜんぶパンツ丸見えなのね…(笑)— EXODUS (@OUTofDEEP) June 4, 2023
2023.06.05
鬼滅の刃、刀鍛冶の里編。第8話「無一郎の無」は、白井俊行の絵コンテ回でした。とくに終盤の美しさが際立っていた。◇話の内容は、いつものとおり、「走馬灯のような回想のあと、急に強くなる」というパターンなのだけど(笑)。驚くべきことに、炭治郎も、甘露寺蜜璃も、一秒も登場させないまま、(痣の描写で炭治郎の顔がちょっと出るだけ)ひたすら無一郎だけを描くという特殊な回でした。まずはCMまでの前半が、いつにもまして早く、体感でいうと5分ぐらい。その直前に、「白樺の精のように美しい産屋敷あまね」が登場する。そのあたりから、もう絵コンテの説得力が、原作を上回っていましたね。◇そして、霞柱・時透無一郎の出自を、静かに、一点集中的に描いた後は、もう負ける気がしないのですよねえ。観てるほうも彼の精神性に同化してしまうし、「美しい者が勝つ」というアニメ的な法則が発動するので、もう玉壺のタコなんぞは安っぽい敵にしか見えない。強さではなく、血統と精神性の美しさこそが、上弦の鬼を圧倒するという説得力。作画の美しさがそれを裏打ちしていました。
2023.05.29
先日の記事にも書きましたが、日本版の舞台「千尋」と、英国版の舞台「トトロ」は、何らかの関連があるはずだと思います。そして、それぞれの作品が、言語の壁を乗り越えて海外展開するために、ひとつの方法として、日英の台本を相互に翻訳・翻案し、キャストとスタッフをそっくり入れ替える、…ってのも可能かもしれない。つまり、日本版「千尋」のカンパニーが「トトロ」をやり、英国版「トトロ」のカンパニーが「千尋」をやる、ってこと。外国語の舞台を字幕付きでやるより、そのほうが合理的かもしれません。ジョン・ケアードなら、そういうことも考えそうな気がする。◇…そうなると、日本では、萌音と環奈のWキャストが、サツキとメイを交互にやることになるかも?!いわゆる「ジェーンエア」方式で。あくまで、わたしの勝手な妄想ですが。
2023.05.04
東京都美術館でマティス展が開催中。現地には行かないけど、スマホのアプリで萌歌の音声ガイドを聴きました。acoustiguideの「聴く美術」で購入できます。ファミマ支払いでした。作品画像は、この記事の下のほうに載せておきます。◇これまでの美術がらみの仕事のなかでは、いちばん萌歌っぽいんじゃないかしら?…と勝手に思ってる。さしずめモネモネ=モカマティスって感じ?そして、音声ガイドは、いきなりサティからはじまりました!今年の最初の記事にも書きましたが、サティとマティスの、いい意味での通俗性を象徴する曲を選ぶなら、「ジムノペディ」よりも「あなたが欲しい」かなあ、と思ってたけど、ここで選ばれてたのは「Tendrement(優しく)」でした。知らない曲だったけれど …オシャレ!わたしみたいにベタじゃないね(笑)。そのうえ、主題と変奏のところでは、ボール・デュカスの「ラモー変奏曲」を使っていた。フランスの新古典主義や擬古典主義で、きっちり揃えてくるところは、なんかプロの選曲って感じ!ちなみに、どちらのピアニストもフランス人らしく、ユーモアにビターな皮肉も感じさせる演奏で、これまた洒落ていた。これが萌歌の選曲だったらぶっとぶ…。Nicolas Horvath/Satie: Complete Piano Works, Vol. 4Chantal Stigliani/Variations On A Theme of Rameau◇さて、萌歌の説明を聞いて、あらためて思ったけど、マティスを「野獣派」と呼ぶ理由って、やっぱり分かりにくい。一般に、フォービスムは、ギュスターヴ・モローの門下で生まれたと言われるものの、萌歌の解説を聞くかぎり、べつにモローの影響で野獣派になった感じじゃないし、 そもそも、マティス自身の作品に、明確に「野獣的」と呼べるほどの荒々しい画風って見られない。とはいえ、マティスが、線と色彩の「原始性」に回帰したのはよく分かりました。その意味では、たしかに野獣的だったのかもしれません。◇まるで色彩を拒否するように、線画や彫刻に没入する時期があり、彫刻と絵画のあいだをなんども行き来し、線画と色彩画のあいだをなんども行き来し、筆触分割の時代から、ひたすら原色にこだわりつづけ、最後は色を塗るのもやめて、色紙の切り抜きに行き着いたw最晩年のマティスは、筆じゃなくハサミをもっていたwそこには「面」や「奥行き」の概念はありません。ものの輪郭は「線」になり、あらゆる色彩は「原色」になるってこと。線を確定したら、その枠内は原色でベタ塗り!逆にいえば、指示した色で助手にベタ塗りさせてから、あとでその紙をハサミで切ればいい、ってこと(笑)。これは、版画や浮世絵っぽくもあるし、クレヨンやパステルカラーを使ったグラフィックアートにも近いし、ウォーホルのポップアートの発想にも近いし、アニメーションやデジタルアートの彩色にも近い。もしマティスが現代に生きていたら、デジタルアートをやっていたんじゃないでしょうか。◇◇なお、スマホの音声ガイドは文字どおり「音声だけ」なので、作品の画像などは掲載されていません。 《読書する女性》1895《豪奢、静寂、逸楽》1904《豪奢I》1907《コリウールのフランス窓》1914— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) May 3, 2023 《金魚鉢のある室内》1914《背中I–IV》1909–1930《パイプをくわえた自画像》1919《自画像》1927《赤いキュロットのオダリスク》1921— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) May 3, 2023 《夢》1935《座るバラ色の裸婦》1935–1936《立っているヌード》1947《赤の大きな室内》1948— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) May 3, 2023 《デッサン - 主題と変奏》1943— 甘酒 (@kanimamesan) April 30, 2023「主題と変奏」は、↓こちらにもたくさん掲載されています。https://www.atelier-blanca.com/shopdetail/000000002305/《版画シリーズ〈ジャズ〉》1947《オレンジのあるヌード》1953— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) May 3, 2023 《ヴァンス・ロザリオ礼拝堂》1948–1951…これは去年のツイート(笑)。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) December 22, 2022ほとんど画像は公式サイトの「みどころ」にも解説付きで掲載されてますが、音声ガイドが取り上げている作品とは、すこし違います。 ◇こんなに美術の勉強をしたのは北斎以来かな。おかげで、美術館に行った気分にもなれたし、萌歌とも仲良しになれた気分です(笑)。— Pen Magazine (@Pen_magazine) April 28, 2023 — 美術手帖 ウェブ版 (@bijutsutecho_) May 3, 2023
2023.05.03
英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)の舞台版「となりのトトロ/My Neighbour Totoro」が、WhatsOnStage Awardsにて5冠、ローレンス・オリビエ賞にて6冠を獲得しました。この舞台の発案者は、エグゼクティブ・プロデューサーの久石譲とも言われていますし、はたまた劇作家のトム・モートン・スミスとも言われていますが、詳細はよく分かりません。作曲家の久石譲が舞台化を提案し、宮﨑駿監督がこれを快諾したことで始まったプロジェクト。舞台は、以前から「となりのトトロ」の舞台化を熱望していたRSCが制作。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000096921.html将来のプロジェクトについて話している中で、RSCがモートン=スミスに何か別の、今度は家族向けの舞台のアイデアはないかと尋ねたところ、彼は「となりのトトロ」をやりたいと即答したという。映画作品の舞台化に慎重だったジブリとの調整は難しいという懸念もあったようだが、やがてRSCは、長年ジブリ作品の作曲を手がける久石譲と連絡を取り合うことになる。久石は、RSCで上演されたロアルド・ダール原作の「マチルダは小さな大天才」の舞台版を気に入っており、「となりのトトロ」の舞台版を作ってもらえないか、と考えていたという。 https://www.timeout.jp/tokyo/ja/news/tom-morton-smith-talks-about-my-neighbour-totoro-010623久石譲は、コンサートホールの芸術監督の経験はあるものの、演劇作品のプロデュースの経験はないし、そもそも演劇人ではありませんよね。そんな久石が、英国で演劇(オペラでもミュージカルでもないストレートプレイ)の企画を発案し、なおかつ製作総指揮まで行なうというのは不思議です。むしろ、この企画を考えたのはジョン・ケアードと今井麻緒子ではないでしょうか。周知のとおり、日本版の舞台「千と千尋の神隠し」を企画したのは、この夫婦です。けっしてジブリの鈴木敏夫や宮崎駿の発案ではありませんし、もちろん久石譲の発案でもありません。舞台「千と千尋」の制作発表のときに、今井麻緒子とジョン・ケアードは次のように話しています。今井麻緒子:私がジブリに出会ったのは大人になってからでしたが、あっという間に引き込まれたことを今でも鮮明に覚えています。イギリスで生まれ育った子どもたち、それをそばで見ていた(夫の)ジョンまでもが魅了されてしまって、我が家の何%かは宮﨑ジブリでできていると言っても過言ではないくらい強い影響を受けています。