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2013.07.25
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カテゴリ: アート
<宮沢賢治あれこれ>
図書館で「賢治から、あなたへ」という本を借りたので紹介します。
以前行った東北旅行でも賢治ゆかりの場所を巡ったりしたので、この際、宮沢賢治について、あれこれ集めてみました。

・賢治から、あなたへ
・イギリス海岸
・銀河鉄道の夜
・賢治関連サイト



<賢治から、あなたへ>
異邦人でもあるロジャー・パルヴァースさんが、賢治の作品を語っているのだが・・・
今も色褪せない賢治の魅力を解き明かしています。


<賢治にとって最も大切なのは「信仰」ではなく、「科学」だった> p131~132
 賢治の本職は農学者でしたが、玄人はだしの地質学者や天文学者でもありました。賢治は何かあるものを見れば必ず、それがどうしてそこに生じたのか、それが何でできているのか、それが宇宙でどんな意味や役割を占めているのかを想像しようとしました。土のなかの微粒子、水のなかの分子、切り立った高い崖、はるか遠くの銀河系のガス・・・。あらゆるものに対して賢治はそうしたのです。
 賢治はこれらすべてを混ぜあわせ、宇宙からカオスや流体の肖像を引きだすことがよくあります。だから、賢治の作品では、風が水より高密度だったり、天の川の砂粒が火を宿していたりします。絶滅したクルミの化石が、わたしたちに過去と未来の秘密を告げることもあるのです。
 賢治の観察の基本中の基本をひと言で説明すると、「科学」になるでしょう。科学こそ、賢治の探求において最も大切なものだったにちがいありません。

 ここで、多くの人は「いや、賢治にとって一番大切なのは信仰だった」と反論するかもしれません。でも、賢治とっては、観察や記録という科学的な「ものの見方」がなければ、信仰も存在できなかったのではないか。信仰というものは、観察・記録されたままの宇宙を「捉え直した」ものだ、とぼくは思うからです。
「捉え直す、何かの価値や正当性を再確認する」という意味のreaffirmationという英語があります。
 接頭辞のreは「直す」という意味です。科学者は何かを発見し、その真相を追究し、確認する。それが本当かどうかを知るために、何回も同じ実験をし、再確認する。
 世界三大宗教を信じる人からすれば、彼らの信仰の基本原則はこうなるでしょう。
「われ信ず。ゆえに、われ知る」
 しかし、賢治が生きていたなら、それとはまったく逆になるでしょう。賢治のモットーはこうなります。
「われ知る。ゆえに、われ信ず」



<賢治がなりたいと願った理想の人物、虔十> p246~250
 賢治が書いた最も自伝的な物語を二つ挙げるとすれば、それは『グスコーブドリの伝記』と、この『虔十公園林』でしょう。でも、この二つを比べると、『虔十公園林』の主人公のほうが性格は行動だけでなく、名前も賢治によく似ています。賢治はこの物語に「宮沢賢治の伝記」というタイトルをつけても問題なかったのではないか、とぼくは考えています。
 虔十はちょっと「でくの坊」で、「大きな子ども」といった人物です。子どもが森で楽しそうに遊んでいるのを見ると、彼は興奮します。虔十は賢治がなろうとした理想の人物だったのでしょう。虔十こそが、雨に打たれながらもまったく動じない人になりたいと『雨ニモマケズ』で語った賢治の願いを実現した人物だと思います。
 しかし、虔十の行く手に、平二という悪党が立ちふさがります。この物語で、賢治は「勧善懲悪」というお決まりの方法を取らずに、彼ならではのやり方で善と悪のぶつかり合いを描いています。
 賢治の世界では、善は悪と戦おうとはしません。善は悪を抱きしめる力があまりに強いので、虔十の「陽」と平二の「陰」は一つになります。彼ら二人は同時に病気で寝込んでしまいます。しかも、一緒に亡くなってしまうのです。平二の悪は虔十の持つ善の力に抵抗できませんでした。同じように、虔十の善も平二の持つ悪の力に抵抗できず、二人は一緒に死んでしまうのです。

(中略)
 虔十が亡くなってから20年ぐらい経って、大学の先生がアメリカ留学から帰ってきます。
 ―その虔十といふ人は少し足りないと私らは思っていたのです。いつでもはあはあ笑っている人でした。毎日丁度この辺に立って私らの遊ぶのを見ていたのです。この杉もみんなその人が植えたのださうです。―

