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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』 最終話 準備中
July 31, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』30 準備中
July 30, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』29 準備中
July 29, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』 28「・・・さあ、あとは彼女達次第かしら?」沙夜は動けないように縛りあげていた。早苗は一応、賭けには勝ったものの、若干怖いと思ってた。その事に、沙夜自身は無理をさせたと感じていたのだ。彼女が望んで、やったことだが、沙夜が心配していた事態が起きてしまった。止めに入る前に現れた人物に、驚き、完全に出遅れたのだが、だけど、どんな形であれ、彼女に逢いに来てくれたことが嬉しかった。だけど、この先のことは誰にも分からない。だから、沙夜は祈るのだ。“彼女が幸せになれますように” 早苗は、まさか再会出来ると思っていなかったので、嬉しくて何を話せば良いのか困った。 神社に着くと、口を開いたのは、彼の方だった。「・・・こんな風に再会をする形になって、悪かった。君がずっと頑張ってることを知っていた。」「ううん、どんな形であれ、逢えたのは嬉しかった。どんなふうに育ったのか、逢えるのも楽しみだったから・・・・・・」「・・・・・・もうすぐ16歳だな。俺達が出逢って、10年以上経つんだな・・・。」「そうね。・・・・・・ごめんなさい。知らなかったですまされない私のせいで、貴方を不幸にし、両親を奪ってしまって・・・・・・」彼女は今にも泣きだしそうにそう言う「確かに、恨んださ・・・・・・君の親は悪魔の様な人だと思った。たかだか、名家の御嬢様と仲良くすることで、こんな目に遭わされるなんて思ったさ・・・・・・」やっぱり恨まれていたことを知る。心苦しくなる。「だけど、死ぬことなんてなかった。君も一緒になって嘲笑っているのかと思ってた・・・・・・」「ある人が君のことを色々教えてくれたのさ。君はただの囚われのお姫様。望む結婚を強いられていると聞いた。だけど、君の事、何にも知らない。あの笑顔すら偽りかと思った。」「違う・・・・・・どんなに叱られても、貴方に逢えるのが楽しみで、それだけを楽しみに頑張ったの・・・・・・。貴方がくれたこの指輪。今もお守りなの。結城君に祭に行けば、逢えると思ったから毎年屋敷を抜け出して、捜してた・・・・・・だけど、貴方や家族を追い詰めているなんて微塵も知らなかった。ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・・」泣く資格すらないのに、涙が止まらない。彼に嫌われたらと思うと苦しくなる。彼は黙って私を胸に抱き寄せて抱き締めた。“この温もりを知っている。この人が誰か知っている。でも、口にしたらもう戻れない。今だけでいい小さな子供のさーちゃんと結城君で居させて・・・・・・・” snowの日記明後日から祭りだ。行きたいな
July 28, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~ 』27 とある場所で、蛍が一番よく見える場所で彼女を言った。「泉先生。今日は付き合ってくれてありがとうございます。私、これで思い残すことはありません。最後に素敵な思いでありがとうございます。」「ターくんと呼んでくれないのかな?それに、これで終わらせるつもりなんてないよ。僕の元においで。もう君を離さないと決めたんだから!」彼女は可笑しくて笑い出した。「何がおかしいんだ?」「先生、騙してごめんなさい。だけど、先生。貴方は私の気持ちを弄ぶようなことをしましたよね?その匂い袋、返してください?」彼女は浴衣を着て、オシャレまでして手の込んだデートをしていたのは、真実を明らかにしたかったから。「何を言っているんだ。これは君との想い出の品だろ・・・・・・」「いいえ、貴方との思い出の品ではありません。これは初恋の結城君との約束の品です。結城君が本当の名前なんです。先生は、本当に知っているのなら、なぜそこを正さなかったのですか?それに、私は彼と蛍を見に行く約束はしていません?先生は、本当は私の捜している人じゃありませんよね?」まるで、推理サスペンスで探偵役の者が犯人に問い詰めていくような感じだった。「君の記憶違いじゃないのかな?」どこまでも知らばっくれる気満々な様なので「ちなみに、結城君は私のことをさーちゃんと呼んでいました。どうして、こんな嘘を吐くんですか?」彼はさすがに諦めた様だった。「さすがにこれ以上はダメだね。そうだよ。みんな嘘。嘘でもいいほんの少しでも君の心が僕に向いてくれて、僕を選んで欲しいと思ったのさ。」「先生・・・・・・」「初めて、逢った時から君がずっと好きだった。だけど、君と身分も違う。婚約者すらいる。そこいらの若造になんて渡したくなかった。君が好きなんだよ。」これはまずいと思った紗夜だが、彼女より前に一人の青年が駆け出していた。早苗に近付き、泉先生はその腕の中に閉じ込め、強引に口付けを交わそうとしていたのだ。「先生。いや、放して!私、結城君じゃないと嫌ー!」抵抗して、離れようとする。次の瞬間。泉は殴られ、その反動で彼女もよろけそうになると後ろから支えられる。低い声で、安心感を与えてくれる声だった。「・・・悪い。遅くなった。早苗。いや、サーちゃん。」暗くて、姿をちゃんと確認出来ない。「結城君・・・?結城君なの?」「貴方はやっぱり私の邪魔をするんですね。あの時、ちゃんと答えなかったくせに!」忌々しげに言う。「彼女の為を思えば、身を引くことは当然だろ。だけど、一目でいいからもう一度、君に逢いたかった。約束をもっと早くに果たしたかった。だけど、色々あった。俺の取り巻く環境も変わってしまった。」そっと振り返れば、昔の面影が少し残る彼「私も・・・・・・ずっと逢いたかった。もう、逢えないのかと思ってた。貴方に逢いたくて、ずっと祭りの日は待っていたのに・・・・・・」「ごめん・・・」「・・・連れて行ってよ。私との貴方の思い出の場所・・・・・・」彼女と手を繋ぎ、二人は去っていく。残された泉先生も追おうとしたが「二人の邪魔はさせない。」紗夜に気絶させられ、追う事は叶わなかった。 snowの日記土、日は祭りだ。やっと再会したよ。
July 27, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』26 紗夜にだけ、事情を話して泉先生と蛍を見に行く約束をしたのだと話すと、途中までついてきてくれると言うので、着いてきてもらったのだ。彼の姿が見えると笑顔で手を振り、彼の元にやっていく。本当は、紗夜以外にも話すべきだったのかもしれないが、言えなかった。「お待たせしました。では、行きましょうか?」紗夜はそっと二人の後を尾けるのだった。「ここで、二人で一緒に蛍みたいねって言ったの憶えてます?」「ああ、懐かしいね。早苗ちゃんは、好きだったよね?」二人は仲良く談笑をする。少し離れた所から紗夜は「大丈夫かしら・・・・・・?」心配そうにずっと見つめていた。 それは、今から数日前、葵と話をした後に渡先生を学校の近くで見掛けて、雪さんと仲睦まじい姿を見てしまって、心がチクリと痛んだ。そして、よろけそうになった彼女を抱き締める形となったのを目撃してしまった。自分に入る隙がないのを解っているつもりだったが、やっぱり目の当たりにすると激しく落ち込む。 それを紗夜に相談すると「お嬢様は渡様が好きなのですか?それとも初恋の君が好きなのですか?」「好きとかなじゃなくて・・・・・・」己の気持ちに嘘を吐きそうになると「質問を変えます。渡様が初恋の君に似ているから、気になるのですか?」何も言えなくなってしまう。「でもね。泉先生があの匂い袋を何故か持っていたの?どうしてだと思う?」「その初恋の君が、実は本当はすぐ傍に居て、何らかの時に、落とされたのを拾い上げ、持っていると仮定出来ませんか?確かめる事なら、簡単に出来ますよ。」紗夜の筋書きに乗って、彼をデートに誘ったのだ。それはケリをつける為に、真相に近付こうとするのだった。 snowの日記お土産とかそろそろ準備しなくっちゃな。
