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こんばんは。こえめですいま、PCのバックライトが切れていまして、電灯の下に移動してきました。ヤマダ電機で、CORUGA (CG-L19WDGH)というのを、店員さんの薦めるままに買ってきました。改装記念セール期間ということで、9800円でした。安いですよッ。つないでみましたが、駄目でした。なにゆえッ?!確かに機械音痴です。分解は好きだけど。すぐに、これって不良品?! なんて思っちゃうのは悪い癖です。あの店員にだまされたかも、なんてことは考えていませんよ。これっぽっちも。家じゅうみんなで駄目でした。こえめの機械音痴は家系でしたッ!いばれません明日サポートセンターに連絡してみます。だから今日の更新はお休みなのです。 いつになくジミな更新ですここまで読んでくださった方、ありがとうございました。 こえめ脳がちょっと疲れたので、今日はお返事なしでいいですか?あとでちゃんとしますね。 以上こえめでした。くすん。それでもバナーはってみた。気が向いたらお願いします。
March 31, 2009

いらっしゃいませ。こえめのお部屋へようこそきょうはきれい(こえめの脳内にご興味のない方は、よろしければ小説ながめてみてね。目次あります)皆様。おやつの用意はいいですか? じゃ、いくよッ! My favorite. 『ターミネーター2』です。ふるーい。もう4だよなぜかうちにそのビデオがあって、何度も観ました。今DVDしかみられないよショーンかっこいい! 生意気で可愛い!そしてシュワちゃんがもう、最高ッ!体力俳優かと思いきや実はエリートでしたね。母親がまたカッコ良かった~!私も鍛えたら、懸垂できるかな。男は黙って背中で語る。シュワちゃんは黙って眼で語る。赤い機械のやつねッ。あの世界観。人間と機械の心の変化の描き出し方。運命のどうにもならない感! もうッ、どうにかして感!! なにそれ?……あ、トリップしました。映画といったらジブリです。なんか、まともです。はじめて。夏が近づくと観たくなるのが『トトロ』。となりのね。ほかにないでしょ。特に冒頭の、糸井重里さんの馴染まない声で、「草壁で~ス。引っ越してきましたぁ~」が大好きですッ。そこだけ何度もリバース、リバース、も一度リバース! 7回くらいやるのね。観るたびに。楽しいよッ。やはりまともじゃなかった……あと、とっても感動しすぎて、もう観られないのが『蛍の墓』……胸が痛くてだめです……。イテテッ。 とげ?うん。それなのに、先日図書館で、朗読CD借りてきました。なにゆえっ!だって映像がなければ大丈夫かと思ったし。あっま――――いっ! 甘かった!!付いていたんです。最後に。野坂さんの肉声が。迂闊にも聞いちゃったよ。告白的な内容ッ!またまた胸が、く、くるしス……ッ! 野坂さんの気持ちと自分の思いが、醸(かも)されて、前よりもっと辛い事に……。じぶんで墓穴ほりほりしたわけもう本当に、観られないです。皆さんも、観たいのに観られない映画って、ありますか? PS. T3の冒頭で、おいおいショーンどうしちゃったの?と残念に思ったのは、こえめだけではなかったはず。新しい3部作シリーズ乞うご期待ッ!6月公開!外国ホラー系にはめっちゃ強いです
March 29, 2009

バイロン公爵ってどんな人?こんな人 いらっしゃいませ。こえめです。おやつと一緒がおすすめです。 紅茶も、コーヒーも、お酒も、オレンジも、それからチョコレートでしょ、ポテチ、あッ、きんつばもいいね!はじめての方、ほかを読みたい方は(上にないとき)こちらに目次があるよ。 【カーラ20】『魔法医師の館』に、キンキンと耳障りな声が響いた。「これはこれは! バイロン公爵ではございませぬか!わざわざこのようなところまでお越し頂かなくても、こちらからお伺いいたそましたのにッ」そう言うと、リスザルのようにバイロンの周りをくるくる動き回り、黒いボードに何か書き込んだ。「骨格変成なし。筋肉の収縮なし。眼光きらびやかなり、と。見たところは健康そのものでございますな。して、どの辺りですかなッ、今回具合がお悪いのは?」「相変わらずお気が早いですね、先生。私はどこも悪くありませんよ」「はッ?」くいと首を傾けたところが、ますます猿そっくりだ。「けが人の見舞いに参ったのです」「はあ! これはこれは、そうでございましたかッ。 いやはや、リカム殿の見舞いに。ではこちらでございます」バイロンは魔法医師の案内に従って歩きながら、建物の中をさぐった。「先生。いつもの看護婦たちは今日はどちらに?」「はッ、彼女らには薬草を取りに、妖精の泉のほとりまで行かせております。それから立ち止まって振り返ると、意味ありげに口元を寄せてささやいた。「公爵殿がいらっしゃる事が分かっておりますれば、ライナを残しましたのに」紫の瞳が冷たく光った。、「今日はそういうことではない」魔法医師は縮こまるようにして押し黙り一番奥の部屋の前まで案内した。「ここがリカム殿のお部屋にございます」「うむ。少し話がある。お前はもう下がれ。」「公爵殿。リカム殿はまだ完全ではございませぬゆえ、手短にお願いいたしたく……」魔法医師はバイロンと目が合うと、慌てて言葉を切って立ち去った。バイロンはノックもせず、いきなりドアを開けた。、リカムは既にベッドに腰掛け、真っ直ぐこちらを向いていた。背中から胸へ、包帯が何重にも巻きつけられていた、「私に何か御用ですか。バイロン公爵」(つづく)(バイロン)つづきを知りたくばおしていくのだ。キラーン
March 29, 2009

婚約者バイロンの怒りをかってしまったカーラ。続きをどうぞ。はじめての方、ほかを読みたい方は(上に出てないとき )こちら、目次あります。【カーラ19】「そうそう勝手にばかりはさせませんよ。姫君」バイロンの美しい顔に、怒りの表情が浮かびあがった。さっき突き飛ばされた女官はそれを見ると、床を拭いていたもう一人の女官を急き立て、部屋を出て行った。一人になったバイロンは、イラついた様子でうろうろと部屋の中を歩き回った。やがて立ち止まり、何かを見つけたようにその大きな体を伸ばして、天井にむかって腕を差し出した。紫の瞳が一瞬、きらりと怪しげな輝きを見せたあと、彼は独り言を始めた。「そうか。姫には兄のように慕う魔騎士がついておる。魔騎士といえばかつては傍若な人間どもを魔法国から追放した勇敢な存在。その子孫であるからには、そ奴とて、人間に良い感情は持っていないはず。ならば、こちらの味方に付け、姫の人間狂いをやめさせるのもそう難しくはない。しかも幸いなことにその魔騎士は今、怪我をして姫と離れているというのだな?本当にお前はいつも、良い情報ばかりを私にくれる。よしよし、いい子だ……」バイロンのてのひらに、小さな赤いクモが乗っていた。バイロンが指先を天井に向けると、クモは風に乗ったかのようにふわふわと舞い上がり薄暗がりに見えなくなった。*先ほどの二人の女官に案内をさせたバイロンは、気流で小さな森を飛び越え、『魔法医師の館』のまえに降り立った。「案内ご苦労であった。お前たちはもう帰ってくれてよいぞ」いつものうっとりするような笑顔を向け、女官たちの手をとり感謝を述べた。緊張していた女官の顔に再び、陶酔感のような笑みが浮かぶ。それを確認してから手を離し、二人が森の向こうへ飛び去っていくのを見送った。振り返ると目の前には、石造りの、大きな教会のような建物。「なるほど。これでは見つけにくいのも無理はない」壁一面にツタがはびこり、上空からの視線をさえぎっていたのだ。だが入り口のドアは、それに見合わず小さく、中の様子を隠そうとするかのようにひっそりと、建物の隅に設けられていた。バイロンはそのドアを静かに開け、屈(かが)むようにして中へと入っていった。(つづく)この中にやつはいるのだな?どれ……ぽち。
March 28, 2009

こえめのお部屋にようこそ好きなものシリーズです。嫌いなものがあまりない(と思い込んでいる)ので、このシリーズは続いちゃうよ。マイケル様です。マイケル・J・フォックスでも、ミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)のことでもありませんよ。こえめとしては、《様》をつけて呼んでいいのは、マイコーだけですッ!スリラーッ!鳥肌が立つほどのすばらしいステージ。マン・イン・ザ・ミラー!それを支える宇宙人的に徹底したリハーサル。 You tube で見てしまったんです。リハ。それ自体が既に芸術なんです。ほぼ消されていますが、一件残っていました。ヒューマンネイチャー!よすぎるッ!はやくみて!決して手を抜かず、全て自分でこなす姿勢にやられましたーッ!知れば知るほどに、あらてめてマイケル様の純粋さに惚れこみました。セクシーさNo.1です。 W.B.S.S あぶないッ!ファンの方々。気付くのが遅くて済みませんでした。本当に、マイケル様は素晴らしいッ…………トリップ中です 宇宙人はいると信じています。ええっ!そういうはなしだっけ?いないと言うほうが、非科学的だと思うのです。なぜなら。数え切れない数の☆★星★☆があることはご存知ですよね。科学が進歩するほど宇宙の意外な姿がわかってくる昨今。地球と同じ環境の星が、他に一個もない、なんていう確率のほうが少ないとこえめ的思考回路は答えを出したのです。でも、あまりこういう事を人前で力説してしまうと、変人扱いされますのでサラッとしゃべってきましたが。……結局しゃべってたんだねこの前、どこかの何かが、(こういうとこ、いい加減なのがこえめ脳)宇宙人からのメッセージを探すプロジェクトはじめたとか。NASAはとっくにやってたし。時代はこえめにやっと追いついたか!ただのオバカさんです。気にしないで。 以上こえめでした。子どものころ天の川を見ました
March 26, 2009

