『ラ・フィネス』『ミチノ・ル・トゥールビヨン』勉強会議事録 32
ジェームズオオクボ的視点で選んだ心に残るあの店のあの料理(名物料理百選) 19
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市場の成長にまかせて伸びた歴史の浅い店ではなかなかできないかもしれませんが、実際は、歴史のある老舗なら、ディズニーに限らずほとんどがやっていることです。 では、どのようにして、A商品をやめていくのか、ラーメン屋で劇的に若い女性客を増やした店の例で見ていくことにしましょう。 とあるラーメン店の社員が「マヨネーズとんこつラーメン」を開発しました。このラーメン屋は栃木県の郊外にある駐車場付の大型店で、郊外のラーメン屋は、都会にある小さなラーメン屋と異なり、客席スペースにバリエーションがあるために、一般的に品揃えが多いです。この店の品揃えも多く、味噌ラーメンが一番売れ、背脂の入ったこてこて醤油ラーメン、普通の醤油ラーメン、とんこつラーメン、塩ラーメンの順に売れ、あとは少しこしずついろいろな商品が売れていました。この「マヨネーズとんこつラーメン」を採用するかしないか、新しい店を出すにあたって意見を聞きたいということでした。私は、この商品は売れるなと試食をしてみて思いました。(その理由については脱線しますので、私の著書「行列ができる店はどこが違うのか(ちくま新書)」をお読みください)そこで、この商品を導入するときに「とんこつラーメン」と競合して、ほとんどの人は「マヨネーズとんこつラーメン」をオーダーしてくれずふつうの「とんこつラーメン」をオーダーすることが頭によぎりました。私は、この当時から、先ほど説明した成熟の時代のABC分析をよく使っていましたから、躊躇無く、こう結論づけました。 ふつうの「とんこつラーメン」はAランク売れ筋でも、5番目だから、無くても問題はほとんどないだと。「マヨネーズとんこつラーメン」にすれば、「なんだろうこれ?」と疑問を持ちインパクトを与える。 当然、マヨラーと言われる若者は、興味本位で取るだろう。 おいしいわけだから、この店にしかなく、ヒット商品になるだろう。 ラーメン屋の職人にマヨネーズは邪道の食材だから、すぐに似たような商品は出ないだろう 本当に「とんこつラーメン」を食べたい中年のおじさんには、「とんこつラーメンはないのか?」と聞かれたら、不満の元だから応じることにしよう。 その結果は私の予想を上回り、一日に70杯も売れる大ヒット商品になりました。カップルをはじめ、女性客が増えたおかげで、大繁盛店になりました。 逆に売れていないCランクをやめた場合、確かにロスを無くした効率追求はできますが、品揃えに大した違いを感じさせません。だから、商品を入れ替え、お客さんに進化を伝えたいなら、Aランク商品の三番目から五番目くらいの売れ筋がいいのです。あまり売れていない商品をやめたところで、誰も気づかない。だから、進化が伝わらない。そんな代わり映えのしない店を女性は支持しないのです。これが、チェーン店に魅力を感じない理由です。 効率を追求することを教えてきたのはわれわれコンサルタントですが、よくよく考えると日本国中どこへでも同じような店を作ってきてしまったということですね。もはや考え方を変えないといけませんよね。 画期的な店の進化は、Aランクの商品をやめることから始まるのです。【送料無料】繁盛力より
2011.09.05
さて、ここで、ずっとお客さんを魅了しているディズニーランドの話をしましょう。 ディズニーランドは、シンデレラ城のミステリーツアーを2006年4月5日をもって終了しました。このアトラクションは1986年から20年もの間、人気を博してきたアトラクションです。おそらく、残念に思われる方も多いでしょう。 なぜ、やめたと思いますか? 実は、ここにヒントがあると思います。 店を進化させようと考えたら、ある程度続けてきた、Aランクの商品をおしまれつつも、やめなくてはならないのです。そうすると、少なからず、お客さんにはインパクトがあります。簡単に売れてしまう商品にしがみつきたくなる気持ちはわかります。そして、ある程度売れている商品ならば、やめた場合、お客様ばかりか、現場から「なんでやめたんだ」という声が出ます。 実際、「今売れているものをやめて、売上が落ちたらどうするんですか?」と必ず聞かれます。しかし、女性客はあなたのお店を卒業してしまった場合、どんなアプローチをかけても見向きもしてくれなくなります。そうなると、どうにもならなくなってしまうのです。いずれだめになるなら、まだ元気なうちに売れ筋を刷新し、新しい商品にチャレンジし、自分の店は努力していることを伝えないといけないのです。そして、それを女性は望んでいます。今、巷では「無作為」という言葉がよく使われますが、女性は、この「なにもしないで静観すること」を一番嫌うのです。 もっと、お客さんに喜んでもらえるように、危険を冒してでも、前に一歩を踏み出す、これが成熟の時代の基本なのです。大久保一彦の本【送料無料】繁盛力
2011.09.04
お店を進化させるためには、かつての効率重視のやり方を変える必要があります。 無限の市場があり、規模を拡大することで右肩上がりに成長が見込める時代には効率を考えることも大切なことは大切でした。 その時代に重視されたこと――それはロスをしないことでした。急成長のときはトップギアで進まなければなりませんから、とにかく効率を落とすこと――つまりロスを出さないことが大原則でした。 商品販売の原則でいえば、売れないメニューはやめる。売れるメニューだけに絞り混んで行くということです。 そんなときに便利な分析方法がABC分析でした。説明不要の方も多いと思いますが、ABC分析とは売上構成比を出し、商品をランク付けするものです。 商品を販売していると必ず、売り筋の商品がはっきりしてきます。これは、売りやすい商品と売りにくい商品がある、というわけですが、トップギアで走っているときは、売れない商品の扱いをやめることが、効率をあげる最善の方法でした。 しかし、市場が飽和した現在、女性はこのようなやり方をきらいます。ABC分析を利用して売れていない商品をやめることは、今や、どんなお店でもやっています。ジャスコやイトーヨーカ堂のような量販店、コンビニ、惣菜店、ファッションなど、もちろん飲食店の大小を問わずです。レシートに商品名が表示されていると思いますが、POSレジが発達した結果、どこでも、簡単にABC分析を利用できるようになったのです。 しかし、大きな問題があります。これは、女性が一番嫌う、本当に大きな大問題だと思います。どんなことが起きるかといえば――同じ業種では似たようなものしかおいていない、という現象になるのです。 たとえば、「イトーヨーカ堂」に行っても「ジャスコ」に行っても同じようなものしかない。看板が違うだけに見えませんか? 同様に「和民」に行っても、「白木屋」に行ってもそうです。 同じようなメニューが並んでいるように見えませんか? それは、お客さんが無意識に買うものは同じだからです。たとえば、あなたがそうした居酒屋に行った場合、サラダ、唐揚げ、玉子焼き、海老マヨネーズ、たこわさび、おにぎりなど、無意識のうちに注文してメニューがたくさんあるでしょう。それが原因なんです。 お客さんが日常的な利用の機会に、無意識に購買したり、注文したりするものの傾向はさほど差異があるものではありません。売れ筋だけで品揃えを考えた結果、似てしまうのは当然のことなのです。 この本で何度も説明のように、女性客は安易なマンネリを嫌うのです。これが、陳腐化したチェーン店に女性が行かなくなる大きな理由なのです。大久保一彦の本【送料無料】寿司屋のカラクリ
2011.09.03
売れないとなると、ばさっと商品を切り捨て、がらっと変わり身します。 もう、どうにもならないくらいいきづまっているお店なら、それもひとつの方法かもしれません。しかし、がらっと変更すれば、店は別物になってしまいます。 そうなると、今までのお客さんをすべて失います。前面リニューアルした後、以前の魅力を失い、あなたが行かなくなったお店の一軒や二軒、あるのではないでしょうか。 「進化する」ということは、がらっと変わることではないのです。今のいいところは必ずそのままにし、店が良くなったことを実感させること。それが、「進化」ということなのです。 内装を変えるなら、少しずつ、変えていきます。第二章でお話しした「鮮寿」のように、「前回とは雰囲気が違っている」となんとなくわかればいいのです。そして、その変わった部分が、女性が積み上げたセンスの歩調と一致していることが大切です。つまり、店は売れないから店を変化させるのではいけないのです。 女性にとっては、昨日とは少し違う自分を演出してくれるように、違う店に行かなくても、良くなっていると実感することが大切なんです。目に見ないけど、でも、実感できる、自分自身の潤いが大切なのです。つまり、お店はお客さんの人生のために、変化ではなく、進化しなくてはいけないのです。もちろん、今までの店を必要としているお客さんもいるでしょうし、そのレベルからスタートするお客さんもいるはずです。ですから、スタートはスタートとして高い位置にずらさず、その場所に残しておけばいいのです。進化したお客さんにだけ、自分が進化してあげることが大切です。大久保一彦の本もよろしゅう【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え
2011.09.02
女性客に卒業されないためにはどうしたらいいのでしょう。 まず、イメージの劣化を防ぐことです。イメージの劣化を防ぐには、急成長が見込まれているとしても、ある程度ブレーキをかけなければなりません。市場成長が終わり、成熟した段階でどこよりも、ブランド力があるように努めなくてはならないのです。というイメージを壊さないように拡大していくことです。妥協はしないことです。 例えば、「ドトールコーヒー」は食品スーパーのテナントでもありますが、スターバックスは、百貨店、駅ビル、ファッションビル、そのエリアでよりおしゃれな印象が強いか、高級感の強いビルや立地に出店しています。 もうひとつは、女性は年を重ね、収入が増すごとに、知識とセンスを身につけますので、一緒に進化していく方法です。店自体のお客さんへのサービスを進化させるか、あるいは、もう一歩上の店を造っていくこという方法にいきつきます。 例えば、「スターバックス・コーヒー」が出店して、女性が単なる便利さだけではなく、センスの良さやゆったりとした時間に価値観が移行したときに、「ドトールコーヒー」は「エクセルシオール・コーヒー」の出店を加速しました。「ドトールコーヒー」よりも、ハイセンスなイメージの店を出店し、「スターバックス・コーヒー」の要素と「ドトールコーヒー」の要素を融合し、お客さんの進化を促進しました。 しかし、このようにうまく「進化」できる店はまれです。その原因に、「進化」という言葉の意味が意外と理解されないことがあるでしょう。 その理由が店に変更を加える動機にあります。一般に、店がなんらかの変更を行う場合は、売上が悪くなり営業が厳しくなったという背景があることが多いです。内装やメニューを一気に変え、一発逆転を狙う。そんな事情です。例えば、「今の内装は流行らない。個室にしよう」「もう、このメニューは流行らない。女性に支持されるようにヘルシー指向一本に変更しよう」です。このような目論見はお客さんを進化させようというのではなく、自分の見せ掛けを変えようという場合が多いです。次回に続く大久保一彦の本【送料無料】善の循環経営
2011.09.01
