『ラ・フィネス』『ミチノ・ル・トゥールビヨン』勉強会議事録 48
ジェームズオオクボ的視点で選んだ心に残るあの店のあの料理(名物料理百選) 21
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小雪の連続講座 その11 運営水準の構築 ~過去の会報 2012年2月号より良いサービスを構築するための基本サービスの運営水準をあげるための前提③笑顔がある環境づくり笑顔には、全体の雰囲気をよくし、人間関係をよくする効果があります。それは笑顔がまわりの人を嬉しい気分にさせるからです。そして、笑顔でいると自分自身も楽しい気分になることができます。笑顔が店にあふれていれば必然とよい雰囲気になります。そうなると、声をかけやすく感じさせ、営業面でもプラスになります。つまり、よくなろうと思ったら、笑顔からはじめないといけないのです。ここでは笑顔の表情を作る練習をマスターします。大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
2022.12.04
小雪の連続講座 その10 運営水準の構築 ~過去の会報 2012年2月号より良いサービスを構築するための基本サービスの運営水準をあげるための前提②挨拶ができる環境づくり コミュニケーションは、よくキャッチボールに例えられます。この場合、キャッチボールのボールに相当するのが「接触」です。 接触について、もう少し掘り下げると、お互いの存在や価値観を認めるための行動・言動であると考えられます。そのときに大切なことが気持ちのよい挨拶です。 気持ちの良い挨拶は効果的なコミュニケーションが可能になります。気持ち良い挨拶の方法として、「挨拶プラス1」という方法があるので覚えておきましょう。 挨拶というのは、本人はしっかりしているつもりでも、相手に伝わっていないことがよくあります。そこから、「相手が自分を無視した」というすれ違いが生まれ、チームワークが良くならないケースをよく見かけます。 そこで、声に出す挨拶をすると同時に、握手をするのです。ちょっと照れくさいかもしれませんが、気持ちが確実に伝わります。もちろん、ハグをしてもいいですし、手を振っていいですし、微笑むだけでもいいです。大切なことは言葉と同時に、表情やしぐさや動作をひとつ加えるのです。 大久保一彦の本【中古】 行列ができる店はどこが違うのか 飲食店の心理学 ちくま新書/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.12.04
小雪の連続講座 その9 運営水準の構築 ~過去の会報 2012年2月号より良いサービスを構築するための基本サービスの運営水準をあげるための前提① 与えられた役割を演じる身だしなみ(個々の役作り) 与えられた役割を演じる身だしなみとはお店の価値を考えたときに、スタッフひとりひとりがやるべき役作りです。これは俗にアピアランスと言われる服装、表情などの身だしなみはもちろん、役割を演じきろうという意識まで含みます。2005年くらいから利便性とレジャー性の二極化がはじまり、身だしなみの求められる水準もちょうどそのころから変わってきました。具体的には、右肩上がりの成長が始まった1970年代からバブルまで一貫して、お客様に不快感を与えない(不満を感じさせない)ための身だしなみでした。しかし、2005年くらいから、心構え(意識)を含めた、与えられた役を演じる身だしなみが求められています。当然、いろいろなことが変化しています。たとえば、従来の外食産業は男性の髭やピアスを禁止してきましたが、人気カフェチェーンでは、おしゃれに感じればよいと容認されるようになりました。これからの時代の身だしなみとは店という劇を演じるための役作りとして必要な見た目に影響を与える要素と頭に入れておいてください。 (例)高級店の役作り1.ムースをつけ、高級店サービスマンに見えるようにする2.ユニフォームの着こなしは、カッコよくなければならない3.髪の毛、髭などがだらしなく感じてはいけない4.爪や指などお客様に見える部分はメンテナンスする5.歩き方はカッコよく(決して走ってはいけない)6.正しいおじぎ、手の動きをする7.立ち居振る舞いが美しく感じるように、姿勢、手の位置など工夫する大久保一彦の本【中古】 この「気づき」で売上げがガンガン上がった! 知的生きかた文庫/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.12.04
小雪の連続講座 その8 運営水準の構築 ~過去の会報 2012年2月号より良いサービスを構築するための基本 サービスの運営水準をあげるにはまず前提がふたつあります。ひとつが仲間同士が気持ちよく働くことができる環境づくりです。もうひとつが個々人が自分の責任をきっちりやる環境づくりです。このふたつがそろってはじめて、店という劇団がチームとして、お客様を感動させるという目標に向かってすすむことができます。 具体的には、下記のとおりです。サービスの運営水準をあげるための前提①与えられた役を演じる身だしなみ(個々の役作り)②挨拶ができる環境づくり③笑顔があふれる環境づくり④あたりまえのことをきちんとやる環境づくり⑤性善説で考える環境づくりでは見てゆきましょう。次回に続く大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の繁盛ノート 売れるお店の採用教育・シフト編成・会話術 / 大久保 一彦, 加藤 雅彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】
2022.12.04
小雪の連続講座 その7 運営水準の構築 ~過去の会報 2012年2月号より「よいサービス」とは QSCのSはサービスを表します。サービスの段階は店によって異なり、「不満がない」「一歩先を行く」「感動」の三段階があるという話をしました。 「不満がない」サービスは、その店しか選択肢がない環境下や市場のステージにおいて機能します。特別なサービスをしなくても、ご来店時にお客様に無事、不満なく帰っていただければ、選択肢がないため、お客様が黙っていてもやってくるからです。このような環境の場合、サービスをシンプルにして不満がないという視点で誰にでもできるようにして、マニュアル化します。その上で、マニュアルによる教育・訓練を繰り返し行い、他店との差別化をはかります。 店舗の責任者になれば、いろいろなスタッフにトレーニングを施しますが、とくに新人のトレーニングと運営水準アップ法についてマニュアルという道具をきちんと使い、実施しなければなりません。競争の少ないマーケットがアリーステージの場合、不満がないレベルをサービスの落としどころにする場合マニュアルは重要です。大久保一彦の本【中古】 誰も言わなかった!飲食店成功の秘密 / 大久保 一彦 / フォレスト出版 [単行本(ソフトカバー)]【宅配便出荷】
2022.12.04
小雪の連続講座 その6 ~過去の会報 2012年2月号より丁寧な営業・チームワークを構築するには 一歩先以上のサービスの根幹をなすのが、しつけ、教育、訓練の三つです。 しつけとは、あたりまえのことをあたりまえにやるために、日常のルーチーン業務を一瞬、一瞬を大切に行い、習慣づけることです。もちろん、仕事をしているときだけでなく、「履物を揃える」、「ゴミを拾う」「トイレを掃除する」のような日常生活を大切に生きることにも範囲はおよびます。日々、大切に生きない人間は、人への気づきや思いやりなどできないのです。したがって、しつけは「なぜ、そうするのか」からはじめないといけません。 続いてが、教育ですが、現状に甘んじるのは楽ですが、そうでなく将来の自分のために、一歩先に目を向けさせることです。したがって、将来を考えさせ、そのために何をすべきかを教えます。接客であれば、現状と違う何かをすることで、お客様に喜んでいただき、その結果自分にもたらされる奇跡を教えます。訓練は、上記のふたつの中間です。量稽古で自分の型を作り、自然にやろうとしていることができるようにするのです。※詳しくは、運営水準の差別化でお話しします。大久保一彦の本【中古】 いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか/大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.12.03
小雪の連続講座 その5 ~過去の会報 2012年2月号よりサービスの段階 サービスの段階は店によって異なり、「不満がない」「一歩先を行く」「感動」の三段階があります。店の選択肢がない段階はお客様が黙っていてもやってくるので、特別なサービスをしなくても、お客様に無事、不満なく帰っていただければ、お客様はその店に来店するしかないでしょう。この場合、サービスをシンプルにして誰にでもできるようにして、マニュアル化します。その上で、マニュアルによる教育・訓練を行い、他店との差別化をはかります。「不満がないサービス」はシステム構築と教育・訓練に重きをおいています。 しかし、店が多くなり、お客様が好きなように店選びができるようになると状況がかわります。お客様に気にいられて、顔や名前を憶えていただけるようなサービスを行うことができなければ、リピーターを獲得することはできなくなるのです。お客様に気にいっていただくために、お客様に密着しお客様に密着して一歩先に接客をします。この一歩先の接客のレベルを目指す場合、お客様の情報を積極的に頭に入れてその状況に最適な運営を行う必要が出てきますので、従来のマニュアルを用いた「不満がない」を目指してきたでは対応できなくなります。方法の転換が迫られるわけです。 多くの高級店では一歩先に接客をするために、お客様との接触シーンを想定した接客台本を作成して、仮想設定で宴劇のリハーサルのように練習します。ロールプレイングです。接客台本とは、店を劇に見立てて、最高のサービスマンとお客様のシチュエーションごとの舞台進行を書いた脚本です。その脚本をもとに、訓練やディスカッションを繰り返し、サービスの引出しを増やし、一歩先をゆく接客を目指すのです。そうなると、個人の力が向上します。多くのスタッフを巻きこみ、いいサービスと感じていただくことができます。ロールプレイングを定期的に繰り返し、日々、当たり前のサービスを積み重ね営業していると、お客様に突発的なできごとがあったときに素晴らしい対応をすることができます。もちろん、サービスをするスタッフが瞬時に自己判断をして思わぬ対応をするのですが、これがお客様の感動をよぶのです。 感動を生むにはチーム力が必要になります。チーム力とは個々人が与えられた役割を丁寧に確実に行うことです。つまり、感動は心、技、チームワークが三位一体になったサービスの極みです。感動とは、ロールプレイングとチームワークと丁寧な日々の営業の積み重ねで実った果実です。大久保一彦の本【中古】 行列ができる店はどこが違うのか 飲食店の心理学 ちくま新書/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.12.03
小雪の連続講座 その4 ~過去の会報 2012年2月号より成長期の飲食店とこれからの飲食店のサービスの位置づけの違い 外食産業は1970年代初頭の石油ショックによって一気に成長期に入りました。当時の成長ぶりは「倍々ゲーム」とも言われ、一般大衆のレジャーとしての食のマーケットを広げていきました。外食はもっとも身近なレジャーであるために、バブルまで勢いよく市場成長を遂げました。これが「倍々ゲーム」と言われるゆえんです。 普通でしたら、バブルの崩壊で構造的な不況に陥るはずです。しかし、1986年に制定された男女雇用機会均等法の影響ですすみつつあった、家事の中に占める食事の外注化がバブルの崩壊で一気に進み、あらたなマーケット、すなわち、消費者の日常の食事の利便性を取り込むマーケットが広がりました。これにより、また外食産業は成長の機会を得ます。 自由貿易の国際的な高まりから、食にかかる関税の低減がされていましたが、おりしもバブル崩壊後、円高が急速にすすみ、輸入食材に切り替え、その下がった原資を売価に反映するチェーンが急増します。 チェーンが急増した背景には、日常マーケットは、価格競争力を武器にパート・アルバイトでの運営が可能であったことを意味します。そのため、バブル以降は、マニュアルを整備して教育・訓練によって差別化するチェーンが増えます。価格を日常的に利用できるポピュラープライスにすると、「価格がすべてを解決」し、ものに目線が移行するので人という部分の重要性を感じなくなります。そうなると価格が安ければ安いほどスタッフの熟練度は必要がなくなり、素質のよいパート・アルバイトを雇い、マニュアルによる教育・訓練を行い運営をすることが可能になります。バブルが崩壊した後、外食産業の労働市場にパート・アルバイトが流れ込んだのと、家事代行業を代表とする日常食のマーケットが伸びたためにポピュラーチェーンが急成長します。そして、外食産業は1997年に29兆円を超え市場規模が最大になります。その後、居酒屋などの大衆化・チェーン化があり、私は2005年までを外食産業の成長・発展期と位置づけます。 1990年代後半くらいから、消費者がさらなる利便性を追求するようになります。携帯電話の普及や光回線など社会インフラが整えば、便利になり、効率化がなされます。しかし、効率が良くなれば、良くなるほど効率化がすすみ、時間が無くなります。そのため、食においてもさらなる利便性が求められるようになります。利便性のキーワードは「安い、早い、失敗しない、まずくない、いつでも、どこでも、気軽に」です。利便性というキーワードを極めていくと、外食産業の特徴であるテーブルがあることが阻害要因となります。といのも、家庭の食事なら複数の人が揃わないと食事できません。それなら、コンビニや弁当チェーンで買ったほうが良いということになります。その一方で、飲食店はテーブルがあるため料理を提供した後でも、テーブルサービスをしなければならず、接触時間が長くなります。したがって、人件費がかかります。また、テーブルを増やせば面積が増えるので、初期投資や賃料も増えます。つまり、テーブルがあるということは、価格競争力を出すことを考えると足かせになるのです。 当然、コンビニや弁当チェーンのような中食やファストフードにマーケットを奪われます。現に食の価格は下がっていますが、料理品小売業を足した外食マーケットは30兆円を超え微増の状態が続いています。それだけ、日常の食事の外注化(食の外部化)が進んでいるのです。 利便性に引きずられると危険です。どんどん価格競争の負のスパイラルに巻きこまれてしまうからです。利便性の本質はサービスを必要最小限にとどめ、コストダウンをすることです。コストダウンの本質は作業点数を減らすこと、つまり、お客様との接触回数を減らすことです。もちろん、そのために不満が出る確率も減りますが、働いているスタッフはサービスをちゃんとやっているつもりですが、作業点数を意図的に増やした店には負けてしまうことが現在発生しています。そして、不満にならないようにしながらも作業点数を減らし生産性をあげるやりかたをするとコミュニケーションがないと心地よい人が残るので、サービス強化しようとしてどうにもならないスタッフ構成になっている場合も多いですので、非常にこわいです。大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
2022.12.03
