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2013.06.02
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カテゴリ: 自然・環境
@syukan_kinyobi:世界のさまざまな民族のなかで、山林(森)と真に「共生」(共棲)する知恵を持っていた数少ない一部に日本人があるのではなかろうか。『貧困なる精神19集』本多勝一


ところで今、「ブナ・ナラ・クリ(木の文化5)」という本を図書館で借りて読んでいるのだが、本多さんの説く“山林との共生”というコンセプトにぶちあたったのです。
(あるいは逆で、この本を読んでいたので本多さんの言葉に気づいたのかもしれないが)

そのあたりの、内容を紹介します。

<白峰の出作り>p114~118
 「元禄時代から明治初年までは、全国的には新田開発が一段落して人口があまり増えなかった時代ですが、この白峰ではその間も人口が増えたのです。そのころ、この地が非常に豊だったということですね」白山ろく民俗資料館の山口一男館長はこう語る。
 今では山間の僻地というイメージが強いが、白山を背後に「出作り」と呼ばれる生活と、さらには木を上手に使う技術がこの土地に豊な生活をもたらしたという。出作りをはじめとした白山麓の民族文化に詳しい山口館長の話をもとに、往時の白山麓の暮らしを探ってみたい。

<土地をもとめて出作り>
 白峰(現在は石川県白山市)では500年ほど前から「出作り」という形態がはじまった。白峰の集落は、標高500mくらいの標高だが、さらに標高1000mくらいまでの山にでかけて農業をおこなう。春5月に一家をあげて標高の高い出作り小屋へ行き、夏の間はそこで耕作と養蚕をおこない、11月の初旬から中旬に降りてくる。中には出作りといっても冬も山で越す永久出作りもあった。
 白峰の集落周辺では耕地も限られていて、人口が増えるに従って食糧を確保するために、より高いところに耕地を求めた。白山麓でも白峰側は比較的山がなだらかで豊かだったからできたこと。狭い谷間の集落には住める人の数は限られており、300戸を超えることは難しかった。その許容量を超えて人が住もうとすれば、別の土地を求めざるを得ない。
<焼畑と養蚕>
 出作りでの耕作は、山林を伐採しての焼畑。1年目にはヒエ、2年目にはアワ、3年目には大豆という具合に土地が痩せないように作物を変えてつくっていく。このような雑穀は、気候変動などによる収穫の増減が少なくて安定していた。通常一軒で 0.2~0.3ha程度の焼畑をしていた。ひとつの焼畑を5年ほど使うと、その後20~30年は放棄し、地力が回復して草木が生育するとまた火入れをして利用する。
 この地域の焼畑の単位面積あたりの収量は、他の地域の焼畑に比べ高かったということだ。20~30年の周期で伐採する木材もさまざまに利用された。また、放置された焼畑ではフキ、ヨモギ、ウド、ワラビなどの山菜も収穫できた。出作りは自給自足の生活で支出もないけれど、収入もなかった。しかし、現金収入を得るために養蚕がさかんになってくる。
「出作りのための大きな要因は養蚕だった」と山口館長は指摘する。桑を植える土地を求めて山に登っていった。養蚕にかかる年貢は米などに比べて低く、生糸は軽いため運搬にも便利。現金収入を得る手段として、養蚕が出作りを推進したとも言える。
 白峰からは加越国境をこえて、福井県側まで出作りに行った記録がある。福井県側では水田耕作ができるところまでしか農耕が行われなかったが、国境をこえて白峰の人々は山中に出作りをした。「他の地方の人々は奥山で養蚕や農耕をするという発想がなかったけれど、白峰の人々はそれが出来る技術もあり収量も高かったのです」と山口館長は教えてくれた。

<木の使い方を熟知>
 当然、木を利用する技術にも長けていた。
 さまざまな道具に使われている樹種を見ると適材適所で、現代のさまざまな木材実験のデータとも一致するという。大きな木槌の柄にはミズナラを使い、頭にはどんな衝撃でも割れないナツツバキやミズメを使う。標高が高くなるとブナの原生林に自然と遷移していく地域だ。鍬の柄にはブナが使われている。ツルハシの柄には強度が大きくて折れにくいミズナラ。建物の中では敷居には硬いナシを使っている例がある。

<宵越しの金は持たない>
 白山という信仰の山をもち、白山山頂の堂社の造営や維持管理・登山者の世話等の仕事があるという地の利もあったが、養蚕と紬や麻などの織物生産がこの地域に豊かな経済をもたらしてくれた。この土地でも「宵越しの金は持たない」という風潮があったというが、それは持っていなくても将来に養蚕などで必ず収入が得られるという裏づけがあったから。雑穀しか収穫がまくとも、他の地域から米を買うのには十分な経済力があった。
 近代的な視点からすると、白峰は山間僻地としてのマイナスイメージが先行するが、山の恵みを十分に利用して経済的に豊かな時代があったことを忘れてはならないだろう。それは循環型社会の構築を求められている現代に、ヒントを提供することができるかもしれない。