お店に求めるものは、年齢やその時々の生活環境によって変わっていくわけで、お客さんは時には、飽きてしまったりしますし、ある世代を経て、次のステップの店に進んでしまうことがあります。特に女性は好奇心が旺盛ですから、その傾向が強いのです。価値観が変われば、その店を「卒業する」ことになります。 たとえば、お好み焼きチェーンの「ぱすたかん」のお手伝いをしていたときのことをお話しましょう。スパゲッティ専門店の「ドナやケーキ」とパスタの店「ダッキーダック」などを展開する株式会社東亜フードサービスが展開するお好み焼き、もんじゃ焼きの専門店が「ぱすたかん」です。新宿や渋谷などの繁華街や首都圏の駅ビルに出店し、女子高生以上の若い女性にたいへん支持されています。山芋が踏んだに入っているお好み焼きはとてもおいしく、値段もリーズナブルです。 しかし、不思議なことがあります。女子高生は高校を卒業したとたん、それまでかなりの頻度で来店していたのに突如として来なくなってしまうのです。 私は「ぱすたかん」をお手伝いしていたころ、その理由を、お好み焼きのソースのインパクト――たとえば、私が見ていたメニューチームの開発した「明太マヨネーズ」などのソースの味のインパクトが強すぎ、年齢とともに卒業してしまうのだと考えていました。しかし、私自身も年を経るごとに、行く店が変わってくることを自覚するようになり、どうやらあの女子高生も、年齢や職業などによって、利用する店が変わったんじゃないかと思うようになりました。現に、まわりのスタッフに聞いてみると、次のように店をある意味、卒業し、次の店を利用するようになることがわかりました。 高校生のときはみんなで集まってしゃべりたい年頃、かつ、当時「お好み焼き半額券」を配っていた「ぱすたかん」は予算が魅力的だった。しかし、大学に入ると、バイトなどもするので、ある程度、TPOに合わせて店を使い分けるようになり、少し、おしゃれで価格が魅力な居酒屋チェーンに移行する。そして、就職し、OLになると、カジュアルイタリアンやアッパー型居酒屋と呼ばれる居酒屋チェーンよりも気持ち高めのおしゃれな店に行くようになる。 つまり、女子高生のころはお酒が飲めないので、食べ物のウエィトが高い業種に行く。だんだん、お酒を飲めるようになり、収入が増えると、時間を過ごす雰囲気が重要になる。こんなことがわかったのです。これは、男性も同じで、年齢、職業、収入、地位、ライフスタイルなどによって、行く店が異なってくるのです。人は自分の成長に応じて、店を卒業するのです。 これは、「ぱすたかん」の魅力がなくなったいうことではまったくありません。実際、私は長年さまざまな外食産業の商品開発チームを見てきましたが、画期的な商品を開発してきたと思います。たとえば、今ではどんなお店でも当たり前の「温泉玉子のせ」や「明太マヨネーズ」などを使用したメニューは「ぽすたかん」から始まった――といえばその優秀さがおわかりになるでしょう。 「ぱすたかん」に来ていた女子高生が「卒業」する、というのも、女子高生という割合と早いライフステージの客層にフォーカスして集客していることが原因で、その反動なんです。ですので、ごく、自然なことです。 ただ、面白いのは、「ぱすたかん」は郊外の大型ショッピングセンターでファミリーを集客できたということです。この理由も、こう考えられます。 まず、ショッピングセンターのランチで食べ物のウエィトが高い時間だった。また、子供がいると、食事食の強い店を選ぶ。女性は自分の好みを変化させますが、子供の誕生で、子供の消費をベースに行動するようになるのです。これも、ある意味、自分へのおしゃれからの卒業(移行)と言えると思います。大久保一彦の本【送料無料】繁盛力
2011.09.01
炉だいどころ田に出没!こんな戦略もあるって店。炉だいどころ田東京都町田市森野1-14-9電話 050-5816-3841
2011.08.31
今ではスターバックスも、店数が増えましたし、地方にも出店しましたから、「本日のコーヒー」などのメニューを置いて便利さに対応しなければならない面もありますが、「スタバ」は細部はどこをとってもすばらしいです。 その中ですばらしいのはコーヒーの品揃えです。品揃えというよりは、コーヒーの楽しみ方のバリエーションがあるのです。 これは、コーヒーを楽しむ時間を演出するためというコンセプトのもと出しているバリエーションです。 ちょっと、列挙してみましょう。ラテもカプチーノもある。(ほとんどのおじさんはラテとカプチーノの違いがわからなかったと思います。その証拠にいまだに「スタバ」で「コーヒーください」というお客さんは、いっぱいいましたから……)コーヒーにいくつもの飲み方がある。普通の牛乳、ローファット、豆乳。豆にも、普通のものもあれば、カフェイン抜きもある。サイズもいろいろ。(ドトールコーヒーのコーヒーは昔、サイズがひとつだった)トッピングもいろいろ。豆の袋にシーズン性があるコーヒーを楽しむためのCDを売っている。一緒に食べるとおいしいチョコレートやお菓子もあるカップもいろいろある容器の提案がある エスプレッソマシーンなどの機械を売っている すごいですよね。これらが「スタバ」です。コーヒーを楽しむ時間を提供するためには、コーヒーそのものだけでなく、コーヒーを通して、ありふれた日常を良くしてくれ、ちょっとセンスあるいい暮らしをするための手段のありとあらゆるものをそろえるのです。 これが「スタバ」が女性にうける理由なのです。大久保一彦の本【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え
2011.08.29
「スターバックス」の成功要因をもっと掘り下げ見ましょう。 だれがみても、スターバックスの入り口が洗練されている印象を持つと思います。その秘密が、色と材質です。 ドトールコーヒーの入り口は、コーヒー豆や関連商品を並べる、大衆的な色彩を基調としています。それに対して、モスグリーンを基調とした、大人っぽい印象です。モスグリーンは、色としては寒色で冷たい印象ですが、既存にあるものと比べて、大人っぽい、あるいは洗練された印象を与えます。 当時の「ドトールコーヒー」の出店はバブル崩壊後の賃料の下がった環境というのはありましたが、坪3万円以下のところが多かったです。 しかし、「スターバックス」は当時「ドトールコーヒー」があまり手を出さない坪3万円以上の超一等地に多額の保証金を積んで出店していました。というのも、「スターバックス」が出店を始める頃にはドトールコーヒーはある程度の場所に店を構えており、唯一、無かったのが超一等地だったのです。でも、それは正解で、この「スターバックス」の入り口の印象作りと持ち帰り主体の小さな店作りが、このような超一等地には非常にフィットしていました。 当時「ドトールコーヒー」は、カップやトイレ、そして、空間の素材は二〇〇円くらいのコーヒーとしては上質でしたが、店内での飲食が主体で、肩幅よりちょっと広いくらいの狭小空間が客数を決めるポイントでした。おのずとある程度席数がある場合が多かったのです。時に、お客さんの便利さを確保するために、となりの「ドトールコーヒー」から数十メーターの場所に店を構えることもありました。これは、お客さんがドトールコーヒーに対して便利さを期待していたからであります。 一方、先ほど述べましたが、「スターバックス」は、カップをアクセサリーのように身につける時間そのものを演出していました。ロゴの入ったカップを持ったり、飲んだりする時間を、お洒落な行為として印象づけるためにそうしたのです。「ドトールコーヒー」は男性的、「スターバックス」は女性的。この違いを、立地や店の作り方をあえて打ち出して、鮮明にしていったんです。それが、あれだけドトールコーヒーが強かったのに、スターバックスが成功できた要因です。大久保一彦の本【送料無料】善の循環経営
2011.08.28
「スターバックスコーヒー」が女性にうけたのも、コーヒーがおいしいからというシンプルな事情ではないと私は思います。もちろん女性にうけるわけですから、細部にいろいろなことが詰まっています。ちょっとみてみましょう。・全席禁煙にし、コーヒーの香りを純粋に感じる空間にした・カウンターにスタジオ風のスペースを作り、「バリスタ」といわれる、コーヒーの職人に・・スポットライトをあてた・ディスプレイがおしゃれペンダントライトがそこらの店にない・ソファーやテーブルがおしゃれ(もちろん、開かずのソファーはかなり上質)・容器がスタイリッシュ・スッタフがかっこいい 細部を見渡すと、どれもハイセンスな印象になっています。まず、ここが女性に受けました。 一般にハイセンスにまとめると「入りにくい店」になりがちですが、狭い店にし、真ん中に上質なソファーを置き、うまく店作りをしています。幸運にもソファーに座れたお客さんにはゆったりとした時間過ごしてもらいます。だれもいなければゆっくりできますし、だれかが座っていれば、ゆったりした空気を感じます。このメッセージが過ごす時間を感じさせます。 「スタバ」が日本に上陸する前からあった「ドトールコーヒー」は、商品そのもののおいしさと便利さ、スピードに重きをおき、機械化し、誰が入れても同じ品質を出せることを重視してきました。コーヒーのコンビニのような存在で、200円くらいでコーヒーを飲む時間を気軽に楽しめる便利な店でした。 それに対して、「スタバ」は「コーヒーを飲む優雅な時間」に焦点をあてました。機械で入れる「ドトールコーヒー」と違い、バリスタが入れる「スタバ」は、ぬくもりのようなアナログ感覚を重視しています。同じ、満席でも、ドトールコーヒーとスタバが違って感じるのは、このような違いが起因しています。 「同じコーヒーを飲むにしても、お気に入りのスタバで飲みたい」「コーヒー手にするにしてもおしゃれな『スターバックス』のカップがいい」「スターバックス」は生活の一部、ファッションに一部、そう、女性は思っているのです。数年前のブームの時、中にはわざわざバイトしたり、転職したりした人も多いです。「スターバックス」にはまった女性は、スターバックスが自分の時間の中に組み込まれているのです。大久保一彦の本【送料無料】繁盛力
2011.08.24
かつて定食屋といえば、一階に出店するものだったのです。一階であれば、食欲による衝動来店を取り込みやすいからです。「大戸屋」以前の定食への来店の決め手は、店を見て、「そうだ、ハンバーグ食べたいな」という食べ物を想像させ、来店させるやり方が一般的でした。お客さんを遠くから引っ張ってくるのは無理です。それよりは、目の前にいるお客さんを捕まえたほうが簡単でした。 マクドナルドの立地調査部を経て、今では立地の大家として知られる林原安徳氏によると、一般的には一階に出店したほうが客数は増えるそうです。 『これが繁盛立地だ!』(同文舘出版、二〇〇二年)という著書で、林原氏は、同一条件の店が一階に出店した場合と比べると客数は、二階が87%、三階が61%、四階が47%、地下一階が81%、地下二階が56%になる、という研究の成果を述べています。 つまり、以前は立地条件のよい場所の一階で商売することが定食屋の商売の基本だったのです。 定食屋が一階の出店にこだわってきた背景には、二階以上や地下は「来店の気軽さが落ちる」という心理的な障壁が理由でした。しかし、ランチを出すお店が増え、たんにおいしい定食を売っていればいい、という状況でなくなったときに台頭したのが「大戸屋」だったのです。 林原氏は著書で、「看板をうまく使い、自然に店があることをお客さんに認知させれば来店率は変わる」とも述べています。看板をつけることで売上をあげた例は枚挙にいとまがありません。もし、看板を使うことで、来店率が一階と遜色が無くなるのであれば、二階や地下に出店するメリットは大きいはずです。 まず、昔は、賃料が半分になるとていうこともありました。一般的に飲食店の賃料は売上の10%以上を占めるケースが多いですから、これによって経営効率は大幅に上がりました。 そして、二階に出店すると、「ゆったり感」を感じさせる演出できます。賃料が相対的に低いわけですから、その分席をゆったり確保できるわけで、お客さんは食事をし終わっても「とっとと帰らなければならない=食べるだけ」と感じなくなるのです。つまり、商品から、過ごす時間に商店が移ったのです。この点が非常に重要です。そして、大戸屋は女性が評価するこまかなパーツが揃っていました。・暖かさをかんじさせるナチュラルな素材の内装・通行人から食べている姿を見られたり、のぞかれることもない・ヘルシーな印象のメニュー・庶民に大切なソースや塩などへのこだわり・エスプレッソ50円(昔はそうでした)・デザート 「大戸屋」は、このように定食屋の隙間をぬって大きく成長しました。 二階や地下一階などの従前の定食屋の出店しない場所に出店し、慌しいイメージがあった「昼食を食べる」という従来の定食屋のイメージを払拭し、「おしゃべりをしながら、ゆったりと食事をする」にフォーカスして、定食屋の取り込めていなかった女性、それも若年の女性を取り込み、成長したのです。 「大戸屋」の提供したものは、日常的な食のやすらぎの場所であり、時間でした。これが成功要因だと私は思っています。 この重要な骨格にひとつの商品のイメージを強く感じさせないということがあります。いろいろ品揃えが多いことも「大戸屋」の成功要因だと思いますが、私は、従来の食堂の前オーダー、前払いというシステムを継承したことが大きいと思っています。店頭のショーケースである程度商品を見て、店内で席に案内されて、メニューブックをじっくり見て選ぶというのが従来のチェーン店のやりかたです。 しかし、「大戸屋」は店内に入ると、大きなメニュー表から自分の好みをあまり考える時間もなく、すぐに選ばなくてなりません。思いつきで頼んでしまうものは、自分の慣れた選択肢にある自然なものです。それが、商品の印象を薄くするんです。無意識に店に入り、無意識に選び、話に専念する。それが「大戸屋」が女性に支持された理由なのです。 このやり方ですと、特定のメニューで来店の決め手を作れませんが、そのほうが、「食事の時間」という要素を強く感じることができるのです。 女性は定食屋においても、過ごす時間を大切にするのです。大久保一彦の本もよろしゅう【送料無料】成功する小さな飲食店の始め方