July 26, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』25 泉先生は、月野家の屋敷で擦れ違った。「お久し振りです。渡先生。何かお探しですか?」答えずにいると彼は彼の耳元で囁いた。「本当。お嬢様は素直で可愛い。私が貰っても良いですよね?」そう言うとその手にはあの匂い袋を持っていた。渡先生は先までの表情と打って変わって、怖い顔をしていた。「…それをどこで手に入れた!」「そんな怖い顔をしないで下さいよ!これは私のものです!お嬢様から頂いたもの。ですので、邪魔をなさらないで下さいね!」泉先生は涼しい顔して、去って行ったが、腸が煮えくり返るほど、苛立ちを感じていた。彼は盲点だと思っていた。すぐそこまで、魔の手が迫っていた。敵は長男だけじゃなくて、もっと身近に彼女の信頼をほぼ勝ち取っている男がいた。その男こそ、実は羊の仮面を被った狼だった。何も出来ないこと、彼の手に渡ってしまったことを激しく後悔するのだった。一度は自ら土俵を降りようとしたが、事態は急展開を迎え、自ら土俵にもう一度決意したのっだ。 茶道の稽古の時間先生はいつもと変わりない様子だが、時々昔のことを思い出せる言動をしていた。だが、彼女はハッキリ気付いた。きっと彼は自分が捜しいている人ではいないと結論付けたのだ。だから、彼に少しだけ罠を仕掛けてみようとした。「先生は私の捜している人に特徴とかよく似ているんですけど、先生は私の捜しているターくんですか?」ストレートに訊ねた。先生に小さな嘘を吐いたが、先生は乗ってきた。「ずっと、気付いてくれるのを待ってた。綺麗になったね。離れてから、君のことを忘れたことがなかった。」とツラツラと嘘の言葉を並べる。「・・・・・・ターくん。ずっとずっと逢いたかった。」逢いたかったけど、彼が嘘を吐いているのは一目瞭然だ。それがどうしてかなんて知らない。だけど、自分の手で終止符を打たなくてはと思った彼女は「皆にバレたら不味いですね。でも、ターくんとほんの少しでいいから想い出のあの地で一緒に過ごしてみたいんですダメですか?」彼はすっかり彼女が信じていると思っていたのだ。 それから、悪巧みを企てる泉先生を辞めさせないと思った渡先生は彼の身辺を探るのだった。 snowの日記川崎まで健康診断に行ってきたよ。遠かったよ。でも、今年も浴衣の帯とかすごく種類があって、気になってしまった。
July 25, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~ 』24 安心するとつい本音を漏らしてしまう。「・・・・・・大人になんてなりたくたい・・・」彼は黙って頭を撫でてくれた。3兄弟で、一番、年が近くて暴君だが、感情豊かで、情にあつい。「おい、二人とも何してる。もうすぐ、授業が始まる・・・・・・」何時もの様に許づけと弟に声を掛ける守だが、この二人の信頼しきた関係に劣情を感じる。彼女は基本的に人に甘える事を避け、ほとんど心を閉ざすことが多い。だが、極たまに誰かに甘える姿を幼い時から何度も目にしていた。家庭教師の藤堂海、使用人の紗夜、踊りの瀬野渡、そして弟の葵に対しては割と素直だった。勉強が出来て、スポーツだって出来、文武両道で、皆からの信頼も厚いけど、いつだって大事な時に居るのは俺じゃない。大抵弟の葵がそこにいる。“どうして、そこに居るのが俺じゃないんだろう?”みっともないくらい、弟に嫉妬している。「どうしたの、皆揃って?会長。次、移動ですよ!君達もそろそろ、教室に戻った方が良いんじゃないか?」「黒岩先輩・・・・・・。そうですね。葵先輩、話を聞いて頂きありがとうございます。取りあえず、もう少し見極めてみます。」「ああ、そうしろよ。」彼女は立ち上がり、一礼をし、立ち去った。 そんな姿を見ていた者がいた。校舎の2階の窓からそっと見ていたのだ、葵とツーショットで話す姿を「ああ、良い所。持っていこうとする。葵のくせに小賢しいな。じゃじゃ馬姫にはソロソロ本腰を入れて、大人しくして貰わなくっちゃな!葵にはお仕置きが必要なようだな。」香月秀は怒りを隠しながら、狂気染みた感情で策略を捻り、妖しく笑う。「ああ、先生!こんな所に居たんですね~!先生。私がクッキー焼いたの、食べて食べて!」「あっ、ずるい。私のを先生食べてよ!」あっという間に彼は女子生徒に囲まれていた。そして、葵は背筋が凍るような悪寒を感じた。 その日の夜。葵の悲鳴が香月家の屋敷中に響いたとか響かなかったとか snowの日記来週は地元の夏祭り。取りあえず行こうかな?
July 24, 2016
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『もう一度、君に ~幼き約束 ~』23 それから、泉先生や渡先生との稽古の時に、あの約束を交わした少年のことを考え、比べる。しかし、答えは合わない。色々と辻褄が合わない。 一人ぼんやりと昼休みを過ごしていると、葵がやって来た。「なんか悩んでねぇ~か?」その発言に少し驚いたが話すかどうか迷ったが、話してみることにした。「・・・前に言っていた逢いたい人が、見つかったかもしれないんだけど、確信が持てなくて・・・・・・」「逢いたい奴?ああ、神社の。で、何が確信にならねぇんだよ。」「他の人には、内緒にしてくださいね。私が昔持っていた匂い袋をその子にあげて、再会を約束したんです。つい最近、その類似品を目にして、話をしたら、私の話とほぼ一致するんですが、だけど、その子の雰囲気とかが、何て言うか違う。何が違うんだけど、確信がつけない。子供の頃の記憶だからと言われたらそれまでだけど・・・」「話はほぼ一致だけど、お前の直感的には違うっていう事だよな?まあ、当たってんじゃね?お前、昔からそのてのもの、当ててるし。」葵からは意外な言葉を出された「まだ、続きがあって、その子供の頃に会った人物に近い人がいるの。でも、ハッキリ聞けないんです。」 「そいつは、お前のイメージに近いって言うわけか?」頷く。「まあ、秀兄にバレたら、ヤバイだろうな。曖昧な記憶であてにならないと言いたいところだが、お前の場合、好き嫌いがハッキリしてるからな。そいつに問い質さなくて良いのか?」体育座りに、頭を抱え弱々しく答える。「否定されるのが怖い。それに彼女がいるのに、今更、逢いたいとか迷惑かなって?」髪をグシャグシャにし言う。「ウザいな。結果が出る前からそれじゃ、駄目だろ?そもそも、そんなに簡単に諦められるのかよ!」「・・・諦められない・・・でも、私はもうすぐ結婚しなくちゃいけないし・・・・・・」彼は苛立っている。「馬鹿馬鹿しい。俺や守兄さんなら、なんとでもなるだろう。だけど、魔王にみすみす、嫁ぐのは黙っておけねぇ…結果がどうあれ、未練がましく、嫁になんかなるなよ!お前の人生だろう。魔王から抗うんじゃねぇのか?」先程から魔王発言が気になる「魔王ってさ、もしかして香月先生のことを言ってます?バレたら、屍じゃないですか?」二人は背筋が凍りそうになる。もしかしたら、すぐ傍にいるのではと周りを見回す。取り敢えず、居ないようでまだ大丈夫そうだ。 snowの日記定期購読中の漫画を買ってきた。面白いけど、最近ちょっと物足りない。
July 23, 2016
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『 もう一度、君と ~幼き約束 ~』 22 中間テストが終わり、稽古の時間は相変わらずだった。華道の稽古をしている事だった。もしかしたら、初恋の彼かもと思わされる事件が起きた。家で稽古をつけて貰っている時だった。先生の手直しを受けていると、先生が経った拍子に、古ぼけた年季の入ったお守りの様な物が落ちた。それを拾い上げ「先生、落としましたよ。」渡そうとした瞬間、見覚えがあるような気がして問う。「先生、これどうしたんですか?」「ああ、これは子供の頃、お祭りで出逢った少女に貰った物なんです。」彼女はこの人もしかしてと錯覚した。これは彼の罠だと知らずに「それって、◯☓神社の周辺で執り行われるお祭りで、十年以上前の話ですよね?」「ええ、そうです。もし、その娘と再会出来たのなら、放したいことが色々あるんです。」「そうなんですか。先生にもそんな人が・・・・・・」似たような偶然があるんだと思う。その後も呼び名の話をしたりと共通点がいくつか見つかったが確信は持てなかった。その日はそのまま、稽古を終えたのだった。彼は稽古が終わり、帰る時に呟いたのだ。「やはり、なかなか手ごわいな。だけど、もう少し押せばイケるかもしれない。」彼女は気になってしょうがなかった。もしかしたら、泉先生が彼なのかなと思い始める反面。どこか、自分の想い出の彼の姿と食い違うような気がして、どちらかと言えば、渡先生の方が近い気がしていた。何より、先生と逢う度にこの間の楽しかった思い出が思い出され、また、先生の家に遊びに行きたいと思っていた。彼女がいると解っていても、先生のことをもっと知りたいと思う気持ちが強くなっていた。 snowの日記マンガ、発売日。楽しみ。今月からお気に入りのシリーズの連載が再会だ。
July 22, 2016
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『 もう一度、きみに ~ 幼き頃の約束 ~ 』21 「さて、これをどう使おうかな~?」爽やかな笑顔と裏腹に悪いことを考える泉先生がいた。父と母に朝食の時にあったが、口を聞く事はなく。かわりに御婆様に今日の日程の話をしていた。普通に学校に行って、何事もなかったように授業を過ごす。中間テスト前だけに逢って、先生も力が入っていく。放課後は、図書室は勉強する生徒で溢れ返っていったので、諦めて家に帰ることにした。本当はまだ帰りたくないのだが、帰る事にした。 一人でいる時間が久し振り過ぎて不思議な感じもしたが、帰ればきっと忙しいと踏んでいたのだが、勉強の為に、時間をすべて充てて貰え、捗った。つい数日前までの殺人的な忙しさが嘘の様に緩やかな生活を送る。その裏で、渡先生や紗夜が助言しているとは知らず。この期間中、ちょくちょく会長や副会長に葵と彼女は勉強を教えて貰っているが、基礎が出来るので、たいして彼女は困る事はなかったのだが、葵は屍の様になっていった。だが、妙にスッキリしていた。父や母がしたことを考えると心苦しくて、初恋の彼のことは気になるのだが、前ほどの焦りはない。それも渡の御蔭だった。「来るときが来れば、運命ならば神様がきっと君に味方をしてくれるだろう。だから、今は大人しく待ちなさい。」そう諭されたのだ。会長や葵が言ったのなら、きっと聞かないだろうが何故だろうか、彼の言葉は説得力があり、素直に聞いた方が良いと思うのだった。 こうして、難なく無事に中間テストを終え。文句なしの学年1位を取ったのだ。周りにはすごいとか、尊敬の眼差しだった。対して、葵は「葵、どういう事だ。俺達がわざわざ教えたのに、赤点スレスレとは・・・・・・」今、会長は結果を見て激しく激怒していた。会長も副会長もそろって、1位と2位でとても優秀なのだった。「別に良いだろう。赤点じゃないんだし。」開き直る。「葵先輩。もう少し頑張らないと、次のテストに引っ掛かったら部活に行けず、補講があるって聞いたんですけど、大丈夫ですか?」「俺がそんなへまするわけないだろう!」心配する早苗をよそに、彼は大丈夫と豪語するが「何を言っている。お前は単細胞なのだから、もっと勉強が必要だ。ほら、行くぞ!」引き攣られるようにして、連れて行かれてしまった。「・・・・・・大丈夫かしら?」「まぁ、ほどほどに頑張らないとね。」副会長と早苗は苦笑するのだった。 snowの日記今月もあと十日。早いな。夏も前半が終わる。