小雪の連続講座 その3 ~過去の会報 2012年2月号よりめざせ!高確率再来店店舗 今、なぜ高確率再来店が重要なのか?それは何度も申し上げてきましたように少子高齢化、人口減少による需要の激減で消費が減り、就業者が減り、レジャーとしての位置づけである一定以上の価値を提供する店の見込み客が減るからです。見込み客の母数が減れば、当然、既存の顧客に高確率で再来店いただけなれば、店が成り立たなくなります。もちろん、こういう状況下に備えて経営を見直し、損益分岐点(倒産分岐点)を下げる必要があります。毎月、「この店に注目」で紹介している店は大繁盛店が多いです。結構あります。その一方で前年比80%を切る不振店もたくさんあります。ここまで極端でないにせよ、売上の前年割れが続いている店が多いです。 私が感じるのは、業績が悪い店と良い店の間に極端に差があるように思うのです。その原因を探っていった結果、初回来店客の高確率再来店ができているかできていないかが大きいことを確信するようになったのです。その重要な部分として人による部分があり、商品(お料理)だけではだめで、店の価値を引き出す人の部分を見直す必要になるのです。 例えば、塚田農場はサービスを見直し、効果的な接触回数を増やし、お客様との距離感を縮め、既存のチェーンと完全に差別化できています。 高確率再来店店舗をめざすことは、お客様との関係を構築できるようにサービスを見なおします。それでは、まず、サービスの基礎から学びましょう。大久保一彦の本【中古】 成功する小さな飲食店の始め方/大久保一彦,小山雅明【共著】 【中古】afb
2022.12.03
小雪の連続講座 その2 ~過去の会報 2012年2月号よりめざせ!高確率再来店店舗 少子高齢化と新卒の就業率低下により外食産業の見込み客の開拓の余地は激減しています。さらには、食のマーケットの競争激化によって、小商圏化はますます進みます。こういう状況下でも繁盛している店はいっぱいあります。そのキーワードが人の密着による高確率再来店店舗です。今回から、これからの時代にもっと重要となるサービスをみていきましょう。大久保一彦の本【中古】 この「気づき」で売上げがガンガン上がった! 知的生きかた文庫/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.12.03
小雪の連続講座 その1 ~過去の会報 2012年2月号よりはじめに 2011年は、東日本大震災やユーロ圏の崩壊、ジャスミン革命、アメリカの富をにぎる1%の特権階級への市民運動など大きなできごとがありましたが、2010年から始まった新しい経済ステージは、2012年にも大きな動きがありそうです。商売も明暗を分ける年となるでしょう。 私は、今年のキーワードを「壊す」としました。これはdestroyではなくbreakという意味で、今までの既存のものを破ると言ってでしょう。この「壊す」という言葉にふさわしい情報をお届けしようと思います。当初の予定通り、2012年のスタートにはサービスを取り上げます!アンドワークスの加藤社長と仕事をしながら学んだこと、数多くの店を回って気づいたことをベースに私なりのサービスについてまとめてみたいと思います。「なぜ、サービスなのか?」そう、思われるかたも多いかもしれません。その話からしましょう。 これからおこる激変は今までにないチャンス(市場機会)を生じさせます。こういったタイミングで、芽が出て成長する店は、実は長期的な視点を持ちつつ地道な土台作りをして準備をしていた店が、時流への対応をしっかりできた場合です。大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の繁盛ノート 売れるお店の採用教育・シフト編成・会話術 / 大久保 一彦, 加藤 雅彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】前回、飲食業は動物が生きる餌としての局面と、人間独自の文化をのせた食文化としての側面があると私は述べました。富の偏在化と利便性が増すに従い、餌性は重要になります。その一方で、食はもっとも身近なレジャーですので、食文化としての面が見直されるでしょう。食は何らかの価値観を与え、人間と人間のかかわりを深める文化的な面は生きていくうえで大切だからです。この価値観に基づく関係づくりは右肩上がりの時代と異なり、お客様と店のスタッフと生産者や卸業者とバランスがとれなければなりません。したがって、お客様や生産者・卸業者とのつなぎ役になる店のスタッフが密着して仲介役を果たすことが重要になるのです。今まで求められていたサービスと本質面でかなりかわりつつあるのです。 今回は、まず、サービス概論の基礎―-チェーンストアが追っかけてきた運営水準という概念を説明しますが、基礎になりますので、しっかり覚えてください。
2022.12.03
立冬の連続講座 6-1 悪立地を好立地に変える~会報2012年1月号より悪立地を好立地に変える悪立地を好立地に変える条件 悪立地を好立地に変える意味はズバリ、賃料が極めて低くなり、初期条件が低くなるため、お客様さえついてしまえば安定した収益をはじき出しやすくなることにあります。 見込み客は徒歩なら5分、車なら10分くらいなら移動してくれます。このことに鑑み、悪立地を好立地にかえることができるのは、人あるいは車の流れがある場所から、徒歩なら5分、車なら10分くらいで移動できる場所ということができます。流れがあるとは、前回勉強した交通発生源(TG)と交通発生源を結ぶ導線上にある起点から徒歩なら5分、車なら10分でアクセスできるところであるという意味です。一見悪立地にあるように見える物件でも上記の条件を満たせば、好立地に変える余地はあります。それ以上の移動となると、やはり大がかりなしかけが必要になります。 次に、悪立地を好立地に変える条件をみましょう。悪立地を好立地に変えるには、見込み客はなるべく多いほうがよいです。したがって、ベースは馴染みのあるものをベースにする必要があり、業界常識を疑って、今までにない工夫の成果を提供する必要があります。 例えば、とんかつ屋の商品開発でしたら、肉にこだわり、厚く揚げることを考えるでしょう。そうすることがおいしいと考えられているからです。 確かに市場の成長期であれば、王道をいくのもいいでしょう。しかし、成熟すると差別化されていないとわざわざ情報を聞きつけてやってくることはありません。差別化とは、(食べ比べなくても)他店との明確に違いを実感させることです。他店と明確に違うということはいろいろな方法がありますが、まず、王道の技術の差で勝負することです。ただし、みんなが頂点を目指している環境下で、とびぬけている商品を作るのは至難の業です。野球のイチローのように見ているだけですごいと思わせる技術の差を出すことは多くのプロ野球選手はできないのと同じように、とんかつでそう思っていただくのは難しいです。 逆に、薄いとんかつを出して、「(思っていたより意外に)うまい」という感想を引き出せば、その店は口コミします。というのは、肉のおいしさを極めるのは専門家ないしはマニアであり、薄いとんかつを称賛する人はネタを探しているからです。今や、食べログは年間100万件を超える書き込みがなされるようになりました。これは、店に行って書き込みをすることがレジャーとして成立するようになったからであり、このネタを多くの人が求めているのです。 情報発信のネタをもとめている人は、イノベータ―ないしはアーリーアダプターです。イノベータ―とは、ただ飲食店が好きでブログや食べログに書き込み情報発信している人、アーリーアダプターは自分の書き込みを見てもらい、人に影響を与えたい人と考えればいいでしょう。そういう先んじて情報発信する人の後に、情報の影響を受ける人フォロアーが続きます。ハコがないと遠方から引き寄せられない悪立地 徒歩なら5分、車なら10分くらいに流れが無い場合はハコが必要になります。例えば、古民家であるとか、城であるとか差別化されていないと難しいです。そして、そのハコを元に劇場化しないといけません。したがって、どうしても、辺鄙な場所に見込み客をひっぱりたければ、ハコも含めて考える必要があるのです。本日のおすすめ【中古】 これが「繁盛立地」だ! 人が集まる、だから儲かる / 林原 安徳 / 同文舘出版 [単行本]【メール便送料無料】【あす楽対応】【中古】 実践・売上予測と立地判定 実地調査と出店のポイント / 林原 安徳 / 商業界 [単行本]【メール便送料無料】【あす楽対応】
2022.11.12
立冬の連続講座 5-2 2012年はどうすればいいか~会報2012年1月号より※あえて古いバックナンバーを振り返ります。前回の状況を踏まえて 輸入食材をどう活用化するかはふたつの選択肢があります。まずは、コストダウンした部分を価格に転換して、「どこよりも安い」価格を設定し、大きな集客に結び付け、胃袋争奪戦を制することです。例えば、とんかつ屋であれば「ヒレカツ定食」400円が可能になります。この価格をもとに、店内はもちろん、お持ち帰りのマーケットを抑えるのです。 もうひとつが、輸入食材を活用しながらも、差別化して、コストダウンした部分を有効に収益に結び付ける方法です。 例えば、コストダウンした部分を原資にサービスを附加して、差別化をはかるという方法です。今月ご紹介の注目店舗の中目黒の「ふたご」のように、サービスを附加して、お客様との接点を増やし、お客様を教育し、価値観の共有をはかるのはひとつの重要なヒントとしてとりあげました。ぜひ、ご覧ください。 その一方で、輸入食材を活用しない方法もあります。ただし、こちらは、単に「国産がいいから」「国産のほうがおいしいから」では難しいでしょう。というのも、外食産業はものを売る時代ではなくなったからです。品揃えやショップコンセプトだけでは限界がきているのです。しかし、確実にこの「敢えて国産食材を買う」マーケットはあります。国産食材を求める人は、理念を求めます。理念とは理想+信念を意味しており、別の見方をすれば商人としての使命(ミッション)ということができるでしょう。したがって、国産食材を使うのであれば、「なんでその食材を置くのか」ということに筋が通っていないといけないのです。つまり、理念とは店のテーマであり、理念こそがお客様やスタッフのその店に関わる価値観を生み出し、この価値観が共有できれば、今までにない大きなパワーを発揮するのです。「なんで国産食材を使うのか」が明確になれば、潜在的な見込み客に対して共感を呼び大きく発展することが可能です。例えば、APカンパニーはコミュニケーション型の「塚田農場」というパッケージを開発して、「第一次産業をなんとかしたい」という理念の実現がしやすくなったと言えるでしょう。店のテーマを考える場合、「なぜあなたが店をやっているのか」「どんな思いであなたの店をやっているか」を世の中での存在意義をベースに掘り下げればいいです。そうすれば、世の中に対する使命(ミッション)を考え出せるでしょう。使命が決まれば、行動指針も自ずと決まります。もちろん、オーナーの夢や未来の理想がベースであればビジョンということになりますがこれでもいいです。 ディズニーランドもHappinessを提供するという使命があるようですが、この使命がベースにあることが、潰れた遊園地と印象が大きく異なる所以です。 すべての印象は、「なんのために商売をしているか」によって変わるのです。これこそ利便性に流されないビジネスができます。大久保一彦の本【中古】 この「気づき」で売上げがガンガン上がった! 知的生きかた文庫/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.11.11
立冬の連続講座 5-1 2012年はどうすればいいか~会報2012年1月号より※あえて古いバックナンバーを振り返ります。2012年はどうすればいいか2013年以降の動き オバマ大統領は毎年年初に行う「一般教書演説」で「向こう5年でアメリカの輸出額を倍増させる」と言っています。リーマン・ショック以前までのアメリカ経済はITと金融が支えていましたが、それが難しくなりました。そこで、輸出を増やすというウルトラCを目論むのです。そうなると、ドル安のほうが輸出倍増を達成しやすいので、世界の警察と言われた威厳を捨てて、ドル安に誘導することになるでしょう。以上ふまえ、円高ドル安は今以上に進むと思われます。50~60円の攻防になるかもしれません。 そして、TPPへの参加でこれから関税の撤廃ないしは低減がすすむでしょう。高すぎる関税の撤廃や低減で、外食産業は価格を大きくディスカウントするのか(餌需要)、付加価値を出して営業するのか(文化需要)という大きな選択に迫れます。その前に、どれくらい関税がかかっているかを見ましょう。 例えば、豚肉の関税を見ましょう。仮に、平成12年7月、骨付きの豚枝肉をカナダの業者から 300円/kg の単価で輸入したら、従価税が4.3%かかります。これは消費税みたいなもので物品の価格に対してかけられるので、枝肉1kgにつき 300×0.043=12.9円 の関税がかかります。しかし、この輸入価格だと基準輸入価格というものをクリアしません。この基準輸入価格は、安い海外の豚肉が大量に国内に入り、国産豚肉が値崩れしないようにするための差額関税です。基準輸入価格は410円/kgです。従価税が付された輸入豚肉の価格が基準輸入価格よりも安い場合は、その差額を関税として払わなければなりません。この事例の場合は300+12.9=312.9円ですから、枝肉1kgにつき 410-312.9=97.1円 の関税もかかります。 他の品目を見ると、関税バター360%、小麦252%でが、もし関税が撤廃されると大きな影響が出るのが牛丼でしょう。現在の米の関税は778%です。1キロあたり300円の米を買っているとすると単純計算ですが38.5円となります。牛肉の関税が383%です。1キロあたり400円の牛肉を仕入れていたとすれば、単純計算で104円となります。このふたつの関税が撤廃されれば、牛丼が150円になるでしょう。もちろん、これからの時代の大きな問題は少子高齢化によるサービス業における人材不足です。また、雇用主に“人頭税”が課せられるこれから時代、一番大きくのしかかるコストは人を雇うことです。したがって、150円で牛丼を売るのであれば、この機会に、店舗を完全に機械化しセルフサービスにした、無人店舗も出現するでしょう。10店舗を二人で見れば、優秀なスタッフには年収1000万円を払うことができるかもしれませんし、管理業務を独立した個人事業者に委託できるかもしれません。その人が数店舗にひとりしか置かないシンプルオペレーションの牛丼店ができるかもしれません。大久保一彦の本【中古】 成功する小さな飲食店の始め方/大久保一彦,小山雅明【共著】 【中古】afb
2022.11.11
立冬の連続講座 4-4 利便性を追求するテーブルサービスは不利~会報2012年1月号より利便性を追求するテーブルサービスは不利 先ほどもお話ししましたが、利便性のキーワードは「安い、早い、失敗しない、安心感がある、いつでも、どこでも、気軽に」です。一般的にニーズに合わせる利便性を追求することになります。 この“利便性”というキーワードを極めていくと、外食産業の特徴であるテーブルがあることがさらなる利便性の足かせになります。まず、家庭の食事なら複数の人が揃わないと食事できません。それならば、コンビニや弁当チェーンで買ったほうが良いという人が増えます。次に、テーブルがあることで経費が高くなるため価格競争力を出せません。例えば、テーブルサービスは料理を提供した後でもお茶のおかわりなどサービスをしなければならず、接触時間が長くなります。そのため、人件費がかかります。また、テーブルを増やせば面積が増えるので、初期投資や賃料も増えます。 ファミリーレストランなどの日常食にフォーカスした店は、1997年以降、コンビニや弁当チェーンのような中食やファストフードにマーケットを大きく奪われたわけです。それが、図1-1の市場規模の激減につながっています。“胃袋争奪戦”などと言われていますが、利便性を追求すると多元化した競争を勝ち抜かないといけないのです。
2022.11.11