2011.08.23
女性に人気のある定食チェーン「大戸屋」も、実は「ニューヨークグリル」の事例と同じです。つまり、過ごす時間を売っているからです。 そう言うと、 「えー、ニューヨークグリルと大戸屋じゃ、全然違うじゃないか?」 と思われるはずです。確かにそうです。でも、女性の心をつかんでいるポイントはまったく同じです。 定食屋と聞いて、あなたなら何を想像しますか? もしあなたが男性なら「生姜焼き定食」「とんかつ定食」「ハンバーグ膳」「かつ丼」など、具体的な商品を想像するんじゃないでしょうか。 しかし、その点、女性はまったく感覚が違います。おそらく女性からは、お店のイメージが返ってくるはずです。「おしゃれじゃない」とか、「知らない人と並んで食べるなんて」と。 「大戸屋」という定食屋が女性に評価されたのは、この心理に働きかけたからです。 「従来の定食屋は入りづらい。大戸屋は一人でも入りやすい」 言うまでもありませんが、これが女性の本音だったはずです。 実はこのギャップは、女性と男性の来店動機の違いにあります。 男性は「うまいものを食べに行く」という動機が主です。しかし、女性は「あの店に食べに行く」という動機が主なのです。 ですので、男性はもの、すなわち、商品から店選びを行います。しかし、女性は「そこでどんな時間を過ごせるか?」というシーンから店を選ぶのです。「大戸屋」が従来の定食屋と異なり、女性に評判になった理由は、商品でなく過ごす時間を売ったからなのです。次回に続く大久保一彦の本【送料無料】繁盛力ただいまの連続コラムはこの中にあります。
2011.08.23
さて、高級店でもバイキングを導入して人気の店があります。あなたは、五〇〇〇円以上のランチと聞いてどう思いますか? 「高いな……」 「そんな店、流行るわけがない……」 でも、こんな価格帯でも、予約をとるのがなかなかとれない状態の続いているレストランがあります。しかも、女性に絶大になる人気を誇るレストラン。 それが、新宿のパークハイアットにある「ニューヨークグリル」です。 「ニューヨークグリル」と聞いて、「ああ、あそこか」と思った方も多いと思います。もう、10年以上も人気を誇っているのです。 最新のホームページの情報によると、いちばん安いランチでも、6200円。しかも、消費税、サービス料別途。いくら都会の真ん中だとはいえ、常に満席なのは何か秘密があるはずです。 「ニューヨークグリル」は、新宿副都心にあるパークハイアットホテルの52階にあります。ダイヤモンドを散りばめたような夜景ばかりではなく、昼間の眺望も実にすばらしいレストランです。でも、新宿にはこのような環境を備えたレストランは他にもたくさんありますから、眺望が原因だとしたら、これほど人気にはならないはずです。 そこで、違う部分に目を向けると―― まず、店内の雰囲気ですが、天井が非常に高く、モダン。入り口で聞こえるピアノ音が非日常のゴージャスな雰囲気を引き立てています。店内はオープンキッチンです。野菜や果物がディスプレイされ、野菜や果物といえども、どこになにを置くか、設計段階から決まっているそうです。そんな細部にもこだわりが行き届いているのです。 しかも、会計が終わった後は、「なんか、安かったなあ」と感じさせてくれる。 その秘密は、バイキングにあると思います。バイキングというと、大衆的な店のような印象がありますから、ここではブッフェと言い代えておきましょう。ブッフェが、実は女性に人気な部分だと私は考えているのです。 「ニューヨークグリル」では前菜をブッフェにし、お好みの前菜をメインが出てくるまで好きなだけ選べるようにしてあります。 人によって満腹感は異なります。体格のみならず、日常的な生活環境によって違ってくる問題です。たとえば、早食いの人は量を必要としますし、ふだんから薄味を心がけている人は、少しずつ、ゆっくりとお召し上がりになります。この差が、会計時に「高かった」と思わせてしまう原因なんです。 しかし、ブッフェにすることで、このような満腹度からくる不満を解消したのです。 併せて、大きな店ですから、あれだけの客数の料理をこなすのは大変なことです。オーダーが入ってから料理を作る本来のやり方では提供までに時間がかかり、「サービスが悪い」と思われてしまうこともありますが、その不満も回避することができます。 前菜に冷たいものが多いのは、少しでも料理の提供を早くするという目的があります。前菜を出すタイミングなどに気をとられ、いいサービスができないことがよくあります。前菜をブッフェにすることで、そんな余計なことを考えず、サービスに集中できるのです。 そして、いろいろな種類がありますから、それを見ているだけでも楽しくなります。この心のワクワク感が、お客さんの満足度を高めます。女性客は「何を選ぼうか」ととても贅沢な想像を働かせ、食卓で楽しみます。 頃合を見て、優雅にスタッフ近づいてきてこう言います。「こちらのお皿をお下げしてもよろしいですか?」まるで映画のワンシーンのように時間が流れ、その優雅な時間を感じているとメインの料理がやってきます。「わぁ!」テーブルにメインが提供されると、今までのブッフェの幕を閉じ、高級レストランのテーブルに移ります。「なんて素敵な時間なんでしょう」だでもが、そう思っているに違いありません。 しかし、ニューヨークグリルのランチはそれで終わりません。 「お客様、デザートのお席を眺めの良いあちらのお席のほうに用意してございます。いかがでしょうか?」「ニューヨークグリル」はさりげなくダメ押しをするのです。夜はバーとなるスペースで、食後のデザートを楽しめるのです。それも、「いくらでもゆっくりしてください」というメッセージが折り込まれたブッフェのスタイルで、です。 すでに、前菜とメインでお腹は満足なのですが、思わず食べてしまいます。そして、ソファーでゆったりすることもできるのです。午後の日差しと素敵な風景が夢見午後地にしてくれます。 ここまで充実していると、「なんと安いランチだろう」と思うでしょう。 グリルというと、「肉」というイメージがあり、男性的なイメージがあると思います。しかし、昼の「ニューヨークグリル」が女性に支持されているのは、実は、優雅な時間を何の気兼ねなくすごせるからです。夜の「ニューヨークグリル」は、どちらかというと記念日に男性が女性を連れてくる店になっているんじゃないでしょうか? みなさんも、ぜひ、この優雅な時間を体験してみてください。ただし、3ヶ月待ちのようですが・・・大久保一彦の本【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え
2011.08.22
数年前の私はよく、「野菜バイキングのブームは続きますか?」と聞かれました。 「おそらく続くでしょう。ただし、『健康に良さそう』という根底にある安心感が重要な部分を占めているので、その前提が壊れない限りは……」と答えます。 野菜バイキングのお店には、農家の写真がよく飾られておりますが、その農家から年中、本当に仕入れているんでしょうか?何店舗も経営している店が多いですが、本当に量が確保できているんでしょうか? もし、「生産者の写真は一部で誇大広告でした」とか「天候などがあるんで市場流通の商材も使っています」とか「それは実は一部でした」などということになれば、当然そのお店は終わるでしょう。 話を元に戻しましょう。 今、野菜バイキングを利用しているお客さんにしてみると、健康に良さそうな料理を食べることができる。「健康」は確かに、女性を引きつける魅力だと思います。確かに、店のパーツとしては今までのファミレスなどよりも揃っています。 しかし、それだけが女性に支持される理由ではありません。 バイキングですから、好きなだけ食べることができる、ということも大きな魅力かもしれませんが、こと女性にとってみれば、長居できるということがこの店の良さなんだと思います。そして、だからこそ、多くの女性受け入れられたのです。 第一章のオムライス店の例でお話しましたように、女性に支持されるには、バリエーションを出すことが大切です。「女性は選ぶ楽しみが大切」とよくいいますが、この野菜バイキングのように選択肢を多くして、バリエーションを出すことで、特定の商品を感じさせないようにして、その店に行ったという時間にフォーカスさせるのです。女性は、別に、売りなるような四番バッター商品のような特定の料理を求めてきているわけではありません。この店で食事をする時間のために来ているのです。 女性は多少単価が高くても、おしゃべりできる店を選びます。そのスイートスポットを、結果としてうまくついたのがこの違う思いで元岡さんが始めた野菜バイキングだったのです。大久保一彦の本【送料無料】成功する小さな飲食店の始め方
2011.08.21
巷で人気の野菜バイキングというスタイルは、熊本県にある「ティア」がはじめたものです。 「ティア」という店名は、「土(T)に命(I)と愛(A)ありて」の頭文字を取ったものです。「健康は食が作るもの」をコンセプトに、元岡健二さんが10年位前に始めた、自然食品オンリーの料理を提供するお店です。このお店の形態を多くの方が取り入れ、後から出てきます大山農協の「木の花ガルデン」や「野の葡萄」など「自然派バイキング」として世の中に定着しました。今では、流行に乗って同じ業態を始めるかたも多いです。 私は、5年ほど前より、元岡さんのところに何度となく出向いてお話を伺いそう思うのです。以前、こうお話されたことを思い出します。 「最初はお客さんが本当に入らなかった。時には何の店かわからず入ったおじいちゃんのためにうどんをつくってあげた。でも、子供を身ごもった女性がはたと気づき、食事を改める。そんな姿を目の当たりにしたとき、この店は必要とされている、と自信を持った」と。大久保一彦の本【送料無料】善の循環経営
2011.08.20
男性から見ると、ひがみともとれなくはありませんが、女性は自分だけがサービスを受けられず遅れをとることを嫌います。 セミナーで知り合った下町の漢方を扱う薬店のお話をしましょう。このお店は、先代から三〇年にわたりDM(ダイレクトメール)を送っているそうです。三〇年も前からやっているというのは驚きです。そのオーナーが二次会のお酒の席でこうおっしゃられました。 「いやー、三〇年もDMやっているからやめられないんだよ」 「それっていいことじゃないですか?」 「でもね、下町だからさ、何か手違いがあったりして、誰かにとどいていないと大変なんだよ。『私だけ来ていない。これは何か意図があるんだわ……』こんな感じなんだよ」 「井戸端会議があるからばれるんですね?」 「で、下町らしいんだけど、電話して来るんだよ。『あんた、うちにはチラシ送ってこなかったわよ』ってね」 「それはたいへんですね」 「でもね。『すいません。次回来た時にサランラップ一本つけちゃうんで許して下さい』って言うんだよ。すると『あらそう。ならいいんだけど』と安心するらしいんだ」 このやりとりはとても面白かったんですが、女性には横並び発想があるということに気づかせていただきました。女性に支持されている店は、この横ならび発想をうまくくすぐるか、フォローできている店だと言えるのではないでしょうか。大久保一彦の本【送料無料】繁盛力
2011.08.20
さきほど、三つとお伝えした安心感につながる要素ですが、実はもうひとつ、「女性の横並び意識」というのも付け加えておきたいと思います。 女性は、集団を意識すると横並び発想というものが芽生えます。 例えば、仲間内の井戸端会議で話が出た店があるとします。その話に出た店に自分だけがいったことがないとすると「不安」を覚えます。この不安を拭い去るために、ものを買ったり、店に行ったりさまざまな行動をします。第一章の「下町のナポレオン」の「LOUIS VUITTON」の話をした時の女性特有の視点ですが、女性は、家を守り、ご近所付き合いをするからこそこのような心理が発現するのだと思います。この真理抜きには女性に支持される店は作れません。 この「横並び発想」というのを見てみましょう。大久保一彦の本【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え
