『ラ・フィネス』『ミチノ・ル・トゥールビヨン』勉強会議事録 32
ジェームズオオクボ的視点で選んだ心に残るあの店のあの料理(名物料理百選) 18
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雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング~『四方よし通信』2014年10月号よりはじめに このセミナーで何度もお話している人口減少、中でも、働き手を意味する生産年齢人口の激減ですが、これによりまして、サービス業に対する、求人の応募者数が極端に減っております。いよいよ、人口減少による人手不足が非常に大きな問題となってきたと言えるのではないかと思います。もちろん、そういう時代ですから、できるアルバイト、パート、社員の採用というのが非常に難しくなってきております。 しかし、その一方で、働き手側から見ると、誰もが納得できる「いいなあ」と思える仕事というのは、極端に少ないと思うのです。ですので、転職というものを繰り返す人というのは沢山存在します。 最初は仕事にありついただけでもよかったという人であっても、仕事に慣れ、その職場の事情や先行きが見えるようになると、もっといい仕事をしたい、じゃあここではできない、次に移ってみたいと思うでしょう。運良くいい仕事に就けた、だけど、やってみたらそうでもなかった、だから、もっと違うところに行きたい、そういう風に、人間の欲求は変化するものなのです。しかし、雇われている限りは、そんな理想的な職場に出合うというのは、そうそうありえません。その一方で、たまたま働いた職場が、自分が持っている可能性――私はこれを“伸びしろ”と言っておりますが――を引き出してくれて、自分が面白いように成長していける環境だったら、労使の対立を超えて、お互いに素晴らしい出会いとなるでしょう。 逆の見方をすれば、人間が成長していける職場環境を十分に提供できれば、おそらく素晴らしい人財と、今後に渡って縁を持つことになるのです。そういう意味で、お互いにとって魅力的な職場を作っていくということは、今後において、非常に重要な課題なのです。仕事の魅力というと、どうも、私のような高度成長期の人間に言わせると、「給料が高い」というような「待遇が良い」という方向に持ち込みやすいものです。しかし、「給料が高い」というのは大切なことなのですが、人口増加の拡大経済ではなくなった今日、それは重要なファクターではなくなっております。つまり、仕事の魅力に対する価値観が変わりつつあるのです。現に、給料を稼ぐために、最近、何かと話題になっている長時間労働などの過酷な労働は、多くの人に嫌がられるでしょう。何より、そこまでお金は求めていない傾向が顕著なのです。 では、お金以上の何を求めているのでしょうか?それは、自分の可能性を引き出してくれる環境や自分のフィールドを作ってくれる環境なのです。もちろん、世の中には、怠け者もいっぱいいます。ラクしてほどほどに稼げればいいやという人のことですが、しかし、ちょっと頭を働かせれば、世の中に、そんな“おいしい”仕事などいうものはないわけです。これからの時代は、より、自分の“伸びしろ”を伸ばし、自分自身を成長させることで、新しいステージに立ち、より活躍の場が広がることを求める傾向が高くなってくることでしょう。 そこで、今月は、未来に向けて、あなたのお店、あるいはあなたの会社に関わった人の可能性を伸ばしてあげて、その人の“伸びしろ”を伸ばすことで、会社が発展する環境について掘り下げたいと思います。 今までは人口が増加している時代が続きましたから、自然にマーケットが伸びていました。私たちはこのことを当然視し、前提としています。この前提を持つ者は、マーケット性あるニーズを探して、そのニーズに対応する型にはまったビジネスをやることで、安定、成長できると考えます。しかし、時は人口減少の時代です。ニーズに対応するビジネスモデルはだいたい出尽くしてしまいました。したがって、これからの時代は、ニーズがあるから、そのニーズに合わせて成長していくという需要対応型、旧来型のビジネスモデルではなく、新しい方法論を模索する必要があります。 そこで、関わった人の、その人自身の“伸びしろ”を伸ばしてあげることで、その“伸びしろ”分がマーケットを作り出す、換言すれば、人が成長することによって、ドンドン関わる人も増えていって、関わった人が成長することで、そのお店なり、その会社なりが広がって行き拡大するようなビジネスモデルに転換していく必要があります。私が定義する、これら到来する人口減少時代の拡大型ビジネスのあり方です。 今いる人の“伸びしろ”を伸ばして、それぞれが成長して、その人たちの下に人が増えて、そして、その人たちが“伸びしろ”を伸ばす。このような無限連鎖をビジネスの中で展開できれば、マーケットの需要に対応する旧来のビジネスモデルのような人口減少の影響は受けません。人口減少の影響を受けないビジネスモデルを作るということは、ひいては、日本という国に希望を与える、非常に社会性の高いビジネスモデルになると私は考えております。 こういう理由で、私は、関わる人が成長していけるビジネスに転換して行きましょうと提案したいのですが、そのためには何をしなければいけないのか。今まででしたら、上の方でルールを作って、現場はシステム管理者として、ルールに基づいて秩序を守いく。あるいは、私たちのようなコンサルタントが業態を開発して、それをある程度実践していただくという風に、マネージャー層、経営層と、運営する人というのが、同じではない、ピラミッド型の経営をしていました。 しかし、これから、私たちコンサルタントあるいは経営者は“伸びしろ”を伸ばすヒントとしてコンテンツを提供はするにせよ、現場の人自身が共有した未来に合わせて、自らの“伸びしろ”を伸ばしながら、現場の精度を高めて形にしていかねばなりません。こういう関わりに変化できない企業はマーケットを広げていけないでしょう。これが、関わっている人の“伸びしろ”を伸ばしていくという経営の姿であり、これからの人口激減時代に成長を望むことができる有力なビジネスモデルです。 新しい取り組みですので、色々なことにチャレンジしないといけません。これから私の方で、「少しこういうことをしたらどうですか?」と提案させていただきますので、その提案を皆さんのお店で当てはめていただき、フィードバックいただければと思います。私は再度、検証していこうと思います。この営みの中でメソッドを構築します。日本の総人口6000万人を見据えた経営、これを今後展開していく上で、今回は、未来に向けて、未来像を共有して経営していくためのひとつの要素となります「チームビルディング」のお話をしていきます。 今月から、又、新しいテーマになりますが、皆さん、新しい時代に向けて頑張って行きましょう次回に続く大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
2023.02.19
唐揚店の展望 一昨年、昨年と急速に店舗が増えた「唐揚店」。昨年くらいから競争が激化して、売上に苦労しました。特に、価格が低めの「唐揚店」の業況は良くなったように思います。 価格が低めの「唐揚店」はターゲティングを可処分所得の低い独身者、ファミリーになることが多いです。その分、喫食頻度が高い「唐揚げ」ですから、価格が低いため、利用頻度が高くなります。 ただし、味付けが濃いと「(多回数経験の)飽き」につながりますので、味のインパクトを抑えます。一方、後から参入した店は単価を高めにして、味のインパクト揚げて、既存店との差別化をはかります。 これによって、利用しやすさで支持された価格が低めの「唐揚店」はしばらく客数をとられます。「(多回数経験の)飽き」となり、最終的には、価格が低めの「唐揚店」に戻るでしょう。ただし、食品は高騰しますので、価格以外の差別化を考えないといけないでしょう。 私は、最近心不全となり、入院生活を送りました。病院食はラショナルのスチームコンベクションを使っていると思いますが、ヒントとなりました。今後、この経験をメソッドにしていこうと思います。
2023.02.19
繰り返し効果 若い頃、我が師匠竹田陽一は繰り返し効果、反復効果ほどやりなさいと言ったことはありませんでした。人前での講義1,000回。視察も1,000回。などなど。 私は、いつしか「量が質に転換する」ことを実感した。それが他人から見てどうこうというのではなく、自分として明らかに違うと実感するようになった。 同じことの反復。おそらくこれほど重要なことはないだろう。大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
2023.02.15
微差がわかれば伸びしろがわかる 新人スタッフやできの悪いスタッフの成長の出足はとても緩やかです。スタッフが育たない店の特徴は、この緩やかな成長、ほとんど成長が見えない微差が見えません。 成長の大差を求めます。そう言う人はこう言います。あるいはこう思います。「なんで何度言ってもわからないんだ」失敗の繰り返し。でも、同じ現象に見えて、少しずつ成長しているかもしれません。大差を求める人は、自分がやりやすい人に変えたがります。求人したがります。それでも数年前は代わりの人が来ていました。しかし、今の時代は、代わりの人は来ないのです。逆に、失敗の繰り返しの現象面に内在する見えない成長、すなわち微差がわかれば、伸びしろを引き出すことができます。大久保一彦の本【中古】 大久保一彦の「人」が集まる飲食店店長の秘密 / 大久保 一彦 / 日本能率協会マネジメントセンター [単行本(ソフトカバー)]【メール便送料無料】【あす楽対応】
2023.02.02
新春企画 私が影響を受けた先輩の教え [やりたいことをしっかりやる]「やりたいことをしっかりやる」 もう20年くらい前になりますが、青森の『ひがしやま』という焼肉屋をお手伝いしていました。当時焼肉業界はBSEの問題で惨憺たる状況でした。二店舗で年商10億円近くあった『ひがしやま』も例外ではありませんでした。 オーナーの岩谷氏から「野菜バイキング」を取り入れたいとの申し出があったので、大先輩である熊本の元岡健二氏のところに出向いてお話しを聞くことにしました。 このようなマクロ環境の大きなインパクトに対しては、我々コンサルタントは長期的な対応はできても、短期的な解決はなかなか難しいです。元岡さんなら、なんらかのヒントを与えてくれると思ったわけです。 さて、元岡さんは二代目経営者の岩谷氏に対して、「(偉大な)親から引き継いだ会社や店が潰れるのは宿命。悪くなれば番頭さんも辞めるだろうし、それが正しい。だから、あなたは潰れること恐れずにやりたいことを一生懸命やりなさい」とおっしゃいました。 そして、私には「大久保さんのようなコンサルタントは、売れそうだからと小手先のことをやるのではなく、クライアントさんがやりたいことをしっかり聞いて、それができるように一生懸命手伝いなさい。潰れる宿命にある会社はどんなことをしてもいずれは潰れるんだから、潰れても悔いのないように一生懸命手伝いなさい」とおっしゃいました。 この発言は当時の私にはとても衝撃的でした。十年経った今もこのときのことは鮮明に覚えています。 しかし、このアドバイスが、小手先系のコンサルタントだった私に、理念という羅針盤を元に経営するヒントを与えてくれました。私はそのころから、たとえ結果が悪かったとしても「大久保さんと一緒にやれてよかった」と言ってもらえる仕事に舵を切り始めました。 実はこのころ、1号店の開業の相談に方舟を展開する株式会社セオリーの原社長が相談におみえになっていました。私は何かに導かれるように、自然に未来の道筋が開ける引きの強さがあるようです。大久保一彦の本【中古】 繁盛の天才 2時間の教え 127人の店長を成功させた /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2023.01.04
新春企画 私が影響を受けた先輩の教え正論は逃げ口を無くす 「正論は逃げ口を無くす」これは四半世紀前に御世話になった、グリーンハウスフーズの当時の牛崎専務からいただいた言葉です。 部下を導こうとするときに、正論を振りかざすと結局は辞めざるを得なくなり、機会を失うという意味です。その人にとってその人が少しでも良くなれば、それでいい。だから、百歩譲って、言いたいことを飲み込んで、その人にとって良い方向にだけ導く。ホスピタリティ・サービスで言うなら、相手以上に相手のことを考える、そうあれば良い。そして、それを自分の経験談に当てはめず、問題ひとつひとつを一緒に考えてみる。それがよいと思うのです。 もしかしたら、お客様作りもそうかもしれませんね。 ながくつきあう商売なら、今、わかってもらって、ベストにあてはめる必要もないのではと思うのです。そうすると、私たちのような飲食店は、すべて正論である必要もない。 最近の仕事を通して、そう、再確認しました。大久保一彦の本【中古】 善の循環経営 人口減少時代を生き抜くメソッド/大久保一彦【著】 【中古】afb
2023.01.04
冬至の連続講座 人手不足への対応 上場企業は連合体に~2012年11月『四方よし通信』より4 人手不足への対応4-3 上場企業は連合体に ドトールコーヒーがどうしてカウンター型のバックに厨房がない形なのかというと、「あの時は人がいなくて仕方なくやったんだ」鳥羽氏がとあるパーティーでお会いした時におっしゃっておりました。これからのチェーンレストランもそうなってくるでしょう。 そうなると、上場企業の連合体も増えてくるかんもしれません。サイゼリアとドトールコーヒーがハイブリットされるかもしれませんし、そこに松屋がハイブリットされるかもしれませんし、人をなるべく少なくして経営できるフードコートレストランのようなフランスのブラッスリーのような業態の店が生まれるように思います。ショーケース型のブラッスリーがなぜあるかというと、まず売上がなかなか確保出来なくなる、もう一つは人手を確保するのが大変という、そういう時に少ない人数で回すというのはショーケースに入れておいてお客様がセルフサービスで食べていただけるというスタイルがポスト2015年以降増えていくような気がします。大久保一彦の本【中古】 「現場力」で勝つ! 飲食店繁盛の新セオリー / 大久保 一彦 / 柴田書店 [単行本]【ネコポス発送】
2022.12.31
