『ラ・フィネス』『ミチノ・ル・トゥールビヨン』勉強会議事録 32
ジェームズオオクボ的視点で選んだ心に残るあの店のあの料理(名物料理百選) 19
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立秋の連続講座 店のロードマップを作ろう その16~会報『四方よし通信』2016年2月号より2 利用客の分析 最後に、店舗展開しようとする店を運営している場合、あるいは開業後の検証で重要なターゲット分析の仕方を説明しておきましょう。基本的にアンケートを活用します。2-1 新規客の比率と新規客の利用動機 新規客がどれくらい取り込めているかを開業後から分析することは大切です。住宅地商圏の場合は、時間経過とともに徐々に新規客の取り込みが少なくなります。①新規客の特徴をつかむアンケート 新規客比率Q1 当店のご来店は何度目ですか? 初めて・ 2回目・ 3回目・ 4回目・ 5回目・ 6~9回目・ 10回以上 このアンケートはターゲット検証の第一歩となるアンケートです。もちろん、「初めて」に印をつけた人が新規客ですが、回答いただいた方の中での比率を計算すると新規客の比率がわかります。②新規客の特徴をつかむアンケート 発見のきっかけQ2 当店をどのようにお知りになりましたか?店舗を見て ・チラシ ・ホームページ ・食べログ ・ぐるなび ・ホットペッパー知人の紹介 ・家族の紹介③新規客の特徴をつかむアンケート 発見のきっかけQ3 ご来店の目的を教えてください家族との食事 ・恋人との食事 ・会社の同僚との食事 ・会社の飲み会友人の飲み会 ・同窓会 ・歓迎会 ・送迎会 ④新規客の特徴をつかむアンケート 来店の決め手Q4 あなたが当店を利用するのに重要だと思うことにレを入れてください。(いくつでも) □350円以内で食べることができる □500円以内で食べることができる □ボリュームがある □そこそこうまい □ざるそばが十割そばである □商品の提供が速い □食べるのに時間がかからない □すぐ食べられる □あいさつが丁寧 □スタッフが元気よい □スタッフが笑顔である □ベテラン社員がいる □店が綺麗 □トイレが綺麗 □席が見えないQ5でチェックした項目のうち特に重要なものを3つお選びください □350円以内で食べることができる □500円以内で食べることができる □ボリュームがある □そこそこうまい □ざるそばが十割そばである □商品の提供が速い □食べるのに時間がかからない □すぐ食べられる □あいさつが丁寧 □スタッフが元気よい □スタッフが笑顔である □ベテラン社員がいる □店が綺麗 □トイレが綺麗 □席が見えない大久保一彦の本アンケートの作り方・活かし方 (PHPビジネス新書) 大久保 一彦9784569779140【中古】
2022.08.12
立秋の連続講座 店のロードマップを作ろう その14~会報『四方よし通信』2016年2月号より1-3 やりたいことありきのコンセプトの導き方1-3-1 縦のレイアウトのコンセプトシートの使い方①想いをまとめてみる まず、一番上の社長の想いに、自分の未来像を書いてみましょう。未来像は、若ければ「夢」、すなわちそうありたいこと、実現したいことです。ただし、“独立開業”は通過点であって、ゴールではありません。「店を通して何を実現したいか」を考えます。「野草で人類の食糧難を解決したい」これは私の友人フランソワ・クープランの想いです。②想いに基づきミッション(任務)を考える 続いては想いを実現するためにあなたはどんな任務(ミッション)を負うのかを考えます。フランワ・クープランは「兎に角、多くの人に知ってもらうことだ」と考え、料理教室を始めました。そして、スピード感を出すためにミシュランの星付きレストランのスターシェフと組むようになりました。代表がミシュランの三ツ星レストランを二件、ゴーミヨーで満点を獲った唯一無二のグランシェフ、マルク・ヴェラです。③店舗の方向性を決める 店舗のミッションが決まったところで、店づくりをどうするのか、そのロードマップを作成するのがその下の「外観・エントランス」以下のところです。それぞれの方向性を文章で表現しましょう。
2022.08.08
立秋の連続講座 店のロードマップを作ろう その13~会報『四方よし通信』2016年2月号より1-3 やりたいことありきのコンセプトの導き方 「生きるためにする糧は、心の糧にならない」これは、鍵山秀三郎氏が私に宛てて著書に書いていただいた言葉です。人は生きていると自分の役割に気づくことや社会性に目指すことがあります。若ければ夢に向かって行くでしょう。 お金に苦労しなければ、やりたいこと、あるいはやるべきこと、使命などをベースに仕事をすることはとてもやりがいがあります。この場合は、前記の縦のレイアウトのコンセプトシートを使います。大久保一彦の本【中古】 繁盛の天才2時間の教え / 大久保 一彦 / 三笠書房 [単行本]【メール便送料無料】【あす楽対応】
2022.08.08
立秋の連続講座 店のロードマップを作ろう その12~会報『四方よし通信』2016年2月号より1-2 ニーズありきの場合のコンセプトの導きだし方1-2-2 想定するニーズのある場所を探す この場所探しが難しいですね。立地、商圏の質・量、条件、大きさなどドンピシャな案件は本当に少ないです。まずは、同業種で繁盛しているいろいろなお店を回り、その中からどんな場所が良いのかのイメージを持ちます。次にそのエリアをしっかり歩いてみてアンテナを張ることが重要です。 また、物件は出物です。いい物件ほどスピード勝負になっています。これと思う物件に出会ったら素早い決断が必要となります。そのため、店舗開発には、絞り込みと条件面の可否のラインを決めておく必要があります。大久保一彦の本【中古】 大久保一彦の「人」が集まる飲食店店長の秘密 / 大久保 一彦 / 日本能率協会マネジメントセンター [単行本(ソフトカバー)]【メール便送料無料】【あす楽対応】
2022.08.08
立秋の連続講座 店のロードマップを作ろう その11~会報『四方よし通信』2016年2月号より1-2 ニーズありきの場合のコンセプトの導きだし方1-2-1 ニーズの導き方 「なぜ、うちの店が繁盛しているか分析して欲しい」こんなコンサルティングの依頼がよくあります。2号店を出す、3号店という場合は、そのお店を徹底的に検証してどんなターゲットのどんなニーズを満たしているかを徹底的に検証します。方法としては既存客にアンケートを行うのがいい方法です。新規客、顧客に分けてアンケートを実施して、アンケート結果をクロス分析を行います。まだ、店が無い場合でも狙いどころのニーズがある場合は、そのニーズをより具体的にしてターゲットを明確にします。自分の満たしたいニーズを満たしている店をベンチマークするのが一番いい方法だと言えるでしょう。大久保一彦の本非常識に稼いでいる飲食店だけがやっている儲けのルール [ 大久保一彦 ]
2022.08.08
立秋の連続講座 店のロードマップを作ろう その10~会報『四方よし通信』2016年2月号より1-2 ニーズありきの場合のコンセプトの導きだし方 もうすでに展開している店舗の2号店、3号店を出すような多店舗化の場合や、先に狙うべきニーズが明確にある場合はもよくあるでしょう。この場合はニーズに合う場所を探さないといけません。ただ、なかなかドンピシャの場所はありません。立地や商圏の個別的事情を斟酌して、若干の軌道修正が必要な場合も多いでしょう。大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
2022.08.08
大暑の連続講座 店のロードマップを作ろう その9~会報『四方よし通信』2016年2月号より1-1-2 コンセプトマップ横の活用 そこで、ニーズのすり合わせをするためにコンセプトマップ横を活用します。左側の生活者の下のターゲットの部分に、狙うべきターゲットを書きます。その横の利用動機・利用目的には、ターゲットに連動する利用動機や利用目的を書きます。 例えば、ターゲットを買い物客としたなら「買い物のランチ」、恋人と記念日でしたら「記念日」とか「誕生日」と入れます。 右側は、お店側の話で、強みを踏まえて記入します。いかに独自性を強みにできるかがポイントです。下側の時間コンセプトには、お客様が店で過ごす時間のコンセプトを昼、夜分けて書きます。また、どこからか引っ張ってくる部分も重要な要素な場合は、その事情も書きましょう。例えば、「ディズニーランド帰りのちょい飲み」のような感じです。最後に、真ん中でお客様の「〇〇したい」と店側の「〇〇できます」で摺りあわせます。
2022.08.04
大暑の連続講座 店のロードマップを作ろう その8~会報『四方よし通信』2016年2月号より②セグメント ①の見込み客の調査を元に分類してみます。分類の方法としては、住民統計や年齢、性別だけでなく、立地から得られる仮説を二つ以上組み合わせて、マッピングしてみます。例えば、年齢×性別×職種のような感じにです。狙いどころを決めるにあたってどんな切り口の人が見込み客になるかを考えるわけです。③ターゲティング ②で分類してイメージした見込み客の集団から狙いどころとなるターゲットを決めます。ターゲットはメインひとつ、サブふたつくらい想定すると良いでしょう。そして、そのターゲットを狙った場合、自分は業界の中でどんなポジションになるのか、ポジショニングマップを作ってみましょう。④コンセプト決定 コンセプトは、ニーズと経営資源を元に狙うべきターゲットの利用動機を踏まえて具現化します。ニーズとは、店舗の立地、商圏から発生する固有のもので、ターゲットが明確になればなるほど具体的なニーズを掘り起こすことができます。そのニーズに対して、経営資源を元にオファーを摺りあわせます。経営資源とは、経営サイドが持っている技術、経験、準備したり勉強したりしたこと、口が渇くまでいつまでも熱く語ることができるもの、それから私のような外部ブレインの強みです。ノウハウはお金で買える面がありますので、資金があることは選択肢を広げます。いずれにせよ、飲食店はオーバーストアの状態にありますので、最終的にその店固有の強みになりうるものでないといけません。
2022.08.04
大暑の連続講座 店のロードマップを作ろう その7~会報『四方よし通信』2016年2月号より1 ショップコンセプトの導き方1-1 店舗の場所(物件)ありきの場合のコンセプトの導きだし方ⅲ)足元商圏の調査足元商圏の調査をするには、住宅地図、コンパス、市町村が調べている人口統計を利用します。では調査の手順をみていきましょう。STEP1 商圏確定 まず、住宅地図に徒歩5分にあたる直線距離の350mをコンパスで印をつけましょう。その上で、実際に店舗を基点に四方八方に歩いて、5分のところに印を打ち、あらゆる方角に歩いたら、線で結び、5分圏を確定します。STEP2 商圏ボリュームを計算 商圏ボリュームは、人口統計を使って、地図にかかっている町の人数を算出します。線よりはみ出ているエリアはかかっている部分を按分して計算します。STEP3 競合店を調査 その後、商圏内の競合店を調査します。流行っている店があれば入ってみましょう。その商圏でどんな店が受けるかヒントがあると思います。STEP4 “凄い”戸別訪問 できれば見込み客を見つけるために凄い戸別訪問をしてください。参考:『非常識に稼ぐ 飲食店がやっている「最高のチーム」を作るルール』(ぱる出版) P15~P58参照
2022.08.03
大暑の連続講座 店のロードマップを作ろう その6~会報『四方よし通信』2016年2月号より1 ショップコンセプトの導き方1-1 店舗の場所(物件)ありきの場合のコンセプトの導きだし方ⅱ)店前通行者の量 店前通行者の量(店前通行量)は、営業可能時間帯を、三点法でで実測します。三点法とは、測定者自身と基準点二箇所を通過した人をカウントする方法です。測量にはカウンターを用意して、各時間2セグメント5分間づつ、複数回調べます。集計表は下記表を参考にしてください。各時間帯複数回測定したら、その平均値を計算して、一時間あたりに換算します。平日、土曜日、日曜日に分けて実施しましょう。天候などもありますので、日数を多くやると標準誤差が少なくなります。