2011.08.20
女性はさきにあげた安心感の要素のうち、とくに、この三つ目を重視します。雰囲気というのはつまり、さっとのぞいてみて、あるいは外からうかがって、「自分が場違いでない」「なんか感じ良さそう」こんなふうに思わせる要素があるかどうかです。 この雰囲気を作る要素は、内装のようなハードのほかに、従業員やお客さんなど、お店に存在している要素が影響を与えます。 たとえば、スタッフがおじさんばかりであったら、お客がすべて男性、しかも、おじさんばかりであったら、女性はやはり入りづらいと思います。 以前、看板のアイワ広告と八王子にあるとある居酒屋チェーンの看板をお手伝いさせていただきました。この店は若者をターゲットにした創作鉄板焼き居酒屋です。ただ、このお手伝いした八王子店は、二階にあり、間口も狭いので目立ちませんし、CIの白地に墨字の看板では若者がターゲットというのはわかりません。 そこで、「呼び込み名人」という映像を流せる置き看板を設置いただき、若いスタッフがカクテルを作ったり、接客したりする姿の伝わる映像を流してみました。すると、翌日から売上が激増し、1・5倍になったことがありました。今まで取り込めていなかった若い女性客が激増したことが、売上増の大きな理由でした。 その理由は、女性に雰囲気が自分に合致していることを映像を使いさりげなく伝えたことが大きいです。ぱっと見、おじさん向けの店ですが、映像を見ると若い従業員だから安心感を与えたのです。 「女性」と、ここでは便宜的にひと口に言わざるをえませんけれども、たとえば女性向けの雑誌は種類がとくに多くて、細分化されていますよね。それは、それぞれの年齢や、職業などの環境などで、服装やものや店をいいと思うテイストが様々だからといえるでしょう。 この微妙な差異をセグメントして、ターゲットの好む「雰囲気」をつくることが、入店を誘う「安心感」となるんです。 ですので、女性に安心感を与える場面では、どの層に、どんな安心感を与えるのかを考えてるべきでしょう。 たとえば、若い女性向けのお店や郊外や地方のお店だったら、誰にでも受け入れられやすい庶民的な雰囲気の方が安心感につながるでしょう。 一方、丸の内のような場所・客層では、少し尖がって、クールでモダンな雰囲気の方が逆に安心感を醸し出すでしょう。配色、材質などを工夫しなければなりません。ナチュラルであったり、カントリー調であったり、ターゲットの個性に合わせて安心感を用意しなくてならないのです。大久保一彦の本【送料無料】成功する小さな飲食店の始め方
2011.08.20
お店に入る動機はさまざまです。 「お腹が減ったから、何か簡単に食べたいなあ」とか、バーゲンの帰り「足も疲れたし、トイレにも入りたいし」というように、具体的な動機をもっているときもあるでしょう。また、これを買いたいというような目的はなく、ふらっと入ったり、ふらっとはしごをしたりするような場合もありますね。お店に入ること自体が目的です。ふらっとでもなんとなくでもととりあえずでもいいのですが、そんなとき女性の入店の基準として見逃せないキーワードが「安心感」だと思います。 安心感を与えるにはどうすればいいのでしょうか。 安心感を醸し出す要素は、具体的には三つあると思います。(1)そもそもの利用が「失敗しない」という安心感(2)「予算に見合う」「懐具合に見合う」という安心感(3)「雰囲気」の安心感 初めてのお店に入るとき、これは誰しもが思うことでしょう。まずは、「失敗したくない」という心理。そして、端的に経済的な事情。「失敗したくない」という印象にこたえるには、第一印象作りが大切になります。水打ちにしても、これからみるさまざまな方法にしても、この第一印象作りのために行うのです。 さて、売れていない店は、店舗に限らず、チラシや広告でも、「買ってくれ」というメッセージが、五つも六つもあります。なにからなにまでメニューが書いてあって……そんなお店は、だいたい売れていません。その理由は、これらは安心感を与えようとしてやっていることなんでしょうが、実は、「なんか外しそう」と店に入ると失敗することを予感させているのです。ちょっと、図をみてください。この焼肉屋は千葉県の稲毛海岸の駅前の雑居ビルにあるのですが、「やばそう」と思うでしょう。実は、最高級に肉を使っていて、安くておいしいのですが、あれやこれや掲示しすぎて、かえって、「失敗しそう」と思いませんか。実は、いいものである雰囲気を殺いでいるのです。 最近、不祥事があったあとに、お詫びの記者会見をしているシーンをテレビでよくみかけます。なんか、いいわけめいた説明を繰り返しいると、かえって、喉につっかえたような何か違和感を覚えますよね。それより、非を認めたうえで、「すいません」と、潔くお詫びしたほうがすっきりしますよね。あれと同じで、あまり、なんでもかんでもメッセージを発することは「失敗しそう」という第一印象を作ってしまうのです。大久保一彦の本【送料無料】「カフェ」の始め方・儲け方増補改訂版
2011.08.20
「入り口の次がどうしてトイレなのか?」と思う方もいるでしょう。しかし、女性の来店の条件として、トイレは看過してはならない問題なのです。 私が外食産業に携わって何年も経ちますが、お店のトイレほど進化したものはないでしょう。東京ではほとんどの店がトイレを洋式便所、しかも、ウォシュレット付にしました。 トイレを綺麗にすることが、女性をひきつけるためには欠かせないことなのです。清潔であること。また、そう思えることも見逃せません。 そして、「使いやすいこと」です。 「お店に来るのであって、トイレに来るわけじゃない」 こう思っている人もいるかもしれませんが、実際には、そうではないようです。 たとえば、トイレを変えた先駆者的な店としてドトールコーヒーがあげられると思います。というのも、以前、オフィス街や駅前というと、トイレを探すのが大変でした。 駅のトイレはあまり清潔ではなかったですし、いたずら書きもいっぱいでした。オフィス街はランチタイムや夕方でないとお店が営業していないので、用を足すために喫茶店に入ったわけです。あるいは百貨店に入ったり、ダイエーやイトーヨーカ堂のような大型スーパーを探したりしてトイレを利用することが普通にあったんじゃないじゃないかと思います。そういう時代ですから、女性は大変だったと思います。 しかし、事情は大きく変わりました。 ドトールコーヒーがバブル崩壊後から急速に店舗を増やし、二〇〇円程度出してコーヒーを飲めば、気軽にトイレに入れるという便利さを手にしたのです。 ドトールは「トイレに行く」というファーストフードやディスカウントコーヒーチェーンにある来店動機に気づいていたんだと思います。 確かに、それよりも前から、アメリカのチェーンのマクドナルドなどはトイレを定時に念入りに掃除しましたが、セット売り主体のハンバーガーチェーンは「ハンバーガー」というイメージが強くありました。トイレに入るだけに利用するというのには、ハンバーガーは気軽さに欠けていたと思います。そこに登場したドトールコーヒーはコーヒーだけでいいということで、お客様にとってはありがたい存在だったんだと思います。 さらに、ドトールコーヒーは、高品位のイメージ付けを加えることで、トイレの利用がしやすくなりました。例えば、ドトールコーヒーではコーヒー豆を炭火で焙煎しています。たった一杯200円前後のコーヒーですが、商品そのものが価格に見合わないくらいのグレードをもっています。コーヒーをさらにおいしく感じさせるために、いいカップを使っています。以前、価格の安い店というと使い捨てカップの店も多かったですが、コーヒーを飲むことにこだわっています。内装も決して一杯の値段を感じさせないグレード感があります。こんなことの積み重ねが、ドトールコーヒーでトイレに入る人が増えた原因だと思います。多くのOLがトイレを利用しました。 低価格で販売しているにもかかわらず、ここまでやっているドトールコーヒーのような店が増え、トイレに対する意識が変わりました。次第に、消費者があきらめかけていた公共施設のトイレなどの評価をするようになりました。そして、当然のごとく、企業などのイメージをトイレが反映するようになり、トイレは良くなりました。 今や、トイレは社会インフラであり、企業や店の評価のスタンダードとなったのです。 現在、トイレの評価基準は清潔であること、よくメンテナンスされていること。店のグレードよりも少し高めになっていることが求められています。単に清潔なだけでなく、洗面台、鏡、壁紙、建具、照明に工夫が必要となって来ました。 女性のトイレではさらに化粧直しの場として機能拡充する店が増えています。 洗面台を複数用意する店が増えたり、「囲炉裏料理と日本酒スローフード」と銘打つ人気店「方舟」のように、歯ブラシなど、ホテルのようなアメニティを取り揃えたりして、評判になっている飲食店も登場したくらいだからです。 また、この間、トイレは女性にとって別の重要な用途も増えています。飲食店ではメールを確認する場となっているのです。食事や飲み会で女性がトイレに立つことがありますが、メールを確認しに行っていることも少なくはないのです。ですので、間接照明でも携帯の使いやすい環境にすることも考えておくべきです。 これからも、トイレはますます進化するのでしょう。大久保一彦の本【送料無料】善の循環経営
2011.08.20
笑う人がいるかもしれませんが、中国地方にある、とある居酒屋では水打ちを励行して、売上が二〇%上がったこともあります。 そればかりか、私が以前所属していた「新宿さぼてん」でもこんなことがありました。ショッピングセンターに出店していた、不振店を任されることがよくありました。売上が悪く暇ですから、従業員全員でショーケース前を雑巾がけしました。もちろん、私も率先してモップを使わず、汗だくになって雑巾がけを励行したのです。 すると、不思議なことに、売上が奇跡的にあがったことがありました。それも一度や二度ではありません。おかげで、担当の三十数店舗、全店、前年比クリア、目標売上、目標利益クリアという離れ業を達成できたのです。掃除で売上があがるとはいいませんが、不思議な力があるようです。 では、ここで水打ちのポイントをお話ししておいましょう。 用意するものは、箒、ちりとり、ゴミ袋、軍手、バケツです。 まず、自分の店の周囲一〇メーターのごみを軍手で拾います。歩道や植え込みなど、ひとつもごみがないようにします。そのときに、ごみのないすがすがしい気持ちになると思います。 次に、雑草を抜きます。続いて箒で掃きます。 最後が、水打ちです。「気持ちよく来店して欲しい」そんな気持ちで水を丁寧に打っていきます。とくに、人の通る場所は入念に行います。 このようなことをしていると、人が声をかけてきます。そのときは、気持ちよく言葉を返しましょう。すれ違う人にも、「こんにちは」「こんばんは」と声をかけましょう。 もし、余裕があったら、町内中まで掃除の箇所を広げましょう。 この店前の掃除をくりかえしていると、風が強い、木枯らしが吹き荒れる日にあなたは気づくはずです。店前の手入れをしていない店がなんと寒々しく見えるか。その店が死んでいるように見えるか。 繁盛店のオーナーは、この差に、当たり前のように気づいているのです。大久保一彦の本【送料無料】ダントツ飲食店の繁盛ノ-ト
2011.08.20
売上が低迷されている、とご相談をいただくお店に共通点が、まさにこの入り口です。お店を拝見すると、たいていの場合、入り口に「どよーん」とした空気が漂っています。 店に、「気」がないというか、「入りたい雰囲気じゃないな」「何かあるな、と思わないな」こんな印象を受けるのです。 こうした状況を、私たちは「盛況感がない」というのですが、コンサルタント料を払うより、入り口回りをまずはしっかり見直したほうがお金の使い方としては正しいと思います。 入り口は、人でいう人相です。よく、カリスマ美容師が主婦を変身させる企画をテレビでやっていますよね。カリスマ美容師が手がけるとまったく別人に……あれです。ああなると人が寄ってきそうな印象持ちますよね。そう、人相は女性を呼ぶのです。 水打ちは、化粧のように人相ならぬ、「店相」を良くするいちばん簡単な方法なんです。 盛況感のない入り口は、「気づかない」どころか、「気づかないで!」と言っているようなものです。つまり、入り口を綺麗にしておくことは、お客さんを迎え入れる心構えとして大切なばかりか、お客さんがお店に気づくきっかけとしていちばん大切なのです。 「どよーん」とした空気は、逆にエネルギーを吸い取るだけです。自分を元気にしてくれる店、自分に潤いを与えてくれそうな店に自然に目が行くものです。そして、何かワクワクするような印象を入り口に出ていれば、「働かせてください」という従業員志願者すらやって来るようになります。 女性は恋愛するように店を求めています。死にそうな店には恋ができないのです。 そして心の澄んだ人に恋をします。店も心が澄んでいないといけないのです。掃除は人の心を綺麗に澄み渡らせ、人をひきつけるのです。大久保一彦の本 【中古】ビジネス ≪ビジネス≫ 「行列のできるダントツ飲食店」の秘密【画】