運命を受け入れる覚悟をした父王。続きをどうぞ 【カーラ18】「……あれはカーラだ……」「王様! 私が連れ戻してまいります!」「では私も一緒に!王様はどうぞこのままお戻りくださいませ」二人の従者が、カーラの消えた方向に新たな気流をつくろうと腕を伸ばしかけた。「その必要は無い」王は力なく言うと、宮殿に向きなおった。「えッ! 宜しいのですか。姫様には、そろそろ客人とのお約束の時間でございますが――」「分かっておるわ! だが、今はあれの好きにさせるがよい。追っても無駄じゃ……」王の声は、最後は震えるように小さくなった。今ならまだ、と言いかけた従者をジイドが制した。あとに口を開くものはなく、カーラの消えた方角に、それぞれの思いで目を向けた。* 王の一行が再び気流に乗った頃、宮殿ではちょっとした騒動が起きていた。立派な衣に身を包んだひとりの若者が、応接室のソファーから立ち上がって大きな声を出していた。「それでは! 姫君は私との約束を反故にしてまで、いったいどちらに行かれたというのです。この私と会うより大事な用が他にあるとでも?そんな説明では到底、納得しませんぞ!」整った顔立ちに美しい金髪の青年である。父王が、魔法界の次期女王のためにと選んだ、フィアンセ、バイロン公爵。正式なフィアンセとなったにもかかわらずいつになっても顔を見せてくれない王女姫に業を煮やし、みずから出向いてきたのだった。「こちらは既に、婚礼の準備なども整いつつあるのです。私がどれ程にその日を待ち望んでいるか、いかほどに恋しく思っているか。いとしい姫君にその事を伝えようと、こうして参ったというに、この私をないがしろにするとは!」そう言うと、飲み物を運んできた女官の背中に手を伸ばし、ぐいと引き寄せた。「そうであろう?」突然間近にせまった紫色の瞳に思わずはい、と頬を赤らめる女官。もう一人が慌てて床に散らばったものを片付けながら、時々羨ましそうに見上げる。何かを期待するように目を閉じた女官をいきなり突き放し、つぶやいた。「そうそう勝手にばかりさせませんよ、姫君」(つづく)姫君はいづこ?←この中ですかな?ポチッ。姫~!
March 26, 2009

おやつと一緒にこえめWorld 【カーラ17】魔法界王が、王の名の下、古き風習を守り通すことで、現在の平安を維持してきたのは事実であり、また何よりもそれを誇りとしている王であった。ゆえに権利の象徴とも言うべき玉座崩壊は計り知れないほど大きなダメージを王に与えていた。あれ以来、宮殿の自室に閉じこもり、女官に食事を運ばせるとき以外は、誰とも会おうとはしなかった。王は今、古きものから新しきものへと移り変わるのを予感し、その心は騒ぎたて、カーラの言い分をどうするべきかさえ全く分からなくなっていたのだ。久し振りに生じた心の迷いに、ついに耐えかねた王は、数日ののち、回復したジイドたち三人の従者を従えると、預言者セテのもとへ赴いたのであった。而してそこでも、王の心に慰めはなく、むしろ苦悩が大きくなるような答えが待っていた。 王女姫カーラは人間界の男との間に女の子をもうける運命であると告げられた。、しかも生まれてくる子には、何か特別な事があるらしいともいうではないか。その時父王は、天の御心に従って、カーラの思うようにさせるよりほかは無いと覚っていた。せいぜい五年。人間界で言えば十五年以上になる計算だ。セテの言うように、子をなし、育てれば、親の気持ちも分かってこよう。その時迎えをやっても決して遅くは無い。法殿から出てきた王が、そう心に決めて、ジイドたちの準備したポーター気流に身を任せていたときだった。もう一つの風が、彼らの横をものすごい勢いですれ違っていった。 それは、同じ魔法を使えるものにしか見えない金色の粉を後に残して、宮殿とは反対方向へむかって行き、すぐに見えなくなった。「うわッ!……危ないなあ、あんなに飛ばして。誰でしょうね、全く」年若い従者が言った。「……あれはカーラだ……」王は呆けたように言った。その隣で、ジイドの顔も青ざめていた。(つづく)←押し忘れはございませぬか?(ジイド)
March 25, 2009
らーめんず、皆様にお伝えしましたらーめんず、表記が間違っていましたので訂正いたします。正しくはラーメンズでした。家のものからチェックが入りました。失礼しました。
March 24, 2009

いらっしゃいませ。こえめのお部屋へようこそ部屋ッ? あ、ゴミみっけ! 今回のお気に入り。それは『らーめんず』です。コントの二人組みです。 you tubeで観られます。最近の我が家の大ヒットですッ。 とにかく完成度の高い芸が観られます! 何度みても笑えますッ!!!(´▽`)!!! ヘンでカッコ良くて可愛くてヘンすぎます。 らーめんず天才でしょ? 夜中に観ると(お酒が無くても)もの凄く盛り上がります ご覧になる際は、くれぐれも窓を閉めておいてくださいね。でないと近所から苦情がきますので。それから飲み物注意ッ!タオル用意してね!お題「バニーボーイ」が好きッ。 ところで、気まぐれキリ番の発表ッ! framboiseマカロンさん ! 2828(にゃんにゃん)番目アクセスありがとうッ! 以上こえめでしたッ! Ps. 皆さんもF1、好きなんですね。うれしいなぁ。 アイルトン・セナ。彼は天才でした。 うどん・おでんおどん!……おどん?
March 24, 2009

痛みに気を失い、夢を見ていたリカム。続きをどうぞ 始めての方、ほかを読みたい方はこちらからも目次へいけます。 【カーラ16】「リカム。おとなになったらわたし、人間とけっこんするの」そういうと、幼い少女はリカムに向って手のひらの花びらを散らした。「何を仰るのです、姫様! 人間は私たち魔法びとの敵です。あのような怖ろしいものと結婚などと……。二度とその様な事は言ってはなりません。父王様が悲しみます」そういっている自分の目から、涙があふれ出た。あまりに突然の感情に、リカム自身驚いた。 その胸の激しい痛みは、リカムを打ちのめそうとすると同時に、どこか懐かしさを秘めているようでもあり、こころの奥深く閉ざされた扉がわずかに開きかけたような、もどかしさを感じさせた。目の前を、無残に引きちぎられた花びらが雪のようにゆっくりと、大きく滲みながら通り過ぎていく。(私はなぜ泣くのだ。今のはただの好奇心から出た言葉。姫様は人間がどんなものか、まだ何もご存知ではないのだから……)「姫様。そろそろ戻りましょう。風が出てまいりました」「イヤッ、もっとここに居たい。リカムと一緒に居たい」「私はいつだって一緒です。一生、姫様のお側を離れたりしません」「ほんとう?」「本当です。天に誓って」優しくいいながら、小さな手を包み込むように取り、リカムはひざまずいた。カーラがくるりと彼の腕の中に入り込んだ。小さな背中がリカムの胸に押し付けられ、甘い香りがリカムの胸を満たす。(天よ。時よ。今を永遠に……)「リカム。どうして泣いているの? どこか痛いの?」「いいえ。姫様」いつの間にか胸の中の少女が、成長した姿へと変わっていた。目を閉じたカーラの唇に、自分の唇を重ね、リカムは強くつよく、その体を抱きしめた。夢であることを知りながら。(つづく) 押してください耐える男リカムです
March 23, 2009