July 21, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』20 先生はてっきり帰るようにと言うのかと思ったのだが、今日は休みで私の行きたい場所に連れて行ってくれると言う。 先生の車で、動物園に連れて来て頂いた。「夢だったんです~!動物園とか水族館とか来るの。」そう、子供の頃からあまりあの町の中以外を出ることがほとんどなく。動物園と来たことがなかった。その夢が叶い幼い子供の様に燥いでしまった。キリンに、象、虎、ライオン、ウサギに、オウム、モルモット、サル、リスなど様々な種類の動物がいて、ウサギ、モルモットの触れ合いコーナーで触れ合う事も出来る。ヤギやヒツジに餌付け体験も出来るので、思い切り楽しんでいた。近年こんなに笑ったり、燥いだのはいつ以来だろうと思うくらい。燥いで楽しんでいたと思う。きっとこんなを顔を見せたのは人生で数えるほど少ないだろう。一緒に写真も撮った。写真すら、学校の集合写真とか、親戚の集まった時に取るくらいで、いつも月野の姫君であらなければならなかった。だから、久々に解放され、楽しくてしょうがなかった。 ーその頃、香月家は「なんで、先生の家に泊まってんだよ。あいつは!」葵は不機嫌だった。心配していて無事に保護されたことを知り、一安心したのも束の間。踊りの先生の家に保護され、泊まったという。男女で何か過ちがあるのではないかといらぬ心配をするので「…大丈夫ですよ。渡さんは紳士ですし、それに彼の家にはハウスキーパーさんがいて、其の方が教え子さんで面倒を見てくださるそうですよ。」紗夜はそう言った。「葵、カリカリし過ぎ。まぁ、沙夜さんの言うとおりだな。彼なら安心だ。」紗夜は思った。“本当のことは二人には言えない。でも、大丈夫でしょう。”二人にはまだ隠し事をしている。だけど、知らなくていい事だった。 楽しい時間はあっという間に過ぎ、夕方、自宅に帰るように促されたのだ。渋々、帰ることにした。彼も意外に思ったが一安心だ。だが、根本的な問題は変わっていない。母と父の確執が広がったのは確かだった。 だが、家に帰り出迎えてくれたのは、祖母と使用人の人達だった。「では、私はこれで・・・・・・」「先生。本当に孫がお世話になりました。」「いえ、大したことをしておりませんよ。では、私はこれで失礼いたします。早苗様。ちゃんと、復讐するんですよ。」稽古の自主練と勉強を促されたのだった。父と母の姿を見ることなく、食事をとり、勉強をするのだった。 snowの日記明日は休み。寝よう。話がまとまらない。
July 20, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~ 』19 お風呂から上がると先生の姿はなく、雪さんだけ。ちょっぴり不安だったけど、お腹も空いていて、美味しそうな料理が目の前に広がっていたので、薦めれるがままに、食べた。非常に家庭的な料理。それが温かくて、美味しいと感じる。日常的に口にする物すら、制限されいているので、スナック菓子とか、コンビニのスイーツとか食べてみたいと思っていた。前に一度だけ作ってもらったが母にバレテ、それから食べられなかったので、感激だった。「どうかしら、お口にあうかしら?」「おいひぃです~。」口に頬張りながら、食べる。そんな姿をクスリと笑われて若干恥ずかしい。「すみません。お恥ずかしい姿を・・・・・・」「いえ、可愛らしいわと思って。渡さんからは大人しい子だと窺っていたので。」「その本当に美味しくて、私、こう言う庶民的な味とか好きで・・・・・・。あの、なんて言うか家庭的な味付けとか好きなんですけど、なかなか口にすることもなくて・・・・・・」「そうなの。じゃあ、いっぱい食べてね。」そう言うと彼女は台所に戻って行く。綺麗で優しい人。渡先生の彼女だと言う事を思うと納得。こんな大人になりたいと理想的な女性だった。 暫くすると先生が帰って来た。「二人きりにして悪かった。これ、お土産。」彼はコンビニで何かを買ってきたようだ。「渡さん、ありがとうございます!早苗ちゃん、アイス買ってきてもらったんだけど、どれ食べたい?」何種類か入ったバラェティセットのちょっと高めの噂のアイスを買ってきてくれた。「先生、こんなの良いんですか?お高めだと聞いているんですけど!」目を輝かせる私を二人は微笑ましく見ていて。「別に大した金額じゃない。まぁ、若干お高めのアイスだが、好きな味のものを選びなさい。それから、雪にはこれ。」「わぁ、ありがとうございます!」雪さんは嬉しそうだった。何だか妬けてくる。雪さんにはアイスと別にデザートが手渡された。それから私達はアイスを食べて、テレビを見たりと団欒していて。そして、泊まると言う事で先生が布団を用意してくれ、一人で部屋を使わせてもらうことになった。雪さんは、先生と同じ部屋なのかなと密かな疑問を抱いたのだった。 こうして、私が寝静まった後「先生。どうなさるんですか?」「取りあえず、ずっとと言う訳にはいかないから、帰らせなくてはいけない。ただ、帰りたがらないんだろうけどな。そしたら、暫く預かるしかないだろうし・・・・・・君にも迷惑を掛けるだろう。」「私は構いませんよ。なかなかこんな所で寝泊まりできませんし、景色も良いですし、ラッキーとくらいにしか思ってませんよ。ただ、先生。本当のことを言わなくていいんですか?」気の使える女性雪に感謝しても感謝しきれない渡。「どうせ、いなくなるのに告げたとしても、彼女には酷過ぎる。だけど、幸せになって欲しい。」「先生。幸せになって欲しいなら、ご自分がすることも視野に入れてください!貴方は何でも遠慮もするけど、皆、貴方に頼って欲しい、甘えて欲しいんです。旦那様や奥様だって!」「そうだな。少しは視野に入れよう。そんな日は来るとは思えないけど・・・・・・」自分が幸せになってはいけないと彼が思っているようで、彼女は心配だった。これが好きな相手で、あったなら強く抱き締める所だが、二人はそう言う間柄ではない。彼女にベットを貸し、彼はソファで眠る。彼女は遠慮をしたが、無理を聞いて貰っていると説き伏せ、ベットを譲ったのだ。 その夜は久々に、夢を見なかった。見たのかもしれないけど、憶えていない。すごく久々に良く眠れたように思えた。朝、目覚めればもう雪さんがご飯を用意していた。包丁の軽快な音が聞こえる。慌てて目を覚まし、台所に向かえば「お早う。早苗ちゃん。起こしちゃったかしら?」「いえ、そんなことはありません。私も手伝います!」「あら、良いのよ。それより、着替えて着たら?」そう言われてみると自分はまだ、寝間着だったことに気付くとちょっぴり恥ずかしかった。慌てて、着替えに行った。暫くすると渡がきた。「悪いな。朝早くから・・・・・・」「構いませんよ。一日の始まりはしっかりご飯を食べて頂かなくては体が動きませんよ!」ご飯をよそりながら彼女はそう言う。「君には勝てないな。」先にご飯を彼は食べ始め、それから暫くして、早苗はやってくる。「お早うございます。先生。雪さん。」それから促されるまま、ご飯を頂いた。彼女にとって、憧れがすべて詰まった日常だった。 snowの日記昨日Gファンが発売日で取りに行っていないから、買いに行かなくっちゃ。終着地点が見えない。
July 19, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』18 先生に連れられ、やって来たのは私の家からだいぶ離れ、神社から車を取り戻って、私を乗せ、40分くらい走った人が多く住む若干都心部に近い場所にやって来た。夜の光はキラキラと光って綺麗で感動していると先生の家はマンションの上の方の階であった。先生が住んでいる階を含む上の方の数階はセキュリティーが万全で軽々入れるところじゃないと後程知る事となる。家の中に通されると「お帰りなさい。」長い髪を束ね、エプロン姿の綺麗な女性が中にいた。何故だか、この時、胸のあたりがチクリと刺さった。先程、先生に発見された時、初恋の彼の様な気がして、期待してしまった。「急に済まない。先程、電話していた客人だ。私の教え子の早苗様だ。」「初めまして、月野早苗です。あの先生の彼女さんですか?」彼女はにっこり笑って「初めまして。私は神部雪といいます。渡さんから、貴女の話は伺っているは疲れたでしょ。さぁ、中にお入りになって。」彼女は否定しなかった。先生の彼女だと思った。「お風呂、湧いているかな?外は冷え込んで、体を冷やしている様なんだが」「沸いていますよ。早苗さん。入って温まって来て。」促されるままに、お風呂に入ろうとすると私の家から預かった服などの入った袋を渡されたのだった。私は風呂を借りた。 「悪かったね。雪君。君がいてくれて助かったよ。」「先生の頼みでしたら、断れませんよ。それに彼女が例のお嬢さんですか?本当に可愛らしい人ですね。でも、良いんですか?誤解なさっているようでしたけど」クスッと雪は笑い、彼にそう問うと「その方が好都合だ。悪いんだが、暫く恋人のフリを頼んでも構わないだろうか?」「そのつもりでしたよ。でも、先生。それで良いんですか?」「良いんだ。下手に期待を持たせる訳にはいかない。それにもうすぐ逢えなくなる。」不器用な彼を心配する。それは真の彼女の様に。当然、彼女は気が無い。だけど、不器用で抱え込む彼が心配で仕方がなかったので、頼まれてくれたのだった。 snowの日記私も休み。世間の学生は夏休みが始まっているらしい。羨ましいな。