2022.08.03
大暑の連続講座 店のロードマップを作ろう その5~会報『四方よし通信』2016年2月号より1 ショップコンセプトの導き方1-1 店舗の場所(物件)ありきの場合のコンセプトの導きだし方1-1-2 店舗の場所(物件)ありきの場合のコンセプトメイクの手順 店舗の場所(物件)ありきの場合のコンセプトメイクの手順は、①どんな見込み客がいるかリサーチ、②セグメント、③ターゲット選定、④コンセプト決定となります。では、順番に見ていきましょう。①どんな見込み客がいるかリサーチⅰ)店前通行者の質店前通行者は質と量を分析ます。 質は交通を発生する施設TG(交通発生源)から導線を分析します。TGについては以前も講義しましたが、人は移動する時に必ず、通過ポイントを決めて移動することに着目して、駅のように人が目的にしやすい施設(交通発生源)を探して、その間のニーズをさぐるものです。実はこの類のTGからTGへ向かう人がどんな人なのかを考えると、そこにあるニーズや店舗の利用動機を逆算することができるのです。 例えば、駅以外のTGを消費という側面で見ると大きく分けて四つのタイプに分類できます。東京ドームやディズニーランド、美術館などのような娯楽施設、百貨店のようなショッピング施設、スーパーのような買い出し施設、オフィスビル・学校のような職場・学校です。その他、病院、役所などがあります。 東京ドームやディズニーランド、美術館などのような娯楽施設、百貨店のようなショッピング施設はお金を使いにきていますから、駅からこの類のTGに向かう人はお金を消費する傾向があります。逆に、オフィスビル・学校のような職場・学校に向かう人は、日常のランチの需要、カフェなどの時間つぶし需要、ちょい飲みの需要などが主で、駅からオフィス街や学校を結ぶ道路には、このようなタイプの店が殆どである場合も多いでしょう。下記の表に整理しておきました。TGとニーズランチTG(駅)-TG(ビジネス街) ビジネスマンの日常的な昼ごはん需要TG(駅)-TG(百貨店)買い物客のランチ需要、喫茶需要、名物の体験TG(駅)-TG(住宅地の食品スーパー) より日常的なランチ(弁当など)の需要、買い出しの延長線上ある惣菜購入TG(駅)-TG(駅・繁華街) 時間調整のためのちょいランチ(牛丼など)需要ディナー時間TG(駅)-TG(ビジネス街) ビジネスマンの日常的な飲み需要(ちょい飲み)TG(駅)-TG(百貨店)買い物客のお茶需要TG(駅)-TG(住宅地の食品スーパー) より日常的な夕食(惣菜など)の需要TG(駅)-TG(駅・繁華街) 時間調整のための時間つぶし(喫茶など)需要、飲み、集まり
2022.08.03
大暑の連続講座 店のロードマップを作ろう その4~会報『四方よし通信』2016年2月号より1 ショップコンセプトの導き方1-1 店舗の場所(物件)ありきの場合のコンセプトの導きだし方1-1-1 立地・商圏という制約 私が、店をプロデュースするを依頼されて、話がかみ合わないことがよくあります。それは、立地という制約をクライアントさんが忘れてしまうということです。 先に結論を申し上げますと、店の場所を決めてしまうとできることが決まってしまいます。いくらやりたいことがあっても、その店の立地や条件ではできなくなるのです。開業をお手伝いする上で、場所が決まっていて、柔軟なかたなら話は簡単ですが、やりたいことがある人は少しややこしいです。やりたいことをやるのに必要な見込み客がいないという環境もあるからです。まずは、その話をしましょう。 見込み客の中で一番取り込みやすいのは目の前を歩いている人です。お店を知っていただくという集客においてとても難しいハードルがないからです。差し迫ったニーズさえあれば、一度は取り込めます。 次に見込み客の中で取り込みやすいのが、近くにいる人でしょう。近くにいると言えるのは店舗までの移動時間が5分~10分(足元商圏)です。この人たちになんらかの外食ニーズがあり、店選びのプロセスで思い出せば(有力な選択肢)にあげられれば、来店いただきます。ちなみに、そのために、脳科学的には、脳の“海馬”に刷り込むことが重要だという話を2014年12月号でしましたね。 また、『食べログ』や『ぐるなび』対策の手法をたびたび紹介してきておりますが、このこともこの店選びのプロセスで優位にたつことにあたります。 一方、一見すると良さそうに思える不特定多数の人があるいている一等地の一階店舗だと、誰でも来店してしまう環境があり、また、賃料が高いこともありわかりやすい店しか作りにくいです。一等地であるがゆえに思うことができない場合があります。逆に、住宅地立地のように限られた人しかいないような場所だと、単価の低い薄利多売ビジネスモデルや真新しいビジネスモデルは成り立ちにくいです。 また、二階以上の空中店舗や地下に店舗があると目的がないと来店しなくなり、衝動来店のお客様を取り込むことは、スターバックスのような知名度がないと厳しいです。入口がセットバックしている物件も同様に目的意識が必要になります。さらに、目的来店の隠れ家的な店の場合は滞留時間が長く、客席回転率は高くなりません。これらが、立地から発生する制約です。 立地が決まっているとこれらの事情をふまえて、多くの場合はやりたいことをある程度妥協しなければなりません。立地固有のニーズや利用動機にあわせて店を作る必要があるのです。このことはある程度店舗をやっていないとわかりにくいことなんだと思います。つまり、これが冒頭の私とクライアントで価値観が共有できないところなのです。だから、こそ、私の言ったことを盲信的にやっている人がうまくいくのかも知れません。
2022.08.03
大暑の連続講座 店のロードマップを作ろう その3~会報『四方よし通信』2016年2月号より1 ショップコンセプトの導き方 P2の0-1での項目でビジネスモデルのパターンは大きく分けるとふたつあるとお話ししました。このことに連動して、開業時においては、ショップ・コンセプトの導き方は、下記のふたつの起点からふたつのパターンに大別できます。・店舗の場所(物件)ありき・やりたいことありきそして、この二つの要素に大きな影響を与えるのが“開業予算”など経営資源から発生する制約条件です。では、それぞれをみていきましょう。
2022.08.03
大暑の連続講座 店のロードマップを作ろう その2~会報『四方よし通信』2016年2月号より0-2 生産年齢人口の激減時のビジネスモデルの課題 2015/2016年末年始感謝号でもお話ししましたが、ただいま日本は人口減少・生産年齢人口激減期に入っております。今後のビジネスモデル構築において大きな影響を及ぼす要素となりますので、この点をしっかり抑えておく必要があります。 では、下記の表をご覧ください。(表)失われる見込み客・労働可能人口 この表は厚生省が毎年発表します、出生数、死亡者数を元に私が、失われる見込み客(65歳以上をターゲットにする店は除く)及び、労働可能人口を算出してみました。安倍政権が発足した2012年から比べるとオリンピックのある2020年には累積で約1000万人の労働可能人口が失われるわけです。現在はその半分の段階です。ここがビジネスモデル構築には大きなカギになるでしょう。ビジネスモデル実現の方法としては、過去講義した内容と重複しましたが下記に列挙します。・機械化して少ない人数で運営する (例)自動製麺機・券売機・スマホによる自動精算システム・・生産性の高い現場を実現して、実質賃金を上げてどこよりもよい雇用条件で雇用する (例)社宅・寮完備、託児所と提携・少ない人数でより高い売価×多売のシステムをつくる (例)通販、手土産・今まで雇用されていない人の採用 (例)高齢者、障害者、離婚して子供が小さい女性・起業意欲のある人との未来共有に連鎖的集合体の確立 (例)リスク共有型の暖簾分け 生産年齢人口の激減はこれまでの常識や基盤が意味を為さなくなるということを意味する反面、リポジショニングや創業のチャンスです。先月でもふれましたが、男女雇用機会均等法とバブル崩壊により過剰な労働力が供給された結果、これまでの外食産業のビジネスモデルができたわけです。しかし、これは大量の低所得者を創り出しました。その結果、日本経済に光は見えず、デフレスパイラルに拍車がかかり、お金が回らなくなっています。しかし、見方を変えて、安倍政権が掲げている「一億総活躍」という言葉を借りるならば、これまでにない視点で、これまでにない雇用をこれまでにない生産性と高い実質賃金にて創りだせば道は開けるのです。そのために必要な柱がミッションあるいは私の言葉でいう未来像、あるいは理念(理想+信念)です。そして、ミッションあるいは未来像あるいは経営理念は「(わたしたちは)〇〇のために〇〇をする」という表現になります。例えば、「授産施設で時給300円くらいで働いていて自立できず、将来に希望を持てない障害者に活躍の場を創りだそう」というミッションを掲げる長野県諏訪市の原さんや、「離婚して子供が小さい貧困女性に活躍ができる環境を創りだそう」というミッションを掲げるようなことが、ビジネスチャンスを生み出すのです。インターネットやスマートフォンの普及で、情報発信、情報交換が容易になりました。これからの時代、未来像が需要になるというのは、未来像で結ばれる関係が仲間を広げるからです。では、早速、コンセプトメイクの講義を進めましょう。
2022.08.02
大暑の連続講座 店のロードマップを作ろう その1~会報『四方よし通信』2016年2月号より0-1 ビジネスモデルのパターン コンセプトを新規に考えたり、リポジショニングしたりするために重要なことはビジネスの本質を理解することです。 外食産業をビジネスの本質に基づき分類すると二つのタイプがあります。まずニーズ対応型で、日常マーケットを狙う胃袋狙いや忘年会などの行事というニーズを狙う場合があります。もうひとつのタイプが、未来像共有型(理想追求型)のビジネスモデルと私が言っているものです。成熟社会において欲求が高次元化して、自分自身の社会的な存在意義に価値を見出すことから生まれるものです。消費活動を通して理想像、文化価値やスタイルなどに共感・共有できる価値を見出し、その欲求を実現します。 ニーズ型は、狙うべきニーズを明確にした上で、そのニーズが起こる場面を想定して、狙うべきターゲット層をきめ細かく具体化してすすめるタイプで、そのターゲットの視点に立って、独自性と事前期待を上回るValue(ヴァリュー)を組み立てます。そして、年間顧客価値(年間に使用する額)を最大化する単価と利用回数の設定をします。ちなみに、日々の売上で一喜一憂するのでは意味がありません。いくつかのグループにわけ、単価設定と利用回数を乗じた数字が最大化できる“個顧客”の年間売上を見出さねばなりません。 例えば、先月号でもふれました、牛丼の例をみましょう。牛丼市場は消費税増税後の値付けで市場環境ががらっと変えましたね。牛丼は、税込300円を超えると気軽さが減り、利用動機が大きく変わるという商品特性があるからです。ちなみに、『すき家』の並350円は『ほっかほっか亭』ののり弁の価格340円を、『吉野家』の380円の値付けなら、『Hotto Motto』の税込350円を上回ってしまいました。そのため、『松屋』並290円(関東一都六県はプレミアム牛めしで並380円)は圧倒的なヴァリューとなり優位に働き、2015年11月度で前年同月対比プラス3.5%と高く、いわば一人勝ちになったと言えるでしょう。牛丼のような日々のランチ需要に応えるビジネスモデルなら、利用頻度が高く日常性が高いニーズを想定します。その上で、弁当・店内での利用回数を最大化する単価設定と年間利用回数を考えないといけないのです。ちなみに、スターバックスのように、基本後者に重心を置いた、中間的な位置づけになる折衷型もあります(下記の図)。この大枠を覚えておくことがとても大切です。
2022.08.02