背中に大きな怪我をしたリカム。続きをどうぞ そんな前の話忘れちゃったよという方は、こちらの目次へ。 ・ リンク忘れて入れなおしました。 【カーラ15】「うああぁ!……ううッ……」痛みにうめく声が石造りの壁に木霊(こだま)する。「もう少しじゃッ、しっかりせんか、リカム!」リカムが最後を覚悟したとき、ギリギリのタイミングでその背中を引っ張ったのが、ジイドだった。「ジイド殿。もう少し静かに願えませんかなッ。何度も申し上げますがいまの彼には、こちらの声は聞こえておりませぬゆえッ」キンキン響くしゃがれ声が言った。ジイドは渋々ベッドから引き下がったが、魔法医師の手の動きに合わせて、またリカムがうめくと、すぐさま耳元に寄って来て呼びかける。「ジイド殿ッ!なにとぞそちらのベッドでお休みくだされッ。傷の治りが長引きますゆえッ」さっきからこの繰り返しで、魔法医師はそのたびに気を散らされ、術の邪魔をされて苛立っていた。魔法医師が何度目かの忠告をしようと眉根を上げた。だが今やっとそれを無視する方法を覚えたのか、今度は眉根を寄せなおし、中断することなく治療を続けた。当のリカムはといえば、うつ伏せにされたまま意識は薄れ、ふたりのやり取りもぼんやりと、まるで恋人同士がささやき合っている様にしか、聞こえてこない。(姫様……)己が痛みに負けて、声を上げているにも気付いていなかった。魔法界王の宮殿より小さな森を一つへだてた、ここ『魔法医師の館』では、玉座崩壊というとんでもない事態に巻き込まれた、あわれな従者達の治療が行われていた。あとの二人の従者は、幸いかすり傷程度済み、助手の医師が筋肉痛をとり除く術をかけたあと、別室に運ばれていった。いまは一番手負いの深かったリカムの、自然治癒力を高める術をかけている最中なのだ。* リカムは夢を見ていた。あたり一面、色とりどり咲き乱れる小高い丘。やわらかい日差しの中の少女。 その小さな手に摘んだ花をあふれさせ、どの花よりも輝きあふれている、その笑顔。どれくらい見つめていただろう。永遠に時間が止まったような気がしたとき、そのかわいらしい唇が小鳥の歌を歌うように小さく動いた。 「リカム。おとなになったら……」(つづく)続きが読みたくなったら押して応援お願いします
March 22, 2009

いらっしゃいませ。こえめですご注意……この先は、こえめの脳内に興味がある方だけ、限定で、 読んでくださいね。ホント。つまんないから あ、読んじゃう?ないしょだよ 夜中のテレビで《F1》観るのが好きでした。あの音。フォフォフォフオ~ン。なんともいえず、気分か浮き立ちますッ。ただ車が走ってるのを観てるだけじゃないのだよ。ピットのタイムとか、コーナリングとか、やっぱり〇〇のピット要員は働く様子が他とは違うな、とか。感じるものがあるのです。クラッシュシーンはまた格別。別に期待して待ってるわけじゃないけど、なにがって、その後の処置の素早さとか?もちろん大きな事故になるときもあるわけで、ああ、命かけたプライドが闘ってるって思いました。ここッ!大切ね!プライドってとこOK?そういうギリギリ感が、純で無垢な乙女のハートに響いてきたのです。始めは花形レーサーに憧れていたけど、ある時こえめは気がついたッ。いくら天才レーサーだって、マシンが有能じゃなきゃ絶対に勝てないってことに。マシンはメカニックの人が、レーサーのクセを生かすように調整しているわけで。そして天候、路面、レーサーの体調などなど、あらゆる状況を一瞬で判断して、マシンの調整に効かせるわけで。メカニックって、レーサーと並ぶもう一人の立役者じゃ~ん!しかもそのでき不出来が、人の命に関わって来るかも知れない。こんな凄いやりがいのある職業って、他に無いッ(いや、いっぱいあるけど)。なりたいって思った。ここがポイント。男だったら絶対レーサーかメカニック目指していたと思いますッ!正統派ッ! 以上こえめでしたッ!ふうっ こんなこえめですが長い目で見てください
March 20, 2009

好きです春の雨。こんな日は心静かに過ごせそう。 (この上に目次がないときはこちらから)今回は実夏ちゃんが久々の登場です。―16―実夏 えっ? 塔哉くん?……知ってるわよ。不良だった人でしょ? あんな鈍い人、滅多にいないわ。あたしを追いかけて階段で落ちそうになったから、しょうがない、魔法で助けてやったのに、その事にぜーんぜん気がつかなくって。まるで自分がオリンピック選手になったみたいにあたしの前で威張っちゃって。その後もしばらくの間、みんなに自慢してたって聞いたわ。まるで馬鹿みたい。あとで真矛に相談して、あたし達を怖がらせてくれたお返しに、幻影でも見せてやろうって言ったんだけど、でも真矛、そういうのは良くないって。あたしもそうかなって思ったから、やめておいてあげたわ。あんな人にいつまでも、かまっていられないもの。中学に入ったばかりで、あたし達いろいろ忙しかったしね。でもね、本当に馬鹿なんだから、その塔哉ってひと。真矛にメールで告白したり、屋上に呼び出したりしたくせして、今度はあたしに、付き合ってくれって言いにきたのよ、信じられる?んもう、失礼しちゃうわッ。そりゃあ顔は悪くなかったけど、不良だってことより何よりそもそも魔法のセンスが無い人って、あたし駄目なの。え? 魔法のセンス?それは要するにね、魔法を見たときにそれが魔法だってことが直感できるかどうかってことよ。それってあたし達にとっては重要な問題なの。(つづく)この、春色ジュレパフェたのんでいいですか?
March 20, 2009

こえめの原点。 ちょっとヘヴィーなテーマでお送りいたします。 こえめの原点。それはズバリ!テレビです! えっ、いばれるの?幼少のみぎりよりお祖父ちゃんのおひざの上で、夕方からの水戸黄門、暴れん坊将軍、相撲中継など、見ておりました。 小学校高学年のころには、テレビで映画みるのが大好きで なかなかな夜を過ごせるまでに成長いたしました。どんな夜よそれ?もちろん勉強などもおろそかにはせず、キチンとやりましたよ。 テレビ見ながら、ネコの鼻出たッさわりながら……トリップ中です 「むじん君」の黒くて悪魔みたいなCM、ご存知ですか?Σそこにきたの!? あれ怖いですね。それが正解かと。 By the way もう一つッ!yuukikazさん 2345番目アクセスおめでとうッ! ↑いーんぐりーっしゅ!勉強の成果のようです 以上。こえめでした。ヘヴィーなの?これ今は映画、レンタルです映画TV番組カムバック!ちなみに今はテレビみることはほとんどありません。
March 19, 2009

目次がトップページにあります。この上に出ていない場合は、ここからも行けます。 今は高校生の塔哉くんパフェを美味しそうに食べながら中三のときのことを話してくれています。このとき真矛と実夏は、あどけなさの残る中学一年生。 ―15―塔哉4 なに笑ってんの?昔の人に知恵を笑うと、バチがあたるぜ。だからとにかくサー、いざって時には、なんつーか体が自然に動いちゃうんだよね。そん時もさ、俺、自分で意識して無いのに勝手に手足がバタバタ動いてさ、まるで鳥みたいだったな、って後から思ったよ。何せそん時俺の頭ん中、実夏のことで一杯だったし、何がどうなってんのか、全然分かんなかったけど、気がついたら普通に真っ直ぐ床に立ってたんだよなー。ねぇ、俺ってスゴクね?だって、結構な高さだったぜ、あの階段。しかも踊り場からまだ二,三段しか降りてなかったはずさ。いや、もしかしたら踊り場から直接だったかも知んねえ。いくら受身の天才だって、あんなとこから飛び降りりゃあ脳シントウ起こすとか、脱臼して骨がやられるとか、なんかあって当然でしょ。マジ、自分でも驚いたね。俺って天才?結局そのあと先公に呼び出されて、説教は聞かされるわ、うちの親に締め出し食わされて、晩飯抜きだったって話だけどよ。なぁ、ひどくね?それ。俺、まだなーんにもしてねえじゃん。店の外ぶらぶらしてたら、ちょうど大工の棟梁が通りかかってさ、そんならうちに泊まってけって言ってくれてよ。お言葉に甘えて行ったらさ、付き合えって言われたから付き合ったんだけど、酒と刺身で豪勢な夕飯になって、そのうち仕事仲間の職人さんが何人かやって来て、 結局朝までずーっと騒いでたな。大人が中学三年に酒飲ませていいのかって話だよな、まったく。あっそうそう、棟梁んとこの奥さん、俺の母親と同い年って言ってたけど、すっげえ美人だったなぁ……。あ、大体こんな感じッスけど、もういいッスか。この後デートなんで。え?あぁ、あれとは別の子ッスよ。そーだ、この真矛の写真、もらってっていいッスか?あっ、言い忘れたけどそのあと、真矛って色々な噂になってたって聞いて、あん時無理に付き合わねーで良かったって思ったっけ。んじゃッ、どーもごちそさまでしたッ! また振られました写真、持ってただけなのに……
March 18, 2009

