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検診へ。今日は非番の旦那の送迎で。運転手(旦那)の支度に時間がかかりありがたいのやらありがたくないのやら。クリニックのドアを開けると待合室は満員。14脚のプラスチックの椅子は全て埋まる。鼻を突く匂いの先を見るとチキン弁当を広げる女子の姿。彼氏は充電中の携帯と話中(←電気ドロボー)。テレビではマトリックスをやってる。この映画ほど「世間が求めるもの」と「私の求めるもの」の差異を感じさせる作品はない(盛り上がってるのは警備員ただ一人)。スカタライツのガンズ・オブ・ナバロンがけたたましく鳴り響く(私の着うた)。車を停めようとしたらファンベルトが切れ、今から交換に行く、と旦那。文庫本を持ってこなかったことが悔やまれた。空虚な時間を埋めるのは数年前のものと思われるファッション雑誌のみ(表紙もない)・・。バクダッドカフェの女主人(看護師)に呼ばれる。体重・血圧測定。「検尿しますね」医療施設ではごく当たり前のそれが、ここで行っていることに新鮮さを覚えた。手順を確認し、お手洗いへ(粗相は許されない、ミスチンの名にかけても)。「中に容器があります。終わったらそのまま置いてってください」検尿は紙コップ、という私の常識はくつがえされた。室内にそれらしい物体は二つ。水槽タンクの上にピンク色のカーブを描くプラスチック製容器と、もうひとつは白く丸い陶器。後者はタンクにくっついていたので、答えはひとつーー。ピンクの容器は長さがあるため、射程範囲が広くコップより使い勝手がよい。でも洗ってまた使うんやろうなぁ・・。地球にやさしい、ってやつか。採取したのはいいが、看護師が取りに行くまで気が気でなく、「誰も入るなぁ~」とドアに念力を送り続ける。空虚な2時間が流れ、ようやく診察。ねっとりとしたスペイン語訛りの先生の英語になつかしさすら覚えた。10月中旬に予定日が修正される。「次回の超音波でもっと詳細がわかりますよ」え~また撮るの?5000ドル(約5000円)が飛んでいく・・。今日は先生とのお話だけで終了(あ、尿とったか)。車の修理より先に終わってしまった。チャンスとばかりインターネットカフェへ。ビルの4階、クーラーのかかってない店。目の焦点のあってなさがジョニー・ギルを思わせる店員さんは、とても親切。学校帰りの中学生と隣のドレッド兄ちゃんのflirtを雑念のように払いながらさっさとブログの更新。ビルの隣のパティ屋スタンリーズでベジ・ローフとドリンクを仕入れて車に戻る。エアコンのない車内でボンの笑顔がテカテカ光った。家に忘れて来たと思ってた私の、フラッシュメモリが彼の手に握られていた(←携帯にしてた)。イースターです。バン(フルーツケーキみたいなの)にチーズをサンドして食べます。(初めて食べた時はあまりのマズさにビックリ。今はすっかり定番ランチメニュー)
2010/03/29
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Dolores Claiborne/Stephen Kingドローレス・クライボーン、65歳。家政婦として3人の子供を育て上げた彼女が犯した、二つの殺人の告白―――。巨匠スティーブン・キングの恐怖の深淵へようこそ。洋書苦手な私でも読めたのは、本文がこのドローレスおばちゃんの供述に終始してるところ。教養の低い田舎の女性という設定なので、語彙も限られてて辞書の出番も少ない。オール口語体で、かつひどく訛ってる。パトワ(ジャマイカ英語)で免疫がついているせいか、その訛りは抵抗なかった(活字というのもあり)。スペイン語をマスターするとイタリア語、ポルトガル語が容易に感じるのと同じ現象かもしれない。共通項みたいなのがあるのか?「どこまで言ったかいねぇ」「すんませんが、水をいただけないかねぇ」と、ずっとこんな調子。「えぇーこれ最後まで続くのぉ?」とちょっと閉口してしまうが、やはりそこは巨匠の手練手管で引き込まれていくのです。冒頭にス○トロ。つわりで苦しんでる時に絶好のタイミング。こういう醜悪なエッセンスで強烈な印象をきざみつけるのはスティーブン・キングのおはこだろうか?(スタンド・バイ・ミーのパイ食い競争とリンクしてしまう)そして、橋田寿賀子(漢字間違ってるかも)的いじめられっこのサクセス・ストーリーというのも王道。貧乏で、田舎モノで、他人の便器を磨き続ける生涯。女主人のいびり、亭主の暴力。これでもかというほどふりかかる不幸VS.不屈のヒロイン。「女は時にビッチにならなきゃいけない、生き延びるために」ハウスキーパーとして身を粉にして働くドローレスおばちゃん。教養のない女性の人生の象徴のようだが、「アタシが人様の家の床だの便器だの磨いて稼いだ金」と言う客観的視線に知性を感じる。メンタルでもフィジカルでもロークラスな人は、自虐なんて高度なテクニックは持ち合わせてないはず。日本では「黙秘」というタイトルでDVD版があるようです。キャストがこれまた濃い!それにしても昔の人の家事への姿勢はスゴイ。落ちこぼれ主婦の私のテコ入れにもなったかも。