July 18, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』17 早苗は泣き疲れ、眠ってしまっていた。目を覚ませば、すっかり真っ暗に、携帯で時刻を確認しようと思って、取り出すが電池が切れていた。あんなことを言って、飛び出してきたものの、他の人達に迷惑が掛かっていると思うと不味いと思ったが、母の行ったことを思い出せば、あんな家に戻りたくないと思ってしまった。だけど、肌寒く感じる。初夏とはいえ、夜冷え込むことを忘れていて、寒いと思い、くしゃみをする。ライトが光り、声がした。「誰かいるのか?」誰かに探されている。逃げなくっちゃっと今より奥に隠れる。息を殺し、去るのを待つ。「秀さん。いないようですよ。別の所を探すべきではないですか?そうかな?彼女ならきっとここにいると思ったんだけどな。外れか?じゃあ、僕はこっちを捜すよ。」「では、私はもう少しこの辺を捜します。」と二手に分かれた様で、暫く様子を見て、逃げ出す算段をしていた。しかし、寒くてクシャミをすれば、再びライトを照らされた。「・・・やっぱりここだったのか。このような所に居ては風邪を引きますよ!さぁ、帰りましょう。」そこにいたのは、渡先生だった。「渡先生・・・・・・帰りたくありません。」こんなことを言えば、きっと会長同様に怒られるのは解っていた。「どうしてですか?母君と喧嘩なさったからですか?」母と言う言葉にピクリとし、身震いする。「・・・・・・先生。母や父が私の大事な人に酷いことをしてたんです。だから、あんな家に戻りたくないんです。」先生はきっと帰れと言うだろうと思った。「酷い事ですか?ですが、こんな所に居ては寒いでしょう。」先生は、珍しく着物ではなく、洋服だった。彼は羽織っていたカーディガンを羽織らせてくれた。「どんなことか見当は付きませんが、どうしても帰りたくないのなら、まずは家に連絡を入れましょう。」結果として帰れと言う事なのだろうと思い、反論しようとすると「あ、もしもし。大旦那様ですか。お嬢様が見つかりました。しかし、どうしても帰りたくないとおっしゃっていまして。ええ、で私の家で預かろうと思うのですが宜しいでしょうか。・・・・・・はい。では、後程、伺います。」と電話で、会話していたかと思うと「そう言う事です。帰りたくないのならば、取り敢えず私の家に泊まりなさい。今日はもう疲れたでしょうから、そのまま、休むそれで良いですね。」とトントン拍子に事は運び。先生の家に泊まることになった。着替えは先生が後で家の者から受け取ってくれることとなった。 snowの日記明日休み。明後日トウキュウの日。売上どうだろう?
July 17, 2016
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そして、旦那様もやって来て、沙夜が娘だと知るのだった。沙夜のことを強かな女で怖いと思う葵だった。「兄貴は、沙夜の初恋のこと知ってるのか?」「おそらく、何らかの形で初恋の方にした仕打ちを守様は私と同じ様に知ってしまったのでしょ…・・・。秀様は、知らないでしょうが、直感的なもので牽制を周りにしていたと言うか…」葵は、一番上の兄貴にだけは昔から畏怖し、懐かなかった。彼は異様に彼女に執着し、身を案じていた。いつか監禁とかして、無理矢理にでも縛り付けそうな気がして怖かったのだ。「秀兄より先に見つけねぇと…」葵は慌てて捜索に加わったのだった。「・・・沙夜。お前が私の子・・・」「DNA鑑定を受けました。確かです。それに、貴方様は約束していたはずなのに、反故した。母は今、穏やかに暮らしています。だから、母達の為にも、そっとしておいてください。貴方様がやったことを私は許しません!」沙夜は絶望を与え、復讐を終えた。あとは早苗次第だった。 snowの日記今月も後半だ。今、休みを交渉してます。
July 16, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』15「・・・俺達以上に愛してるんだな…」葵は敗北を認めた。「ええ、彼は守様や葵様ならお嬢様を預けられると言って身を引こうとしていました。」「早苗が可哀想だ・・・・・・あいつは、再会をずっと待ち望み、一途に思い続けたのに…」葵は泣き崩れる「葵様は少々荒ぽっいけど、何より彼女を気持ちを考えてくれ、守様は理性的に働き、清く正しい心で、不器用な優しさで彼女を守ろうとするから、彼は身を引こうとしたそうです。」「・・・私は貴方方と同様に、彼も婚約者候補として、入れたかったから、早苗と約束を交わしたのです。もしも運命ならきっと探し出せると信じて・・・・・・」お婆様達の掌に踊らされているとは知らず「香苗、そなたがしたことを不問には出来ん。よって「大旦那様。お待ち下さい!母はそれを望みません。ただ、旦那様が幸せで、何よりも早苗様を娘の様に思い、幸せを願っているのです。ですから、これ以上は罰を罰を与えないでください!」沙夜はそう言って、頼み込んだ。「どうして、そこまでするんだ?お前だって、恨んでるじゃないのか?」葵は投げかける「恨んでます。だけど、お嬢様の本当に笑顔が消え、心を大分閉ざした今、私は笑って欲しいんです。皆にした仕打ちは許せない。だけど、お嬢様が笑うなら、最高の復讐になるでしょ。」彼女は笑った。奥様は悲鳴をあげ、壊れたように笑うのだった。 snowの日記紗夜、策士になっている。怖い。お盆、終了だな。また、来月だけど、福島に墓参りです。
July 15, 2016
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『もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』14「その方の両親は、一家で無理心中を計り、両親は死亡、彼だけが生き残った。」「それって、ヤバくないか?」普通に考え、復讐劇が始まりそうだと思った。「まあ、そうなんですが、早苗様の一途な想いが彼を支えたんです。」予想外の答えに驚いた葵。「弟が早苗様に手紙を書いてみてはと進言したようで・・・・・・」「ラブレターって事だよな?」「その方が何度か祭りの頃に足を運んで、彼女を捜していたようです。見つけても、一度として声を掛けなかった。もちろん、月野家を恨んで復讐もしたかったようですが、私が早苗様の手紙を渡して、彼は彼女を愛していたから、復讐をやめた。」「なんてことを・・・・・・」「黙りなさい!わしは一家心中後、彼を私の友人の家に預け、養子になった。彼は今から数年前、やって来て、早苗の指導者としてやって来た。今日まで頑張ってくれた。」「そんな馬鹿な・・・・・・あの子を近付けるわけには・・・・」奥様はそう呟く「つまり、早苗はずっと前に再会しているってことだよな?」「そうです。ですが、月野家を背負うものとして、妨げになってはいけないとお考えで、必要以上の接触をしませんでした。それは貴方方、香月家の為でありました。もし、彼女が真実を知れば…」 snowの日記紗夜の復讐劇。明日で終わりだ。この間の休み、爺ちゃんの墓参りは言ったけど、お父さんの所はまだ行ってない。
July 14, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』13「そんな馬鹿な・・・・・・」「私は、旦那様の娘で、早苗様の腹違いの姉。助け出された私達親子は、しばらく身を隠しました。母は顔に大きな火傷を負いました。父は目が見えなりました。私は赤ん坊の頃から母に代わり乳母に育てられ、早苗様と同じように育てられ、やがて彼女を守るため、使用人として身を置いてきた。両親は恨み言、一つ言いません。しかし、私は奥様、貴女を許しません!」意外な事実で葵は混乱していた。「早苗の腹違いの姉?極秘で育った後継者候補?で良いのか?」「まあ、そういうことです。母は父と暮らす中、もう一人子供を授かりました。そのせいで車椅子の生活をしています。その子は、早苗様の家庭教師であり、医者を志、アメリカに留学中です。」葵は考えた。「えっ、あいつ。お前の弟?幾つだよ・・・」「飛び級で大学も卒業してますのでご安心を!」思い当たるのは、稽古をしていた先生以外に、家庭教師をしていた青年がいて、早苗が兄の様に慕って、懐いていた記憶はある。「私は、奥様が進言し、引き離した話を聞いてしまった。それを大旦那様達に伝えた。だけど、事態は想像するよりも悲惨な結果へと繋がったのです。」先程の続きがあるようだった。 snowの日記お盆です。果物とか供物を買ってきたよ。早いよな。梅雨も明け、本格的に夏?