目次がトップページにあります。この上に出ていない場合は、ここからも行けます。では、ごゆっくりどうぞ 塔哉くん。メニューを開いています。 ―14―塔哉3あッ、ちょっとおねェさん!コーヒーお替りと、(これもいいっすか?) この期間限定イチゴ爛漫パフェってのひとつ、お願いね。*さっきは何だか話ずれちゃって、すんません。なんかいつもそうなんスよね、友人と喋っててもつい色んなこと思い出しちゃって。だからかなぁ、彼女できてもすぐ振られんの。いや一昨日さ、お好み焼きやでデートしたんだけど、ここのあれが旨かったんだよなぁ、って言っただけなのに、彼女怒って帰っちゃったんだぜ。しかもいきなり。なんで?女って、ほんっと、わっかんねェよなァ……。あ、そんでさ俺、階段おっこちそうになったって言ったろ?もうそん時は、目の前の実夏よりチラッと見えたやつのほうが気になっててさ。言いつけられたらマジやばいじゃん?だから落ちるくらいなら思いっきり跳んじゃえって思ったわけよ。跳んだよ、思いっきり。そういう時って、スローモーションなんだよね、リアルにさァ。 実夏の横を通り過ぎるとき、向こうもちょうど振り向こうとしたところでさ、ゆっくりこっち向いてくるのが分かるわけ。可ッ愛い顔しんのよ、これが。中一のくせしてまつげなんかピーッと上向いちゃっててさ、唇がぷくっとおいしそうでさ、俺べつに真矛じゃなくてもいいや、って思ったよ。要するに一目ぼれってヤツ?それから俺って、もともと柔道経験者だし、受身なんかもそれなりに得意なわけよ。やめてから三年経ってたけどさ、よく昔の人が言うじゃん。「カラス百まで盗み忘れず」って。なに笑ってんの? このイチゴ爛漫パフェうまいッスねーも一個頼んじゃおっかな
March 18, 2009

最近、おやつの習慣が復活しました! 昨日は、イチゴの乗っかった、クリームプリン158円。 すっかり「おやつ」のとりこです。おおげさなこと その切っ掛けになったのが、VIA♪ さんの『うぇぶめも』! じわじわ~と、こえめの笑いのつぼに効きました。長生きできそう VIA♪ さんッ♪いつも「アハッ」とさせてくれてありがとうッ♪ もう一つッ!石川誠壱さん!2000番目アクセスおめでとうッ! 以上ッこえめでした。 今回ちからが入っていたのはおやつのせいお知らせ; トップページに、目次をおいてみました。左上のホームからどうぞ。
March 16, 2009

いらっしゃいませ。 憩いのひと時、こえめWorldへようこそ。 塔哉君のお話、続きをどうぞ ―13―塔哉あいつが大声出すから俺、足踏み外しそうになって、そしたらそん時、他の生徒が俺達を見て、右のほうに走って行くのが見えたから、言い付けるつもりだって分かった。だってそっちにあるのは職員室だけっスからね。俺そん時、そうとう勢いついてたし、実夏なんかほっといてこのまま一気に、一番下まで飛び降りちゃおうと考えたわけ。あ、俺ってこう見えて、けっこう運動神経よかったんスよ。柔道の大会で優勝した事もあるくらいだから。ハハ、意外と硬派でしょ?大会ったって、まぁ、小5ん時の地区大会ぐらいっスけどね。だけどあの時は、今度呼び出し喰ったら、今度こそうちの親に、何されるか分かんない、って状況だったし。あ、うち、客商売の店なんスよ。だから俺のこと、人聞きが悪いってウルセーのなんの。まったく親なんて、子どもの事なーんにも解かっちゃいないんだよネ。店が繁盛してるのは俺のおかげだってことがさ、まるっきり分かっちゃいねえんだから。アレ?信じてないって顔?ホントよホント。今度うちの店に来て皆に聞いてみな。明るくて親思いの、しっかりした子だって言ってくれるぜ。鳶職のタカさんなんか、俺が高校でたらコンビ組んで、二人ででっかい現場やりてぇって言ってくれてさ、俺がまだ中学のうちから、あちこちの現場に連れてってくれたんだ。楽しかったけどさぁ。でも俺、大学出て普通の会社に入って、両親を安心させてやりてぇって言って、断った。でもそれ、ホントは嘘。ホントは俺、マスコミ行きてぇの。ADから始めてさ、頑張って看板番組任されるようになったら、新人タレントにもちゃんと優しくしてやってさ、大物女優との秘密の恋なんかもあったりして……とっ、とにかくしっかり将来見据えてるわけだ。この年でそこまで真剣に考えてる奴なんか、あんまり居ねぇだろ?周りの奴はみんな馬鹿ばっかだよ。 なんかさあのど渇かない?(トウヤ)トウヤ君トウヤ君。話がずれていますが?
March 16, 2009

いらっしゃいませ。脳内トリップご案内役のこえめです。本日のメニューは、久々に本編(でいいんですよね?)に戻って、 真矛の友人が登場です。塔哉くん。可愛い名前ですね。 皆様、おやつでも、お茶でもお、酒でも、好きなだけお召し上がりください。もちろん御代はいただきません。自腹ですから。では、どうぞごゆっくり ―12―塔哉あ、ども。俺、塔哉っス。バベルの塔のトウに、幸いなる哉のカナでトウヤっていいます。真矛っすか? 知ってるっつーか、まぁ、最近はあんまりアレだけど。それよか、あんた。真矛のこといまさら聞いてどーすんの? ま、いいか。中学ん時は俺達、そりゃあさー、騒いだわけよ。だって可愛いじゃん? あの顔。もろ俺好みってヤツ?あっ! なんだ、写真持ってんじゃん。ちょっと見せて。あー、そうそう、これこれ。ンー、やっぱ可愛いや。そんでさ、一年生にスッゲー可愛いの入ったってあんまり回りが騒ぐもんでさ、見に行ったわけよ、ダチ連れて。教室のチチくせーガキ……生徒たちの中でも、そこんとこだけ光ってるっつーの?変な話、後光がさすって言うのかな、ああいうの。すぐわかったよ。あんときゃ俺も可愛かったから、まずはお近づきのしるしにと思って、真矛の女友達から聞きだしてメール打ったんよ。でも、返事こねーし。ま、俺もガキじゃねーから、すぐにどうにかしようって訳じゃなかったんだけど、一応このままじゃカッコつかねーから、屋上に呼び出したわけ。普通だろ?すげー普通だよな。俺、ほんとはフツーって大の苦手だったんだけどさ、ま、しゃーねーじゃん。他にねーんだもん。人が来ねーとこなんてさ。そんで、来たわけよ。実夏って子と二人で。っんだよ、一人じゃねーのかよと思った。こっちはちゃんと一人で待ってたのによ。でも俺も一応、先輩なわけだし。怒ったりしねーで、黙って睨んでやったら、その実夏ってのが慌てて階段、駆け降りて行きやがってさ。マジ焦ったよ。先公にいいつけらたら、また親呼び出しだからよ。追いかけてって捉まえようとして、手え伸ばしたら、あいつ、俺がまだ触ってもいないのに大声出しやがって。こっちもビックリして足ふみはず外しそうになってさ。そしたらそん時……(つづく) やっぱ、あんたも押してくれるっすよね?
March 15, 2009

いつも来てくださる方も!ちょっと立ち寄っただけの方も! おっと間違って開けちゃった、という方も(^^)もちろん!おやつタイムへようこそ。こえめです わたしのお気に入りをひとつ。それはオレンジです。 果物なんでも好きですが、オレンジは特別。それは、テンションが揚がるあの香り。 幸せ感じます。それからサンバのリズムがBGMね。 Σ(・・)オレンジを切ると部屋中がパ~ラダ~イス……トリップ中につき、しばらくお待ちください。 オレンジピールチョコレートが、大好きなのです。そこにきたか! 最近見かけなくなったのが寂しいです。なぜですか? 売っていても、高いからメッタに買えませんよッ!・・・怒るのね・・・ 買う時には、かなりの覚悟とお金を用意してから、お店に行きます。コーヒーを淹れて、誰にも内緒で1本づつ大切に、ちみちみ食べます。 のつもりが勢いづいて、モグモグ、パクパク……。 こえめでした。美味しいひと時過ごせましたか? ps, あの、どなたか、ネコの鼻を触るのがお好きという方、知りませんか?
March 14, 2009

