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2012.05.10
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カテゴリ: 経済
中谷巌さんと言えば、細川内閣や小渕内閣で経済政策のブレーンとして活躍した人であるが、竹中さんと違うのは、新自由主義に別れを告げたことです。

反米の大使としては・・・・
「アメリカかぶれ」の中谷さんが、いかにして解脱またはカミングアウトできたかという点に興味があり、この本を読み進んだのですが・・・・
戦前から今までの日米の経済活動を少し長期的な視点で見ることは、越し方の私の生活とは何だったのだろう?とか、私は如何にして反米になったのか?という疑問に答えてくれるわけですね。



中谷
中谷 巌著、集英社、2008年刊

<「BOOK」データベースより>
リーマン・ショック、格差社会、無差別殺人、医療の崩壊、食品偽装。すべての元凶は「市場原理」だった!構造改革の急先鋒であった著者が記す「懴悔の書」。

<大使寸評>
中谷さんのこの読みやすい本で、かなり頭の整理がついたと思うのですが・・・・・
読みやすいと感じたのは、中谷さんの文章が明晰であることは勿論で、私のアメリカ憎しの思いがうまくマッチしたのかもしれません。
Amazon 資本主義はなぜ自壊したのか


この本のエッセンス部分を引用します。

<大圧縮の時代> p53~65
 最近出版されたロバート・B・ライシュの「暴走する資本主義」(東洋経済新報社)や、2008年ノーベル経済学賞に輝いたポール・クルーグマンの「格差はつくられた」(早川書房)の中でも指摘されていることだが、第二次大戦終結の1945年から、オイルショック直後の1975年にかけてのアメリカは、第二次世界大戦前に比べて圧倒的に所得格差が縮小した「大圧縮の時代」(クルーグマンの命名)だった。

 私は若き留学生として、その「大圧縮」によって誕生した豊かな中流層が中核となっている健全なアメリカ社会の中に飛び込んでいったことになる。
 ところが、こうしたアメリカの中流社会は、1981年に登場したレーガン政権によって決定的な変質を起すことになる。
「小さな政府」「高額所得者向けの減税」「自己責任」といったキャッチフレーズのレーガノミックスが推進されたことで沈滞していたアメリカ経済を活性化することにはある程度成功したが、たったの30年足らずで、アメリカ社会では所得格差の拡大と、それに伴う中流階級の消滅、医療や福祉の後退が起こったのである。
 トーマス・ピカティとエマニュエル・サエズの著名な研究によれば、2005年のアメリカでは上位1%の富裕層が、国の総所得のなんと17%以上を受け取っていた。
 これだけでも驚くべき所得格差の拡大だが、この富裕層の中でも実は大きな較差があるのだ。
 というのも、アメリカ全体で上位0.1%の超富裕層の人々が、アメリカ全体に占める所得シェアは、なんと全体の7%に達するという。ちなみにレーガン登場依然においては、上位1%の富裕層が占めていた総所得は8%、同じく0.1%の超富裕層の総所得はわずか3%だったのだから、格差社会もここに極れり、である。
 さらに、この30年間の格差拡大については、アメリカの大企業トップの年俸金額の推移にも明確に現れている。
(中略)
 レーガノミックスによって、アメリカ社会の中核的存在であった中流階層の存在感が失われていったことがこれらのデータから読み取れるが、実は今のような格差社会がアメリカに生まれたのはこれが最初ではない。
 大恐慌が起きる直前の1927年ごろのデータを見ると、所得上位1%の人々の所得シェアは何と20%にも達していたのである。戦前のアメリカは実は今よりひどい格差社会(いわゆる「金ぴか時代」のアメリカ)だったんおである。
 ところが、こうした格差は、1940年前後から急速に縮小する。その理由は先に述べたように、大恐慌の教訓から、アメリカの歴代政府が経済活動をすべて市場に委ねるという古典派的な考え方を捨て、政府自らマーケットに介入し、総需要管理政策や所得再配分政策を行うようになったからである。
 フランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策がアメリカ経済を立て直らせるのにどの程度効力を発揮したかはともかく(第2次世界大戦勃発による軍需の拡大が恐慌状態のアメリカを救ったという見方が支配的であるが)、公的部門が景気安定化や所得再配分に積極的な役割を果たすようになる傾向は第2次大戦の勃発によってさらに加速した。この結果、20世紀半ばには米国の産業のおよそ15%が政府による直接的な規制を受け、残る85%の産業に対しても、ゆるやかな統制が行われるようになった。
 こうした政府による経済統制は、既存の大企業にとってはそれだけマーケットでの競争リスクが減ることを意味する。新規参入のライバルが現れないとなれば、安心して長いスパンで経営戦略が立てられるわけだから、こうした統制はアメリカ企業が寡占的な力を付けていくうえで大きなプラスになった。現在でもアメリカの多くの伝統的産業が寡占体質であるのはこのためである。
 戦後の日本経済は官僚統制による「護送船団方式」だとさんざん批判をされたわけだが、実は戦後のアメリカ経済の強さもまた護送船団にあったというわけである。
(中略)
 こうやって見ていけば、アメリカの歴史も循環を繰り返してきたことが分かる。戦後アメリカの豊かさを生み出したのは、所得格差の「大圧縮」と社会福祉政策の拡充のためであったが、それが行き過ぎたために、「小さな政府」を標榜するレーガノミックスが登場し、アメリカをふたたび戦前型の格差社会に逆戻りさせたのである。
 このように、少し長期的な視点で歴史を追いかけるとその流れはひじょうに単純明快であり、自由放任政策の追求がアメリカ社会を安定させ、「豊かな社会」を作り上げたわけではないことが分かるのだが、近視眼的に世の中の動きを追っかけているだけでは、本当のところ、社会で何が起こっているのかはなかなか正確に読み取れないものらしい。
 しかし、最近の研究によって、アメリカの経済政策は30年から40年ごとの循環を繰り返し、その中でも「適切な」政府介入が行われた時期にアメリカは真の意味での黄金時代を謳歌したのだということが確認できるようになった。
 そういった循環論から言えば、アメリカにおける経済政策は、早晩、個人の自由を優先する新自由主義から、所得格差や社会保障制度の拡充など、公共の利益により大きな配慮をする民主党的な政策に移行していくことになるだろう。
 実際、2008年11月、アメリカは中堅層への減税による所得格差の是正を政策の柱に掲げた民主党のオバマ氏を大統領に選出した。その結果、2009年以降のアメリカは共和党の「個人の自由」優先の政策から、民主党の「公共の利益」優先の政策に転換していくものと思われる。これはアメリカにとっての福音であろう。 