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その14~会報『四方よし通信』2016年1月号より2 店舗を育てる手順2-4日常食のチェーンを目指さないなら二等立地のスタートが良い マイナスの書き込みをされないためには不満を与えないということがとても大切です。その一方で、口コミを広げるには、並ぶとか予約するとか商品が出来上がるのを待っていただくなどの環境を作らねば、“わざわざ感”を演出出来ません。 あまり、流れのよい場所に店を構えると、フラッと「ちょっと急いでいるんですけど…」と言う人が入ってきてしまいますね。そして、フラッと入ってきた人は、基本的に、フラッと入って来た商品にふさわしいものを選びます。つまり、失敗しないどこにでもあるド定番を無意識のうちに選んでしまいます。だから、口コミが起こりません。 したがって、このふたつの要素を斟酌すると、店は、それなりの集積のある裏路地とか、それなりの集積のある場所の2階とか、3階のような、二等立地、三等立地の方がいいのです。少し裏路地に逃げていくことで、フラッと入ってくる層が変わってくるのです。また、世の中にはイノベーターやアーリーアダプターの類の店を探している人たちが結構いますので、このような場所に店を構えれば、あとは、この人たちが仕掛けにひっかかるのを待つだけです。この類の人は探してでもやってきます。そのやってきた特殊なお客様に来店経験を通して、何らかの目的意識を喚起することが出来れば、自ずと口コミが広がります。 二等立地や三等立地は、目的ある店づくりさえ出来れば家賃も低いことが多く、損益分岐点を超えることが容易でキャッシュももたらしてくれます。その上、同じような業態の店に比べて高めの価格を付けることが出来ますので、やはりキャッシュを産み出しやすいです。 私は、長野の原さんと神戸のハンバーガー店を視察に参りましたが、店が二等立地にあることや店舗までのアプローチや開店前の階段での行列を見て、「これぐらい並んでいて、この場所だったら、たぶん、ハンバーガーの値段は、トータルコストで1,500円~1,600円はすると思いますよ」と予測しました。原さんは、「何でそんなことがわかるのですか?」と不思議に思ったようでしたが、実際、店に入るとその通りで、今回の講義の理屈を説明しました。わざわざこの場所を選ぶロケーションを選べば、わざわざ来る人を選んでいるので、別に安い値付けをする必要はありません。 一方、場所が良すぎれば、フラッと目的もなしにお客様が入ってくることがありますので、値段を見てびっくりして、ビビってしまう人がいると思います。ビビってしまうとクレームに繋がってしまうので、スタッフがクレームを浴びせ返されるのは、あまり喜ばしくない事態です。そうなると、多くの人はそのお客様が来ないようにしようとは思わないので、売価設定を低くせざるを得なくなります。売価設定を低くすると、ハンバーガーは、意外と材料費がかかりますので、素材が限られ商品の特徴がなくなります。場合によっては、どこにでもあるようなショボいハンバーガーになってしまうでしょう。 だからこそ、足元商圏に対する価値と足元商圏外からやってくるお客様に対する価値のダブルバリューを作るわけなのですが、ダブルバリューを作る時には、この部分をよくわきまえていないと、単に凡庸な品揃えしているだけになります。つまり、足元商圏の限界を越えられない店になってしまうのです。このダブルバリューを作って商圏を広げようというのが、商圏クロスオーバー戦略と言えます。商圏クロスオーバーをさせるなら、最初からあまりいい場所に出さない方が賢明です。
2022.08.01
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その13~会報『四方よし通信』2016年1月号より2 店舗を育てる手順2-3 足元商圏外のお客様に売るための戦略的アイテムは売りすぎない 先日、北陸の会員の『ヤムヤム』というカレー店を営む宮本宏さんの店を訪れました。まず、『ヤムヤム』のカレーはインド系のおいしいカレーで、小麦粉もラードもあまり使っていなくて、うまみ調味料も使っていないカレーということで、金沢の対極にあるカレーと区別するために、私は勝手に「白山自然派カレー」と命名させていただいております。こちらの商品ラインナップは900円台からあり、1,000円を超えるぐらいがメインで設定されています。したがって、価格設定だけみると、ある意味わざわざ来るカレー屋と言えるでしょう。当然、日常性が出る価格でないので、ロードサイドゆえフラッと入ってみる人はいると思いますが、段々落ち着いて、おいしいと思った人だけが残るような状況だと思います。 アイテム的には角煮カレーというのが売りで、たしか、1,200円前後ぐらいだったと思うのですが、私のイメージとしては、角煮カレーはおいしいのですが、自然派カレーゆえやさしく、本来なら、売価を低くして、しょっちゅう来てもらえるようなロケーションにあるといいカレーなのかなと思いました。宮本さんとディスカッションしていて、どんな看板商品がいいかと言う話になりました。ただし、カレー自体は変えようとしても出来ないということでした。では、ということで、ご飯というものをもう少し強調したらいいのではないかということで、「注文が入ってから、土鍋でご飯を炊いて食べるカレーを作ったらどうですか?」と提案しました。土鍋ご飯カレーみたいなイメージですね。『ヤムヤム』さんのカレーはバターライスが合うということもおっしゃっていましたので、注文が入ったら、ターメリックライスなり、バターライスなりを土鍋で炊くわけです。さて、ここで多くの方が、提供時間について心配されます。一般的には食事需要の店が一等地やロードサイドに構えると、注文が入ってからなるべく速く提供しなければいけませんね。ただ、先ほど言いましたように、「待つ」から遠方から来るのです。だから、お客さんを遠方から呼ぶには、「待つ」という要素を組み合わせなくてはいけません。そして、このメニューをみんなが注文すると、時間がかかるため不満足の原因になりますし、後は、お店のオペレーションもいっぱい入るとグジャグジャになりますね。そこで、まず売れない高い値付けをします。ただし、いずれ名店になるので、名店になった時点で、目的意識を持ってきた人が買ってもいいギリギリの高い価格を付けます。これがポイントです。 繁盛店は繁盛する前提で強い値付けをします。逆に売れない人は売れないのではという恐怖心から低い価格を付けます。この気合が勝負を二分します。よく商品開発すると、売れなければいけないと思っている人が多くいると思うのですが、実は最初から売れる必要はありません。名店になれば自ずと売れるわけですから。ストーリーある名店を作ろうと思った時は、最初に異常に売れますとオペレーションが崩れますし、みんなが頼むとありがたみがありません。情報は発信することに意義を見出す人から流さないと、情報の価値自体が無くなります。だからこそ、こういうアイテムというのは売価を高くした方がいいのです。ただ、高いにふさわしい部分というのは入れておいた方がいいですよね。そこの仕掛けをどうしたらいいのかの話はまた別として、私のイメージとしては、土鍋で炊くと15分から20,30分かかります。お客さんが来てから捌き始める鰻の名店『石橋』のような感じです。逆に言うと土鍋カレーがいきなりすぐ出てきたら面白くないではないですか。その間にお客さんはヒマになってしまうので、一番いいのは、その間にお鍋をくつろげればいいわけなので、カレー屋さんですが、サラダの八寸や階段のサラダや前菜などを出したら印象に残るし、「待たされるも価値のうち」そんな感じで待つ楽しみになるでしょう。ご飯がいよいよもって、コトコトコトコトと出来てきまして、まず『草喰なかひがし』のように「“煮えばな”です」とアルデンテのご飯を出して一口食べていただくのも面白いかも知れません。ターメリックライスが出来上がった時の満足感がありますので、「こりゃー、2,000円(2,500円あるいは1,800円)とかするわな」という感じになるでしょう。カレーを食べた後に角煮でも入れて、スープを入れるとか、ご飯を余らせてターメリックライスは持ち帰ることが出来るようにするのも楽しいでしょう。そういう風に繁盛店はストーリーを作っていくわけです。ただ、しょっちゅう行く人にとって、待たされるのは苦痛以外の何物でもないので、電話して、頃合いのいい頃に作っておいてもらうわけです。それが常連らしくてまたいいですね。最初は誰でも「郷に入れば郷に従え」で店のルールに合わせるでしょう。段々慣れてきて、スタッフと人間関係が出来て、わがままを言ってみます。そこに個別対応があり、新規客と常連の区別がされます。そこまで通いつめていただく通な客を育成するのも、店の役割なのです。そういう店が、商圏をクロスオーバーさせるのです。
2022.08.01
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その12~会報『四方よし通信』2016年1月号より2 店舗を育てる手順2-2 足元商圏からエリアを広げる2-2-2 足元商圏外の見込み客に対する魅力の発信 足元商圏外の見込み客に対する魅力の発信時に大切なのが、飛び道具になる看板商品とメディアの有効活用です。そのために、足元商圏を意識した“安近短”をベースに開発した商品では弱いので、日常性のない価格帯に、“選ばれし見込み客”が注文して、飛び道具として機能するアイテムの投入をして、暫し待ちます。この場合、ネタを探しているイノベーター、アリーアダプター的な食べログなどの口コミサイトに投稿するレビュアなどが飛び道具になり“選ばれし見込み客”となります。ネットの口コミが有効なのは、サイトに記録が残存して検索で情報がその都度更新される可能性が高いからで、小さな飲食店にとっては、同時に大量な情報を発信するテレビに比べて、継続的な効果や受け手もレビューを書くことが出来ることから拡散性が高いと言えます。
2022.08.01
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その11~会報『四方よし通信』2016年1月号より2 店舗を育てる手順2-2 足元商圏からエリアを広げるたとえば、「今日は土日だからどっかへ行こう。ちょっとおいしいものを食べに行こう」と、店にレジャー性が出てくれば、商圏が自ずと広がります。続いては、店のレジャー性を高め商圏を広げるためのその魅力の発信方法についてお話しましょう。2-2-1 顧客に対する魅力の発信 まず、信頼関係を構築した顧客に対して行う“顧客教育”が挙げられます。時間をかけて“顧客教育”を行うことで、顧客の質(商品知識、ものを見る目)を高めます。そのために、私の代表的なメソッド、“同時対比”を行います。 まずは、イカのような固有名詞から脱却して、“障泥烏賊(あおりいか)”のような魚種認識するための“三種同時対比”と、食材の差に気づかせるコントラストの高い“二種同時対比”からスタートします。最終的には、わかるかわからないかの微差がわかるようにまで持っていきます。
2022.07.25
