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2013.03.27
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カテゴリ: 気になる本
<朝日デジタルの書評から11>
日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。

・階級「断絶」社会アメリカ
・教室内カースト

さっそく、図書館に借り出し予約するのもいいかもね。
********************************************************************************

階級「断絶」社会アメリカ より
米

<「真のエリートとは」を問う:渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)>
実に挑発的な米国論だ。
 貧困や格差に関する本なら山ほどある。しかし、過去50年間に及ぶ豊富なデータを駆使して著者が描き出すのは、もはや同じ米国人としての行動様式や価値をほとんど共有しない今日のエリート階級と労働者階級の絶望的なまでの「断絶」だ。
 そのうえで「勤勉・正直・結婚・信仰」という「建国の美徳」を保持しているのはエリート階級であり、幸福の基軸を成す「家族・仕事・コミュニティ・信仰」においても優れているとする。
 かたやその対極にあって米社会の伝統的美徳を蝕んでいるのが増加の一途を辿る労働者階級だと結論づける。
 これだけでも物議を醸すのに十分だが、保守派(リバタリアン)の論客である著者は、その是正のために政府が介入すべしという、ヨーロッパ型の福祉国家の前提にある人間観や世界観を徹底的に批判する。日本のリベラル派も一考する価値はありそうだ。
 「伝統」をめぐる著者の解釈や分析には疑問が残る。神経学や生物学の援用には慎重であるべきだとも思う。
 しかし、最終章で著者が展開する「見かけ倒しのエリート」への批判は含蓄が深い。
 曰く、自らの良識に自信が持てぬまま、悪しき中立主義に流れ、卑俗な行動様式や価値を甘受する。自らの特殊な世界に籠もり、市井の米国人からますます孤立する一方、国の命運にはより大きな影響力を行使しようとする……。
 そして、この点においてはリベラル派も保守派も同罪という。左右のイデオロギー対立や政治的分断ばかりに目が奪われがちな昨今、米社会が抱えるより構造的かつ根源的な問題を抉り出そうとする知的態度は好感が持てる。
 格差社会や社会的紐帯の断章化が進む現代にあって「真のエリート」とは何か。エリート論が忌避されがちな日本の言論界にとっても十分に挑発的な一冊だ。
    ◇


チャールズ・マレー著、草思社、2013年刊

<「BOOK」データベースより>
経済力だけでなく、倫理観、価値観においても圧倒的な「階級格差」が生まれてしまったアメリカの現状を、リバタリアンの論客が詳細に分析した一冊。従来とはまったく異なる階層の存在を指摘し、二つの階級の断絶が社会を崩壊させると警鐘をならす。福祉の充実ではなく、かつてのアメリカ人が持っていた価値観の再建こそが重要と主張して全米で大論争を巻き起こした話題の書。

<読む前の大使寸評>
大きな政府を嫌うのは分かるが、国民皆保険を嫌う価値観は分からないし、分かりたくない気がする。

rakuten 階級「断絶」社会アメリカ



教室内カースト より
カースト

<教師すらも逆らえない:斎藤環(精神科医)>
現代の教室空間には、歴然たる“身分制(カースト)”がある。上位グループはクラスの主導権を握り、主張を押し通すことができる。いっぽう下位グループは、周囲から軽蔑され、声を上げても黙殺される。
 すでに漫画や小説では繰り返し描かれてきたこの“身分制”については、それが時に「いじめ」や「ひきこもり」の要因となることもあって、すでにいくつかの分析もあるし、私も問題視してきた。
 しかし意外にも、このインパクトある言葉をタイトルにした書籍は本書が初めてだ。筆者は東大の大学院生。学生や教師を対象としたアンケートやインタビュー調査に基づく研究をもとにして本書は書かれている。
 研究者らしからぬフワフワした文体だが、内容は深刻だ。本書によれば教室内のグループ間の格差は、中学以降に顕著なものになる。上位と下位の関係は固定的で、上位グループは多くの特権に恵まれ、楽しい学校生活を享受できる。対照的に下位グループの生徒の学校生活は、惨めなものになりやすい。一般に、にぎやかで気が強く異性にモテる生徒は上位に、地味で受け身で目立たない生徒は下位になりやすいという。
 中でも衝撃的なのは、教師すらもこの身分制には逆らえない、という事実だ。調査の結果、教師の側も、スクールカーストの存在を認識し、しかも肯定的に捉えていることがわかった。上位の生徒と仲良くしておく方が、クラス運営が格段にやりやすくなるからだ。なるほど「個より集団」という価値観は、かくして生徒と教師が一丸となって育まれるわけだ。
 本書における問題提起は、十分に成功している。次回作ではぜひとも、その対策にまで十分に踏み込んだ分析を期待したい。
    ◇

鈴木翔著、光文社、2012年刊

<「BOOK」データベースより>
スクールカーストとは、主に中学・高校のクラス内で発生するヒエラルキーのことで、小学校からその萌芽はみられる。同学年の子どもたちが、集団の中で、お互いがお互いを値踏みし、ランク付けしていることは以前から指摘されており、いじめや不登校の原因となるとも言われてきた。本書では、これまでのいじめ研究を参照しながら、新たに学生や教師へのインタビュー調査を実施。教室の実態や生徒・教師の本音を生々しく聞き出している。生徒には「権力」の構造として映るランク付けが、教師にとっては別の様相に見えていることも明らかに…。本書ではまた、中学生への大規模アンケート調査結果もふまえながら、今後の日本の学校教育のあり方に示唆を与える。

<読む前の大使寸評>
いじめは世界的に見られるようだが、均一民族でもある日本の、更には社会人の価値観が不在ともいえる学校内のいじめは極めつけではないのか?
とにかく先生と生徒しかいない治外法権の世界であり、教育委員会は問題解決より先ず隠蔽を優先する有り様である。

rakuten 教室内カースト

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Last updated  2013.03.27 00:53:57
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