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マックス・ローチがタレンタイン兄弟をフロントに活動していた時代の作品。今回ゲットした音源は国内盤LPだったが、この作品はCD化されていないのかもしれない。(見たことないなー。)この作品はLPでジャケットを堪能して欲しい。イラストの女性の目がウルウルで、遠くを見つめているのだ。何とも切ない表情でいい感じなのだ。このジャケットを眺めるだけで十分おなか一杯になるのだが、一応LPにも針を落としてみると、ジャケットと内容はあまり関係がないようだ。ガッカリ・・・。ローチのバンドと言えば、ブラウン=ローチの頃から複数の管楽器でメカニカルなアレンジをかけるものが多かったが、この作品は原則ワンホーン勝負というのが良い。特にジュリアン・プリースターやトミー・タレンタインはワンホーン演奏を滅多に聴くことができないので嬉しいではないか。逆に、スタンリー・タレンタインはBN諸作品の方が出来が良く、本作では"You're Mine You"での盆踊り風演奏を筆頭にヌル~い演奏が多い。本作品の聴きどころはトミー・タレンタインの漢ぶりである。猫麻呂ブログではトミー・タレンタインやアイドリース・シュリーマンのようなB級トランペットを激しくヨイショしているが、本作でのトミーは冗談抜きで最高である。どれくらい最高かと言うと、パーカーの"Swedish Schnapps"でのレッド・ロドニーの怪演と並ぶほどの素晴らしさなのだが・・・(余計分かりにくい?)まず感動するのがカデンツァから始まる"Come Rain or Come Shine"。ミュートを使った奥ゆかしい音色、見事なバップフレーズ、何ともいえないヘタレ感(一部の音はずしあり)がマニア心をくすぐるのだ。この作品には、ローチの元妻であるアビー・リンカーンが参加している。ローチとアビーが組むと、何となく政治的アピールが入るのではないか・・・と懸念されるのだが、本作においては政治的な内容はどこにもなかった。全曲ミュージカル作品という、ローチにしては珍しい洒落た作品であり、楽しく聴ける娯楽作品である。猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)Max Roach / Moon Faced & Starry Eyed (Mercury)Side A 1. You're Mine You 2. Come Rain or Come Shine 3. Wild is The Wind 4. Speak Low 5. I Concentrate on YouSide B 1. Moon-faced, Starry-eyed 2. Never Let Me Go 3. Namely You 4. Never Leave MeTommy Turrentine(tp), Stanley Turrentine(ts), Jullian Priester(tb), Ray Bryant(p), Bob Boswell(b), Max Roach(ds), Abbey Lincoln(vo)録音:1960年10月 ニューヨーク
2007年03月31日
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どこを聞いても「バップ」だらけの幸せな作品。これが「ユーロ・バップ」ってものなんですかね。これまでほとんど聴くことのできなかったヨーロッパのバップものが、今では簡単に手に入る。バッソ=ヴァルダンブリーニとJAZZ QUINTET 60がすっかりお気に入りとなってしまった。いい時代になったなー。JAZZ QUINTET 60は、VENT AZULさんのブログで教えて頂いた澤野の復刻LPで聴いたのが最初のきっかけだった。ソロ勝負のアメリカン・ハードバップと違って、バンド全体で音楽を構成しようとしているような感じで、40年代のタッド・ダメロンや50年代のジジ・グライスのようなタイト感が堪らなくカッコイイ。クールなのに熱く濃密なところがマニア心をくすぐるのだ。話を戻すと、このJAZZ QUINTET 60こそBENT AXENの率いるバップコンボであり、今回のCDの"Quintet"作品4曲分を占める。しかも、更にtsを1本加えたsextetで8曲を追加して計12曲、ジャパネットタカタでも是非紹介して欲しいくらいのお徳用盤なのだ。他の作品ではアラン・ボッチンスキーがマイルス~アート・ファーマー路線でクールにキメていることが多いが、本作ではコンテ・カンドリ~ジャック・シェルドン風に一刀両断路線で攻めまくるのが面白い。いいなー、ボッチンスキー・・・。再び話を戻すと、このCDにはBENT AXENのトリオ作品が7曲収録されている。一般的にはトリオ作品がお目当ての方も多いだろう。端麗辛口系のバップ・ピアノが楽しめる。桜の季節に場違いなジングル・ベルズを聴くのも悪くない。結論としては、ジャズオタには最高のご馳走であり、ジャズ入門者には清く正しいバップ魂とは何かを学ぶための最適な教材である、ということで宜しいでしょうか?猫麻呂ポイント:★★★★☆(4.5)Bent Axen Trio, Quintet& Sextet (SteepleChase)
2007年03月24日
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本作のタイトル"Pre-Bird"とは、チャーリー・パーカー以前のジャズを意味するらいいが、端的に言えばエリントン・ミュージックを意味している。パーカーは「バップ様式」という新たな言語体系を確立し、ジャズマン同士のコミュニケーション言語を変えた功労者ではあったが、エリントンが芸術の域にまで作り上げたブラック・ビューティーの継承者ではなかった。バップとは瞬間のインプロビゼーションという反射運動の妙を味わう芸術であり、一方でエリントン・ミュージックは思想・信条をベースに堅牢に構築された芸術である。ミンガスはバップの功労者でありながら、バップによる表現の限界を知っており、エリントンのブラック・ビューティーとインプロビゼーションとの融合で表現の限界を打破しようとしたのではないか。