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その10~会報『四方よし通信』2016年1月号より2 店舗を育てる手順足元商圏の攻め方 足元商圏で店を成り立たせるには、新規でやってきたお客様を高確率でリピーターになっていただかねばなりません。リピーターになっていただくには、初回来店時の再来店率を高くしなくてはいけません。この講義を通して、初回来店時の再来店率を高くする要素についてはたびたびお話してきました。やはり来店時の不満をなるべくなくして、お客さんと近づくこと一番はです。それにもましてよいのは、先にお客さんが自分のことを知っている状況を作ることでした。よくお話ししますように、お客さんが「善の心」で店をよく見てくれているのか、何かチェックしてやろう、あら探ししてやろうという「悪の心」で見ていてくれるのかで、再来店率というのは大きく変わるわけです。もしお客様にお店のことを気に入っていただき、誰か知り合いを連れて再来店すると、その連れてきた人も気に入っていただきやすく、再来店する確率はフリー客よりも高くなります。 一方、フラッと入って来たお客様は、初めて来たから何か心配ですよね。心配な上に、更に、「大丈夫かな?この店」といううがった見方で見ていますので、すごい繁盛店だとしたらプラスで見てくれるのですが、ヒマそうな店だと、「この店はヒマそうだけど、大丈夫かな?」と不審に思うので、お客さんの評価は自ずと辛くなる傾向が高くなります。そうなると、再来店しないことが多いのです。 要は、「なんかこの店は昔から知っている」という状態を作ればいいのです。そのために有効なスキームが、2014年6月号で紹介しました「すごい戸別訪問」の導入です。「近くの○○商店ですが、只今、メニューを持って回っております。よろしかったら、直接渡させていただくか、ポストに入れさせて下さい(ニコッ)」といった流れの戸別訪問でした。そして、降りてきてくださいましたら、「あら、こんなお店オープンしたの」という感じで、「大久保です。よろしくお願いします」と、何かその人と「なんかこの人は感じがいいね」ということで、人間関係が出来ますよね。人間関係が出来れば、人は知っている人がいる店を選ぶ傾向にありますから、来店いただけます。そうすると営業したスタッフがいれば、「ああ、来たわよ」みたいな感じになり、自然と「ありがとうございます」という言葉が出るでしょう。はや、人間関係が出来ておりますから、食後に「いかがでしたか?」と聞けば、「いやあ、おいしかったよ。また来るわ」となって、ほとんどの人がまた来店します。 それに対して、全く知らない人がフラッと入ってきたり、たまたま食べログを見て入ってきたりするとどうなるかというと、どうしても、「本当に、この食べログの評価が正しいのかな」とか、「あのお店は大丈夫なのかな?ちょっと、サービス悪そうだけど」とか、そういう風にフィルターが違うのです。そうすると、どうしても、結果に対する評価が辛くなってしまうのです。だから、東京などの競争の激しいエリアの新規客の再来店率が20~30%と低いわけです。 高確率で新規客が再来店すれば、足元商圏内にいる見込み客をドンドンドンドン増やしていけるわけです。そういう店は強いです。一方、業者にポスティングの依頼をするのはいいのですが、結局、紙を見ただけでは、人間関係を築けませんから、フラッと入ってくるのと再来店率は大して変わらないので、結果として効率が悪いです。人間関係を築いていると強い。仮にポストに入れたとしても、「何か熱心な店だね、良さそうじゃない?」ということで来ていただければ、「ああ、この間回って来た方ね」という心理状況であり、人間関係は100ではないけれど、10ぐらいは出来ていると言えます。また、みんなで営業を回れば、お客様視点になります。足元商圏で確固たる売上げをまず確保できます。その後に、足元商圏外への攻め込みというのが出来るようになるわけです。
2022.07.24
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その9~会報『四方よし通信』2016年1月号より2 店舗を育てる手順2-1 足元商圏を固める ここでは、冒頭でチラリと触れた質問――「どうやってお客さんを探したらいいのですか?」にどう答えるかをまず最初にお話しましょう。 まず、営業力がそんなになくても来店いただけるのが、目の前を通過する人です。目の前に、特にお昼時に、「お腹が空いた」という――火急的なニーズの――潜在客がある程度いれば、集客はそんなに難しくありません。ランチ需要というのは、もっとも取り込みやすいニーズです。また、オフィス街から人の流れがある道路に面している店であれば、「ちょっと(プラッと)飲んでいこう」という“ちょい飲みニーズ”があります。今は生涯単身者に代表される一人世帯が増えていますので、“ちょい飲みニーズ”の潜在的ニーズは増加傾向にあります。ただし、取り込みが簡単だからとお客様が期待する範囲の営業でとどめると、人口減少の時代ですから、先細りは否めません。 一方、地方都市は、目の前にいっぱいのお客さんがいるという環境は稀で、ある程度の範囲から、お客さんを呼んでこなくてはいけないケースが大半です。もちろん、競合次第では20分~30分ぐらいは移動してくれる可能性があります。都心ですと、徒歩5分、車なら10分くらいしか移動しませんが、地方であるならば、店がそんなにないので、わざわざ引っ張るというよりも、そもそも選択肢がない場合ですので、わざわざ行かざるをえないという環境があるからです。したがって、競合の出現や道路環境の激変で如実に影響が出ます。5分とか10分という私の区切りは、あくまでも、それなりの競争があって、その競争下で、勝ち抜いていかなくてはいけない環境があるかないかで変わり、これも、足元商圏と考えていただいた方がよいかと思います。 足元商圏を固める場合、利用頻度の高い料理をベースに、日々のニーズをしっかり取り込んでいく必要があります。日々のニーズとは、日々のランチのような食事需要やチョイ飲みが代表で、ルーチーンの食事回数分のニーズがあります。中でも軽食はそのマーケットが大きいです。同様に、喫茶(コーヒーや茶)のマーケットも大きいです。新業態やリニューアルの場合は、まず主力取扱いアイテムから考えていきましょう。
2022.07.24
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その8~会報『四方よし通信』2016年1月号より2 店舗を育てる手順 お客様の利用頻度を高める選択肢はふたつの方向性があり、お腹を満たす機能に特化した“餌”たる売価を設定するのがひとつの方法です。“餌”たる売価の条件は税込300円を切ることでしょう。もちろん、足元商圏においてのランチ需要は、安ければ安いほど選択肢が狭まり、利用頻度が高くなります。「餌マーケット」では、お小遣いなどの手持ちのトータル予算があるため、消費税も含めて考えて値付けをする必要があります。その点を『吉野家』は見誤ったように思います。 もうひとつが、品揃えを広げることです。『すき家』は、価格で利用頻度を上げやすくしておいて、メニューのバリエーションで更に利用シーンを広げるという戦略をとってきましたが、2015年の値上げでミニ・ファミレスに方向転換したように思います。 さて、餌”たる売価を設定で勝負する場合は、高速回転させ客数を最大化する必要があります。オーダーから商品提供のスピードばかりでなく、奇数配置を主体にレイアウトするなど客席も回転する店づくりをするノウハウを蓄積する必要があります。ただし、便利ステーションの機能を高めるコンビニエンスストアは強敵で、軽減税率導入時に優位性を出せるならば、ますますコンビニエンスストアの力は高まるでしょう。また、そのエリアの見込み客で完結してしまうので、より経営効率を高めるのであれば、物流コストを吸収する必要があり店舗展開する必要性があります。店を出店するために資金を要するので、上場以外に選択肢が無くなることは否めません。 一方、自己資本率を上げたいのであれば、理想は一店舗大型化で、時代に合わせて数店舗を展開するというのがいいでしょう。少ない店舗にとっては今回お話しします商圏クロスオーバー戦略はとても大切な選択肢となりえます。次は、商圏クロスオーバー戦略を落とし込む手順を見ていきましょう。
2022.07.24
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その7~会報『四方よし通信』2016年1月号より1 商圏クロスオーバー戦略1-6 こだわる人はほとんどいない さて、足元商圏で、お客さんを取り込んでいくには、売価設定が非常に重要になります。その理由は、世の中全般からすると、食べ物にこだわる人は本当に少ないからです。 私たちは飲食店関連の仕事をしているので、それなりの経験をしており、食べ物に対する執着が必然的にあると思います。しかし、これは世の中全般からすると特殊な人と考えた方がいいでしょう。私が常々申し上げているように、「味のわかる人はほとんどいない」のです。 足元商圏の多くの人の消費の特徴は、“近い”か“安い”か“うまい”かです。また、日々の食習慣にはパターンがあり、限られた食材が購買されます。このパターンにはまった食材を“日常性が高い食材”と言います。ちなみに遠方から呼ぶには(顧客)教育が重要です。日々の消費は月トータルの食費の上限額が大きく影響を及ぼし、お店の利用頻度は単価設定で大きく変わります。そのため、ちょっとした値付けの違いで利用シーンが変わり販売数も大きく変わります。つまり、日常食のマーケットでは、ちょっとした値上げでお客様の利用頻度が激減したり、他店にスイッチしたりするのです。 牛丼3社の例でお話ししましょう。2014年の消費税増税後、『吉野家』はまず290円に値上げし、2015年には味に自信があったのと、ファミレスの単価アップが好調だという情報からでしょう、380円(669kcal)に値上げしました。『すき家』は270円に一旦値下げの後350円(656kcal)に値上げをしました。一方、『松屋』は増税後290円(735kcal、味噌汁付き)を維持しています。その後の結果が、上記の記事の通りです。 売上の構成はわかりませんが、『吉野家』『すき家』2社は300円より高い価格に値上げしました。その一方、300円を切っている値付けの方が明らかに持ち帰る人が多くなります。たとえば、オフィス立地の場合、300円より落としておいた方が客数は取り込め、生産性も上げやすいはずなのです。逆に言うと、300円を超えますと持ち帰りの需要が激減しますから、相手にする胃袋の数が激減します。こういう日常マーケットというのは、500円よりも350円。350円よりも300円。そして、300円を切ると、利用シーンは広がり、双曲線のような感じとなり、私がよく言う、「餌マーケット」のニーズがグワーッと広がっていくのです。『吉野家』は味に自信があったのでしょうが、ちょっとした味の差なら「それなりにうまいので安い方がいい」となるのです。つまり、それほど「味にこだわる人はほとんどいない」というわけで、そんなに余分なお金を出してまで、お腹を満たそうという人はいないわけです。どちらかというと、とりあえず、お腹を満たせればいいという人が圧倒的に多いのです。NHK日曜討論で、甘利経済産業大臣が「この不況(苦境)から脱しよう」と口を滑らせて日本経済が不況であることを認める発言をして、司会の島田敏男氏は慌てて言葉を遮るような、ある意味放送事故寸前なことがこの前ありましたが、これだけの有効求人倍率であるにも関わらず、低所得層の拡大で日常マーケットでは値付け次第で大きな影響が出るのです。
2022.07.23
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その6~会報『四方よし通信』2016年1月号より1 商圏クロスオーバー戦略1-5 クロスオーバーを誘因する場所 前回紹介しましたマンハッタンのミッドタウン、マジソンスクェアパークにあります『Shake Shack(シェイク シャック)』も30分くらいの行列と20分の提供時間があります。『Shake Shack』があるエリアは、“ノマド・エリア”とも言われておりまして、とても人気があります。ノマドというホテルや『Eataly(イタリー)』などがあり、観光客が集積しています。観光客は時間をかけてわざわざマンハッタンにやってきております。時間をかけてやってきた人というのは、『Shake Shack』や『Eataly』で30分待つというのはどうということはないのです。 一般的に、クロスオーバーしやすい場所は、レジャー目的で集積する交通発生源(トラフィック・ジェネレーター)に向かうターミナル駅がベストです。次に、出張者が集まるエリアの交通発生源たるターミナル駅、あるいは空港の15分圏内がいいです。例えば、鉄板ですが京都、大阪駅(梅田駅)、博多駅、東京の三区(港区、中央区、千代田区)、名古屋駅が挙げられます。最近では、金沢駅、松江市、札幌駅が良い環境になりつつあります。
2022.07.23