ジョン・ケアード:初めて観た時から、舞台的な、演劇的な作品だと思っていました。これは絶対に舞台になると。鈴木さんと宮﨑さんにお会いした時、絶対に(舞台化を)いいとは言ってくれないだろうなと思っていましたが、何分かお話したら、宮﨑さんが「いいよ」と。上演の許可をいただいて感謝しております。準備のために宮﨑さんの作品を全部観ました。『となりのトトロ』も『風の谷のナウシカ』も観ました。もうひとつ大事なのは、久石譲さん。彼も快く音楽を使っていいとおっしゃってくださいました。 https://ticket-cd.jp/interview/spirited_away/ジョン・ケアード自身が英国版「トトロ」を作ることもできたはずですが、彼の古巣であるRSC(ケアードは現在も名誉アソシエート・ディレクターに就いている)にも、若くて優秀な劇作家トム・モートン・スミスがいます。ジョンと今井は、彼に舞台化を託して、あとは日本側とのコーディネートをすればよかったのだと思う。久石譲をエグゼクティブ・プロデューサーに立てたのは、彼の海外での知名度に期待してのことではないでしょうか。宮崎駿は演劇に関心が薄いし、鈴木敏夫は海外で知名度が高いわけではありません。しかし、久石譲なら、ジブリや北野武の映画のほとんどで音楽を担当していて、海外での知名度が非常に高い。コンサートも欧米の各都市でおこなっています。日本では英国人(出身はカナダ)の演出家であるジョン・ケアードが「千と千尋」を作り、英国では日本人の音楽監督である久石譲が「トトロ」を作った。2つのプロジェクトが無関係であるとは思えません。このような交差的な企画が同時期におこなわれたのは、おそらく国際的な相乗効果を狙ってのことでしょう。日本で「千尋」を見た観客は、英国版の「トトロ」が見たくなるだろうし、英国で「トトロ」を見た観客は、日本版の「千尋」が見たくなるはずです。すなわち、日本版の「千尋」が英国版「トトロ」の世界進出の足掛かりになり、英国版の「トトロ」が日本版「千尋」の世界進出の足掛かりになる、ということ。問題は、日本語と英語の「言語の壁」をどう乗り越えるかです。おそらく、先にアメリカに上陸するのは、日本版の「千尋」ではなく、英国版の「トトロ」になるはずです。英国版「トトロ」が主要な賞を総ナメにしたニュースは、すでに米国側にも伝わってるでしょうし、そもそも英国の作品が米国に進出するのは珍しいことではありません。それに対して、日本語のような非英語圏の作品が米国で受け入れられるのは難しい。とはいえ、米国でも、英国版の「トトロ」を見た観客は、やはり日本版の「千尋」が見たくなるはずです。その際に、言語の壁をどう乗り越えるのか。さまざまな可能性が考えられます。すでに米国の映画館では、日本版の「千と千尋」のライブ映像が字幕付きで上映されました。映像はもちろん、舞台字幕での上演もけっして不可能なことではありません。かりに日本語での上演が困難ならば、現地キャストで英語などの台本に作り替えることになるでしょう。おそらく、すでに何らかの構想やプランがあるのだろうと思います。舞台『#千と千尋の神隠し』北米の約1,000館の映画館で上映決定🇺🇸🇨🇦#橋本環奈 主演ver.は4月23日#上白石萌音 主演ver.は4月27日 https://t.co/mmSYrrZD95— 舞台『千と千尋の神隠し』 (@sentochihiro_st) March 1, 2023
2023.05.01
ひとつ前の記事で、映画やドラマの「弓道部女子」のことを書きましたが、…ツイッターにそれをまとめてる方々がいました。美波。 一般に、弓道部女子といえば、映画『時をかける少女』の原田知世のイメージが強いけど、おそらく原点は、堀田あけみの小説「1980アイコ十六歳」なのだと思います。1982年のテレビドラマ版では、伊藤つかさが主人公の織田アイコを演じている。他方、筒井康隆の小説「時をかける少女」では、主人公の芳山和子は弓道部ではありません。前の記事にも書きましたが、富田靖子が演じた1983年の映画版『アイコ十六歳』を、大林宣彦がプロデュースしてたので、ついでに同年の『時をかける少女』の原田知世も、弓道部ってことにしてしまったんだと思います。(公開は『時をかける少女』のほうがすこし先)しかし、それが、のちの弓道部女子のイメージを決定づけたのですね。◇以下、ツイッターを参考に年代順に並べてみました。ひまつぶし!(笑)1982 アイコ十六歳(伊藤つかさ)1983 時をかける少女(原田知世)1983 アイコ十六歳(富田靖子)1984 アイコ十六歳(真野あずさ)…2004 冬空に月は輝く(綾瀬はるか/佐藤めぐみ/水川あさみ/沢尻エリカ) 2006 ネスカフェ匠(伊東美咲) 2009 僕の初恋をキミに捧ぐ(井上真央) 2009 Hi-Fi CAMP「だから一歩前へ踏み出して」(川口春奈) 2010 時をかける少女(仲里依紗)2010 ブカツ道(成海璃子)2010 If~今日、恋をはじめます~(高城亜樹)2015 花燃ゆ(黒島結菜)2017 先生!好きになってもいいですか?(広瀬すず)2017 一礼して、キス(池田エライザ)2018 ボキャブライダー選ばれし者(浜辺美波)2018 半分、青い。(古畑星夏)2019 僕の初恋をキミに捧ぐ(桜井日奈子)2019 かぐや様は告らせたい(橋本環奈)2021 ブレイブ -群青戦記-(山崎紘菜)2021 書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~(山田杏奈)2022 鎌倉殿の13人(新垣結衣)2023 SUZUKIスペーシア(芦田愛菜)まだまだあるとは思いますが…なお、新垣結衣とかは弓道部じゃなくて戦国女子です(笑)。弓道部少女。 pic.twitter.com/rcUv2IYl3M— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) April 18, 2023— ひぞっこ (@musicapiccolino) May 15, 2018 — てす@花粉症😷 (@test84616661) April 11, 2015— てす@花粉症😷 (@test84616661) April 11, 2015 — てす@花粉症😷 (@test84616661) April 11, 2015— てす@花粉症😷 (@test84616661) April 12, 2015 — 左内 円卓倶楽部💉💉💉💉 (@sonthetown) January 17, 2021— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) April 19, 2023 紘菜。芦田愛菜。かつてのスケバン刑事も弓を引いてます!!from 言霊荘(2021)突然のサプライズにびっくりの #斉藤由貴 さん🎂ギフトを見て大喜びの様子がこちら🥰#食パン好きの由貴さんへ🍞#喜ぶ姿がかわいすぎます💕#西野七瀬 #永山絢斗#言霊荘 #10月9日土よる11時スタート pic.twitter.com/JOMjx81suw— 土曜ナイトドラマ『言霊荘』【公式】 (@kotodamasou) September 19, 2021 碧野圭「凜として弓を引く」余談ですが…斉藤由貴にはじまるポニーテール女子については、音楽惑星さんのサイトにまとめてもらってます。http://manzara77.blog.fc2.com/blog-entry-364.html#ponytail
2023.04.19
まずは、武部聡志の45周年ライブ(3月31日)について!わたしは、ネットではクレジットカードを使わない主義なのだけど、ローソンで「Vプリカギフト」ってのを手に入れて、なんとか配信チケットを購入できました。※残高はAmazonのEメールギフトで処理。ちょっと面倒くさかった。◇一青窈は、かつて見たことがないほど素晴らしいパフォーマンス。圧倒的でした。失礼ながら「もらい泣き」を聴いて感動したの初めて。あの曲の良さがはじめて分かった気がした(笑)。デタラメな古語ででっち上げられた「春よ来い」も、一青窈が歌ったら、不思議な説得力がありましたね…。あの曲は、日本より台湾の文脈で聴くべきなのかも。スガシカオの歌声も素晴らしかったです。でも、いわゆる《実力派》ばかりを揃えるのでないところが、武部らしさなのだろうな。ももクロにも胸を打つところがありました。— 武部聡志-TAKEBE SATOSHI- (@takebesatoshi) April 18, 2023 ◇由貴ちゃんは、な、な、なんと「ダンデライオン」を歌った。わたしは3月1日のブログ記事で、≫ 萌音は「Woman」も「ダンデライオン」も歌ってるけど、≫ 由貴ちゃんはまだ「ダンデライオン」を歌ってないよね。みたいなことを書いたばかりだったので、必然?偶然?たったの1ヶ月で実現する?!…さすがに驚きました。でも、「守ってあげたい」でなく、「ダンデライオン」を選ぶところに、やっぱり由貴ちゃんの意向が反映されてた気はします。そして、これにて、ユーミンを歌うのは3曲目、辛島美登里と「卒業写真」をデュエットしてました。他にもあるかも。原田知世を歌うのは2曲目ってことになる。ただ、萌音も由貴ちゃんも、「Woman」は "薬師丸ひろ子の曲" と認識してるようだけど、「ダンデライオン」は "ユーミンの曲" と認識してるっぽい。まあ、一般的にもそういう認識が普通でしょう。でも、わたしに言わせれば、やっぱり「ダンデライオン」は "原田知世の曲" なのよね。あくまでもユーミンが知世のために作った曲だから。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) May 12, 2022◇じつは以前から、音楽惑星さんと《斉藤由貴と原田知世》について、ガッチリ話そうと思ったまま予定が伸び伸びになってます。おもなテーマは崎谷健次郎の作った「夢迷賦」ですが、他にもいろいろある。