冬至の連続講座 人手不足への対応 2020年以降~2012年11月『四方よし通信』より4 人手不足への対応4-2 2020年以降 2020年中ごろ団塊ジュニア世代は50歳に達します。この時代に向かい、サービス業の人手不足は深刻化し、人件費は一気に高騰に転じるでしょう。また、社会保険料などものしかかり、企業経営はなりたたなくなるリスクに直面するでしょう。そうなった場合、国をあげて外国人労働者が注目される可能性は高いです。しかし、そのころには中国、インド、ベトナム、ブラジルも豊かになり、労働者の供給先としては弱くなる可能性が高いです。 そこで、サービス業に求められるのは、理念経営で金銭以外の価値を見いだせる店づくり、高い生産性を実現できる店舗の二点が求められるでしょう。高い生産性の意味するものは機械化などによる省力化されたシステマチックな職場、ないしは、高付加価値を提供しながら高い生産性を確保した飲食店と言えます。 この人件費高騰は、起業という流れに傾くかもしれません。高賃金を得られないのであれば、起業するというのはいつの時代も自然な流れですからね。ただし、2030年までは、その世代が育った教育環境を斟酌すると、どちらかという起業志向は低いようには思います。大久保一彦の本【中古】 誰も言わなかった!飲食店成功の秘密 / 大久保 一彦 / フォレスト出版 [単行本(ソフトカバー)]【宅配便出荷】
2022.12.31
冬至の連続講座 人手不足への対応 2014年~2020年の採用~2012年11月『四方よし通信』より4 人手不足への対応4-1 2014年~2020年の採用 2014年に消費税率があがり、世の中全般には雇用抑制がおこります。採用活動のチャンスは2014年の消費税率アップの後です。2015年がビジネスの撤退、縮小が多くなるでしょうから、勢いがある店、企業は2015年前後が最後のチャンスとなります。慢性的な人手不足は、年々悪化しますが、2020年に向かってより厳しくなるでしょう。そして、2020年から、生産性の高い企業が若者の囲い込みをするため、一般求人で人財を確保することは難しくなるかもしれません。課外活動を通して、学生さんとの接点をどうつくるかが重要になるかもしれません。このころから、就職フェアみたいなものが違うものになるように思います。理念経営はプラスに働くでしょう。 その一方で、動ける、60歳以上の団塊世代の採用も選択肢となるかもしれません。大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の繁盛ノート 売れるお店の採用教育・シフト編成・会話術 / 大久保 一彦, 加藤 雅彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】
2022.12.31
冬至の連続講座 人手不足への対応~2012年11月『四方よし通信』より4 人手不足への対応 外食産業などサービス業全般にふりかかる問題、それが人手不足です。急速な少子高齢化を背景に飲食店では若手社員の採用が難しくなっております。よく、ゆとり世代で「いい人がいない」とおっしゃるかたがいますが、そもそも、働き手が激減しているのです。もちろん、パート・アルバイトの採用にもその雰囲気が出ています。人手不足の対応はこれから大きな問題になりますので、しっかり考えておく必要があります。大久保一彦の本【中古】 大久保一彦の「人」が集まる飲食店店長の秘密 /大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.12.31
冬至の連続講座 レストラン×リーテイルのハイブリッド EATALY~2012年11月『四方よし通信』より3 レストラン×リーテイルのハイブリッド3-4 EATALY 今、ニューヨークのマンハッタンに日本人の視察が絶えない店があります。以前にも紹介いたしましたが、『EATALY』です。 日本にもEATALYはあり、代官山にあります。日本のEATALYは代官山という何とも言えない場所にあることもあり、人気こそありますが、EATALYの良さが出てないといったほうがいいのかもしれません。どちらかというと、トレンディな人に支持されているような印象を持ってしまいます。 ニューヨークのEATALYはレストランに限りなく近づいている流通だと言えるでしょう。レストランに近づいているとい表現をするのは、基本は店内にあるこだわり食材を売りたいというリーテイルの想いが伝わるからです。現状は、完全な流通と考えていただいた方がいいと私は思っています。とはいえ、この言葉で言い尽くせない雰囲気があります。店内の通路には陳列ケースがもちろんありますが、カウンターで気軽に豊富な食材を使って目の前で調理した料理を食べられるようになっておりますし、立ち飲みでワインが飲めるようにもしている。「イーチーズがしたかったことってこれんなんだな」と感銘を受けました。大久保一彦の本【中古】 繁盛の天才 2時間の教え 127人の店長を成功させた /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.12.31
冬至の連続講座 レストラン×リーテイルのハイブリッド~2012年11月『四方よし通信』より3 レストラン×リーテイルのハイブリッド3-3 わい家 さて、未来型の業態、リーテイル&レストランハイブリットの代表格は以前、ご紹介しましたが『わい家』です。わい家の長谷川社長は以前、サーフィンをやるために漁師さんをしていたことを活かし、漁師さんと直接取引をして、センターで一次処理してから各店舗へ自社配送で、お客様に喜ばれるお店を展開されています。 “海鮮焼きの居酒屋”ד300円均一の居酒屋”いうスタイルがこのリーテイル&レストランハイブリットのスタイルに近づいているように見えます。 例えば、大きな国産アサリを3個300円で販売しています。ハマグリなどもつかみ取りができ、7個くらいとれました。これも国産ハマグリです。漁獲高が激減する時代、右肩上がりの仕組みにはほころびが出ています。規模が大きくなってしまいますと出来ないこともあります。今の時代にふさわしい商業をぜひ構築して欲しいですね。こんな時代の疲弊した日本の流通を変えるという意味で私は『わい家』に期待し、応援していきたいと思います。大久保一彦の本【中古】 いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか/大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.12.31
冬至の連続講座 日本のHMR~2012年11月『四方よし通信』より3 レストラン×リーテイルのハイブリッド3-2 日本のHMR では、日本のHMR市場を見ていきましょう。日本にはもともとお惣菜屋というカテゴリーがあります。私の所属していましたとんかつ業界もこのひとつです。 戦後生業店が多かった日本の惣菜業界も、1990年代からチェーンが主になってきました。したがって、ここ15年の惣菜店は効率追求のチェーンオペレーションへの転換という方向に向かってきました。 『柿安本店』は料理人が素材から作るという非効率な方法からスタートしたものの、徐々に効率のよい方法に移行しております。今では流通に近いような位置づけになっていると言っていいでしょう。 今、レストランがもう一度、この効率重視のスキームを再構築すると面白い時期に来ているように思います。大量に商材を流すという高度成長期、人口増加の時期の物流にほころびが出てきており、ものが売れなくなっているので、意味のないブランド化が横行しています。本当に価値のある商材ならいいのですが、品質が極めて高いわけでもないものがブランド化されています。またブランド化された魚も乱獲により、品質劣化。市場のニーズに合わせてむりやり品質のよくないものを出荷し、偽装まで横行しています。聞いたことがない魚、聞いたことがない牛肉も数多いです。本来ならお客様を教育して価値をわかっていただくべきところを、意味のないブランディングすることで、付加価値を高めてPR・広告をつけて、虚像を作って消費者を安心させて売ろうという流れがあります。物自体は悪くない場合もありますが、お客様の教育をしながら売るのが難しいだけに安易な方向に向かうきらいがあります。 その一方で、今まで手頃に食べられていたものが、妙に値段がつり上がっていく。それで漁師さんの収入が増えて行けばいいのですが、実際は増えていない。ものはブランド化されたにも関わらず、業界がよくならないという現象がおきています。この歪を解決して、付加価値を高めて自ら販売する流れが、これからの流れになるでしょう。それが、リーテイル&レストランハイブリットなのです。 そして、生産者、漁協、仲卸業者、食品輸入業者がショールームとしてではなく、ものを動かし消費者に便益を与えるために動きだしはじめているのです。そして、この動きは、軽減税率というものが設定された時にうまく機能する可能性があります。どうやって行くかは法律の制定に依存していく部分が多いですが、そこを視野に店というのが変わっていく可能性があるということです。軽減税率設定でリ-テイル&レストランハイブリット店の急増する可能性は大なのです。大久保一彦の本【中古】 善の循環経営 人口減少時代を生き抜くメソッド/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.12.31
冬至の連続講座 1990年代後半のアメリカのHMR~2012年11月『四方よし通信』より3 レストラン×リーテイルのハイブリッド3-1 1990年代後半のアメリカのHMR 私がコンサルタントとして独立したのは、1997年でした。実は、その年、アメリカで“HMRブーム”があり、日本でもホットな話題でした。懐かしいと思われる方もいらっしゃると思いますが、HMRとはHome Meal Replacementの略で、家庭の食事を置き換えるという意味です。 アメリカでも女性の社会進出とともに、食を外部化するようになりました。その一方で家族団らんは激減します。しかし、1990年代後半犯罪増などの理由から家庭回帰現象がおこりました。女性が家庭に回帰して一緒に食事をするという流れができ、その流れに応えたのが『ボストン・チキン(後のボストン・マーケット)です。アメリカ人の家族団らんの必需品のロテサリーチキンを店内調理で提供して、またたくまに1400店舗まで急成長します。(しかし、その後CH11に入りましたが)また、そのころ富裕層の南下現象が進み、リタイアした人が暖かいエリアに移住するようになりました。レベルの高いレストランやデリのあるニューヨークやシカゴなどの都市部で長い期間過ごした富裕層には、移住した南のエリアでも、都会で食べたようなおいしいものを求めるニーズが急増。それに応えたのがイーチーズです。 ダラスに1号店を構えたイーチーズの大成功(年商はダラス店で20億円)により、HMRブームは最高潮に達しました。HMRはレストランが、家庭の食卓をターゲットにしたテイクアウト市場と言うことができ、レストランサイドの流通ビジネスへの参入と言えます。数年後、そのHMRブームは、流通側の付加価値ある素材加工という巻き返しで、後退していくことになります。テーブルサービスによる付加価値づけが得意な外食産業は、特別な日には強いのですが、日常のマーケットにおいては弱い面があるのかもしれません。現状のアメリカの市場は、オーガニックスーパーのホールフーズやニューヨークではイタリーに勢いがあるようです。大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
2022.12.31
冬至の連続講座 レストラン×リーテイルのハイブリッド~2012年11月『四方よし通信』より3 レストラン×リーテイルのハイブリッド リーテイルとは小売を指します。小売はレストランの付加価値をつけられる要素に目を向けてレストランに近づいていきます。これから、食品の消費税が8%、その他のものは10%に変更される段階に、リーテイルがこの隙間を狙ってくるでしょう。 軽減税率が導入された場合、生活必需品の食品の税率は低くなる可能性が大きいです。問題は加工食品です。惣菜がこれだけ生活に密着している以上、軽減税率の対照になる可能性があります。その時に、小売で買って、持ち込めるスペースで食べるという需要がおこりうるのです。 また、消費者はより信頼のおける店で食事をするようになり、生産者自らがこのような業種に参入する要素があるのです。大久保一彦の本【中古】 非常識に稼いでいる飲食店だけがやっている儲けのルール /大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.12.30
冬至の連続講座 2013年から2014年の外食産業の動き まとめ~2012年11月『四方よし通信』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-5 まとめ 2015年から再び、メーカーをはじめとした製造業でリストラが始まるでしょう。消費も冷え込み、結果的に税収も減るでしょう。その結果、増税論議が再燃して、さらに市場環境が悪化する可能性があります。2015年、消費税率のアップによって世の中のシャフル始まります。このシャフルをしのぎきれば競争は少なくなるので、ひとつの安定ラインに乗せることができるでしょう。大久保一彦の本【中古】 飲食店の「見える化」経営 “見える化ツール”が成功店に変える! /タルイタケシ【著】,大久保一彦【監修】 【中古】afb
2022.12.30
冬至の連続講座 消費税率アップ前にやってはいけないこと~2012年11月『四方よし通信』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-4 消費税率アップ前にやってはいけないこと 消費税率アップの前にやってはいけないことがひとつあります。税率アップを考慮した無理あるいは無意味な出店などの投資です。 実は、このことにふれるのは、最近、「消費税上がる前に店を出しておいたほうがいいですね」という質問を多くいただくからです。私は税率アップを考慮した無理あるいは無意味な出店などの投資については、誰以上に否定的に考えております。 その理由ですが、消費税率が上がる前の高騰と、税率アップ後の暴落が理由です。2015年は団塊世代806万人が生産年齢人口からの離脱が終了した翌年で、日本国内産業のマーケットの縮小傾向が強く出てくる時期です。そして、税率アップで需要と供給のバランスが崩れ、中心地繁華街と少し離れたエリアの格差が出て、格安物件がかなり市場に供給されます。 つまり、焦って消費税率アップする前に、多店舗化するよりは、キャッシュを作っておいたほうがいいというのが結論です。キャッシュで買えば、かなりいい物件が格安で買える時代になると思います。おそらく2015年を過ぎると私たちが想像し得なかった時代になると思います。 人口減少の与える影響と消費税を上げてしまったことの影響により、商売の考え方ですら変えなくてはならない状況になってしまうかもしれません。この消費税率のアップで自滅する人はたくさんいます。そう言う意味で焦って投資をする必要はありません。税率アップの半年ほどはじっとしたほうがよいタイミングなのです。大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の繁盛ノート 売れるお店の採用教育・シフト編成・会話術 / 大久保 一彦, 加藤 雅彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】