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その5~会報『四方よし通信』2016年1月号より1 商圏クロスオーバー戦略1-4 待ち時間は商圏クロスオーバー性を高める 足元商圏を超えたお客様を呼び寄せる要素にレジャー性があります。レジャー性の要素には、まず、披露宴、誕生会のような記念日や歓送迎会のようなハレの利用シーンがあります。ハレの利用シーンは、期末利用、年一回の記念日、一生に一度の特別な日を形成しております。 もうひとつが人気です。見込み客の移動距離は待ち時間に比例する要素があります。逆に、待ち時間が短い店――すなわち、店に入ってすぐに「どうぞ」とご案内される店というのは、本質的には便利な店であってそんなに移動距離を取ってもらうことが出来ません。私は『The21』という雑誌からの依頼を受け、三田にある『ラーメン二郎』に並んだことがあります。その日はまた混んでいる日で、2時間も案内されるまで時間がかかっていました。しかし、それは、『ラーメン二郎』を目当てに来た人は、2時間待って食べるということを意味します。ネタとして並んでいる慶応大生は別として、近場の人がふらっと並ぶとは思えませんので、2時間という時間的に余裕がある人で、遠方から田町の『ラーメン二郎』本店に目的を持ってわざわざやって来た人だと言えます。2時間という待ち時間はいささか長いとは思いますが、30分待ちぐらいだったら、「わざわざ東京(田町)に来たのだから」と店前まで来て、「今日は並びが少なそうだから並んでみようか」という流れになります。つまり、行列が出来る店を作れば、それだけお客さんも遠方から来るようになるのです。行列が出来なければ、それだけお客さんも遠方から来ません。 そして、“待ち時間”が意味するものは、店の前で並ぶ待ち時間もありますが、2か月前から予約しないといけない店のような予約を取る容易さや待ち時間も示します。並んでいるお客さんと予約のお客さんの大きな違いは、これから予約して、身支度して、更にヨイショと行かなければいけないので、当然、その間に阻害要因があり、ドタキャン率が高くなることです。したがって、デポジットをとるとか、便利な予約待ちの見込み客を抱えておくとか、あまり飲食店ではやりませんが、オーバーブッキングしておくとかの対策が必要となることでしょう。 お客様が待つという環境を作るには、『銀だこ』や大阪の『キャベツ焼き』のように、お客さんがいないときは作り置きしないで、種火客がいらっしゃったら、ゆっくり作り始めて、アツアツの作り立てを提供するのが良策です。「並ぶ」というのはわざわざ来るという“わざわざ感”の演出ツールになるわけですね。ここで、頭を切り替えなくてはいけないのは、行列が常態化したら、この行列をあまり増やし過ぎないように、提供時間をコントロールして、かつ品質が安定するオペレーションを構築しなければならないということです。お客さんの一番理想的な待ち時間は、15分~30分です。ちなみに、創業1909年のなせる業ではありますが、東京三大鯛焼きで有名な『浪花家総本店』(麻布十番)のように、注文して1時間後に取りに行くというのもわざわざ感があります。
2022.07.23
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その4~会報『四方よし通信』2016年1月号より1 商圏クロスオーバー戦略1-3 商品のクロスオーバー性 料理には、人を“グルメの旅”(イーターテイメントかさないかさEat×Entertaiment)に誘う魅力があります。これが、商品による商圏のクロスオーバーです。商品のクロスオーバー性とは、その店や料理を目当てに、お客様にわざわざ旅をさせてしまう性質です。人を移動させやすい商品特性を持っているものの代表例はパンでしょう。パンというのは、毎日の朝食の食卓に欠かせない一品で、マニアが結構おり、また、持ち歩きがしやすいことから、商品のクロスオーバー性が高いアイテムのひとつです。 蕎麦やラーメンも商品のクロスオーバー性が高い商材と言えるでしょう。蕎麦やラーメンにあるのが、その店の商品の個性(独自性、ユニークさ、ローカル性)と技術の存在です。商品の奥行や革新の可能性(アレンジの許容度の広さ)が内在し、ローカル性が高く旅行と連動しやすい商材は、お客様を移動させることが出来るのです。 例えば、蕎麦は気軽な立ち食いそばのような業態もありますが、蕎麦打ちの高い技術(奥行の深さ)や『平沼田中屋』の“きざみ鴨せいろ”のような今までにないアレンジ(革新)によって、お客さんを引っ張ることが出来ます。商品の個性の強さは、たまたま目の前を通りかかった足元商圏の顧客獲得から始まり、次第に評判によって行列をなし、遠方からお客様を呼ぶのです。足元商圏の評判から始まった一時の繁盛であっても、しっかり勉強と実践をして顧客に応えれば、最終的に長期的な繁栄のきっかけになる可能性があるのです。 商圏をクロスオーバーさせるために重要なのが、取扱商品自体の特性です。その商材によって、遠くから呼べる、遠くから呼べないかが変わります。わざわざ食べに行くようなものでもない場合は、それなりの集積や人の流れがある裏路地ぐらいまででないと成り立ちません。ただし、それなりの集積や人の流れがあるロケーション、あるいは車で移動する環境で導線の中、あるいは近くに店付けができれば、2階以上の空中階でも成り立つわけです。 例えば、カレーは、提供されたカレーの性質が気軽感、スピード感などが関係しているのか、あるいは家庭の味というイメージが強く“非日常感”が出ないためか、目の前、近くの手短な場面で食べてしまう要素があり、わざわざ遠くに食べに行くという目的性は低いものです。しかし、「ついで」があれば強いのです。例えば、七里ガ浜の『珊瑚礁』ですが、『珊瑚礁』に行くというよりは江の島や鎌倉などのドライブとの関連付けでのベストな選択肢のひとつというのが大きな要素になっているものと考えられます。『珊瑚礁』でさえこのようなロケーションが必要なので、カレーだけではそんなに遠方からお客様を引っ張るのは難しい商品特性があると言えるでしょう。 逆に、お客様を移動させやすい食材もあります。例えば、ハンバーグよりもハンバーガーの方が、目的意識を起こしやすく、より裏路地や空中に導いてくれます。例えば、食べログで一番点数が高い三宮のハンバーガー屋『S.B.DINER-KOBE (エスビーダイナー コウベ)』という店があります。こちらは飲み屋街の一本入ったビルの2階にあるハンバーガーの店ですが、開店前にはお客様が行列します。分厚いパテに、ブルーチーズ、アボガドを大胆に使ったハンバーガーは迫力があります。ダブルチーズバーガーは単品で1,050円を超え、アボガドブルーチーズバーガーは単品で1,130円(2015年9月現在)です。しかし、見た目の迫力は大変あります。“驚き料”をいただくために高めの値付けをして付加価値を付けているのですが、これは二等立地だからこそ可能な手法と言えるでしょう。
2022.07.22
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その2~会報『四方よし通信』2016年1月号より1 商圏クロスオーバー戦略1-1 商圏クロスオーバーとは 私が考える“クロスオーバー”とは、あるものAとあるものBの長所を踏まえ、それらを融合させ、新しい価値のあるCを作り出していくことを意味します。 たとえば、先月紹介しましたニューヨーク、ブルックリンの『シェフズ テーブル アット ブルックリン フェア』という三ツ星レストランを見てみましょう。こちらのラミレスシェフは、店のオープンにあたり、モダンフレンチによくあるタパスを取り入れようと、スペインを旅したのですがイメージがなかなか湧かなかったそうです。そんな時に、“辻調”出身のラミレスシェフは、フレーバー豊かな日本の和食の要素を取り入れたら面白いのではないかとふと思ったそうです。そこで、タパスを“懐石”や“鮨”の要素に置き換えるという発想が浮かんだのです。「和食とタパスを融合させることで、新しいカテゴリーとなり、どこにもないアイデンティティの輪郭が出来る」とラミレスシェフは言います。この和食の要素とモダンキュイジーヌのタパスを組み合わせることで、新しい価値を創造することは、まさにクロスオーバーと言えるでしょう。 同様に、飲食店の生産性を上げるために、店舗経営においても同じようなことが出来ないかと当てはめたのが「商圏クロスオーバー戦略」です。 以前、レクチャーしておりますが、お客様を一番取り込みやすいのが目の前です。続いて、移動距離5分~10分の近くにいるお客様、すなわち、足元商圏が取り込みやすいです。この足元商圏までであれば、店舗立地に合わせたニーズを掘り起こし、見込み客に伝わればどんなお店でも集客することが可能です。競合がなければ、ニーズのボリュームに応じて店を継続することが出来ます。また、競合があっても、競合より店舗運営力が高ければやはり継続をしていくことが可能です。 しかし、日本はこれから生産年齢人口激減に見舞われますので、この小さな商圏では右肩下がりになることが増えるはずです。例えば、地方や古い住宅地では、高齢者は増えている一方、消費力ある見込み客自体は激減しており、足元商圏で成り立っていた店も、売上げは落ち、生産性は漸減してします。そこで、今回ご提案する「商圏クロスオーバー戦略」という取組を行うのです。特徴のない店でも、ファンタジスタのように足元商圏を越えてお客様がやってくる“コンテンツ”をミックスするのです。「週末商圏」、「月末商圏」、「期末商圏」と広げ、より揺るぎない店を作っていきます。可能であれば、店自体がお客を呼ぶ「ファンタジスタ商圏」まで広げていきます。
2022.07.22
大暑の連続講座 商圏クロスオーバー戦略 その1~会報『四方よし通信』2016年1月号よりなぜ商圏をクロスオーバーさせる必要があるのか よく地方から視察にいらっしゃった方から、「東京はなんか違いますね」とよく言われます。そこで、下記の図をご覧下さい。実は、労働者の所得はバブル崩壊後下落の一方ですが、確実に金融資産を持つ層、すなわち、富裕層は拡大しています。5000万円以上の金融資産を持つ人は315.2万世帯+95.3万世帯+5.4万世帯で415万世帯もあり、この層が東京や都市部に集中しています。東京と地方の景況感に格差が広がっているのは、アベノミクスよって給与所得者が潤ったのではなく、間違いなく、インバウンドの増加と資産家の資産インフレによる景況感が大きいでしょう。これらの富裕層を狙うのが今回のテーマ「商圏クロスオーバー戦略」の本質です。「商圏クロスオーバー戦略」はサービス業における所得倍増の解決の一つのパーツとなりうると考えているスキームです。是非、より興味をもってお話をお聞き下さい。純金融資産保有額の階層別にみた世帯数(2013)
2022.07.22
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その31~会報『四方よし通信』2015年11月号より4 物販の注意点4-1 食中毒のリスク④クレーム対応 物販につきものなのがクレームです。手広く物販をやればやるほど、クレームが増えます。特に通販に苦情はつきものです。事故やトラブルに学び、精度の高いビジネスモデルの構築をすることが大切です。
2022.07.09
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その30~会報『四方よし通信』2015年11月号より4 物販の注意点4-1 食中毒のリスク③危害管理 食品の事故には顕著に起こりやすいところがあります。そのため、製造する食品の危害を分析して、その重要管理点を特に徹底的に管理することはとても大切です。重要管理点は、菌を入れない、増やさない、広げない、死滅させる行程のいずれかで、このポイントの管理はとても大切です。例えば、菌を死滅させるための行程や菌を増やさないための行程を徹底することは効果的です。物販のトラブルで一番多いのが、食中毒よりは、異物混入でしょう。したがって、レストランだと意外に曖昧にしていますが、長い髪の毛を網で括ったり、エンボス手袋をしたり、マスクをしたりすべきです。また、店内でホッチキス、クリップ、金束子など、異物混入に繋がるようなものは使わないことが大切です。
2022.07.09