とにかく、この作品はミンガス作品の中で最もエリントン臭い作品なのである。参加しているメンバーが個性的なのが良い。エリック・ドルフィー、ブッカー・アーヴィン、ユーゼフ・ラティーフ、テッド・カーソン、クラーク・テリー、ジミー・ネッパーという吉本ギャグ百連発のような豪華メンバーである。ホルモン焼き屋で焼酎を煽りながら聴けたら最高な雰囲気。Lorraine Cousinsという女性ヴォーカルが2曲だけ参加しているのだが、ちょっと聴きの印象ではヘレン・メリルのような歌い方。しかし、歌詞があるにもかかわらず器楽奏者のような使い方となっており、これが怪しさ満点で美味しい。そう言えば、エリントンも女性ヴォーカルを器楽奏者のように使っていることがあった。流石はエリントン・オタのミンガスである。その他、エリントンの曲をパロディーにするという離れ業もやってしまう。"Take Tne A Train"では"Exactly Like You"のメロディーを同時進行で重ね、"Do Nothing Till You Hear From Me"には"I Let a Song Go Out of My Heart"を重ねる。これ、結構イケるじゃん!(今度パクってみよう。)エリントンっぽい曲だけではない。"Half-Mast Inhibition"では、前衛作曲家モロゾフの「鉄工所」というトンデモない曲のパクリまでやってしまう。いきなりチェロから始まり、オーボエにフルートまで登場させるところなんか、かなり狙ってヤバいことをやっているとしか思えない。これは痺れますよ!ウチの音源は米国盤ペラLP。これが案外録音がきれいで良い音で鳴ってくれる。CDは輸入盤の24bitがあるらしいが、多分凄い音なんでしょうね。猫麻呂ポイント:★★★★☆(4.5)Charles Mingus / Pre-Bird (Mercury)
2007年03月17日
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今回もビクター・エンターテインメントの1000円CDからの1枚。アート・ペッパーのラストレコーディングは、ペッパーとジョージ・ケイブルスの渋いデュオとなるこの作品となった。いわゆる「白鳥の歌」という訳ですね。ペッパーは晩年まで演奏がボロボロにならなかった珍しい人だ。本作では、多少音が不安定なところがあるものの、全体的には「ラストレコーディング」とは思えぬ立派な吹きっぷりである。しかし、ピアノとのデュオという編成もあって、音色が全体的に重く暗い。これが最後のレコーディングと知っていた訳ではないだろうが、ペッパーが訥々と音楽や人生について語っているような雰囲気がある。ケイブルスのピアノがそんなペッパーの呟きを、時には優しく包み込み、時には大胆にリードしながら、最後の晴れ舞台を演出するのである。ライナーノートによると、晩年のペッパーはケイブルスなしでは演奏できない程にケイブルスに依存していたらしいが、裏から表からあの手この手でサポートする本作品での素晴らしい伴奏を聞けば納得である。本作品での聴きどころは、レイ・チャールズの"Don't Let The Sun Catch You Cryin'"だろう。カミソリのような50年代ペッパーからは想像もできない枯れ方である。また、どことなく薄気味悪いクラリネット演奏も味わいがあって良い。ただし、聴いて気分がスッキリする作品ではないので、朝から聴くのは避けたほうが良さそうである。猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)Art Pepper and George Cables / Goin' Home (Galaxy)
2007年03月10日
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今回の1000円CDシリーズではプレスティッジのソウルジャズ・シリーズが再リリースされている。ラインナップを改めて眺めてみると、もの凄く「濃ゆい」ものばかり。国内盤でここまで「ゲテモノ」を並べてくれたビクター・エンターテインメントの担当者殿はエラい。こういう、一見「ムダ」なものが市場に出てくるのが文化として大切なのであり、文部科学省は日本のオタク文化への貢献度の高いこうした会社を褒めてあげたり補助金出したりして、もっと大切にしてあげて欲しい。ところで、コテコテが売りのソウルジャズ・シリーズの中で凛とした上品さを保っているのがシャーリー・スコットの作品なんじゃないかなー、と思うのである。もっと言うと、シャーリー・スコットを「ジャズ・オルガン」というだけでソウル・ジャズの範疇に整理してしまっていることに異議ありなのだ。シャーリー・スコットがソウルジャズならカウントベイシーだってソウルジャズなんじゃないの?確かにシャーリー・スコットの演奏はオルガンならではの"ビャー"とが"ギョェー"なんていう音は使っているけど、フレーズは端正だし、ベースの入っていることを前提とした音作りは他のオルガン奏者とは一線を画している。「だからオルガン奏者としては中途半端だ」と言われたらその通りかもしれないが、楽器の違いはあっても比較する相手はハンク・ジョーンズやトミー・フラナガンなんじゃないの?と思うのである。ホンカー系テナーサックス奏者の伴奏者としてのシャーリー・スコットは本当に素晴らしい伴奏者なのだ。しかし、この作品はホーンなしのオルガントリオ作品。そういう意味では確かに物足りない。スタンリー・タレンタインやエディー・ロックジョーが当然出てきてしかるべき・・・なんて思ってしまう。だからこの作品は消化不良を伴う「イマイチ」な作品ではあるけれども、BGMとしては結構気持ちよく聴けてしまうのだ。だって、ハンク・ジョーンズのリーダー作だってそんな感じじゃない?という訳で、この作品は取り立てて褒めるべき作品ではないけど、所有してニンマリの作品だと思っている。何となくオルガンが聴きたい時のローテーションとして持っているには悪くない。猫麻呂ポイント:★★★☆(3.5)Shirley Scott / Soul Searching (Prestige)
2007年03月04日
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