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2014.05.30
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カテゴリ: アート
「職人―伝えたい日本の魂」という本を図書館で借りて読んでいるところです。

でも、今でもその職人気質がじゅうぶん通用するものもあると思うわけです。

大使の個人的関心から・・・
たたら製鉄と越前生漉奉書という二つの職人技について紹介します。
大使の以前の職業柄、たたら製鉄といえば、高品質の日本刀やヤスキハガネをすぐに連想するわけでんがな♪


<たたら吹き・村下> よりp56~60
 出雲風土記の舞台でもある島根県横田町。この土地では神話として伝わるほど、遠い昔からたたら吹きが行われていた。たたらとは、粘土で築いた炉で木炭を燃焼させ、砂鉄を溶解、純度の高い鉄を生産する日本古来の製鉄技術だ。たたらで作られた鉄=玉鋼は日本刀に使用される。また、たたら製鉄の長(おさ)を村下(むらげ)という。製鉄法の近代化に伴い、途絶えていったたたら製鉄だが、昭和52年、日本美術刀剣保存協会によって復活した。木原明さんは、国無形文化財に認定された日本でただ一人の村下だ。
 そしていま、たたら製鉄は新たな技術をつくり出す土台としての熱い注目を浴びようともしてきている。

たたら
ヤスキハガネとたたら より
<玉鋼復興を目指して>
●:なぜこの道に進まれたのですか。
木原:私は昭和10年、山口県宇部市に生まれました。工業高校卒業と同時に、島根県にある日立金属の安来工場に入社しました。
 そこで冶金研究所に配属され、中村工学博士のもとで砂鉄精錬の製鉄の助手を務めたのが、鉄との出合いのはじめであり、また、たたらの村下になるきっかけとなりました。それから46年間、砂鉄の道一筋に歩んできました。

●:終戦までは、たたらが細々として残っていたんですか。
木原:明治時代に入ると、洋鉄が輸入され洋式製鉄法が始まることで、たたらは衰退していく。そして、大正末期に経営的には閉鎖されてしまいます。
 そしてまた、戦争需要になって、昭和に入るとたたらが復活するわけです。日本刀、軍刀用の玉鋼としての供給です。

 しかしそれも終戦と同時に完全に途絶えてしまいましたから、日本刀の原料である玉鋼が、底をついってしまって、全国の刀匠は玉鋼がないので、古い釘とか、たたらで作った昔の製品を使っていたんです。
 が、これもなくなると日本刀の製作技術の継承に支障が生じるため、昭和52年に日本美術刀剣保存協会によって、伝統技術の保存伝承と刀匠に玉鋼を供給するために、たたら製鉄が復元されました。

●:この場所を選んだという理由は、何でしょうか。
木原:当地方は、古代から製鉄が盛んで、昭和20年までここでたたら製鉄が行われていました。そして、その技術を身につけている故・安部由蔵村下さんが高齢(75歳)でしたが健在で、引き受けてくださったおかげです。

 それに、他の所では難しい、原料である良質の砂鉄と木炭の確保ができることです。しかし、これらを実行に移すのは並たいていのことではなく、苦労の連続でした。
 最初、村下の下で働く者が10人ほど選ばれましたが、私は42歳で、そのなかでも年少のほうでした。その話を聞いたときは、我々も関連する製鉄の仕事をやっていましたから、これは興味があり、その技術を習得して目的を達成したい、ということで、受けさせていただいたんです。

●:たたら吹きの作業を操業というようですが、どれくらいかかるのですか。
木原:操業の前に準備がありますが、その準備に3日はかかります。下灰や炉を作る作業があります。
 その後、操業に入ると、三日三晩、3昼夜、責任をもってやりとげて、優れたケラ(鋼)を作る。それが村下の技術であり使命です。
 だから、安部由蔵村下さんに教わりながら、完成するまではほとんど寝ずにやってきました。最近は、上級養成員のなかから、村下の代行ができる後継者ができたので、休みながら作業を続けております。60歳、還暦を迎えるまでは、三昼夜で数時間寝る程度で、操業を続けていました。

●:えっ、一日ではなく、三昼夜で数時間ですか。
木原:2日目の夕方から少し、数時間ほど休み、あとは通しでずっとやります。

たたら吹き で木原さんの作業場面が見られます。


このつぎは、コウゾ100%の越前生漉奉書についてです。

<和紙> よりp159~165
 岩野市兵衛さんの福井県今立町は、古代奈良朝から現代にまで延々と続く日本屈指の和紙の里である。現在、手漉き和紙を業とする家が53軒、兼業4軒、機械漉きをするところが19軒、就業者総数750人とのこと。まさにいまなお和紙の里なのである。
 岩野さんの家は代々、この閑静な山里で原料にコウゾだけを使う「生漉奉書」をひと筋に漉き続けてきた。人間国宝だった父親のあとを継いだ9代目、当年67歳(2001年時点)である。

 「生漉奉書」は古くは公文書に用いられたものだが、現在ではおもに木版画を摺るのに使われている。岩野さんの漉く「生漉奉書」ほど強くしかし柔らかく、白くなめらかで混じり物がまったく見られないものはほかに例がない。そのため、岩野さんの紙しか使わないといわれる版画家は多い。
 しかしこの稀代の名匠は、技量が占めるのは1~2%、紙漉き死ぬまで1年生とおっしゃる。 