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その29~会報『四方よし通信』2015年11月号より4 物販の注意点4-1 食中毒のリスク② 製造ロットで管理 万が一に備えて、製造ロットでの管理をしっかりとしましょう。そして、何かトラブルがあった時に、それを、保護するために、例えば、1ロットごとに1個無作為にサンプリングしておいて(これを検食と言う)、「何月何日の製造」と日付を記載して冷凍庫で一定期間しっかり保管しておかねばなりません。 先日、ニューヨークのフルトン市場を視察しました。その時、市場をご案内いただいたアポロ社の石田さんが、おもむろに仕入れたハマグリのタッグの写真を撮り始めました。聞けば、生のハマグリのように生食する二枚貝は、漁師から末端のレストランまで流通のすべての段階でタッグ管理して、ノロウイルスなどの危害に備えているとのことです。万が一食中毒が起これば、流通をさかのぼってどの産地かわかるようにしているとのことです。そういうリスク管理というのは、これからの時代に非常に大切だなと思いました。
2022.07.09
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その28~会報『四方よし通信』2015年11月号より4 物販の注意点4-1 食中毒のリスク① 温度管理 細菌が増えやすい温度帯というものがあります。食中毒を防止するために徹底した温度管理が必要です。大量に食材を扱う場合は、ブラストチラーやショックフリーザーなど冷却機器の整備をし、温かい食材は速やかに0℃近くに冷却することが何よりも大切です。 また、即時消費するレストランだとあまりないのですが、物販だと起こる食中毒が結構あります。たとえば、カレーのウェルシュ菌による食中毒です。ウェルシュ菌は豚や鳥におりますが、厄介なのは加熱しても死滅しないことです。そして、嫌気性菌です。汁気の多い状態で、増殖しやすい温度に豚肉、鳥肉が入っていると危険です。レトルト食品は、これらのリスクを回避するために、滅菌のための加熱工程があります。振動する装置で、ある一定時間加熱しています。
2022.07.09
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その27~会報『四方よし通信』2015年11月号より4 物販の注意点 物販は大々的にやればやるほど、いろいろなお客様が購入されますのでリスクが増大します。続いては、物販を始めるにあたっての注意点について触れましょう。4-1 食中毒のリスク まず、注意しなければならないのが、食中毒のリスクがあることでしょう。物販の場合、大量に製造する上、製造から消費まで時間があり、販売後のお客様の商品の取り扱いも見えないところがあります。その点を踏まえて、食中毒のリスクに対しては万全を期す必要があります。
2022.07.09
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その26~会報『四方よし通信』2015年11月号より3 流通3-2 流通形態③ 低温流通 冷蔵 冷蔵流通の良さは、品質の劣化が少ないことです。強烈に脱気して真空をかけると肉などの細胞膜を破壊するリスクがあるものの、香りや風味などの劣化は冷凍に比べても少ないです。 ただし、冷蔵流通は、賞味期限が非常に短いというところが最大の難点だと言えるでしょう。そのため、買い置きとしてという利用動機がある家庭向けの通販にとっては障壁となる部分と言えるでしょう。したがって、いかに、品質保持期限を延ばすことができるかが重要となります。 豆乳の『美盛』は非加熱処理、冷蔵流通で品質保持期間が1か月あり、外食向け豆乳としてはとても人気があります。飲食店にとっても品質保持期間が長いのはとてもいいことなのです。 逆に、以前、『出雲米プリン』をプロデュースしましたが、どうしても、一般菌数の増加は避けられず、品質保持期間が製造日を含めて4日~1週間でした。そのため、受注生産をせざるを得ず、商品自体は、ショップで一時的に爆発的ヒットをしたのですが、生産性を上げることができず、製造中止になってしまいました。品質保持期間が短いと、作り置きをするとロスが出やすいのです。お客様が購買する時にもやはり二の足を踏んでしまいます。そういう点がとても難しいところです。 最後に、冷蔵も冷凍も、クール宅配料金がそれなりにかかる上、重量制限があります。ひと梱包13kgから15㎏となっています。B to Cにはあまり関係ないかもしれませんが、重量商材を効率的に送ることができない点も拡販には足かせになります。
2022.07.08
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その25~会報『四方よし通信』2015年11月号より3 流通3-2 流通形態③ 低温流通 冷蔵 冷蔵流通の良さは、品質の劣化が少ないことです。強烈に脱気して真空をかけると肉などの細胞膜を破壊するリスクがあるものの、香りや風味などの劣化は冷凍に比べても少ないです。 ただし、冷蔵流通は、賞味期限が非常に短いというところが最大の難点だと言えるでしょう。そのため、買い置きとしてという利用動機がある家庭向けの通販にとっては障壁となる部分と言えるでしょう。したがって、いかに、品質保持期限を延ばすことができるかが重要となります。豆乳の『美盛』は非加熱処理、冷蔵流通で品質保持期間が1か月あり、外食向け豆乳としてはとても人気があります。飲食店にとっても品質保持期間が長いのはとてもいいことなのです。 逆に、以前、『出雲米プリン』をプロデュースしましたが、どうしても、一般菌数の増加は避けられず、品質保持期間が製造日を含めて4日~1週間でした。そのため、受注生産をせざるを得ず、商品自体は、ショップで一時的に爆発的ヒットをしたのですが、生産性を上げることができず、製造中止になってしまいました。品質保持期間が短いと、作り置きをするとロスが出やすいのです。お客様が購買する時にもやはり二の足を踏んでしまいます。そういう点がとても難しいところです。 最後に、冷蔵も冷凍も、クール宅配料金がそれなりにかかる上、重量制限があります。ひと梱包13kgから15㎏となっています。B to Cにはあまり関係ないかもしれませんが、重量商材を効率的に送ることができない点も拡販には足かせになります。
2022.07.08
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その24~会報『四方よし通信』2015年11月号より3 流通3-2 流通形態② 低温流通 冷凍 通販において、私が一番おススメなのは、冷凍です。味の劣化が比較的少なく、日持ちもします。通販で粗利がいいのは煮込みやスープ類で、これらととても相性がいいです。ただし、冷凍しますと、著しく品質が劣化してしまう食材があります。専門用語で、“冷凍耐性が低い”と言いますが、具体的には、葉もの野菜やジャガイモなどがこれにあたります。また、片栗粉でとろみを出したものも冷凍耐性が低いです。 ちなにみ、レトルトまたは缶のデミグラスソースと冷凍のデミグラスソースで食べ比べていただくとこの差がよくわかると思います。ただし、デミグラスソースは、冷凍の場合、風味が落ちるので、香味野菜を加えて炊き直しをすると弱い部分が補完されます。冷凍食品の場合、食品衛生法に基づき製造に適した設備と、そんなに難しいものではないのですが許認可が必要になります。
2022.07.08
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その23~会報『四方よし通信』2015年11月号より3 流通3-2 流通形態 通販の流通形態は温度帯で分類でき、大きく分けると通常の宅配の常温、低温輸送だと冷凍と冷蔵の三つに分けることができます。流通形態をしっかり選択してレストランの味に近いものを提供しましょう。① 常温流通 常温での流通は送料だけに着目しますととても優れています。ただし、多くの食品は品質の劣化や細菌の繁殖のリスクがありますので、万能とは言えません。レトルトパウチ食品など限られた食品が対照となります。意外と侮れないのは、瓶詰商品でしょう。レストランの味を家庭でというコンセプトに、トマトソースやケチャップのような商材を販売する可能性は今後高まるように思います。 常温流通が可能ですと、輸送が容易で、日持ちもするため、多くの売り場に採用される可能性があります。大量生産も可能な場合が多く、店舗数が多いコンビニエンスストアや大手流通にも納品可能です。実際、洋食店を営業していると「オリジナルのカレーを作りませんか?」などと、食品メーカーや企画会社から提案があると思います。ここで注意すべきなのは、食品メーカーや加工場の個性が出ることです。まず、店づくりにおいて、個性的なイメージを固めてから、その個性をレトルト食品自体にデフォルメをかける必要があります。 たとえば、湘南にあります『珊瑚礁』のように、『珊瑚礁』というブランドを構築しておいて、ある程度のレシピ上のメリハリで商品化します。『珊瑚礁』の場合は具材感のデフォルメと辛さに特徴があるように思います。 ラーメンだと、コンビニに向けてカップラーメンを企画している会社、生協などに向けて企画している会社など様々あります。 常温流通商品の難点は、個性的な商品開発が難しいことと、ヒット商品が生まれた場合に資本力のある大手メーカーが似たような商品を投入してきて、一気に陳腐化するというリスクがあります。例えば、「食べる辣油」は大手食品メーカーの桃屋が開発・投入しましたが、その後、多くのメーカーや飲食店が参入して陳腐化したものの代表と言えるでしょう。
2022.07.08
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その22~会報『四方よし通信』2015年11月号より3 流通3-1 流通形態の選択は大切 私は、個人的に、『大東園』のユッケジャンスープが非常においしくて、大好きです。おいしさの秘密は、冷凍で流通しているというのが大きいと思います。大体、2.5人前ぐらいで1パック1,000円ぐらいにて売っているのですが、例えば、昼ごはんにどうしようとなった場合に、買い置きしてありますと、湯煎で温めるだけで食べられるので、便利です。 ユッケジャンスープですから、脇役としても食べられますし、ご飯を入れてクッパにもできます。 私が『大東園』がすごいなあと思ったのは、この通販を始める時に、品質にものすごいこだわりになられた点です。たとえば、冷麺は納得できる商品ができないということで、なかなか販売されなかったことです。他のところはスケジュールありきで進めますが、納得できる商品が完成しなければ販売しないという姿勢は、長期的に販売する上でとても大切かなと学ばせていただきました。やはりレストランは、物販をやるときでも「品質が命」だと思うのです。品質を落としてまでも、売上げを作るために、通販を始めるのは避けるべきです。自分のお店のブランドイメージを崩さない、崩さないどころか、もっと「ああ、こういうのもあるんだ」とか、「ああ、こういうお店があるんだ」というところまで繋げられる、そういう通販を始めていただきたいものです。 その時に大切なのが、流通形態と言えるでしょう。特に、カレーとかスープとか、レトルトにすると品質が著しく落ちるものは、冷蔵や冷凍で商品開発すべきです。レストランの味を家庭にというのがレストランの参入すべき物販です。通販を始める時に、流通形態の選択はとても重要です。
2022.07.08
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その21~会報『四方よし通信』2015年11月号より2 魅力ある物販をするために2-8 日常性が高い商材を扱う場合 日常性の高い商材を扱うケースで、自家消費狙いならば、主役ではない商材――つまり脇役になる地味な商品――の方がいいことが多いです。 たとえば、レストランの主役にならない食材の典型的なものは、豆腐です。顧問先の豆乳メーカー『美盛』の寺田信一社長は、「豆腐を主軸にした業態を出すと、すぐにダメになってしまう」とよくおっしゃいます。しかし、豆乳から作った手作り豆腐というメニューは、メニューから消えることはありません。なぜかと言うと、脇役だからなのです。 たとえば、お総菜などの脇役ですと、唐揚げです。唐揚げは非常に脇役だと思うのですが、これは脇役ゆえにいいのです。主役になり切れない脇役という部分の感じが、唐揚げにはあると思うのです。ですから、手頃感があるし、多くの他の商材と共存できるのです。大久保一彦の本非常識に稼いでいる飲食店だけがやっている儲けのルール [ 大久保一彦 ]