いらっしゃいませ。お待ちしておりました。カーラとリカムの、ちょっといいシーンこえめ版です。玉座シリーズ(えっ?)、やっとここまで来ました。今回また長くなってしまったので、お茶お酒のお供に……どうぞです。 一度後悔したものを訂正して再度のUPです。ご迷惑おかけします【カーラ14】 己の身体に落ちかかる分厚い岩! (……もはやこれまで!)リカムは覚悟した。ガラスの支えが崩壊したのと、誰かに背中をつかまれ、身体が大理石の床を滑っていったのとが、殆んど同時だった。背中から、ガラスの破片が突き刺ささってくる。轟音が耳をつんざき、部屋は飛び散る岩の破片と煙で、薄暗くなった。1メートルもある大きな岩の塊(かたまり)が、窓際の壁を突き破って落ちていった。玉座の椅子が床に叩きつけられ、ついに崩壊したのだ。開けられた穴から、外の澄んだ空気が流れ込み、部屋が明るくなった頃、岩が地面にぶつかる音が遠く聞こえた。それはまさに、悪しき風習の象徴の最後とも言うべき出来事だった。 「リカム!」隣の部屋から飛び込んできたカーラは、ドレスの裾(すそ)が破れるのもかまわず、鋭くとがった岩の間をぬって、リカムに走り寄った。彼の身体を強く抱き寄せ、その名を呼ぶ。「リカム!」呼ばれてリカムはわずかに頭を上げ、助かった安堵感と、カーラの顔を再び生きて見られた喜びに、その血の滲んだ顔をゆがめた。カーラは彼の頭をその胸に抱き、さも愛おしそうにリカムを見つめた。「あぁ……無事でよかった」カーラの声は、心なしか震えているようだった。 彼女の目に、透明に光るものを認めたりカムはなぜか急に堪らなくなって、大声で叫び出したい衝動に駆られた。 だが、粉塵でかさついたのどが、それを拒んだ。その時、不覚にも自分の頬に、涙がこぼれていた事に気付いたのだった。カーラはリカムの身体を起こそうとして背中に回した手が、濡れているのに気が付いた。「 こんなに血が!……」リカムが苦しい息で答える。「姫様……私は、大丈夫です。そ、れより他の者が……」そのとき壁に寄りかかっていたジイドが、やや遠慮するように言った。「イヤァ、まったく危ないところでしたわい。他のものも皆な、無事でございますよ。姫様」無論、彼とて無傷ではなかったが、その声はリカムより元気そうだ。カーラは振り返らず、リカムの瞳を見つめたままで言った。「リ……皆なを助けてくれたのですね、ジイド。礼を言います。ありがとう」「いいえ。礼などと勿体のうございます、姫様。それに、むしろリカムこそが、手前どもの命を救ってくれたのです」「リカムが?……そうでしたか」カーラは座り込んだまま、それ以上何も言わず、 やがてリカムが、駆けつけたものたちに抱えられて魔法医師のもとへ運ばれていくのを、黙ったまま見送った。(つづく)読んでくださってありがとうございます見ているわしのほうがつらくなるわい(ジイド)
March 13, 2009

いらっしゃいませ。お待ちしておりましたちょっと一杯のお供に、こえめWorl。 いかがでしょうか。【カーラ13】ジイドは取り出した小さなガラス瓶を、岩天井の一端の下に慎重に立てると、一瞬の後には、リカムの横に回りこみ、共に支えていた。ついさっきまで、死人のように倒れこんでいた者とは到底思えない機敏さであった。そしていつもの癖で、左の人差し指をちょっと舐めてから、二人の目の前に突き出した。大きく息を吸い、声を合わせて、術を唱えはじめた。その声は、互いに心強い見方を得て、意気揚々といったふうにさえ聞こえた。 指が指し示すその先には、手を握れば完全に隠れてしまうほどに小さなガラス瓶が、精巧な細工が施されたその先端に、わずかな明かりを集めて、きらきらと輝いていた。暫らくたっても、何事も起こらないかのように見えた。だが一息に唱え続ける二人の眉間に、さらに深いしわが寄った時、それまでとは違う光がその裡(うち)に芽生えたかと見る間に、目を覆いたくなるような強い光が、辺りに満ちた。「今だ!」ガラス瓶がその大きさを変えて、支えとなったと見るやそれぞれが一人ずつを抱え、外に向って飛び出した。もの凄い重圧から一気に開放されて身体を持て余したように足がもつれ、リカムはあと少しというところで従者を外に投げ出し、下半身を残してうつぶせに倒れた。支えとなったガラスは、早くも、ひびが拡がりつつあり、不吉な輝きを宿しながら、重圧の下で砕け散ろうとしていた。(つづく) 絶体絶命ってお好きですか?(´ω`)
March 12, 2009

いつも読みに来てくださる方、たまたまお立ち寄りの方、 ご訪問ありがとうございます。こえめですちょっと、つぶやいてみます。 ネコが大好きなのです。とくに鼻乾いていたり湿っていたり。 今は都合で飼っていませんがネコの鼻をさわるのが、趣味と言ってもいいくらいです。 道端でネコに出会ったら、人目を気にしながらも、ちょっとだけさわらせてもらっちゃいます。 くいくいっ!よし健康ッ! ネコの鼻をさわるのがお好きという方、いらっしゃったら、一言コメントいただけると嬉しいです。 これって、一種のカミング・アウトッ!でしょうか?一緒に寝ると枕取られますよねおなかの毛はウールの匂いです
March 12, 2009

いらっしゃいませ。ようこそ、こえめWorldへ。 リカムと従者たちの、脱出劇の続きです。どうぞ【カーラ12】 「……姫様ッ!」リカムはポケットの中の小さな輝きを眼の端に映しながら、必死で考た。この手を離した一瞬の隙に、術を唱える事は可能だろうか。だが、思い浮かんだ短い術の言葉では、どれも役に立ちそうにない。 そもそも如何に俊敏なリカムであろうと、このわずかな隙間では、どんな術も唱えきれるわけが無かった。床と岩天井にがっしり押し挟まれて指一本動かす余裕も無い。汗で手がすべりそうになる。岩の天井と化した玉座の椅子が、その重さを増してくるような気さえしてきた。若い従者は目をギュッとつむり、歯を食いしばっていた。ベテランの従者が「くそっ」と言ったようだった。いよいよこれまでか。従者二人の意識には、《最後》という言葉が、それまで何度となく思い浮かんでいたはずである。だが、リカムは諦めていなかった。彼は、意識を失って足元に倒れていた従者ジイドの頬にわずかな赤みが差してくるのを、見逃していなかった。地獄のような圧迫感の中で、ジイドを呼んだ。「ジイド、起きてくれ、ジイド!」気が付いたジイドは、飛び起きた拍子に頭をイヤと言うほど天井にぶつけた。「アイヤッ!」重量のある岩は、その程度では振動すら伝わらない。だがジイドはどんな状況であっても、図らずして場を和ませる天才だった。リカムは、身体に再び力が漲(みなぎ)るのを感じた。「ポケットの中のものを!」姫様からいただいた、大切なガラスびんを、リカムが視線で示した。ジイドは鋭くうなづき、その節くれだった指で、小瓶を取り出した。(つづく)簡単にはくたばりませぬぞ試しに押してみますかな?(ジイド)
March 11, 2009

いらっしゃいませ。お待ちしておりました。こえめです。 前回から、短めのUPにしました。サクッと読んでもらえるようにとの配慮からです。 教えてくださったのは、soraさん。私がこのブログを始めて以来、いつも、ハッピーをもらっている方です。もちろん、今これを読んでくださっている、あなたからもです。ありがとう 【カーラ11】 その玉座には、古(いにしえ)より特別な魔法が掛けられ、いかなる魔術も利かなかった。また、どのような理由があろうとも、玉座の間で大声を出して人を呼ぶなど、決して許されないのであった。王の怒りを買った者の恐ろしい運命は、皆な、十分に心得ていた。いくらリカムが魔術《ゲイン》でその身体能力を高めていても、いずれは力尽きてしまうだろう。リカムは後悔した。 これまで誰よりも、冷静な判断ができる男として評価されていたはずの自分が、なにゆえに自らを陥れるような真似をしてしまったのか、と。部屋の入り口にある小さな飾りテーブル、それに魔術をかけてさえいれば、今頃は倒れた玉座の椅子を元に戻す算段をしていた頃だったろう。何か、何か方法はないか……!そのとき、胸のポケットで、何かが光った。それは、カーラと二人きりで人間界に行ったあの日、雑貨屋の前で、カーラを抱き支えながらきつく握り締めた、小さなガラスビンだった。ただなんとなく手にした物だったが、カーラが、美しいものだからと言って、人間界の小さく平らな丸い金属と交換してくれた、大切な思い出の品だ。(……姫様!)リカムの中にカーラの笑顔が大きく拡がり、肉体の苦痛とは別に、言いようの無い胸苦しさで顔をしかめた。(つづく)私がこの後どうなったか知りたい方押して頂けませぬか?(リカム)こえめにもまだ判りません(゜゜;
March 10, 2009

いらっしゃいませ。お待ちしておりました本日のこえめWorld、開店です。 【カーラ10】 魔法界王は、法殿から出て、明るい日差しの中に立っていた。暫らくの間、思いつめたように俯(うつむ)いていたが、思いを振り切るように、顔を上げた。「待たせた。帰るぞ」「かしこまりました。風門の準備は出来ております」法殿の外で控えていた若い従者が、得意そうに言った。後ろの二人の従者は、それで良いというように頷く。そのうちのひとりが洩らした笑顔には、前歯が一本欠けて、ユーモラスな表情をのぞかせていた。そう、この者達は数日前、玉座の間で危うく王座で下敷きになりかけた、あの三人だった。あの時リカムが、隣の部屋のただならぬ気配を感じ、間一髪のところで駆けつけ、彼らの命を救ったのだ。* そのとき老年の従者ジイドの意識は、すでに朦朧としており、ただその気力だけで、岩のようなそれを支えていた。ほかの二人も脂汗を流し、すでに身体の感覚は無く、持ちこたえていると言うよりは、酷使しすぎた筋肉が、そのままの状態で固まってしまったにすぎなかった。もはや、己が肉体の限界を超えていた。まさに運命が尽きるその時を、今かと待っている状況であった。リカムがすぐさま術を唱え、その《ゲイン》の力で自らの肉体を強化し、巨岩の下に入り込んだとき、それを待っていたかのように、ジイドが床に崩れた。(つづく)読んで頂きかたじけない押してくだされ(ジイド)
March 9, 2009