2011.08.20
売上が悪いとき、オーナーはまず、商品を考えます。 「高いんじゃないか……」「お客が満足していないんじゃないか……」 人を雇っていればサービスを考えます。 「接客が悪いんじゃないか……」「人材に恵まれていないんじゃないか……」 次に、空間を考えます。 「個室が必要かな……」「内装を変えようかな……」 そして、集客を考えます。 「チラシを入れようかな……」「フリーペーパーに広告を載せようかな……」 さらに、コンサルタントに相談します。 ――これが相場ですが、でも、実は、まずやるべきことがあるのです。 「大久保さん、繁盛店になるには、どんなことを心がけたらいいですか?」 これは、月に数回、予約制で行っている、飲食店の個人レッスンでいちばんよく聞かれる質問です。 私の答えは、「当たり前のことを、人の十倍以上ちゃんとやる」ということに尽きます。繁盛店になりたかったら、繁盛店がやっていることをすべてつぶしていかねばなりません。 しかし、そういうときはもっとわかりやすく、私はこう言うことにしています。 「お客さんがいなかったら、店の入り口に水打ちをしなさい」 店が流行らないというのは、ある意味、自分自身の行動パターンから導かれた結果です。ですので、店が流行らないというのはいわば生活習慣病のようなものなのです。 もし、繁盛したければ、自分自身の生活パターンを一新する必要があります。 そして、その症状は、店舗やスタッフの顔など、いたるところに出ているのですが、いちばん顕著にあらわれてくるのが、お店の入り口なんです。大久保一彦の本【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え
2011.08.20
競争が少ない頃は、飲食店の作り方は単純でした。 「おいしい店」を作ればよかったのですから…… ずうっとずうっと昔は、料理がそこそこおいしいことだけで、十分お客さんの印象に残りました。そして、事実、そんなお店も多くはなかったのです。 もし、お客さんに「また食べたいな」と思っていただけたなら、おそらく、その店は業界では固定客と呼ばれているリピーターをつかんだでしょう。忘れられない限りは、また来店いただけたわけです。 そして、お店や商品には、ワンパターンの良さというものもあります。そのワンパターンこそ、飲食店における男性的な原理といっていいでしょう。たとえば、男性ターゲットのオムライス屋なら、オムライスの品数を絞り、おいしいオムライスを、わかりやすく出すほうがいい。男性は「○○屋のオムライス」を食べに来るんであって、「○○ソースのオムライス」を食べに来ない。だから、店のこだわりとして、「玉子は○○を使っている」「米は○○を私用している」などとスペックを表現すればいいのです。男性は全体のイメージ重視ですからカウンターの店がいいです。 しかし、女性に支持される店というのは違います。大切なのはバリエーション。「マイ・フェイバリット」今風の言葉でいうと、「マイ・ブーム」となるバリエーションです。商品のバリエーション、客席のバリエーション。先の事例の上海食堂もそうですが、女性に支持される店にはバリエーションがあります。 例えば、オムライス自体には、ソースのヴァリエーションがたくさんあります。そして、上にのせるトッピングやライスのヴァリエーションもたくさんあるほうがいいです。玉子のとじかたもバリエーションがあれば、なおいい。次に、様々な客席設備があったほうがいいです。 例えば、テラス、テーブル、ベンチシート、ゆったりとした雰囲気のスペース、カウンターのような感じです。理由はやはり、これも利用シーンのバリエーション、つまり「マイ・ブーム」にバリエーションを出すためです。女性は常に、TPOでお店を使い分けます。その日の気分や、その人のライフスタイルに応じたバリエーションが大切なのです。 つまり、女性は、商品そのもののや空間だけのような大雑把な価値だけではお店を判断しないのです。「マイ・ブーム」の余地、すなわち、細部が重要なのです。 新しい楽しみ、次回の楽しみ。その細部を求めています。今回とは別の用途で、常にお店を選び直し、使い直す。そんな細部の変化を求めています。 女性は男性の求めるワンパターンになりがちの大雑把なお気に入りではなく、変化の可能性にこそ夢を感じ、自分自身の使いこなし方を重視しているのです。 あなたは女性が求めているバリエーションに気づいていますか? お客さんは、回数を重ねるごとにあなたの店を熟知します。そして、成熟の時代、同時にいろいろな体験を積み、あなたのしていることを、その体験というフィルターで見ています。このことを頭に入れて、小さな変化を重ね、バリエーションをつくりましょう。女性は移ろいやすいんじゃなくて、夢を感じさせながら、マンネリ化を防ぎ人生を楽しんでいるんです。大久保一彦の本【送料無料】善の循環経営
2011.08.20
目白に「上海食堂」という、女性客が半分以上を占める人気の中華料理屋があります。 この店が女性に支持される理由として、入り口まわりの作り方があげられるでしょう。このお店は、目白駅の隣の学習院大学を超え、歩いて12分くらいのところにあります。山手線の沿線とはいえ、住宅地の真ん中。そのような小さな商圏で商売を続けるには、まず、おいしいこと。そして、お客さんに飽きられないこと、という条件をクリアしなければなりません。 ですから、このような場所でお店を流行らせる、というのはたいへんなことです。 オーナーの多田〓さんの料理はおいしさと独創性を備えていて、確かにお客さんが入っても不思議ではありません。 しかし、流行り続けている理由はそれだけではありません。そのキーワードが微妙な変化です。まず店の入り口が変化しています。どこが変わったのか、わかる人はほんの少しだと思いますが、「なんかかわったかな」と思うでしょう。それもそのはず、変化しているのは、足元のちょっとした変化だからです。上海食堂は、駅から一二分もあり、お客さんが歩いているときは、足元を見て、漫然と歩きます。 店の前を通行するときも同様です。決して上を見ないので、毎日の通勤客を店の前を通るときに、脚を止めたくなる変化が集客上重要ですが、その時に大切なのが、足元の微妙な変化です。 例えば、上海食堂の店前には、紹興酒の坪や、植木や花や小物がありますが、入れ替えたり、位置を変えたり、微妙に変化させています。これが実はいつも同じ人が通る立地に効いています。店内ももちろん変化しています。お店に入ると――決して大きな店ではありませんが――どのテーブルに座っても、景色が違うように工夫してあります。例えば、壁面に貼ってあるPOPや小物などが微妙に変化しています。あるいは、ディスプレー替わりのお酒などもよくかわります。こんなひとつひとつのこまやかな変化が、女性のスキャンにひっかり、店内を見わたすようなしぐさにつながっているんだと思います。 メニューブックも変化を感じるように工夫しています。メニューブックにはスケッチブックを使い、そこに和紙を貼り、手作り感があります。私の事務所で発行しています繁盛店を取材して映像で毎月お届けしている「夢―商通信」というビデオマガジンを発行していますが、その取材で、「なんで、スケッチブックにしたんですか?」と質問したところ、「スケッチブックって夢があるでしょう」と多田さんはおっしゃっていました。そして、「料理が出てくるまでの間に、メニューをもう一度開く。そして、また、閉じる。 メニューを見ながら想像する時間で贅沢でしょう!別に注文がなくても嬉しくなるんですよ」そうおっしゃいました。女性はそんなに食べられないので基本的にいろいろな料理を頼めない。でもついついメニューブックを開いてしまう。ページをめくり多田さんの独創的なメニューを「これってどんな料理だろう。食べてみたいな・・」「今度は何をオーダーしようか?」「次回は何を食べようか?」などと期待を膨らませます。次回の楽しみ=変化です。こんなプロセスの中に、女性は、自分自身の店の利用の多様性という将来の変化の可能性を感じるのです。 店は変化という夢をお客さんに提供しないといけないのです。大久保一彦の本【送料無料】善の循環経営
2011.08.20
「鮮寿」の例を読んで、「お店を丸ごと変えるなんでいうことはできない」と考えた方もいらっしゃるでしょう。しかし、そんなことはありません。男性は、全部いっぺんに変えようと思う習慣がありますから、そう思うだけで、実は、少しずつパーツを差し替えればいいのです。 スターバックス・コーヒーの店先に、そのヒントがありますのでみてみましょう。 では、スターバックス・コーヒーの店前を思い出してみてください。 スターバックス独特のモスグリーンの丸い看板、ガラス張りのおしゃれな外観を思い出されましたでしょうか?その入り口の前に、かわいらしい黒板がありますよね。思い出しましたか?丸い文字、かわいらしいカップのイラスト、曲線が多いハートマーク、カラフルな色使い、どの支店でも、いかにも女性が書いた、かわいらしいあの看板です。実は、変化をうまく伝えるにはこの黒板が重要です。 そういうと、あなたは「黒板なんてどこだって(自分のところだって)やっているよ」というでしょう。でも、実際はスターバックスのように変化を伝えるツールとして機能していない場面を多くみかけます。その原因は手入れがされていないことです。ただ、その日のランチメニューなりが書いてあるくらいで、うまく使われていない。極端な言い方をすると、置きっぱなしになっていることが多いのです。 黒板には、「変化している」というメッセージを送る機能があります。そのメッセージを伝える重要なポイントが愛情です。植物には毎日水遣りをしますよね、同様に、黒板は毎日愛情をこめて書きかえることが大切です。たとい毎日同じことが書いてあるとしても毎日書き直す必要があります。そうすることで、メニューなどが「しょっちゅう変わっているんだな……」という印象を与えることができます。それは、フリーハンドの場合、文字やイラストでコピーしたように前日と同じに書くことができない小さな変化が原因です。 女性客が思わず入ってしまう店は、ここが違うのです。女性は、その変わった文字ひとつを無意識に認識できるのです。黒板は店にさりげない変化というアクセントを感じさせるツールなのです。大久保一彦の本【送料無料】繁盛力
2011.08.19
岡山に女性に人気の寿司屋があります。人気というよりは、七割から八割以上のお客さんが女性客というびっくりするようなお店なのです。お店の名前は「活種鮮寿」と言います。岡山駅から歩いて5分くらいの路地裏にあります。 なぜ、この店が、そんなに女性に支持されているかというと、「ネタを売っていない」ところにあります。いや、もちろんネタもいいですし、おいしいお寿司を提供していますが、その売り方が、女性に喜ばれる売り方だということなんです。 では、「鮮寿」のどこが女性的なのかをお話しましょう。 まず「鮮寿」のオーナー福瀬〓さんは、自身のお店を、「回転寿司と立ちの高級寿司の中間」と言っています。 回転寿司は好きなものを流れているレーンから自分で選んで食べるのに対して、大衆的な立ちの寿司はネタケースを見ながらオーダーしますね。「鮮寿」は、一般的にコースになっている高級店の寿司屋のようにネタを選ぶ必要がありません。ふつうの大衆的な寿司屋さんや回転寿司は、自分の食べたいネタや自分の食べたいネタの入った盛り合わせを注文し、自分の食べたいネタのおいしさを楽しみます。高級店とそれらの中間ですから、「鮮寿」ではそうではありません。関西のおしゃれな串揚げ屋のようになっていて、二種類のネタを一貫ずつ盛り合わせた皿が「ストップ」するまで次々と出てくるシステムです。ただし、穴子だけはオーダーができます なぜ、このようなシステムなのかというと、自分で寿司をオーダーすると、自分の好みに依存しまう。知らず知らずのうちに、前回と同じような食事になる。当然、マンネリ化してしまいます。 「鮮寿」が女性に人気があるのかというと、それは、おまかせにすることによってもたらされる変化です。 店で変化するパーツは、寿司のネタだけではありません。「鮮寿」では、季節を感じる、あしらいの野菜や薬味を寿司に添え、器もしょっちゅう変えます。そればかりか、花や小物などの設えを、毎日変えています。寿司そのものを食べるのではなく、空間の変化を感じ、人と食事をする。その会話の中で刻一刻と変わっていく、時間の移ろいを楽しんでもらうためなんです。 寿司屋さんというと、どこでも同じ季節には同じネタがあり、あとは、ネタがどうか、だけです。それこそ、先に述べた「仕事」なんですが、「仕事」は女性を引き付けるものではありません。男性はネタ、職人の仕事というワンパターンの成果で納得しますが、女性は、もっといっぱいいろいろなことの変化を求めているのです。大久保一彦の本【送料無料】成功する小さな飲食店の始め方