2010/03/26
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梟の城/司馬遼太郎戦国末期、豊臣秀吉の天下。伊賀忍者の生き残り葛籠重蔵が、家族と仲間の敵を討つべく豊臣秀吉暗殺の機を狙う。それをはばむ甲賀忍者たちと、伊賀を裏切った元腹心風間五平。そして、殺人マシーンと化した重蔵の心の隙を突く謎の女の存在―――。司馬遼太郎の描く男たちって、何故にこう凛々しいんでしょう。惚れてしまうのは必然。「竜馬が行く」の坂本竜馬といい、「燃えよ剣」の土方歳三といい、圧倒的な雄姿。サムライの美学とも言うべきそのヒーロー像とは(1)硬派であること。命に代えてでも任務を全うするオトコギ。色恋にうつつをぬかす暇はない。(2)恋愛に純である。(ピュア、とも言うべきか)刹那を生きる戦士にとって、生を実感できる瞬間の恋愛は、激しさを極める。(3)本物のヒーローである。弱みをさらすのは、好きな女性の前でだけ。そのヒーローの相手、オナゴである。殺し文句は「おしとねに侍らせていただけませぬかえ」ですよ。「カンチ、セックスしよ!」では決してない。「セックス」は「契り」。「契り」を交わし、「めおと」となっても、妻は夫を様づけで呼ぶ。かつての日本の男女の姿が新鮮で素敵。私も男性に「そなた」とか言われてみてぇ~。「恋はおなごの命」らしいですよ、奥さん!昭和30年代に刊行されながら、中身はハリウッド顔負けのエンターテイメント。闇夜に人間が宙を飛び、壁を、水面を、這う。忍者はeverything is possible。この娯楽性を世界に知らしめ、「NINJA」の存在を不動のものにしたショーン・コスギの着眼点は鋭い。登場する地名はどこも聞きなれた場所ばかり。近江、伏見、山城、堺・・。今度日本帰ったら、「梟の城」ゆかりの地を訪れる行脚に出てみたい。あと忍者屋敷も。
2010/03/19
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超音波は別料金なんです。前回の血液・尿検査は「朝食抜き」。今回の指令は「膀胱パンパン」。予約時間の2時間前から水(またはジュース・ココナッツウォーター)をコップ4杯以上飲んでお越し下さい、との指示。『ココナッツウォーター』というのがジャマイカならでは。モンティゴベイ、ダウンタウンはマーケットST.の最も近代的なビル(といっても日本の80年代のそれに近い)。CTスキャンやマンモブラフィーといった、一連の医療検査を請け負う最新(※ココのレベル)設備をそなえた場所らしい。完全予約制のため、待たされることなく中に通される。すぐにお会計。料金5000ドル(約5000円)。仲間は4~50代の女性が2、3名(産科系ではないらしい)。田舎から出てきました風(自分のこと棚に上げて)。80年代風ルーズフィットの緑のワンピースを自然に着こなす。ガタイがいいからこういうシンプルなの、さまになるよなぁ~。と思ってたらここの診察衣。私にも用意されてた。カーテンで仕切られただけのスペースで着替え。母の一挙一動を見守るボン。ようやく個室に呼ばれる。「技師の○○です」体格のいい女性が自己紹介。上に敷かれた紙をバリバリいわせながらやたら高い診察台へ。「膀胱パンパンだと何か役に立つんですか?」開口一番、疑問をぶつけてみる。「見えやすくなるのよ」そういうもんか・・?私の腹を見るなり「4ヶ月じゃないわ。まず一部返金があるからね(料金が違うらしい)。あと内診もするわね」久しぶりの、白と黒のアブストラクトな世界。その中に生息する謎の生命体。カオスのような外の世界や、ドロドロの夫婦喧嘩とは全く無縁の、その静かな姿は神聖ですらあった。内診はセルフサービスなんです(要するに自分で入れる)。ボンは死角に避難させられる。幼児にはショッキングな映像なのか?(本人は見慣れぬ機器にオタク精神発揮)「はい、よくできました!」ほめられたし。セルフサービス、いいかもしれない。診察といえど、赤の他人に異物を突っ込まれゴソゴソされるのは、何回やっても慣れない。「10週目やね」やっぱり・・。あぁ、先はまだ長い。予定日は「正確じゃないけど」10月中旬頃らしい。「写真ほしい?」「タダっすか?」「ううん、お金もらう。って、ウソウソ!」この明るさ。「楽しいジャマイカのお産」のイメージが一瞬脳裏をかすめる。いやいや、もう決めたのだった。2回目のハラキリも日本で、と。現在インターネットが使えないのでレス遅れます。すみません!