読みに来てくださった方、ちょっと立ち寄っただけという方。このページを開いてくださってありがとうございます。こえめです。 今日はちびっと自己紹介。好きなもの………ネコでしょ、もう好きな食べ物……なんでもいけます、ゲテモノ以外。天変地異が 起きても、生き延びられると信じております。 決して昆虫ゴキではありません。人間です。自慢………………?…………………………………?!。得意な事…………いつでもどこでも脳内トリップ。 またいつでも、こえめWorldに遊びに来てくださいね。 ps.ファンタジー部門5位になっていました。う、うれしいでしゅ;ω;感謝感謝のこえめでした←見に行きます?リンク忘れてましたので再度のupです。ゴメンね。
March 9, 2009

いらっしゃいませ。こえめWorldへようこそ 今回も引き続き、彩葉さんにお話をうかがいましょう。では彩葉さん、お願いします。(前のお話) (総合目次) ―11―彩葉 山本君が学校に出てきて、とりあえずホッとしました。彼が休んでいたのは別に、わたしのせいじゃないですけど。でも彼、明らかに様子が変なんです。いつもだったら、絶対に、わたしに足を蹴られて怪我をした、って、言いふらすような奴なんですよ。当事の山本は成績の事で、わたしに対して一方的に敵対意識を持っていて、それで何かと突っかかってきていました。それが、急におとなしくなっちゃったんですから、わたしじゃなくても変だって気づきますよ。 それで、思ったんです。あの実験の後、真矛と山本の間で、何かあったに違いない、って。真矛に聞いても良かったんですけど、ほら、実験の次の日、真矛に、まるでわたしが魔法を使って色を変えたみたいに言われた事もあって、それ以来なんとなくね……。だから直接、山本に聞こうって思ったんです。 それから数日たって、山本が日直で帰りが遅い日でした。放課後みんなはいつものように体育館の裏で、魔法ごっこをやっていましたが、わたしはおなかの具合が悪いとか何とか、適当な事を言って、先に帰りました。校門で校舎を振り返ると、山本が窓から身を乗り出して黒板消しをはたいているのが見えました。わたしは少しさきの田んぼのあぜ道で四つ葉探しをしながら、山本が通りかかるのを待っていました。 宿題の笛を吹きながら山本が角を曲がってきたとき、わたしに気づいてビクッとしたように見えました。笛を吹くのをやめ、わたしを無視して通り過ぎようとしたので、ちょっとムッとしながら話しかけました。「ねぇ、山本君。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」そしたら山本のやつ、急に走り出したので、わたしも追いかけました。彼は野球もサッカーも全くへたくそだったけど、走るのだけは早かったんです。それでもその時は、なんとか追いつけそうでした。その先の曲がりくねった住宅街の道をわたし達は、わき目も振らず走りました。今思い出しても、危ない事したなと思います。近くには、当事新しく出きたばかりの大型スーパーがあって、そこが抜け道になっていたんです。その時間帯はいつも、自転車や歩行者が、引っ切りなしに通るんです。いつ何にぶつかっても、おかしくない状況でした。でも、そんな事は起きなかった……。誰もまわりにいなかったんです。 とにかくわたしは、早くこんな馬鹿げた追いかけっこやめようと、目の前にせまった山本のランドセルを思いっきり引っ張りました。その勢いで彼の横を通り過ぎるとき、バランスを崩したのが見えました。 「ごめん! 大丈夫?」 立ち止まって振り返ると、彼はしりもちを付いたまま腕組みして座り込んで怪我でもしたように顔が歪んで、とても苦しそうでした。理科室で蹴飛ばしたときとは違う、なんだか後ろめたい、いやな気持ちになりました。 またいつもの癇癪が始まるぞと覚悟していたら、「お、お前……魔女なんだろ?」小さいけれど、はっきり聞こえました。 なに? 何言ってるの? それを言うなら真矛でしょ?でも、言葉が出ませんでした。その時の山本の声が、怯えていたんです。「オレ、し、知ってるんだからなッ」 山本は普段、大人の前では《ぼく》って言ってるくせにそうじゃない時には急に威張って《オレ》になるんです。 「あの後オレ、真矛から聞いたんだからなッ」 真矛! 真矛がそう言ったの?! そんな……。 わたしは、彼がわたしを怖がっていることと、さらに信じていた友達から裏切られたショックで、立っているのが精一杯でした。 山本がランドセルを抱えて走り去るときも、言いたいこと何一つ、声を出していえませんでした。 このままでは何だか大変な事になるぞ、と思いながらとぼとぼ歩きはじめると、さっきまでしんとしていた通りが何時の間にか日常の賑わいを取り戻していました。 (つづく) (次のお話)ランキングでーす→ 楽天ブログって、携帯で投票が出来なかったんですね。←ブログをお持ちの方。足跡残してね。後でこえめが遊びに行くんだからっ。
March 8, 2009

ようこそ。こえめWorldへ。カーラの話が続いています。現実的なことよりも書きやすい、何でもありの世界。 脳みそが(いつでも)現実離れしているこえめです読んでね。 【カーラ9】預言者セテは、疲れているのか、或いは考えているのか、黙ったままだった。更に時がたち、王はいよいよ待ちきれない気持ちになってきた。だが、恐れるものなど何も無いはずの、魔法界の王といえども、師と仰ぐセテに対しては、神妙にならざるを得ない。更に、先日の玉座の間での出来事を思い起こしては、なおも己を律するのであった。王は、聞きたい気持ちを抑えて、魔法が作り出した、霧の幻のことを考えていた。 カーラが抱いた赤ん坊は、いったい何を意味するのだろう。父親がバイロンならば善し。だがもし、人間とのあいだに生まれるのであれば、その様なはしたないマネは、魔法界王として、到底許せるものではない。面倒を起こす前に、すぐにでも手を打たねばならぬ。偽りの結婚をするか、父に背き魔法界を追放されるか。どちらにせよ、カーラにとって辛い日々が続くことは王女姫という立場上、仕方の無いことなのであった。いくら考えても、どうするべきか答えが出るはずも無い。なによりも父王は、娘カーラを愛しているのだった。 やがてセテがその面を上げて、静かに語り始めた。「そなたもご存知のとおり、魔法界の時間と、人間界の時間とでは、流れる速さが違っておる。現在、魔法界に対して人間界は三倍の速さで進んでおるんじゃ。その比率は、大きくなったり小さくなったりしながら常に変動しておる。今後その差は、更に大きくなるじゃろう」王は、もどかしいさを声に出して聞いた。「マエストロ・セテ。その事は私も知っております。それと、先ほどの霧が示したものと、何か関係があるのですか」その問いには答えずに、預言者セテは、どこか楽しんでいるような口調で言った。 「生まれてくる子どもには、何かがあるようじゃな」「何か、とは?」王はいぶかしげに聞いた。「今はそれしか言えぬのじゃ。わしにとて判らぬ。じゃが、このまま押さえつけたところで、あのカーラが大人しく言う事を聞くとは思えまい。ならばいっそ、思い通りにさせてやったほうが良かろう」「それも、お告げなのですか」「いかにも。どうやら天は、それを望んでおられるようじゃ」そこで王は、低く呻いた。「よく考えて見なされ。タリユス殿。人間は、年を取るのが早い。数年も立てば、相手は老いぼれ、その頃には姫様も、己の立場をじっくり考える事ができるようになるじゃろう」そう言って、セテは深々とお辞儀をすると、長い銀の髪を後ろに引きながら、法殿の奥へ入ってしまった。 ひとり残された王は、深くうなだれ、しばらくの間動く事ができなかった。(つづく)如何だったかな?押してゆくがよいぞ
March 7, 2009