原田知世と斉藤由貴は、それぞれに《薬師丸ひろ子の後継》的な位置づけで、ほぼ同時代のアイドルとして活躍したのだけど、わたしの知るかぎり、両者は、共演機会がほとんど見当たらないのよね。由貴ちゃんのほうが1つ年上だけど、デビューは知世のほうが2年早いから、すこし由貴ちゃんが後追いになったぶん、活躍した時期が少しズレたともいえるし、あまりにも立ち位置が近いせいで、事実上の共演NGだった可能性もなくはない。とはいえ、「ダンデライオン」がアイドル期の精神的な支えになった、…という由貴ちゃんの話もあるし、知世の「夢迷賦」と由貴ちゃんの「意味」の関係もあるし、そのほかにも、筒井康隆とか、大林宣彦とか、高橋幸宏とか、かしぶち哲郎とか、中崎英也とか、間接的にはいろいろと共通項があって、林隆三の相手役だったというのもあるし、大森一樹の映画では原田貴和子の妹(!!)だったのもある。そこらへんを、いわゆる「夢迷賦問題」に絡めて話そうと思ってるんだけど、音楽惑星さんとの対話は『LOVE』までたどり着けそうにない(笑)。◇一方、筒井康隆の『時をかける少女』は、原田知世で映画化されて以降、大林宣彦や角川春樹だけでなく、細田守や上田誠などによって様々に変奏され続けていて、もはや筒井自身からは「金を稼ぐ少女」と揶揄される有様なのだけれど(笑)じつは東宝シンデレラたちも、この伝統を引き継いでます。上白石萌音は、細田版『時かけ』のテーマ曲をカバーしてるし、上白石萌歌は、上田版『続・時かけ』に出演してる。それから『時かけ』ではないけれど、山崎紘菜は、最後の大林女優として芳山和子を演じてるし、福本莉子も、やはりタイムリープの少女を演じています。大林宣彦と高橋幸宏の遺作ですねそういうわけで、由貴ちゃんと知世のニアミスもさることながら、原田知世の遺伝子が東宝シンデレラにまで継承されていることは、なかなかに興味のあるテーマなのです。◇◇◇さて、原田知世の話はここまでにして。…由貴ちゃんは、今度の舞台で富田靖子と共演するとのこと。こちらも80年代アイドルどうし。原田知世との共演は見当たらないけど、富田靖子との共演は『浪花少年探偵団』以来2度目かしら?NHKの「新十津川物語」では祖母と孫の関係なので直接の共演シーンはないと思う。彼女も、薬師丸ひろ子に憧れて女優になったらしく、その意味では、知世や由貴ちゃんと同様に、ポスト薬師丸的なアイドルだったといえるし、もちろん初期の大林女優(もうひとりは小林聡美)でもある。デビューは、原田知世より遅いけれど、由貴ちゃんよりは早い。年齢は、由貴ちゃんより3つ下、知世の2つ下です。斉藤由貴と富田靖子といえば、なんといっても「シャア推し」で知られるわけですが、じつは2人とも谷山浩子のファンだという共通点があって、現在はもっぱら、由貴ちゃんと谷山の関係のほうが強固に見えるものの、当時は、富田靖子と谷山の関係も、かなり親密だったっぽい。由貴ちゃんは、「卒業」が発表された1985年の2月21日に、谷山浩子のオールナイトニッポンに出演したのだけど、じつは、その前の週のゲストが富田靖子だったのですね。しかも2週連続で!(「さびしんぼう」のプロモーションです)由貴ちゃんが谷山のラジオ番組に出演したのは、たぶんその1回だけじゃないかと思いますが、富田のほうは、他の番組も含めて5回ぐらい呼ばれてる。富田靖子が谷山ファンだったのもあるけれど、やはり少女漫画オタクでもあったらしいので、その点でも谷山とは趣味を共有できたのでしょうか。◇そんな由貴ちゃんと富田靖子は、2012年の『浪花少年探偵団』のときに共演しています。撮影現場で顔を合わせる機会は、せいぜいのところ1~2日程度だったでしょうが、もし二人に雑談する時間があったとすれば、おそらく『ガンダム THE ORIGIN』の話か、谷山浩子の話だったろうことは想像に難くない。ガンダムを、富野作品と見るか、大河原作品と見るか、安彦作品と見るかは、人それぞれだと思うけれど、由貴ちゃんや富田靖子のように「シャア推し」の人は、やっぱり安彦良和の絵の美しさ、そしてキャラクターの魅力に惹かれる面が強いだろうし、とくに『THE ORIGIN』は、アムロではなく、シャアの物語だったから、2人にとっては見逃せない作品だったはずです。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) April 17, 2023 ◇由貴ちゃんが、一昨年のBSの『アニソンデイズ』に出演したときには、司会の森口博子に、「水の星へ愛をこめて」のことを話す様子が、予告の映像でチラッと流れたのよね。でも、番組本編では、その話がまるごとカットされていた。わたしが思うに、きっと当時の由貴ちゃんは、コムアイが歌ったヴァージョンが気になってたんだと思う。ちなみに、わたしは、コムアイ版の「水の星へ愛をこめて」を聴いて、一瞬、由貴ちゃんが歌ってるのかと思ったのよね(笑)。独特のエアリーな歌声が。編曲も素晴らしくて、ニール・セダカのメロディの美しさを、幻想的にメランコリックに引き出していました。(なんとなくバート・バカラック的な感じ)由貴ちゃんも、あのコムアイ版には反応しただろうと思う。◇富田靖子といえば、浜辺美波がボキャブライダーで弓道少女を演じたときに、わたしはすかさず「原田知世の引用!」と思いましたが、じつはその原型が『アイコ十六歳』だということに、つい最近になって気がつきました(笑)。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) April 18, 2023 いちばん最初は、たぶんTV版の伊藤つかさだったはずなのだけど、富田靖子が演じた映画版を大林宣彦がプロデュースしてたので、それを原田知世の『時をかける少女』にも応用したんだと思う。筒井康隆の原作では、芳山和子は弓道部ではありません。そこから、こうした《弓道部少女》の系譜は、綾瀬はるかとか、井上真央とか、2010年に芳山和子を演じた仲里依紗とか、成海璃子とか、広瀬すずとか、池田エライザとか、そして、これも東宝の浜辺美波や山崎紘菜にまで、連綿と受け継がれていくのだけど、その始点に位置してるのが、伊藤つかさと、富田靖子と、原田知世なのよね。≫ 弓道部女子の系譜◇ついでに、由貴ちゃん絡みでいえば、原由子が作曲した「少女時代」の原型も、もとはといえば『アイコ十六歳』への提供曲だった気がします。
2023.04.18
さほど坂本龍一を熱心に聴いてきたわけでもないのに、死んだ途端に語りまくるってのもどうかとは思うけど、…第3弾ですwジョビンの話。これは外せない。◇考えてみれば、わたしがアントニオ・カルロス・ジョビンを好きになったのも、坂本龍一の影響だったのよね。…と言っても、それは『CASA-Morelenbaum2/Sakamoto』じゃなくて、むしろ『時の輝き:坂本龍一選曲集』の影響です。つまり、坂本龍一がセレクトしたボサノバ作品集。坂本龍一自身も、「ジョビン=ボサノバという観念を取り払うべき」みたいに言ってましたが、わたしも、このコンピレーションを聴いて、ジョビンの音楽を、ボサノバじゃなく、むしろクラシックの観点で聴くべきと理解しました。そして、それはとりもなおさず、「クラウス・オガーマンを軸にジョビンを聴く」ということでもあった。◇そもそも、このコンピレーションは、ジョビンのセレクションというより、オガーマンのセレクションといったほうが正しい。ほとんどの曲に、オガーマンのオーケストレーションが入ってるからです。小室敬幸と伊藤ゴローも以下の動画で話してますが、ジョビンとオガーマンの共同作業によるオケ楽曲は、どちらの作品と見なすべきか判断しがたいところがある。おそらくは、ジョビンの本来のクラシック的な素養が、オガーマンによって引き出されて成長したのでしょう。思えば、わたしと音楽惑星さんの関わりも、いまは斉藤由貴のことが中心になってるけど、いちばん最初は、「オガーマンを軸にしてジョビンを聴く」みたいな発想で共鳴したのでした。 音楽惑星さんのサイトにも、オガーマンのページがあります。◇ちなみに、坂本龍一の作品や演奏スタイルには、ジョビンの作曲の影響も、ピアノの影響も、オガーマンのオーケストレーションの影響も、それほど感じられないとは思うけど、大貫妙子の2ndアルバムに入ってる「振子の山羊」は、かなりジョビンっぽい(あるいはオガーマンっぽい)と思う。その昔、坂本龍一と大貫妙子が、「ジョビンのアルバムをふたりで正座して聴いた」みたいなエピソードがあって、それがいつの話だったのか知らないけど、たぶん、この「振子の山羊」の頃じゃないかしら?そして、その後の大貫妙子のアルバムには、宮田茂樹がプロデューサーとして加わり、いわゆる「ヨーロッパ三部作」などが作られ、さらに宮田茂樹は、ジョアン・ジルベルトに繋がっていくわけです。宮田茂樹が書いた以下のコラムを読むと、http://music-calendar.jp/20171208011994年、ジョビンが死ぬ直前に、大貫妙子とジョビンが共演する可能性もあったそうです。なお、ジョアン・ジルベルトは2019年に亡くなり、宮田茂樹も去年亡くなっています。◇ところで、アルバム『CASA - Morelenbaum2/Sakamoto』は、モレレンバウム夫妻の演奏は素敵なのだけど、坂本龍一のピアノがやかましくて、あまり好きじゃない。ただ、あのアルバムを聴くと、坂本龍一が、ジョビンの曲をボサノバとしてではなく、サンバカンソンとして捉えているのが分かります。※ Samba-canção(サンバ・カンサォン/サンバ・カンサゥン)です。そうでなければ、ジョビンのトリビュート盤を作るときに、1曲目に「誰もいない海岸/As Praias Desertas」は選ばないでしょう。これってエリゼッチ・カルドーゾの曲ですから。実際、ジョビンは、当初はサンバカンソンの作曲家でした。