2022.07.07
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その20~会報『四方よし通信』2015年11月号より2 魅力ある物販をするために2-7 誰に売るかを明確にする 2-5の項目の麻婆豆腐の素ですが、よくよく考えると、飲食店で使えるので、顧問先の豆乳の『美盛』で業務用に使えば面白いかもしれないと気づきました。 物販は誰に売るのか、つまり、販売シーンというのはとても大切で、B to C(バイヤー to カスタマー)なのかB to B(バイヤー to バイヤー)なのかを最初から明確にする必要があります。1ショップ年商1億円のバームクーヘンも、年2億円のずば抜けた売上げを出しているショップは、地元の引き出物の取り扱い業者に顔が効いて、販路を持っている人です。つまり、B to Cで売上げの厚みを作っております。引き出物で出しますと、3千円とか5千円のやつが出てしまいますから頷けますね。 成功しないショップを見ると、誰に売るのかということが、始める時にあまり明確にしていないケースが多いかもしれません。
2022.07.07
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その19~会報『四方よし通信』2015年11月号より2 魅力ある物販をするために2-6 こだわっているように見せること 物販は、見た目の体裁を整えて、こだわっているように見せて付加価値を出すことが大切です。よく物販をはじめるときに、「売れるかな?売れないのかな?」という風に、おっかなびっくりで、様子見的な行動となり、売れたら考えるという思考パターンになりがちです。例えば、包材の最少ロットがあるので、簡単なシールで対応をする店が意外と多いですね。しかし、物販で成功している人たちをよく見ると、早い段階から名入りのパッケージをしっかりと作り、“らしい”雰囲気を出していますね。やはり、パッケージがとても大切だとわかっていますからこそ、名入りで作るのでしょう。名入りのパッケージだと、それなりの雰囲気になります。一方、シールというものだと、あたりを見ているような雰囲気が伝わります。面白いのですが、「売れるのかな?売れないのかな?」という気持ちは無意識のうちにお客様に伝わるようです。そういう意味では、ある程度やる内容が決まったら、“腹を括る”ことが大切です。 更に、人に送りたくなるような演出をすれば、贈り物という位置づけにすることができます。贈答品というのは、箱に入っていて価値が出ますから、最初は、マドレーヌをちょっと気軽にお客さんに買っていただこうと思っていても、物販というのは、“ハッタリ”が大切な商売ですので、箱もの(箱に入ったもの)をディスプレイしておくことがとても重要です。 そして、この上なく大切なのがショーケースです。私が、『新宿さぼてん』で非常に勉強になったのは、『新宿さぼてん』のようなとんかつチェーンが、町中のスーパーに入っている揚げ物屋と言われているコンセッショナリーでビジネスをやられている人と何が違うのかということです。これは、在籍当時の牛崎専務より教わったのですが、氏は、以下のようなわかりやすい言葉で表現しました。それが、「売っているものは大して変わらないが、看板とショーケースが違う」ということです。お客様が「ああ、この店はおいしそうだな」と感じるためには、ある程度、演出――これを私は“ハッタリ”と言っておりますが――が非常に重要なのです。ショーケースが素晴らしければ、何かよくわからないけどすごく見えてしまうのです。 先日、バームクーヘンを勉強しようと、デモンストレーションとそのプロデュースしている神戸の『不二商会』を訪れました。彼らのプロデュースの実績はたいしたものなのですが、「ショップ作りはショーケースが重要だ」とおっしゃっておりました。それを聞いて、やっぱり、「とんかつを売るのもバームクーヘンを売るのも変わらないのだな」と改めて思いました。物販は“ハレの要素”の演出がとても大切で、商標、パッケージ・デザイン、ショーケース、上質な販売スペースなどしっかり考える必要があります。
2022.07.07
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その18~会報『四方よし通信』2015年11月号より2 魅力ある物販をするために2-5 一回の使用量が多いものを選ぶ 物販商材を選ぶときに、一回の使用量が多いものを選ぶとよいです。特に、購買頻度が低い場合は、重要な要素となります。以前、原さんが豆腐とご飯があれば簡単に本格的な麻婆豆腐が作れる素を開発しました。しかし、麻婆豆腐自体、家庭の食卓出現率が低い上に、一回の使用量が少ないので、家庭用の販売は難しいと、一旦はダメ出しをしました。
2022.07.07
の連続講座 新物販&通販の可能性 その17~会報『四方よし通信』2015年11月号より2 魅力ある物販をするために2-4 繰り返し購買するものを選ぶ(補充性) お土産で買ったコンフィチュールが、忘れ去られて冷蔵庫でうっすら一層残っているケースがありませんか?場合によっては、カビが生えて捨ててしまう。 よくコンフィチュールを物販で販売しているお店を見かけます。しかし、コンフィチュールには最後(食べきる)まで使い切らない商品特性があり、繰り返し購買につながりにくいです。観光地などで売りっぱなし商品なら良いのですが、基本、真面目に売ろうとすると難しい商材のひとつです。定番のいちごジャムや人によってはマーマレードやピーナッツバターなどは、朝食に欠かせないご家庭もあり、使い切るものもありますが、特徴のあるコンフィチュールのような商材は生活習慣に継続利用を落とし込めないと、“永久在庫”として消費期限をはるかに超えて冷蔵庫にあるというパターンになりがちなのです。物販を考える場合、そのご家庭に入り込めば繰り返し購買が狙える商材を選ぶと良いです。年商1億円を狙うならなおのことです。ちなみに、『新宿さぼてん』はソースのサービスを乱発して冷蔵庫のソースを占領する作戦に出て、他の競合店からとんかつの選択肢を奪いました。この繰り返し購買が狙える要素を“補充性”と言います。例えば、ケチャップは、量が少なくなると、逆さにしたり最後まで絞り出したりして使い切りますよね。マヨネーズも同様です。コーヒー豆もそうでしょう。 実は、最後の一層が残ってしまうというのは、衝動購買をしていただけるのですが、繰り返し購買はなかなか行かない商材なのです。それに対して、最後まで使い切る商材というのは、繰り返し購買していただける商材です。繰り返し購買されるものというのは、その後、補充をしますので、使い切って次を買うということになるのです。この時に大切なのが、購買頻度と価格と付加価値の設計です。 例えば、大手メーカーの味噌は安い値付けです。そのため、スーパーにおける日常の買い出しモードだと、安いものを買おうとします。一方、大手メーカーは味噌本来の良さを消した工業品的な性質が高いです。まず、仕込みの塩のほとんどが食塩(工業的に精製した塩化ナトリウム)です。この“時代の遺物”たる食塩を否定することによって、安値の大手メーカーの工業品と違うマーケットを作ることができるでしょう。そして、大手メーカーの味噌は“品質安定をはかる”ため麹菌が家の中にうじゃうじゃ存在することができるという味噌の最大のメリットを消しています。無添加という表示なら殺菌行程で一般生菌を死滅させていますし、そうでなければ、酒精で発酵止めをしています。非加熱とか、発酵止めしてないということころで、「まだまだ熟成できます」というような売り方が出来ると思うのです。そうすると、お客さんは、なんでそうするのですかというところを理解していただけると、「ああ、麹が生きている方がいいんだな」とか、あるいは、味噌は、意外とそんなにこだわった塩で仕込んでいないことを理解してくれるのです。 大手メーカーが売価を倍にすることはなかなか難しいです。この隙を突き、かつ“レストランの味”を打ち出せば、新しいマーケットを開拓して、売れると私は見ております。確かに、戦後からこれまでは簡便性からパン食が広がりました。したがって、米の消費は減り、味噌汁も飲まなくなりました。和食は、出汁を引かねばならず調理時間がかかりますからね。しかし、旨みに重きをおいたレシピの良い塩を使った手作り味噌なら、仮に出汁を取らなくても、簡単に作れておいしいわけです。油揚げやフリーズドライの野菜を入れれば、健康にもよくおいしい味噌汁になります。これからは、健康によくておいしいなら、レストランで使っているこだわった味噌を買う時代が来るというのが私の予測です。
2022.07.07
小暑の連続講座 新物販&通販の可能性 その16~会報『四方よし通信』2015年11月号より2 魅力ある物販をするために2-3 高額商品はスペック型で男性ターゲット、小ハレはイメージ重視で女性狙い 手が届くような、ちょっとハレ感があるようなものであったら、“小ハレ”に商品設計して“女性脳”を刺激して販売するといいです。高額商品を売る時は、“男性脳”を刺激するようスペック重視で組み立てます。 男性はもちろん、ビジネスで活躍している女性は“男性脳”の傾向が高く、「これはどういうものを使っているのか?」「食材の産地はどこなのか?」「オーガニックの材料か?」など非常にスペック志向です。もちろん、顧客教育や啓蒙活動も重要ですが、どういうもの、どういうものと、スペックを積み重ねて商品を開発することが大切です。 “女性脳”は雰囲気が大切で、マズローの言う、生存、安全の欲求を害しない限り、事実かどうかはあまり関係ない面があります。手が届く贅沢が大切で、ある一定の価格を超えると購買意欲が一気に消えてしまうケースがあります。参考 www.biranger.jp 脳神経の動き大久保一彦の本【中古】 繁盛の天才 2時間の教え 127人の店長を成功させた /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.07.07
夏至の連続講座 新物販&通販の可能性 その15~会報『四方よし通信』2015年11月号より2 魅力ある物販をするために2-2 おにぎりとバームクーヘンの違いを理解せよ 人のために何かをしようとなってくると、よりお金が使われる傾向があります。最低でも、それなりの金額のものを購入します。物販を始める時、buyingとshoppingとは購買動機や購買自体が明確に違うので、どちらを狙うかを考えて商品設計や販売戦略を練らないといけません。私の会員様が物販を始めるならば、基本論は、shopping、すなわち、人のために買う商材を開発していただきたいものです。 たしかに、日常性がある商材をベースに商材を組み立てた方が売りやすいのですが、ただ、日常性がある商材をベースに組み立てるのであっても、安くリーズナブルに提供するよりは、日常性があるものを上手く活用して、よりよいイメージを上手につけて、人のために買う商品を開発していただきたいのです。 では、具体的におにぎりとバームクーヘンを事例に検証しましょう。おにぎりという商材は、銀座松屋にある『十石(じゅっこく)本店』のような、人のために買う店は非常に珍しく、基本は自分の手軽な食事のために購入する商材です。一方、バームクーヘンは、自分のために買うコンビニカット売りから、百貨店や桐箱に入った引き出物まで、非常に価格や利用シーンに幅のある商材です。以前も紹介しましたが、私の事務所にいた宮本君が、通販や『一凛珈琲』の店舗に『一凛バウム』という珈琲に合うというコンセプトのバームクーヘンを楽天で6個入り2,000円(送料込)で販売しております。楽天のバームクーヘン部門で一位にもなり、なかなか人気です。一般的には、菓子類というのは、ハレ的な要素があるので、高く売れる“伸びしろ”があります。菓子にはギフト性、つまり、人のために買うという要素が強いからなのです。したがって、菓子を扱う場合は、いかに高く売るかというのが非常に重要です。 2015年12月に開催されます“日本経営合理化協会の店舗見学会2015”に組み込みましたアップルパイの専門店『グラニースミス』は、紅玉のアップルパイなどアップルパイのバリエーションがあり、5坪ぐらいで、1000万円ぐらいの売上があります。アップルパイというごくありふれたものを、人に持っていくアップルパイ、お土産的な感覚のアップルパイというコンセプトにしたのはすごいところで、近いうちに関さんにインタビューさせていただいて、その秘密をより深く掘り下げていきたいなあと思っております。ちなみに、レストランへの食材卸を行う場合でも、そのレストランのお客様に喜んでいただくための商材であると高く売りやすいのです。みなかみ町の『酒の滝澤』では誕生日のヴィンテージのお酒をやっておりますが、とても人気です。まず人のために買うという商材を選ぶことを考えましょう。大久保一彦の本非常識に売れる最強メニューがだれでもつくれる成功方程式 [ 大久保一彦 ]