2010/03/18
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「モンティゴベイ、ミスチン?」傾斜の激しい坂道を降りていたら、200m先通過したタクシーがバックしてくれた。声をかけてくれた人物は客の一人らしい。助かった。この炎天下、いつくるかわからないバス(タクシー)を待つには、妊婦の限界を感じる。乗客が少ない。他のバスやタクシーも空席が目立つ。ちゃんと採算とれてんのか?とつい老婆心。しかし、毎回車酔い&つわりで泥酔状態の我が身も切実ではある。「警官の残虐行為・・・!腐敗した政治家・・・!」カーラジオからはムータ・バルーカのダブ・ポエット(音楽にのせて詩を朗読)が聴こえる。降りる時「ミスチン、気つけやー」。あくまで彼は乗客。血液&尿検査でダウンタウンのラボへ。ショッピングプラザ内奥まったテナントのドアを開ける。役所みたいな殺風景な部屋に粗末な椅子が並べられ、ドアと小窓がひとつずつ。小窓の向こうにかろうじて人の気配。中に入るよう声が。中は8畳ほどのスペースに受付デスクと壁際に医療器具が置かれた台。30代ぐらいの女性(看護師?)が一人で切り盛りしてた。こういう窓のない無機質な世界に一人、というのは意外と楽しいやろな。今回もボンは傍観者。「ちっくんするよぉ~、マミ」と水を向けると、腕組みしてタフガイをきどる。検尿カップを渡されトイレへ。「あうちゃんもちっちする!」キューバの思い出、プラスチックコップ簡易トイレの記憶が一瞬にしてよみがえったようだ。「これはマミのや」と制し便座へ促すと、記念すべきトイレで初おしっこ。最近外出先で立ちションを拒む傾向にあったが、そろそろ便座デビューの時期なのかもしれない。支払った料金に見合わないあっけなさで(また痛い出費)、本日のミッション終了。既に同じ施設内にジューシーパティ(チェーン店)を見つけていたボンは、当然のごとく「パティ!」11時半@パティ屋のイートインコーナー。日本の、この時間帯のたとえば王将や松屋と同じ空気を感じる。黙々と食す労働者たちの背中。ベジタブル・ローフ、ボリューム&味とも大満足です(←B級グルメ好き)。朝食抜きだったため、むさぼりついてたら、ボンがナイアガラの滝のようにジュースをこぼしていた。「らすたふぁーらーい!イスラエルの王よー!!」帰りのバスに乗り込むなり、ボンに過剰反応なおじさん。終始「中国人と結婚したい~!なぁなぁ友達ほしくない?」と食いついてくる。「ろくでなしのクロ○ボなんか誰もいらんわ」と隣の女性が揶揄。でもうちらが降りる時「みすちん降りはるで~!降ろしたってくれ~!」と叫び、ボンに「ラスタマン、達者で暮らしやー」いつも無愛想なボンもうなずいて答えてた。妊婦にゃ、人の優しさが身にしみる。ラボはこの奥にあります
2010/03/12
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この青い線に全ての運命が委ねられてるなんて皮肉な話や。しかし、この安さに妊娠天国ジャマイカの底力を見る。妊娠検査薬、こっちじゃ子供のお小遣いでも買える値段です。はぁー、やっぱり・・。諸手を挙げて大喜びした一人目と違い、不安が押し寄せる二人目。あー、また切るのか。他人に下の世話されるのか。シャブの禁断症状に苦しむ中毒患者のごとく、自分の手をかじって夜を過ごすのか・・。汗と涙とウンコまみれの日々よ、再び。つわりも前回に比べひどく感じるのは気のせいか。ボンの時は仕事してたし気が張っていたのかもしれない(ベジタリアンだったからという説も)。田舎ライフはえずきスイッチ入りまくり。一部夢の島と化した我が家の裏ヤブ。汚れた食器(in 未完成のキッチン)。義父の風呂上りの石鹸の香り。中でも最強なのは旦那の香水の匂い。まぁ、私の場合は食い意地が勝って、もどす(お食事中の方はすみません)には至らないのですが・・。かかりつけのドクターの所で診てもらえるというので、ボン連れてモンティゴベイへ向かう。緑の中をかけぬける乗り合いバス。ラジオのDJが「ぐっもーにん、ジャマイカ!」。あぁ、この期に及んでテンションあがってしまう。