立冬の連続講座 4-3 2012年大胆予想!~会報2012年1月号より2012年大胆予想!第三の波 一般的に1997年をピークに外食産業は衰退期に入ったと評価する人は多いですが、ここから再び大きな変化が起こります。ひとつは、ダイニングや居酒屋の大衆化が一気に進んだことです。牛角や和民などの成長で、単に食事をするのでなく、「お酒を飲みながら時間を過ごす」という利用シーンがレジャー性に置き換わっていくようになりました。そのため、食事需要のとんかつ屋などは、マーケットの新天地を求め繁華街から郊外のロードサイドに大型化して展開されるようになりました。 また、食事のマーケットで飽くなき利便性の追求が始まり、“餌性”高いマーケットが現れます。ファストフードや中食はまさにこの方向に進み始めたと言っていいでしょう。食べることは人間が生きていくうえで大切なことです。人間はおろか動物も食べ物がなければ生きてはいけませんが、“食べること”が動物には単なる餌であるのに対して、人間は餌でありながら、工夫を重ね調理という概念を編み出して文化という面を発生させました。もともとは自然の恵みから発達したローカルな文化も、交流を重ねた結果、多彩で複雑な文化となっています。実際、人間の食事には儀式的な要素やレジャー・楽しみの要素など多彩です。しかし、世の中が豊かになり、便利になり時間がなくなると、さらに利便性のニーズが高まり、動物本来の“餌”としてマーケットが発展するから不思議です。そして、時間を無くした低所得者はさらに食の外部化を要望するようになります。また、老人が増え、40歳代以上の未婚者が年々増えていますから、単身者も自ずと増加し食の外部化のニーズは増えています。そう考えると、食の二極化はさらに進み、食の外部化もこれからますます発展するでしょう(図1-2)。 現在、中食とよばれる料理品小売業を含めた外食産業は30兆円を超えています。これは、低所得者や失業者の増加と過当競争により餌型商品の競争者が増えているため全体の単価は下がっていますが、安定して食の外部化が進んでいるため外部化自体の食数は増えているからです。
2022.11.11
立冬の連続講座 4-2 2012年大胆予想!~会報2012年1月号より2012年大胆予想!第二の波 レジャーとしての食もバブル時に極みに達しますが、バブル崩壊で節目となります。普通でしたら、バブルの崩壊で、構造不況に陥るのですが、これまでと違うマーケットが拡大します。1986年に制定されました男女雇用機会均等法の影響で日常の食事をターゲットとした新しいマーケットが生まれおり、バブル崩壊後外食産業全体がその恩恵を受けようと動き出しました。 女性が働くようになると家事時間の削減に迫られます。そこで家事の中身と時間の見直しが始まります。家事時間の中で食事を作る時間は2~3時間を占めており、大きく削減されていくことになります。特に、フルタイムで女性が働く機会が増えると、食事を作る時間が大きく削減されることになります。このように家事に占める食事の時間が削減されるようになると、“食事を作るという家事”を外注せねばならなくなり、俗に言う、“食の外部化”という現象が始まりました。食の外部化はバブルのころからランチという提案があり、それ以降、様々な家庭の食事に、利便性(早い、安い、いつでも、どこでも、気軽に、失敗しない)の提案が始まります。消費者もそれにこたえ日常食のマーケットは急成長します。バブル崩壊後になり、食の外部化は一気に進みます。日常の食事をターゲットにした牛丼のようなファストフードや低価格チェーンや惣菜店の急成長でこの市場は瞬く間に大きくなり、1997年に外食産業全体で29兆円を超える市場になりました。これが第二の波で、第二次外食産業ブームと言われています。
2022.11.11
立冬の連続講座 4-1 2012年大胆予想!~会報2012年1月号より2012年大胆予想! 歴史が動き、既存の経済システムが崩壊しようとしている今、商環境も変わろうとしています。そして、これから「商売の戦国時代」に入りそうです。しかし、これは悪い意味ではなく、商人の下克上ゆえ、弱者に何かがおこせる時代となります。この機会を飛躍のチャンスととらえて、未来へとつなげていただきたいです。外食の現状を再度確認 まず、2011年でお話ししたことをおさらいしながら振り返ってみましょう。戦後の外食の市場の成長は、三つの波がありました。図1-1を見てください。第一の波 一回目の波は、石油ショックを機に発展した波で、外食が産業化に向けて急成長した時代です。第一次外食産業ブームと言います。食というのは旅行のよりも費用も時間もかからないためにとても身近なレジャーとして機能します。第一次外食産業ブームは戦後復興が終わり、経済復興が急速に進んでいたため、一般大衆は外食を身近なレジャーととらえて、マーケットは安定して右肩上がりに成長しました。ちなみに、レジャーとしての食とは、楽しみとしてする食事で、食事をすることで日常生活にない楽しい時間を過ごしたわけです。
2022.11.11
立冬の連続講座 3-6 食べログの使い方~会報2011年12月号より食べログの使い方 食べログとは、価格.comのサービスで、読者と店舗による参加型のガイドです。読者がおすすめの店や店の評価をネット上にアップして、店選びの参考にするサイトです。店舗も会員登録することで、情報を書き込むができます。食べログの効果 「食べログ」が効果的なのは、外で「食べログ」を利用して検索するときは、すでに「店に行く」というニーズがあり、行く店を決めるだけだからです。 「食べログ」の検索機能で便利な点は、「点数順」、「人気順」、「最近の注目順」の三項目で簡単に検索できることです。「点数順」はお客様の評価(格付け)の点数順で、「人気順」とは書き込みが多い順であり、「最近の注目順」はアクセスの状況順です。「最近の注目順」の上位に入ると自然に検索ページに表示されます。 そして、レビュアーごとにも見ることができ、自分と趣味趣向があうレビュアーを探し出せば、店探しも楽になります。 ただし、「食べログ」はおいしい店であるという状況が重要なので、大衆マーケットのチェーン店には向きません。それだけに「せっかく行くのだからいい店に行って失敗したくない」というニーズには対応できます。大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
2022.11.10
立冬の連続講座 3-5 アウトホームメディア~会報2011年12月号より2.アウトホームメディア2-1 店舗自体 看板や外装は店の存在を知らせるのには有効な情報伝達メディアになります。 とくに、もともとニーズがあるTPOにおける看板は有効です。例えば、ランチタイム、時間つぶし、夕食、ちょい飲みは発見され、ニーズに対しての魅力を感じていただけば来店確率は格段にあがります。また、看板は一度作るとしばらく使えるので、不特定多数の流入がある商圏においては費用対効果が高い場合も多いです。看板には通行の方向と平行方向に情報を掲示する看板(以下、平行方向の看板)と通行の方向に対して垂直方向に情報を掲示する看板(以下、垂直方向の看板)があります。発見をよりされ、足を止めて魅力を伝えようとすれば、垂直方向の看板を強化する必要があります。垂直方向の看板としては、ポール看板、袖看板、置き看板、サンドイッチマンなどが考えられます。平行方向の看板としは、パラペット看板、メニューイーゼル、黒板、タペストリーなどがあります。外装はふたとおりの使い方があります。古民家のような目立ちながらも記憶に残り、来店に対して好奇心や魅力を感じてもらい、ニーズがあったときに来店に結び付ける方法と、開放度・透視度・深度をコントールして気軽さを演出してその場のニーズを取り込む方法です。2-2 人的営業 チラシ配り(ハンディング)、客引きなども発見メディアです。新店やリニューアル時に効果があります。また、どこに行くか決めていない“浮動客”繁華街の買い物客が多い場所でもニーズがある時間では効果があります。2-3フリーペーパー 繁華街などでは街頭配布のフリーペーパーを使って店探しをする場合もありますから、アウトホームメディアとして機能する場合もあります。ただし、リピーターになりにくいのと、ターゲットのニーズが値引きなので、費用対効果は低いかもしれません。2-4 店舗検索サイト スマートフォンの普及による情報の大衆化でお客様の店選びは大きく変わっています。ロードサイドは車を運転しているので、看板の重要性はさほど変わりませんが、徒歩商圏においては、看板で店選びをしなくなっています。その代り、情報検索サイトを使って、店選びをします。「食べログ」を使った店選びは代表的です。2-5 ブログ、Twitter、Facebook ブログはオーナーの日記として使います。画像、文章を組み合わせて情報発信をして、店の店主やスタッフとのバーチャルでの絆を作ります。Twitterは店舗の瞬間の情報を発信するのに使います。40代~若者まで広いユーザーがおります。「拡散希望」と書き始めれば、場合によっては、劇的なキャンペーンの連鎖的情報発信に使うことができます。 Facebookは、想いを伝えるために使います。ブログ・グループウエア・チェックインなど多機能で優れています。使いこなせば近い将来一定の効果が見込める可能性があります。大久保一彦の本【中古】 なぜか行列のできる飲食店の法則 味・値段・立地は関係ない! /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.11.10
立冬の連続講座 3-4 各種情報メディアの特徴と活用法~会報2011年12月号より②各発見メディアの特徴 それでは、情報伝達メディアごとに特徴と活用法を見ていきましょう。各種情報メディアの特徴と活用法1.インホームメディア1-1 テレビ番組 多くの家庭でテレビが普及していることから、人気番組で取り上げられれば、見込み客に同時に大量に情報が自然に伝達され、店を知るきっかけになります。特に、多くの人が関与性、参加可能性が高いB級グルメは絶大なる効果があります。 ただし、飲食店にはテーブルメンタリティという要素がありますので、席数が限られていて、滞留時間が長い飲食店では、一見客で店が埋め尽くされると、手堅い足元商圏のお客様の客離れをおこすリスクがあります。1-2 CF(コマーシャル・フィルム) CFもテレビですから情報伝達能力が高いために、テレビ番組と同様な効果とリスクがあります。また、CF制作費や放映料などが莫大にかかるために、店舗数がある程度あり、客席数を構えているチェーンでないと費用対効果は悪い場合が多いです。1-3 雑誌 雑誌は読者層が明確なので、自店のターゲットと雑誌のターゲットが調和すれば効果をあげられる可能性があります。ただし、広告掲載料との費用対効果がかかるために検証が必要です。1-4 折込チラシ・ポスティングチラシ 折込チラシやポスティングチラシは、商圏内の見込み客に知っていただいたり、眠っている顧客に思い出していただいたりするには一定の効果があります。ただし、折込チラシが増えていると発見確率は低くなります。また、若年層主体に新聞離れが進んでおり、独身者、単身者、オフィス街などでは効果が低いエリアもあります。1-5 タウンメール 郵便局がポストに投函してくれるサービスです。ポスティングチラシと違う点は郵便物をポストに投函できる点です。ポストは郵便物を受け取ることが目的ですから、郵便物に見立てたほうが、到達率は高くなると言われます。少々割高ですが、若年層や単身者が多いエリアに効果があります。1-6 ホームページ ホームページは、今やグルメ検索サイトを補完するプラットホーム的な位置づけで使うことが増えています。目的としては、コンセプトを伝えたり、リーフレットをダウンロードしたり、メルマガ登録・ブログ・Twitter・Facebookのような顧客向けサービスへの入口に機能させたり、求人の情報を掲載するのに使います。
2022.11.10
立冬の連続講座 3-3 店舗発見メディア~会報2011年12月号より店舗発見メディア①店舗発見メディアとは 店舗を発見するメディアは大きく分けるとふたつあります。自宅や事務所などの室内で情報を発見するインホームメディアと屋外で情報を発見するアウトホームメディアです。特徴は下記のとおりです。インホームメディアとアウトホームメディア1.インホームメディア 利点・テレビなどのように情報を同時に大量に発信できること多い・大衆マーケットに向いている難点・コストがかかる・着替えて出かけなくてはいけない・ニーズがない場面で情報を受けることが多いために、来店に結びつかないことが多い2.アウトホームメディア 利点 ・着替えて出かけるステップはない ・ニーズがあれば来店する(ランチや日常食のマーケットでは強みを発揮) 難点 ・情報の伝達は通行者に依存する ・情報の伝達は環境に依存する②各発見メディアの特徴 続いては、情報伝達メディアごとに特徴と活用法を見ていきましょう。大久保一彦の本【中古】 この「気づき」で売上げがガンガン上がった! 知的生きかた文庫/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.11.10
立冬の連続講座 3-2 見込み客の店を知るきっかけの変化~会報2011年12月号より見込み客の店を知るきっかけの変化 見込み客(来店する可能性のある人)に知っていただけなければお客様は増えません。見込み客に知っていただくにはお客様が自分の店を知った動機を理解しないといけません。 店を知るきっかけは、「見て」「聞いて」「連れられて」「調べて」になります。インターネットが普及するまでは、「見て」「聞いて」「連れられて」でした。「見て」とは、「店舗を見て」、「テレビで見て」、「CMで見て」、「雑誌を見て」、「折込広告を見て」などを意味し、前提に、自然に知る媒体(メディア)を見て店舗のことを知るきっかけがあったと言えます。つまり、いかに情報を発信して、知っていただくかが重要なのです。 「聞いて」は家族や食べ歩きが好きな友人などから聞いて店を知る場合です。家族からの口コミは大きいですが、そのためにはコンセプト設計と運営水準の向上による顧客満足度が重要です。このように、店の情報を話してくれるお客様は得意客と呼ばれます。 「連れられて」はお客様の中にはいい店を発見すると繁盛を願ってかお客様を連れてきてくれる人がいます。このようなタイプのお客様を贔屓客といいます。一番、大切にしたいお客様ですが、このタイプのお客様をつかむには、オーナーやサービスマンとの信頼関係がとても重要です。店を知ったきっかけは予約時やサービスで「当店をどちらでお知りになりましたか?」という質問をぶつければ、容易に知ることができます。 2000年代初頭までの飲食店は、見て95%、聞いて4%、連れられて1%などと言われました。しかし、インターネットが普及して情報が大衆化したことによって、「調べて」のウエイトが極めて大きくなっています。スマートフォンの普及によりコンピューターを持ち歩く時代になりましたので、より情報が大衆化していますから、「調べて」のウエイトは「見て」のシェアを食い始めています。また、コンピューターを持ち歩くと、利便性が高まる一方、情報も相互方向で発信できますので、行動成長期の日本の根幹をなした上から下へ情報を流す構造(Public Relation)が崩壊して、同じ価値観を共有して結び付けられた関係に店とお客様の関係は変化しています。その結果、コンピューターの使われた方(店の選ばれ方)は、利便性軸の低価格と経営理念で結ばれた作り手・売り手・買い手の関係を超えたコミュニティに二分化しつつあります(Public Engagement)。たとえば食べログの店選びでも、点数至上主義派とレビュアー共感型のふたつに分化しています。いずれにしても言えることは、これらをふまえた上で、見込み客に周知させる必要があるのです。大久保一彦の本【中古】 行列ができる店はどこが違うのか 飲食店の心理学 ちくま新書/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.11.10