<金融立国の破綻> p103~106
 そもそもアメリカ経済は規模が大きいこともあって輸出依存型ではなく、国内経済だけで自己充足的に動く経済体質を持っていた。1970年代までは、アメリカ産業の中心は製造業であり、国際展開をすると言っても、せいぜい海外に製造拠点を移してそれぞれの国で実績を上げるという形態でとどまっていた。
 しかし、1980年頃までにアメリカ産業の中心であった自動車産業や家電産業など主要な製造業が日本やドイツなどに追いつかれ、競争力を失っていった。このため、日本に対しては通商摩擦が引き起こされ、日本市場は閉鎖的でアンフェアだと断定されることになったが、これは製造業が競争力を失うとアメリカ経済が成り立たないという危機感が強かったからである。
 しかし、1990年頃になって、アメリカ産業の中心はデトロイトなど中西部から東海岸の金融業と西海岸の情報通信産業にシフトしていく。アメリカの戦略としては、東西冷戦が終わり、東側諸国がグローバル経済に参画してくる中で、金融業と情報通信産業に活路を見出したのであった。1990年代に入って飛躍的に発展を始めたグローバル資本主義がアメリカを中心に進んだのは、グローバル化に適した金融と情報通信で競争優位を確立することに成功したからである。
 情報通信については多くの言葉を必要としない。マイクロソフトやインテルなどがデファクト・スタンダードを作り上げ、世界市場を席巻した。今世紀に入ってからはグーグルのようなネット企業が信じられないほどの大成功を収めた。他方、GMやフォードなど、かってのアメリカ経済を支えた巨大製造企業が経営危機に陥っているが、金融や情報通信の分野で圧倒的な優位を築いたアメリカはかってのように通商摩擦を仕掛けることもしなくなった。アメリカの産業構造が製造業中心から、金融と情報通信産業中心に大きくシフトしたからである。
 1990年代後半になると、ニューエコノミー論が台頭した。つまり、アメリカ経済は金融と情報通信産業の産み出す継続的イノベーションの結果、かっての資本主義経済の宿命であった景気循環を克服し、長期にわたる継続的成長が可能になるという学説である。そのニューエコノミー論の一翼を担ったのがアメリカの金融業界、特にゴールドマン・サックス、モルガンスタンレーなどの投資銀行の「レバレッジ経営」ビジネスモデルであった。 結局、レバレッジ経営でわが世の春を謳歌してきたアメリカの投資銀行は、巨大な金融商品のマーケットを作り、巨大な利益を得たが、しかし、肥大化したマーケットを支配していたつもりが最終的にはモンスター化したマーケットに翻弄される結果となった。
 アメリカは、製造業中心の経済から、金融とITに立脚した「金融立国」への脱皮を目指したわけだが、それがついに挫折したのである。バブルに浮かれ、借金を重ねて身の丈以上の消費に走った国民も、今やその被害者となった。アメリカ主導の金融資本主義(グローバル資本主義)は、ついに「破綻」したのである。 



<アメリカ流資本主義の暴力性> p202~203
 (文字数制約のため省略)




<宗教国家> p216~220
(文字数制約のため省略)



1日の文字数制限で載せきれませんが、後半は 資本主義はなぜ自壊したのか1 に載せています。





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Last updated  2012.05.10 00:02:24
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