July 13, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』12「かつて、あの子には将来を約束した女性がいた。それが沙夜の母親だった。沙夜の母親は体が弱かったが、何より月野家を愛していた。月野の分家の姫であったが、あの子と誠は沙夜の母親を愛していた。」沙夜の母親が分家の姫、すなわち、正当な婚約者だったはずだと葵は認識した。「母は旦那様か私の父のどちらかと一緒になる筈だった。母は二人のことを同じくらい、愛し、二人も同じくらい愛していたそうです。大人になり母は旦那様の妻と戸籍上なり、二人の花嫁となったそうです。」沙夜の語りに、葵は思った。“そんなのありかよ!ぶっ飛んでる。だけど、同じくらい愛していたのなら、なおのことか・・・”「やがて、母は旦那様の子を身籠った。幸せの絶頂だったそうです。そんな時、奥様が現れ、母の悪夢は始まった。生まれた子は、旦那様にも父にもどちらにも似ていたそうです。まあ、兄弟なら当たり前ですよね。旦那様は彼女に唆されたのだと思います。」「黙りなさい!」奥様は慌てる「続けなさい」「母は不義の疑いを掛けられ、父と共に子まで、殺されかけました。」「?!!どう言うことだよ。」「彼女が邪魔で、旦那様に疑心暗鬼になるように仕向け、自分に気持ちがいくように仕向け、母を結果的に捨てました。彼女の手の者によって、殺されかけ、極秘で生き延びた。」「止めなさい!やめて、そんな話、嘘よ…。作り話に決まってる。」彼女は焦る「いえ、真実です。その証拠に私が生きている。刑事さんが調べてくれましたから…」 紗夜はそう言うと話を続ける。 snowの日記話は佳境に入っていく。迷宮入りにならなければいいと思う。行きたい日程も決まったけど、来月、御休み貰えるかな?
July 12, 2016
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『もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』 11葵はどうしてこうなったのか、当主の奥様に問いただして見るも返答はない。「香苗、何事ですの?」大奥様と大旦那様が現れ、彼女は青ざめ、葵は一礼する。「いえ・・・あの・・・・・・早苗が・・・早苗が家を飛び出して…」「?!!どうして、そんなことに…答えなさい。いえ、今は捜さなければ…」大奥様は心配そうに慌て出す。「落ち着きなさい咲。」大旦那が諭す捜索命令が下るが葵は納得せず、ことの事態を追及するが答えようとしない。苛立っていた。「・・・早苗様の初恋の君の件のせいですよね?」沙夜は現れ、そう言えば「何を戯れ言を早く捜しなさい!」奥様は青ざめ、沙夜に言う。沙夜はただの使用人ではないと知らずに「沙夜、あのことが早苗にバレたのか?あと少しで叶えてやれるかも知れんかったのに…」大旦那はそう仰り、葵だけはおいてけぼりだったので、その初恋の君にした仕打ちを彼に知る限り、話した。 「なんて、酷い・・・・・・早苗は人形でも、玩具でもないのに、そうまでしてあいつを苦しめたいんですか?あいつが何をしたって言うんですか?」葵は奥様を問い詰める「使用人ごときが知った口を聞くのではない。」「香苗、黙りなさい!沙夜は早苗の姉だ。」葵と奥様には衝撃的な事実だった。「嘘よ…そんなはずない。」「いいえ、本当のこと、葵。これから話すことは誰にも言ってはいけませんわかりましたね。」大奥様はそう仰り、話始めた。 snowの日記無事にお中元も届いたみたいだし。花火大会日時も決まったよ。
July 11, 2016
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『 もう一度、君と ~ 幼き約束 ~』10 そして、それから後日。出掛けようとした時に引きとめられ、喧嘩になり、初恋の彼のことが明るみに出たのだった。両親が圧力を掛け、初恋の彼との接触を禁じただけじゃなく、彼の家族をこの街から追い出し、仕事すら奪ったと言う事実が発覚した。「どうして、そんなこと・・・・・・彼は何にも悪くない。ただ、私と一緒に遊んだけ。それにどうして、母様がそんなことを知っているの?ねぇ、どうして答えてよ。」「貴女は月野の跡取りよ。余計なものに触れてはいけません。代々受け継いできたものを護らなけばいけない。当然でしょ!邪魔なものを排除するのは・・・・・・」母の目は無機質で怖かった。そして何より、母はまるで機械の様に感情がないように思えたのだ。「たかだか、それだけの為に・・・・・・酷い・・・酷過ぎるわ。彼をどこにやったの。どうして、彼が、彼の家族がそんな仕打ちを受けなくっちゃいけないの!こんなの可笑しいわ。」「全部、貴女の為よ!解って頂戴。」「お父様の所に行く。どうせ、お父様も知っているんでしょ!母様が話してくれないなら、お父様に聞くだけだから・・・・・・」早苗を行かせまいと阻む。「放してよ!いつもそう。私の為とか言って、本当は私の為じゃない。こんな家、失くなってしまえばいいのに……」その発言に、頬を引っ叩かれた。「・・・・・・大嫌い。皆大嫌いよ!」感情のまま、外に飛び出した。早苗だった。その姿を目撃したものがいた。当主の妻は慌てて、当主の元へと向かう。あまりに身勝手な理由だったので、嫌気がさし、家を飛び出し、闇雲に走り去ったのだ。 出て行ったのは昼間。だけど、夕方になっても帰って来ないので屋敷の者達が捜索に当たり、それでも見つからないので、稽古の指導に聞いていた先生も含め、捜査が行わる事となったのだ。 snowの日記お休み。なんか疲れるな。無気力。
July 10, 2016
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『 もう一度、君に ~ 幼き約束 ~』9 気になったが追求出来ないまま、中間テストの時期が近付き学校の図書室で勉強をしていると会長が勉強を見てくれると言うので、葵と二人見て貰っていたのだ。そして、何気なく母達の隠し事を独り言のように洩らせば「何のことだ?」「私にもわからない。係わらせたくないって誰のことを指しているのかしら?」「今は勉強に二人とも集中しろ。まぁ、俺も気になる。以上に雑用とか増えたよな?何かやらかしたのか?」会長の問いに「あるわけないじゃないですか!私は、稽古とかもちゃんとやっているし、成績だって落として無い筈。それに、散歩の件も守ってるし・・・・・・あの子って言うのが誰か判らないけど・・・・・・」「そういや、逢いたい奴に逢えないのか?」「どこにいるかもわからない・・・・・・だけど、祭の日に逢いに来るって言ったから毎年・・・・・・」うっかり口を滑らせてしまった。その瞬間、葵の機嫌は悪くなり、会長は何を考えている変わらない。「で、一回も逢えていないと言う事か?子供同士の約束。口約束なら、なお相手も忘れているのだろう。」会長は現実的な意見を言う。「そんなことない!指切りしたし、それに・・・・・・」そう反論する彼女「くだらない。兄貴、俺、先に帰るわ。」広げていた教科書などを纏め、帰ってしまう。会長が止めるのも聞かず「ったく。続きやろう。その前に、もし憶えているなら、誰かが妨害しているのかもしれないと考えられないだろうか?旦那様や奥様が仰った発言のあの子とは貴女と約束した子のことではないのだろうか?」「でも、どうしてそんなことを知っているの?私と彼氏か知ら無い筈なのに・・・・・・」彼の助言で混乱する。「君は月野の姫として有名だから話が広まったのかもしれない。たかだか、子供の約束でもどんな影響を及ぼすか分からない。だから、問題になりそうな芽を摘もうとしたのではないだろうか?」思い当たる節はいくつかある。習い事も着る物も基本的に決められているが、最近は着る物くらいは若干自由になった。テレビもアニメも漫画も見る事すら禁止されていた。そう考えると結構、制限されていると思った。それから、閉館時間まで勉強を続けた。 snowの日記そろそろ花火の日程でるかな?福島に行くのに連絡しなくちゃ!