立冬の連続講座 3-1 食べログ対策をやれ!~会報2011年12月号より食べログ対策をやれ! 「食べログ」は旧来のサイトと違い、利用者が投稿するサイトで良い点、悪い点ありますが、価値観を共有するつながりをつくるサイトとしての良さを見逃すわけにはいけません。食べログは価格競争を超え、PE(Public Engagement)の重要なツールになりつつあるのです。 食べログは点数、書き込み、アクセス、レビュアという切り口で店を評価をみることができます。 特に、レビュアーという切り口は、従来のブログ以上に、価値観で結ばれたPE(Public Engagement)というという関係を作ろうとしています。 今回は今までお話ししました、集客メディアを整理しながら、食べログの位置づけについて話をしましょう。大久保一彦の本【中古】 成功する小さな飲食店の始め方/大久保一彦,小山雅明【共著】 【中古】afb
2022.11.09
立冬の連続講座 飲食道、幸福の法則 Vol.52 最終回~会報2011年11月号より飲食道、幸福の法則 Vol.52 最終回飽きることの秘密福瀬智広 - Profile 1966年生まれ。島根県隠岐出身。岡山市内に寿司店「活種鮮寿(いきだねせんじゅ)」を開店し10年目を迎える。マグロやトロ、うになどの高級ネタは一切置かない「おまかせ形式」にもかかわらず地域で根強い人気を誇る。広告宣伝はしない、値引きもしない「飲食道」を忠実に実践している。 先日、お客さんからこんな質問を受けた。その女性のお客さんは未婚者であり、私が既婚者ですと言った次の言葉である。「奥さんと毎日一緒にいて飽きませんか?」と。「ムム・・・」私は返答に困ってしまった。 なるほど、そうしてみると確かに20年以上も一緒にいるわけだから「飽きる」ということはあるかもしれない。だがしばらく経って出た私の答は「考えてみたこともありませんでしたが、全然飽きませんねぇ」だっだ。 だって本当にそうだからだ。毎日、毎日顔を合わせているのだが不思議と飽きることはない。逆にこのような職業なので会う時間も短く、帰宅して寝るまでの間お互いが今日あったことをしゃべり合って終わるといった具合である。「飽きる」などお互いが考えてみたこともない「領域」に違いないはずだ(と私は思っているが妻はどうなのだろうか(笑))。 私のオノロケに少し付き合っていただくが(笑)、私の妻は本当によくしてくれる。家事を懸命にこなし、料理も上手い。私などには出来すぎた妻である。 間違いなく言えることは「私にないものが彼女にはある」ということだ。それが、お互いが感じる「魅力」というものなのかもしれない。 これは、逆に言ってしまえば「飽きたら終わり」なのかもしれないということだ。というか「飽きたかな」と一瞬でも感じた時にはその「結婚=恋」は終結しているのかもしれないということでもある。私は経験がないので解らないがおそらく離婚というのはここがスタートラインのような気もする。 以前、このコラムにおいて「恋愛と繁盛は同じだ!」ということを語らせていただいたが、ここにおいても全く同じことが言えると思う。要は、お客さんからほんの一瞬でも「このお店、もう飽きたかな」と思われたら次回への来店は絶望的ということなのかもしれない。 ならば、「飽きられないようにするにはどうすればいいのか?」なんて考えるのは無意味であり、飽きられないように努力すること自体がもはや無駄なことであり、時遅しでもあるのだ。先程の夫婦論で言うなら、互いが互いの魅力に惹かれるからこそ、その関係は長く続くのだから。夫婦であればお互いに対する思いやりを忘れないということも大切だ。これは飲食業であればホスピタリティということになる。だが、お互いが自分を失ってしまっては魅力も何もない。「飽きられないようにする」ということは最終的に「お客さんのニーズに合わせる」ということになってしまうからだ。これは、恋愛で言うなら「私はあなたの言うことなら何でも言うことを聞きます。あなた好みの人間になって見せます。だから私と付き合ってください!」と言われていることと同じだ。こんな人にあなたは「魅力」を感じるだろうか。 私ならはっきり言ってお断りだ。だが、人によってはそんな「奴隷」のようなタイプを好む者もいる。まあ、それはそのひとそれぞれの好き好きでもあるので干渉するつもりはないがまあ、最初はいいかもしれない。だがそれこそ「飽きられる」のではないだろうか。 そう、「自分を持っていない人には、人は飽きやすい」ということなのだ。これは「お店」に置き換えても全く同じことである。 人にどう思われようが断固として自分自身の持つ「本当の自分」を貫くことにより、その人が持つ「本来の魅力」が輝きを放つのだ。 このコラムにおいても「欠けの魅力」について語ったことがあるが、人は完璧なものに対してその魅力を感じる生き物ではない。ここを直せばもっといいのにな、と思いながらでもその魅力という神秘な魔物は心を充分に奪えるのだ。 だから「飽きられること」など考えている暇などない!と心得たい!!。自分自身をピカピカに磨くこと、そして自分の店舗を同じように磨き続けることに精進すればいいのだ。これもこのコラムにおいてもウザいぐらい言い続けてきたことだ。 それに代表されるのが「アーティスト」なのだ。ピカピカに光り輝き続ける彼ら彼女らは「飽きられること」など微塵も考えていない。次々と新たな自分を見つけ出し、世に発信し続けているのだ。 ここでひとつおもしろい話がある。現代においてのトップアーティスト達は髪型ひとつにしてもどんどん変える。似合う、似合わないなどどこ吹く風で強気な姿勢を貫いているように見える。そしてその「姿」がカッコイイ。見た目ではなくその「生き様」がカッコイイのだ! だが、昔のアイドル達をよく見てほしい。彼ら彼女らはその「髪型」をかえようとはしなかった。「売れなくなる自分が怖い」からである。売れなくなったらどうしよう、売れなくなったのは髪型を変えたからだろうか。そう思いたくないから髪型を変えない。いや、変えられないのである。 そんな「変えられない族」達は次々と消えていった。これは私達の飲食業でいえば「老舗」がそれにあたる。そう、「売れていた時代」から抜け出すことが怖いのである。これを変えることによってお客が離れてしまうような気がしてならないのだ。 私の住む街でもここ数年で何件もの老舗がなくなった。飽きられることが怖いのに自分自身を変えることもできなかったからだ。それと、もうひとつは「存続の意味」を理解していなかったことが挙げられるのではないかと思う。 なくなってしまった老舗に共通していたのは「ひとつの山を築いた」ことだ。飛ぶ鳥を落とし、一攫千金を掴みでっかい看板をつくりあげた。「お金」という揺るがないダムをつくり上げ、それにあぐらをかいてしまったのだ。 なぜか。それが「目標」だったからである。「お金」を儲けることが目標だったからその目的は充分に果たしたわけだ。「存続」することが目的であるならば更なる飛躍を遂げられたかもしれなかったのだ。 存続する為にははっきりと見える「道」が必要になる。私が提唱する「飲食道」とはまず、その「道」を明確にすべきでは?ということだ。自分の信じた「これを世に伝え続けるんだ!」というものを明確に持ち、人々を魅了し続ける。 お客さんが知らない世界を次々と教える「マスター(師匠)」でならなければならない。それに対しお客さんから「ありがとう」という言葉をもらい、その関係が完成する。これは飲食業に限らず、どの業種に対しても全く同じだと思う。そこにいつまでも「幸福」を感じられる人こそがこの飲食業という業種を続ける資格があるのではないだろうか。 その為には自分の価値を下げるような無意味な「値下げ」など決して行ってはいけない。どんなに苦しくてもだ。再度繰り返すが「私達は決して奴隷ではない!」私達はあくまでも健全な商行為を通じて世の中を幸福にするのが使命なのだ。それが世に伝わった時に「安堵」が訪れる。正しい飲食道を伝道し続けることが私達の真の使命なのだ。おわりに・・・。3年という長期に渡り連載を続けさせていただき、本当に感謝しています。今後も飲食道実践者として現場に立たせていただきます。大久保先生、読者の皆様、今まで本当にありがとうございました。
2022.11.08
立冬の連続講座 2-6 味のインパクトの弊害~会報2011年11月号より味のインパクトの弊害 新常識 「(ご飯)食べ過ぎちゃったな」という場合、満足度が高かったということで、満腹感とボリュームの設計が良かったと言えます。つまり、「(ご飯)食べ過ぎちゃった」という食後感は満足度の高いボリューム設計の方程式の到達点と言えるでしょう。 この場合、重要なのが旨味調味料です。タレに醤油や塩をいっぱい入れるとしょっぱく感じるようになります。そこに旨味調味料、甘味や酸味、香辛料を入れてスパイシーにするとしょっぱく感じないため「(ご飯)食べ過ぎちゃったな」という満足感のある“メシ”にすることができます。 ただし、味のインパクトが高くなるという難点があります。商圏が小さい場合、このインパクトの高さのために飽きがきてしまい来店頻度があがらなくなってしまいます。徒歩商圏や薄い商圏でこれが仇(あだ)になる場合が多いでしょう。なぜならば、薄い商圏では新規客が取り込めないためにリピーターの来店頻度が上がらないということは、日常的なそんなにおいしくないけど安くてボリュームのある競合店が増えると売上が上がらなくなるからです。確かに、味の濃さは(私が著書に書いた脳ポイント)はお客様を中毒にして、来店のインターバルがあいているとフラッシュバック効果があります。これを“アデクション・マーケティング”といい、ある頻度で定期的にやってくる不特定多数の多い場所では機能します。しかし、小商圏の薄いマーケットでは、飽きやすいメニューになってしまう要素があるのです。この場合のランチなどは安くて、何気なく売れるメニューを中心にしたボリュームのある店に流れます。そのことが、売上があがらない理由の一因になるのです。 つまり、とんかつ店は印象的な秘伝のソースの味のインパクトが強すぎて、高来店頻度に持ちこまないと客数アップ、売上アップが望めない小商圏にはかえって対応できない要素となるのです。この場合は、インパクトの高い忘れられない要素になるタレを敢えて出汁などで伸ばし、価格を下げ、ボリュームを増やし、「意外と食べられちゃった」を訴求したほうが成功に導くのではないかという仮説に至っています。大久保一彦の本【中古】 小さな飲食店が成功するための30の教え/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.11.08
立冬の連続講座 2-5 味のボリュームのコントロールのポイント~会報2011年11月号より味のボリュームのコントロールのポイント お客様の要望に応えて忘れがちですが、この満腹中枢刺激型の提供で大切になるのが、「なんか食べ過ぎてお腹いっぱい」という食後感です。逆に、裕福で食事は団欒の場ということで会話の多い家庭で育つと、満腹中枢を刺激すると食事がすぐ終わってしまうので、薄味になりがちです。そして、タレを使わなくなり、素材で食べがちです。また、料理人や業界人も勉強を重ねて“知りすぎた人”になります。 そう、素材のおいしさについて知りすぎてお客様の潜在的なニーズ――例えば本来求めている味のインパクトとは離れていきます。本来、素材で勝負という場合は食べる人にも素材について勉強してもらわないといけません。そうでないと、明白に違う超高級食材を最高の状態で提供しないと“おいしさ”を理解してもらいにくいです。タレベースの満腹中枢刺激型の“メシ”で日々生活をしていると微妙な違いの説明を受けて「へー、そうなんだ」としか思いません。 したがって、素材のおししさをタレの“メシ”のように習慣化させることは極めて難しいです。そのため、接客などでお客様の信頼を勝ち取って、先生と生徒(あるいはメンター)の関係になり、お客様を育てる様々な要素を考えて商売を組み立てないといけません。また、テーブルを囲む場合はおいしさの尺度が変わります。それは利用動機が変わるからです。ただし、感じるおいしさは日常生活の(“メシ”での)延長線上になるので、いい素材を使ったとしても、もったいないくらいの贅沢な食材の使い方―-タレのどぼ漬けが成功の秘訣です。以前紹介しました、東京苑の十秒ロース、三秒ロースのような料理人に言わせると“もったいない”使い方です。大久保一彦の本【中古】 誰も教えてくれなかった!!なぜか「また行きたくなる」飲食店のつくり方 1年で終わるお店と10年後も愛されるお店の違い /大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.11.08
立冬の連続講座 2-4 味のインパクト・品揃えの方程式~会報2011年11月号より味のインパクト・品揃えの方程式 おいしさというのは個人の好みの要素が大きいです。ターゲットによって求める味は違います。つまり味のインパクトはターゲットによって変えないといけません。 一般的に好みの味は生活習慣で形成されます。極端な話をすればその人のお母さんがどんな料理を出したかで変わります。そして、好みの味をベースに利用動機によって美味しく感じる振れ幅は異なります。 例えば、日常生活で早食いをしている人は、味の濃さやボリュームが重要になります。一人暮らしなど会話のない生活をしている男性はそのようなパターンになりがちです。したがって、もし、あなたの店のお客様の食べるスピードが高い場合は、満腹中枢の刺激は重要と考えたほうが良いでしょう。この場合、さまざまな手段でお腹がいっぱいになるような要素を満たすようにします。 例えば、ライス食べ放題、キャベツおかわりし放題、味噌汁飲み放題という手法はこの満腹中枢への刺激という意味で大いに機能します。外食産業急成長期から、とんかつ専門店の人気があった理由にこの点が大きいです。最近では「ステーキのけん」がこのパターンで、サラダバーにカレーなどを入れたために、個人的な満腹度の満足度の違いを解消し、だれにでも「お腹いっぱい」という満足感を提供しました。ステーキけんのサラダバーが成功したのは、カレーというチョイスがご飯をおかわりするためのタレとして機能したからです。このような場合多くの人が考える“おいしさ”の優先順位は下がります。 食べるスピードの速い人の“メシ”ではタレが重要です。タレはご飯をおなかいっぱい食べるためのご飯のお供です。一般的に庶民の味B級グルメが秘伝のタレが重視されているのはこのことを表します。俗にタレものというカテゴリーは満腹中枢の刺激が強く、おなかいっぱいという食事では支持されます。丼ものもタレですし、カツサンドや焼きそばもタレの食事と言えます。この傾向は女性よりも男性、若い人に強いです。大久保一彦の本【中古】 「行列のできるダントツ飲食店」の秘密 1000店を蘇らせたプロが教える / 大久保 一彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】
2022.11.08
立冬の連続講座 2-1 勝てるメニューに導くためのメニューの常識~会報2011年11月号より勝てるメニューに導くためのメニューの常識 メニューというのは飲食店の永遠のテーマです。今回からその永遠のテーマメニューについて最新のノウハウを提供します。商品だけではお客様は寄り道程度 「主力商品を決めただけで経営構造はかわってしまう」という話をしました。しかし、商品だけではお客様は寄り道程度だという事実があります。この点を、具体的な例を見ながら、見ていきましょう。大阪の郊外の駅から15分の裏路地で結構おいしい韓国料理を提供しているかたがいます。ただ、駐車場が無いのが難点でせっかくおいしい料理を提供していても、遠方からはお客様を呼ぶのは難しいです。理由は明白で、駐車場がないのに、この店の立地がミナミや新地のようにわざわざ何かの目的でやってくる“集まる店”でないことです。本来であれば、商圏を広げ、遠方からのお客様を呼び込むために、飛び道具を機能させるためには駐車場が必要になりますが駐車場ないため、近くの見込み客を相手にしないといけないのです。 普通にない営業を継続して、独自性のあるスタイルを作り上げればいいのです。ちなみに、このような場合、主力商品が日常食、難しい言葉を使えば、最寄品(コモディティ)であれば、ブランド構築したうえで通販に結び付ける方法もあります。通販であれば、家で情報にふれさえすれば、多売に結びつけることもできます。その情報づくりが店舗ビジネス以上に難しいですが・・例えば、「肉のたかさご」という店が佃煮で有名な佃島にありますが、この店は年末となると3500円~5000円くらいのチャーシューを2000本売ります。通常でも700本くらい売ります。チャーシューは身近な商材であるにもかかわらず、家では作れないイメージがあるからです。大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の繁盛ノート 売れるお店の採用教育・シフト編成・会話術 / 大久保 一彦, 加藤 雅彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】
