まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.12.27
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朝ドラ「ブギウギ」欠かさず見てます。

趣里は、
美人というわけじゃないし、
とくに歌唱力に長けてるわけでもないけど、

さすがにランちゃんと水谷豊の血を引いてて、
物語を引っ張るだけの説得力を感じるし、
不思議と惹きつけられる魅力がありますね。

東京出身なのに、
大阪人っぽいド根性もよく出てます。


ドラマの内容も申し分ないです。
途中で脚本家の交代もあったらしいけど、
とくに大きな違和感もなく展開してます。



わたしはもともと、
笠置シヅ子の歌が好きだったので、
ベスト盤などはよく聴いてましたが、

生い立ちなどについては、
今回のドラマを見てはじめて知ったことが多い。

服部良一とか、
吉本興業の息子とかは、

そうじゃなかったんですね。


東京の芸能界にもあったのでしょうが。




わたしが以前から好きだった曲は、
「東京ブギウギ」とか「買い物ブギ」とかじゃなく、
まさに今回のドラマで取り上げられた曲。


この2曲は、楽しいというより、
不穏なほど過激なエネルギーに満ちてて、
それこそが魅力だったのです。
どこかしら戦争の雰囲気も感じていた。

今回のドラマを見て、
それらが、ごく初期の曲だったことを知った。

スキャットだらけの「ラッパと娘」の歌詞を、
服部良一みずからが書いてたのも知らなかった。



最初のヒットソングの「ラッパと娘」は、
笠置シヅ子の曲のなかで、いちばん過激に感じる。

わずか3分ほどの曲ですが、
その後の歌謡曲の様式には全然収まってなくて、
とくに後半の展開は異常なくらいに凄まじい。



スウィングジャズというより、
むしろモダンジャズみたいにラリった感じがあり、
笠置シヅ子の日本語の発音も暴力的かつ不埒で、
人心を惑わすような力を感じさせるヤバい曲です。

国の検閲を受けても無理ないと思うほど、
いかがわしくてクレイジーな音楽。

初期の曲のほうが、戦後の作品以上に過激です。
戦前のモダニズムの極致だったかもしれない。



ちなみに、
トミー・ドーシーの「ブギ・ウギ」が、
米国でヒットしたのは1938年のこと。
笠置シヅ子の「ラッパと娘」はその翌年です。

服部良一によるブギウギの受容は驚くほど早かった。
追記:「ラッパと娘」は4ビートのスイングなので、8ビートのブギウギではないそうです…。



米国では、
40年代にブギウギブームがあり、
50年代にロックンロールが誕生しましたが、

日本でも、
40年代に笠置シヅ子がブギウギを歌い、
50年代にロカビリーブームが起こってる。

つまり、
米国と日本のタイムラグは、ほとんど無いに等しい。

そこから考えても、
「日本のロックははっぴいえんどから始まった」
なんてエセ神話は、ちゃんちゃらおかしいのです。

もちろん、加藤和彦も細野晴臣も、
そのことをよく分かってたからこそ、
服部良一をリスペクトしたのでしょうが。
分かってないのは本人たちじゃなく安易なフォロワーってこと。




当時、映画評論家の双葉十三郎が、
笠置シヅ子のパフォーマンスを絶賛してたらしい。
しかも、それはまだ「ラッパと娘」が発表される前。

帝劇でSGDの「カレッジ・スヰング」を観たらしく、
"マーサ・レイやアリス・フェイをも凌ぐ!"と言って、
エラ・フィッツジェラルドのような黒人のスウィング感が、
日本人にも可能かもしれない…と希望を述べてます。

いうならば、米国の白人より、
笠置シヅ子のほうが黒人のフィーリングに近いってこと。
https://fujinkoron.jp/articles/-/10212?page=3


Martha Raye "You'll Have to Swing It" Rhythm on the Range 1936

Martha Raye "What a Rumba Does to Romance" College Swing 1938

Alice Faye "Alexander's Ragtime Band" 1938




さて、ドラマのほうの内容ですが…

すでに宝塚の小林一三らしき人物も登場して、
前作「らんまん」と重なる部分もありました。

さらに、3年前の「エール」に描かれた、
古関裕而の戦時歌謡の話なども出てきました。

年下の恋人が出てきてからは、
6年前の「わろてんか」にも重なる内容になってる。

要は「宝塚・松竹・吉本」という、
関西で生まれた戦前の三大興行すべてが絡んでるのよね。

笠置シヅ子は、
宝塚 に落ちて、 松竹 に所属し、
服部良一 に見出され、 吉本 の御曹司と恋愛した。
まさに近代の関西大衆芸能を体現したスターなのです。



わたしは、
あまり「わろてんか」をちゃんと見てなかったけど、
人物の対応関係はたぶん次のようになるはず。

北村てん(葵わかな)=村山トミ(小雪)
※モデルは吉本せい。

伊能栞(高橋一生)=坂口(黒田有)
※モデルは林弘高。

北村隼也(成田凌)=村山愛助(水上恒司)
※モデルは吉本頴右。

加納つばき(水上京香)=福来スズ子(趣里)
※モデルは笠置シヅ子。


なお、
今回の「ブギウギ」はわりと史実に忠実ですが、
吉本せいをモデルにした「わろてんか」は、
かなり史実をアレンジしてたようで、
実在の人物とはだいぶ違っていたみたいです。







今回のドラマは、
主人公が早い段階で社会的な成功を手にして、
すでに淡谷のり子にも匹敵するスターになっています。
なので、物語は、世間的にも知られた話になってる。

笠置シヅ子は、
戦後に頂点へ昇りつめますが、
その後は美空ひばりが登場することもあって、
あっという間に斜陽になるはずですね。

そう考えると、
どのあたりの時期が、
物語の落としどころになるのかも気になります。



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最終更新日  2024.04.05 07:34:08


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