2022.12.30
冬至の連続講座 ~消費税率アップの前にやるべきこと その3~2012年11月『会報』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-3-3 消費税率アップの前にやるべきこと ブランディング 消費税率アップ後の消費者は購買活動においてより厳選する傾向が高くなります。使うときは相当高いお金を支払う一方で、日常の消費で“無駄金じゃないか”というフィルターで見るようになります。 そんな時代に選ばれる店かどうかを決める要素がブランディングです。前回の看板商品の話では商品でのブランディングの話をしましたが、あらゆる方法でブランディングしていく必要があるのです。 お店の名前が轟いていて、“こういう場面だったらこの店”というイメージ作りができるかできないかが非常に重要なポイントになる時代になります。ブランディングをするためには、“理念”“店作り”“メディアを使ったブランディング”を3本柱として考える必要があります。したがって、この“理念”“店作り”“メディアを使ったブランディング”は2014年までの店づくりの三本柱と言えるでしょう。 そこで各項目をおさらいしておきます。2-3-3-1 理念 お客様を引き込んでいくには共感というのを得なくてはなりません。共感とは接触している間に「いいな、この店」という瞬間で、これをエンゲージメントといいます。世の中に轟いて、みんながいいねと思ったものが“パブリックエンゲージメント”です。パブリックエンゲージメントの前に、小さなエンゲージメントというものを作っていかなくてはなりません。店を経営していてお客様とスタッフが接触していて「いいな」と思うことがありますよね。それだけではなく、自社のホームページを見て「いいな」と思ったり、また食べログのページを見て「いいな」と思ったり、つまりお客様との何らかの接触があった時に“共感”というものを呼び込めるような環境を作らなくてはいけません。 そこにわかりやすさを作るために“理念”を据える必要があるのです。理念とは「いいな」と思う方向性で、夢、想い、理想、目標、ビジョン、ミッションです。2-3-3-2 落とし込み “落とし込み”は理念を実現する“瞬間作り”と言えます。例えば、塚田農場は「第一次産業をなんとかしたい」という想いに導くスタッフの接触がありました。その瞬間は、「この店いいな」と思う、大きな共感への入口となる信頼を築くエンゲージメントかもしれません。落とし込みは、細部への落とし込みと一貫した理念に導く流れが必要です。しかし、瞬間をつくるスタッフの会社や店の理念との共感と、その共感を実現するための個々人の経験と技術が要求され、瞬間において理念に近づく行動をする判断できる環境も必要になるために容易なことではありません。人に依存するところも多く、チェーン展開すれば店舗間の格差も生じます。例えば、「塚田農場新宿」の歌舞伎町店はよく出来ていているにも関わらず、ほかの店に行くと、歌舞伎町店とは違うなと感じてしまうことが発生してしまうのは代表的な瞬間です。2-3-3-3 メディアを使ったブランディング 理念構築、落とし込みの方向がある程度見えてきましたら、「このお店は素晴らしい」という評価をいただき、名前が固有名詞として認識されます。“ブランディング”の作業に移ります。我々はしばしば、固有名詞である商品名をそのカテゴリーの総称のように思います。そうなるのがブランディングの理想です。 例えば、『“宅急便”がきましたよ』と言う人がいますが、宅急便というものはクロネコヤマトの商品名です。正確には宅配便です。佐川急便の場合は飛脚便です。しかし、面白いのは、荷物が届いた時に「宅急便がきましたよ」という人はいますが、「飛脚便が来ましたよ」という人はあまりいません。このようにそれだけ浸透させていく作業がブランディングです。そのためにメディアをうまく使います。 情報が大衆化した昨今、お店の情報として、発信したり、発信されたりするものはこのメディアを使ったブランディングに非常に重要な要素なのです。 お客様が何らかの情報に触れた時にお客様が、このお店は素晴らしいなと思っていただけるようなものをどう作れるかが重要になってきております。例えば、このセミナーでよくお話しております食べログによる消費者の格付けはもちろん、口コミサイトでも誰が評価・格付けしたのかということが重要になってきます。おそらく、消費税アップした段階で、食べログ点数が3.7以下の点数の低いお店は振るいにかけられると思います。一番安定するのは4点以上のお店だと思うのですけれども、なかなか4点以上のお店というのは店づくりを長期的にやっていかないと難しい点があるかと思われますが、非常に重要だと思います。 点数が上がったら上がったで、マイナスの書き込みをされる要素が出てきます。期待値が上がる分、事前の期待ほど怖いものはありません。そうなると、減点されない経営というものが大切になり、より精度の高い店づくり・落とし込みというものが重要になってくると思います。従って、落とし込みをしっかりしてエンゲージメントの瞬間をどう作れるかこれが重要になります。この価値観の共有ができなければ低価格帯で勝負するしかなくなります。つまり価格競争のレッドオーシャンがフィールドになるのです。大久保一彦の本【中古】 大久保一彦の「人」が集まる飲食店店長の秘密 /大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.12.30
冬至の連続講座 ~消費税率アップの前にやるべきこと その2~2012年11月『会報』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-3-1 消費税率アップの前にやるべきこと キャッシュの状況・推移の把握 どれくらいの売上のタイミングが、利益率・効率がよい(キャッシュが増える)営業ができるかを再確認することです。 その上で損益分岐点を下げることができるのであれば下げましょう。次に、消費税アップした場合、どの時期にどれくらいキャッシュが必要かを把握しましょう。こちらは税理士と相談してください。2-3-2 消費税率アップの前にやるべきこと 顧客情報の把握 消費税アップ後、お客様の足が遠のく恐れがあり、来店間隔があくリスクがありますので、顧客情報をストックしておきましょう。そして、税率アップ後、どのタイミングで思いだし接触をするかを考えておいてください。大久保一彦の本飲食店の「見える化」経営 <見える化ツール>が成功店に変える! The Restaurant Manager’s Handbook To Success (単行本・ムック) / タルイタケシ/著 大久保一彦/監修
2022.12.30
冬至の連続講座 ~消費税率アップの前にやるべきこと~2012年11月『会報』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-3 消費税率アップの前にやるべきこと そこで、消費税率アップの前に、外食産業ができることは何かをみていきましょう。まず、税率アップするまで、しっかり稼ぐことです。消費税率アップ後の半年間は厳しい状況休眠状態になる覚悟で、その前にできることはしておき、ストックしておくことです。これは前提ですね。大久保一彦の本【中古】 繁盛の天才 2時間の教え 127人の店長を成功させた /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.12.29
冬至の連続講座 ~消費税アップで瞬間的な大不況、そして極端な二局化が~2012年11月『会報』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-2 消費税アップで瞬間的な大不況、そして極端な二局化が 2014年に予定されています消費税アップが、さらに二局化の勢いをつけるになるでしょう。2000年くらいまでの成長経済でしたので、国のシステム、雇用、経済活動などがこの成長経済が前提となっています。しかし、生産年齢人口の激減、少子高齢化、人口激減で、成長経済は下降(縮小)経済に突入して、成長経済を前提にしている制度などが崩壊します。年金しかり、医療制度がしかりです。国の多くの制度は生産年齢人口の増加を前提の中で組まれています。我々国民も生産世年齢人口増加の恩恵のあった時代の制度が心地よく、良いと思っておりますから、無意識のうちに、破綻していても修復して守ろうとします。しかし、実際は時間が経てば経つほど、この歪がどんどん大きくなりますので、抜本的な対策は打ち出せずいると、政治、経済、行政は混迷するでしょう。そして、その場しのぎ的に税率を上げていき、消費税のアップが繰り返されるかもしれません。しかし、皮肉なことに税率を上げれば上げるほど、消費活動は鈍り、税収が減少してドツボにはまるかもしれません。 そして、このたび重なる消費税率のアップが外食産業全体の縮小を後押しします。多くの国民がお金の入りを増やすより、減りを抑える時代が来るかもしれません。その結果、特別なときしか外食に出かけなくなることも考えられます。 売れなくなれば、需要と供給のバランスは崩れ、デフレが一気に進みます。確かに、消費税のアップする直前には駆け込み需要が起こるでしょう。例えば自動車や住宅など高額なものは売れるでしょう。しかし、消費税が上がった瞬間から半年程度は自動車・住宅などは売れなくなります。そして、マスコミが「物が売れなくなった」「不況だ」と報じ、消費者の消費を鈍らせるからです。この手のマスコミや社会全体の雰囲気は、お金を使おうと思っていた人もお金を使わなくなります。これにより、2015年は人口激減+生産年齢人口激減+少子化+増税で大手、中規模の外食チェーンの整理、合併、撤退の年(縮小局面)になるでしょう。個人飲食店は二局化の時代(淘汰と長期安定)になることは間違いありません。しかし、撤退、縮小が続くと空洞化したマーケットができ、かえって商売のチャンスを生み出す可能性があるのです。大久保一彦の本【中古】 この「気づき」で売上げがガンガン上がった! 知的生きかた文庫/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.12.29
冬至の連続講座 ~外食産業の今後の大きな流れ~2012年11月『会報』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-1 外食産業の今後の大きな流れ 過去にも何度となく述べてきましたが外食産業の変遷をふりかえり、再確認してみましょう。1970年代前半の石油ショックから1990年初頭の“バブル”までが外食産業の第一期の成長期(レジャーとしての外食産業成長期)、バブル崩壊した後から1990年代後半~2005年ぐらいまでが外食産業の第二期の成長期(日常マーケットの成長期、チェーン店の成長期)でしたね。2005年には外食産業は成熟して、価格競争と多元化した競争が熾烈になり、激安マーケットとブランディングされたレジャーマーケットの二局化が進み始めました。これは1990年代後半から始まった、生産年齢人口の激減スタート、2005年から始まりました人口の純減、2012年から始まりました団塊世代の生産年齢人口から離脱開始により、一層激しく進みつつあります。※1947年~1949年の3年間に生まれた団塊世代は806万人に上ります。この人数が生産年齢人口からはずれるダメージは非常に大きいです。もちろん、それにより国家システム・経済システムが破たんしてきています。 この流れは広義の団塊世代の最後1954年生まれが生産年齢人口を外れる2019年にピークを迎え、団塊ジュニア世代(1971年~1974年生まれ)が外れる2030年~2040年まで継続するでしょう。したがって、2015年からの動きをひとことで言えば「さらば右肩上がりの恩恵組」と言えます。もし、100年先、200年先と生き残ろうとするのであれば、今の考え方を疑い、やりかたに大きなメスを入れる必要がありそうです。 今年はちょうど、今年1947年生まれ、つまり団塊世代が65歳になった年で、記念すべき右肩下がりの時代のスタートの年となりました。団塊世代がつぎつぎと65歳以上の年齢に送り込まれていき、そしてその方たちがいなくなります。そして次に団塊ジュニアが、どんどんそこに向かっていくわけですが人口のボリュームのあるところがばバサッとなくなっていきます。今は少子化ですから、無くなった部分の人口が供給されません。供給されないとどうなるかというと、働き手もマーケットも縮小していきます。 しかし、激動期というのは悪いわけではありません。この世の中の混乱はチャンスであり、既得権や過去の幻想にしがみつくものと、戦略的で能動的な経営をすするめるものとの間に商売の二局化を産み、結果、一強百弱、いや、一強千弱の状況を作り出す。今、勢いがあるからいいわけではありません。2020年、2030年にどうあるかが勝負です。大久保一彦の本【中古】いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか /ぱる出版/大久保一彦(単行本)
2022.12.29
冬至の連続講座 ~2013年から2014年の外食産業の動き~2012年11月『会報』より2 2013年から2014年の外食産業の動き 「たかだか一店舗の個人飲食店は世の中の動きなんて関係ない」とよくおっしゃられる方がいらっしゃいます。確かに、そんなに近くない目先の話ではそうなんですが、実はそうではない面もあります。これはマクロ環境というものが、大きな会社であればあるほど速やかに大きく影響が出てくるのに対して、個店であればじわりと反映するという性質があるからで、「たかだか一店舗の個人飲食店は世の中の動きなんて関係ない」とおっしゃるかたはこの性質を斟酌していなからそう言うのだと思います。 これからの時代、このマクロ環境をないがしろにしてしまいますと、経営的なリスクが突然出るかもしれません。100年、200年先を考えた長期経営をする上で、人口の変遷、世界的な経済活動、政治問題、税制の変更など自分の将来に影響を及ぼす要素をしっかり見ながら、対応を考えていく必要があります。大久保一彦の本【中古】 行列ができる店はどこが違うのか 飲食店の心理学 ちくま新書/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.12.29