2022.11.08
立冬の連続講座 6~会報2011年11月号より会社の大きな宴会は先手必勝! 予算は場で動いています。しっかり、売上アップにつながる場からそうでない場のようにターゲットのプライオリティをしっかり決めて動かないといけません。そのために、前年実績がある大きな宴会は早く動かないといけません。昨年実績で一回の売上の大きな宴会(当然人数が大きい場合や貸切が多いでしょう)、そして、単価の高い中人数の宴会、最後に小さな宴会の順にアプローチします。大きな宴会は先手必勝、精度の高いプランやチラシより動きです。できていない場合は、ラフ案や通常の宴会チラシでもいいから早く電話をして訪問するのがポイントです。詳しくは後述します。 では、忘年会を勝ち取る手順をみていきましょう。手順は次のとおりです。STEP1 ターゲットを明確にして予算を決め、ターゲットにあうプランを設定するSTEP2 予約戦略カレンダーを作るSTEP3 大口顧客へのアプローチ、セールスSTEP4 小口顧客へのアプローチ、セールスSTEP5 新規客へのアプローチ、遅い時間のセールスこの手順にしたがって、進めます。STEP1 ターゲットを明確にして予算を決め、ターゲットにあうプランを設定する ターゲットとターゲットと予算についてはすでに説明したとおりです。その設定した予算ありきで、プランを決めます。プランにはわかりやすいウリの要素を三つ考えます。そして、その他トーク材料を五つ用意しましょう。STEP2 予約戦略カレンダーを作る まず、最初の一歩は12月の予約戦略カレンダーを作ります。どのように予約をとるかという戦略を書き出したものです。そもそも、予約カレンダーを作る理由は、狙いどころの日取りや12月全体の戦略を決めるためです。したがって、どのように誰にセールスするかを決める必要があるのです。そして、この予約表を、予約を受け付けるスタッフで共有します。STEP3 大口顧客へのアプローチ、セールス 予約の戦略が決まったら、実績のある顧客に電話をかけます。まずは大口の実績ある顧客です。電話は、「昨年はありがとうございました。今年の忘年会のチラシができあがりましたので、お届けに参ります」こんなコンタクトをとり、対面してニーズを聞くことが大切です。「どんなふうにすれば、宴会やっていただけますか?」と聞いて数日中に提案をお持ちするという店もあります。 担当者が変わった場合は、「いつもありがとうございます。今年から宴会を担当しております大久保と申します」のようにアプローチするといいでしょう。 大切なことは安心いただき、信頼を得ることです。そのために予約責任者や営業を行う担当者は信用を勝ち取るために名刺を作りましょう。あっていただける顧客は基本的に重要な本年度見込み客です。名刺を持ってご挨拶にいければ、築いている信頼関係を継続できるので、お客様を失うことはないでしょう。また、新規客や担当者が変わった場合でも、ドタキャンを防ぐうえでもご挨拶や打ち合わせは重要です。とにかく、先手必勝です。忘年会はリピーター率が高いので、勇気をもって過去のお客様を訪問します。STEP4 小口顧客へのアプローチ、セールス 次に顧客を攻めます。ある程度確実な顧客へは大口顧客同様に、営業します。ライトユーザーに関してはDMを送ります。開封率を考えると圧着ハガキのZタイプがいいかもしれません。STEP5 新規客へのアプローチ、遅い時間のセールス 最後に最近獲得した名簿の顧客と、新規客向けのセールスを行います。新規客は法人営業などを行う場合も多いですが、ある程度の顧客リストがあれば、顧客最優先にすべきでしょう。まず、最近獲得した顧客はDMでアプローチします。これは過去の忘年会ライトユーザーと同様の手法でよいです。 10月以降のお客様には、距離感が縮められている場合は、その場で、「今年の忘年会はお決まりですか?」というトークでのアプローチもよいです。そして、最後に遅い時間のセールスを開始します。こちらは、予約状況を見極めたうえで、ぐるナビなどを使い、11月下旬からセールを始めます。最後に、新規客の場合は、しっかりとした打ち合わせをするかご挨拶に行きましょう。そうすれば、ドタキャンも出なくなるでしょう。 とにかく、「この時期にこの店に行かねばならない」という雰囲気をいかに作るかが重要なのです。大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
2022.11.07
立冬の連続講座 5~会報2011年11月号より予算はターゲットによって異なる 例えば、忘年会なら、ターゲットから発生するニーズは、①誰が参加するか、②時期・時間、③場所、④人数、⑤目的で、このニーズから予算が決まります。まとめると下記のとおりです。ターゲットと予算①誰が参加する宴会なのか?②どの時期の宴会なのか?/どの時間に行う宴会なのか?③どこで行う宴会なのか?④宴会の人数、目的は何か? まず、①「誰が参加する宴会なのか」を見ましょう。宴会は集まる人によって予算が異なります。どのクラスの人が参加する宴会なのかを明確にしてターゲットにあう予算と宴会内容を考える必要があります。ホームページやグルメ検索サイトでも当然、この誰が参加するかを掘り下げる必要があります。若い人だけ集まる場合や学生が集まる場合は、予算が当然低くなります。東京の近郊都市や、地方都市では、学生をターゲットにする場合、飲み食べ放題で2500円以内が主流になっています。予算とボリュームを重視したプランを考えるのですが、飲み放題にビールがないなど、価格を支える削りをかけています。 ②の時期は、ニーズの高い日と低い日では予算が異なり、売れる日はしっかり売る必要があり、弱い12月第一週、月曜日は弱いので、戦略的なラックレートを設定して、低めの予算設定をするとよいです。時間も同様で、22時以降のような遅い時間の宴会は予算を低く設定してもよいでしょう。 ③場所は銀座と新宿ではイメージ的に予算が異なるという意味です。店舗の場所柄にふさわしい予算設定をしないといけません。 ④は人数が大きければ幹事は目的や参加者に応じた予算設定を重視します。トータル的なかなりの金額になるので、目的にかなう店のリストの中で一番低い店を選ぶ傾向がある。一般的には「大人数の宴会というのは店が限られる」というイメージがあるというのと、だいたい同じ幹事が仕切るために、決まった店を使うケースが多いです。リピート率が40%という数値を上げているのは20人以上の宴会を行う店の存在が大きいでしょう。 ⑤目的も、日常的な忘年会なのか、大きな目的があるとか、会社ぐるみの宴会であるとか、社内外にむけての忘年会であるとかによって異なります。 つまり、予算は場で動いているということで、これらの要素を加味して、予算を考えてプランを設計しないといけないわけです。大久保一彦の本飲食店の「見える化」経営 〈見える化ツール〉が成功店に変える! The Restaurant Manager’s Handbook To Success/タルイタケシ/大久保一彦【3000円以上送料無料】
2022.11.07
立冬の連続講座 4~会報2011年11月号より買い出しと買い物の違いを再把握せよ! お金の使い方には買い出し的な消費と楽しみが内在する買い物的な消費のふたつのタイプがあります。日々発生するニーズに対してお金を使う買い出しという行為は、なるべく金額を抑えようとします。たとえば、飲食店のランチ需要は買い出し的な要素が高く、安いとことに奪いとられてしまう。したがって、最終的にはコンビニエンスストアや弁当店などの中食にとられてしまいます。 逆に、楽しみで利用するレジャーとしての要素が高い外食は、ニーズに合わせて予算内に収まればいいです。ただし、予算はそのレジャーのターゲットから発生するニーズによって予算が異なります。大久保一彦の本誰も言わなかった!飲食店成功の秘密 [ 大久保一彦 ]
2022.11.07
立冬の連続講座 3 ~会報2011年11月号よりお金の消費を左右するもの 人間の消費は気分に左右されます。したがって、消費者のお金を使う行為というのはその時の雰囲気によって変わり、その気分が原因で消費に波ができます。消費とは、この人の心の波が重なったり、消えたりして、潮の満ち引きのように大きく上下して揺れ動きます。心の波が高まるお金を使う時期にしっかり商売をして、そのよい流れのまま、お金を使わない時期の営業にどう流れをつなげるかが重要なのです。 商売の組み立てを考えるならば、9月~11月は年末の消費者がお金を使う時期のための準備期間と考えるべきでしょう。逆にこの時期にどういう準備をしたかで変わると考えたほうがいいと私は思います。大切なことは売れる時期に向けて準備して売ることです。そして、売れる時期はお金を使う時期ですからしっかり高く売ることです。高く売るためにも、早く動かねばなりません。売れる時期というのはニーズがあるので、早く、上手にニーズを汲みあげられるかが勝負の分かれ目になります。大久保一彦の本非常識に売れる最強メニューがだれでもつくれる成功方程式 [ 大久保一彦 ]
2022.11.07
立冬の連続講座 2 ~会報2011年11月号より今月のテーマ 繁忙期だからできることをやりきれ! 「機は熟した」という言葉があります。商売というのは波があり、波に逆らうと、うまくいきません。繁忙期というのは商売を積極的におこなうには、とってもいいタイミングなのです。少なくても、人がいなくて手が足りない、忙しいというのを言い訳にしてチャンスを逃してはいけません。どんなに不景気でもお金を使う時期はいつもよりお金を使う いろいろなお店をお手伝いするときに「売れない人はタイミングが悪いなぁ」と思うことが多々あります。本来であれば力を入れるべきタイミングなのに、力を入れても効果があがらない時期に力を入れているケースを多く見かけるのです。それが、売れない人はタイミングが悪い印象につながっていると思います。 多くの店は夏休み明けの9月、10月はいったん売上が落ち着くはずです。飲食店にとってこの時期は一休みの時期にあたり、商売を積極的におこなうタイミングとしては弱い時期と言えるでしょう。しかし、また、12月になると忙しくなります。 飲食店にかぎらず12月は、消費者が「お金を使う」という機運が高まる時期。とても重要です。どんな不景気でもお金を使う時期にはお金を使おうとするのです。逆に、9月、10月、11月というのは飲食店ではお金を使うシーズンではないので、それなりにしかけを作ってはじめて売上はアップします。しかけを“創った”飲食店がひとり勝ちになるのです。しかけはいろいろありますが、前回にお話ししましたが、「季節の顔になる料理」を継続販売が重要です。秋に顔になるユニークな商品をいかに継続して定着させ、独自の利用動機を創造するかにかかるわけで、長期的なビジョンが重要になります。そう考えると、9月、10月、11月といのは、しかけを創っていなければ、紅葉を見に行くドライブなど関連した店でしか消費者はお金を使わないわけです。※20日くらいに発送する会報には「11月に日本料理店は・・」というコラムをのせましたので、ぜひ、ご覧ください。大久保一彦の本【中古】 行列ができる店はどこが違うのか 飲食店の心理学 ちくま新書/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.11.07
立冬の連続講座 1 ~会報2011年11月号よりはじめに— こんにちは!大久保一彦です。情報の大衆化の波は世界を巻きこうもとしています。日本も例外ではなくなるでしょう。生産年齢人口の激減によって起こっている経済後退局面。今、世の中が大きく動きそうな気配です。でもここは、いい意味にとらえましょう!チャンスです! さて、秋もピッチをあげて深まっています。寒くなりましたがいかがお過ごしですか?もしかしたら、9月、10月といったん売り上げが静かになり、気持ちも静かになっていませんか?しかし、繁忙期はすでに始まっています。準備が大切ですからね。そんな意味もあり、今月は、忘年会について深く考察してみました。そして、連続講座では飲食店が一番興味あるメニューについてです。今回は新たな切り口を入れて講義してみます。大久保一彦の本【中古】 成功する小さな飲食店の始め方/大久保一彦,小山雅明【共著】 【中古】afb
2022.11.07
霜降の連続講座 飲食道、幸福の法則 Vol51 売れる扇風機の謎 福瀬智広売れる扇風機の謎 扇風機が売れている。ジャパネットたかた社長に言わせると「昨年の10倍」もの売れ行きなのだそうだ。それにしても何故にそんなにも扇風機が売れるのか。そもそも地球温暖化の影響により今年の夏は昨年よりも気温が上昇するであろうとは言われてはいたが、ここにきて扇風機の売上が高すぎるのはなぜなのか。 ひとつの理由として挙げられるのは「エコ」なのだが、それにしても10倍という数字はどう考えても不自然だ。以前よりたかた社長は「エコ商品」しか売れない時代にシフトしてくると公言していた。だが、ここにきてその需要は一気に高まった。その原因のひとつに東北大震災の影響がある。いわゆる「節電」によるものだ。 私は岡山に住んでいるので「計画停電」なるものを経験したことがない。だが、飲食店の場合は冷蔵庫の稼働もストップしてしまうわけだから計画停電中は営業ができなくなる。考えられないことだ。我々は「電気」がなければ商売自体が成り立たない業態であることをあらためて思い知らされる。 そもそもここ近年の「エコ意識」は高まりつつあった。そのタイミングであの大震災が起きたのだ。そして「扇風機」となるのだが、ここで疑問がある。 それは、ひとり一人の「個人」がそのエコ意識(節電意識)を明確に持ち「行動」しているということだ。 不謹慎な言い方だがここでよく考えてみてほしい。それは「自分ひとりくらい節電しなくたって何の影響もない」と考えて行動している人は誰一人としていないんじゃないか。そう思うくらい世の人々は「節電」に対し真摯に取り組んでいるように見える。 エアコンの温度を出来る限り上げ、出来る限り少ない電力にする為に扇風機やサーキュレーターを使い、気流による冷気の循環を良くするなどそのアイデアはとどまるところを知らない。首に巻くヒンヤリタオルなどもここにきて爆発的に売れていると聞く。もはや日本列島各地で高まる「エコ意識」は過去最高のレベルに達しているといっていいだろう。 では何故「自分ひとりくらいは・・・」と考える人がいなくなったのか。そこには明確な答えがある。それは「心の豊かさが生む良心」だ。世の中に対して「節電」を行っている自分、「エコ」を常に意識し社会に貢献している自分。そんな自分が好きなのだ。そしてそんな行動を取っていること自体が「心が豊かさ」を求めているということなのだ。 以前このコラムでも触れさせていただいたが、今の日本人は確実にそこへ向かって突き進んでいる。そのスピードはこの度の大震災により急速に高まった。みんなで助け合い「心の豊かな日々を過ごそうよ」という気持ちが今、ひとつになろうとしているのだ。 たかた社長は「今後はエコを意識した商品しか売れなくなる」と断言している。それは言い換えれば「心が豊かになる商品しか売れなくなる」ということでもある。 例えば、あるひとつの商品に出会えたとする。それは今後の自分の人生の日々を間違いなく変えてしまう魅力的な商品だ。その商品を手にすることにより自分自身の心がとても豊かになる。だが、それはとても高価で今の収入では買うことができなかったとしよう。 もし、そうなった場合どうするのか。