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とあるライブで"Spring Can Really Hang You Up The Most"という曲の演奏を聴いた。演奏者は「この曲はライブ向きではないんだけど・・・」と言いながら吹いていたが、これがなかなか堂々たる演奏。どことなく"A Child Is Born"のメロに似た曲だが、恥ずかしながら全く知らない曲だった。いかにもゲッツが演奏しそうな曲なのだが、意外なことにこの曲の収録されたディスクが何故か我が家のゲッツ・コレクションに無かったのだ。早速ウニヨンに走り、アナログ盤でゲットできたが、どうやらCDでも出ているようだ。ゲッツのデュオ作品というのは、実はありそうでない。チック・コリアやゲイリー・バートンとのデュオ作品なんてものがあれば、相当面白いものになっただろう・・・とは思うが、恐らくゲッツのデュオ作品は本作しかないんじゃないかな?(とりあえず思いつくのはこれくらい。)ただし、デュオ作品といいながらも"Loverman"と"Round Midnight"ではアル・デイリーのピアノソロのみでゲッツが登場しない。本作はスタン・ゲッツのプロデュースした作品であり、ゲッツとしてはアル・デイリーを主役とした作品を作ってみたかったのかもしれない。デイリーが本作品録音の翌年に他界していることを考えると、デイリーのラストレコーディングを意識した可能性もある。それはともかく、「ご感想をお寄せください」とゲッツ宛の私書箱のアドレスまで書いてあることから、ゲッツとしては相当の自信作だったのだろう。ゲッツの自信作だからという訳ではないが、同時期のコンコード盤よりは辛口で芯のあるゲッツが楽しめる。そもそも選曲がバップ中心というのが良い。でも、やっぱり"Spring Can Really Hang You Up The Most"が一番の聴きどころだろう。曲自身の持つ美しさをゲッツとデイリーが更に引き出している。ゲッツとデイリーの醸し出す緊張感とため息の出るような瞬間がゲッツ好きには堪らないのだ。こんな美味しいディスクが我が家のコレクションにこれまで無かったなんて信じられない・・・。猫麻呂ポイント:★★★★☆(4.5)Stan Getz & Albert Dailey / Poetry (Elektra Musician)
2007年04月29日
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PrestigeやRiversideなどのFantasy系レーベルの販売権がビクターからユニヴァーサル・ミュージックに移った記念1,100円CDを買ってみた。これが開けてビックリ、超手抜きなのである。何が手抜きかって、デジタル・リマスタリングはOJCのものなのである。今回のマクリーンのCDでは、Fantasy社のPhil De Lancieの1993年ものと書いてあるではないか。このオジサンのリマスターしたOJCは音が素晴らしかったので何も文句は言わないが、ビクターがK2で20bitで出していたのと比較すると、今どき16bitの音源からCDを作るのは如何なものか?と思う。音質はK2の重い音とは反対に明るく抜けた音であり、どっちが好きかは音の好みの問題だが、24bitに慣れた耳には16bitの音はやっぱり粗い。手抜きついでに言うと、ライナーがショボい。LPのジャケ裏ライナーの英訳なら分かるが、OJC盤のビニールカバーの上に貼ってある一言コメントを和訳したようなものしかない。いくら1,100円だからって、これじゃあんまりじゃない!それでも、1,100円の魅力は大きい。HMVの3枚で25%オフで買うOJC盤よりも安い。更に、新星堂ウェブショップなら1,100円から20%オフで買えるので、これであれば文句は言えない。そう思えば、日本語ライナーなんてどうせ読まないし、OJCマスターの音は日本人が下手にリマスターしたものとは比較にならない程良い。このCDの内容についても触れておかねばならない。このCD、半分は聴く価値なしと言って良いだろう。"A Long Drink of The Blues"というタイトル曲が2テイク収録されているが、これがどうにもダメなマクリーンのテナーサックス(アルトではないのが問題)なのだ。今どき、こんなヘタクソでCDを出したら2ちゃんねるの格好の餌食になるだろう。その他3曲はマル・ウォルドロンとのカルテット演奏だが、全てバラード演奏となっている。こちらはお馴染みのマクリーン節炸裂で文句なしに素晴らしい。猫麻呂ポイント:★★★☆(3.5)Jackie McLean / A Long Drink of The Blues (New Jazz)
2007年04月22日