ヴィニシウスと一緒に、ジョアン・ジルベルトに曲を提供して以降は、「ボサノバの作曲家」として認知されるようになったけど、本来は「想いあふれて/Chega de Saudade」も、エリゼッチ・カルドーゾに歌わせたサンバカンソンだし、それ以降にジョビンが書いた曲も、たとえば「愛の語らい/Falando De Amor」であれ、たとえば「無意味な風景/Inútil Paisagem」であれ、たとえば「白い道/Estrada Branca」であれ、一貫してサンバカンソンだったと思います。◇ジョアン・ジルベルトは、「俺はボサノバじゃなくてサンバをやってるんだ」みたいに言ってたけど、それなら、さしずめジョビンは、「ボサノバじゃなくサンバカンソンを作っていた」といっていい。かたや、ヴィニシウス・ヂ・モラエスの音楽にも、もともはといえば「黒いオルフェ」のような志向があって、バーデン・パウエルとの共作などを聴いても、けっしてボサノバの枠には収まらない野性味や野蛮さがある。上品なボサノバだけを作っていた文人ではない。先に挙げた動画では、宮田茂樹と伊藤ゴローが、「ジョアンの発想がジョビンに曲を作らせた」みたいなことも話していますが、いわば相互作用の産物としてボサノバが誕生したのでしょう。ただ、基本的には、ジョアンやヴィニシウスが強烈なリズムの人だったのに対して、ジョビンは叙情的なメロディの人だったと言えるし、そういうジョビンの音楽性は、後輩のシコ・ブアルキやエドゥ・ロボにも受け継がれていて、やはり彼らにもサンバカンソンとして聴くべき側面がある。◇じゃあ、最初にジョアンの音楽を「ボサノバ」と呼んだ犯人は、いったい誰だったのかといえば、これはまあ、ジョビンだったことが実証的に言えますwそもそも、ジョアンに「ヂサフィナード/Desafinado」を歌わせたのも、オデオンのレコードの宣伝文句として、「ジョアンの音楽こそがボサノバだ」みたいなことを書いたのも、ほかならぬジョビンですから。そこは疑いの余地がない。しかし、その後のボサノバは、やや安易なスタイルとして広がった面もあるし、ブラジル本国では「米国に媚びを売った金持ちの音楽」と罵られ、しだいに「ボサノバ」と口にすることさえ憚られるようになった。ジョアンが、「俺はボサノバじゃなくてサンバをやってるんだ」と主張した背景にはそういうこともあるし、ジョビンも「ボサノバ」からは距離を置くようになりましたが、そういう政治的な背景は抜きにしても、ジョアンやヴィニシウスの音楽を「サンバ」として、またジョビンやシコやエドゥの音楽を「サンバカンソン」として、さらにはジョビン&オガーマンの音楽を「クラシック」として、角度を変えて捉えなおしていく発想は大事だし、たぶん坂本龍一にも、そういう観点があったでしょう。
2023.04.09
さほど坂本龍一を熱心に聴いてきたわけでもないのに、死んだ途端に語りまくるってのもどうかとは思うけど、第2弾ですw◇渋谷陽一は以前、坂本龍一の音楽について、「音が立ってる」という表現をしてたんだけど、それはやっぱり非常に正しくて、それこそが彼の音楽の最大の特徴であり魅力だと、いま振り返ってみて、あらためて思います。たぶん「尖った音」と言い換えてもいいんでしょうけど、要するに、サウンドの輪郭が明瞭で、きっぱりとした強烈な色彩がコントラストを際立たせて、それが皮肉やユーモアにもなっていて、絵画でいうならポップアートに近い感じだった。結果的に、このサウンドは"時代の音"になっていましたが、それは坂本龍一の「時代感覚」から来ていたというより、むしろ生来の「資質」から来ていた気がするし、70年代末の坂本龍一こそが、それをもっとも先鋭的な形で先取りしていたと思う。まもなく坂本龍一は、大島渚の映画でデヴィッド・ボウイと共演しますが、そういう特性は英国のニューウェイヴにも近くて、また、80年代のサウンドを予告してもいたと思います。◇坂本龍一は、クラシックを基礎にしていたはずだし、作品の多くはインストゥルメンタルだったのに、何故あれほどポップでありえたかといえば、メロディーの抒情性もさることながら、やはりサウンドの「尖り方」に訴求力があったからよね。そして、これはポップスのサウンドだけじゃなく、映画音楽のような管弦楽にも当てはまってて、たとえば88年の『Playing The Orchestra』などを聴いても、やっぱり音がキリリと立ちあがっている。ただ、後年のオーケストラサウンドなどを聴くと、だいぶ音の立ち方は弱くなっていて、演奏によっては寝てしまってる感じもありました。それは時代のせいなのか、本人の年齢のせいなのか、あるいはニューヨークという都市の感覚だったのか分からないけど、(全般に米国の音楽って大きく構えててあまり尖ってはない)その結果、ポップスの市場から遠ざかった面も否めない。
2023.04.08
今朝のニュースで、坂本龍一が亡くなったことを知りました。人が死ぬたびに、さして知りもしないのに追悼してみせたり、これみよがしに冥福を祈ってみせたりするのは、ちょっとどうかと思うのだけど…。たまたま最近「Behind The Mask」のことを考えていたのよね。それは2月の関ジャムで坂本特集をしていたからなのだけど。それにくわえて、昨日は、大貫妙子が代理を務めたラジオ番組をYouTubeでちらっと耳にし、コトリンゴがゲスト出演した井上芳雄のラジオを聴いたりしてて、なんとなく頭の片隅に坂本龍一のことがありました。まあ、そういう符合はよくあることです。YMOがそんなに好きだったわけでもないんだけど、癌の転移の話とかはぜんぜん知らなかったから、メンバー2人が続けて亡くなったのはちょっと驚きです。…と言いつつ、YMOは海外ではまったく売れてなかったとの話もあるので、そこらへんの神話の検証も必要ですね。◇関ジャムでは、番組からの質問に長文の書面で回答してたけれど、すこしでも何か伝えておきたいんだろうなと思った。わたしも何故かスクショを取っていました。◇さて、本人は「Behind The Mask」について、≫ 作曲は10分ぐらいで出来たけど、≫ なぜヒットしたかは何十年考えてもわからない。みたいに言ってましたよね。この曲は、「イントロ~Aメロ~Bメロ~サビ」のような歌謡曲的な構造じゃなく、いわば第1主題と第2主題と第3主題が、ぜんぶ重なって無限にループしつづけるような構造で、ダンスミュージックの様式ですよね。ジェームス・ブラウンのファンクもそうだけど、単純なダンスミュージックの強さがあると思います。サンプリングネタにもなりやすいし、この構造のうえに別のメロディーも自由に乗せられるから、マイケル・ジャクソンやエリック・クラプトンなどは、そういう形でカバーしているわけですね。欧米人からすると、いちばん上のメロディは、変ちくりんなオリエンタルミュージックみたいで、そこも面白いのかもしれません。…てことを、さっき考えました。生前の坂本龍一に教えてあげれば良かったけど、間に合わなかったな(笑)坂本龍一の代表作は、「戦メリ」「Behind The Mask」「ラストエンペラー」の3曲だろうと思う。「energy flow」はつまらないので除外!わたし自身がよく聴いたのは、アルバム『Beauty』『Heart Beat』あたりなんだけど、本人的には不本位な作品だったかもしれません(笑)。ベスト盤の『グルッポ・ムジカーレ』もよく聴いたから、「黄土高原」や「Ballet Mecanique」なんかも好きですね。やっぱりご冥福をお祈りします。
2023.04.03
いまエゴン・シーレに注目が集まってるのは、2018年の「没後100年」と前後して、いくつかの映画などが作られたりしたからですね。しかも、その「没後100年」ってのは、シーレだけじゃなく、クリムトやオットー・ワーグナーらの「没後100年」でもあったし、ハプスブルグ帝国そのものの「没後100年」でもあったわけです。同時に、クリムトやシーレの死は、第一次大戦ではなく、スペイン風邪のパンデミックの結果だったので、それがまた、現在のコロナ禍の状況に符合してしまったのもある。その余波が5年経ったいまも続いていて、なぜかクリムトよりもシーレのほうに関心が向いているわけです。◇ただ、逆にいうと、そうした「周年」的な意味合いのほかに、現在の日本人がシーレに関心を寄せる理由はさほど見当たらない。何らかの理由を語る人もいるだろうけど、ほぼ後づけでしょう。わたしは去年たまたまGYAOの無料動画で、映画「クリムト&シーレ:エロス&プシュケー」を見たけれど、それも世紀末ウィーンの文化一般に関心があったからで、べつにシーレに関心があったからじゃない。▶ Klimt & Schiele: Eros and Psycheあとは、萌歌が去年、「銀色夏生の詩集と一緒にクリムトの絵葉書を貰った」と話してたことが頭の隅に引っかかってて、ちょっとクリムトのことを知りたかったのもある。◇今回の「新美の巨人たち」を見てはじめて、由貴ちゃんが以前からシーレを好んでいたことを知った。クリムトならともかく、由貴ちゃんがシーレに結びつくとは思ってなかったので、これはちょっと意外でした。ただし、由貴ちゃんが寝室に飾っているシーレのリトグラフは、そこまで過激なものではなく、見ようによっては、コクトーやマティスにも近いポップなものだったので、そこはちょっとほホッとしました(笑)。エゴン・シーレ「抱擁する2人」関係ないけどセリコのマジ歌!! 芹澤優 ヘブバン主題歌「Before I Rise」◇シーレの画風は、整然とした全体のなかには埋没できない、不穏な存在の歪みを強烈に押し出す感じで、それは、あきらかにゴッホの糸杉に通じている。ゴッホの糸杉とシーレの街たとえば、クリムトが描いたファムファタールは、マゾッホの「マゾヒズム」にも近いところがあると思うけど、シーレの場合は、むしろサドの「サディズム」のほうが近いと思えるし、いちばん近いのは、たぶんバタイユの「蕩尽(消尽)」の概念だろうと思う。芸術を成就させるのがファムファタールの宿命だとしても、モデルの肉体を使い捨てるように蕩尽させるシーレの芸術は、やはりサディスティックな感じがします。シーレとヴァリの関係。この絵のモチーフ「死と乙女」は、シューベルトの歌曲にもなったマティアス・クラウディウスの詩。