July 9, 2016
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『 もう一度、君に ~幼き約束 ~』8先代からの申し出から少し経ったある日。早苗は遂に両親と衝突し、家を飛び出してしまった。それを聞かされた3兄弟、渡先生、泉先生は捜索に向かう。”彼女に何があったんだ"彼女の初恋の相手はすぐ傍に居て、彼女を見守り続けていた。だからこの事態に焦りを感じた。行く場所なんてないから神社の境内の中に隠れていた。「皆、大嫌い・・・・・・。」初夏に入り、イベントが盛りだくさんで大忙しになっていく。それは解りきっていたのだが、稽古の時間も増え、更に必要以上に監視の目が光ったり、家の雑用が必要以上に増えた。彼女の自由に動ける時間が減り、ストレスがかなり溜まっていたある日のことだった。「早苗には悪いけど、あの子に係わらせる訳にはいかないのよ!大人しく、家を継いでくれればいいのね。」「うむ。月野の家の為に致し方ない。」父と母が話しているのを聞いてしまった。どういう事なのか、解らなかった。 snowの日記七夕終わちゃった。今年も何にもない。味気ない七夕。日々、仕事。
July 8, 2016
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『 もう一度君と ~ 幼き約束 ~ 』7(番外編) 月野家を去ろうと決めた渡。藤堂渡。そんな時に一通のメールが舞い込んだのだ。「海(かい)。これはいい機会かもしれないな。」海とは、月野の使用人の紗夜の弟である。彼も複雑な事情がある。彼と出逢ったのは数年前のお祭り。俺は人探しの為に来たのだが、彼は一人でやって来たと言うので一緒に回った。その後、それか数年が経ち、彼と月野家で再会し、月野家の一人娘である早苗様に勉強を教える家庭教師をしていた。そんな彼はこの春、彼女が高校を入学を機にアメリカに留学し、医者を目指していた。大学まで既に飛び級で卒業した彼は今度は向こうで医者の勉強を始める為に、月野家を去ったのだ。その時に、彼に秘密を教えて貰ったのだ。「早苗ちゃんには内緒だよ。僕は彼女の従兄弟なのさ。名目上、この家に何の関係もたない家庭教師として派遣されていたが、姉さんの強い希望で彼女に着いたんだけど、努力家で本当に可愛い。香月の者になんか渡したくないな。渡。その気があるなら、彼女と一緒になって欲しいな。」「何をバカなことを!」珍しく慌てふためく俺に「待っているみたいだよ。あの子を・・・・・・」俺は何も言えない。俺の秘密も彼は知ったうえで教えてくれた。「ちょっとだけ憎かったんだけど、温かい心の持ち主だったよ。そりゃ、爺ちゃんやばあちゃんも心配になるのも分かった。だから、何か困ったことがあったなら、彼女を必ず助けてよ。俺の河合可愛い妹分を・・・・・・」と言っていたのだが、応えられそうにない。 彼は、俺にアメリカに来ないかと誘いを掛けてきたのだ。いい機会だから、向こうに暫く言ってみようかと思っていた。そんな時、大事にして、肌身離さず持ち歩いていたお守りを失くしたことに気付き、焦るのだった。それは幼き日に出逢った彼女との約束の品だった。 snowの日記今日は七夕。海鮮系のチラシ寿司にしてみたけど、結構お高めになった。
July 7, 2016
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『 もう一度君と ~ 幼き約束 ~ 』6夢を見た。幼き日に出逢った初恋の彼との想い出、交わした約束の夢を高校に入ってから毎晩の様に見ていた。私は約束を交わした日から毎年、彼に会う為だけに屋敷をこっそり抜け出しては彼を捜す結果的にはこっぴどく叱られるので、ここ数年、お目付け役を連れつつ、お忍びで彼の姿を捜すのだが、見つからない。手掛かりは、私のあげた匂袋だけ。いつも逢えなくて、その日の夜は泣き腫らす。だけどいつかまた逢えると信じているから、今日まで頑張ってこれたのだが、時間が迫ってきている。時間が許す限り、情報収集を行うが、上手くいかず焦っていた。 そのせいか、最近は幼き日の約束の夢の夢を見た後に、再会を果たす夢も見るのだが、いつも冷たく突き放す言葉を言われ、目を覚ます。悲しくて、苦しくて、切なくて、目覚める。目が覚めれば泣いていた。夢に見た内容を思い出すだけで、胸の中が痛み、また泣く。「逢いたいよ・・・・・・」きっと周りの人からすれば子供同士の約束でくだらないというのかもしれない。だけど、私にとっては希望で、唯一、ありのままでいられた貴重な時間。何も替えがたい。だけど、再会を果たせないのも怖いだけど、逢って冷たくされるのはもっと怖い。だけど、やっぱり逢いたくて、二人の思い出の神社に今日も足を運び、神様に祈る。そこに「早苗、何やってんだこんな朝早くから?」振り替えるといたのは葵だった。「お早うございます。葵先輩。散歩ですよ。」勘繰られたくなかった。「散歩って、早すぎるだろう、しかも護衛もつけないで!!」「あっ、やっぱりここだったか早苗。葵も一緒か良かった。」守がやって来た。「会長…お早うございます。」一応挨拶をするので、彼も挨拶を交わす「毎度、言っているが朝早くから一人歩きは危険だから、止めるように言っただろう!今回も何もなかったから良かったものの・・・」親より心配してくれる。お節介であるが、優しいと思う。「ごめんなさい・・・・・・。」しょんぼりする彼女を見兼ね、葵は庇った。「兄貴、こいつだって、たまには一人になりたい時もあるんだろ。秀兄みたいなのと居ると息も詰まるだろうし。」「兄さんに失礼だろう。早苗、あんまりこういうことが続けば、君の自由な時間を更に制限されるだけだろ。」守は諭すように言う。「・・・分かってます。だけど、もう時間もない。どうしても、どうしても逢いたい人がいて…!」泣きそうな顔をする。「お嬢様。こちらにいらしたんですね。出掛けるなら一声かけて頂ければ、私がお供しましたのに・・・」「沙夜・・・。ごめんなさい。」使用人で、彼女のお世話係であり、姉の様な存在だ。「沙夜。お前が一緒でもダメだろ!女同士でも、何かあったらどうするんだ!危ないだろう!」葵が突っ込んだ。「大丈夫ですわ!この通り、色々と武器も持っておりますし。」紗夜はどこから取り出したのだろうと言うくらい、色んな武器を携帯していた。流石に皆呆れて何も言えない。「とにかくだ。こんな朝早くもしくは、夜遅く出歩くのは控えろ!貴女は月野の姫君なんだから!」月野の姫君と言われるのが昔から嫌だった。正しいことを言っている守に対しても、ムッとしてしまう。「早苗、逢いたい人てのは大事な人なのか?」静かに頷く。沙夜と守には判ってしまったから、複雑な顔をする。葵は少し考え、こう提案した「俺がランニングするついでだったら、早苗が散歩したい時、付き合ってやるよ!その代わり、きちんと声を掛けろ!兄貴、それで良いだろ?」渋々だが、説得された早苗と守だった。「それよりここじゃないとその人に逢えないのか?」葵は疑問を投げかける。「・・・うん。ここに来ればもしかしたら、逢えるかもって思って・・・」葵はそれ以上深く追求する事はなかったが、守は辞めさせたかった。だけど、彼女はきっと辞めない。彼女の中に初恋の彼が未だにいるから snowの日記明日は七夕。天の川見たことないな。ちょっと、話が長めになってしまった。
July 6, 2016
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『 もう一度、君と ~ 幼き約束 ~』5 幼き日。祭の夜に、一人の少女に出会った。周りは皆、浴衣だったり、洋服で縁日を回る中、一際、可愛らしいと言う形容詞が似合う少女が迷子になったのか、不安そうにしている。朝顔の可愛らしい白地の浴衣を着て、簪を差した少女。思わず、声を掛けてしまった。一目惚れだった。初めは不安そうに泣きそうになっていたが、その手を取り、一緒に縁日を周っている内に花が綻ぶような笑顔が見れ、心、惹かれていった。彼女が欲しがったおもちゃの指輪を買ってあげた。「ありがとう。だいじにするね。」時は瞬く間に過ぎ、彼女とお別れする時間が来てしまった。遠くで彼女の名を呼ぶ声がして、彼女は焦っていた。彼女はもっと一緒に居たいと駄々をこねたが、そうはいかない。だから約束した。先程の指輪を彼女に出してもらって、指に嵌めたのだ。「いまはいっしょにいられない。だけど、来年もその次の年も、そのまた次の年もずっとずっと君に逢いに行く。だから、約束の代わりに持っていてくれないか?」「わかった。じゃあ、わたしのだいじにしている物をあげる。」彼女は巾着の中から、小さなお守りの様な物を取り出した。「わたしのすきなかおり。おじいさまに作ってもらったの。だから、今度会う時まで持っていて、必ずあいに行くから・・・・・・」指切りまでかわし、二人はまた逢えるとこの時は信じていた。 