2022.07.06
夏至の連続講座 新物販&通販の可能性 その14~会報『四方よし通信』2015年11月号より2 魅力ある物販をするために 続いては、魅力ある物販を展開するためには何が必要かということを見ていきたいと思います。2-1 “buying”か“shopping”か 消費行動で、消費者の購買活動は大きく分けて、“買い出し”と“買い物”の二つのパターンがあります。「今日は、豆腐が切れているな。卵が切れているなあ」という感じで生活必需品の補充や調達に行きますね。日々の生活で、今まさに必要なものをスーパーなどに買いに行く、これが買い出しです。一方、その対極にあるのが、いわゆる“お買い物”で、日々の生活必需品の補充ではなく、楽しみのため、購買活動に出かけます。 日本語ですと、“買い出し”という言葉と“買い物”という言葉が似ていて混同されているケースが多いですが、まったく意味合いが違います。英語にするとわかりやすくて、“買い出し”は“buying”、“買い物”が“shopping”です。“shopping”という言葉の背景には、ハレ的な要素があり、楽しみや息抜きなど少し大げさな表現ですが、日常生活から解放的な意味合いが存在します。 たとえば、今日必要なものを買うというのであれば、「塩は1パック100円の食塩でいいや」とか、「砂糖は上白糖が100円だ」のような感じで、買い出しをしますよね。一方、「今日は、大久保さんが遊びに来るから、ちょっとおいしい料理を作ろう」という購買動機が背景にあったらどうでしょう。そうなると、「食塩よりも、大久保さんが好きな“海の精”の方がいいな」というような起点で購買活動をすると思います。そして、もっと前から大久保さんが来ることがわかっていれば、いろいろ考えて、ちょっと遠くに行ってでも、買い物に出かけますね。つまり、こうなるとbuying”ではもはやなく、“shopping”なのです。私は最近、味噌を仕込んでおりますが、先日京都に本セミナーでよく出てきます友人のフランソワ・クープランが京都の南山城村に古民家を買ったのですが、彼に新築祝いを持参するとして何が喜ばれるかなと考えたとき、「そうだ、仕込んだ味噌がいいな」ということになったのです。人に喜んいただくために労を惜しまない、まさしく“ご馳走”の言葉の由来ですね。 経営が厳しいと、より心無いお客様が増える傾向があります。しかし、そのようなお客様を呼んでいるのは店自身なのかもしれません。 例えば、ランチパスポートに加盟して500円の激安ランチをするとします。その場合は、買い出し志向で仕入れになってしまいますね。これは500円でランチをするに限らず、切羽詰まった状態だと陥りやすいものです。不思議なもので、お客様はそんな雰囲気を自然と感じ取ります。それを値引き購買のチャンスと感じるか、他の店に行こうと思ってしまうかはその人の心の状態で変わるのです。 一方、「いやー、凄いな。今日は1万円のコースを頼んでくれた」と言う心理だったらどうでしょう。「1万円で、大久保さんに喜んでもらうために」という起点で、何を出そうか、どんな食材を買おうかを入念に考え、食材を吟味するはずです。 よくこのコラムで登場する『ラフィネス』というレストランで秘密の勉強会を私はたまにやっております。会費はひとり4万円、だいたい10人集めて年に数回やっています。オーナー杉本敬三シェフとは長いつきあいですが、私の心意気を感じて、参加者に喜んでいただき、勉強になる非常に高級なワインやふだん食べることができない高級食材でもてなしてくれます。 先日も、鮎をモチーフにした料理の勉強会をしようとしましたところ、“鮎とトリュフのパイ”を提案してくれました。由良川の天然鮎30匹とトリュフ(1kgあたり20万円)を150g使った豪華パイです。これをフィリポナのシャンパーニュをベースからプレステージまで揃えて提供してくれました。「実は、今回、原価は70%ぐらいかかっているんですよ」とおっしゃっていましたが、4万円で70%ですから、2万8千円もかかっていたら、それはすごい料理が出てきますよね。参加者の皆さんには大変喜んでいただきました。しかし、ここまで、普通はしません。杉本さんはこの勉強会のための仕入れは“年数回のイベント”として、“shopping”をしてくれているのです。 先ほども出てきましたが、“shopping”は人のために買う要素が高いです。その一方で、“buying”は自分の経済的な利益を優先されるケースが多いです。その背景に“心”があるということは、あまり世の中で語られることはありません。
2022.07.06
夏至の連続講座 新物販&通販の可能性 その13~会報『四方よし通信』2015年11月号より1 物販のメリット1-4 仕組みにしやすい④ 機械の活用ができる 物販のメリットの4番目は、より大量販売を目指して、計画生産に持ち込めるために、お金はかかりますが、機械化という選択肢が多くの場合あります。機械化が出来れば、その分、雇う人も少なくて済みますので、生産年齢人口激減による人材難の時代にはとてもありがたいことです。 例えば、蕎麦打ち機です。確かに超エクセレントなものはできませんが、並みの職人よりはかなり上手に打ちます。そうなると、月7万円くらいの経費で、素人でもある程度のレベルの蕎麦が打てるわけで、費用対効果が高いですね。売上げさえ確保出来れば、安定した営業が出来ます。大久保一彦の本【中古】 繁盛の天才2時間の教え / 大久保 一彦 / 三笠書房 [単行本]【ネコポス発送】
2022.07.05
夏至の連続講座 新物販&通販の可能性 その12~会報『四方よし通信』2015年11月号より1 物販のメリット1-4 仕組みにしやすい③ パターン化できて計画的な仕入れができる 物販はパターン化しやすいです。発注も計画的にできますし、計画生産もできます。たとえば、『新宿さぼてん』のテイクアウトでは、10万円の売上げだと、ヒレカツが50枚、ロースカツが20枚、一口ヒレカツが100個、海老50本、蟹クリームコロッケ25個というような出数パターンがありました。これはだいたいどこの店も同じで20年近く経った今でも記憶しています。これを元に、時間帯の売上げに合わせて、1日のオペレーションを組み立てることができます。店舗があっても計画生産が出来るのです。 それに対して、レストランというのは、注文が入ってから、その都度、調理して提供(クックサーブ)しますから、オンデマンド・オペレーションの要素が高く、なかなか仕組みにすることは難しいです。今、私が熱心にやっております「障害者に職場を」という、障害者が税金を払えるような仕事を提供しようというプログラムも、そういうことを踏まえた時に、やはり、テーブルサービスのレストランよりも、物販の方がいいなあと思っております。物販の売れるパッケージをどうやって作るかが課題です。
2022.07.05
夏至の連続講座 新物販&通販の可能性 その11~会報『四方よし通信』2015年11月号より1 物販のメリット1-4 仕組みにしやすい②システマチックな物流システムの活用 私としては食品物販ではおススメしないのですが、レトルトのカレーのように常温で管理が出来て、日持ちをするならば、物流の仕組みをフル活用出来ます。 商材を、例えば佐川急便のような物流センターに持ち込み、ネットで自動注文を受けて、自動で「ありがとうございました」とお礼メールを送って、オートピッキング伝票をつけて出荷、配送までしてくれ、完結することができます。出荷すれば発送のメールも送ります。このようなシステムが送料+300円ぐらいの手数料でできるので、良い商材を見つけて、物流センターに入庫する以外は、“寝ていながら”ビジネスが完結します。これが通販の最大の旨みであり、メリットと言えるでしょう。 例えば、広島で以前飲食店をやっていた小西さんを例にお話ししましょう。小西さんの本業はアジアから家具を輸入するインテリア関係の商売をやっていました。その一環で内装やプロデュースを行い、飲食店もやっておりました。ある時、中国からの靴の輸入をスタートしてこれが成功しました。靴というのは、意外に、流行り廃りがありそうでなくて、タイプも意外と少なく、売価を3,000円位に設定すると送料負けする(商品の返品対価が送料に対して割高になる)ので返品も少ない。選ぶセンスさえあれば、面白いビジネスでした。靴のビジネスが当たり、佐川のオートピッキングをフル活用していたら、後は、売れる商材を見つけて、上手くマーケティング出来れば、商品補充だけで黙っていても売上げが上がるようになりました。そして、「飲食店は売ることにしました、すいません」ということになって、そこで小西さんとのお付き合いは終わってしまいました(笑)。 しかし、単価の低い継続購買を狙う食料品だと「味」という非常に難しい問題があります。これが食料品の難点ではありますが、まあ、レトルトにしますと、なかなか味の差別化が出来ませんからね。
2022.07.05
夏至の連続講座 新物販&通販の可能性 その10~会報『四方よし通信』2015年11月号より1 物販のメリット1-4 仕組みにしやすい①オペレーションの仕組みを作りやすい 物販のメリットに、仕組みにしやすくて、工業化しやすいことも挙げられます。レストランですと、お客さんが来店して、胃袋に対応ですので、注文が入ってから料理を作らないと(仕上げないと)いけません。たとえば、「注文が入りました、1ヒレお願いします」、「ロース1枚入りました、お願いします」のような流れでやっていきますと、注文の都度、それぞれのアイテムを調理していきますので、調理の重複による、調理や提供時間のばらつきが出やすいわけです。 また、お客様としても、その都度作ってくれたできたてが出てくるからこそ、わざわざレストランに行くわけです。これらの事情は、テーブルサービスレストランの非常に難しいところで、これを前回の講義ではオペレーションの構築という言葉で表現しましたが、飲食店を立ち上げた経験がない人にとっては、軌道に乗せることはとても難しいのです。 その一方で、それほどできたてにこだわらなければ、物販の場合、ある程度、計画的に作ることが出来ます。生産能力を超える売上げにならなければ、現場は比較的安定します。たとえば、『新宿さぼてん』ですと、ヒレカツを12枚単位で揚げます。12枚を揚げる時間が約4分。4分のフライヤー稼働で、500円×12枚=6,000円、フライヤー2台で12,000円分の生産能力があります。同様に、ロースカツは3分の稼働で10枚、一口ヒレカツも3分の稼働で30枚揚げることができます。 ある程度、セントラルキッチンで作ってきて、店舗では仕上げだけするというやり方にすると、先行調理の分離も可能です。つまり、物販は、生産性を上げやすく、仕組みにしやすいのです。また、“できたての概念”はレストランと違い、注文から提供までのスピードを重視されるお客様も多く、そういう意味では“できたてという概念”を設計すれば、お客様のニーズにあったサービスが提供できます。 ちなみに、“できたての概念”の設計を初めてしたのはおそらくマクドナルド兄弟でしょう。ハンバーガーのできたてを10分として、その時間を過ぎると廃棄して“できたて”の品質を維持してきたわけです。ただし現在は、アッセンブル・トゥ・オーダー、“Made for you”ですが…。大久保一彦の本【中古】 飲食店「儲かるメニュー」の作り方 / 大久保 一彦 / フォレスト出版 [単行本]【ネコポス発送】
2022.07.05
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