◇ところで、わたしがGYAOで観た「KLIMT & SCHIELE EROS AND PSYCHE」は、邦題では「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代」と、 おかしなタイトルになっているのですが、これは、ポスターを見れば分かるように、知名度の高かったクリムトを前面に押し出して、「シーレその他のウィーン芸術」を副題にするという、配給会社の苦肉の配慮というか妥協の産物なのですね。しかし、原題を直訳すれば、「クリムト&シーレ:エロス&プシュケー」となるはずだし、副題の「EROS AND PSYCHE」は、もしかしたら「愛と魂」と訳すのも可能かもしれません。ただ、正直なところ、この副題の意味するところは、あまりよく分からない。一般に、「EROS AND PSYCHE」は、「野獣と美女」の意味合いも含んでるので、クリムトの絵が《マゾヒスティックな美女》だとすればシーレの絵は《サディスティックな野獣》といえるのかも。しかし、そうだとすれば、「KLIMT & SCHIELE:EROS & PSYCHE」ではなく、「KLIMT & SCHIELE:PSYCHE & EROS」としなければ、対応関係がおかしいとも思う。そう考えると、この副題は、クリムトとシーレよりも、むしろフロイトを意識して付けられてるように思えてきます。実際、世紀末ウィーンの文化的背景をもっとも体現したのは、フロイトの思想なのだと言っていい。つまり、副題の「EROS AND PSYCHE」というのは、おそらく「性と自我」の隠喩であり、あるいは「無意識と意識」の隠喩なのでしょう。クリムトも、シーレも、そうした人間の本質が暴露される時代状況のなかで、タブーとされた表現に立ち向かったということです。井岡詩子— IOKA Utako (@ioka_utako) January 28, 2023余談ですが、ギリシャ神話の「エロスとプシュケー」の物語って、とても興味深いのよね。西欧の「白雪姫」や「眠り姫」や「美女と野獣」にも似てるし、日本の「箸墓古墳伝承」や「イザナミ神話」や「浦島太郎」にも似てる。…だいたい、こんな話です。愛の神エロスは、人間の美少女プシュケーに恋をしますが、エロスの母である美の女神ヴィーナスは、あまりのプシュケーの美しさに嫉妬します。⇒ ここは「白雪姫」にそっくり。エロスは、母に隠れてプシュケーと結婚すべく、噓の神託によって彼女を野獣の家に嫁がせ、自分がその野獣を装って彼女と結婚します。⇒ ここは「美女と野獣」にそっくり。意地悪な姉たちに騙されたプシュケーは、夫の正体が蛇だと疑って殺そうとするのですが、約束を破って眠っている夫の姿を見ると、その正体は蛇ではなく、美しい愛の神でした。⇒ ここは「箸墓古墳」の伝承に似てる。百襲姫の夫はほんとうに大蛇でしたが…。⇒ 姿を見てしまうというのは「イザナギ神話」や「鶴女房」などにも似てます。夫と妻が逆ですが。⇒ 意地悪な姉たちは「シンデレラ」にも似てますね。エロスは、約束を破ったプシュケーのもとを去ります。美の女神ヴィーナスは、行き場のないプシュケーに、つぎつぎとたくさんの難題を与えますが、不思議な生き物たちがプシュケーを手助けします。⇒ ここも「白雪姫」にそっくり。プシュケーは最後の難題に立ち向かい、黄泉の国に分け入って永遠の美の薬を手に入れます。⇒ ここは「オルペウス神話」や「イザナギ神話」に似てる。これも夫と妻が逆ですが。しかし、黄泉の国からの帰り道、プシュケーは禁じられた薬箱を開けてしまいます。プシュケーは箱のなかの眠りの魔法を吸い込み、永遠の眠りについてしまいます。⇒ ここは「浦島太郎」にそっくり。横たわったプシュケーを見つけたエロスは、その体内から眠りの魔法を吸い取って目覚めさせます。プシュケーは、ヴィーナスの許しを得て女神となり、エロスと結婚して悦びという名の子を産みます。⇒ ここは「眠り姫」にそっくり。
2023.03.30
GYAOの無料動画で、ドキュメンタリー映画「エッシャー~視覚の魔術師」を観ました。原題の《Journey Into Infinity》を直訳すると、さしずめ「無限への旅」あるいは「無限への探究」でしょうか。実際、エッシャー自身が探究したのは、けっして「だまし絵」とか「視覚的トリック」とかではなく、あくまで「無限」だったわけなので、やはり原題のほうが正しい。◇例のダグラス・ホフスタッターの、『ゲーデル、エッシャー、バッハ』は全然読んでませんが!その書名の印象だけは無駄に強いので、エッシャーというと、つい反射的にゲーデルとバッハのことを連想しますwこの映画にも、バッハの話はちゃんと出てきました。エッシャー自身も、バッハを好んでいたようです。一方、ゲーデルの話は出てきませんでしたが、エッシャーは、電話をかけてきたグラハム・ナッシュに、自身のことを「芸術家ではなく数学者だ」と言ったそうです。◇とはいえ、子供のころは数学が嫌いだったらしく、親の意向に反して、建築の道にも進まなかったのですね。エッシャーの父親は、明治日本にお雇い外国人として招かれたほどの、かなり高名な土木工学者だったらしいから、優秀な理系の血を受け継いでいるのは明らかだし、結果としては、きわめて数学的・建築的な発想で、独自の美術表現に取り組むことになったのだけど、逆にいうと、本人の言葉どおり、「科学者と名乗るには愚かすぎるが、芸術家でもない」みたいな中途半端な天賦であったがゆえに、「数学と芸術の間を漂う」以外になかったのかもしれません…。美術大国のオランダに生まれたことも、彼の立場をどっちつかずにしてしまった気がする。フランドル美術を生んだ風土と文化が身近にあったのは大きい。◇彼は、内向的なオランダ人であると同時に、いかにも理系的な気質だったと思いますが、他人との面会や手紙などを嫌い、貨物船の上での孤独な海上生活を好んだり、版画の反復的な印刷に没頭するような偏執的な性向も見られます。しかし、その反面、イタリアやスペインのような南欧の風土を愛したり、船上から見る地中海や空の青を眺めては、その自然から美的なインスピレーションを得たり、さらにはムーア人の幾何学…すなわちアルハンブラのアラベスク模様に惹かれたりした。◇彼の「無限の反復」というコンセプトは、数学や建築などの理論から得られたのではなく、自然からのインスピレーションで得られた感じです。実際、そこにもフラクタルのような数学的な構造があるし、自然のなかの時間や空間は反復的になっているといえます。強いて数学でいえば、彼の関心にいちばん近かったのは「結晶学」だったようで、それがいわゆる「平面の正則分割」の手法に繋がっていく。さらに、コクセターの「反転変換」の話なども出てきましたが、エッシャーは、それを理論的に把握したのではありません。むしろ感覚的に「無限」の表現方法を模索し、やがて有限な平面のなかに「無限」をもちこむことに成功。そこに実現したのは、いわば「全世界」や「終わりなき循環」を内包させる表現でした。◇エッシャーは、自身の作品がサイケデリックアートとして消費されることに、かなり嫌悪感を抱いていたらしい。でも、わたしが思うに、有限のなかに無限をもちこむ発想は、やっぱりサイケデリックの価値観にも通じ合う部分があって、ロックの時代のヒッピーにとっては、おそらく彼のアートも、瞑想やドラッグと同様に、内的な小宇宙を実感するための一つの手段だったのでしょう。◇ちなみにエッシャーの表現は、従来の西欧美術の遠近法をあきらかに否定しています。すなわち、〈前景〉と〈後景〉の主従関係を否定し、鳥の背景を鳥にしたり、虫の背景を虫にしたりして、すべての細部に同等の価値を与える表現になっている。まさに「平面の正則分割」などが、その典型です。これって、けっこうキュビズムに近いと思うのですが、なぜか彼自身は、キュビズムにもシュルレアリズムにも接近しなかった。それどころか、あらゆる美術界の"潮流"とは無縁だったようです。その立ち位置もまた、冒頭の「芸術家ではなく数学者だ」という発言に結びつくのでしょう。◇もともと、彼の表現の原点は、西洋絵画というよりもグラフィックアートだったし、彼が実際に選択したのは、反復的な複写の可能な「版画」という手法だったし、もっといえば、エッシャーのような表現は、むしろアニメーションやCGにこそ親和的だったのですね。
2023.03.08
NHKみんなのうたで、水嶋凜の「サクラノカケラ」が放送中です。2~3月は斉藤由貴の「ポケットの中で」もアーカイブ放送されていて、母娘の曲が同時期に取り上げられている形。NHKスタッフのちょっとした遊び心かもしれません。森山良子&直太朗とか、矢野顕子&坂本美雨とかでも、同様のことがあるのかしら?編曲は前作の「予感」にひきつづいて武部聡志です。作詞の奥村健一は、2017年に上白石萌音(当時はポニーキャニオン)の「あなたの声」を書いた人で、これもNHKみんなのうたでした。門脇康平によるアニメーションは、あきらかに「卒業&ポニテ」をテーマに制作されてます(笑)。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) February 9, 2023前作の「予感」のときの凜のボーカルは、いかにも"手嶌葵風"のブレスが多い歌い方で、本人も「母親の色気のある歌声とは違う」と割り切ってたし、武部からも「エアリーな歌声」などと言われていたけれど、今回は、一か月あまりのミュージカル公演を経て、やっぱり歌声に力強さが加わってて、ちゃんと母親譲りの色気も感じさせます。もともと声が似てるし。そして何より、佐久間誠のメロディと武部のアレンジが壮大だから、そのまんまドラマとかアニメの主題歌にでもなりそうな仕上がりですね。母娘の曲が同時期に放送中。実際のところ、今後はアニメなどの主題歌を担当する可能性も十分にある。凜は、いちばん好きなアニメが高橋留美子の「犬夜叉」だってのに、武部から話を聞くまで母親が「めぞん一刻」の主題歌を歌っていたのを知らずにいたらしく、これには思わずズッコケましたけど、凜が好きな「犬夜叉」の殺生丸が「半妖の夜叉姫」にも登場してるんだから、adieu(上白石萌歌)がその主題歌を担当したことはさすがに知ってるでしょう。