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この数週間というもの、猫麻呂はすっかりアナログ盤中毒となっている。音楽ソフトはダウンロードで済ますもの、というのが主流となったおかげでCDですら絶滅危惧種になっているこのご時世、アナログ盤を買い漁る人なんているはずが・・・いるんですよ。しかも確実にその数が増えている。CDプレーヤーは専用機が激減している中、廉価アナログプレーヤーが次々と市場に投入されている、というのも面白い。LPの話に深入りするとキリがないので、そろそろ本題。今回のディック・ジョンソンは国内盤(WAVE復刻シリーズ)LPでゲットした。このLP、何故か中古市場ではよく見かけるのだ。このシリーズのグリフィン=ロックジョーはほとんど見かけないのとは正反対。つまり、本作品は「人気がない」ということだが、原因は「ディック・ジョンソン」の知名度だろう。この人、アート・ペッパーの切れ味とリー・コニッツの知性を足して、2ではなく3で割ったようなアルトサックス奏者で、インプロバイザーとしては残念ながら二流なのだが、テクニックと音色については超一流なのである。でもね、ジャズのホーン奏者は音色でほとんど勝負が決まるのよん。だから、ディック・ジョンソンは、もう少し評価されていいはずなのだ。それなのに、このLPが200円で売られていたんですよ。もちろん盤質はA。ジャケットは一部折れ曲がっていたからかもしれないが、200円はないよなー。(買った人としてはラッキーだったのだが。)このレコードは、何故かフィリー・ジョー・ジョーンズが参加しているのが面白いのだが、これが何とも場違いな感じで微笑ましい。デイヴ・マッケンナのピアノはディック・ジョンソンの明るい雰囲気との相性バッチリで、これが本作品のクオリティを引き上げている。でも、実はトリスターノ派ピアノとの相性も良かったりするのでは・・・と思わせるのがA-5の"Me 'n Dave"。コニッツばりの小難しいフレーズで攻めまくる。そうかと思えばB-2の"The End of a Love Affair"ではペッパーもビックリの意味深な音を出す。まったく、技のデパートのような人だ。録音も良いので、気持ち良く聴くことができる。これでたったの200円。いい買い物だった。猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)Dick Johnson / Most Lilely (Riverside)
2007年04月14日
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ラウズとえばセロニアス・モンク・カルテットのサックスということで説明が付いてしまうが、本人も恐らくそれで納得しているだろう。しかし、それでもやっぱりあるんですね、ラウズ・ワールドというものが・・・。本作とBNのボサノバ・バッカナルがラウズ名義でモンク色の一切ない代表作ということになるだろう。そもそも、ラウズはロリンズやコルトレーン出現以前のテナーマンであり、ビバップに最初に挑戦したコールマン・ホーキンス大先生の流れを汲む「正統派バップ・テナー」なのだ。ドン・バイアスやラッキー・トンプソンの正統派ビバップ・テナーを継承するのがラウズとベニー・ゴルソンであり、「横に流れない」「メロディアスでない」「強引で無理矢理なフレーズ」という共通点を持つ。この流派はジーン・アモンズやデクスター・ゴードンというレスター/パーカー派バップテナー勢に圧倒され、ロリンズやコルトレーンの登場により「異端」と看做されることとなり、ジャズ史の闇に葬り去られたという悲しい歴史があったのだ。(かなり脚色しているが、半分くらいは正しいだろう。)そういう訳で、本作品はラウズが40年代にブイブイやっていた頃を髣髴とさせるキビキビとした快演が聴けるのが嬉しいのだ。また、この作品はエピック・レーベルというのも味わい深い。メジャー・レーベルのコロンビアにありながら、よく言えば「渋好み」、悪く言えば「B級」なジャズ作品が傍系レーベルの「エピック」には数多く残されている。サイドマンも渋好みなデイブ・ベイリー(ds)を始め、ビリー・ガードナー(p)、ペック・モリソン(b)というあまり知られていないジャズマンが参加している。これが、かなりいい仕事してるんですねー。この作品、選曲も可愛らしいというか、ラウズっぽくないところが面白い。甘口の選曲で辛口の演奏というコントラストがいいのかもしれない。猫麻呂ポイント:★★★★☆(4.5)Charlie Rouse / Yeah! (Epic) 1. You Don't Know What Love Is 2. Lil Rousin' 3. Stella by Starlight 4. Billy's Blues 5. Rouse's Point 6. There is No Greater LoveCharlie Rouse (ts), Billy Gardner (p), Peck Morrison (b), Dave Bailey (ds) December 20, 1961
2007年04月07日
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