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ピアノ好きでオーディオ好きのジャズ仲間との挨拶はいつも「ガツンとくる、面白いピアノトリオ、何か見つけた?」となる。内容は当然として、オーディオ的にも満足の行く作品となると、そう簡単には見つからない。最近の作品は、録音は良くてもチャンジーの枯れた演奏だったり(悪くはないが、寂しいものがある)、今風のドライな演奏だったり(これも面白いと思うのだが)するのが多い。とにかく50-60年代の美味しいジャズに慣れ親しんだ者が手放しで喜べるような新作ピアノトリオを探していたのだ。探せばいろいろあるもので、いつものVENTO AZULさんのショップでコメントを読んでいると、こんなコメントが目に飛び込んで来た。『ジジ・グライスの渋い作品「Hymn of the Orient」やスコット・ラファロ「Gloria’s Step」等あまり一般的に演奏されない曲を選曲していることからも、50~60年代のモダンジャズを相当聴き込んで研究していることが窺えます。』(VENTO AZULさんのコメントからの引用)「50~60年代のモダンジャズを相当聴き込んで研究している」だなんて、ジャズの神様が聞いたら、さぞやお喜びのことでしょう。最近のジャズに求めていたのは、このオタク姿勢なのだ。ジャズオタの、ジャズオタによる、ジャズオタのためのジャズ。オタク道だけではメシは食えないだろうが、世間の求めるジャズのイメージとジャズオタ道とのバランスが大切なのだ。"Nardis"や"Alice in Wonderland"のようなエヴァンスものをやりながらも、"Hyms of the Orient"や"Gloria's Step"というオタものを入れるところが憎いではないか。このピアノトリオ、リズムが粘り系なのもいい。シカゴのピアニストだからアーマッド・ジャマルを意識しているのだろうか。だとしたら、何だか嬉しくなってくる。オスピーのようなスイングする曲でも、どこか暗くて重たい感じがある。この感じ、ソニー・クラークっぽいのかもしれない。とにかく、今時のドライな感覚とは異なる、一種独特な世界なのである。とは言っても、やっぱりゴキゲンなスイングナンバーが心地よい。"Dancing in the Dark"のテーマアレンジは文句なしにカッコいいし、スイングしながらも重心が低いのがいい。これが、大ベテランではなく若手の演奏というのが驚きなのである。とにかく、このピアノトリオ作品は、当面のイチオシとしてお仲間におススメしまくるつもりだ。猫麻呂ポイント:★★★★★(5.0)Ben Paterson Trio / Breathing Space (OA2)
2007年11月24日
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セッションで活躍するのが、コードとメロディーが書いてある本。"The Real Book"という本が昔から有名だが、手書き(?)文字の字体が個性的で、どことなく海賊版っぽい作りが何とも味わいのある、不思議な本である。スティーヴ・スワロウのこの作品は、そんな"The Real Book"をパロディー化した作品。"Real Book"のロゴから独特の字体まで、そっくり再現している。さらに、曲の解説に代わって収録された曲のテーマ譜が"The Real Book"風に掲載してあるのには笑えたというか、つい癖で譜面とコード進行を追いかけながら曲を聴いてしまった。スワロウの思惑にまんまとはまったというところだろう。ジャケット写真には、コップを置いたシミなどがわざと付けてあるが、これもリアルな感じで面白い。いやー、芸が細かいですな。ジャケットだけでも十分楽しめるこの作品、中身も面白い。全てがスワロウのオリジナル作品なのだが、ブルースあり、循環あり、有名なスタンダードのコード進行の曲ありで、まさにリアルブックだ。「これでも聴いて、オマエも練習しとけ!」という、スワロウ先生の叱咤激励が聴こえてきそうな感じがする。しかし、どの曲もなかなかいい曲で、ライナー代わりの譜面を持って行っていきなりセッションしたくなってしまう。個人的には、トム・ハレル聴きたさに買ったCDなので、ハレル中心に聴き込んでいるが、これが悔しくなるほどウマい!サラっとさりげなく吹いているのに、フレーズがビシっとツボに入るのだ。「このフレーズ、ちょっと頂き!」とばかりにコピーに励みたくなるのは、恐らく譜面が付いているからだろう。コードとにらめっこしながらハレルのフレーズを聴くと、やっぱり勉強になる。楽器を触りながら聴くと、もっと楽しめるだろう。このCD、ジャケット写真を見た瞬間から、リスナーモードでは聴けなくなるように作っているに違いない。もちろん、リスナーとして聴いても十分楽しめるとは思うが、プレーヤーとして聴くことを前提とした、ちょっとイジワルな仕掛けのある作品なのかもしれない。猫麻呂ポイント:★★★★☆(4.5)Steve Swallow / Real Book (XtraWATT)
2007年11月19日
