まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.06.21
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テーマ: 小説(1373)
朝ドラ「らんまん」。

先週の最終日に、
真っ白なドレス姿の寿恵子が万太郎に抱きついたシーンで、
ひとつのクライマックスだったと思いますが…



それ以上に素晴らしかったのが、
今週の月曜日(第56話)でした!

丈之助が壁の穴から覗きこむ部屋で、
寿恵子が万太郎に添いとげる決心を語ったシーン。


いわゆる神回だったと思います。



史実どおりなら、今後の寿恵子は、
かなり貧しく厳しい生活を強いられるはずなので、
あらかじめその覚悟をさせた、ともいえる。

…しかし、それだけではなく、

寿恵子はこのとき、
滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」を引き合いにして、
《作品を完結させること》 の重要性を熱弁したのですが、
これこそが、その後の万太郎にとって、
そして丈之助にとっても、きわめて重要な意味をもつはず。


坪内逍遥は69才で「シェイクスピア全集」の翻訳を完結させ、
牧野富太郎は78才で「牧野日本植物図鑑」を完結させるからです。


坪内逍遥が馬琴オタクだったことは、
何らかの形でドラマにも反映されるかな、とは思ってましたが、
こんなにも見事な形でリンクさせるとは想像以上です。


たんなるオタク対決の域を超えて、
今後の展開にとっての重要な伏線になったわけです。

アイルランド民謡「The Last Rose of Summer/夏の名残のバラ」 (庭の千草)


ちなみに、
堀井丈之助を演じている山脇辰哉は、
いままで見たことのなかった俳優なのですが、
とても演技が光っていますよね。

彼の魅力も相まって、
このドラマをきっかけに、
馬琴ファンや八犬伝ファンだけでなく、
坪内逍遥ファンも増えるんじゃないかしら?(笑)



なお、
坪内逍遥のシェイクスピア全集を記念して建てられたのが、
早稲田の「演劇博物館」です。

脚本家の長田育恵は、
そんな早稲田演劇の申し子のような人ですが、
2015年には坪内逍遥の一代記「当世極楽気質」も書いてるので、
たぶん彼のことは相当に詳しいんだと思います。







余談ですが、
植物学教室のメンバーが寄稿した論文と、
実際に「植物学雑誌」に掲載された論文を突き合わせたら、
東大の人たちが誰をモデルにしてるのかも分かりました。
大久保三郎(=大窪昭三郎)「本会略史」「マメヅタラン」

白井光太郎(=細田晃助)「苔蘇発生実験記」
澤田駒次郎(=柴豊隆)「白花のミソガワソウと猫の関係」
染谷徳五郎(=波多野泰久)「花と蝶との関係」
田中延次郎(=藤丸次郎)「スッポンタケの成長」
三好学(=飯島悟)「採植物於駒岳記」

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jplantres1887/1/1/_contents/-char/ja

万太郎の論文が「ヒルムシロ」の話だったのも史実どおりですね。


ついでにいうと、
牧野は染谷、田中と相談し、矢田部の了解を得、明治20年(1887)に東京植物学会の機関紙として「植物学雑誌」創刊号を発行した。
https://tezukayama.repo.nii.ac.jp/index.php(増田芳雄「日本における植物学の曙」)

…ってのも史実どおりだし、
牧野富太郎の 「自叙伝」 には、
青年のころ私は本郷の大学へ行く時その店の前を始終通りながらその娘を見染め、そこで人を介して遂に嫁に貰ったわけです。仲人は石版印刷屋の親爺――というと可笑しく聞えるけれど、自分で植物図譜を作る必要上この印刷屋で石版刷の稽古をしていた時だったので、これを幸いと早速そこの主人に仲人をたのんだのです。

…と書いてあるので、
石版印刷屋のオヤジが仲人だったのも史実どおりです(笑)。





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最終更新日  2023.07.07 10:31:53


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