奉書

<コウゾ100%の生漉奉書へのこだわり>
●:ずいぶん古くから代々和紙を作ってこられたんですね。
岩野:私の家は代々岩野市兵衛を名乗っていまして、私で9代目になります。私のところは分家でして、本家は岩野平三郎を名乗っていますが、この岩野平三郎さんとよく混同されるんで困ってしまうんです。
 たとえば、和紙の権威ある研究者のある方の文章に、法隆寺の壁画の麻紙は人間国宝岩野市兵衛が漉いたって書いてあるんです。でも私のところでは麻紙はまったく作っていないんです。生漉奉書といって、コウゾ100%の紙しか作りません。そこにずっとこだわってやってきたのが岩野市兵衛なんです。それなのにそういう間違いをされると何かいやになってしまいます。
 紙は大きく分けて奉書、鳥の子、美術小間紙、局紙、局紙はトロロアオイの液体は入れないんです、それから書画用紙、このなかに麻紙も含まれますが、だいたいこの五つに分かれるんです。

 私のところでやっているのは奉書ですが、ひとくちに奉書といっても大きく3種類があるんです。半草奉書というのがありますが、これはコウゾ50%、パルプ50%のものです。これはまだいいほうで、大阪や東京の店で「奉書をください」といえば、出してくるのはほとんどがカナダあたりから輸入するパルプ100%のものですね。そういうのとは違うコウゾ100%の紙を生漉奉書というんで、私で9代、ずっとなぜかこの紙にこだわって紙を漉いてきたんです。
(中略)

●:コウゾはこのあたりで採れるんでしょうか。
岩野:明治をずっとさかのぼる頃には地元にも少しありました。福井県大野市、昔でいうと穴馬と上打波、下打波という所でコウゾが採れていたんです。それがなくなってしまってからは、石川県との境にある富山県の福光、城端の金沢商人が扱う加賀コウゾを使ってきました。昭和32、3年くらいまでは加賀コウゾがまだ入ってきていたんですが、これもなくなってきて、いよいよ越前で使う量に達しない状態になったんです。
 それで私の親父が、隣の鯖江市河和田町という越前漆器の産地があるんですが、そこの漆かきを仕事にしている人から、茨城にいっぱいコウゾがあると聞いて出かけて行ったところ、確かによさそうなのがあったんです。それで買い付ける約束をして何本かもらって帰ったんですね。

 それから、自分の分もほしいけども、紙の組合の業者の分もほしいいうことで、最初は千円札や百円札で百万円ぐらいの金を、洋服の裏にぎっしり縫い込んで持って行ったそうです。そうやって手付金を打って、茨城県から入ってくるようになったんです。
 この茨城県のコウゾの名前が那須コウゾなんです。那須は栃木県ですが、いまでは茨城県久慈郡太子町が那須コウゾの本場になっているんです。
 私のところでは茨城県の那須コウゾ100%の紙を作っています。



越前市広報 より
 伝統技法「越前生漉奉書」を漉く九代岩野市兵衛さん(66)=大滝=が五月十九日、国の文化財保護審議会の答申で、国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に選ばれました。
 福井県内で人間国宝に認定されているのは、これまで昭和四十三年に岩野さんの父親、八代岩野市兵衛さん(故人)が選ばれているだけで、県内で三十五年ぶり、二人目。 親子での栄誉となりました。

 九代岩野市兵衛さんは昭和二十四年、家業の手漉き和紙の道に入り、八代岩野さんの下で、楮(こうぞ)だけでつくる生漉奉書の技術を習得されました。 先代から受け継いだ技法をかたくなに守り続けて昭和五十三年に伝統工芸士に指定され、同年九代岩野市兵衛を襲名。 平成九年には、県無形文化財保持者に指定されています。

 伝統的な越前奉書は、原料の楮を手打ちし繊維をほぐす「叩解(こうかい)」や、木綿の布で楮を水でさらしデンプン質を取り除く「紙出し」など、手間を惜しまない入念な原料処理に特色があります。 紙質は強靱で、格調高く重厚な風合いが特徴。 現在の主な用途は版画用紙や書画用紙ですが、特に岩野さんが漉く越前奉書は芸術的価値が高く、二百回から三百回もの摺りに耐え、国内外からの著名な版画作家の用紙に使用されています。「広報いまだて」より





職人

エス・ビー・ビー編、三交社、2001年刊

<「BOOK」データベース>より
経済事情、歴史的・風土的な事情を背景に、それぞれの職人たちはどのように伝統技術を保持展開しているのだろうかーそれが本書の職人たちへのインタビューの基本的なモチーフである。ほかにエッセーとして、日本を代表する建築家・黒川紀章、民俗情報工学研究家の井戸理恵子、作家の菅田正昭が寄稿している。
【目次】
火箸風鈴/たたら吹き・村下/大工/建具/油団/漆器/打刃物/和紙/京瓦/京型彫り/京扇子扇骨加工/菓子型彫刻/無双絵羽織/益子焼/漆

<大使寸評>
たたら吹き、漆器、打刃物、和紙あたりが、大使の関心のツボであるが・・・
カネが全てのこのご時世に、それらに従事する職人さんのノウハウ、心意気が知りたいわけです。

rakuten 職人―伝えたい日本の魂






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Last updated  2014.05.30 10:11:09
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