<日本がモデルを示すべき:オークビレッジ稲本正さんに聞く>p128
 日本は世界でもまれに見る木とのつきあいの長い国なのです。歴史的に見て日本が木から離れたのは、古墳時代と現代だけといっていいでしょう。縄文時代は「第一次期の文明」、飛鳥時代からほんの数10年前までは「第二次期の文明」の時代。戦後しばらくの頃までは、住宅も9割が木造住宅でした。木についてトータルに見ても、デザイン・使い方などで一番発達しているのは日本です。世界にこうしたモデルを示すことができるのは、ドイツと日本だと思っていますが、ドイツはすでに成功のパターンに入りつつあると思っています。
 今の世界ではアメリカがひとつのモデルになっていますが、環境問題からいうと、アメリカ型は失敗モデルです。近い将来、中国・インドもアメリカ型になる可能性があります。
 木の文化・文明に長い間親しんできた日本こそ、木という再生可能資源を中心とした循環型システムの成功モデルをつくって世界に示すべきでしょう。「第三次期の文明」の実現に向けたイメージをつくりあげていく必要があります。



山の民のくらしと文化 より
出作り出作りの場所

村から遠く離れた出作りの地。人々は「ジャラ」と呼ばれる平坦な土地に住居をつくり、ここを生活の拠点にしてきました。
住居を含めた出作りの地の立地条件には、
(1)雪崩や洪水の心配がないこと
(2)水の便が良いこと
(3)強風が吹かないところ、などの条件があります。
また、出作り先で生活するための住居は「出作り小屋」といい、その大部分が家族の手で作られてきました。さらに周囲の自然や地形をたくみに活かして、「ジャラ」は完全なる自給自足の生活空間を創り上げています。

<「出作り」に培われた本物の生きる知恵と業>
山の奥深くで、孤立して生きた「出作り」。厳しい自然の中で自らのいとなみを創り上げるには、あらゆる能力が求められます。
家や道具を作ること。田畑を耕し、四季の恵みを覚え、食糧を確保すること。天候や災害を予測すること。ケガや病気を治す薬草を見分けること。これら生きることの全ての方法を自然の中から見い出した「出作り」は、まさに厳しい自然の中で豊かに生きるための知恵と業の結晶といえます。
モノが溢れ、何不自由のない現代社会ですが、一方で、人間本位の考え方や便利さにかまけた生活が今、あらゆるところに“ひずみ”となって出てきています。こうした我々の暮らしに、完全に自然と共生し、自給自足の循環型生活様式を創り上げた「出作り」は今、真の豊かさをしめしているような気がします。
一旦は消滅しかけた白山麓固有の「出作り文化」。それはこれからの世界的な真の循環型社会で、伝えなければならない大切な“生きる知恵と業”なのです。



【ブナ・ナラ・クリ(木の文化5)】
ブナ

ムック、新建新聞社出版部、2006年刊

<「MARC」データベースより>
ブナ・ナラ・クリを中心に、広葉樹の建築と職人、広葉樹の歴史、山林に学ぶ、山麓の暮らし・里山の自然など、幅広い観点から広葉樹にまつわる日本の文化を紹介する。全国の巨木や、ブナ・ナラ・クリの基礎知識なども収録。

<大使寸評>
ブナ・ナラ・クリといえば・・・
日本ではありふれたというか、代表的な落葉広葉樹であり、大使のツボをつくわけです。
とくに“山林との共生”というコンセプトがいいですね。

Amazon ブナ・ナラ・クリ(木の文化5)

ところで、以前からやや疑問に思っていたことですが・・・
恵まれた気候とは言えない北陸地方が幸福度指数では高いのは、何故?ということです。
この本を読んで思い当ったのですが、この地方は山林と循環して共生する意識が強く、経済的にも堅実な生活を続けてきたその積み重ねが、幸福度指数に表れたということではないでしょうか?♪


都道府県別「幸福度指数」で福井県がなぜ一位に?「日本でいちばん幸せな県民」とは? より
 「47都道府県の幸福度に関する調査」を実施した法政大大学院の研究班によると、福井県が堂々一位に輝きました。その興味深い調査と分析結果を「日本でいちばん幸せな県民」(PHP出版)という書籍で紹介しています。

しかしどんな指標で県別の幸福度指数ランキングを出したのかが気になりますね。研究チームは、従来の幸せ度としての国民総生産(GNP)などとは別の指標を用いることにしたようです。以下の4部門合計約40の分野で幸福度をまとめています。

1.「安全・安心」・・・刑法犯の認知数、1世帯当たりの貯蓄額、老人福祉費など
2.「労働・企業」・・・失業率の低さ、障害者雇用の高さ、離職率など
3.「生活・家族」・・・出生率、マイホーム所持率、保育所定員数など
4.「医療・健康」・・・平均寿命や病床充実度など
それによると福井県は堂々1位の7.23点という高得点をたたき出しています。2位が僅差の7.20点の富山県、3位が6.90点の石川県です。失礼かもしれませんが田舎が幸福度指数が高いのです。










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Last updated  2013.06.02 00:01:43
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