2011.08.18
寿司屋といえば、他店との大きな違いを作るために、ネタ探しに明け暮れます。そして、技術習得に精進するものです。 「あの店の小鰭は酢が効いていて、いい仕事している」 私たちのようにエンゲル係数の高い寿司好き人間は、寿司職人を評価する時に、「いい仕事している」という言葉を使います。 仕事には職人さんの歴史が出ます。忙しい店でやってきた職人さんは、少しグレードが上がったスローナー店でも、忙しそうな動きをするものです。 大衆的なサービス精神が旺盛な店でやってきたなら、ちょっとネタをサービスします。時には、細まきのマグロがはみ出しそうで、米が押しつぶされてしまっている。そんな、笑えるような、笑えないような気のいい店長さんもいます。 腕は確かだが、客の食べ方にケチをつけたて、食べる方が緊張するような口うるさいおやじさんもいるでしょう。それが、仕事の多様性なんですが…… でも、ふと冷静に考えると、私たちは、世間一般でいうと、道楽者であり、お客さんとしては特殊な客層です。めったに来ないお客さんが、職人さんの仕事に対して「いい仕事だ」などと考えることはありません。 男性にも女性にも、寿司自体が嫌いな人は少ないと思いますが、でも「立ちの寿司屋」に女性客が少ないのはそうした店の運営にあるように思います。 寿司屋たるもの、ネタありき。あとは、文句を言わないでください。つまり、こんなところでしょうか? いわばとても男性的です。 寿司というのがなぜ男性的なのかをお話ししておきましょう。寿司屋が発達したのは、江戸時代の屋台です。刺身は刺身膾といって、貝類などを酢につけたものを差していたようですが、室町時代くらいに醤油と味噌の分化があり、江戸時代には刺身に醤油をつけて食べるようになった、とのことです。 当時の江戸湾には豊富な水産資源がありました。そのネタをちょっと加工して屋台で提供したわけですが、江戸時代は火事が多く、その後の建築需要があり、寿司や蕎麦、天ぷらといった日本独自の食文化は男性主体に発達して、こんな歴史からか、男性的な今のスタイルの商売になったのでしょう。大久保一彦の本【送料無料】寿司屋のカラクリ
2011.08.17
「美意識」という言葉は、私が長年愛読しているフィリップ・コトラー氏『マーケティング原理――戦略的アプローチ 』(ダイヤモンド社、一九八三年)から拝借した言葉です。コトラー氏は、ウォッカの「Absolute(アブソリュート)」の事例で「美意識」でつくる小さな差を説明していますが、この話は、女性の意識を見事に描き出していると思いますのでお話しておきますね。 日本人にはあまり馴染みのないウォッカですが、いちばん売れているメーカーはどこの国だと思いますか? もちろん、「アブソリュート」なのですが、このメーカーの本社はスゥーデンにあります。ウォッカといえばロシアを思い出すかもしれませんが、トップは実はスウェーデンの会社なのです。 なぜアブソリュートが選ばれるのでしょうか。 その秘密は、瓶のラベルにあります。元来、アブソリュートは広告宣伝やイメージ作りに長けた会社ですが、ラベルが、女性の心を効果的にくすぐったのです。 実はアブソリュートのラベルは毎年前衛的なアーティストによって描かれる、テイストが高いものなのです。特に、そのアーティストによって描かれたポスターはMOMA(ニューヨーク近代美術館:The Museum of Modern Art)などに展示され、高い評価を受けています。近年、日本でもアブソリュート・ウォッカのポスター展覧会が開かれ、数々の有名現代アーティストの作品が注目を集めるようになりました。 女性とウオッカのイメージが結びつかないという方もいるかもしれませんが、日本とは違い、海外では、友達が来たときやホームパーティのような場でワインなどに並んで、ウォッカがテーブルにおかれることがあります。 その時に、見た目の冴えない、いかにも酒飲みの飲み物のような銘柄ではなく、見た目の違う、デザインがすぐれたものを選びたい。ちょっとした違いを潜ませたいという女性の心理をついた。ここが女性の心をくすぐったわけです。 こうした事例は他にもあります。ボルドー地方のサンテステフで生産されている、シャトー・カロン・セギュールという人気のワインがあります。このワインの人気の秘密も、アブソリュートと同じく、ラベルです。 ワインの場合、正確には、エチケットといいますが、そのハートの形をした可愛らしいラベルは、他のワインと大きく印象を変えるものです。 女性は大きな商品の違いでなく、見た目の美しさという小さな違いに大きな喜びを感じるんです。大久保一彦の本 【中古】ビジネス ≪ビジネス≫ 「行列のできるダントツ飲食店」の秘密【画】
2011.08.16
「値引き」ではなく、「美意識」に訴えかけてつくる、ちょっとした変化です。これもまた、女性に評判のお店にとっての必須条件といえるのではないでしょうか。 たとえば、女性に人気のあるお惣菜屋さんに神戸の株式会社ロックフィールドが展開するRF1(アールエフワン)という都会の女性に人気のあるサラダと洋惣菜のお店があります。 白を基調とした店作りに、一面に並ぶ、旬を感じさせる色とりどりのサラダ。サラダといっても、「主役として食べる野菜料理」といったほうがいいと思いますが、そのサラダを量り売りで注文し、ちょっとおしゃれなデザインのパッケージに入れて持ち帰ることが女性に評判です。既製品のパッケージを使わず、やぼったくなく、色使いや書体やコピーが洗練されたテイストの高いPOPが印象的です。食卓に夢を与える店ですね。女性は、こうした商品以外の「おしゃれでヘルシー」なところを評価するものです。 POPのデザインを考えるとき、男性オーナーは色使いにしても、文字にしても、やはり「男性的」としかいいようがないものを作ります。「うまい」「やすい」が伝わるとても直接的なスペック表示重視の機能的な読ませるPOPです。これとは逆で、女性に人気の店は、デザインがしっかりされていて、洗練された表現、色合い、イラスト、記号などで、見せるPOPがいいのです。この見せるPOPを作ることがテイストが高い印象につながります。 女性には商品の大きな違いよりも、ちょっとしたテイストの高さで、「美意識」をくすぐるほうが効果的なのです。大久保一彦の本【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え
2011.08.15
私の知人にとある商売(ちょっとこれ以上具体的に表現するとまずいので、すいません)で成功し、正真正銘の億万長者になった人間がいます。私は彼を「下町のナポレオン」と言っていますが、彼は、大きな買い物が大好きです。 ある日、彼の奥さんが「LOUIS VUITTONのバッグが欲しい」とねだったそうです。 そのときの彼の返事。 「そんな、小さなものじゃなく、ヘリコプターでも買ったら……」 誰でも買える、そんなつまんないものを……というところでしょう。 この言葉は、男性と女性が「買い物」に何を求めるか、その違いを顕著に表しています。 女性は、周りより「ちょっと良い」ということが大切なんです。今は井戸端会議という習慣があるかどうかはわかりませんが、人に違いをあからさまに誇示する習慣は、男性の方が強いのではないでしょうか。 たとえば、飲食店のお手伝いをしていると、よくこんな場面につきあたるのです。 惣菜屋などを始めて売上があがない場合、男性がオーナーだと、大幅な値引き」をはじめてしまいます。確かに男性客なら、10円、20円という値引きに魅力を感じてもらうのはむずかしいかもしれません。でも、女性客なら、安いものを買いたいような違うセグメントを取り込もうとするなら別ですが、日常使いの決まった女性客が対象の場合、細かい部分を見ていますから、そんなに大きなインパクトを必要としません。ですので、値引きは、10円引き、20円引きで十分なのです。 そんな仮説をたてると、コンビニエンスストアやランチの弁当などのような、日常の購買活動のシーンでの10円引き、20円引きに反応してくれるのが、女性に多いこともうなずけます。女性は、お店のつくるちょっとした変化にこそ、喜びを感じるのです。大幅な値引きは、そう、いつまつでも続けられませんし、女性がそもそも求めているわけではないのです。 値引きで小さな差をつくることはもっとも身近な例だと思いますが、それだけだとどうも小手先の話題で終わってしまいそうです。大久保一彦の本【送料無料】善の循環経営
2011.08.14
先に述べたような「風景」化の習性が、男女でどれだけ違うか。 はっきりとしたデータがあるわけではないので、あくまで私のコンサルタントとしての経験にもとづく意見ですが、お店に対するこの習性は、明らかに男性の方が強いと思います。なぜなら、お店の前を通りかかって、お店の何が変わったか、チェックする目線が効いているのは、男性であることよりも、女性の方であることが多いからです。 そのメカニズムの違いは、ものごとの感じ方にあると思います。 例えば、女性と交際しているとこんなことを聞かれます。「私のどこが好き?」男というのは、表現力がないというか、これに対して、こう答える人が多いんじゃないでしょうか?「全部だよ」 この質問をされたときに、女性の求めている答は、「そうだな、料理が上手なところかな・・」とか、「目がくりくりしてかわいいとこかな・・」とか具体的な話をして欲しいのです。一般に、男性は、気に入るとその全体を気に入ります。だから、好きな店に対しても、「好き」という言葉意外聞かれても困る場合がおおいでしょう。それに対して女性は、「好きだな・・」と考えたら、「どこが好きかな・・」と細部のパーツに目が移ります。「テラスがかわいい」「オムライスがおいしい」「店員さんがかわいい」気に入るとチェック項目が広がるのです。 逆に、店にたいするチェックも細かいパーツを見ているといえます。店前のチェック項目が多いのもこんなことが理由なんです。ですので、店前のチェック項目は、男性ですと、機能的なことに目がいきますが、女性は花、小物、黒板、ドア、ドアノブ、外装の仕上げの材質、外装の色合い、ガラス、まどわく、ポスターなど、多岐にわたるのです。 この本を著すにあたって、この女性の様をうまく表現できないかなといろいろ考えてみました。そして、思いついたのが、そのむかし流行った「ウォーリーを探せ」というゲームです。覚えていませんか? 女性の心の中に、ウォーリーを探すこと。 たとえば、妻とうまくやっていくには、妻の小さな変化に関心を示すことが必要です 関心度が伝われば、相手への思いが伝わる。相手への関心を伝えるもっとも簡単な方法は、相手が微妙に変化したことに対する意思表示をすることです。これは、女性客との関係構築も同じではないでしょうか。 関心を向けたとき、お客様は必ずこう考えるはずです。「自分がこれだけ大切にされている」「自分への関心があれほどあるんだ」と。 私の妻に限らず、女性はこの昔流行っていた「ウォーリーを探せ」のようなゲームが大好きなようです。四〇歳を過ぎて妻と結婚する前に、幾人かの女性と交際しましたが、私は、このゲームとうまくつきあうことができなかったようです。 それは、私が商売に必死だったのが原因かもしれませんが、妻と暮らし、「妻が風景になった日」まで気づいていませんでした。 女性と長く付き合う重要なポイントは、この「ウォーリーを探せ」につきあってあげることだったんです。 そこで思い出して欲しいのが、「気づかないの?」という質問です。 私はここに、女性がお店や商品を選ぶときの心の動かし方が、はっきりとあらわれていると思います。 女性は自分の変化に気づいて欲しい。 しかし、それだけではありません。 女性は、自分に対しても、そう言って欲しいのです。お店の方から「気づかないの?」と。 実は、ここにこそ、女性顧客に支持されるための重要なヒントがここにあるのではないでしょうか。 買うか、買わないか。良いか悪いか。おいしいかおいしくないか。そうした、お店選びの前提だけではなく、女性は、変化や発見をお店に対して求めているのです。気づかなかったメニュー、あたらしい商品、これまでにはなかったお客への提案……。 あなたのお店にも必ず、ウォーリーはいるはずです。大久保一彦の本【送料無料】繁盛力