そんな興奮も束の間、生死の境をさまようような運転に、つわり&車酔いのWパンチ。ダウンタウンに着くころは泥酔状態。キューバ国旗のステッカーがはられたドアをくぐり(ドクターはキューバ人)、バグダッド・カフェの女主人みたいな看護師に受付をしてもらう(前回ボンのちん○の件でお世話になり、親切)。待合のテレビではスパイク・リーの古い映画をやってた。1時間後、先生からお呼びがかかる。従者のように侍るボン。今日の主役は母なんである。触診の後、スペイン語訛りで宣告が下る。「今15週目で4ヶ月、予定日は8月23日ですね!」んなアホな。学研か小学館の付録のような丸くてクルクル回る早見表なもので機械的にはじきだされたデータのようだが・・。にわかに信じがたい。常に生理不順やし私。全ての判断は超音波撮ってからにしよう。「あのー、息子産んだときお腹切ったんですが、二人目もそうなるんですかね」「そうですね!」アッサリと。9ヶ月に入ると手術(分娩)可能な病院に回されるプラン。他人事のように聞こえる。ココ(ジャマイカ)で産むのか?(自問自答)。「里帰りするなら何月までですかね」「お腹が大きくなると乗せてもらえないから(そういう問題か?)5月中にしないとね」んなアホな。個人医院は設備が十分でなく、血液検査・超音波はたらい回しがお約束。紹介状をもらって帰り宿題を抱えたような心境。あ、尿検査もなかった。(狂言やったらどうするんやろ)とういうわけで再び妊婦日記です。よろしくお願いいたします。ジャマイカ食材でおかずパン作り。角切りチーズ入りとトマト煮サバ缶入り。パティ屋に売ってるローフそっくりで「パティ、パティ!」と大喜びのボン。お知らせ旅キッズでキューバ記事掲載されてまーす。
2010/03/08
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I know where I'm going and I know where I'm from.ちょっと前のジェニファー・ロペスの歌であった。まぁ、オリジナルはボブ・マーリーなのかもしれんけど。We know where we're going, we know where you're from.(Exodus)今や時の人?J.Loは置いとくとして、この小説の主人公アリシアは、まさに自分がどこに向かって、何が欲しいのかを熟知してる。それを若い女の子の即物的本能と、犯罪者顔負けの冷徹さで4百万ドルまでの道のりを爆走する。最強兵器「ナイスバディ」を駆使しながら・・。図書館で借りて、電子辞書片手に何とか完読できたのも、このアリシアが繰り広げるエロ・ビジネスに引き付けられたからに他ならない。この本をピックアップしたのも、表紙の姉ちゃんにヤラレたからなのだった(←オヤジ)。そしてそれは私だけではないだろう。男を狂わせるオンナ。男の人生を破滅させるカラダを持つ女。それが彼女。パルプ・フィクションみたいです。個性的キャラがそれぞれの腹黒さでもって入り混じり、セックスと犯罪とブラック・ジョークに満ちた世界は読者を退屈させない。いかにも安っぽいポルノ小説かもしれない。低俗かもしれない。でも、そこが魅力。何というか、ラテン系のフリークネス(変態)ぶりってビヨンド・ア・バウンダリー。何が出てきてもおかしくない、というところがありませんか?ラテンの世界の(アルモドバル映画とか、リョサの小説とか)こういうカオス的ドタバタ劇、好きです。でも洋書やから細かいニュアンスとかがわからない。その点和訳版ならちゃんと訳されてるはず(このカバーとタイトルはちょっと食指が伸びないけど・・)。舞台がキューバだけに、カストロや経済制裁の影響色濃くそこも興味深かった。お父さんがカストロ支持者(フィデリスト)とか。物がない、という状況は20歳そこそこの女の子を自転車娼婦に駆り立てるほど貧窮するものなのか。でもそこに悲壮感はない。男を手玉に取るのは彼女に与えられたミッションなのだった。
2010/03/02
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