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「見果てぬ夢」7
二階に駆け上がり、自分の部屋に閉じこもると、ベットで散々泣いた。
泣きはらした目で、下に降りてきて、ジョンに噛みついた。
「なんでロボットじゃいけないの。好きになっちゃ駄目なの?」
「ロボットを好きになるだけならいいが、やがて結婚し子どもも欲しくなるだろう。
その時はどうするんだ。ロボットと結婚しても子どもは出来ない。」
「作ればいいんでしょう。ギルバートのようにロボットの子どもを作るわ。」
「それではお前の子どもにはならないよ。ただのロボットだ。」
「じゃあ、どうすれば私の子どもになるというの。」
「お前の遺伝子でも入ってない限り、子どもとしては認められないな。」
「ロボットに遺伝子を組み込めば文句ないのね。やってやるわよ。」
「そんなことが出来るくらいなら、苦労はしない。
ロボットにはプログラムしか組み込めないのだ。
それくらいお前にだって分かっているはずだろ。」
「分かっているわよ。だけどそうしなくっちゃ子どもとして
認めないというんだったら、作ってやるわ。
純粋なロボットじゃ無理かもしれないけど、
もっと人間に近い人造人間だったら、可能かもしれないじゃない。
私、これを研究するわ。決めた。研究テーマが決まって、嬉しい。」
「勝手にしなさい。研究するのはいいが、どうするつもりかね。」
「もちろん今はまだそんなこと出来ないわ。
もっと勉強して、基礎知識を身につけてからよ。
科学研究所に勤められたら、研究できるでしょ。」
「科学研究所はそんなに甘いところではない。
上から与えられたテーマをこなしていくのが精一杯だ。
個人的な研究なんかしている暇はない。」
「人造人間が出来たら、画期的よ。
このままでは人間はロボットに取って代わられる。
せめて遺伝子だけでも残さなければ、人間は全て消滅しちゃうわ。」
「それは仕方のないことかもしれない。人間はどんどん退化している。
頭も体も、そして心までも。ロボットの方が優秀、頑健、かつ純粋なのだ。
進化の歴史を見ても、おごった恐竜が滅んだように、
人間が退化し、滅びるのも時間の問題だと思うよ。」
「そんなこと言わないでよ。パパはそれでもいいかもしれないけど、
私はこれからなのよ。人間が滅びるところなんて見たくない。
だからこそ、ロボットと人間の遺伝子を組み合わせた、人造人間を作るのよ。
パパも協力して。お願い。」
「私にはどうすることも出来ない。だがお前がどうしても科学者になり、
研究がしたいというのなら仕方がない。まず科学者になるために
勉強を教えるくらいならパパにも出来る。それでいいか、ベス。」
「ありがとう、パパ。そう言ってくれると思ってた。パパならきっと。」
ベスがジョンに急に抱きついたので、二人でソファに倒れこんでしまった。
「苦しいよ。ベス。」
ジョンは成長した我が子の重みをかみしめていた。。