東宝の女優は、一貫して高橋留美子のアニメに縁があります。それぞれ局も制作会社も違うのだけど、斉藤由貴は「めぞん一刻」(フジテレビ・キティフィルム)の主題歌を、上白石萌音は「境界のRINNE」(NHK・小学館集英社プロダクション)の主題歌を、上白石萌歌は「半妖の夜叉姫」(読売テレビ・サンライズ)の主題歌を歌っている。これが必然なのか偶然なのかは知りませんが、もとをただせば「東宝とキティ」の、そして「由貴ちゃんと高橋留美子」の関係にはじまってるんじゃないかしら?もっとも「めぞん一刻」の話が母娘のあいだで共有されてなかった点から察するに、じつは由貴ちゃん自身はあんまり高橋留美子の漫画に興味がなかったって疑いがあります(笑)。いくら漫研部長だったといっても、あらゆる漫画に興味をもってたわけじゃないだろうし、むしろ人並み以上に嗜好が偏ってた可能性のほうが強いわけで、由貴ちゃんの好みがもっぱら萩尾望都とか安彦良和とかだったとすれば、仕事の上では「野球狂の詩」や「スケバン刑事」や「めぞん一刻」に関わっていても、じつは水島新司や和田慎二や高橋留美子にはさして興味がなかったかも…という疑いは消えない(笑)。上白石姉妹も、仕事としてアニメのテーマ曲やアフレコを担当してはいるけど、読書家である反面、ほとんど漫画を読まないことで知られています。ってことで、むしろ凜のほうが、るーみっくわーるどには親和性があるんじゃないかしら?「シンスト」で継母役だった佐藤アツヒロが、パルコの舞台で「犬夜叉」を演じていたのも何かの因果だったりして。いずれにせよ、志向の異なる層を二世代にわたって獲得してるところに高橋留美子の(ジブリにも劣らぬ)超時代的なポピュラリティがあるのでしょうね。ちなみに、由貴ちゃんは目下、長男の影響で「呪術廻戦」の五条悟に夢中だとのことです。— Blue Ocean (@BlueOceanTFM) February 13, 2023ご多分に漏れず、凜のほうはジブリも好きなわけで、そもそも芸名を「千と千尋」のリンから採ってるわけだし、武部の番組でも「アリエッティ」の曲を選んでたし、たぶん手嶌葵が好きなのも「テルーの唄」あたりからなのだと思う。でも、そのわりに「コクリコ坂」や「アーヤ」の音楽を武部が作っていたのを知らなかったとかいう話(笑)。その様子だと、由貴ちゃんが昔、ジブリのスタジオを訪ねて高畑勲と宮崎駿にインタビューしたことも知らないんじゃないかしら?谷山浩子が「テルーの唄」から「コクリコ坂」の挿入曲まで作ってることも、凜はあんまり意識していないかも。その反対に、手嶌葵が歌った「さよならの夏」を由貴ちゃんがカバーしたのも、娘の趣味とは何ら関係がないのかもしれません(笑)。とはいえ、このたび凜が公開したプレイリストには、やっぱりジブリ関連の曲がいくつか含まれています。春一番/キャンディーズサクラノカケラ/水嶋凜卒業/斉藤由貴さすらいのソフィー(ハウルの動く城)/久石譲風になる(猫の恩返し)/つじあやのLes rues de Paris(Au Service De La France)/Nicolas GodinTake on Me/a-haBeautiful Day/U2ピースサイン(僕のヒーローアカデミア)/米津玄師上を向いて歩こう/坂本九4:00A.M./大貫妙子ふたたび(千と千尋の神隠し)/久石譲ジブリ以外の曲は、ジャンルも時代もてんでバラバラで、やけに縦横無尽なセレクトに思えるけど、実際に聴いてみると不思議に違和感がないのです。これがサブスク世代の選曲ってやつ?! a-haの「Take on Me」なんかはラ・ラ・ランドとかで知るのかしら?このなかでニコラ・ゴダンの曲が気になって調べてみたら、フランスの「シークレットサービス~マル秘ミッション」とかいうドラマの音楽でした。萌歌も「アメリ」とか「ミッドナイトインパリ」とか、フランスを舞台にした映画の3拍子の音楽を選ぶけど、ちょっと趣味が似てるかもしれません。ジブリの「ハウル」のテーマ曲も、まごうことなきワルツですね。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) November 2, 2022凜は「家では漫画を読ませてもらえなかった」と言ってますが、結局は母親ゆずりのアニメ好きになっている。そして、萌音・萌歌はほとんど漫画を読まないけれど、むしろハードな漫画まで好んでるっぽいのが浜辺美波です。北川悦吏子の「ウチカレ」に美波が出演したのは、佐藤健が「あいつは本物のオタクだ」と太鼓判を押したから。さらに、昨年末のドレミファドンを見てたら、山崎紘菜もかなりのアニメ好きらしくて、やはり美波と同じく「チェンソーマン」が好きなようです。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) February 28, 2023 そして、もうひとつ最近わかったのが、浜辺美波とアニメ声優人脈がひそかに繋がってたという事実。先月の「おしゃれクリップ」で、浜辺美波と佐倉綾音との親交が明かされました。神木隆之介が2人を繋いだそうで、たぶん2019年の「屍人荘の殺人」の頃からですね。そして、この人脈が禰豆子役の鬼頭明里にまで繋がっていることが分かったのだけれど、じつはこれが芹澤優の人脈にも非常に近い!ただ、いまのところ美波とセリコに直接の面識があるかどうかは分かりません。ちなみに由貴ちゃんは、NHKの「さんま紅白」のときに甘露寺蜜璃役の花澤香菜に会えて大喜びしてたけど、セリコ経由なら禰豆子にも会えるかもよ。わたしは去年からずっと、萌歌と凜の関係が気になってるのだけど、それにくわえて美波とセリコの関係も気になっています。いずれにせよ、ここ数年のあいだに美波が「陰キャ」から「陽キャ」へ劇的に変貌したのは、このアニメ声優人脈との交流の賜物だったように思う。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) January 23, 2023セリコといえば、凜が「シンデレラストーリー」を上演してるときに、彼女はソロシングルの「シンデレラストーリー」を発表してました。なにげに従姉妹で連動してた? そのMVの舞台セットは、どこかしら由貴ちゃんの「街角のスナップ」っぽい気もしました。えーと、何の話だっけ?…水嶋凜の話ですね。由貴ちゃんも子供のころにピアノをやってたはずだけど、凜もやはりピアノを習っていたらしいです。なので、それなりに音楽の素養があって譜面も読めるのかもしれません。ピアノの上にいちご水のグラスがあったかどうかは知らんけど。さらに、由貴ちゃんは新婚時代にしばらくアメリカで過ごしましたが、凜も16才ぐらいのときに一年間アメリカに留学したそうです。なので、プロフィールには英検2級とありますし、日常会話ぐらいは出来るんじゃないでしょうか? 東宝の女優は英語を話せる人が多いよね。先日のクイズ番組では、山崎紘菜がTOEIC800点だと言ってました。それから由貴ちゃんは、凜に合唱もやらせていたらしいのです。由貴ちゃん自身が、子供のころから合唱をやっていたんだろうとは思っていました。昔の本を読むと、クリスマスのデパートで教会のキャロリングに家族で参加したとか書いてあるから、きっと聖歌隊みたいな活動に加わっていたものと思っていました。ところが、先日の「新美の巨人たち」を見ていたら、なんと山下公園の氷川丸に毎週通って合唱の練習をしていた、とのこと。いままで聞いたことのない話です。つまり、それって「横浜少年少女合唱団」に所属してたってことでしょ? そう考えると、由貴ちゃんも、凜も、けっこうちゃんと合唱をやっていたわけですね。たんに声が似てるだけでなく、そういう文化的なバックグラウンドが共有されている。母娘の歌声が似てくるのは、そういうことでもある。それこそ欧米には聖歌隊出身の歌手がたくさんいるけれど、やっぱり合唱をやっていた経験は大きいんだと思う。いきなりポップス歌手になったりアイドル歌手になったりする人とは、多少なりとも発声の仕方が違うはずです。日本でも、King Gnuの井口理とか、いきものがかりの吉岡聖恵とか、エレカシの宮本浩次とか、みんな子供のころから合唱をやっていた人たちです。なお、横浜のヨルノヨを取材した「新美の巨人たち」はクリスマスの放送だったこともあって、冒頭にサラ・マクラクランの 「Christmas Time Is Here」が流れてたけど、あれって由貴ちゃんの選曲でしたか? 猫の手も借りたいのテーマ曲はデヴィッド・ベノワの「Linus & Lucy」でしたが、どちらもヴィンス・ガラルディのスヌーピーソングだよね。もうひとつ、はじめて知ったことといえば、フランク・シナトラの話です。最近の由貴ちゃんがシナトラを愛聴してるのは次女の影響だと話してたから、てっきり浜辺美波の「崖っぷちレストラン」あたりを見てシナトラを聴き出したのかと思ってたのだけど、凜の話によると、由貴ちゃんは昔からクリスマスとかにシナトラをよく聴いていたのだと。凜も、武部の番組でそんなシナトラのクリスマスソングを選曲していました。そういえば、由貴ちゃんのお父さんは、クリスマスにアンディ・ウィリアムスをよく聴いていたのよね。まあ、基本的に、この家族の人たちは、往年のアメリカのミュージカル映画みたいな暖かで華やかな世界が好きだよね。それは、信仰の影響とか横浜の土地柄とかもさることながら、やっぱり由貴ちゃんのお母さんから受け継いだ嗜好なのでしょう。リアル「コーダ あいのうた」みたいな女性なのですから。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) February 13, 2022 ◇さて、前置きだけで半分以上も費やしましたがww先日、由貴ちゃんの『何もかも変わるとしても』が再発されました。これがファムファタルから発表されたのは2011年なので、それから12年ぶりの再発になります。発売日の2月21日は、デビュー曲の「卒業」が38年前に発売されたことにちなんでるけど、今回の再発そのものは、むしろ凜のデビューが契機になってるといったほうがいい。