それは「心の豊かさを感じない商品は買わないようにする」のだ。そして心の豊かさと商品を同時に手に入れるのである。これはいってみれば「価格訴求型の商売」はもう通用しないということでもある。いくら「値段」を下げても買わないものは買わない。そんな感じで今、多くの人々は「心の豊かさを感じないモノ」を「無駄なもの」と捉え、次々とカットしていっているのだ。もうこの世の人々は大震災の影響で「無駄遣い」をしなくなった。それは「自分自身に対して心に豊かさを与えないモノの消費をしなくなった」のである。しかも、その判断基準は以前にも増して、より手厳しくなっているのだ。 これはあらゆる商売に通じていえることである。当然ながら私達の営む飲食店もだ。それは「そこに行くことにより心が豊かになるお店」が今選ばれているということになる。逆に「心の豊かさを得られないお店」にはもう行かなくなってきているということでもあるのだ。 そう言われてみれば心当たりのある言葉を最近よく耳にする。当店は開店して10年になるがお客さんどうしの会話の中で「幸せ」という言葉をやたらと聞くようになった。「ここでこうやって食事をしていられて幸せだね」といったようなことを語り合っているのだ。 だが「心が豊かになるね」とは誰も言わない。そう、これはあくまでも「無意識」の行動なのだ。知らず知らずのうちに「心が豊かになるお店」とそうでないお店とを無意識の中で判別しているということなのである。 その判断基準はそのお客さんが持つ「価値観」などによって変わってはくるであろうが、それはもはや「味」だけではないその他のものによって決められていくのだ。私が思い、日々感じることは「幸福」な気持ちになれる店がその判断基準の中に大きく関わっているのではないかということだ。 だとすれば明日からあなたのお店のすべきことはなんなのだろうか。「味」だけにこだわりすぎてはいないだろうか。ハード面ばかりにとらわれて肝心なソフトの部分がおろそかになってはいないだろうか。逆にソフト面への気持ちが先走り「らしさ」を失っているのかもしれない。 いずれにしても今後、生き残っていくお店の絶対条件として「心が豊かになるお店」でなければならないことは間違いない。その為に変えていかなければならないこと、変えてはいけないことをもう一度しっかりと考え、日々の営業に取り組まねばならないのだ。次回は「飽きることの秘密」です。お楽しみに!福瀬智広 - Profile 1966年生まれ。島根県隠岐出身。岡山市内に寿司店「活種鮮寿(いきだねせんじゅ)」を開店し10年目を迎える。マグロやトロ、うになどの高級ネタは一切置かない「おまかせ形式」にもかかわらず地域で根強い人気を誇る。広告宣伝はしない、値引きもしない「飲食道」を忠実に実践している。
2022.11.04
霜降の連続講座 その24 ビジネスモデルと値付け~過去の「日経レストラン」 2016年2月の連載より飲食店の値付けは、ビジネスモデルによって方向性が違う。 「ネットを活用して宴会需要を取り込みたいんですけど、コース料理に値付けをしたらいいですか?」これは、『和牛焼肉じろうや介』(以下、『じろうや介』と言う)の荒木貴生部長からいただいた質問です。同店は2015年6月1日に名古屋駅の近くのとても交通アクセスの良い場所にオープンしました。コンセプトは「素晴らしい生産者を媒介する店」ということで、飛騨牛とフルライン揃えた(現在は「但馬玄」人気の地酒の『醸し人九平次』を軸に具現化しました。オープン当初はあまり告知をせず、オペレーションの構築に時間を割き、安定してきて満席になる日が出てきた9月、冒頭の質問をいただいたわけです。 私は、この値付けの質問に答える前に、例によって飲食店のビジネスモデルについて長々と説明をしたわけですが、今回は「飲食店のビジネスモデルと値付けについてお話しをしましょう。飲食店のビジネスモデルのパターン 外食産業をビジネスモデルの性質に基づき分類すると次の二つのタイプに分類できます。一つが商圏ニーズ対応型で、もうひとつが、未来像共有型(理想追求型)です。 ニーズ対応型は、日常生活にある日々の食事(胃袋狙需要)や忘年会などの行事というニーズを狙うタイプです。一方、未来像共有型のビジネスモデルは『じろうや介』のように消費活動を通して理想像や文化価値やライフスタイルの提案を通して、店とお客様とサプライヤー(生産者や流通業者)の間で価値観を共有して、理想像を世の中に広めていくタイプで、ものの普及が一段落した成熟社会における欲求の高次元化に基づくもので、消費者が社会的な存在意義に価値を見出そうとする需要に応えるものです。値付けは、理想像ですので高いものはその価値に応じて高く値付けするのがセオリーとなります。 しかし、例えば健康に良い食品やあるいは残していきたい食材だとわかっていたとしても、お客様の日々の食生活にその高めの値付けをした食材や料理を取り入れるのはかなり難しいです。いいもの(理想像)とわかっていても、多くの人は消費の段階では現実的になり、妥協して後戻りしてしまうでしょう。それは、理想像を理解するための日々の学びあいが必要であるからであり、理想像を理解して習慣化するにはとても時間がかかるのです。そのため、理想像追求型のビジネスモデルでも当初は理想像には基づき、商圏内のニーズに対応しながら、価値観に将来共有する母数を広げなければなりません。そして、顧客教育をしながら銘柄や種類が指定できるように理想像に少しずつ近づけていかねばなりません。ニーズ対応型の値付け ニーズ対応型は、狙うべきニーズを明確にした上で、そのニーズが起こる場面を想定して、狙うべきターゲット層をきめ細かく具体化して、そのターゲットの視点に立って、独自性と事前期待を上回るValue(ヴァリュー)を組み立てます。そして、年間顧客価値(年間に使用する額)を最大化する単価と利用回数の設定をします。ちなみに、日々の売上で一喜一憂するのでは意味がありません。いくつかのグループにわけ、単価設定と利用回数を乗じた数字が最大化できる“個顧客”の年間売上を見出さねばなりません。大久保一彦の本【中古】 成功する小さな飲食店の始め方/大久保一彦,小山雅明【共著】 【中古】afb【中古】 この「気づき」で売上げがガンガン上がった! 知的生きかた文庫/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.11.03
霜降の連続講座 その23 値付けはだれがする~過去の「日経レストラン」 2016年2月の連載よりチェーン店でも商圏の個別性に合わせて値付けをすべきか? 「私も一物一価である必要はないと思っているよ」これは、コンサルタントとして駆け出しのころ、メニューチームの顧問をさせていただいた株式会社東和フードサービスのメニュー会議で故岸野禎則社長の言葉です。出店場所によって客層や利用シーンが異なるために、立地によってグループ分けして値付けをしたいという私の提言に対してレスポンスでした。このころの私は、客層や利用動機にこそ着目していましたが、今思えば、まだ値付けについて深い理解はなかったのかも知れません。当時の私は、値付けによって、日常性、利用頻度、客層や利用シーンが決まるので、値付けそのものの妙は売上アップに重要と考えていました。そのため値付けは戦略そのもの、チェーンオペレーションにおいては本部主導で価格を決めるべきだと考えておりました。今回は、値付けはだれがするのかについてお話ししようと思います。値付けは誰がする バブル崩壊以降、外食企業は日常食のマーケットを狙い、日々利用しやすい価格を志向し、俗にいう“低価格化”が進みました。一方、日常的なチェーンストアの大量出店によって、レジャー性が高い特別な店以外は、小商圏化が進み、店舗の立地によって見込み客の客層や利用シーンが異なり発生するニーズ自体も個別的要素が強くなっています。そのため、統一した品揃えや価格では、その店舗のある商圏の客層のニーズを満たしにくくなっています。そこで店舗ごとに異なるニーズに応える必要が出ており、店舗に裁量を委ねる動きが進んでいます。チェーンストアの良さに安心感があり、この安心感は同一商品、同一価格によってもたらされています。この安心感は市場の拡大・成長期には大いに役立ったことは間違いありません。 例えば、経営再建が迫られる『和民』も拡大期には、安心感に裏打ちされた価格競争力が強みとしてあり、若年層を取り込みました。しかし、今となっては統一した全店イメージが足かせになり、再生を阻んでいる一因と言えるでしょう。 さて、私は独立したころからアメリカやヨーロッパの店舗を精力的に視察してまいりました。その中で一番店舗数を訪れたのはレストランでなく、『Whole Food Market(ホールフーズマーケット、以下ホールフーズと言う)』です。そのホールフーズに対して、何年もの間、私は、「なぜそれぞれの店が違うんだろう」と言う疑問を持っていました。 ある時、ゲイリー・ハメル氏の『経営の未来』を読んでその疑問は払拭されまた。ハメル氏の言葉を借りればホールフーズは「世界の食品供給の工業化の流れを反転させ、人びとによりよい食べ物を提供する(P93)」という共通の目的(価値観)の元、それぞれの店舗単位で、その商圏のお客様に合わせて意思決定しており、それが表面的にとして店舗のバラツキとして見えたのです。そして、私は、ものの普及が重要な市場段階では値付けは戦略的に本部主導で決定することが重要、しかし、市場が成熟すると商圏内の限られたお客様が魅力感じるように、品揃えや値付けを変えなければならないということに気づきました。先日、お客様たちと株式会社FirstDropの展開する『はなたれ』の店舗見学を行い、平尾謙太郎社長や東京統括の押切涼さんからお店の運営についてお話しをいただき、参加者一同とても良い気づきがあったようです。 『はなたれ』は鮮度あるおいしさで評判で急成長している居酒屋チェーンです。FirstDrop社では、平尾社長や幹部社員が交代で、横浜中央卸売市場や佐島漁港に毎日足を運び、自分たちの目で確かめて、良い魚の情報を入手します。その上で、その情報を店舗に流し、仕入れアイテムや数量を決定して、各店、店長が自身の販売計画に基づき売価を決めます。FirstDrop社の成長の背景には、この値付けを含めたMD(マーチャンダイジング)の裁量を現場にエンパワーメントして、社員をビジネスという“ゲーム”に参加させていることが大きいでしょう。 平尾社長は独立前、イトーヨーカ堂(以下IYという)の鮮魚担当だったそうです。IYでは、現場担当者に権限を委譲して、販売計画をたて、行動して仮説検証を繰り返して売場を商圏にあわせて最適化させています。平尾社長はその経験を『はなたれ』で活かしているのです。FirstDrop社のホームページの平尾社長のメッセージに「実績よりも、興味を持ってチャレンジし経験を積もうとする人材を求めます」とありますように、仕事に興味を持ってもらうように、品揃えや価格決定を現場に移譲しているのです。 値付けの方法はと言うと、売価を決定するにあたり、相乗積計算を活用しています。相乗積計算をして原価率のトータル・コントロールをしながら、思い切った売価をつけ目玉商品を自由につくることもできます。また、その店舗の立地によっては高く売れる場合もありますので、高めに値付けすることができます。 また、FirstDrop社はチェーン店にありがちですが、特定の酒屋と取引したりしていませんので、現場の店長が自由に日本酒や焼酎の銘柄を選ぶこともできますし、自由に仕入れ業者を決めることができます。もちろん、相乗積計算をしながら、売価も自由に決めます。小商圏化によって、例えば、同じ東京駅界隈の店だとしても、出店場所で、客層もニーズが異なります。もはや古いチェーン群は統一メニュー、統一価格によってこの細かな違いに対応できていないのかもしれません。そのため、どうしても値引きで勝負しようとします。値付けを考える場合、値付け自体の意味を考える必要がある。平尾社長はそんなことを教えてくれた気がします。本日のおすすめ【中古】経営の未来 / ゲアリ・ハメル/ビル・ブリーン
2022.11.02
秋の連続講座 2 DMが効く店、効かない店の差~会報2011年10月号よりDMが効く店、効かない店の差 結構、いろいろな店でDMを導入いただきましたが、基本的に居酒屋業界はDMの効きが良かったです。特に継続されると効果が増すのです。居酒屋のDMの利きがいいのは居酒屋が“ちょいハレ”需要なのかもしれません。居酒屋は基本、人ビジネスのようですね。だからオーナーの企画(イベント)と利用動機のベストマッチがいいようです。 しかし、今、振り返ってみると、DMの効きがいい店と、そうではない店が出ていることに気づきます。私は、その原因を常々考えています。 まず、DMの表現法が原因であることは間違いありません。私は思い出しツールを推し進めたころ、思い出し効果を発揮するにはオーナーのぬくもりが伝わるものが良いと考えていました。そこで、イラスト入りの手作り感があるものにしてきました。 思い出し葉書を制作していて、最初の発見をしました。それは、イラストのテイストがターゲットにあっているかどうかが重要だということです。イラストもただ描けばいいのではなく、中年以上の男性と若者では好みが違うのです。ですので、若者主体の店には墨字で書いたような重みのあるものは効き目が悪く、ポップでファニーな印象のあるほうが、DMの効果があります。逆に中年は、ラジオ世代なので、文字の押しが強い墨字のほうが効果あることがわかってきました。 私はイラストを主に葉書を作ってきましたが、居酒屋では効果があがっていたのですが、食事需要の店や商品を軸とした店では今一歩であったことに気づきました。そのころ、圧着葉書という方法と出会い使うようになったのですが、圧着葉書は写真がきれいに生えるために、写真を使って思い出し効果を出せないか考えるようになりました。 そこで、大阪の「そばよし大幸庵」をサポートするときに、圧着ハガキの裏側の部分にシズル感のある「うなぎせいろ」を訴求しタウンメールを入れたところ、かなりのレスポンスがありました。食事需要の店では、オファーをつければ手の届く気軽さを提供できることがわかってきました。そんなことを考えているとき、お手伝いしている岐阜の料亭を思い出しました。その料亭は助六という店なんですが、和食店は商品で顔を作りづらいということで、まず竹酒で顔作っていました。そして、春は桜、初夏は鮎、冬はふぐをDMの顔にして、デザインを変えて送ってまいりました。実はこのDMの効きがよく、お客様が安定したわけです。 「マクドナルドは何を売っていますか?」講演会でこの質問をよくします。こんな質問をすると「そりゃぁ、ハンバーガーに決まっているじゃないか」と内心みんな思うはずです。「実は、原価率が○%くらいのポテトとドリンクを売っているんですよ。それが量販店というものです。ハンバーガーは広告商品。お客様の集客をよくするために商品なんですよ!」と答えます。このハンバーガーを広告商品と割り切る潔さが良いと私は考えています。そして、この顔を季節やタイミングなどを考えて、計画的にぶつけます。 私は商品軸の店を考える場合、一般的に来店頻度が低いケースが多いことに着目しました。そして、和食店、中国料理店は、価格が高ければ高いほど、季節の顔になる料理が必要になります。おそらく、商品を軸としたイメージ作り(ブランディング)が必要だからです。したがって、様々なサポートをしながら、四季折々に思い出し効果の高い商品を広告でぶつければ効果があると考えるようになりました。 実は冒頭の焼き鳥居酒屋の葉書がなぜ効くのかを、最近までは今一歩理解していませんでした。よくよくお話を聞いてみると広告商品を使ったDMだったのです。各季節に毎年同じような商品をぶつけていました。そこに最近気づいたのです。 そうなると、和食ならなんと言っても鮎かふぐが軸になります。その軸にストーリーのようなリソースを加え、オリジナリティを出せば効果が増すわけです。それが芭蕉をテーマにした助六さんのDMでした。もちろん、行事もよく聞きます。その店での行事の過ごし方と考えてください。助六さんでは花見なのです。 三重にお好み焼き屋の『公園茶屋』という人気店があります。『公園茶屋』でも思い出し葉書を出しています。この店を数年以上サポートしていて、きのこの葉書の利きが良いです。「この茸の葉書が季節の顔として機能したのがよかったんじゃないか」と思うようになりました。したがって、「季節の商品を軸とした顔は高級店だけではない」、「恒例になれば価格の低い大衆店でも効く」ことに気づきました。 ちなみに、繁盛店を回っていますと、夏のメニューは器仕立ての名物、つまり夏の顔があるケースがあります。白金亭のパパイヤのスープ、エミルタージュ・ドゥ・タムラの桃のスープなどです。器仕立ては誰にでもわかりやすく、インパクトがあり、食材があまりない夏にあって季節感を出すことができるよさがあるのです。商品(料理)を軸にしているのであれば、このような季節の顔となる商品を思い出し葉書に写真を載せた場合、極めて思い出し効果が高いことがわかってきたのです。 これらをふまえ、「長い年月商売を続けようと思ったら、広告の効きがよくなる顔となる商品の開発が重要なんじゃないか」という仮説にいたったのです。行事、食材などを斟酌して、店ならでは顔を季節で作ることができると強い店にすることができるのです。単なる季節メニューを考えるのではなくて、あなたの店にしかない長期的に見ると顔しなるメニューの開発をする必要があるのです。大久保一彦の本【中古】 成功する小さな飲食店の始め方/大久保一彦,小山雅明【共著】 【中古】afb