夕飯の後すっかり眠ってしまい、こんな時間になりました。 さぁ! 本日の『こえめWorld』、はじまりはじまり。【カーラ8】魔法界の最長老セテ。彼は今、《予言の間》で王に向かい合って立ち、静かな、だが暖かみのある笑みをたたえていた。その微笑みは、術を唱えるとき以外は自然とその口元にのぼり、会う人に、安らぎと尊敬の念を起こさせる。その一方で、長い銀髪の奥からわずかにのぞく、落ち窪んだ虚のような眼が、一種の畏怖を与えていた。もはや光を映すことの無いその瞳は、かつての眼光こそ失ったとはいえ、何かじっと見つめているようでもあり、さしもの王も、すべてを見透かされたかのようにたじろいだ。セテは自らもさかずきを呑みほすと、椅子の上に戻った。「さて。タリユス殿。それでは用件を聞くとしようかのう」王は先日の娘カーラとのやり取りを、かいつまんで話した。黙ったままでひと通り聞き終えたセテは、ポケットから何かを取り出し手の平に乗せると、ひとつ大きく息を吸ってから術を唱えはじめた。真綿の固まりのような白いものは、始めのうちは、セテの息遣いにあわせて揺れていただけだったが、やがて出来立ての綿菓子のように膨らみはじめ、繊維の一本一本がほぐれ出し、見る見るうちに大理石の床に、霧のように拡がった。セテが術を唱える声に力を込めると、その霧は、まるで意思を持った何かのようにのろのろと床を這いながら集まった。行き場をなくした霧の中心は、その色を濃くしながら湧き上がるように、上へ上へと伸び上がった。それは徐々に人の形をとるようにみえ、王が神妙な顔つきで見守る中、最後にとうとう、乳飲み子を胸に抱く聖母の姿となった。輪郭が空気と交じり合って、ぼやけて歪んでいる。魔法界の王といえども滅多に目にする事のない、その見事な術に、王はひたすらじっと見惚れていたが、ふと、気づいたようにつぶやいた。「ラスティーヌ……」「いいや。タリユス殿。これはカーラじゃよ」セテは、王の幼い頃からそうしてきた、ほんのわずかな間違いに気づかせるときの、相手を思いやる口調でそう言った。父王はハッとして霧から目をそらし、偉大なる預言者の顔を見た。しかし、魔術を終えた後の疲れからかセテの口元から笑みは消え、今はその表情から何も読み取れなかった。(つづく) どうじゃった?押してもらえるかのう
March 7, 2009
いつも訪問してくださる方、初めての方、このページを開いてくださってありがとうございます。このブログを始めて半月。ランキングも少しずつ上がってきました。感謝です!右手だけで打っていたら、家の者に、両手でやれといわれ(無理)ログインして直接書き込んでいたら、違うといわれ(どこが?)でも相変らずそのままです ´ω`まだ続けます、読みに来てね ↑ これもダメ出しされたけどいいの
March 6, 2009

【カーラ7】 父王のカーラを見つめる目には、父親としての、深い慈しみの光が宿っていた。「あぁ、よかろう。リカムはお前の第一の側近であるからのう。姫に忠誠を誓ったものとして、聞かれて答えぬ分けには行かぬわ」王がそう言いながらリカムを見遣ると、彼は恐縮したように頭を下げていた。カーラは小さくひざまずき、清らかで気高い百合の花ように、父王の手に口づけをして言った。「ありがとうございます、お父様。愛していますわ」父王は満足そうにうなずくと、その大きな暖かい手で、優しくカーラの顔をあげて言った。「だが、カーラよ。父を愛すると言ったその口が、何ゆえにこのわしを困らせるような無茶を言うのだ」「お父様……」カーラは、父王を悲しませたくはなかった。しかしまた、自分の生き方を選ぶ権利を放棄することも、出来ないのであった。「可愛いカーラ。わしはいつでもお前の見方だ、そうであろう?」見方。見方って何の?お父様にとって大事なのは、わたくし個人ではなく、いずれこの世界を統べる王女姫としての、わたくしの立場なのではなくて?カーラは父を傷つけたくないと思う反面、どうしても言っておかなければという強い欲求が、湧き興ってくるのを止められなかった。 「いいえ、それは違いますわ、お父様。お父様は、わたくしよりも、魔法界の規律が大切なのです。古い風習にしがみついてばかりでは、魔法びと達の心は荒むばかりだということに、まだお気付きではございませんの」毅然とした態度でそう言い切ったとき、カーラは胸の奥に、杭を打ち込まれたような重苦しい痛みを覚えた。娘の突然の反論に、それまで片隅に追いやられていた王の怒りの感情が戻ってきた。 「何を言うか! 全ては、お前の幸せ、それだけを願ってこその事!」「いいえ! 自分の都合を押し付けるだけのお父様には、わたくしの気持ちは、お分かりになりませんわ。お母様ひとり、大切に出来なかったお方ですもの!」父王は突然、石で殴られたような顔になり、ふらりと一歩よろめいた。「カーラ! あれは違うと、何度言ったらわかるのだ!」その時、玉座の間から、地響きのような低い音と、めまいに似た体の揺れを感じた。王が、おのれの怒りに任せて冷静さを失った結果であった。 数日後、王は、預言者セテのもとに赴いた。セテは、法殿の奥にある〈預言の間〉で待っていた。「おお、これはこれは。久し振りじゃのう、タリユス殿。きょうは朝から、何やら予感がしておったが、やはり御主であったのか」彼は、王の子どもの頃の名前を呼び、柔和な口元をさらにゆるめた。「久方のご無礼、お許し願いたい。マエストロ・セテ。」老人は静かに椅子から立ち上がり、側にあるテーブルの上の水差しを取り上げると、慣れた手つきで、小さなさかずきに注ぎいれた。「まずは、これを」王は、差し出された杯をあらたまって受け取り、その清涼なる妖精の湧き水を一気に流し込んだ。(つづく)楽しんでもらえた?おしていただきたい
March 5, 2009

【カーラ6】王は、三人の従者を玉座の間に残したまま、次の間で、カーラと向かい合っていた。 父王は、一人娘カーラに、王座を継がせるつもりでいた。「愛しいカーラよ。何ゆえに人間などに興味を持つ?」 怒りに任せて従者に与える苦しみなど何とも思わぬ王であったが、愛娘の前で、口調が甘くなってしまうのは世の父親と同じであった。そしてカーラは、その整った顔立ちだけでなく、頑固な気質も、父親から譲りうけていた。「お父様が何と仰ろうと、わたくし、あの方でなくてはなりませんの」「お前は己の立場というものが、全く解かっておらんのだ」「いいえ。お父様が、わたくしの知らぬ間に、あの厭らしいバイロンとの縁談を決めたことは、よく解かっております」父王は、カーラがその事実を知っていたことに驚き、側近のリカムを振り向いた。王の目が、驚きよりも怒りを顕わにする。リカムは無表情を装いながらも、その濃い緑色の瞳は、王の目を、怯むことなく真っ直ぐに見返していた。王は肩を大きくいからせ、先程とは打って変わった、厳しい口調で言った。「どんな処罰も、受ける覚悟の上だな、リカム」「はい」「違いますわ! お父様」咄嗟にカーラが声を張り上げた。「わたくしがリカムから、無理に聞き出したのです!それに、その噂は以前より囁かれていましてよ。噂が流れていた事は、お父様もお気づきだったでしょう?」父王は、諭された子どものように、いからせた肩を落とした。「わたくしはそれが事実だと、始めから気付いておりました。リカムにはただ、わたくしの考えが合っているかどうかを、確かめただけですのよ」ですからお父様、と言いながら、カーラはしなやかな白い手を、父王の暖かく大きな手に添えた。「リカムのことは、お許し戴けますわね?」 既に父王の目に怒りはなく、今はただ愛する娘の幸せを願うだけの、父親の姿であった。(つづく)楽しんでもらえた?おしていただきたい
March 4, 2009

きてくれてありがと。こえめです人間界で、一人の男と出会ったカーラ。彼に対して、何か特別なものを感じたようでしたね。それからすこし経ったころのお話です。 【カーラ5】魔法界を取り仕切っていた王は、その強大な魔術力にたよるだけでなく、古くからの仕来たりを重んじることで、この世界の平和と秩序を確立させてきた。魔法びとにとって、今の平和は、祖先が追い求めつづけ闘ってきた<夢>の実現、そのものに他ならないのだった。あらゆる物事は、魔法に頼り、簡素化され、自らの肉体を酷使することは卑しいこととされていた。赤ん坊の世話さえも、母親は手を煩わせることなく術を唱えることで済ませるのが当たり前になっていた。 *今、この部屋の中は、重苦しい緊張感に包まれていた。王は、玉座に深々とすわり、従者からの報告を聞いているところだった。動いているのは、従者の口と、玉座の椅子の手すりをイライラと叩く王の人差し指のみである。玉座の椅子は、黄金貴石でこれでもかというくらい飾り立てられ、光り輝く壁のように、王の背後にそびえていた。 「最近、カーラの様子がどうもおかしいと探らせてみれば、あろうことか人間なぞにうつつを抜かしおって!何たる失態!!」王は、「何たる」を「ぬぁんたる」と力を込めて発音した。報告した従者が、まるでムチで打たれたように身を縮め、上目遣いになった。 その様子を睨みつけながら、突然、王が勢いよく玉座から立ち上がった。 ゴッ、と鈍い音がして、背もたれのやたらと高い椅子がゆっくり後ろに倒れていく。お側控えの従者たちが、慌てて駆け寄り、勢いを増しながら倒れこんでくる椅子の背を、三人がかりで何とか支えた。王がまた叱責した。「いったい何をやっておる!さっさと魔法を使わぬか!」 「......しかし王様ッ」年若の従者が、押しつぶされる寸前のような苦しい声で言った。「きッ昨日は――ッ?」 昨日は確か、この部屋で魔法は使うなと、仰ったはずでは、と言いかけてやめた。頬に何か小さな硬い、尖ったものがぶつかったのだ。何かが飛んできたほうを見ると、隣の年配の従者の顔が、(余計な事は言うな!)と訴えていた。さっきぶつかってきたのは、思い切り歯を食いしばった拍子に欠けてしまった、年配の従者の前歯だった。必死の形相にもかかわらず、前歯が一本無いだけで、何とも間の抜けた表情になってしまった。 それを見て、つい笑い出しそうになり、力が緩んだ。 その途端、ズン、と十五センチほど背もたれが沈み込む。これでいよいよ、体勢が苦しくなってきた。しかし王は、彼らの苦しみなど意に介さず、火に油を注がれ怒り心頭、といった様子であった。「何たる生意気! このわしに向って意見をするかッ!!しばらくそのままで居るがよいわッ!」そう言い置くと、次の間へ悠々と歩いていってしまった。 残された三人の従者たちは、巨大な岩の天井と化した背もたれの下敷きになろうかという状況に置かれたままで、何とかせねばと、焦った。だが、両手がしっかり椅子の背に張り付いていては、魔術が使えない。誰か一人、せめて指一本でも動かすことが出来れば……。だがそれは、今の彼らには到底出来ない相談である。指を動かすには、その手が支える力を緩めなくてはならない。しかし、今無理に動いて、ぎりぎりの状態で辛うじて保っているバランスが少しでも崩れたら、それこそ術をかける間もなく岩壁に押し潰されてしまうだろう。助けを呼ぶにも、ここは宮殿の一番奥の玉座の間。叫んだところで他の者達の耳には届きそうになかった。仮に運よく犬並みに聴力が発達した者がいたとしても、結界に阻まれてここには入れないのだ。しかも万が一命が助かったとして、神聖な玉座の間ではしたないまねをした罪で、明日の朝には命を落とすという運命が待っているだけである。 三人は苦痛に顔を歪ませ、なす術もなく、時が過ぎるのを待つのであった。 【前へ】 (つづく) 【次へ】楽しんでもらえた?おしてもらえたらうれしいな~
March 3, 2009