わたしは、音楽活動再開後の曲のなかで、辛島美登里がつくった「手をつなごう」がもっとも好きだったのですが、ここに来て由貴ちゃんがメディアでこの曲を取り上げていることが、ほんとうに嬉しい。このアルバムでタイトル曲に相当するのは大森祥子が作詞した「永遠の人」なのだけれど、それ以外にも、本作には亀井の曲とか谷山の曲とか遊佐未森の曲とかケセラセラのカバーとか話題性のある曲が多くて、当時のメディアでもそこらへんを紹介することが多かったから、そのなかで「手をつなごう」はちょっと埋もれがちだったのよね。でも、この曲の美しさは、由貴ちゃんのディスコグラフィのなかでも屈指のものだと思っていました。だから、アルバムに収録されたっきり忘れ去られるのは勿体ないと思っていた。その「手をつなごう」が、たまたま凜の歌声が入っていたこともあり、期せずして12年ごしに日の目を見ている。辛島美登里はこの状況に気づいているかしら? ちなみに由貴ちゃんは、この曲には「長女だけが参加している」と言ってましたが、わたしには長男くんの声も入ってるように聞こえるんだけど…違います?(笑) クレジットは「由貴ちゃん家の子供たち」となってるよ。いずれにしても、この曲は(おそらく家族のことを描いた歌ではありながら)、いろんな人にカバーされてもよさそうな普遍性があるし、ついでにいうと、辛島美登里も鹿児島出身なので、彼女の音楽が上白石姉妹にまで結びついたらいいなあと期待したりもします。それにしても、このタイミングで『何もかも変わるとしても』の再発を思いついたのが現マネージャーなのだとしたら天才的ですね。逆にいうと、このタイミング以外にありえなかったかもしれない。厳密にいうと、このアルバムは、2010年のクリスマス前(12月20日)に先行発売されて、翌2011年のバレンタインデー(2月14日)に一般発売されました。そして、ちょうどそれに挟まれた1月9日に第7回東宝シンデレラが開催されています。萌音・萌歌や美波や紘菜はそこでデビューしたのです。グランプリの萌歌は10才でした。凜も同い年だから当時10才だったのですね。それから学年は一つ下だけど、美波も10才だったし、ついでにいえば、次のシンデレラになる福本莉子も10才だった。それから12年が経ったわけですね。もちろん震災から12年ということでもある。その年の3月に震災があって、東宝は7月に「復興へのメッセージ~"いつか"プロジェクト~」を公開しました。萌音と萌歌が東宝のタレントになって最初に歌った曲は、由貴ちゃんの「いつか」だったわけです。12年って長いのか短いのか分かりませんが、萌音・萌歌・美波・紘菜・莉子は現在のような活躍ぶりだし、水嶋凜もデビューして、やっぱりいろんな意味で一回りしたのだなと思う。わたしはもともと「手をつなごう」が好きだったけど、それ以外の曲はけっこう久しぶりに聴きました。「のらねこ」とか「かくれんぼ」とか「折り合い」とかは三連符の曲で、あらためて由貴ちゃんの曲ってジャズやブルース風のものが多いんだなと気づかされる。武部が作曲した「うた」は、アイドル時代の最後に武部がつくった「Who」のアンサーのようにも聞こえるし、大森祥子が書いた「永遠の人」は、今聞くとなおさら「家族の食卓」のアンサーになってると感じさせる。亀井登志夫がみずから編曲した「予感」を聴いたのも久しぶり。当時は正直、武部のオリジナルアレンジの刷り込みが強すぎて、この亀井の新しいアレンジがいまいちピンと来なかったのだけど、今回あらためて聴いたら、なんだか涙があふれるほど感動してしまった。音質が向上したせいもあるかもしれないけど、うまく理由を説明できません。武部や亀井がそれを意識してアレンジしたのか分かりませんが、なんとなく2つの編曲には「横浜駅の変遷」が重ねられるようにも思える。亀井登志夫といえば、凜バージョンの「予感」が出たときに、とくにコメントとかは出さなかったけれど、じつは市村のレストランに亀井と許瑛子が集って、凜の話題でひとしきり盛り上がったみたいです。▶ https://ameblo.jp/kyoeiko/entry-12756346175.html許瑛子は、とくに第2回東宝シンデレラの小高恵美にたくさん曲を書いた人ですね。由貴ちゃんには「What」の1曲しか書いてないけれど。かたや亀井登志夫は、由貴ちゃんにはたくさん書いてるけど、小高恵美にはまったく書いてない。そんな別チームの2人がなぜ市村の店で落ち合うのかというと、もともと許瑛子は、康珍化や亀井との縁で作詞家になったんだそうです。ちなみに康珍化は、由貴ちゃんに曲を書いたことはありませんが、市村や長谷川康夫とは年齢も近くて同じ早稲田出身だから、もしかしたら面識があるのかな…なんて憶測もしています。由貴ちゃん絡みでいうと、金子修介と野田秀樹と許瑛子の関係なんかも気になるんだけど、その話はまたいずれ。話がどんどん脱線しますが、小高恵美といえば、去年から「デビュー35周年記念プロジェクト」なる企画が進行中で、今年はなにやら怪獣映画にも主演するらしい。監督は「ネズラ」を撮った横川寛人です。金子修介も大映のガメラを平成になって復活させた人だけど、横川寛人も大映の怪獣になるはずだったネズラを令和に復活させた人(笑)。とはいえ、小高恵美はあくまでもゴジラ女優だと思うので、次回作で横川寛人が復活させるのは、おそらく東宝系の怪獣じゃないかしら?えーと…「予感」の話でしたね!(笑)いまや「予感」には、オリジナルの武部アレンジと、亀井アレンジと、凜バージョンの武部アレンジがあります。凜バージョンの武部アレンジは、まるで由貴ちゃんの過去の曲のサウンドのエッセンスを、いろいろと散りばめながら組み合わせたようだった。つーか、絶対そうでしょ。「いちご水」や「3年目」のようなピアノの音も聞こえるし、「千の風音」や「体育館は踊る」のような弦楽のサウンドも聞こえるし、最後のほうには「風・夢・天使」のオルガンのような低音も聞こえます。「卒業」のイントロや、「月野原」のメロディが、どこかしらに入ってる気がしなくもない。「土曜タマ」のようなサウンドの遊びや、「さよなら」や「ひまわり」に通じるようなビート感も感じます。凜バージョンの「予感」で、いわゆるジャケ写(配信の場合もそう呼ぶの?)の撮影をしたのは齋藤清貴でした。アイドル時代の由貴ちゃんの写真のほとんどを彼が撮ったわけですが、武部のアレンジャーとしてのキャリアと同様に、齋藤清貴の写真家としてのキャリアも斉藤由貴から始まったといって過言ではない。つまり、市村も、武部も、齋藤清貴も、凜にとっては「親戚のおじさん」みたいな感じなのですね。凜のドラマデビュー作になった「直ちゃんは小学三年生」も、あとになってTVerの再配信で見たのですが、あそこで凜にキャッチャーの役を当てたスタッフも、きっと由貴ちゃんのドラマデビューが「野球狂の詩」だったことを意識したんでしょうね。「母親がピッチャーだったから、娘にはキャッチャーをやらせよう」的な。NHKの朝ドラ「ちむどんどん」では、あきらかにスケバン的な役だったし(笑)。人知れずそういうネタを考えるおじさんやおばさんたちが、業界のなかにたくさんいるんだろうと思う。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) October 9, 2022 その一方、凜の「予感」のMVのほうは、美大で映像を専攻していた凜が自分でディレクションをしました。赤いラインの銀色電車も出てくるのですが、さすがに東横線じゃありませんよね。わたしは鉄オタじゃないので、どこの車両か分からないけど、ネットで写真を見くらべたら、いちばん似てるのは京成電鉄かなと思う。凜は「和装が好き」「京都が好き」「和風建築が好き」と言ってて、インスタには浴衣の写真もアップされています。このMVでは和装こそしていませんが、やはり全体的に懐かしい和のイメージで、由貴ちゃんの曲でいったら「ぴいひゃら」や「少女が春の縁側で」(夏だけど)の雰囲気に近い。わたしは、プライベートの由貴ちゃんに和装のイメージがあまりないのだけど(子供のときの七五三みたいな写真しか思い浮かばない)、和モノが好きな凜の感性は、ズルっとした格好で異国的な横浜の町に馴染んでいた母親の嗜好とはすこし違っています。凜は、母親の新品の浴衣を盗んで自分のものにしたと書いてましたが、逆にいえば母親があまり浴衣を着ないのかもしれません。由貴ちゃんは、かつて長女のことを「傍若無人な女王さま」みたいに言ってたから、どんなにか我が強い女の子なのだろうと思っていました。弟の分まで平気で奪って食うとかいう話だったし、シンデレラどころか意地悪姉さん的なキャラクターを想像していたのよね(笑)。でも、実際の凜は、予想に反して、だいぶおっとりしていて、京都風のはんなりした文化が好きらしいし、ミュージカルの公演中は「凜デレラ」とも呼ばれていました。どうして子供のころは、あんなにも母親とバトっていたんだろうか?母親のほうに問題があったのでは? 血液型は由貴ちゃんと同じB型なんだけどね。ちなみに浜辺美波や福本莉子もB型だから、東宝の女優はB型率が高い。◇さて、凜の話はここまでにして。このたび再発された『何もかも変わるとしても』には、予約特典として3曲のライブ音源を収めた「YUKI SAITO 2021~2022 SPECIAL LIVE CD」が付録されています。こちらのビクターの公式ページにはまだ曲目が掲載されていませんが、こっそりネタバレすると「金色の夜」「Woman」「Sweet Memories」の3曲です。この付録CDは濃密でした。1986年に「土曜日のタマネギ」と「かなしいことり」をカップリングにした12インチシングルも濃密な1枚だったと思うけど、それに匹敵する内容だと感じます。50代も半ばになって、こういうものを出してくる斉藤由貴はただものじゃない。2017年の風街ライヴで由貴ちゃんが「情熱」を歌ったとき、由貴ちゃんのファンではない人たちまでが衝撃を受けて「まるで空間が歪むようだった」なんて感想をネットにあふれさせてたのを思い出します。