だけど、後日彼女が月野のお姫様である事を知らされ、両親に圧力がかかったのだ。彼女に今後接触することを禁止され、想いまで踏みにじられることになった。この街から離れなければならくなった。彼女に恋する権利すら、得られない。自分の行動で皆を不幸にしてしまったのでは悔やんだ。 それから、彼女は約束通り祭りの日にこっそり抜け出し、逢いに行くのだが、彼は来なかった。そのことがバレ、両親からこっぴどく毎年の様に叱られていた。 それから月は経ち今から3年ほど前、この地に舞い戻って来て、彼女の姿を見つけた。昔よりも大きくなって、美しさに磨きがかかっていた。淡い桜色に桜柄の浴衣、真っ赤な帯。とても清楚な彼女の感じにあっていて、今すぐにでも駆け寄りたかったが「早苗、また。抜け出して悪い子だね。さぁ、家に帰るよお姫様。」「離してくださいな!私はまだ帰りません。もしかしたら、来るかもしれないんです。」「馬鹿馬鹿しい。来るはずないさ。聞き分けのない子は嫌いだよ!」嫌々と嫌がる彼女を強制的に連れ去る青年。恐らく高校生くらい。人々は二人を見てこういった。「あらまた、月野の姫様と香月の若様だわ。お似合いだわね。」「何しろ、家同士が決めた婚約者ですものね。」二人は婚約関係にある事を知った。噂に聞いていたが、事実だったようだ。彼女に近付くことも声を掛ける事さえも出来ないまま。その場を立ちすくむしかなった。そんな自分が惨めだった。 その後、彼女に逢えるのは16歳の誕生日までのタイムリミットがある事を知った。どんな形でもいいから、彼女との約束を果たしたい。そう思い、チャンスをうかがっていたら、もう最後の年となってしまっていた。逢って何がしたいと言う訳じゃ無い。ただ、君に逢いたいだけ。昔の様に、一緒に縁日を周りたい。そして、願わくば1分、一秒でも構わないから君と二人の時間を欲しいと思う。君も同じ気持ちであればと願う。 snowの日記早苗の初恋の君の話。相手は誰?取りあえず過去の話でした。花火の日程が決まらないから、困ったよ。
July 5, 2016
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『 もう一度、君と~ 幼き約束 ~』4 学校の敷地内にある部室に辿り着いた。「泉先生。遅くなってすみません。」「いえ、私も先程来た所です。お疲れの様ですが大丈夫ですか?」「はい・・・・・・。先生の稽古の時間を減らしたくはありませんので、今日も宜しくお願いします。」泉先生。個人的な茶道と華道の師匠であり、学校でも部活動でお世話になっている物腰柔らかな話方をする先生。渡先生が凛とした雰囲気なら、泉先生は、清涼さを思わせる様な穏やかな先生なので、何かと相談してしまう。「もうあと数カ月で誕生日ですね。」「はい・・・。」「正式に次期家元としての仕事が増えるのでしょう。学業もあるのに、大変ですね。」「先生。私、誕生日が来たら、結婚をして、学校を辞めなくてはならくなるかもしれないんです・・・・・・」緊迫した雰囲気の中、先生は立てたお茶を彼女に差し出す。それを受け取り、飲む。「しかし、今のご時世で高校を辞めるなんてことをするでしょうか?」「家元はそう望んでおります。母もです。ただ、私はもっと勉強がしたい。それに、結婚なんて、まだやっぱり考えられないのです。」素直な気持ちを曝け出せる。この時間を失いたくないと思う。「そうでしょう。結婚とは、本人の意思も非常に大事で、生涯を添い遂げる相手が自分の意にそぐわぬ相手じゃ困りますね。家同士の問題であると言いますが、私は貴女の様な熱心な生徒を失うのは、寂しく感じます。」先生のストレートな表現が、嬉恥ずかしく、擽ったく感じる。その言葉に隠された意味を彼女は知らない。彼女はまだ、幼きシンデレラ。「香月先生が一番有力ですが、私は彼のことを好きになれないのです。会長や先輩も兄の様な存在で恋の相手として見れないと言うか・・・・・・」“香月家の御子息達。哀れだと思われる。特に、守さん、葵さんは本当に早苗さんのことを好いておられるのに・・・・・・”「・・・・・・泉先生。もう一度逢いたい人っていますか?」彼女は突然話を変えて来たので、何だろうと思った。「まぁ、恩師や亡き人とかですね・・・・・・」「そうなんですね。・・・・・・先生、香月先生達には絶対内緒にしてください。」香月兄弟に知られたくない話のようだ。「・・・・・・私は、せめて誕生日が来るまでに、幼き日の初恋の君に逢いたいんです。」「逢ってどうなさるんですか?相手の方は貴女のことを忘れているかもしれないんですよ。」“彼女の初恋の相手が気にならない訳じゃ無い。何度か話を聞いたことがあるが、未だに彼女の心に棲みついていると思うと妬けてくる。”“彼女は、私や他の者達がどんな感情を抱いているかなんてきっと知らないだろう。触れたい。傍にずっといたい。他の誰にも渡したくない。こんな劣情を抱いているなんてきっと考えもしないだろう。”「それでも、逢いたいんです・・・・・・約束したんです。“また、逢おう”この指輪に誓ってくれた。毎年、彼の姿を捜しても未だに現れない。今年は、最後の年だから、一目でいいから逢いたいんです・・・・・・」純粋で真っ直ぐな瞳。見えない敵に嫉妬が収まらない。「指輪ですか?」「子供のおもちゃの指輪。それでも私にとってはたった一つの宝物。」お茶を立てながら、心の穏やかさを装うが、心中穏やかじゃない。「そんなに想われる方は幸せ者ですね。さぁ、早苗さんも立ててごらんなさい。」師として振る舞い、いつもの稽古を続ける。逃げ出したいけど、彼女にこの想いを知られる訳にはいかない。“君が好き。そんなこと口が裂けても言えない。目の前に居るのに、君は他の誰かを想う。” snowの日記茶道と華道の先生を出してみました。早苗の恋の行方はどうなるやら。お中元が届いたようで良かった。今年はネットで選んだ。厳選大変だった。
July 4, 2016
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『 もう一度、君と ~幼き約束 ~』3“早苗。やっぱり、俺じゃ駄目なのか?”3兄弟の次男である彼は初めて出逢った時から、一目惚れし彼女に恋をしてた。しかし、後に夏祭りで出逢った少年に恋をしていることを知った。彼女は誰に言うことなく、秘めていたが、ある時、一人の使用人にその少年の話をしていることで知ってしまった。“早苗は、俺達じゃないやつに恋してる。”それはショックだった。弟の葵は、からかいながらも彼女に恋をし、彼女の傍にいる。俺は、自ら世話役を買って出た。文武両道を極め、生徒会会長を務めるも、彼女のことが絡めば冷静でいられない。「会長、大丈夫ですか?少し休まれたらどうですか?」根を詰めすぎていると思われたらしい。「いや、大丈夫だ。」「また、早苗ちゃんのことですか?」副会長の黒岩に指摘され、何も言えなかった。「早苗ちゃんのことが絡むと貴方は冷静でいられないんですね。」困ったように笑う黒岩。彼とは、幼少期からの付き合いとなり、長い。だから、彼にはお見通しだった。「早苗ちゃん。益々モテるようになりましたね。本人は気にしていないと言うか気付いていないようですが、このままでは、危いんじゃないですか?」彼は立ち上がる。流石に黒岩も煽り過ぎたかと思ったのだが「黒岩、少し席を立つ。少しの時間、ここを任せる。」そう言うと生徒会室を後にした。そんな彼を見送り、ひとり呟く。「素直じゃないんだから。」 生徒会室を後にし、校内を見まわる。香月3兄弟。学園に居るものなら、誰でも知っているイケメン3兄弟で、月野早苗とセットに考えられる。幼少期から有名な家の跡取りとして、育った月野早苗。大人達を筆頭に彼女の家柄の良さに頭が上がらず、周りは媚びるような感じだったので、基本的に彼女は誰も信用していない。友人すら、家柄の関係の上辺だけ、そんな彼女に意見できるのは、分家ではあるが力のある香月家のもの達だけは意見していた。そのことから、早苗は姫、3兄弟はさしずめて言うならば騎士もしくは王子と称されていた。外面の良い長男は陰でよく、早苗を虐めているのでかなり嫌われていたのだ。今日も、虐める。「早苗、どこに行くのかな?」「香月先生には関係ありませんわ。急いでいるので、通して頂けませんか」目の前を通せんぼ。道を塞いで、行く手を阻む。「ツレナイな。どうせ、もうすぐ俺のモノになるんだから、無駄な抵抗はよしたらいいさ。」壁に追い詰めて、逃げ場をなくし、悪い笑みを浮かべる。そして、強引に唇を奪おうとする。「貴方のそう言う所が嫌いなのです!貴方の言いなりにはなりませんよ!!」急所を蹴り上げ、腕の中から脱出。「今後、この様な事をなさるならお爺様に言いつけますわ。それではごきげんよう。」何事もなかったように去っていく。「・・・クソ、次はない・・・・・・」痛さに身悶える。 