2022.11.01
秋の連続講座 1 継続の心構え~会報2011年10月号より 長い年月商売を続けようと思ったらいろいろやることはあります。広告の効きがよくなる顔となる商品の開発はその中でも重要です。オーナーの心の劣化の防止です。今月のいまこれではこれらを掘り下げてみましょう。焼き鳥居酒屋の会員さんの成功要因 年に一度、ご指導させていただいている郊外にある焼き鳥居酒屋のオーナーがいらっしゃいました。このオーナーとの出会いは数年前で、経営が不振に陥ったときにいらっしゃったことからはじまります。ちょうど「居酒屋の売上不振の原因は来店頻度の低さにあり、なんらかの形で接触をすることで売上回復がはかれる」と私が強く主張していた時期で、その流れで思い出し葉書を出すことをおすすめしました。確か、年賀状を最初お出しになり、お客様が戻ってきたことをきっかけに、DMを定期的にお出しになるようになりました。その結果、今ではお客様が安定したそうです。 当時の私は、来店頻度の低そうな店には思い出し葉書を出すことをおすすめしていました。そして、それらの店は売上が回復し、DMによってある程度以上の成果を出していました。大久保一彦の本誰も言わなかった!飲食店成功の秘密 [ 大久保一彦 ]
2022.11.01
霜降の連続講座 その23 二等立地の価格設定は高めにすべきか、低めにするのか~過去の「日経レストラン」連載より二等立地の価格設定は高めにすべきか、低めにするのか 「この場所だと立地が悪いので価格は低めにしないといけない」少し前に京都の二等立地で居酒屋をはじめた友人の店を訪れた時に、彼はそう言いました。 明らかに人の流れがない悪立地を選んでしまった場合、どのように値付けをすべきなのか、とても悩むと思います。低い価格のメリット 飲食店における低い値付けのメリットは、客層や利用シーンを広げより多くの見込み客を狙うことができることがまずあるでしょう。例えば、牛丼屋が300円を切った売価をつければ、テイクアウトの需要が広がるでしょう。しかし、350円を超えてしまうと、テイクアウトの需要は激減します。500円を超えればさらに激減するでしょう。 お腹を満たすだけの食であれば、味さえまとまっていれば、安くて、お腹がいっぱいになるだけで十分であることがあります。日々の“お腹を満たす”マーケットの潜在的な規模はかなりあり、ある一線を越える攻めの経営により、大当たりすることがあります。 低い値付けの二つ目のメリットは、利用頻度が上がることです。ただし、日々のお腹を満たす需要と異なり、飲みにでかける場合は、立ち飲みのような“チョイ飲み”でないと、利用頻度はさほど上がりません。そのため、人通りの流れのない場所にやむなく料理自慢の料理人が居酒屋開業して、低めの値付けをしたつもりでも業態コンセプトがあわず、退店に追い込まれる場合が多いわけです。価格競争力を持たせて店舗展開するのであれば、それなりの立地を選ぶ必要があります。まさに私の友人はこのパターンにはまっています。 それでは、二等立地に店を出店した友人は希望の光がないのでしょうか?いや、そうではありません。まず、店の前にはほとんど人通りがないので、フリー客が来ません。フリー客が来ないということは許される範囲ぎりぎりで高めの価格が設定できます。だれでも集客しようというのではなく、“冒険心のある人”や“わかる人”を集客するために、だれでも気軽に利用する価格ありきではなく、気軽に冒険してみようと思える取扱いアイテムをまず見せることが大切です。その上で、来店者がリーズナブルに感じる高めの価格設定をしつつ魅力を出します。また、二等立地は、一等地に比べて提供時間にシビアな人も少なくなるので、わざわざ感のある料理を提供できます。 私の友人の店は四条からすま方面から御池通りを渡たり5分のところにあります。御池通の四条側には人が流れていますので、この流れにいる人たちが目的をもって来店するようにすれば、料理のレベルが高いので繁栄できるでしょう。ただ、低めの価格設定で利用頻度をあげようというという方向性に無理があるだけなのです。二等立地の良さは高めの価格をつけることができること 商品などに特に魅力がない店でも、目の前にある日々の食事需要は取り込みやすいです。おおまかには、店を基点に徒歩なら5分~10分、車なら10分~15分くらいの範囲(足元商圏)からならそんなに大きな魅力がなくてもニーズにかなえば集客することができます。一方、突出した魅力がある店であれば、どんなに遠くても目当てにお客様がやってくるファンタジスタ的な店になる場合があります。そこまでいかなくても、独自性ある魅力が認められれば、人の流れがある場所を基点に徒歩なら5分、車なら15分ほど移動させることができます。そのためには、その移動するにふさわしいその店にしかない付加価値をつけることが必要です。しかし、ありがちな価格設定を前提にスタートすると前回のコラムのように、使える材料費が限られますので、どこにでもある料理になりがちです。驚きある商品を提供するには、ありがちな価格に、“驚き料”という販促費をのせてその分高めに価格設定する必要があるのです。 例えば、ハンバーガーの店だとすると、常識ある開業希望者はハンバーガーとポテトとドリンクを合わせて、1,000円以内に押さえようと思うかもしれません。特にランチ需要だ多くの人はそう思うと思います。しかし、1,000円だと、原価率40%だったとしても400円しか原価をかけられません。そうなると、ハンバーガーに使うパテは100gとしてもたいしたものは使えません。例えば、ここに“驚き料”500円をのせて1,600円の売価にすれば、肉のボリュームをつけるなり、肉味の強い肉を使うなり、アボガドなどの食材を思い切ってのせたりすることができ、少なくとも、ファミレスやハンバーガーチェーンや既存のハンバーガー屋とは一線を画すアイテムを提供できます。 このような高い価格付けができるのも、家賃が低くて損益分岐点が高くなく、しかもフリー客がたくさん訪れることがない二等立地だからこそできるのです。二等立地は探検してとか、目的を持ってしか新規客はやってこないのです。 神戸市三宮に『S.B.DINER-KOBE (エスビーダイナー コウベ)』という店があります。こちらは飲み屋街の一本入ったビルの2階にあるハンバーガーの店ですが、開店前にはお客様が行列します。分厚いパテに、ブルーチーズ、アボガドを大胆につかったハンバーガーは迫力があります。ダブルチーズバーガーは単品で1,050円を超え、アボガドブルーチーズバーガーは単品で1,130円(2015年9月現在)です。しかし、見た目の迫力はたいへんあります。 “驚き料”をいただくために高めの値付けをして付加価値をつけているのですが、これは二等立地だからこそできる手法と言えるでしょう。 ただし、移動しやすい取扱いアイテムとそうでない取扱いアイテムがあります。ハンバーガーと違って、ハンバーグはそこまで距離を移動して食べにいらっしゃらないことがわかってきました。その料理の位置づけで変わるではないかというのが今のところの仮説であります。
2022.11.01
霜降の連続講座 その22 5,000円の壁をどう超える~過去の「日経レストラン」連載より5,000円の壁をどう超える単純値上げは危険、今までと違うアイテムのシェアを広げろ! 「客単価をあげたいのですが、どうしたらいいですか?」居酒屋を経営しているかたから、こんな質問をいただくことがあります。今回は、客単価を長期的にあげる方法についてお話ししたいと思います。 消費活動は大きく分けて、“買い出し”と“買い物”の二つのパターンがあります。「今日は、豆腐が切れているな。卵が切れているなあ」という感じで生活必需品の補充や調達に行きますね。日々の生活で、今まさに必要なものをスーパーなどに買いに行く、これが買い出しです。一方、その対極にあるのが、いわゆる“お買い物”で、日々の生活必需品の補充ではなく、楽しみのため、購買活動に出かけます。日本語ですと、“買い出し”という言葉と“買い物”という言葉が似ていて混同されているケースが多いですが、まったく意味合いが違います。英語にするとわかりやすくて、“買い出し”は“buying”、“買い物”が“shopping”です。 “shopping”という言葉の背景には、ハレ的な要素があり、楽しみや息抜きなど少し大げさな表現ですが、日常生活から解放的な意味合いが存在します。たとえば、今日必要なものを買うというのであれば、「塩は1パック100円の食塩でいいや」とか、「砂糖は上白糖が100円だ」というコスト志向が強い買い出しと形態の消費行動をとります。一方、「今日は、大久保さんが遊びに来るから、ちょっとおいしい料理を作ろう」という購買動機が背景にあったらどうでしょう。そうなると、「工業的なプロセスで精製された食塩よりも、大久保さんが好きな“海の精”のほうがいいな」と、価格よりも価値重視で購買活動をするでしょう。そして、もっと前から大久保がくることがわかっていれば、いろいろ考えて、ちょっと遠くに行ってでも、買い物に出かけますね。同じ塩でもとbuying”にも“shopping”にもなるのです。このことを踏まえて店づくりをして値付けをしなくてはいけません。 私は最近、味噌を仕込んでおります。先日、友人のフランソワ・クープランが京都の南山城村に古民家を買ったので、彼に新築祝いとして数か月前に仕込んでおいた味噌を持参しましたが、たいへん喜んでくれました。人に喜んいただくために労を惜しまない、まさしく“ご馳走”の言葉の由来ですね。一方、経営が厳しくなるとより、仕入れは買い出しの形態に向かいます。これが商品自体の魅力を削いでいくことも多いので、注意が必要です。客単価が上げるには“shopping”に持ち込め お料理が評価される時というのは、「いやー、凄いな。今日は1万円のコースを頼んでくれた」と言う場面がおこるでしょう。そうなると、「1万円で、大久保さんに喜んでもらうために」という起点で、何を出そうか、どんな食材を買おうかを考え、材を吟味するはずです。 しかし、話は単純ではありません。この喜んでいただいた“大久保”さんに合わせると他のお客様は喜ばなくなります。つまり、あるお客様に喜んでいただいたからと言って、裾野にある単価を絞り込むと、その価格帯を支持していたお客様からみると“単純な値上げ”になってしまいます。 一般的に外食では、若い人にとっては支払総額3,000円、中高年のサラリーマンにとっては支払総額5,000円の壁があります。例えば5,000円ぴったりと、5,200円の支払い額には、別に料理やサービス悪くなったと思いがあるわけではなくても5,000円を超えると、突然、客足が鈍くなったり、いきなり評価が低くなったりします。人にはそれぞれの価値観があり、単純な値上げをすると、なんとなく支払総額が腑に落ちないことが原因と言えるでしょう。 では、既存客を失わない客単価をあげるにはどうしたらいいでしょうか。答えは、お客様が新しい価値を見出し、納得して増額していただくことです。 以前御紹介いたしました会員の居酒屋を例に説明しましょう。 その店からは店の特徴を伝え、お客様や求人の応募者に価値を感じていただきたいとホームページの制作のご縁をいただいたその時の客単価が5,000円くらいでした。 まず、店に伺い、テーブルの上にあったワインリストのような日本酒リストに私は着目しました。そして、スタッフ全員が日本酒愛好家であるという経営資源が強みになると第一印象でわかりました。10年くらい前の多くの居酒屋は、“とりあえずビール”という言葉があるように、居酒屋におけるビールのシェアが高かったわけです。しかし、ビールを売ろうとすると得てして価格競争になってしまいます。そこで、私は「○○は日本酒の店です」とホームページや食べログの店舗ページを見せることにしました。そして、見込み客を“日本酒を目的に来店されるお客様”や“日本酒を飲んでみたいお客様”に絞り込みました。また、もともと干物やギンダラの西京漬けがウリでしたが、フォアグラを西京味噌漬けにしたり、“ボンレス鱧”を看板料理に加え魚を充実したり、お酒に合うアイテムを加えて、ワン・グレード上の日本酒居酒屋に徐々にポジショニングニングしていきました。ランチをやめて、料理人も増やし、手間をかけ、料理のクウォリティもあげました。そして、新たに加えた料理や、日本酒は徐々に販売数を増やし、料理のクオリティアップと日本酒の販売数が伸びた分の客単価がアップしました。日本酒が盛り上げってきた昨今、客単価は7,000円~10,000円になっております。さらに、10坪の店舗の年商も徐々に上がり5000万円を超えるようになりました。 客単価5000円を超えるには、店の経営資源を活かして、新しいカテゴリーや今までそれほど売れてなかったアイテムを見直し、販売数量を伸ばすことで客単価アップ、売上アップしていくのです。決して、単純な値上げや、むりやりの推奨販売ではないのです。
2022.11.01