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フィル・ウッズの作品の中で、問答無用で買ってしまうものがある。ひとつはヨーロピアン・リズム・マシン前後の作品。恐らくは、ウッズのミュージシャン人生のピークがこの時代なのだろう。実は、このブログを書きながら、ウッズのショウボートでのライブ盤(1976年録音)を聴いているのだが、この辺りまでがウッズの絶頂期だと思っている。楽器の鳴らし方といい、音楽的な柔軟性といい、まさに「ミュージシャンズ・ミュージシャン」である。問答無用買いのもうひとつが、トム・ハレルとのクインテットものだ。このバンドの売りは、何と言ってもトランペット&サックスというバップの王道とも言える編成にある。ウッズの演奏は既に守りに入った感があり、ややマンネリ化しているものの、トム・ハレルの熱意と新鮮さがそれを補って余りあるところが嬉しい。ブライアン・リンチとのコンビでは、この熱意に欠けるのだ。(ウッズもジジイだし・・・。)さて、今回の作品、何故かデューク・エリントンへのトリビュートものとなっている。どこかのライブ録音のような企画だが、意外なことにスタジオ録音だったりする。"Heaven"と"Azule"がエリントン作品で、それっぽい雰囲気を出すようにウッズがクラリネットを吹いてみたりと、いろいろと工夫している。努力は認めるが、ファンが望むのはそういうのじゃなくて、2管で丁々発止とやっている演奏が聴きたいんだけどなァ・・・。"Duke"という曲は、エリントン作品ではなくて、デイヴ・ブルーベックの作品なのだが、これまたパリっとしない曲。しかし、ハレルのフリューゲルホーンの美しさを堪能するには良い曲だ。エリントンの2曲も、こんな感じでやってくれれば、最高なのに・・・。この作品、まずは1曲目の"I'm Getting Sentimental Over You"のカッコよさを堪能し、3曲目の"Duke"でのフリューゲルホーンだけ聴き、2曲と4曲目は飛ばしても良いだろう。本当の勝負は5曲目以降にある。5曲目はサム・リヴァース作品の"222"。リヴァースの容貌からは想像もできないような颯爽とした曲だが、こう曲になるとハレルの本領が発揮できる。6曲目はハレル作曲の"Occurrence"で、文句なしに良い曲。5曲目以降は、トム・ハレルのリーダー・セッションと思って聴いてもいいくらい、ハレル節が楽しめるのが嬉しい。ハレルが燃えるととウッズも燃えるのが、このバンドの特徴でもある。この作品、全体的に薄味の上に録音が良いので、大音量で聴いても疲れないところが良い。ハル・ギャルパーのピアノが、脇役ながらも良い仕事をしているのがよく分かる。Phil Woods / Heaven (Black Hawk)
2007年11月11日
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マイケル・ガーリックの名前は、恥ずかしながら"Moonscape"復刻での大騒ぎで覚えたばかり。それ以前にも"A Lady in Waiting"を聴いていたはずなのに、全く名前を覚えていなかった。今回の"October Woman"がガーリック作品との3枚目の遭遇となるのだが、いまだにガーリック作品がよく分からない。3枚とも同じ人の作品とは思えないほど、それぞれの印象が異なる。印象は異なるものの、毒々しくない点では共通しているのかもしれない。変拍子その他やや前衛的なアプローチも積極的に取り入れているのに、不思議とエネルギーは感じられず、ポップな感じすらある。同様に、スインギーな演奏はするものの、自然と体が揺れるような感じはせず、無声映画を眺めているような醒めた感じがする。ひょっとして、ガーリックにとって、ジャズとは音楽を作るためのひとつの素材に過ぎないのではないか、とすら感じてしまう。ジャズの神様が聴いたら、さぞやお嘆きのことだろう。ジャズ的かどうか、という問題はさておき、音楽としては結構面白いと思う。メロディー・メーカーとしてのガーリックの腕は大したもので、アルトのジョー・ハリソンのために書かれた"Little Girl"とトランペットのシェイク・キーンのために書かれた"Ocober Woman"は、演奏者の美味しい音色を活かした美しい曲だと思う。しかし、この作品の最大の聴き所は"Anthem"だろう。5拍子の曲というだけでもヒネくれているのに、更にスケール指定までしているらしい。このCDでは2テイクが収録されているが、12曲目の合唱入りのバージョンで聴くと、これが宗教曲として書かれたことが分かる。ガーリック自身の書いたライナーによれば、キリスト教の復活祭に関係する曲なのだそうだ。(ジャケ裏には英語の歌詞も書いてある。)パイプオルガンと合唱による厳かな雰囲気に続き、5/4のビートにのってアドリブで絡み合うハリソンとキーンがカッコイイ。ここまでやれば、ジャズの神様もお許し下さることだろう。こういった音楽を聴いた後は、カウント・ベイシーでも聴いて、あられもなくスイングしたい気分になる。これもジャズの神様の思し召しだろうか・・・。Michael Garrick / October Woman (Vocalion)
2007年11月04日
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