見えなくなった所で、早苗は怖かったと震え、泣き出しそうになる。少しの気の強さがあるお嬢様と言う風に見られているが、実際はか弱い女の子。とは言え、多少の武道は嗜んでいるので、いざとなった時の護身術も心得ていた。「おい、早苗。何してんだよ。」上から声がしたのでビックリとして、声の下階段の上の方を見ると現れたのは三男の葵。ゆっくりと下に降りてくる。「・・・別になんでもない。葵先輩は、部活の時間じゃないのですか?」「ああ、そうだ。お前、今暇だろう。マネジャーの仕事しろよ!」唐突な発言に、固まる。彼は暴君。早苗は華道、茶道と兼部していて、こうして一人でいる時に、強引に葵の所属する部のマネジャーをさせる。周りはお恐れたことと思いつつも真面目に仕事をしてくれる彼女を重宝し、益々彼女の株は上がり、高嶺の花、憧れの人となっているのだった。「悪いけど、無理よ。今日は茶道の稽古があるの。いつも言うけど、葵先輩のパシリじゃないんですからね!」「早苗のくせに生意気だぞ!俺がやれと言ったら、やるんだ。」ここまで来ると長男より厄介だったりする。強引で、強制的に連行しようとするのだ。「こら!葵、何をしている!早苗にあれほど無理じをするなと言っただろう!」救世主とばかりに生徒会長である次男の守が現れた。「別に強制なんてしてねぇよ!なぁ、早苗?」言葉で圧力を掛けようとする。「私は稽古があるって言いましたよね!先を急ぎますので、無理です!会長ありがとうございます。では、葵先輩さようなら。」会長がいるので少し強気で言い、ダッシュで走り抜けるのだった。「こら、廊下は走るな!」この声はきっと届いてすらいないと解っていた。「ったく。兄貴、逃げられてしまったじゃないか!」「あのな、早苗は月野の姫君だ。それなのにお前とくれば!」「分かってるさ・・・・・・。向こうの方が格上な事も今のままじゃ、兄貴に全部持っていかれる事も・・・・・・」こういう時の葵は素直だ。3兄弟の中では恐らく一番早苗と距離が近いと言える。「だが、まだ時間はある。出来ればこのまま、逢わせたくない・・・・・・」珍しく感情を剥き出しにする兄、守の姿に葵は想いを悟るのだった。 snowの日記今回はここまで力尽きました。
July 3, 2016
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『 もう一度、君と ~ 幼き約束 ~』 2 月野早苗。高校一年生。私の家はお香を取り扱う家柄である。私はその家の一人娘である。現在、分家の香月家の者と婚約中である。と言っても厄介なことに3人兄弟の中から一人を選び結婚することを強いられている。長男、香月秀。私の通う学校の先生でもあり、何でも卒なくこなすイケメンである。性格は皆の前では優しいが、私には意地悪な人。二面性のあるドSな男。最有力候補。次男、香月守。同じ学校の生徒会長。清く正しく、真っ直ぐで、先生達にも信頼も厚く。ファンクラブがある。知的なクールさが売りの人。私の世話を焼いてくれるほど面倒見のいい人ではあるが、内心何を考えている変わらない。三男、香月葵。私の一つ上の学年であり、運動神経が良いイケメンである。私に対し、何かとからかう様な態度を取る意地悪な人。ただ、情に厚く優しい一面を持つ。ヤンチャな兄貴分である。 先日の祖父の決定事項の後、3兄弟はやって来た。「早苗。聞いたよ。俺達兄弟がいるのに別の男に現ぬかすきらしいじゃないか。ダメだよ。俺だけを見ていなくっちゃ。」長男の秀は顎を持ち上げそう言うので、その手を払いのけた。「私は貴方の事を認めたわけじゃありません。私が誰を想うが勝手でしょう。」「そう言う訳にはいかない。君だってわかっているだろう?」「俺達の何が気に食わないんだよ!」秀に続き、守、葵が意見する。「何がと言う訳じゃない。ただ、彼にもう一度だけ、逢いたいだけよ。とにかく、私の邪魔をしないで。」私は3人を残し去るのだった。「早苗・・・・・・」「我儘な子猫ちゃんだこと。ちゃんと躾なっきゃ。」「早苗のくせに生意気だ。」守は少し寂しそうに、秀はドSモードを発揮する気満々。葵は、私の態度が気に食わないようだった。 ー 稽古の時間 踊りの先生の稽古をつけて貰っている。「そこ、遅れている。その癖をちゃんと直しなさい。」「すみません。渡先生。」先生にミスを指摘され、直す。私の好きな習い事の中で一番好きな時間だ。優雅な踊り。祖母の踊りを見て憧れていた。祖母の様に踊りたいと思っているからだ。「今日はいつもより心が乱れているようだが、どうかしましたか?」「いえ、何でもありませんよ。先生との稽古できるのもあともう少しなんですね。」ちょっぴりセンチメンタルになる。「そう言えば、ソロソロですね。貴女も今年16歳。立派な淑女に成れるように日々精進ですね。」「はい。御婆様の様に立派になりたいです。」そう答える。彼は少し笑って、練習を再開した。 渡先生。舞踊の先生で、笹山渡先生。まだ独身であり、とても人気がある物腰柔らかい雰囲気の人であり、密かに憧れていた。どことなく、昔出逢った少年に似ているような気がしていた。一度逢ったきりなので、何の手がかりも見つからず苦戦していた。踊りながら思うのは、あの少年のことだった。それを見透かされていると思うと不味いと感じるのだった。 snowの日記梅雨が明けない。でも、熱い。今年はどうなるのかな?
July 2, 2016
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『 もう一度君と ~ 幼き約束 ~ 』 残酷な程時間が進むのは早い。残された自由な時間それまでにもう一度だけ君に逢いたい。 広々とした広大な敷地に日本家屋の平屋の広大な屋敷。その一室で告げられる一言それは高校に上がってすぐのことだった。「早苗。お前も高校生になった前から離していた通り16歳になった日には約束通り結納を行う。」「分かっておりますお父様。ですが、私はまだまだ学びたいこともあります。それに私は彼のことを・・・・・・」畳の部屋に正座に正装姿の父と娘、そして母。「許さん。お前は生まれついてよりこの月野家の跡取りとして育って来た。月野家の為に尽力を尽くし、婿を取り、この家の更なる繁栄を反転すると言う役目がある。それなのにお前とくれば!」「貴方、そんなに怒らないで!早苗、解っているでしょ!貴方は大事な跡取り娘なのよ!」父も母も後継者としての器として育って来た。だけど、私はそれが嫌だった。恋も遊びも友達も全てが決められていて何一つ自由にならない。そんな私も一度だけ出逢った同じ年頃の男の子ともう一度逢いたいと思っていた。初恋だった。その恋が成熟するとも思っていないが、だけど親の言いなりになったまま結婚をしたくなかった。母も父の意見に賛成する中引っ繰り返す手札が手元にはない。「御待ちなさい!」障子が突然開き、そこにいたのは祖母だった。現当主の父の母、先代当主の妻であり、今でも権力を持つ人である。「お母様。どうなさったのですか?」「どうなさったもありません。早苗はまだ高校生になったばかりですよ!勉学に励むのが当然でしょう!それなのに貴方達とくれば!」「咲。落ち着きなさい。」また、一人増えた。祖父だ。その後ろには祖父に仕える秘書の方も一緒。「だけど、早苗が可哀想じゃありませんの!」「まぁ、そう興奮なさんな。早苗、そなたにいずれは継いでもらいたい。だが、ワシとしても勉学を疎かにしてまで、結婚しろと言う訳ではない。」「お父様まで、私に全て一任すると言ったではありませんか。」父は焦っていた。「確かに、そうは言ったが勉学等を疎かにするようなことは許してはいない。」「お爺様。私はもっと勉強もしたいし、それに・・・・・・」これはと一塁のチャンスとばかりに申してみた。「早苗、忘れられない人がいるのですね。」祖母は見抜いていた。「早苗、まだ貴女そんなことを!!貴女には香月家の婚約者がいるのよ。分かっているの!」母に咎めれらた。「待ちなさい。早苗。そなたは結婚出来る歳となる。それまでにそなたに時間をやろう。」祖父は言う。「それって・・・・・・」「早苗。貴女の自由な時間を与えましょう。ただし、勉学など疎かにしないことが条件ですがね。貴女が16歳になる日までが期限よ。それまでに結果を出しなさい。」祖母はそう告げる。「そう言う事だ。咲の言うとおり、想う人があるのならば、悔いのないように過ごしなさい。孝、香苗よいな。」祖父の発言は、党首の座を譲ってもなお、力があった。両親は何も言えず従うことになった。「お爺様達、ありがとうございます。」祖父母にお礼を言い、そこから高校生活と習い事などをしながら、昔出逢ったあの少年を探すのだった。 snowの日記今回はちゃんと終わればいいな。7月に入ったよ。夏だよ。梅雨明けないよ。
July 1, 2016
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