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2014.06.15
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カテゴリ: アート
ブルーノ・タウトと言えば、桂離宮を評価したドイツ人の建築家であり、彼の設計した集合住宅の機能性、色彩と桂離宮とでは、一見異質ではある。
だけど、建築のプロとも言えるタウトから見れば、桂離宮に普遍的な美しさがあったということなんでしょうね。

桂1

桂2

桂離宮大好き♪の大使は、建築写真満載のこの『ブルーノ・タウトと建築・芸術・社会』という本に惹かれるわけです。

この本から気になるヵ所を紹介します。

<はじめに>より
 ブルーノ・タウトという名前はドイツ人の建築家というよりも、『日本美の再発見』(岩波新書)の著者として日本人には知られている。この本を読むと翻訳者篠田英雄先生の名訳を通じてタウトという人が如何に哲学的に物事を考え、捉え、活動したかが読者に伝わってくる。言葉の一つひとつが詩的であり、哲学的である。というと近寄りがたい人物であったのではないかとも考えられるが、実際はそうでもない。来日に際してはエリカという婦人を同伴して敦賀に上陸している。その後もエリカをタウト夫人ということで通している。しかし実際には熱烈な恋愛の末結ばれた正妻が離婚もせずドイツに残っていた。このような面もある人物である。

 (中略)
 ブルーノ・タウトは来日し、宮廷文化である桂離宮、また代表的な神道建築である伊勢神宮を激賞した。これは当時太平洋戦争に突入しようとしていたわが国にとっては非常に好都合なことであった。国粋主義の高揚に役立ち、西欧人には文化的にも技術的にも劣等感を持っていた当時の日本人に自信と誇りをもたらせた。そのことから大政翼賛会からの出版物にもブルーノ・タウトは紹介され、高く評価された。またタウトの著作は文部省の推薦図書となり、多くの読者を得た。しかし実はブルーノ・タウトは生涯を通じ戦争反対者、平和主義者でかつ社会主義者であった。これは東海大学創立者松前重義先生の思想と合致するところであり、東海大学出版会から出版のお誘いを受けたひとつの理由である。



桂離宮を評価したタウトは、『徒然草』『方丈記』まで読んだそうだから・・・日本を深く理解していたのかも知れません。


<タウトの来日>p180~184より
 来日の翌日上野夫妻の案内で桂離宮を訪れている。日本の素材を十分に生かし、かつ簡潔な建物と庭園からなる空間が、自然と人間との調和をはかりつつ、かつ京都という伝統ある都市の景観とよく融合していることに感動する。「涙が出るほど嬉しい」とも日記に書き「今日はおそらく私の一生の内でもっとも善美な誕生日であったろう」とも記している。 
 さらに伊勢神宮、大徳寺、飛騨白川の合掌造りの民家などに直接触れてその感を深めた。日本の伝統的建築、ひいては日本文化の本質に触れ、かつそれを正しく取得している。タウトの興味の対象は単に建築ばかりでなく、民芸、キモノ、焼き物、香、生け花、文学、造園、日本の自然、と非常に広い。また自らの講演をもとに著述にも励み『ニッポン』『日本文化の再発見』『日本文化私観』『日本・タウトの日記』などを著わし、日本人に自信と感銘を与えた。ちょうど日本が太平洋戦争に突入しようという時代に日本文化を外国人によって褒められるというのは当時の日本政府にとっても具合のよいことであったに違いない。

 タウトの作品は文部省推薦図書となり、当時多くの国民がこれを読んだ。しかし、読者の多くはタウトの本職が建築家であったことを知らなかった場合も多い。単なる文化評論家くらいに考えていた同胞も多いはずである。しかしタウトはきわめて短い1920年代に1万2000戸もの集合住宅をベルリンに完成させた、れっきとした建築家であった。ドイツでは想像もつかないハードなスケジュールをこなしてきた人であった。

 第一次世界大戦後の世界的不況により、日本の農村は荒廃が深刻であった。これを克服するために、地方では農村の振興が急務であった。タウトはまず仙台の商工省工芸指導所で工芸の指導にあたった。これは1933年9月に東京の三越で商工省工芸指導所の展覧会を見学したことが契機となっている。工芸指導所の国井喜太郎所長に批評を語ったことがきっかけで、顧問として働くこととなった。
(中略)
 タウトは高崎郊外の少林山達磨寺の洗心亭に住み、工芸品制作の指導にあたった。1934年8月1日にタウトが洗心亭に住むようになって、1936年10月日本を去るまで、ここを拠点として仕事をした。少林山は、タウトが青春時代を過ごしたコリーンと似ているという。時々コリーンを想いつつ、ここで日本文化に関する書籍を読み、また多数の著述を行った。建築設計や大学で教えるといった職はなかったが、タウトにとっては思いがけない貴重な時間をここで過ごすことができたのである。この時間をタウトは自嘲気味に「建築家の休日」と呼んでいる。

 タウトは『徒然草』を英訳本で読んでいる。洗心亭の生活をすっかり気に入り、日本文化に関する多くの本を読み、またここで著述が行われたのである。鴨長明の『方丈記』を読んでは、鴨長明の庵がわずか一丈しかないことに「私の洗心亭の方が少し広い」と書いている。
(中略)

 時局は戦時色を強め、タウトとエリカにとって居心地はよくなくなってきた。工芸品製造に必用な材料は軍需に回され、工芸研究も軍事研究のほうが優先された。工芸に関わる職人も兵役に就いた。こういうときにトルコからインスタンブール芸術アカデミー教授の口がかかり、愛した洗心亭、広瀬住職一家、八幡村と涙の別れをすることになる。



【ブルーノ・タウトと建築・芸術・社会】
タウト

田中辰明著、東海大学出版部、2014年刊

<内容紹介>より
ベルリン、日本、トルコに残るブルーノ・タウトの全ての建築作品を眺めながら、タウトと二人の伴侶の関係、同じく建築家であった実弟マックス・タウトのことなど、これまでに知られていない事柄を紹介し、誤解されている事実をただし、その波乱に満ちた生涯を辿る。オールカラーのブルーノ・タウトの決定版。

<大使寸評>
彼の設計した集合住宅の機能性、色彩と桂離宮とでは、一見異質ではある。
だけど、建築のプロとも言えるタウトから見れば、桂離宮に普遍的な美しさがあったということなんでしょうね。

桂離宮大好き♪の大使は、建築写真満載のこの本に惹かれるわけです。

rakuten ブルーノ・タウトと建築・芸術・社会






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Last updated  2014.06.15 00:26:41
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