森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2014.09.03
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
集談会などでも老人介護の話はよく出てきます。
介護のために仕事を辞めた。
毎日つきっきりで、食事の準備、入浴、体を拭いてあげたり、下の世話、散歩に連れて行ったり、病院などの送り迎えなどをしている。
それも自分の両親ではなく、夫の両親を何年も世話している人がいます。
介護する人にとっては、大変な重労働であり、心身のストレスは想像を絶するものがあります。

でも放っても置けないし、誰もが通る道なので仕方ないのです。
これは子どもの当然果たすべき義務です。
私たち日本人はそのことを疑うことなく自然に受け入れているようです。

アメリカなどでは、アルツファイマーや下の世話をしなくてはならなくなると家族の手から離して、専門家に任せたり、専門施設に入れるのが一般的なようです。

娘や妻に負担をかけるというのはどうも気が引けます。というより絶対に嫌だと思うのです。

老人介護について森田理論ではどのように言っているのでしょうか。
寝たぎりになったり、痴呆になった親の介護をするというのは、憂鬱な気持ちになるのは当然です。
いやだいやだと思いながらも仕方なしに、食事の準備をしたり、世話をすることを勧めています。
するとしだいに行動に弾みがつき、憂鬱な感情は流れて、親の気持ちが分かるようになります。
つまり思いやりの心が出て来て、やさしくなれるものだといっているのです。

私は、これは感情の法則を説明しているのだと思います。
確かに感情は諸行無常、変化流動しています。
一つの不快な感情、憂鬱な感情にこだわっていることはできません。
どうにもならない感情はそのままにして、目の前の介護の仕事に目を向けていくことは何より大切なことです。
すると今までの不快な感情、憂鬱な感情は流れて行ってしまうのです。

ある意味森田の根幹をなす考え方です。
これは感情の法則で何度も学習したことです。
これが実践できるようになることはとても意味のあることです。

でもここで私があえて言いたいのは、自分の嫌だという意思、自分の素直な気持ちを大切にしましょうということです。
いやだという気持ちを無視したり、抑圧したり、否定していると、いずれはその反動が来るのではないかと思うのです。


この場合まず自分の気持ち、思い、意思を第一番にたてることだと思います。これが出発点です。
これは森田理論でいう「生の欲望」をはっきりとさせるということです。
自分中心の生き方を出発点にするということです。
これがない状態で、不快な感情を受け入れるというのは本末転倒です。
我慢して、耐えるというのと何ら変わりがありません。
まず自分の意思がはっきりしている。
でも現実に突き付けられた問題によって、自分の意思が捻じ曲げられてしまう可能性がある。
そこに不安、恐怖、不快な感情が沸き起こってくるのです。

こういう時は、あらゆる選択肢を列挙して、比較検討する必要があります。
その上で最善の策を決定し実行する必要があるのです。この手順を踏む必要があります。
すると、親の意思を確かめる。自分が介護する。兄弟姉妹で協力して介護にあたる。
デイケアなどのサービスを利用する。老人ホームに入る。特別養護老人ホームに入る。
グループホームに入所する。ヘルパーさんを頼む。
などなどいろんな選択肢が出てくると思います。

不安や不快な感情はすべて受け入れるのではないのです。
不安に学び、前もって手を打たなければならないものがごく一部分あるということです。
そのためには、普段から自分の気持ちや意思をいかに育てて行くのかということが大切なのです。
普段から自分の気持ちや欲求について意識を持たないと、しだいに分からなくなってしまうのです。
森田理論の土台というのは、生の欲望の発揮ということです。
これを抜きすると森田理論は成り立たないということです。
ここは微妙なところですが、きちんと整理しておく必要があるように思います。





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Last updated  2014.09.04 05:12:17
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
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