冬至の連続講座 今月の注目の店 多来多来(たくたく) @京都府久世郡久御山町~2012年7月号会報から・・多来多来(たくたく) 今回は「食べログ京都」で焼肉のナンバーワン店の「多来多来(たくたく)」から学びましょう。関西地区の人であれば聞いたことがある人はいるかもしれませんが、おそらく、多来多来に行ったことがある人は少ないと思います。それもそのはず、京都市と大阪市の間に位置しとても辺鄙な場所で営業しているからです。 しかし、多来多来に実際行ってみると学ぶとことはたくさんあります。今回はこの多来多来について掘り下げみたいと思います。 その地に根を張り、息の長い商売をするには価値観で結ばれて生涯顧客としてしての関係を築かなければなりません。そのために大切なことは、新規客の段階あるいは、早い時期に信頼されることです。これまでの高度成長期の時代は、需要>供給の関係から、売り手側の都合で動いてきました。しかし、2005年以降の供給>需要となった環境と2010年以降の情報の大衆化で情報の入手・発信が自由になったことにより、消費者はより信頼できる業者を選ぼうとしています。今、世の中では、リテール(流通)とレストランのハイブリッド店舗が世界的に広がっていますが、これは偏に、自社で営業活動が完結しない危うさを感じたメーカーや流通が増えているからです。代官山にある“EATALY”は、イタリアのこだわり食品のリテール&レストランのハイブリッド店舗の代表的存在ですが、スカイツリーにも広げ、これからの注目店舗であります。 そんな供給>需要となった2005年以降+情報の大衆化で情報の入手・発信が自由になった2010年以降の環境の波にフィットしたのが、今回取り上げます多来多来と言えるでしょう。この店からただようのは地域密着の肉屋がやっている安心感です。肉屋のやっている安心感とは 多来多来から漂う、肉屋がやっている安心感は下記の四つに集約できると思います。①生もの安定感 ②カウンター席に内にスライサーを置いて、カットを見せて、調理プロセスの見える化をしていること ②スタッフがほとんど社員(そうでないかもしれないが、そう見える)で、いつも同じスタッフがいる安心感 ③気軽な雰囲気の安心感 よく作りすぎていない ⑤お客様の利用シーンに応じたおいしさの提供ができているお客様の利用シーンに応じたおいしさの提供ができているという項目は重要なので、掘り下げましょう。焼肉屋の客層のニーズおいては、ご飯を食べに来ている人と酒を飲みに来ている人がいます。都内の中心地ですら、ご飯を食べにくる要素は高いです。そのために、タレを食べたい客層と塩を食べたい客層の潜在的なニーズの違いを嗅ぎ分け、その客層の事前期待に応える必要があります。 まず、多くのビギナー層や大衆層が焼肉屋で食べたいのはご飯です。そのために、「タレものがご飯に合うように設計できているか」「ご飯はスピーディに提供できているか」を確認する必要があります。ご飯にタレものが合うという落とし込みをするときに、あえて良い肉だとしてもジャガードをばっちり入れ味がしみ込むようにする必要があります。多来多来の特徴に上手な飾り包丁があります。飾り包丁とはタレをしみ込ませる技法です。素材の味のわかるお客様は小数なので、ご飯需要のお客様には決して、素材で食べさせないことが大切なのです。そして、このご飯需要のお客様に根本的ニーズはエサ性ですので、ぱっと来て、ぱっと食べるニーズに応えるためにスピーディな提供をしないといけません。 逆に塩ものを求める層には、こだわりのある部位をしっかり提案して、納得させる必要があります。商品知識、提案が客層・ニーズに応じてできることも信頼獲得の上では大切なのです。多来多来のスタッフは決して強いアプローチはちませんが、お客様にとって必要なことをやりとりし、提案ができる力がありそうです。そのため、おまかせでニーズに応じることは大切です。 様々な利用動機にこたえられる客席設計も非常にバランスのよい店です。食べログで点数がいい店は、減点される要素が少ない店ともいえるでしょう。多来多来(たくたく)京都府久世郡久御山町大字森小字村東223-3 電話 075-632-2929
2022.12.28
冬至の連続講座 接触して密着~2012年7月号会報から・・3 業績のよい店舗の三つの特徴3-3 接触して密着 接触して密着したサービスをすることによってお客様とつながった関係を作って、生涯顧客としてお付き合いを試みる。これも、最近人気店にあるパターンです。 私はよく、中目黒にあります「ふたご」の話をしますが、「ふたご」は密着したサービスが特徴のお店です。人間関係を築いたら、気が利く、地元にあるお店というポジショニングで存続を続けるというお店なんですけれども、「ふたご」は今までの焼肉屋と違うタイプです。 今までの焼肉屋は焼き肉の美味しさを追求してきました。ふたごというのは、焼肉屋に求める醍醐味というのを追求していると思うのです。焼肉をどう楽しむか、商品の味付けもインパクトがあります。飽きやすいとおっしゃる方もいます。確かに味自体は飽きやすいのですけれども、「ふたご」はそこにいるある程度定着したメンバーとの接触を意図的に作り、かなり密着した関係を作ります。いずれにしろ食べ物は味が濃くても薄くても飽きるので、人間という繋がりの部分で飽きさせないようにしています。 もうひとつ、自分の生活環境に比べてインパクトがある環境にいると飽きやすいです。ふたごはお店をうまく削って、チープな雰囲気(日常的な雰囲気)を漂わせています。雰囲気を削った気軽な空間を作ることによって若者や豪華なマンションに住んでいない人にとってみると安心感をしっかり醸し出していると思います。 先日、コンサルタントをしている友人と話していて、とあるとチェーン店について「店が汚くて」という話題になりました。私が、「家がゴミ屋敷みたいなところに住んでいる人は逆に散らかっていないと、かえって、居心地が悪い、綺麗すぎると居心地が悪いのですよ」と話をすると友人は驚いておりました。今その人が日常生活をしている環境と違う環境だと居心地がわるいのです。確かに、我々飲食業界の人間は、まだつい最近の外食市場成長期の幻影が残っていますから、QSCという過去の概念をつねに追求する習慣があり、店は綺麗でないといけないという既成概念を持ってしまっています。確かに、昔は飲食店がハレの利用でしたから綺麗である必要性は高かったです。しかし、普通の人の生活水準というところを落としていくと、日常の中の日常で使う場合は汚くてもその人の生活環境にフィットしているほうが違和感ないともみることができます。よくお話しする「ふたご」もクレンリネスはしっかりして綺麗にしていますが、良く見せすぎないというところがミソなのではないかと思います。地を這うような雰囲気があったほうがいいと思う人が世の中には多いのです。まして今のような就職ができない時代、一人暮らしの人が増えている時代というは、なつかしき良き時代とは価値観が変わってきます。 したがって、たまにみなさんも綺麗好きじゃないバイトの家に行ってみてください。多分汚いと思うのです。彼らにとっては、掃除を毎日するのは大変だし、時間もないでしょうから、あまり掃除をやらないと思います。やれば人間関係も職場関係も変わってくると思いますが、そういうところで生きている人はいっぱいいます。だから、一概に自分の価値観が他の人にもいいかというと、そうではないということは頭にいれておかなくてはなりません。これも価値の多様性です。だから、多様な価値観という部分が受け入れられるかどうか、ここが重要で、そのような見地でマーケットを見ていくとまだまだ我々飲食業が切り込んでなかったマーケットは沢山あるように感じます。少々脱線してしまいましたが、「ふたご」は今まで受けたことのない焼肉屋の印象を与えています。ほかの焼肉屋さんは焼肉通の人を相手にしています。「ふたご」ある程度、幅広く、今まで焼肉屋さんが相手にしたくなかったファミリー焼肉の層も来ているかもしれませんし、面白さという意味でもっと上の人たちも来ているかもしれません。そういうところで、考え方というのはいろいろあるということで特徴というところで、この三つがあるということを覚えておいてください。大久保一彦の本【中古】 繁盛力 女性リピーターが収益を運び込む! / 大久保一彦 / WAVE出版 [単行本(ソフトカバー)]【宅配便出荷】
2022.12.28
冬至の連続講座 商品力、商品ストーリー~2012年7月号会報から・・3 業績のよい店舗の三つの特徴3-2 商品力、商品ストーリー 強力な商品力やストーリーでお客様を惹きつけるというタイプがあります。昨今の情報の大衆化により、SNSメディアの力が強まりました。それも、今までのような、テレビ番組や雑誌のようなPR活動ではなく、格付け誌や食べログのような投稿サイトの力が強まっています。これは前回も述べました、ティム・オリアリーが提唱したweb2.0の環境が整ったからであり、この影響は莫大なものです。 商品力や商品ストーリーは、食べログの点数4点以上でパワー全開になります。4点以上の小規模高級店となれば予約が取れない店がいっぱいあります。4点以上となれば、予約がとれたとしてもその日の内にフリーのお客様で埋まってしまいます。しかし、逆に商品力がありながら、低い3点前後に甘んじると大変なことになります。後ほどで、京都の焼肉部門1位の「多来多来」の訪問記を掲載しますが、5時ぐらいから食事用のお客様がいらっしゃって、ある時間からワァ~と埋まってしまいます。平日でも凄まじい迫力です。大久保一彦の本【中古】 なぜか行列のできる飲食店の法則 味・値段・立地は関係ない! /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.12.28
冬至の連続講座 M&Aの条件~2012年7月号会報から・・3 業績のよい店舗の三つの特徴3-1-2 M&Aの条件 M&Aをする際は劇的なスケールメリットがでないと、何ら意味がないことを忘れてはいけません。M&Aは補完関係を狙いますが、そこに仕入れや流通において劇的なスケールメリットで補完関係がでないと、意味がないと思います。「すき家」のゼンショー社のように牛肉をより上手く動かすために、流通網を密にするというメリットを追求すれば効果的です。 逆に、例えばディスカウント路線で拡大している企業の、サービスで差別化している企業のM&Aはどうでしょうか?ディスカウント路線というのはサービスを削っているからディスカウントが成り立っている部分があって、もし結合した場合、あまり相乗効果を生み出せない可能性が高いです。M&Aをする条件は、1+1は2ではなく、1+1は10、あるいは100になるようなものを選ばないといけないといけません。基本的には新しくM&Aをする企業は投資ですから、投資して機能を果たさないといけないわけです。したがって、M&Aは利便性追求のマーケットをターゲットとする会社では積極的になるでしょう。そして業績がいいからこそM&Aが起こるかもしれません。どことどこがくっつくか?これから面白いところです。大久保一彦の本非常識に稼いでいる飲食店だけがやっている儲けのルール/大久保一彦【1000円以上送料無料】
2022.12.28
冬至の連続講座 人口減少で加速するM&A~2012年7月号会報から・・3 業績のよい店舗の三つの特徴 業績のよい飲食店は、M&Aによる利便性向上とバックボーンの強化、商品ストーリーの強化。サービスによる密着度アップの三つの特徴があります。次にその特徴を見ていきましょう。3-1-1 人口減少で加速するM&A 人口減少に急転し、あらゆるものに可能性があった人口増加の時代と商環境は激変しまし、お店のあり方は変わってきています。とくに利便性マーケットは競争が熾烈になり楽な商売ではなくなっていきます。確かに便利な店というのは必要ですが、一番マーケットにインパクトがある存在でなければ利益が出ない時代になります。今、拡大をしているゼンショーは今後も、さまざまな会社をM&Aを繰り返し、より物流効率を上げて、利便性マーケットを圧倒して一大企業として存続するでしょう。同様にマクドナルドも圧倒的でしょう。今までありえなかったことですが、ハンバーガーの他のブランドをM&Aをして、ダブルターゲットを狙うかもしれません。逆に、利便性追求している残りの外食企業は人口減少に対してどうするのでしょうか?答えはシンプルで、先ほど申し上げましたM&Aです。これから思わぬ企業合併がこるかもしれません。大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の繁盛ノート 売れるお店の採用教育・シフト編成・会話術 / 大久保 一彦, 加藤 雅彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】
2022.12.28
冬至の連続講座 成熟時代のキーワード=お客様を育てる 餌マーケット拡大に余波~2012年7月号会報から・・2 成熟時代のキーワード=お客様を育てる2-3 餌マーケット拡大に余波 このような餌性の高い食事は、基本的に満腹中枢への刺激です。満腹中枢への刺激というのは非常に研究されており、お客様に短時間で胃袋をボコっと膨らませて、塩分をパンっと取らせて、糖分をパッととってもらって、満腹中枢を刺激して、血圧上昇、心臓バクバク、お腹いっぱいというのを効率よくできるようになっています。それが、お客様の満腹中枢をかなりの強さで刺激して、「うまさ」となって伝わります。この繰り返しで、餌性の刺激への快楽が習慣化し、慣れ、自然に受け入れます。もはや、「大変満足だ」というところまでに行き着かなくとも、「これはこれでOK」という話になってしまいます。 そういう日常マーケットを狙う外食業界の流れが、日本の生活習慣が食事をどんどん変えてしまっています。マーケット志向で満腹中枢を満たす外食が増えると、スタッフもレベルが低下していきます。すでに述べました食の多様性を教育できるスタッフが現場には不在となります。「最近の若者は食生活がなっとらん!」と国も食育を推進しておりますが、世の中の生活習慣がそうなってしまっているわけですから、止められません。 餌マーケットについて理解した上で、人間としての成長の過程で食文化の多様性を体得していくという、食の性質をこの人たちは理解しないといけません。その人たちが目指す本当の食事はその階段の上の部分なのです。食育を主張する人と食育されるべき人の間で、生活環境にズレがあり、食育などといきなり言われても、受け手には的外れである場合が多く、うまくいきません。そういうギャップを埋めることが店に求められる要素なのですが、そういうことがわかっていて教育できるスタッフというのは日本では恐らくほとんどいないわけです。したがって、スタッフに食の性質について教育をし、理解したうえで、お客様にいろいろなことをお伝えできる機会を設けるべきです。しかし、現状としてはアルバイト・パートさん主体のぎりぎり経営をしている場合が多いですので、難しいでしょう。 しかし、これからビジネス環境は変わってくると思いますので、皆さんその方向性を考えたほうがよいでしょう。 これからのお店のありかたのひとつとして、現状、餌マーケットがベースにあるお客様に時間をかけて、長いつきあいの信頼関係の中で生涯顧客としてのお付き合いの中で多くのオプションを提示していくことが大切です。お客様は提示されたオプションに対して、「それはいいね!」「私も賛成よ」と共感が生まれ、そんな中から価値観の多様性が生まれます。多様な価値観が生まれれば、今までは生活習慣のように餌マーケットで食べていた人たちも、「まぁ毎日こんな食事をするよりも一回ぐらいはいいかな」というように、消費のスタイルが変わってくるでしょう。そのような教育を担える店がお客様を育てる、美味しさという価値観を育てる店です。これは重要なキーワードとなるでしょう。大久保一彦の本【中古】 「行列のできるダントツ飲食店」の秘密 1000店を蘇らせたプロが教える / 大久保 一彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】
2022.12.28
冬至の連続講座 成熟時代のキーワード=お客様を育てる 餌マーケット拡大のわけ~2012年7月号会報から・・2 成熟時代のキーワード=お客様を育てる2-2 餌マーケット拡大のわけ 今、日本で餌マーケットが広がっているわけを考察してみましょう。①可処分所得の減少 ひとつは可処分所得の減少が大きいと思われます。所得の減少でお金を使いにくい環境になってきてしまっています。だから冒険してまで、いいお店に行ってみようという部分が弱くなっています。冒険するといのは多様性を身に着けるうえで非常に重要です。しかし、選択肢があまりなかった時代と異なり今の時代は、ほどほどの金を出せば、ほどほどの店はたくさんありますから、便利すぎて、あえてそういうお店に行く必要性を感じなくなるのです。②便利になりすぎて時間がない 携帯電話やスマホの普及で便利になりすぎてしまい、かえって、時間に余裕がない、そのため食事時間が取れないことがあるでしょう。例えば、携帯電話が普及するのはいいことですが、昔は電話を受けるために事務所にいたりしなくてはいけないことなどがありましたが、今は外にみんなが出てしまうようになりました。 極論事務所に誰かスタッフがいて、受付の人が必要だったのが、今は受付のスタッフを雇わないで携帯電話やEメールでやり取りしたり出来ます。便利になるとどうなるかというと、時間がなくなります。時間がなくなりますと、時間を有効に使用したいという事を考えた時に、大切な人と食事には長時間食事時間を割きますが、そうではないときは、タイミングよく食事をしようと思います。タイミングよく食事をしようとすると短時間で食事をすることになります。例えば30分しか食事時間がないと、普通の定食屋に行ったら30分で食べられるだろうかと考えてしまいますので、そうすると確実に30分で食べられる牛丼屋などのファーストフードなどに行ってしまいます。つまり、便利になると、非常に効率を追求して生活をしていくようになります。効率を追求していくと、効率の中の一コマとして物事を当てはめようとするので、結果、餌を求めるのです。大久保一彦の本【中古】繁盛の天才 2時間の教え—127人の店長を成功させた/大久保 一彦
2022.12.28
冬至の連続講座 成熟時代のキーワード=お客様を育てる~2012年7月号会報から・・2 成熟時代のキーワード=お客様を育てる2-1 お客様を育てる 美味しさという食文化を育てる 美味しさには、本当の美味しさと利用シーンに応じた美味しさがあります。本当の美味しさは頂点の美味しさです。利用シーンの美味しさというのは、多くの人は常に完璧なおいしさは求めず、時間や費用、雰囲気やその人自身によって使い分けるものです。その場にあったおいしさが利用シーンのおいしさです。 例えば、家電製品を例に見ましょう。オーディオの機器は、プロ用の頂点の商品はかなり高いレベルです。音も最高で臨場感も違います。しかし、そこまでのレベルを、CDを聞く人が必ずしも必要であるわけではありません。様々な機能や性能が付いていたらそれはそれでいいですが、一般ユーザーは音楽を聴くくらいなのでほとんどの機能や性能使いません。そのために、対価にあって、ある程度市場性があるスペックに機能や性能を“削り”商品として投入します。消費者にとっても、必要な機能や性能に絞り込むほうが使いやすいです。 食べ物も同様です。利用シーンの多くは完璧なものは求めていないので、その都度、必要なおいしさをお客様が選択をしているのです。前回、美味しさに関して文化の階段というお話をしました。美味しさには、まず満腹中枢を満たすという万人共通の土台があります。この土台があって、各場面で、必要な美味しさの要素をオプションとして選択します。 例えば、マスコミで取り上げている情報、見た目がわかりやすい何かがある、トロや鮑など誰もがわかるグルメ食材を使っていると、単なる“餌”も立派に見えます。この三つを上手に組み合わせているのが「俺のイタリアン」です。「俺のイタリアン」は三大珍味、大きなフォアグラを低価格でドーンと載せ、メディアの露出を高めています。「美味さ」は多種多様で個別的でバリエーションがあります。育った環境や、食体験、旅行、社交で多様性(既知)を身に着けます。多様な価値観があれば、楽しみかたにもバリエーションがありますが、利用者自身に多様性がなければ、限られた“満腹中枢の刺激”という餌性で美味しさを感じるのです。 したがって、美味しさの設計時に、ターゲットする客層が利用シーンや利用タイミング、利用頻度や利用時間など、諸々の要素を考慮して、どのような美味しさを求めている人なのかをしっかりみきわめて、メニューに落とし込まないといけません。そして、長い付き合いの接触の中で提案して、おいしさの多様性を身に着けていただきます。これが、美味しさの教育です。実は、生涯顧客づくりの重要なポイントはこの美味しさの多様性(多くの既知)を作ることです。餌という部分で食事をする人は美味しいと感じるストライクゾーンが非常に狭いです。おいしさの多様性がないからです。 しかし、いろいろな食事を体験していくことによって、美味しいと感じるものが多様化していけば楽しみも増えます。店は接触する機会の中で新しい価値観を提供するのです。例えば、アメリカに行くと美味しいものが出てこないとおっしゃる方がいます。確かに日本で食生活していて日本で食べているものが、アメリカでは全く違いますから、自分の持っている価値観からしてみればアメリカの食事は美味しくないということになりますが、アメリカ人もそういう風に感じているかもしれませんね。しかし、アメリカに50回も100回も行ったらどう感じるようになるでしょうか?私のように海外視察に100回も行きますと、「さすがにこれは合わない」というものがありますが、それはそれで楽しむことができるようになっていきます。これが、接触回数が増えて美味しさの多様性が身についていくからです。お客様の教育とは、多様なものを受け入れ、いろいろなものを楽しめるようにすることです。狭い生活をしているのはつまらないですよね。そういう潤いにつながっていくことを提供するのです。大久保一彦の本【中古】 成功する小さな飲食店の始め方/大久保一彦,小山雅明【共著】 【中古】afb
2022.12.28
冬至の連続講座 事務的な接触~2012年7月号会報から・・1-2-4 事務的な接触 たまにしか来ない薄く繋がっているお客様に「最近来ていませんね」といった熱い手書きのハガキを出しますとお客様はズシーン!と重く受け止めます。逆に、宛名ソフトを使って印刷したラベル貼って送ると、送り手の強い作為を感じません。理由は、流れ作業でやったように見えるからです。そうすれば、もういい人は来ないですし、ただ単に忘れて、選択肢に上らないだけの顧客は首の皮一枚でつながっていたことを感じ、積極的に店と接触してきます。 事務的な接触は接触を通して、思い出してもらうために行います。そのときに、楽しかった思い出をしっかり思い出すといいですね。大久保一彦の本文豪ナツメは料理人が嫌い 1[本/雑誌] (ヒューコミックス) / 久部緑郎/原作 松本渚/漫画 大久保一彦/取材協力
2022.12.28
冬至の連続講座 自然な接触~2012年7月号会報から・・1-2-3 自然な接触 自然な接触というのはお客様自身に忘年会や行事などの潜在的なニーズがある時期に接触をすることです。例えば12月の声をききますと、多くの人は何らかの形で忘年会や宴会をやろうと思っています。もしかしたら、忘年会をやらねばならないとすら思っているかもしれません。そういう時期に店からハガキが来ても、お客様は自然に感じます。この場合、ハガキに魅力的なオファー(魅力的な宴会プランやクリスマスメニューなど)があると、「あぁクリスマスここでいいかな」と自然に思えるわけです。 逆に言うと、店が一般的に暇な時期に無理やり「半額フェア」のハガキがきたらどうしょう?お金を使うことが自然な時期でない場合、お客様は接触に対して、なんらかの不自然さを感じ、警戒します。つまり、お客様に潜在的なニーズがない時期に接触をすると違和感を覚えます。売ろうとする作為を強く感じます。これが不自然な接触です。 思い出しハガキを出すときは、さらっと受け流せるようなものにしておかなくてはなりません。例えば、「何周年」というような必然性を感じる要素が必要です。そのため、自然な接触をするためになるべく秋だったら秋らしい限定のメニューを考えたり、その時期の2週間しか出さないきのこのメニューを考えたり、なんらかの形で自然さを演出しなくてはなりません。自然な接触の大切さは接客でも同じです。お皿を一度下げたり、灰皿を交換したり、接触を自然にしてから「お代わりをいかがですか?」すれば、追加オーダーを思わずしてしまいます。大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の儲けを生み出す「集客」の秘密 /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.12.28
冬至の連続講座 これからの外食産業の方策「集客」から「増客」へ お客様を失う(失客)わけの四つのタイプの正体と対策~2012年7月号会報から・・お客様を失う(失客)わけの四つのタイプの正体と対策 お客様を増やすためには、お客様を減らさないことがまず大切です。お客様を失うわけをみていきましょう。 お客様を失う理由にはいくつかあります。(1)不満足成長期においては絶句するような失望、成熟期においては予想(過去の経験による基準)以下のサービスによる不満足です。不満足を防止するためには、見込み客が必要と考えている価値基準にあった最低ラインのオペレーションを構築しなければなりません。(2)習慣化する前に忘れる「初回来店時にはとても気に入った」はずですが、店への訪店が習慣化する前(選択肢に入る前)に忘れてしまう場合です。初回来店からお客様との信頼関係を築くためには、“善の心”が重要です。(3)飽き「満足なんだけれど飽きてしまった」です。多くのお客様は、最初に目に見える、わかりやすいもので店に魅力を感じ来店を続けます。 しかし、わかりやすいものですから、すぐ飽きます。わかりやすいものは、わかりやすくて伝わりやすいのでお客様を引き付けますが、飽きるのも早いのです。一般的にわかりやすいもので集客をかけて初回来店客をリピーターにしたとしても、飽きられてしまいます。そのため、新規客が望めない今の時代、単純に目に見えるものだけを売る商売をしている店が厳しくなっています。見えるもの代表が品揃えです。市場の成長期においては、どこかでやっていることをパクることが早道でした。 しかし、これからの時代、単なる品揃え発想では、店は長続きしません。品揃えのような目に見えるものでお客様をずっと引きつけることはできません。すぐに、飽きられてしまいます。これからの時代は、共感し心に訴えかけるものがないと厳しくなります。見えないものを売ることが飽きられないために重要なのです。キーワードはPE(Public Engagement)です。つまり、共感をもとに結ばれた関係を作る。これをもとに一体化したコミュニティを作る。こういう終わりのない未来に一緒に向かわないと飽きるという部分は否めないでしょう。だから、ウォルト・ディズニーは「ディズニーランドは完成しない」と言ったのです。共感しあうために重要になのが、「品揃えを売るな、心の糧を売れ」です。想いや “理念”やミッション、ビジョンという“共感”できるもの“をもとにビジネスを組み立てる必要があります。(4)選択肢から外れる(忘れる) 飽き→来店のインターバル→忘れる→選択肢から外れる(マインドシェアが無くなる)最後の要素が、自然消滅です。これが一番の難関かもしれません。せっかく気に入って、店に通うような人間関係を築いたにも関わらず、飽きてこなくなると、忘れてしまいます。忘れるということで築いた関係が自然消滅になります。お客様が店に来なくなるのは店が悪いわけではありません。店の開店があまりにも多い時代、次々に店の情報が飛び込んでくるため、お店としての情報鮮度を保つことが難しくなっているのです。昔は流行っていたのだけれど、今は流行らない言うことが顕著になってきているのです。そんなお店がどんどん一気に衰退してしまうのは、この(4)の忘れるということが引き金なのです。お客様が忘れないために、大切なことはお客様と何らかの接触をすることです。特に、最近、私が重要だと明確に言うようになったのは“自然な接触”と“事務的な接触”です。友達関係には友達関係にふさわしい接触。薄い関係だったら薄い関係なりの接触というのが私の持論で、これがこのふたつの接触の意味するものです。薄い関係となった顧客と自然な接触ができるのがハガキです。ハガキには年賀状のような思いだし効果のみを狙った自然な接触と「お金頂戴」ハガキ(俗に言うDM)による接触があります。 お金頂戴餌ハガキによる接触とは、セールス色を出すハガキです。餌をぶら下げて、「(このケチ野郎、)激安にしたから来い!」という強引な接触をするもので、ハガキ代の元をとろうという姿勢がそうさせます。これは突然、何十年ぶりにかかってきた同級生の電話のようなもので、怪しい香り(売りが強い)を感じるのです。 逆に、綺麗な可愛らしいハガキを作って、宛名も手描きでなく、ラベルにして、ふさわしい時期にタイミングを見計らいさりげなくコンタクトをします。そうすると、「そうだ最近レストラン大久保に行ってないな」思い出します。お客様が来なくなったのが単純に忘れたであればこれで十分です。また、「いつもハガキを送ってくれるな」と印象が付き、年末宴会シーズンのコンタクトで、「あぁ、またレストラン大久保から連絡が来ているな。じゃあ(忘年会シーズンだし〇〇と忘年会やるか、予約してみるか」というよい流れを作る可能性があります。 強い接触しすぎると飽きてしまいます。そして、接触しなさしすぎると忘れてしまいます。このお客様との接触の設計は、非常に重要です。お客様を増やすのも失うのも、接触の設計にかかっています。皆さん、お客様との接触をしっかり設計してください。大久保一彦の本【中古】 いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか/大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.12.28
冬至の連続講座 これからの外食産業の方策「集客」から「増客」へ~2012年7月号会報から・・1-2 これからの外食産業の方策「集客」から「増客」へ1-2-1 生産年齢人口の激減で見込み客が激減・新規客が望めない時代の対応 ついに、生産年齢人口の激減で将来の見込み客が激減し、新規客が増えない時代がやってきました。多くの労働者は大学や高校を卒業し、就職をすることで収入を手にし、そのお金を生活費や遊興費など諸々に使うわけです。もちろん外食も諸々の中に入っています。したがって、生産年齢人口が激減すると経済に大きなダメージを与えます。だから、国もあせって、人口減少の対症策=輸出という発想になるのです。 また、このような経済下、企業も新規雇用を抑制していきますので、仕事の数自体が減り、学校を卒業しても就職できない人が増えてきています。これもまずいです。就職をできないと、アルバイトが増え、トータルの可処分所得は低くなります。また、定職につかない人も増えるでしょう。これ自体もまた大きな痛手です。厳しい環境を生き抜くために、みんながやっている人件費の抑制。これが、経済にさらなるダメージを与え続けます。 負のスパイラルにある環境下では、今来ていただいているお客様、あるいは、店を営業していて来ていただいたお客様は虎の子です。目の前にいるお客様とどう生涯つきあうことができるか?それが、これからの時代の重要なテーマとなります。 当然、今までのような、何としてもお客様を入れようということで、極論ですが、ハッタリかましても入れた者勝ちだというありがちな考え方の持ち主は退場することになるでしょう。右肩上がりの時代の “新規客至上主義”は時代遅れの死語になりつつあるのです。では、どのようにすれば、目の前のお客様と生涯、付き合い続ける関係となれるのでしょうか?おそらく、便利屋ではないですよね。 答えは、バランスのとれた人間関係です。私が近江商人の三方よしをここで持ち出し、深化させ「四方よし」にした理由がここにあります。 そして、この絶妙な関係を保つために必要な要素が、共感できるものがあるかないかだと思うのです。理念経営やミッション、ビジョンや想いは共感を産み出すために益々重要となるでしょう。共感が生み出されれば、お客・お店、あるいは、売り手・買い手、という従前の対立関係を打破することができます。そして、長く付き合うパートナーとして、損得勘定よりもバランスを重視するでしょう。そして、生涯、つき合うパートナーとして成長しあえるのです。これが、私の書物にも書きました「善の循環経営」の精神です。そのために、初回来店時から生涯つきあうことを前提に、現場を信頼構築ができるような方向性に組み替えていかねばなりません。だからこそ、単に「新規客が重要だ」、「新規客をいっぱい入れよう」、「見込客にわかってもらおう」などと集客ばかりを考えるのではなく、長期的な関係の中でどういうふうにお付き合いをしていったらお互いの関係がより良くなるか、お互いにとっていいかということを考えなくてはならないのです。次に、「お客様を増やすにはどうしたらよいか」という要素を掘り下げてみましょう。大久保一彦の本誰も言わなかった!飲食店成功の秘密 [ 大久保一彦 ]
2022.12.27
冬至の連続講座 2005年以降の成熟期に入った外食産業の課題 情報の大衆化~2012年7月号会報から・・1-1 2005年以降の成熟期に入った外食産業の課題外食環境の三重苦1-1-3 情報の大衆化 さらなるパラダイム転換を必要とされる要素が、“情報の大衆化”で、これは外食産業に相当深刻な事象で、この大きな変化がまさに生き残る飲食店かどうかのふるいにかけています。 情報の大衆化というのは、コンピューターの普及やネット環境が整い、誰もが簡単に情報を入手できることです。特にスマートフォンの普及で、みんながコンピューターを持ち運んでいるのと同じ状態になってしまったことは大きいです。インターネットへのアクセスが誰でも、どこでも簡単にできるようになってしまったので、昔と違い、お客様がお店選びを新規でする時に、簡単に情報を入手できしるのです。しかし、情報は氾濫していいますので、限られた時間で調べる以上、無難で安心感のある情報を選ぶようになります。 ちなみに、無難で安心感がある情報とは、売り手が一方的に流す情報や広告ではなく、利用者の声(食べログのようなSNS)や信頼のおける発信者の情報(オウンド)となります。おまけにコンピューターを持ち運んでいるおかげで、お客様の側から情報を流せるようになってしまいました。「食べログ」などは代表的な例でして、お客様がそのお店に行った感想を書き込んでしまいます。書き込んでしまうと、少なからず経営の影響を受けてしまうということが起こっています。コンピューターの普及は非常に大きな問題だということを半年間にわたって解説をしてきました。大久保一彦の本非常識に売れる最強メニューがだれでもつくれる成功方程式 大久保一彦/著
2022.12.27
冬至の連続講座 2005年以降の成熟期に入った外食産業の課題 再来店率の低下~2012年7月号会報から・・1-1 2005年以降の成熟期に入った外食産業の課題外食環境の三重苦1-1-2 再来店率の低下 “再来店率の低下”、特に初回来店のお客様の再来店率の低下も深刻です。初回来店のお客様が再来店しない理由が、ほとんどの場合、不満足が原因ではありません。したがって、やっかいな問題です。 基本的な原因は、需要と供給のバランスの崩れにあります。人口が伸び、経済成長が進んでいる時は需要の方が供給よりもはるかに多かったです。しかし、人口が減少局面に入り、明らかに供給の方がはるかに需要より多くなり、その店に執着する必要がないのです。というのは、こういう時代ですから店が次々とオープンし、お客様に飲食店から情報が次々と投げかけられます。情報に接する機会が増えると、よっぽどのことがない限り、あえて同じ店に行き続ける必要性が薄くなります。 また、食べ歩きがこれからレジャーとして位置づけられると更に再来店率が低下します。あえて同じ店に行き続ける理由が必要な時代なのです。 では、敢えて行く理由を考えてみましょう。まず“近く”にあり、利便性が物理的に高いということです。次に、他に代わりがないということです。そこに行かなくてはならないということです。少なくとも言えるのは、店がものすごく増えたことで、あえて遠くに行かなくても近場のお店で済む場合が多くなりました。(小商圏化) ちょっと冒険して遠くのお店に行ったものの、あまり変わらないということになってしまうと、結局近いお店に戻るということになります。昔ですと、20分から30分の距離ですが、遠くからお客様が来続けてくれるのが10分圏のお客様しかこないということが起こっています。そうなると、今までの考え方や経営方法を変えなくてなりません。今までは人口が増えていましたから、新規客至上主義をとってきました。しかし、新規客が再来店するには何をしなければいけないのか、これからお話していきます生涯お客様としてお付き合いして行くために何をしなくてはならないのかということを考えなくてはならないのです。大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
2022.12.27
冬至の連続講座 2005年以降の成熟期に入った外食産業の課題 小商圏化~2012年7月号会報から・・1-1 2005年以降の成熟期に入った外食産業の課題外食環境の三重苦1-1-1 小商圏化 “小商圏化”とはお店の数が増え、各店舗が見込み客を吸引できる範囲(商圏)がどんどん小さくなることでした。この小さな商圏の中に様々なお店が増え、それぞれの店が工夫を凝らしており、ほとんどの日常的な用件なら消費者はあえて移動しなくても、5分~10分圏で済ますことができようになっております。さらに少子高齢化*人口減少の時代ですから、マーケットにお金を使うようになる学校卒業後のニューカマーが供給されない時代に入っており、当然、将来の見込み客自体も減る一方です。小商圏化という事象がお店に大きなダメージを与えていくのです。大久保一彦の本【中古】 この「気づき」で売上げがガンガン上がった! / 大久保 一彦 / 三笠書房 [文庫]【宅配便出荷】
2022.12.27
冬至の連続講座 2005年以降の成熟期に入った外食産業の課題~2012年7月号会報から・・1-1 2005年以降の成熟期に入った外食産業の課題 人口増加に支えられたこれまでの外食企業が曲がり角になり、M&Aと入れ替え戦が始まる外食環境の三重苦小商圏化 ~競争激化、オーバーストアで商圏が縮小利便性需要の見込み客が激減再来店率低下 ~特に初回来店 初回来店時の満足度強化 ⇒善の心(後述)、サービスでの差別化(後述)同じ水準の代替えはいっぱいあるつねにコンタクトを取らないと自然消滅する情報の大衆化 ~インターネットの家庭普及、スマホの普及で 情報が外出先でも選べるようになった お客様が情報発信を自由にできるようになった大久保一彦の本【中古】 行列ができる店はどこが違うのか 飲食店の心理学 ちくま新書/大久保一彦【著】 【中古】afbなお、大久保一彦の『四方よし会員』にご入会ご希望のかたはお気軽にどうぞ
2022.12.27
大雪の連続講座 その37 右肩上がりの時代に忘れたもの その2 ~過去の会報 2012年5月号より右肩上がりの時代に忘れたもの その2 最近、ロールプレイングをするときに掘り下げることがあります。トヨタの5W(“5なぜ”)のような質問ですが、みてみましょう。大久保: オリエンテーションが終わり、新人さんが現場に来ました。 新人さんが初めて入ってきたら、どんな業務をしますか?クライアント: 洗い物ですね。大久保: なぜ、洗い物をさせるんですか?クライアント: それは・・(中略)大久保: 次にどんなことをやってもらうんですか?クライアント: お運びです大久保: どんなお運びをしてもらうんですか?クライント: レバ刺しとキムチを大久保: どうしてレバ刺しとキムチなんですか?クライアント: 説明がないからです このやりとりを聞いて何か感じませんか?ヒントはサービス業であることです 答えはレバ刺しやキムチがドリンクを出したあとのファーストコンタクトである重要な瞬間であるのに、作業が簡単だから新人に任せていることです。これではサービス業にはなりません。もしかしたら、レバ刺しの事故もこのようなレバ刺しの提供を軽んじたために起こったのかもしれません。 そこで、さらに質問を続けます。大久保: キムチの提供のトレーニングってどうやって行うんですか?クライアント:テーブル番号を覚えてもらって、最初は私が手本を見せて、近くで数回見ながらやってもらいます。大久保: えっ?それだけですか?クライアント: (それが何か・・)大久保: 例えばこの4名テーブルで4名でお座りのお客様にキムチを運ぶときに、 どの位置に立ち止まるんですか? で、どんな表情で、どんなしぐさで、どんな言葉をかけるんですか?そうなんです。実は、多くの店で、新人はサービスについて何も教わっていないのです。ただ、“やってはいけない”ルールを主に教わっただけなのです。 飲食店において多くの人は、教えるというのは難しい業務を教えると勘違いをしています。しかし、接客は技術なのです。 テニスの指導者ならフォアハンドを何度も何度も繰り返すように、野球の指導者なら練習前にやるキャッチボールや素振りのように“基本のき”をやらせますよね。しかし、飲食店の現場では、サービスマンになろうとしている初心者のパート・アルバイトに、いきなりしっかりとした練習もせずに“OJT”と称し試合をさせていることがほとんどなのです。つまり、多くの現場では簡単な作業と称し、無理やりアドリブでいきなり試合をさせているのです。アドリブはある程度基礎があって成立するわけですが、挙句の果てには、“仕事ができないヤツ”とレッテルを貼り、つらい仕事をさせ続け退社に追い込みます。そして、自分が悪いにも関わらず、「人が定着しない」、「いい人が来ない」と嘆き、日々、仕事に追われる現場にしてしまうのです。 私が現場指導に入る前、「なぜ、キムチにそこまでこだわるのか?」と疑問を抱く経営者や店長がいるかもしれません。しかし、実際に現場に入り、業務を進めていくと私がなぜ、キムチにこだわるかを理解していただけます。焼肉店において、キムチの提供のような単純そうに見える業務こそ、入社して間もない新人スタッフに徹底的に教えるべきことと考えています。 つまり、「はい、キムチ、簡単」という考え方と、「キムチの提供って一番難しいんですよ。お客様に一番最初に提供するお料理だから、想いを込めて提供しなければいけないのですよ」という考え方では、新人スタッフに伝わる思いは全く違うものになります。これが徹底的の意味するものです。 実際、店のオーナーさんや店長が“想い”という言葉がよく使いますが、現場でお客様に対するサービスに落とし込まれているかというと、そうではないケースを多くみかけます。 最近、「私が現場に入ってお手伝いしよう」と思ったのは、ここまでしつこくこだわってロールプレイングができるという人財が現場のスタッフにはいないからです。効率化の時代にこのようなことは大切でないと思われるようになったのでしょう。 キムチの提供のような業務は野球で言えば、素振りやキャッチボールのような位置づけです。中途半端に上手な高校球児はキャッチボールを一生懸命しませんが、プロの一流選手になればなるほど素振りなど基礎練習をすごくします。良いサービスは心と技とチーム力が必要ですから、この「なぜ基礎練習をするのか」を理解して、基礎を極めることがこれからの時代はとても大切なのです。もはや、一流でなければ、利便性を軸としたチェーン店に飲み込まれる時代なのです。もし、皆さんがこのことに共感して、こういう方向でやろうということを決めたとするなら、とことんまでこだわって欲しいのです。これが今月の今はこれをやれ。想いを明確にして、とことんまで追求していただきたいのです。 いよいよ入れ替え戦が始まりましたが、皆さんのお店がさらに発展して、10年、20年先もしっかりとした足が踏み出せるように頑張っていきましょう!
2022.12.15
大雪の連続講座 その36 右肩上がりの時代に忘れたもの ~過去の会報 2012年5月号より右肩上がりの時代に忘れたもの 最近、私は、未来に向かって十年、二十年、五十年と続く店を作るために、店の向かうべき方向をファシリテートさせていただき、その具現化のために、ロールプレイングを通して店の様々な部分を再構築させていただいております。その時に、「私たちコンサルタントは右肩上がりの時代を経験したために大切なことを見落として来たな」とふと思うことがあります。 それは、サービス業の本質的な部分です。見落としてきたサービスの本質的な部分とは、サービス業は心を売るおもてなし業であることと、技を通してサービスを行う職人的な要素です。確かに、右肩上がりのチェーンストアのように、ターゲット層のニーズを逆算し、接触回数や接触時間を最低ラインにし、標準化を行い、不満をおこさないサービスにすることが良かった時代はありました。しかし、そのようなサービスを削ってニーズを生み出すやりかたは、心を売るおもてなし業という性質と、技を通してサービスを行う職人的な性質のプライオリティを下げ、高級店を除いて、多くのサービスマンをダメにしてしまったように思います。 サービス業というのはお客様に心地よいサービスをして喜んでいただくという付加価値を売るものです。マーケティング志向が強い時代でしたから、削るという方向に進みましたが、これからの時代の方向からするとむしろ逆で、足していかなければいけなかったわけです。この足す経営の背景にあるべきものが想いなのだと思うのです。私は、この点を痛感したのです。 参考までにサービスを削ることを是とした時代に急増した現象を列挙します。サービスを削る時代に急増した現象・お客様との接触回数、接触時間を減らすことで生産性の向上、 不満になる要素を無くしマニュアルによる訓練で多店舗化を実現した。・時間で働くパート・アルバイトが主体になったので、時給意識は高くなったが、 プロ意識が無くなった・パート・アルバイト主体になり、店を回すことが主体になり、サービスの質より、 効率重点に考える人が多くなった・人手不足なり、作業を教えることに終始する現場が増えた・飲食店はつらい職場だと考える人が増えた大久保一彦の本【中古】 いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか/大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.12.14
大雪の連続講座 その35 市場が成熟してお客様が感じる価値は形の見えないものに ~過去の会報 2012年5月号より市場が成熟してお客様が感じる価値は形の見えないものに 一見すると、供給可能なものは掘り起こされたと思われがちで、商売を悲観的に考える人が多いです。それが、冒頭の「これからの外食産業はどうですか?」と言う悲観的なニュアンスの質問です。しかし、実は外食産業は大いなる可能性があったのです。 その答えは、理屈を超えた中にあり、般若心経で「色即是空、空即是色」という言葉がありますが、この言葉がまさに答えです。これからの価値はものや商品のように形として見えるものではなく、心を楽しませてくれたり、共感したりといった形のないものに価値は宿るということです。 これからの時代求められるものは目に見えない“価値観”になったのです。今までは、ものや商品など目に見えるもの自体が価値で、「流行っているものをパクれ」と言う経営者やコンサルタントが全盛の時代でしたが、そのようなやりかたでは最大手でないと商機は見出せなくなりつつあります。そうなんです!これからは“目に見えない価値観”が提供できて、店は繁栄できる時代になったのです。消費者もそのような店であれば、喜んで高いお金を払う時代になったのです。したがって、このことに気づいた、ものの豊かな時代に生まれた人間にとっては始まった入れ替え戦が面白い時代なってきているのです。 いろいろな店をお手伝いしていて、同じものを売っていても、物を通して“心”を売っている店の業況は極めていいです。付加価値を生み出すものは何かというと、料理のようなものや商品ではなく、その物の背景にある想いであったり、心であったり、共感を与えるものになってきています。そこで、今月お伝えしたいのは、「どうしたらお客様の共感を得られるかを考えましょう」です。今までの連続セミナーでミッションやビジョン、想いなどのお話をさせていただきましたが、今月は4月ですので、もう一度この部分を見直して、それをどう伝えていくかを考えます。 売るものは同じでいいのです。これからは新しいものを考えよう、なんてことは考えなくてもいいです。何故かというと、もう誰かが売っている場合がほとんどだからです。そうではなくて、同じものを売っているのですが今までの店とは違うことがお客様に“伝わるかを考えましょう。その違いを生み出すのが、売っている背景です。わかりやすく表現するならば、“想い”を持って商売をしなければいけないという時代が来たのです。この新しい商売のやりかたに向けて一歩足を踏み出していただければと思います。大久保一彦の本【中古】 繁盛の天才 2時間の教え 127人の店長を成功させた /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.12.14
大雪の連続講座 その34 大逆転の時代到来、その活路は? ~過去の会報 2012年5月号より大逆転の時代到来、その活路は? 第二次大戦後しばらくは食べるのもままない時代でしたから食べ物・衣類を充足する時代、すなわち物の充足の時代でした。そして、1970年初頭、日本が少し豊かになるとそこから右肩上がりでバブルまで外食産業が発達していくわけなのですが、それはレジャーとしての外食が発達したわけです。バブルが崩壊しても外食の市場規模の拡大は続きます。ただし、そこからは「レジャーを身近に」から始まる外食の日常化のマーケットの発達でした。さらに、1990年代後半からは利便性のマーケットが拡大します。これらはすべて、戦後の二度のベビーブームによる生産年齢人口の激増にあり、学校を卒業して、収入を得る新卒者が商売の見込み客として供給され続けために、あらゆる産業にチャンスがありました。いわば、供給より需要が多かった売り手市場だったのです。これは歴史的にまれなビジネスチャンスだったのです。 しかし、2005年ぐらいから人口減少が始まり、需要と供給のバランスが完全に逆転、それまでの人口増加の時代の前提が崩れ去ってしまいました。 今まででしたら必ずどこかに需要があって、その需要を掘り起こすことで商売はうまくいくことがありました。したがって、たまたまやったことがあたってしまうということはままあったのです。しかし、2005年ぐらいから、外食産業に限らずどのマーケットも、需要よりも供給の方が多くなり、力のあるものは繁栄して、力のないものは全くなんともならない状況になりつつあります。厳しくなりますから、なんとかして需要・ニーズがあるものに目を向けようということで、マーケット・イン志向が強まっています。私も常々小商圏化への対応などと申してきましたけどもニーズに向けて皆がやっきになっています。 ところが、生産年齢人口の激減が顕著になった2010年になり、このニーズという可能性もだいたい掘り起こされてしまい、潜在的なニーズは少なくなりつつあります。現に、消費者にとって欲しいものはだいたい世の中にあり、見つけたとしても、形で見えるものは大手が真似してしまい、それで長期的にやっていくことは困難になりつつあります。大久保一彦の本【中古】 この「気づき」で売上げがガンガン上がった! 知的生きかた文庫/大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.12.14
大雪の連続講座 その33 接客台本 ~過去の会報 2012年4月号より接客台本 接客台本には立ち居振る舞い、セリフ、仕草、表情、声の大きさやトーンを詳細に書いてあります。惣菜店やラーメン店のクライアントが多い私は、実はこれまでロールプレイングをするときに接客台本を作ったことがありませんでした。とある客単価1万円以上ののお店の現場を預かることがあり、ロールプレイングをする機会が訪れました。そして、これまでのマニュアルを使ったロールプレイングの限界に気づきました。「これは台本がないとうまくいかないな」 そこで、アンドワークスの加藤さんに電話をして、「グローバルダイニングのロールプレイングには接客台本というのはないのですか」と聞きました。加藤さんはあっさり、「いえ、台本ありきです」というお答えが返ってきました。「やっぱり、演劇の世界の練習と同じなんだ」と私は思いました。それから接客台本について注目しまして、加藤さんと接客台本の本を作ろうという事で動いています。しかし、なかなか出版社の方がマニュアルと勘違いされて理解されません。これは課題として、ぜひ実現させたいと考えています。加藤さんと打合せしていて接客台本にどんなことを書くべきかを打ち合わせしています。重要なことは、表情・仕草・声のトーンだそうです。 例えば、マニュアルに「いらっしゃいませ」と書かれていたとして、それがすごく元気のいい「いらっしゃいませ」なのか、丁寧で落ち着いたトーンの「いらっしゃいませ」なのか、スタンスによって全く異なってしまいます。 間の悪いサービスは、間の悪い声のトーンで接客しますし、間の悪い表情でサービスをします。なぜ、そういうことができないかというと、そういう練習をしていないからです。このような場面は、いい時間帯でいい雰囲気のお店が、居酒屋のような「いらっしゃいませ~!」なんていうのはおかしいです。アイコンタクトで近づいて、落ち着いた声のトーンで「いらっしゃいませ」と言われたほうがスマートです。店はかっこよさやスマートを求めていたら「喜んで~」という声のトーンはなくなります。 そういう場面ではこういうことをするというのを台本があって、理解して、演技して、練習を繰り返し、量稽古をして、自然に出るようにしなければなりません。みなさんの店は自然にそれができるでしょうか?皆さんのお店の人が高校生だからといってたどたどしい接客をしていないでしょうか?それは練習不足です。お客様が入っていない時間に練習をしていないからです。それでは、できません。その子達も真面目なのかもしれませんが練習はしませんよね。必要だから勉強するという域の世界になってしまいます。勉強できる人は、必要以上に勉強をしているので、勉強をしなくて済むという人が多いのです。勉強に対してプロフェッショナルということなんです。 サービスも同じです。練習なんていくらでもできます。よく暇だからと、レーバーカットで早く帰している店を見ますが、必要以上に人を揃えないというのは経費削減にはよい方法かもしれませんが、その時間を有効に使いお客様を増やす攻めのお金として使う方法があります。 お金をいただくのですから、なぜサービス力で「(この店は)違うな」と思わせようとしないのかなと、わたしは思ってしまいます。一人で店が回るなら3人で個室があるお店で練習したら接客が大きく変わると思います。大きく変わると、お客様は「店を間違っちゃったんじゃないか?」と思うぐらい驚きます。だいたい売上の伸びない店は普通だったり、最悪なサービスだったりします。 接客台本はお客様と接触するところに必要なわけですから、予約から始まり、入口でのグリーティング、お出迎え、注文、中間サービス、お会計、お見送り、お客様と接触する際の台本としてしっかり設計をして、台本精度を上げて、量稽古をして、すばらしい店に変えていただきたいのです。そのためには、一日中営業するのもいいですが、練習してはどうでしょうか?素振りもしないでホームランは打てません。やはり練習です。それが実は一番の早道です。大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の繁盛ノート 売れるお店の採用教育・シフト編成・会話術 / 大久保 一彦, 加藤 雅彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】
2022.12.14
大雪の連続講座 その32 接客台本とロールプレイングについて ~過去の会報 2012年4月号より接客台本とロールプレイングについて ロールプレイングをうまく運用できないという人は非常に多いのです。何故うまく運用できないかというと、漠然とやっているからです。漠然とやっているサービスは漠然としかサービスができません。 ロールプレイングの運用をしっかりやるために何をやらなければいけないかというと、実は台本作りが大切です。演劇をやられている方ならわかりますが、台本なしで、「アドリブでやれと」と言われたら大変です。アドリブで役を演じるのはものすごく能力の要することだからです。台本があるからこそ、役作りができるのです。ですから、基本、役者は台本ありき、台本作家ありきです。 お店のサービスも同様です。練習をするのにシナリオがなければなりきれません。だから接客台本というシナリオを作ります。 例えば、初回来店のお客様が来店された時のシーン。初回来店の客様はどのような方でどのようなシーンでというように細かく作成します。そしてどのような形でサービスをするという流れをまず作ります。それにもとづいてロールプレイングをします。 よくマニュアルと接客台本が同じと考える人がいます。少し前のコラムでお話したマナーの先生と私の仕事、サービスのディレクションについてお話をしていましたら、その先生に「それはマニュアルですね」がおっしゃいました。しかし、残念ですがマニュアルではありません。練習するための台本なので使うのは練習の時しか使いません。いろんなバリエーションがあって、やっていると引き出しが増えますから、結果的に量稽古を繰り返せば、練習の時に意識していたことが、意識しないで自然できるようになります。 逆に、マニュアルは意識してやるためのものです。この二つは似ているようで非なるものなのです。だから、その先生の指導先は「やってくれない」のです。大久保一彦の本【中古】 非常識に稼ぐ飲食店がやっている「最高のチーム」を作るルール /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.12.14