 ここで、賢治の生きた時間軸を見てみましょう。彼の没後20年にあたるのは、1953年ごろ。まさに、この1953年に、大学の先生は花巻に帰ってきます。ちなみに、1953年とは賢治の作品が日本で初めて正しい評価を受けるようになった時期でもありました。虔十と同じように、賢治も死後しばらくして、業績にふさわしい評価を受けたのです。
 『虔十公園林』に登場する先生は、「ああ全くたれがかしこくたれが賢くないかはわかりません」と言います。先生のこの発言は、虔十や賢治だけでなく、時代の先を生きた人物全員にあてはまる真実を語っているのではないでしょうか。未来を正直に告白できる「ほんとうの預言者」は、現世では苦しまなければならないかもしれません。一般の人々はそういう預言者を、理想主義者やばか者、でくの坊だと考えるからです。ときには、彼らは預言者を危険人物だと考えてしまうことさえあります。
 賢治の時代の人々は、彼を危険人物だとまでは考えなかったでしょうが、理想主義者やばか者、もしかしたら、でくの坊だとは思っていたはずです。
 ところで、賢治はそうしたまわりの評価を気にすることなどなかったのでしょうか?いや、おそらくとても気にしていたと思います。しかし、それも時間が解決してくれると賢治は悟っていた、とぼくは考えます。



【賢治から、あなたへ】
賢治

ロジャー・パルヴァース著、集英社インターナショナル、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
あなたが、たったいま、ここに生きている。それ以上の奇跡があるだろうか。「雨ニモマケズ」「マグノリアの木」「フランドン農学校の豚」「なめこと山の熊」など、珠玉の作品にこめられた真のメッセージを読み解く。

<大使寸評>
異邦人でもあるロジャー・パルヴァースさんが、賢治の作品を21世紀の見方で読んでいきます。
大使の好みは「雨ニモマケズ」、「虔十公園林」あたりなんですが。

rakuten 賢治から、あなたへ




<イギリス海岸>
会社から7日間の永年勤続旅行休暇をもらったので、嫁さんのパートを無理やり休ませての東北旅行です。

宮沢賢治、十和田湖、白神山地、角館と私好みの亭主関白プランです(嫁さんゴメン!)
<イギリス海岸(2006.9.13)>
このあたりがフリープランのゆとりのあると言うか、間が抜けたスケジュールです。
観光コースから外れているのか、堤防で合ったのは散歩中の爺さんくらいというのが、のどかでいいですね。

イギリス海岸

賢治が命名した「イギリス海岸」とは、地質学の好きなエコロジスト賢治ならではの、とかくイメージを喚起する命名であり・・・・
ぜひ訪れたい場所でした。

ここの河床は侵食を受け年々低下しているらしいので、渇水時しか見ることが出来ないようですが・・・・
北上川の堤防に立ち「イギリス海岸」のイメージを膨らませるだけで満足、満足!


北上川の泥岩層の川岸 宮沢賢治の宇宙より

 物語の語り手の農学校の教師は、夏休みの農業実習の合間にしばしば生徒たちを連れて北上川の泥岩層の川岸に遊びに行く。仲間といっしょに川で泳いだり遊んだりして、東北の短い夏を満喫するのを生徒たちは大好きだったろうし、地質学の好きな教師の「私」にとっても、このイギリス海岸は興味のつきない場所だったからだ。
 この泥岩層は、「東の北上山地のへりから、西の中央分水嶺(ぶんすゐれい)の麓(ふもと)まで、一枚の板のやうになってずうっとひろがって居」て、「たゞその大部分がその上に積った洪積の赤砂利やローム、それから沖積の砂や粘土や何かに被はれて見えないだけ」だった。こうした堆積物が河川に侵食された北上川の河岸のような所では、この板のようにひろがった泥岩層の一部が顔を出しているのだ。


の

この「イギリス海岸」のほとりに「胡桃の森」という無料休憩所があり・・・・
勧められるまま上がりこみ、ここのボランティアのおばちゃん達と嫁さんのおしゃべりが盛り上がったが・・・
町からの補助金では足しにならないという話があったりしたので、帰り際に嫁さんが募金箱にポットンした。




<銀河鉄道の夜>
蔵書録から「銀河鉄道の夜」を紹介します。
今のところ積読状態であるが・・・そろそろ、読んでみようか。


【銀河鉄道の夜】
銀河
宮沢賢治著、角川書店、1991年刊

<「BOOK」データベース>より
―永久の未完成これ完成である―。自らの言葉を体現するかのように、賢治の死の直前まで変化発展しつづけた、最大にして最高の傑作「銀河鉄道の夜」。そして、いのちを持つものすべての胸に響く名作「よだかの星」のほか、「ひかりの素足」「双子の星」「貝の火」などの代表作を収める。

<大使寸評>
購入したのは角川文庫の改版65版(1991年刊)であるが、Amazonにはこの版の表紙画像が出なかった。
感想のほうは 『銀河鉄道の夜』 by松岡正剛をみてみましょう。

Amazon 銀河鉄道の夜




<賢治関連サイト>
賢治関連サイトを挙げておきます。

宮沢賢治の宇宙
グスコーブドリの伝記
賢治の学び舎
イギリス海岸







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Last updated  2013.07.25 17:28:50
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