“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2011.08.20
XML
 目白に「 上海食堂
 この店が女性に支持される理由として、入り口まわりの作り方があげられるでしょう。
このお店は、目白駅の隣の学習院大学を超え、歩いて12分くらいのところにあります。
山手線の沿線とはいえ、住宅地の真ん中。
そのような小さな商圏で商売を続けるには、まず、おいしいこと。そして、お客さんに飽きられないこと、という条件をクリアしなければなりません。

 ですから、このような場所でお店を流行らせる、というのはたいへんなことです。
 オーナーの多田〓さんの料理はおいしさと独創性を備えていて、確かにお客さんが入っても不思議ではありません。

 しかし、流行り続けている理由はそれだけではありません。

まず店の入り口が変化しています。
どこが変わったのか、わかる人はほんの少しだと思いますが、「なんかかわったかな」と思うでしょう。
それもそのはず、変化しているのは、足元のちょっとした変化だからです。
上海食堂は、駅から一二分もあり、お客さんが歩いているときは、足元を見て、漫然と歩きます。
 店の前を通行するときも同様です。
決して上を見ないので、毎日の通勤客を店の前を通るときに、脚を止めたくなる変化が集客上重要ですが、その時に大切なのが、足元の微妙な変化です。

 例えば、上海食堂の店前には、紹興酒の坪や、植木や花や小物がありますが、入れ替えたり、位置を変えたり、微妙に変化させています。これが実はいつも同じ人が通る立地に効いています。
店内ももちろん変化しています。
お店に入ると――決して大きな店ではありませんが――どのテーブルに座っても、景色が違うように工夫してあります。例えば、壁面に貼ってあるPOPや小物などが微妙に変化しています。
あるいは、ディスプレー替わりのお酒などもよくかわります。
こんなひとつひとつのこまやかな変化が、女性のスキャンにひっかり、店内を見わたすようなしぐさにつながっているんだと思います。


メニューブックにはスケッチブックを使い、そこに和紙を貼り、手作り感があります。
私の事務所で発行しています繁盛店を取材して映像で毎月お届けしている「夢―商通信」というビデオマガジンを発行していますが、その取材で、「なんで、スケッチブックにしたんですか?」と質問したところ、「スケッチブックって夢があるでしょう」と多田さんはおっしゃっていました。
そして、「料理が出てくるまでの間に、メニューをもう一度開く。
そして、また、閉じる。

 メニューを見ながら想像する時間で贅沢でしょう!別に注文がなくても嬉しくなるんですよ」そうおっしゃいました。

でもついついメニューブックを開いてしまう。
ページをめくり多田さんの独創的なメニューを「これってどんな料理だろう。
食べてみたいな・・」「今度は何をオーダーしようか?」「次回は何を食べようか?」などと期待を膨らませます。
次回の楽しみ=変化です。こんなプロセスの中に、女性は、自分自身の店の利用の多様性という将来の変化の可能性を感じるのです。

 店は変化という夢をお客さんに提供しないといけないのです。

大久保一彦の本


【送料無料】善の循環経営





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011.08.20 00:43:48


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Freepage List

Profile

四方よし通信

四方よし通信

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

プロフィール 食の匠のお助けまんさん

「夏の月」 丁寧な暮らしさかもとこーひーさん

【浅草】喜林で朝食… TOMITさん

梅雨の季節がやって… てくてく7281さん

食べ歩き紀 ByeByeさん
竹田陽一ランチェス… ★竹田陽一ランチェスター 東京・西村のNo.1経営・裏のブログさん
釣って満腹! ~ボ… 秀龍さん
うまい営業・へたな… なにわの進藤さん
●Hokkaido & Travel … wind0625さん
HACCPコンサルと美味… HACCP加藤さん

Category

大久保一彦のひとこと情報

(1842)

ワイン会、フードなど大久保の教室

(141)

大久保一彦おすすめのおいしい店の情報

(214)

大久保一彦の商人のための情報

(171)

おいしい料理情報

(84)

食を考える

(73)

雑誌などメディア出演

(27)

大久保一彦が見たエンターテイメント

(34)

愛犬日記

(51)

(162)

よっしー

(97)

よっしーパート2

(112)

よっしーパート3

(179)

よっしーパート4(2010年3月17日以降)

(375)

よっち&こーちゃん

(369)

海外視察

(104)

カリフォルニアクイジーヌ

(5)

フランスの店

(30)

ジェームズオオクボセレクション【怪人のいる店】

(9)

世界のベストレストラン&ホテル100

(78)

世界のベストレストラン更新前の記事

(227)

大久保一彦の二つ星と三つ星の間

(276)

大久保一彦的二つ星のレストラン&ホテル

(221)

大久保一彦の二つ星西日本

(232)

大久保一彦の二つ星ワールド

(22)

大久保一彦の一つ星の店、ホテル

(266)

大久保の一つ星(愛知より西)

(241)

大久保一彦の一つ星の店、ホテル(海外編)

(22)

北海道のうまい店

(72)

東北のうまい店

(41)

関東のうまい店

(133)

東京のうまい店

(269)

目白・雑司が谷界隈の店

(27)

甲信越と東海地方のうまい店

(140)

北陸のうまい店

(76)

関西のおすすめ

(159)

四国と山陰、中国地方のうまい店

(75)

九州のうまい店

(101)

沖縄のうまい店

(28)

スイーツ研究所

(235)

Cafe研究所

(84)

カレー・スパイスの研究所

(4)

すし協同研究所

(38)

すし協同研究所・現地勉強会

(121)

会員向け日本料理研究会

(22)

魚アカデミー

(278)

鮨行天

(56)

『ラ・フィネス』『ミチノ・ル・トゥールビヨン』勉強会議事録

(32)

フランス料理店経営研究室

(33)

蕎麦店開業協同研究所

(71)

料理の技法や食の知識

(2)

ジェームズオオクボ的視点で選んだ心に残るあの店のあの料理(名物料理百選)

(19)

各地名産品及び各地名物料理

(176)

大久保一彦の野草のワークショップ

(30)

産地・生産者訪問

(127)

今日の大久保一彦のしごと

(1101)

経営者のための連続コラム

(1657)

飲食店は人づくり

(4)

修行について コーチの予備軍の方へ

(8)

これから開業の方向けコラム

(290)

飲食店開業講座

(65)

子供たちのためにコラム

(42)

偉人の言葉、今日の親父からの言葉

(28)

“経営思想家”大久保一彦の次の世代への哲学

(51)

補足◆【いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか】補足◆解説

(11)

残念ながらブログ掲載後閉店してしまったお店

(158)

ジェームズオオクボのホテル&お宿見聞録

(277)

長山一夫器美術館(解説付き)

(107)

会員・塾生訪問

(124)

何でも食材ランキング(ブログ掘り下げ編)

(2)

ジェームズ昆虫記&ジェームズ植物記

(472)

中国料理研究

(63)

BAR研究

(1)

外食調査録

(80)

業態研究

(82)

ジェームズオオクボ書店

(12)

惣菜・弁当・食品売場研究

(369)

寿司盛り合せ研究

(67)

商品研究・料理研究

(842)

素材・材料開発研究

(43)

焼肉店訪問

(8)

ラーメン研究

(2)

スパイスカレー店・インド料理店・ネパール料理店研究

(29)

別冊四方よし通信

(7)

© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: