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2013.06.21
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カテゴリ: 気になる本
日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。

・永続敗戦論―戦後日本の核心
・亡びゆく言語を話す最後の人々 

さっそく、図書館に借り出し予約するのもいいかもね。
********************************************************************************

永続敗戦論―戦後日本の核心 より
永続

<対米従属を続けたい人だらけ:水野和夫(日本大学教授・経済学) >
 書名以上に、本書の内容は刺激的である。読んだあと、顔面に強烈なパンチを見舞われ、あっけなくマットに仰向けに倒れこむ心境になった。こんな読後感は初めてだ。

 本書にいう「永続敗戦」とは、「敗戦を否認しているがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、深い対米従属を続けている限り、敗戦を否認し続けることができる」状況を指す。本書の目的は「永続敗戦」としての「戦後」継続を「認識の上で終わらせること」にある。
 現実には、「永続敗戦」の構造が政官財学、そしてメディアを中心に執拗に維持されている。官邸に陣取る外交アドバイザーが米日関係を「騎士と馬」に擬えていたり、3・11による原発事故に際して日本気象学会のトップがその主体性において屍と化した発言をしたり、財界のトップにいたっては原発の建屋爆発後に「千年に一度の津波に耐えているのは素晴らしい」と言い放っているのは、滑稽でさえあると本書はいう。

 著者は「平和と繁栄の時代」が終わったのだから、それを与件としてしか成立しえない「戦後」も終わったと確信する。9・11によって米国がカール・シュミットのいう「例外状態」に突入したように、小泉総理大臣が北朝鮮を電撃訪問したことで日本も同じ状態に入ったと主張するのだ。「例外状態」とは戦争状態をいうのだから。

 本書は経済学にも重い課題を突きつけている。1956年に経済白書が「もはや戦後ではない」と宣言したが、この国の「戦後」は続いていたのである。この誤認にバブル崩壊後、政府の目的と化した「成長戦略」が失敗に終わった理由があるといえよう。「永続敗戦」を甘受した結果「世界によって自分が変えられてしまう」ことを断固拒否する著者の姿勢を、評者は断固支持する。そうしないと、TPP参加や沖縄問題などどれも失敗に終わるだろう。
  ◇

白井聡著、太田出版、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
「永続敗戦」それは戦後日本のレジームの核心的本質であり、「敗戦の否認」を意味する。国内およびアジアに対しては敗北を否認することによって「神州不滅」の神話を維持しながら、自らを容認し支えてくれる米国に対しては盲従を続ける。敗戦を否認するがゆえに敗北が際限なく続くーそれが「永続敗戦」という概念の指し示す構造である。今日、この構造は明らかな破綻に瀕している。1945年以来、われわれはずっと「敗戦」状態にある。「侮辱のなかに生きる」ことを拒絶せよ。

<読む前の大使寸評>
第二の敗戦とか、第三の敗戦とかよく聞くけど「永続敗戦」ですか・・・
対米コンプレックスが強い大使としても、ここまで自虐的ではないのだ!
と言いつつ、気になる本ではある。

rakuten 永続敗戦論―戦後日本の核心



亡びゆく言語を話す最後の人々 より
言語

<敬意をもって耳を傾け記録:内澤旬子 (文筆家・イラストレーター) >
 アメリカ先住民ナバホ族のディネ語の吹き替えによる「スターウォーズ」が今夏公開される。ナバホ族自身によるディネ語保存のための画期的な試みだ。アメリカ先住民の中で最も人口の多いナバホ族でも、半数がもうディネ語を話さないそうだ。
 この本で紹介されるのは、ディネ語よりもっともっと小さな、世界の辺境にひっそり散在し、あと数年で滅びてしまうかもしれない、そんな超マイナー言語の話者たち。文字を持たず、口承が大半だ。

 辺境でずっと自然に寄り添って暮らしてきた彼らから、豊かな土地を奪い、教育という名目で他言語を押し付け、彼ら独自の言語や文化が恥ずべきものであると抑圧したのは、ロシアやアメリカ、中国、ブラジル、オーストラリアなどの近代国家たち。日本だってアイヌと沖縄に同じことをしてきた。しかしその一方で視点をマクロにとれば、日本語もまた英語に脅かされるマイナー言語とも言えないか。

 言語学者である著者はアメリカ人であり、多言語を話すとはいえ、母語は英語。彼は最後に残された話者たちを訪ね、敬意をもって彼らの語りに耳を傾け記録する。例えばシベリアのトゥバ族の「行く」は、現在地から一番近い川を基点にして上流に行くか下流に行くかを分けて言う。環境とともに保存して意味を持つ言葉もあるのだ。
 家畜の状態、植物や天候を細かく見分けることが前提でついた膨大な名前たちは、知恵の宝庫であり、失われてからでは遅いのだと訴える。
 鮮やかに描かれる辺境の地の言語文化の豊かさに、著者と一緒になって感嘆する一方で、時々逆の、著者に訪ねてこられる者の視点にスライドしてしまう自分を発見し、複雑な気持ちになった。

 この先グローバリズムの果てに日本語が淘汰されないためにも、今亡びゆく言語文化を知り、耳を傾けることが大切なのかもしれない。
  ◇

K・デイヴィッド・ハリソン著、原書房、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
絶滅の危機に瀕する言語の記録のために、シベリアからパプアニューギニアまで、世界中の僻地を旅する言語学者。グローバリズムに呑みこまれ、現地語が消滅しようとしているいま、そのフィールドワークから語られる、少数言語が失われてはならない理由。

<読む前の大使寸評>
アイヌの言語も消滅の危機にあるが、北米インディアンの言語もよく似た状況のようです。
北米インディアンの言語といえば、映画「ダンス・ウィズ・ウルブス」で語られるラコタ語を思いおこします。
少数言語が失われてはならない理由とは、何なんでしょうね?

内澤旬子さんの選ぶ本には、まいど1目置いておりますが、言語グローバリズムに翻弄される日本語も安穏としていられないのかも。

rakuten 亡びゆく言語を話す最後の人々
ダンス・ウィズ・ウルブズ byドングリ


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Last updated  2013.06.21 07:48:03
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