まさに、この3曲を聴いているあいだ、わたしの部屋の空間が歪むような感じがする。ある意味では、ちょっと怖いのだけど、そのくらい濃密な恋の表現なのよね。こういう表現をするときの斉藤由貴は尋常ではない。1曲目の「金色の夜」は、2021年のクリスマスの音源だと思うけど、そのときすでに上田知華が亡くなっていました。でも、一般に公表されたのは翌年の4月だったから、由貴ちゃんもそれを知らずに歌っていた可能性が高い。2曲目の「Woman」は、言わずと知れた薬師丸/松本/ユーミンの曲だけど、由貴ちゃんが薬師丸の曲を歌ったのはこれが初めてだろうと思う。ユーミンの曲にかんしては、デビューのときのテスト歌唱で「時をかける少女」を歌ったらしいのだけど、長岡はまだそれを公開してませんよね。松本との対談では「ダンデライオン」が好きだとも言ってたけど、それも歌ったことはないと思う。上白石萌音は、すでに「Woman」も「ダンデライオン」も歌っているけれど。3曲目の「Sweet Memories」は、これも言わずと知れた聖子/松本/大村の曲。おそらく昨年末の音源だと思います。やはりデビューのときのテスト歌唱で、由貴ちゃんは松田聖子の「夏の扉」と「Sweet Memories」を歌っていて、その音源はすでに長岡が公開してます。「夏の扉」を作曲したのは財津和夫だけど、編曲したのは大村雅朗ですから、その意味では大村に関係する作品を2曲はカバーしたことになる。なお、由貴ちゃんの『ripple』には、Special Thanksとして大村雅朗の名前がクレジットされてますが、たんにハワイのスタジオに居合わせただけで、由貴ちゃんの作品への音楽的な関わりはひとつもなかったはずです。谷山浩子バージョンの「MAY」は大村の編曲です。念のために繰り返しますが、このライブ音源を収めた付録CDはあくまでも予約特典なので、これから購入しても手に入らないんだろうと思います。あしからず。先日の武部のラジオでは、2年後の40周年なんて話も出てましたが、ひきつづき厳選したライブ音源や映像を公開する企画にも期待してます。
2023.03.01
先月11日に高橋幸宏が亡くなりましたが、今月8日にはバート・バカラックが亡くなったとのことで、この機会に由貴ちゃんの「エイプリルフール」のことを書いておきます。ほんとうは音楽惑星さんのサイトで話すつもりでしたが、あちらの対談は『moi』まで辿り着ける自信がなくなってきたので(笑)。◇アルバム『moi』(モア)は、結婚直後の1994年12月に発表されていますが、そのなかで由貴ちゃんは、ハル・デヴィッドが作詞したバカラックの「The April Fools」を、まるでアルバムのテーマ曲のように扱い、日本語詞までつけている。おりしも昨年末のライヴで、由貴ちゃんは《嘘》をテーマに選曲しましたが、この「The April Fools」も、やはり《嘘》についての曲です。その内容は「今だけの真実」にも通底しています。もともとは、1969年の映画『幸せはパリで』の主題曲で、一般にはディオンヌ・ワーウィックの歌唱で知られています。映画の原題が『The April Fools』なのですが、カトリーヌ・ドヌーヴとジャック・レモンによる不倫のお話。由貴ちゃんがこの曲を『moi』で取り上げたのは、それに先行する高橋幸宏のバージョンに触発されてのこと。幸宏のカバーによる「The April Fools」は、彼の83年のアルバム『薔薇色の明日』に収録されています。なお、高橋幸宏が86年に主演した大林宣彦の映画『四月の魚』も、やはりエイプリルフールについての映画です。◇由貴ちゃんが91年に書いた、「悪気のない馬鹿な僕ら」という短編小説(『透明な水』所収)にも、この曲について語られるシーンがあるのだけど、もとをただせば、1987年1月に、由貴ちゃんが高橋幸宏のラジオ番組にゲスト出演したとき、その冒頭で幸宏バージョンの「The April Fools」が流れました。当時の由貴ちゃんは、矢野顕子や高橋幸宏の曲をよく聴いてたらしいのですが、そのことをFM東京の番組で発言したら、幸宏のラジオ番組『Stand Up Please!』に招かれたのです。とくに由貴ちゃんは、幸宏の85年の『Once A Fool,...』が好きだったようです。◇87年1月といえば、由貴ちゃんがNHK「紅白」で大役を務めた直後。その年の6月には「レミゼ」でコゼット役を務めることになる。デビューからわずか2年ですが、すでに絶頂期を迎えていました。ただし、高橋幸宏のほうは、あまり斉藤由貴のことを知らなかったみたい。かたや由貴ちゃんは、(おそらく音楽を聴いての印象でしょうが)幸宏に対して「非人間的」なイメージをもっていた、とのこと(笑)。由貴ちゃんは、中学生のころにデヴィッド・シルヴィアンが好きだったし、けっこうニューウェイヴ系の音楽にも接していたので、幸宏の「非人間的」なイメージにむしろ惹かれたのでしょう。◇そのラジオ番組のなかでは、「The April Fools」についての言及はなかったのですが、のちにBOXセットの鼎談で市村や長岡に話したところによると、由貴ちゃんは85年の『The Brand New Day』というベスト盤で、幸宏バージョンの「The April Fools」を聴いたようです。ラジオ番組のなかで話題になったのは、バカラックの「The April Fools」のことではなく、由貴ちゃんが作詞した「予感」と、ピーター・バラカンが作詞した幸宏の同名曲、すなわち「Something In The Air ~予感~」のことでした。もしかしたら、その後の87年9月に、由貴ちゃんが発表した『ripple』というアルバムも、幸宏の同名曲「ripple」に関係があるかもしれません。さらに由貴ちゃんと幸宏は編集者の秋山道男のことも話題にしていました。秋山道男は、YMOの写真集やツアーパンフを手掛け、YMOの散開後に「二代目YMO」を名乗った人物で、じつは市川準が演出した由貴ちゃんの「漂流姫」も、秋山のコンセプトによるものでした。◇YMOやムーンライダース人脈との繋がりは、斉藤由貴よりも、圧倒的に原田知世のほうが強いわけだけど、じつは由貴ちゃんにも、わずかながら高橋幸宏との接点があり、大森一樹の映画では、かしぶち哲郎との接点もありました。生前のかしぶち哲郎は、由貴ちゃんに「自分の曲を歌ってほしい」と本気で話していた。さらに、鈴木慶一も、由貴ちゃんの「かなしいことり」を聴いて、たこ八郎の追悼曲「悲しいしらせ」を書いたらしいし、松本隆と一緒に制作したクミコの『AURA』では、由貴ちゃんの「情熱」をリアレンジしています。近年の由貴ちゃんは、坂本美雨のラジオ番組に呼ばれることもあるし、自分のライブでは矢野顕子の「中央線」を歌ったりもしている。なので、松本隆との関わりもさることながら、意外にYMOやムーンライダースの人脈とも接点はあります。◇バカラックの曲に話を戻すと、アルバム『moi』が発表されたのと同じ1994年に、フジテレビで放送された『私の葬送行進曲』という番組でも、由貴ちゃんの登場回に幸宏の「The April Fools」が使用されました。これは、当時のフジテレビの深夜番組で、週替わりの有名人が「死」について思いを巡らせるドキュメンタリー。そこで由貴ちゃんは、キャノンのフィルムカメラを片手に、横浜のホテルニューグランドを出発し、野毛山動物園や、大岡川に浮かぶ船の上で写真を撮り、「象の犬死に」の話とか「川に沈んだ船」の話とか、井伏鱒二の《さよならだけが人生だ》の話などを、思いのままに、とりとめもなく喋っています。◇そして、由貴ちゃんがラジカセのボタンを押すと、幸宏の「The April Fools」が流れてくる場面もあって、由貴ちゃんは、それを聴きながら、何やら「プラハリアン」の内容に似た即興詩を書いています。古いバイオリンケース / 欠片ほどの子供心寂しそうにうずくまる / 埃たちと一緒にそれはそれは寂しそうに少年 / 冒険 / 広い野原に / タタ、タタ、タタと「宝物、幽霊船、そら爆発だ!」なんて風に狂おしいくらい駆け回っていたのに町にあるものって黒い帽子の大人達と煉瓦道とガス灯ぐらいはあ退屈だ、すぐボクを殺しに来るさこれを読むと、「ガス灯の煉瓦道をやってくる黒い帽子の大人達」が、死神のイメージになっていることがわかります。これって、もちろんチェコのプラハや、横浜の馬車道のイメージもさることながら、映画『アマデウス』からインスピレーションを得ているようにも思える。モーツァルトのもとへ死神が来るのは、プラハではなく、ウィーンですけれど。ちなみに、フジで『私の葬送行進曲』を演出したのは、長嶋甲兵です。長嶋甲兵は、その後、97年の詩のボクシングや、14年に是枝裕和とともに作った震災ドキュメンタリーなど、硬派な仕事で有名になっていきますが、由貴ちゃんとは、『わたしが子どもだったころ』の演出、『名曲探偵アマデウス』のプロデュースなど、NHKの番組でも関わりがあったし、井上陽水や柳美里など、由貴ちゃんに縁のある人物を取材した番組も作っています。結婚する直前の斉藤由貴が、はたして「The April Fools」にどんな思い入れを持っていたのか、長岡和弘や長嶋甲兵は知っているかもしれません。なお、この『私の葬送行進曲』のなかでは、サイモン&ガーファンクルの「夢の動物園」や、エンニオ・モリコーネの「A Neighborhood Song」や、「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「ぼくの伯父さん」などの映画音楽も使われていましたが、それらが由貴ちゃんの選曲だったかどうかは分かりません。◇バート・バカラックが亡くなったのと同じ今月8日には、舞台美術家の小竹信節も亡くなったそうです。寺山修司の天井桟敷で美術を担当した人ですが、相米慎二の『雪の断章』に出てくる自動人形は彼が制作したものです。
2023.02.12
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