霜降の連続講座 その21 値付けは商品を開発する前に決めないといけない~過去の「日経レストラン」連載より値付けは商品を開発する前に決めないといけない 「先生、ペペロンチーノってどれくらいの価格がいいですか?」イタリアンを開業する塾生から以前、こんな質問をされたことがあります。お店を開業するときや新商品を開発して値付けをするとき、多くの人は世間相場を参考にして、どんな値付けをするか考えると思います。この商品を開発して、開発した商品の価格を考えるというだれも疑わない流れ。一見するととても手堅い手法にも見えます。しかし、このパターンの値付けをする人の店や商品は得てして大きな違いが作れず、熾烈な競争から抜け出すことができない場合が多いように感じます。今回は、この負けパターンから脱出する効果的な方法、価格から入る商品開発についてお話ししましょう。 例えば、ペペロンチーノに売価をつける場合、ペペロンチーノ価格イメージをまずつかむために、ターゲットとなる消費者に「ペペロンチーノをいくらなら食べますか?」というアンケートを行うことから始める場合もあるでしょう。この「ペペロンチーノをいくらなら食べますか?」という問いに対する答えは、客層や利用シーンでまちまちの結果になるので、ターゲットを絞り込んでアンケートを実施しますが、例えば、以前、私が受け持っていたフードコーディネーターの講座を受講していた20代後半~30代くらいのOLさんなら、だいたい700円~1,000円という答えが返ってくるでしょう。これがペペロンチーノというアイテムの20代後半~30代くらいのOLさん価格イメージと言うことができます。 ところで、この結果を受けて、700円~1,000円の売価をつけたり、商品開発したりするかたが多いと思います。しかし、このパターンは多くの場合、先駆者でなければ成功しません。この価格イメージは、多くの場合、ごくありふれた利用シーンにおける、市場にある既存商品に対する価格イメージであり、同じような原材料費や収益構造の中で開発なら、明確に認知できる差を作ることがとても難しいからです。 また、料理人ですと、ちょっとおしいものを考え、1,000円~1,400円の売価をつけるかも知れません。しかし、よっぽど立地選びをしっかりしていないと、さらに利用シーンに整合せず、誰にも支持されないで終わってしまうことも多いかもしれません。 基本的に、爆発的なヒット商品を作るにはスピード感が重要であり、誰にでもわかる、わかりやすい価値をつけなければならないのですが、この商品を開発してから値付けするパターンでは、制約条件が多くわかりやすい価値をつけるのは至難の技であると言えるでしょう。 では、なぜ、700円~1,000円の売価をつけてしまう人が多いのでしょう。それは、商品を開発して、開発した商品の価格を考えるという習慣化されたパターン――だれも疑わない流れがあるからです。この流れで考えると、既存の商品イメージや価格イメージに無意識のうちに縛られてしまい、既存商品と似た価値の中に収まってしまうのです。 爆発的なヒット商品を生み出すには、今までの枠にハマらない新しい価値観が必要です。逆に、この枠にはめ込んでしまう要因が、商品イメージであり、価格イメージだと言えます。♯♯売価は動機と客層を決める 誰しも販売商品おのおのに商品に合致した価格イメージを持っています。そのため、どうしても価格イメージに基づく潜在意識に引きずられて商品開発してしまいます。「売れないときは値段を倍にして考えなさい」これは私が塾生に対して常々言っていることです。私がそう言うのは、価格イメージの半分や倍で考えれば、従来の商品イメージとらわれない、画期的なアイデアが浮かぶことがあると私は考えております。 例えば、価格イメージの半分の値段で考えれば、必ず何かの要素を捨てなければ商品が開発できません。そこで思い切って構成要素を“削”ったり“捨て”たり、大胆な再構築に一歩を踏み出すでしょう。例えば、フレンチレストランの居心地にとって大切な椅子を無くしてお客様を詰めこめば、単価を半額以下、いや3分の1にすらすることができます。これにより普段はまったくフレンチ利用しない大衆居酒屋の利用層まで大きく広げることができます。それが『俺の・・』のような立ち食い業態です。このパターンで当たれば、今までにない広い層が取り込めるので自ずと出店は加速します。 その一方で、商品開発後にデイズカウントする人もいますが、犠牲が伴う場合も多いです。例えば、商品が競合他社の商品と似たような繰り返しになりますので、“売上倍増のための勝算なき身を切る値引き”になりがちです。そして、無理な値引きで経費に負担がかかり、そのしわ寄せが、従業員や取引業者に及ぶことがあります。このような値引きは不毛であり、取り返しのつかない痛みを伴うことになります。 2,000円で売ることから考えたらどうでなるでしょうか。そのまま、既存イメージ通りのペペロンチーノを2,000円で売れば、あまりにも高いと誰もが感じることは明白です。そこで、このような無理難題が課せられれば、ペペロンチーノを注文した人が「!」となるようなことを一生懸命に考えざるを得ないでしょう。倍の値段にして考えることは、現在の商品イメージの大幅な再構築を要求されるのです。すべてが成功するとは限りませんが、画期的な方法が見出されることもあるのです。例えば、この本誌にもよく登場する福岡の『パロマ・プラスワン』のターンテーブルで提供される“農園のメリーガルグイユ”のように、唖然とするような価値を付加した商品が生まれることもあるのです。 商品を開発してから値付けをするのでなく、戦略的な値付けを決めてから商品を開発することは、とても大切な値付け法なのです。
2022.11.01
霜降の連続講座 次の一手 その14 ショップコンセプトを決める九つの要素過去の会報「四方よし通信」から振り返ります。~2011年9月号よりショップコンセプトを決める九つの要素 その8⑨来店されたお客様をグリップする方法 人口減少でニーズが減って、店が増えて商圏縮小(小商圏化)が進んでおりますので、新規客の獲得が難しいばかりか、初回来店客の再来店も難しくなっています。競争の激しい東京などの都市部では初回来店客の再来店率が20%をきる勢いだと言われています。 したがって、初回来店客をまず再来店させる戦略が必要になります。その後、得意客、贔屓客、自然消滅しやすい来店頻度が低いお客様(この自然消滅しそうなお客様を私はグリップ客と言っています)の三タイプに分岐してゆきます。この三タイプベ別にアプローチを確実におこないグリップし続けないといけません。そのため、定期的なDMが重要だと言ってきたわけです。しかし、それだけでは弱いので商品力のある店であれば「マクドナルドの月見バーガーのように季節の顔になる商品を作りなさい」と言っております。そして、その季節の顔を使い瞬間を感じていただき、思い出し来店へ結びつける段階まで深化しています。大久保一彦の本【中古】 飲食店「儲かるメニュー」の作り方 /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.10.24
霜降の連続講座 次の一手 その13 ショップコンセプトを決める九つの要素過去の会報「四方よし通信」から振り返ります。~2011年9月号よりショップコンセプトを決める九つの要素 その7⑧見込み客を初回来店に結びつける方法 1990年後半からはじまった生産年齢人口(15歳~64歳の人口)のトータル的な激減で新規客の獲得が困難になりつつあります。それに伴い、黙っていてもお客様が増えるという時代は終わり、店のコンセプトにあった自然発生的な新規客の獲得が難しくなってきております。これは、都会でも地方でも共通することです。 新規客を獲得するには、お店を知るということがないと初回来店をすることはありません。 店を知るきっかけは、「見て」・「聞いて」・「連れられて」といいますが、その比率は「見て」が90%くらい、「聞いて」が7%くらい、「連れられて」が3%くらいといいます。 「見て」ご来店いただくためには看板やチラシなどによる自然な店の発見が必要です。基本的に目の前を通過している見込み客であれば、利用動機にさえ合致すれば発見すれば来店にたる魅力をあたえておりますので、自然な来店が可能です。したがって、「うどん」「とんかつ」のような日常食である商品を軸にした場合、立地と看板さえ考えれば新規客が自然に入ってきます。また、ロードサイドは交通手段が自動車なので商圏が広くなり、出店した店の場所付けがよければ、飛躍的な売上を記録できます。逆に、駅前などの徒歩商圏の日常食の店は商圏が狭い上に来店頻度をあげながら長期営業をすることを考えると店の運営は極めて難しいと言えるでしょう。私がよく紹介しますシャーロックホームズ・ジャパンの鈴木雄三社長は「私はロードサイドしかやらない」と言っています。それは、駅前だと来店頻度をあげないといけなくなるということを直感でわかっているのです。トリドールがやっている丸亀製麺もロードサイドを主にやっている理由はこの点が大きいです。 もちろんホームページもどのようにして自然に発見されるかを考えないと新規客の獲得はありません。そのときにSEO対策を考える必要がありますが、検索キーワードの想定が重要です。例えばうどん屋を営業していて、居酒屋需要をとりたいのに、「町田 うどん屋」のようなキーワードに着目しても意味がありません。個室がある雰囲気の良いうどん屋であれば「町田 歓迎会」とか「町田 同窓会」のようにお酒を飲む動機で検索されることを想定する必要があるのです。つまり、ホームページ専門業者に任せてもお客様は増えません。 「見て」来店されるお客様の来店までの無理のない範囲は徒歩なら5分、自動車なら10分くらいです。それ以上、見込み客を移動させるには、利用動機がかぶる競合店がない場合か、その距離を移動するに足る目的意識が必要です。今月は開化亭さんを注目の店で紹介いたしますが、この店は典型例です。 また、新規客を獲得する場合、どれくらいの予算のお客様を狙うかも重要です。編集後記の吉野家の事例をお読みいただきたいのですが、新規客獲得をする場合、価格ゾーンを一段下げ、従来はターゲットにしていなかったお客様まで広げて考えてみるということは重要です。そして、来店時の満足度をあげて「ここの店ならもう少しお金を使ってもいいな」と思わせるような信頼を得ます。これが、お客様のお金を使うことへの教育のはじまりです。逆に、チラシのような発見媒体を投入するのに、現状来店されている客層しか来ないようでしたら、新規客獲得ができなかったと思ったほうがいいでしょう。大久保一彦の本〔予約〕文豪ナツメは料理人が嫌い 1 /松本渚/久部緑郎/大久保一彦【1000円以上送料無料】監修している本の新刊が発売されます。
2022.10.24
霜降の連続講座 次の一手 その12 ショップコンセプトを決める九つの要素過去の会報「四方よし通信」から振り返ります。~2011年9月号よりショップコンセプトを決める九つの要素 その6⑦お客様の感じる他店との明確な違い 市場が成熟すると「そこでどのような時間を過ごすか」もお客様の店選びでは重要な要素になります。それが他店との明確な違いとなります。例えば、最近のハンバーグチェーンはサラダバーを充実していますが、おかわりをサービスでするよりは自分でするほうが気軽に楽しめるからです。よく利用する店ですから、いちいちお願いするよりは自分で勝手にとることを望む客層にうけていると言えます。 明確な違いを考える場合、安易に真似されない要素をいかに考えるかがポイントです。大久保一彦の本【新品】飲食店の「見える化」経営 〈見える化ツール〉が成功店に変える! The Restaurant Manager’s Handbook To Success 日本能率協会マネジメントセンター タルイタケシ/著 大久保一彦/監修
2022.10.24
霜降の連続講座 次の一手 その11 ショップコンセプトを決める九つの要素過去の会報「四方よし通信」から振り返ります。~2011年9月号よりショップコンセプトを決める九つの要素 その5⑥予算 店側からいうと客単価、お客様からすると予算。どんなお客様でも来店前、あるいは、入り口に入った瞬間に「この店はこのくらいの値段かな」と店を査定しています。この予想した価格より低ければ安かった、予想より高ければ「高かった」という評価になります。つまり、店作りを通して、「妥当」ないしは「安かった」と思っていただかなければ、リピーターにはなりませんし、お客様は増えません。 したがって、お客様の利用動機の予算をしっかり理解する必要があるのです。 多くの人は予算をある程度の幅で考えて店選びをします。この価格の幅の例として、ランチ需要を下記の図(9-2)にまとめてみました。(図9―2)お酒を飲まないお客様の食事の予算と商圏180円~250円 非常識な価格250円~350円 牛丼、弁当 商圏5分以内350円~500円 弁当、ファストフード 商圏5分以内500円~700円 ファストフード、安い定食屋 商圏10分以内700円~1000円 ふつうの定食ランチ 商圏10分~20分1000円~1400円 ちょっとゆったりのランチ、会食ランチ、日常的なディナー 商圏10分~20分1400円~2000円 会食ランチ、日常のディナー許容範囲 商圏20分~30分2000円~ 接待、レジャーの食事 商圏1時間 特に初回来店時は予算をしっかり考えて店選びをするので、新規客獲得のためにはある程度低い価格を見せる必要があります。その後、接客など店への満足度で単価はあがり、ある程度の来店を繰り返し、店に対する意識の鮮度感が薄れると予算は低くなる傾向にあります。大久保一彦の本【中古】 非常識に売れる最強メニューがだれでもつくれる成功方程式 /大久保一彦(著者) 【中古】afb また、一回に消費する額は商圏の広さと密接な関係があるので、この点も含めて理解する必要があります。
2022.10.23
霜降の連続講座 次の一手 その10 ショップコンセプトを決める九つの要素過去の会報「四方よし通信」から振り返ります。~2011年9月号よりショップコンセプトを決める九つの要素 その3④ターゲット時間 どの時間で勝負するのかも重要な要素です。お金の使いかたは時間によって変わるためです。 例えば、オフィス街ではランチの集客が見込めます。しかし、日常的なランチの予算は極めて低く、都内のサラリーマンだと500円くらいと言われています。あまり昼間を主体に考えてしてしまうと夜の集客に苦しむことがあります。それは、昼の営業で食事色の強い店に見せてしまうと、「ご飯を食べるにはいいが、お酒を飲む雰囲気でない」と感じてしまうからです。⑤お客様の利用目的 業態を考える上で、何のために店を使うのか(利用シーン)という要素はとても重要な要素です。お客様にはその店を選ぶ理由があり、その理由こそ客数増の重要な要素なのです。店の利用目的のなかで、誰のためにお金を使うかという要素は業態を決定するうえでとても重要です。消費というのは大きくわけて、自分のためにお金を使う場合と人のためにお金を使う場合があります。自分のためにお金を使う場合は、おしなべて利便性や実用性が重視されます。逆に人のためにお金を使う場合、中身の濃さや相手の評価が重視されます。大久保一彦の本【中古】 この「気づき」で売上げがガンガン上がった! 知的生きかた文庫/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.10.23
霜降の連続講座 次の一手 その9 ショップコンセプトを決める九つの要素過去の会報「四方よし通信」から振り返ります。~2011年9月号よりショップコンセプトを決める九つの要素 その2②ターゲット客層業態を決めるときに誰をねらうのかは重要です。それは狙うターゲットによって店作りが変わってくるからです。例えば、中年のサラリーマンをターゲットとする居酒屋と若者をターゲットとする居酒屋では求められるメニューレベルもメニュー構成も違います。もちろん、内装などの雰囲気作りも違いますし、求めるサービスのスタイルもサービスをするべきスタッフも違います。したがって、両方を取り込もうとするとどちらも取り込めなくなります。それは、中年サラリーマンと若年層では求めるものが異なるからです。③利用する場所(出店立地)出店立地によって、客層自体が違いますし、同じ客層でも消費の傾向が異なります。したがって、近隣の居住者や事業所やトラフィック・ジェネレーターと呼ばれます交通発生源の性質を考えながら、立地戦略を練らないといけません。大久保一彦の本【中古】 成功する小さな飲食店の始め方/大久保一彦,小山雅明【共著】 【中古】afb
2022.10.23
寒露の連続講座 次の一手 その8 ショップコンセプトを決める九つの要素過去の会報「四方よし通信」から振り返ります。~2011年9月号より コンセプトを決める九つの要素があるために業種選びが終わったからとて、安心できません。また、時間の経過とともに店をとりまく環境が変化するのでコンセプトにズレが生じます。そのため、ある程度のスパンでの見直しが必要になります。(図9―1)コンセプトを決める九つの要素① 業種(主力商品)② ターゲット客層③ 利用する場所(出店立地)④ ターゲット時間⑤ お客様の利用目的⑥ 予算⑦ お客様の感じる他店との明確な違い⑧ 見込み客を初回来店に結びつける方法⑨ 来店されたお客様をグリップする方法それでは、コンセプトを決める業種以外の八つの要素をそれそれ掘り下げましょう。大久保一彦の本【中古】【古本】誰も教えてくれない〈カフェ〉の始め方・儲け方 世界に1つしかない「あなたらしい店」を実現! 「基本レシピ」掲載! ぱる出版 大久保一彦/著【ビジネス 開業・転職 独立・開業】
2022.10.22
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