会いたかったの。こえめです 実際には、一番会いたい人って、もう会えない存在だったりするんですけどね……。でも、彩葉は会えたようですよ。 よかったね。―10―彩葉 理科室を飛び出して家の前まで走って帰ると、既にエンジンの掛かった乗用車の窓から母と弟が手を振っているのが見えました。 ランドセルごとどさりと乗り込むと、いつもは泣きべそばかりかいている弟がその時ばかりは真っ赤な顔で何か言っていたけど、 なぜかわたしの耳にはひと言も入ってきませんでした。 出迎えた私たちに気付いたときの父の驚いた顔や、そのあと皆で食事をしたことや、抱き上げられてぐるぐる回って、弟の新しい靴が脱げて広いロビーを滑っていったこととか……。皆な笑顔で嬉しそうで、わたしも確かに一緒に笑っているのに、それを見ているもう一人の自分が、ずっと違う事を考えていたんです。 あれは真矛がやった事なんじゃないかって……。 次の日、山本君は学校を休んでいました。彼もまた、余程ショックだったんだと思います。昨日去り際に、倒れていた彼の足をわざと蹴っていった事を思い出して、少し反省しました。自分から言い出した居残り実験に失敗したうえに、おかしな現象を見てしまったわけですから。もっとも先生の山本びいきは、その後もずっと続いていましたけどね。 授業の始まる前、誰もいない階段の上で、真矛に、恐るおそる聞いてみました。「あのぉ、昨日の実験の事だけど。あれ、真矛も……見た、よね?」 「じゃ、やっぱりそうだったのね? 私もビックリしたわ。あれ、彩葉よね。すごいわ」「えっ? まさか。わたしは真矛がやったのかと……」「ううん、私にはあんなこと出来ないわ。あれは、彩葉よ」 そんなふうに決め付けられても、わたし困るって言いました。でも、あのきらきらした大きな瞳で、自信たっぷりに見つめられると、その言葉を信じたくなるって言うか、本当にそうだったらいいな、なんて思っちゃうんですよね。 いくら魔法ごっこで修行と称して色々やったって、「ごっこ」は「ごっこ」、真似事でしかないんですから。本当に魔法があるかどうかぐらい、分かってるつもりでした。だからあの実験は、混ぜる液体を間違えたとか、何かの光が反射して、見間違えたんだって、考えればいいんです。 でも、そう思えば思うほど、でもあの液体は先生が用意してくれたものだから、間違いない、この手で混ぜたし、 確かに何度も色が変わった、全部この目で見たじゃないかって、変に確信みたいのが出てきちゃって。こんど山本君が登校してきて、何か聞かれても、どう言ったらいいのか、さっぱり分かりませんでした。そんなのもう、シラを切るしかないって感じです。 それから二、三日して、山本君が学校に出てきましたが、意外にも、何も聞いてきませんでした。それどころか、どうやらわたしの事を避けているみたいなんです。 まるで怖いものを見るような目つきで。 (つづく) (次のお話)ランキングでーす→ ←ブログをお持ちの方。足跡残してね。後でこえめが遊びに行くんだからっ。
March 2, 2009

不思議って楽しいね。こえめですさて今回から、もうひとりの友人彩葉にお話してもらいます。どんなことが聞けるかな? ―9―彩葉彩葉です。小三の時から、真矛たちと一緒に、魔法ごっこやってました。 あの頃は毎日、放課後になるとお掃除用の竹箒で、飛ぶ練習でした。皆なそれなりに真剣で、そのうち誰かが思いついて、鉄棒にまたがってバランスを取ったりして。意外に難しくて、落ちて肩を脱臼した人も出ましたけどね。 今だったら、何て馬鹿らしい事って思うけど、わたし達、その時はただ、真矛と一緒にいるのが楽しくって……。あの頃は良かったなぁ。だって毎日、その日の事だけ考えていれば良かったんですからね。 わたしの初めての魔法体験、って言われても、今思い出すと、本当に他愛の無い、本当にそうだったかどうか、よく分からないような事なんです。それでもいいですか? 理科の授業で彼女と同じグループになったのは、二学期になってからだったと思います。一度、薬品を混ぜ合わせる実験で、 意外な結果を出した事があったんですけど。 あれは確か、ビーカーの液体に違う液体を少しずつ足していって、酸性とかアルカリ性で、色がどう変わるか、という実験でした。他のグループが、次々と結果を出していく中で、色が一回も変化していないのは、わたし達だけになっていました。ビーカーは、スポイトで注ぎ足された液体で溢れそうになっているのに、液体は緑色のまま……。その授業では結局、まともま成果を出せませんでした。 ところが、医者の息子の山本君が、「先生! ボク、どうしてもちゃんと、結果を出したいんです!」などと余計な事を言ったので、わたし達だけ特別に、放課後残って、実験のやり直しをする事になりました。 放課後の理科室でわたし達が見守る中、 山本君が一滴いってき慎重に、透明の薬液をビーカーに落としていきました。液体の淵が、振るえながら盛り上がっていくのを、わたしは机に肘をついて、イライラしながら見ていましたが、一向に、色の変化は表れませんでした。 実はその日わたしは、早く帰りたかったんです。単身赴任の父が久し振りに帰ってくる予定だったから。 いつもなら家で待っているのですが、その時はたまたま父の誕生日が近かったので、先に空港で待っていてビックリさせてやろう、という計画があったんです。だから、先生が色の変わらないビーカーを見て、山本の顔色を窺がうように、「山本君。もう一度だけ、やってみましょうか」と言った時には、つい舌打ちしてしまった程です。山本にすごい目で睨まれました。 今度こそ成功するから、と言い張る山本から、わたしはちょっとだけ強引にスポイトを奪い取って、あたらしく緑色の液体が半分入ったビーカーに向って、(変われ……変われ……) と念じながら、どんどん注ぎ入れました。あーあ、そんなに急いじゃダメなんだとか、ちゃんとかき混ぜなきゃとか、横から山本がごちゃごちゃ言ってましたが、そんなの無視しました。 (お願い! 何でもいいから早く変わって!)と、一瞬特に強く念じたかも知れません。その時なんです。色が変わったんですよ。緑、透明、赤。大成功!!先生を呼ぼうと吸ったその息を、わたしはそのまま呑み込んで黙ってしまいました。ビーカーの中身が、赤から更に紫へと色を変え更に鮮やかなオレンジ、茶色へと変化を続けています。山本は馬鹿みたく、口をあんぐりと開けて、「……あ、あ……あ」と、悲鳴のような変な声で、後ずさり、「せっ、せんせーッ!色が変わりましたーッ!」と床に倒れこみながら、テストの採点をしていた先生に渾身の報告してくれました。驚いた先生が 「どうしたの山本君?」と言いながら立ち上がり、ビーカーの中身を見たときには、それはいつの間にか、元の緑色の液体に戻っていました。 わたしは「先生、わたし、家の用があるので帰ります!」と言って、山本の足元を飛び越えるときに、「あっ、ゴメン山本君」と言いながら、向うずねを蹴飛ばして理科室を飛び出しました。あの時は、約束の時間が気になるというよりも、見たことが何だったのかを考えるのが恐ろしくて一刻も早くその場から逃げ出したかったんです。 (つづく) (次のお話)ランキングでーす→ ←ブログをお持ちの方。足跡残してね。後でこえめが遊びに行くんだからっ。
March 1, 2009
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