2011.08.13
あるバーテンダーさんから、「服とカクテルの関係」を聞いたとき、「彼らはまだまだ女性のお客さまに対する裏技を持っている」と直感が働きました。さりげなく裏技的な話を聞きだすつもりで私は知り合いのバーテンダーと会話をしていたのですが、女性に受けるバーテンダーのノウハウをお話しましょう。 女性客に人気のバーテンダーさんの特徴は、よく話を聞くということがあげられます。女性は、話好きです。じっくり、落ち着いた空間で話を聞いてもらえるのは、とても気持ちがいいのでしょう。 次が、お客の微妙な変化に気づき、さりげなく伝えることができる人間である点があげられます。例えば、さきほどのカクテルのようにメッセージを潜ませたり、そう思わせる何気ないひとことを言ったりします。 バーテンダーなら誰しも、女性と親密な雰囲気になる場面があるそうです。それは、このようなバーテンダーの作り出す雰囲気づくりにあるんだと思います。 また、お客様が来店すると、その程度は別として、「あっ(お久しぶりです)」のように、見覚えのあるお客さんに気づいているようなしぐさを、決してオーバーでなくするそうです。そうすると余計な会話が必要なくなり、女性のお客さんは安心します。 最後に、これは私が気づいたのですが、バーテンダーにはメモをとる人が多いです。オリジナルカクテルを即興で作ったりした場合、次の来店時に「こないだのと同じやつ」と言われる場合がままあることが理由だと思いますが、これは非常に重要なことです。なぜなら、人間はすぐ忘れてしまうからです。 「これくらいのことなら、覚えていられるな」と思いますが、実際、必要な場面で思い出せないことが多々あります。ほとんどの店やサービスというのは、毎度毎度、同じ説明を余儀なくされる場合が多いです。 例えば、「甲殻類アレルギーですから・・」のように、同じ店に行くときでも、メモを残して有効に使っていない店は、同じ説明を毎度するようです。しかし、ちょっとしたことでも、メモして、お客さんが再来店したときに照らし合わせながら、「お客さんは確かかにアレルギーでしたね」のように先回りしてサービスすれば、お客さんは感動します。 女性客をひきつける店にとって大切なことに再現力があります。今は、コンピューターにいいソフトがありますから、こまかくメモをとってデータとして蓄積してあれば、ある程度そのお客さまの望むお飲み物のパターンを読み、望む最低ラインの再現をしたり、マンネリ化しないように提案したりすることができます。 私はつねづね、商売における「顧客カルテ」の重要性を強調してきました。先日、理容協会主催のセミナーで「お客様づくり」に関する講演を行ったときに、座談会の場で、主催いただいた理髪店を経営されるかたこう言いました。「床屋が衰退したのは、美容院にお客さんをとられたからというのが大きいです。イメージもありますが、潰れた店のほとんどが、顧客カルテをつけていなかった。これによってマンネリ化し、おしゃれをしたい人が遠のきました」「確かに、美容院は前回のデータを残している店は多いですよね」「そういうこともあったからでしょう。『どういたしますか?』とお聞きすると、『短めに』という答が返ってくるんです」「それは『床屋になるべくいきたくない』あるいは、『床屋にいくのが面倒』という意味で、『おしゃれをしたい』層じゃないですね」 女性は変化を楽しむおしゃれのために美容院に行くが、床屋に行く男性は、『髪が伸びたから仕方なく切る』のです。この根源が、もし、顧客カルテにあるとしたら・・あなたが、女性を対象にした店なら、どうするか見えてきますよね!変化に気づくにはメモをとり、活用するのです。大久保一彦の気づきの本【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え
2011.08.12
もし、あなたが女性顧客を相手にするお店のオーナーであったり、女性向けの商品を扱っていたりするお店を開いているならば、接客のさい、絶対に落としてはいけない目のつけどころがあるはずです。 ごく単純なことですが、身なりとその変化にどれだけ関心をもてるかです。女性が、気づいて欲しい心の動きを投影するのが、身につけるものだからです。 まずは、服装。服装は、当然のことながら毎日、変化します。基本的には、ジャケット、ブラウス、カットソー、パンツ、スカート、靴などの組み合わせの変更ですが、ここに関心を示せばポイントが高いです。 ただ、ここで注意しないといけません。女性の店員であれば、気づいたことを言っても問題ないのですが、男性の店員の場合はある程度人間関係を気づいておく必要があります。男性が、唐突に、変化させているとことを切り出すと、かえって、女性はひいてしまうでしょう。 メイクは毎日するわけですが、トレンドがあり、時間がかかるので、これは思ったほど気づきとしての効果がないように思います。髪型の変化に気遣うのもいいでしょう。髪型は早ければ一ヶ月以内に変化するものです。そのタイミングを逃さなければ効果的です。 そして、大切なことは、声に出す、出さないに限らず、お客さんの変化に気づく習慣を身につけることです。多くのお客様に次から次へとお会いすると、個々のお客様のことは忘れてしまうかもしれません。私自身も、そうです。目まぐるしく新しい人にお会いしますので、残念ながら、一人ひとりをすべて記憶しておくことは困難です。 ですが、だからといって最初からあきらめては、どんなにいい方法があったとしても意味を成しません。相手への関心を忘れて、商売ができるはずないのです。気づくことは女性客を喜ばせる上で、まず、最初に身につけなければならない習慣なんですね。 最後に、気づいたことを伝えるのが上手なバーテンダーのスタンダードをお話しておきましょう。バーテンダーには「着ている服装と同じ色のカクテルを作る」という技があります。その日の、お客さまの服と同じ色のカクテルを作ることで、自然と「あなたに気遣っています」というメッセージが潜ませるわけです。 本来、バーでおまかせのカクテルを頼むのはある程度常連になった時ですから、好みを考慮したうえで、その日の服装に合わせてシェイカーを振るというバーテンダーの心意気はすばらしいですよね。大久保一彦の本もよろしゅう【送料無料】善の循環経営
2011.08.11
「新規客は不安だから、失敗しない行動をとります。その時に大切なのが予算です。だから、新規客をいっぱい獲得しようとしたら、見込み客の予算の下をくぐらないと新規客は獲得できないんですね。 例えば、優秀な保険外交員はベストな商品でないとわかっていても、予算オーバーの商品は売りません。ニーズにあう予算範囲の商品を売るんです。で、人間関係ができ、そのタイミングがきたら、高額商品を売ります。長いおつきあいをしてさえいれば、『もっと、保証の厚い保険が必要だな』と思うタイミングは必ず来ますから!」 こんな話を生徒さんに話してましたら、損害保険会社で研修中の生徒さんが言いました。「そういう流れをわれわれの業界ではニーズ→ベースド→セリングと言うんですよ!」 ニーズとは必要性があって購買を検討している段階。その段階で重要なポイントが「失敗しない」という気持ちがあるために予算が重要です。 次に、ベーズドということで関係作り。 最後にタイミングよく売るということ。信頼関係を築いていないと思う商品が売れないんですね。大久保一彦の本 【中古】ビジネス ≪ビジネス≫ 「行列のできるダントツ飲食店」の秘密【10P02Aug11】【画】
2011.08.10
最近、吉野家のカレーののぼりがひときわ目立っている。「カレー330円!」私はこののぼりを見て妄想にふける。「このカレーは誰をターゲットにしたものなのか?」それは既存に来ているお客様の利用動機を広げるものなか、単なる夏メニューなのか・・ 私が吉野家のマーケティング担当だったら、カレーを180円で売るだろう。理由はいくつかある。1現状吉野家にとってはカレーが売れても痛くも痒くもない。2牛丼各社からお客様を奪い取れる。3カレーを食べようと思って入っても吉野屋の顧客なら牛丼を食べるだろうと思う点 (カレーの分は今まで取れない新しいお客様なので、その分は客数純増となる)4安すぎる価格はテイクアウトにも結びつく (つまりコンビニからもお客様を奪い取れる)5ココイチに決定的なダメージを与えられる。 難点と言えば吉野家にはフランチャイズが多いことだろう。松屋もすき家も低価格で吉野家をターゲットにしてきた根はここにあるからだ。大久保一彦の経営本【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え
2011.08.08
「先生、顧客情報をいただくときどんな特典をつけたらいいですか?」コンサルティング中によく受ける質問です。 人を動機付けるのに餌をぶらさげないといけないと思っている人は多いと思います。まして、自分がこれからの商売で使う顧客情報となるとそう思うのかもしれません。 世の中ではWin-Winとうきれない言葉を使います。しかし、本当に、Win-Winの関係というのは長続きするんでしょうか?多くの人は次の原則を見落としているように思います。 「特典や値引きで動く人は、特典や値引きでしか動かない!」 確かに右肩上がりの時代、特典や値引きというのは見込み客を見つけるのには有効な手段だったかもしれません。しかし、今は店余りの時代です。供給過剰であり、他に選択肢などいっぱいあります。 私が思うに、顧客情報を値引きや特典で引き換えないといけない店はそもそも店の価値がないように思うのです。その理由は顧客情報を収集する目的にあります。 顧客情報というのは次の来店のときにベストな接客をするために必要なもの。だから、次も、その次もお客様と接するならなければならないもの。ドリンクのサービスか何か知りませんが、そんな交換条件でもらうものではないのです。 先日、岐阜の開化亭という店を訪れたときに、「必ず、この店にまたくることになる」と私は思いました。だから、私はオーナーの古田さんに自ら名刺を渡しました。それは、私がこの店と長くつきあいたいと思ったからです。そう思えばかならず、お客様は自分の情報を提供してよいサービスを受けようと思うはずです。だから、交換条件はいらないのです。 私がこう言うと、もしかしたらあなたは、「何も特典を提供せず、顧客情報を書いてくれと言ったら、だれも書いてくれない」と言うかもしれませんね。でも、その場合は、あなた自身が「自分の提供したサービスでは、『この店と長く付き合おう』と思っていただけなかったんだ」と思うべきなのです。そして、予約やお出迎えからお帰りになるまでのすべてにベストだったかを問うべきです。そして、長い付き合いを前提にしたサービスをしたかを省みて欲しいのです。 そうすれば、あなたの商売は変わるはずです。Win-Winではあなたは変われません。Give&giveしかないのです。大久保一彦の本もよろしゅう【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え
2011.07.30
原発問題に派生する報道の影で、日本を取り巻くがたいへんなことになっとるねー。まず、アメリカの債務不履行の期日が迫っている。まあ、共和党、民主党のこの時期恒例のイベントなんだと思うが、それにしてもアメリカの財政はたいへんだ。同様に日本も莫大な借金があるの円高だ。どーなってんだ!この動きをみると70円台前半になってしまうなぁ・・ヨーロッパの状況、アメリカの状況を考えると、日本自体の転換が求められる。いよいよ、生きかたの変更、考え方の変更が求められる。小さな頭の子供はだめだね。未知のできごとに対する多様性、適応能力が必要だ。さあ、あなたの商売どうする?あなたの人生どうする?今までの高度成長期の考え方は通用しまへんで!でも、面白い!だから、面白い!