大雪の連続講座 その31 ② スキルアップになるために必要なトレーニングをワークスケジュールに組み込む ~過去の会報 2012年4月号より② スキルアップになるために必要なトレーニングをワークスケジュールに組み込む 作業は、ある程度できる方がいいです。何故かというと、時間を作り出せる能力があると、より良いサービスや仕事に時間を割り当てられるからです。 逆に、作業力がないと、それにばかり時間が掛かってしまいますから、今やっていることにプラスアルファの時間をさくことができません。私は幸いなときに高校生ぐらいの時にバイトしたお金でタイプライターを買いずっとタイプをしておりましたので、打ち込みが早いため、レポートもすぐ書けますし、前もっていろんな仕事を早くすることができます。今はみんながコンピューターを持つような時代ですが、昔は清書をしたり打ち込んだりしなければいけなかったので、この時間短縮で全く違うものになります。 お店の場合は誰がどれくらいできるのかということを把握することがトレーニングをする上で大切になってきますので、「スタッフのスキルの星取表」を活用していただきたいのです。スタッフのスキル星取り表というのは、スタッフの棚卸の一環なのです。スタッフの棚卸というのは、なんのために行うかというと、目指すべき理想像に近づくためのスタッフの育成や戦力の補強を行うためです。どのような戦力を長期的に育成したり補強したりするのかを考えます。野球のチームでしたら、優勝するために先発ピッチャー・中継ぎ・リリーフのような感じです。 手順としては、自分のチームにいるメンバーを見て、ピッチャー、キャッチャーなど明確な役割を与えていきます。そして、長期的な育成、あるいは補強を考えます。 お店も同様です。先発ピッチャーや四番バッターなど、全体を揃えていかなくてはいけません。そうなるとひとりひとりが持っている技術や能力を把握することが必要です。 次に、どのような時間にどのようなローテーションで人が配置できるかが二番目です。何曜日の何時から何時まで、どのような人がキープできるかが二番目の棚卸になります。足りなければ、人を採用します。採用した人がより上手くなって、既存の人を刺激して、全体の力が高くなるようにチームづくりをしていきましょう。これがスタッフの棚卸とスタッフの計画的な教育という部分になります。そして毎月はじめにこの教育訓練の進捗表をチェックしまして、ワークスケジュールなどに教育訓練の進捗を書き込み、進めて行くことが大切です。大久保一彦の本【中古】 非常識に稼ぐ飲食店がやっている「最高のチーム」を作るルール /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.12.13
大雪の連続講座 その30 ① 朝礼などの日々のミーティングを活用したロールプレイングを実施する その4 ~過去の会報 2012年4月号より① 朝礼などの日々のミーティングを活用したロールプレイングを実施する その4面談 経営者のかたとお話しをしていると「面談をやっているのですが、効果がないんですよ」とおっしゃるかたが多いです。効果がないのは面談をやることが目的ではなく、面談をやることで、面談相手の今やっていることを認めて、もう一歩上に意識を引き上げることが目的だということがわかっていない場合が多いです。 単に面談してスキルがどうだという話をしてもなんの意味もないのです。面談というのは一対一でやらなくても、例えば仕事のトレーニングの後に立ち話でもいいのです。 教育の目的というのは、今以上にマインドを引き上げることです。「これからどのように成長するのか」を見せてあげる。見せてあげて、そこに行くにはどうしたらいいかというものを追求してあげる。そうすれば上がっていったものが会社の経営理念と一致しているはずです。一致していれば自分の成長というものがお店の成長と何らかの形でリンクしているはずです。そういう意味で個別面談が大切なのです。大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の繁盛ノート 売れるお店の採用教育・シフト編成・会話術 / 大久保 一彦, 加藤 雅彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】
2022.12.13
大雪の連続講座 その29 サービスの差別化~① 朝礼などの日々のミーティングを活用したロールプレイングを実施する その3 ~過去の会報 2012年4月号より① 朝礼などの日々のミーティングを活用したロールプレイングを実施する その3量稽古、ロールプレイングの繰り返しの効果 ロールプレイングを毎日繰りかえすることの何がいいかというと、全くサービスの心が生活上に習慣としてない人が、朝礼でくり返し繰り返しロールプレイングをやるとより良いサービスの型を覚えて行くのです。型とはプロとしてのサービスマインドが自然に(無意識に)できることです。量稽古とはよく言ったもので、量稽古を繰り返すと、練習では意識していたあるべきことを、普段の営業で無意識のうちにできるようになります。これがすごいです。 例えば、コンピューターでもブラインドタッチを練習したことがなく、人さし指で入力する習慣をつけてしまうと人さし指で押さないとキーを押せなくなります。しかし、不思議なもので、タッチソフトを使って練習させて、繰り返すとブラインドタッチは簡単にできるようになります。多くのおじさんが人指を使ってでしか入力をすることができないのは最初にコンピューターの操作を教える人がブラインドタッチをする重要性を教えていないからです。ブラインドタッチは完全に意識の無意識化=習慣化なのです。量稽古を繰り返し、習慣化させてしまえば簡単にできることがたくさんあります。仕事もそうです。仕事も単なるやっつけで作業を覚えさせるのと、意識を優先して仕事を覚えさせるのでは大きく違います。 ただ教えて終わり、「なんで、お前は出来ないんだ?」というような教え方をしてしまうと、その新人スタッフは作業に意識が集中してしまいます。みんなで一度にやってグループから「自分のサービスのやりかた違うな・・」「言い方おかしいかな・・」という気づきを教えてあげる。そして最終的に習慣を変え、そしてプロのサービスマンになることができます。さらに客役とサービスマン役に分かれますから、お客さん目線でもスタッフ目線同士でも見ることができます。そうするとこういう場面でこういうことをしなくてはいけないという気づきも与えられます。だからこそ、ロールプレイングはやらなくてはいけないのです。しかし、ずっとお店を開けていますとそれが残念ながらできません。店舗力の差が広がっていってしまうのが今の外食産業なのです。作業だけするなら値段を安くするのが一番です。値段を高く売るには作業現場からの脱却が必要です。作業と作業現場から脱却した場合の違いを例でみましょう。幸楽苑などのラーメンチェーン店などは300円から400円で十分食べられます。それなりのラーメン屋さんになると700円から1000円になると倍の値段をいただきます。倍の値段をいただくということは倍のリソース(背景)がなければいけません。原価がかかっている、かかっていないとか美味しい美味しくないではなく、倍の納得させるもの、また来たいなと思わせるものがないといけません。お客さんやスタッフが自然に集まってくるというのは共通しておりまして、ロールプレイングによる“気づき”というものから生まれるのではないかと思われます。大久保一彦の本誰も言わなかった!飲食店成功の秘密 [ 大久保一彦 ]
2022.12.13
大雪の連続講座 その28 サービスの差別化~① 朝礼などの日々のミーティングを活用したロールプレイングを実施する その2 ~過去の会報 2012年4月号より① 朝礼などの日々のミーティングを活用したロールプレイングを実施する その4無意識の習慣化の壁 しかし、意識せず、自然にプロとしてサービスができるようになることはそう簡単ではありません。 少々脱線して、わかりやすい事例でお話ししましょう。私は三重県紀北町でとある委員をしておりまして、この間、とある旅館に宿泊しました。ちなみに、その宿は民宿なのですけれども宿の方というのは漁師さんなのです。会合の終わった後にこの宿で交流会がありました。その席にマナーや接客・接遇の指導をされる専門家の方がいらっしゃいまして、「ここは指導に入ったのですが、いくらやっても変えてくれないんですよね」と、具体的な話をしながら愚痴をこぼしていました。 私はこの研修というのは数回でやることに疑問を感じていますが、その理由は生まれた環境、育った環境、常日頃の生活習慣です。この先生は、ご自分が「あたりまえと思うことをきちっとやる」という生活をしてきて、ご自身に自然に身に付けたということを忘れています。漁師さんの方がそこまでいろんなことに気を配って出来てしまったら、その店は名店になってしまいますし、コンサルタントもいらなくなってしまいます。「やってくれない」ではなく、無意識にできるようになるのが難しいのです。しかし、その人たちに時間をかけて習慣化させることが唯一の解決方法なのです。 いい方向に習慣化させるためには「自分たちがやっていることは、お客さんから見るとおかしい」とか「格好よく見えないんだ」ということに気づいてもらわなくてなりません。このズレに対する気づきがスタートで、この気づきなければ、すべての研修は無駄になるのです。 気づいていただいて習慣化させるには、みっちりくっついて年がら年中、躾ていかなくてはいけません。躾・教育・訓練と申しまして、躾は動作など訓練して最終的にもっと上を目指したいなという意識付けをさせて教育をしていくわけです。この3点セットがないと基本的にはその人が変わるということはありません。したがって、数回の研修で変わるというのは、その人がかなりできる人であって、そのようなあまり意味のない研修というのは私は疑問に思いますし、定期的にやらないと意味がないと思う所以であります。 余談ですが、そのような所作を身に付けたいなと思うのであれば、お茶を習って貰うのが一番です。お茶だと障子の開け方、立ち振る舞い、座るときからの立ち上がる時でも表扇形と裏扇形では立ち方が異なります。そのような所作を身に付けますと美しい美しくないというものが認識されるようになり、いろんなものに派生します。何故、その人がマナー、接遇が変えられないのかというと、その人がやる気がないわけではなく、生活習慣がないのです。本日のおすすめ映画 日日是好日 豪華版 DVD 全2枚真筆 額装 『 日日是好日 』 仏画師 高垣康平 無量童子 本画 肉筆 墨書 通販 販売 プレゼント お祝い
2022.12.12
大雪の連続講座 その27 ① 朝礼などの日々のミーティングを活用したロールプレイングを実施する その1 ~過去の会報 2012年4月号より① 朝礼などの日々のミーティングを活用したロールプレイングを実施する その1ふたつの意識づけの手法 さて、次に進みましょう。日々の運営の水準アップをするには次の二つが重要です。① 朝礼などの日々のミーティングを活用したロールプレイングを実施する。② スキルアップのために必要なトレーニングをワークスケジュールに組み込むでは具体的に見ていきましょう。① 朝礼などの日々のミーティングを活用したロールプレイングを実施する 朝礼などの日々のミーティングを活用してロールプレイングを行います。「なぜロールプレイングを行うんですか?」とよく聞かれますが、理由はたくさんあります。 まず一つ目は、『練習』を繰り返すことです。 サービスマンはサービスをすることでお客様からお金を頂いています。プロ野球選手は野球を、プロゴルファーはゴルフをすることでお金を頂いています。野球選手もプロゴルファーもお金をいただくために練習していますよね。 しかし、サービスマンはどうでしょうか?あなたの店の社員はどうでしょうか?特に、時給900円のパート・アルバイトはどうでしょうか?パート・アルバイトは家で練習をしているでしょうか? あなたの店のパート・アルバイトは家に帰って、お客様との会話を家族に手伝ってもらって練習し、お酒の注ぎ方の姿勢やグラスの持ちかたなど、練習していますか?答えはNOでしょう! もし、そんなパート・アルバイトがあなたの店のスタッフであったら、あなたのお店のレベルはかなり高く、大繁盛しているはずです。 よく即戦力と言いますが、パート・アルバイトには即戦力はいないと考えるべきでしょう。しかし、お客様にとってはパート・アルバイトであったとしても、お金を払う以上、プロでないといけません。プロ、すなわち、能力がある実際の人数は少数ですから、“仕事がない”と言われる時代ですが、ごく少数の能力がある人間にとっては、いくらでも職が選べる環境下なのです。野球のフリーエージェントではありませんが、それなりのサービスのプロはそれなりのギャラを払わなければ雇えません。“豊かさ”が成熟した経済環境下では、即戦力のパート・アルバイトを採用することは奇跡です。したがって、時給で募集したパート・アルバイトの多くの心理は、店にいて作業をすることでお金をもらうという意識で、もはやプロのサービスマンではないのですが、これからの時代、生き残るにはこの状態を変えないといけません。そのために、店側で準備した教育・訓練をある程度の実施しなければ、単なる作業員が運営している状況は変わりません。人手不足も、運営水準の低さも変わりません。 そして、人が足りない環境は人がやめない環境づくりとチームマネージメントで解消できます。まず、あなた自身の意識を変えるということが大切です。あなたがその意識を変えたら、スタッフにも徐々に伝わるでしょう。そうすれば、お客様にサービスしている時に格好良く、プロらしくサービスをしようと思うでしょう。ロールプレイングをやる意味は、練習することでその基本動作を身につけ、習慣化し、意識せず自然にやっている、すなわちサービスのプロに近づくことです。「意識して練習を繰り返した結果、無意識にプロとしてのサービスが自然にできていた」これがプロ養成に大切なのです。大久保一彦の本【中古】 非常識に稼ぐ飲食店がやっている「最高のチーム」を作るルール / 大久保一彦 / ぱる出版 [単行本(ソフトカバー)]【ネコポス発送】
2022.12.12
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