2011.07.28
人口減少はいろいろなところに影響が出ている。総じて言えるのは事業所の激減だ。事業所とは、職場と置き換えることができる。店、工場、事務所、ショールーム・・高度成長期、人口の増加に伴い事業所は右肩上がりに増えた。しかし、生産年齢人口の減少に始まり、人口自体も減少に転じると、多くの人が、大きな影響を受ける。 例えば、私が学生だった1980年代、士業と呼ばれる、医師、弁護士、司法書士、税理士などなど、法律によって資格をとれば排他的に仕事ができる資格はとても有効だった。 しかし、今は違う。人口減少が意味するものは淘汰だ。淘汰というのは、努力しているだけでは駄目ということを意味する。戦略的に発想して、高い戦術で戦わねばならない。常に高い志や夢をもち、自分自身を鼓舞しなければならない。そして、自分の顧客やステークホルダーに対する感謝を忘れていけない。 このすべてが揃わねば、淘汰されるのみなのかもしれない。私は、商売の戦略を指南することが多い。このことを踏まえて修正を加えたことがある。これは大きな修正だった。そう、戦略を考える前に、ビジョンやミッションを明確にすることにしたのだ。 これからの時代は、まず、共感を得るビジョンやミッションがないといけない。そして、戦略巧者でもあり、高い戦術力がないといけない。さらに、顧客を愛し、親しい友人のようにつきあい、支えてくれるまわりの人に感謝の念を持てる人間にならないといけないだろう。もし、そうなれれば、その人間は郡を抜くのだろう。大久保一彦の弟子樽井さんの本がついに発売!!【送料無料】飲食店の「見える化」経営大久保一彦の本もよろしゅう【送料無料】善の循環経営
2011.07.25
店をとっとと閉めなさい!もう時代は変わりました。ただ、美味しい料理を出しているだけでは、厳しい時代です。 消費者は商品や食材の微差は感じられません。そこそこにおいしい食品メーカーのタレの開発と、日常生活で、その強い味付けに慣れたせいで、食材の重要さという地位は遠ざかっています。 だから、「おいしいのにお客様が入らない」と思っているあなたの店は時代遅れなのです。 もし、立ち直りたいなら、あなたの店に「何で商売をしているのか?」という魂を入れる必要があります。 そして、その魂を全スタッフと共有して、共感して、お客様に伝えないといけません。日々の稽古をつけないといけません。 あなたの店にプロデューサーはいますか?いないなら私にメールください。大久保一彦の本【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え
2011.07.20
マニュアルを必要がないという人もいますが最低ラインの仕事を維持するためには非常に重要です。マニュアルが効果を発揮するのは新人が仕事を覚えるとき、ステップアップの仕事を学ぶなどのチャレンジするタイミングです。仕事もしらいないスタッフを最低限のレベルまで効率よく引き上げてくれます。大久保一彦の本【送料無料】善の循環経営
2011.06.22
ワンプライス戦略 プライスラインはわかりやすさを演出する場合、少なくする話をしました。そして、価格というのはわかりやすい尺度でしたね。 このふたつの要素を利用して、価格のわかりやすさに、それでも「こんなにいろいろなものが買うことができる」ということを見事に提案したのが100円ショップダイソーをはじめとしたワンプライスの店です。 飲食店でも、最近流行りの300円居酒屋やバイキングなどは同じカテゴリーになります。 ワンプライスショップのよさはなんと言っても、「価格がひとつで価値ガいろいろ」というコンセプトなので、売れ筋の商品こそ発生しますが、いろいろなアイテム扱えることです。結果、価値をいろいろ感じさせることができ、先のプライスラインをたくさん作ったときと同じような効果を狙うことができます。 逆に、バイキングはお客様の予算の上限を決めるというワンプライス戦略です。居酒屋や焼肉屋のような業態は、お店利用において、「いくらかかるか心配」という見込み客の心理が来店障壁となります。支払額の上限を決めることによって、予算オーバーに対する不安を払拭するのです。 ただし、この場合は、お客様の来店後の事後評価の蓄積が業態としての成否を決めます。設定した価格がお客様の利用シーンからみて「安かった」という印象を与えなければ、長続きしない可能性があります。 バイキングの良い点としては、コンセプトが大切で、強い商品や定番メニューは必要ありません。したがって、MDを柔軟に変更することが可能で、柔軟な仕入れをすることが可能です。そのため店の信用がとても大切です。大久保一彦の本【送料無料】成功する小さな飲食店の始め方またまた増刷が決定しました!感謝です。【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え
2011.06.16
プライスライン プライスラインは、プライスゾーンの中にいくつの価格帯を設定するかをあらわします。換言するとプライスゾーンの中に設定した価値の数ということができます。 価格と言うのはわかりやすい尺度です。人は価格とアイテムを組み合わせて商品を比較して選びます。プライスラインの設定がうまいと商品の選びやすさを演出することができるのです。 たとえば、「トマトソースは700円だけど、800円でカルボナーラが食べることができるならこちらのほうがいいかな、でも、あと、100円出して、900円なら海老のクリームバスタが食べられるな・・」このように、いくつか価格を設けることで対比しやすくなり、商品が選びやすくなります。結果、自分の選んだ商品一番よかったと認識させることも可能になります。 しかし、これはあくまでも、700円、800円、900円のようにプライスラインをわかりやすくしたからであり、そうでない場合は少しかわってきます。たとえば、780円から1200円のプライスゾーンの店で、780円、790円、800円、830円、850円、860円、880円、900円940円、950円、970円、980円、1000円、1050円、1100円、1200円のようにいくつもプライスラインを設けたとしましょう。これくらい価格が多いと、選びにくくなるというのはわかると思います。 逆に、プライスラインを780円、830円、880円、980円、1100円、1200円にすると、プライスラインを基準に選びやすくなることがわかると思います。 次にプライスラインを少なくするメリット・多くするメリットについてお話しましょう。 実は、プライスラインの設定は、一等地で選びやすさを重視する場合や立地に恵まれた店が狭いが回転のいい店は少なくします。少なくするメリットは、意思決定が早くなり、提供がスムーズになることなのです。 逆に、プライスラインを多くするメリットは、品数を多く感じさせることです。選びづらいというデメリットはありますが、プライスラインが多いことで選びづらさが出るために品数を多く感じさせるのです。このようなプライス設定を多くしたほうがいいのは、ゆっくりとした食事の時間を売る、二階や地下にある定食屋で、初期型の大戸屋などはこの典型例です。ほかには、洋麺屋五右衛門などです。つまり、女性に人気の店が多いのですが、女性をターゲットにする場合、ちょっとした違いを重視するので、プライスラインは多いほうがいいのです。大久保一彦の本【送料無料】この「気づき」で売上げがガンガン上がった!
2011.06.13
プライスゾーンと客層 下記をご覧ください。350~500円 ファストフード、弁当屋の客層500~700円 ちょっとイメージのいいファストフード、 ファミレス低単価日替わりランチ需要、ファストフードの定食需要700~1000円 スタンダードなランチ需要1000~1400円 ちょいリッチな時間ランチ、1400円以上の主婦の時間消費ランチ2000円以上 非日常(ハレ)ランチ 実は客単価というと売り手の願望になりますが、ランチタイムにおいては客単価と予算がほぼ同じです。予算と客層や利用動機と密接な関係があることがわかると思います。ランチや定食屋のような食事需要の場合、客単価とセット単価がほぼ同じで、セットの単価のプライスゾーンを決めるとターゲットが決まるわけです。ランチのプライスゾーンを580~980円と設定した場合 一番低い価格を決めると、一番下の利用動機が決まるという話をしました。この場合は580円ですから、「ファストフードは嫌だけど安く食べたい」という利用動機が下のターゲットということができます。 次に一番上の価格が980円は一番上の利用動機ということで、「あくまでも、スタンダードなランチまでですよ」というメッセージを送ることになります。少しターゲットを外れたお客が「もっといいもの無いのか?」と質問されるかもしれませんが、特別なものがないということが特徴だと意識しなくてはいけないのです。 たとえば、定食チェーンの大戸屋は、この価格設定を貫徹してきたので、お客に気軽なイメージを与え続けました。ランチのプライスゾーンを980~1400円に設定した場合 この場合は980円が一番低い価格ですから、「ファストフードに行く人は来なくてもいいです。最低でもそれなりのスタンダードなランチを食べている人」とメッセージを送っています。高い価格の1400円は、「ゆっくり食事してください」「日常生活では食べることができないものを提供しています」というメッセージです。したがって、このようなプライスゾーンに設定すると、「食事をしながらランチを楽しみたい人」あるいは、「ちょっと家では食べられないものを食べたい人」をターゲットとすることになり、主婦が集まるランチの店、小さなハンバーグ専門店のランチなどになります。気軽というより、雰囲気が良く、そこで時間をすごすという印象のメニューづくりが大切です。
2011.06.12
プライスゾーン プライスゾーンとはいくらからいくらの品揃えをするかを意味します。たとえば、あなたの店がオフィス街の定食屋だったとしましょう。メニューを決定するときに、品揃えしたい商品を考えたうえで、原価を考えていくと、「日替わりランチが650円」「唐揚げ定食700円」「とんかつ定食900円」「刺身定食1100円」「エビフライ定食1500円」「和牛ヒレステーキ定食1800円」のようになります。こうなると、「日替わりランチ」を気軽に安く食べたい若者の客を相手にしたいのか、「和牛のステーキ」のように単価のはるものをゆっくり食べたい自営業のお客や商談のお客をとりたいのかわからなくなります。 実は、プライスゾーンを決めると、ターゲットが決まり、店のイメージを形成するのです。うまく、決定しないとせっかく安い商品を品揃えしても、気軽な雰囲気は出せないのです。プライスゾーンの一番低い価格を決定すると、これ以下の客層は入れたくないというメッセージができます。 たとえば、コース料理の設定を5000円以上にしますと、若者やOL、サラリーマンが気軽に来店することはほとんどなくなります。「デートや何かあったときに利用してください」というメッセージになります。 逆に高い価格を決めると、「うちの店でできる最高なことはこれです」というメッセージを送ります。 たとえば、スーパーの魚売場に尾頭つき鯛を置いていますね。鯛はほとんど場合、尾頭つきでは売れません。一晩寝かして、翌日刺身の盛り合わせで売り切ります。では、なぜ置いているのかという、実は、お祝い事などの盛り合わせが出るからです。地方の場合などで家でお祝い事をやる場合は、スーパーから仕出しを取ったりします。その時に、いつも尾頭つきの鯛がおいていないと最初から「できない」と思い込まれてしまい、仕出し屋に頼んでしまうのです。つまり、「うちでお祝い膳できますよ」というメッセージだったのです。 この一番低い価格の誰から入れるかと、どこまで対応するかを最初に考えることが重要のです。大久保一彦の本【送料無料】善の循環経営
2011.06.11
消費者の価格感度と価格決定 価格を決めるときに「ペペロンチーノいくらだったら食べますか」のようなアンケートをして価格感度調査をよく行います。この調査で700円くらいと判明したとしましょう。この700円で勝負する人は商売の素人と言えるでしょう。なぜならば、その出てきた価格でプライシングをすると競争に巻き込まれるからです。この700円もっとも多くの人が根付けをする価格であり、もっと商品があふれている価格なのです。 ではどうするか?70%以下のプライシングをして圧倒的な低価格で商売するか、140%以上のプライシングをして排他的な付加価値を売るのです。成熟した飲食業界では、低価格、持ち帰りかエンターテイメント性などを追求した高付加価値で勝負するしかないのです。大久保一彦の本 【中古】ビジネス ≪ビジネス≫ 「行列のできるダントツ飲食店」の秘密【10P13Jun11】【画】
2011.06.10
プライシング 価格をつけることを「プライシング」と言います。価格をつける場合、日本の外食産業の場合、原価をベースにプライシングを行なう場合が多いのですが、お客の価値観と原価には密接な関係はないので、お客の心理を汲み取って価格なり価値を感じてもらうほうが大切です。 プライシングは重要な戦略です。では、プライシングの重要なポイントをお話しましょう。 価格戦略で大切なことが客単価設定です。ただし、客単価というものの見方をしていると危険です。なぜならば、客単価=お客様の予算とは限らないからです。 例えば、おすすめが上手なスタッフが追加をむやみにとりまくったとしましょう。その場合、会計時に不満に感じることがあります。それはお客様が無意識のうちに感じていた予算を追加オーダーによって上回ってしまったからです。客単価アップには接客などによる満足度が伴わないといけません。したがって、価格戦略を決めるときにはトータル予算という考えで臨むのがベストです。 さて、単品の価格を決めることも重要です。その場合、単品の価格決定方法は重要ですが、意外と知られていません。それでは、プライシングの用語を見ながら解説していくことにしましょう。次回に続く大久保一彦の本もよろしゅう【送料無料】寿司屋のカラクリ
2011.06.09
STEP4 改善後に予想されるABC分析の結果の仮説立てをする 最後に、ABC分析の結果が、改定後、すぐ、3ヵ月後、1年後とどう変化するかを予想します。大久保一彦の本もよろしゅう【送料無料選択可!】儲かる!売れる!繁盛店のアンケート術 / 飲食店完全バイブル (単行本・ムック) / 大久保 一彦 著 日経レストラン 編
2011.06.08
STEP3 改善策を考え、品揃えを決める メニュー改定で大切なことは「なぜメニューの改定をするのか」つまり目的です。目的が不明確なメニュー改定を繰り返すと店は大きくぶれてしまう可能性があります。メニュー改定において大切なことはショップコンセプトの精度をあげることです。逆にメニュー改定でやろうとしていることが店の基本コンセプトを逸脱するようなことはあってはいけません。逸脱すればお客様の減少を招くリスクがあるからです。メニュー改定の目的が明確になったら、問題点解決に対する具体策を考えます。その上で、品揃え(MD案)を決めます。大久保一彦の本【送料無料】成功する小さな飲食店の始め方【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え
2011.06.07
STEP2 店の問題点を明確にして、ABC分析を見ながら改善すべきポイントを決める ABC分析の結果はその店の業態の状況から導き出された結果です。ですので、どんな状態がよくて、どんな状態が悪いのかは店舗の状況で異なります。メニューを改定でABC分析を活用する場合はこの問題点を明らかにしないといけません。では、メニュー改定時によく問題点や課題をみましょう。1)売上が少ない 客数が少ない ある客層(ターゲット層)が弱い(リピートしない) 来店頻度があがらない 再来店しない 単価が低い 価格帯が低い商品が売れてしまう 一品単価が低い(追加オーダーがない) 買い上げ点数が上がらない2)利益が出ない 原価率が高い 薄利多売状態 ロスが多い 人件費が高い オペレーション効率が悪い3)メニュー継続が困難な事情が発生した 食材調達が困難になった 風評被害 これら問題点が「ABC分析の結果とどう結びついているのか」を考えます。大切なことはメニュー改定をなぜするかです。ただし、やろうとしていることが店の基本コンセプトを逸脱してはいけません。逸脱すればお客様の減少を招くリスクがあるからです。
2011.05.24
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