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2014.06.18
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カテゴリ: 経済
大使の実例が示すように、パソコンがタブレットやスマホに置き換わりつつある昨今ですね。この本で言うところのパラダイムシフトなんでしょう。
そのパラダイムシフトとして、インテルの判断ミスとサムスン電子の躍進が気になるわけです。

そして、大使としてはとにかく日本製半導体の敗因を知りたいので「日本型モノづくりの敗北」という本を買ってきたわけです(笑)

<インテル史上最大のミスジャッジ> p199~200より
 アップルは、初代「iPhone」用プロセッサの生産委託をインテルに打診した。その際、アップルは、それに一定の金額を払うが、その金額以上はびた一文も出す意志がないと伝えたという(ジョブスの言いそうなことだ)。
 おそらくジョブスは、プロセッサ1個当り約10ドルとし、それ以上払わないと言ったのだろう。インテルは、これに基いて利益を出すにはどのくらい生産すればいいか、つまり「iPhone」がどのくらい売れるかを予想した。インテルは、まさか将来スマホの出荷台数がPCを超えるとは予測できなかった。したがって、1個約10ドルのプロセッサをつくっても利益は出ないと判断した。だからこそ、インテルCEOオッテリーニ氏は、アップルからの依頼を断ったのだろう。
 しかし、蓋を開けてみれば、インテルの予測したコストは間違っていた。なぜならば、「iPhone」の生産量はあらゆる人が考えていた量の100倍だったからだ!

<インテルの代わりにサムスン電子が受託> p200~201より
 ちなみに、インテルが断った「iPhone」用プロセッサは、韓国のサムスン電子が製造することになった。サムスン電子は、DRAMやNANDフラッシュメモリで世界シェア1位だが、メモリは好不況の波を受けやすいため、随分前からファンドリーに進出しようとしていたが、鳴かず飛ばずの状態が続いていた。
 そんな時に「iPhone」用プロセッサを受託し、ファンドリービジネスを開花させ、その利益を享受することになった。「iPhone」効果で、ファンドリー部門では、サムスン電子はこの3年間で10位から3位に大躍進した。
 さらに、「iPhone」用プロセッサの受託は、もっと大きな果実をもたらした。サムスン電子は、自他共に認める「ファーストフォロワー」、つまり模倣者である。その模倣者に、アップルは、スマホの付加価値の源泉ともいうべきプロセッサを製造委託したわけである。
 現在、サムスン電子のスマホ「GALAXY」は、出荷台数で「iPhone」を抜いて世界一となり、同社の最も大きな収益源となっている。「GALAXY」の開発・製造に、「iPhone」用プロセッサ製造で知り得たノウハウが活かされていることは間違いない。
 アップルとサムスン電子は、2012年以降、世界各国で、スマホに関する訴訟合戦を繰り広げている。これについては、アップルは墓穴を掘ったとしか言いようがない。


パラダイムシフトの前兆を察知する感性も大事なんでしょうね(なーんちゃって)

<パラダイムシフトの前には技術力は無力> p210~211より
 1980年代半ばに世界シェア80%を占め、世界最高品質を誇り、産業のコメとまで言われた半導体メモリDRAMは、コンピュータ業界のパラダイムシフトに適応できず、破壊的に安く大量生産するサムスン電子によって駆逐され、撤退した。

 1社だけ残った残ったエルピーダメモリは、日立が新技術の研究開発を行い、三菱がインテグレーション技術を担当し、NECが量産工場の生産技術に専念したら、世界最強のDRAMメーカーになったかもしれない。しかし、実際は「ほとんどNEC」になってしまい、PCの低価格化に伴ってDRAM1ドル時代を迎えていたにもかかわらず、従来の“こてこて”のプロセス技術から脱却することができず、倒産した。

 DRAMから撤退した日本は、雑誌に煽られて確たる戦略もなくSOC(システムLSI)に舵を切った。ニッチな集合であるSOCに必要なことはマーケティングとシステム設計だったが、日本は30年以上前に形成された技術文化から何一つ変わろうとせず、上位発注者から言われた通りに、ひたすら高品質につくることだけに注力した結果、まったく利益が出ず、壊滅的状態に陥った。

 かつて日本のお家芸だったテレビ産業では、モジュール部品の組み合わせでデジタルテレビが製造可能になったにもかかわらず、ほんのわずかの差の高画質にこだわり、しかも世界展開はほとんどできず、壊滅的状態になった。

 1992年以降、世界半導体売上高1位の座に君臨し、PC用のプロセッサを独占し、世界最先端の半導体技術を開発し続けてきた米インテルは、PCがスマホに駆逐され始めたため、史上最大の危機に直面することになった。
 こうしてみてくると、世界シェア1位、世界最高品質の製造技術、世界最高の高画質技術、世界最先端の技術を持っていても、パラダイムシフトの前にはまったく無力であることがわかる。

 だからといって、技術開発を行うことが無意味だと言っているわけではない。世界のパラダイムが変化しているにもかかわらず、過去の成功体験に囚われ、それゆえ強いと思っている技術にしがみつき、自身が変わろうとしないことが問題なのだ。
 日本が再起するためには、パラダイムシフトにうまく適応し、イノベーションを起こすような技術を開発し、製品をつくることが必要である。 


このままでは、後口が悪いので、最後は湯之上さんの宣託を拝聴しましょう♪


ウォシュレット

<あなたが世界をどう変えたいのか?> p247~249より
 エジソンがウォシュレットを発明できなかった理由は、自分のお尻を洗えないと言う不幸せを不幸せと思えなかったことにある。つまり、「お尻を洗うと気持ちがよいのではないか?」という問題を発明することができなかったからだ。
 三宅氏によれば、新市場の創出には四つの制約条件がある。これを幸せの制約条件と呼んでいる。
 ウォッシュレットの例でいえば、温水器やポンプなどの技術的制約がある。また、水洗トイレのための水道インフラや送電インフラなどの社会的制約もある。さらにモノを購買し維持するだけの経済的制約も存在する。
 しかし、この三つの制約より重要なのが文化的制約だと結んでいる。なぜなら、「お尻を洗いたい」と思わなければ、たとえ全期3条件が満たされていても、ウォシュレットを使おうという気にはなれないからだ。

 私は2007年に48日間かけて世界一周をしてみたが、日本以外にウォッシュレットが普及している国はなかった。中国やインドなどの新興諸国には経済的及び社会的制約があったかもしれない。しかし、欧米にはそのような制約はないはずだ。にもかかわらずウォシュレットがあまり普及していないということは、「お尻を洗いたい」という文化がないからに他ならない。
 逆に言えば、「お尻を洗いたい」という文化が広まりさえすれば、ウォシュレットの普及は難しくない。ここに、日本の電機・半導体産業が新市場をつくり出すヒントがあるのではないだろうか?

 ビジネスをしたい国に行って、その国民目線で、その国民が幸せになるにはどんなモノやコトが有効か、そして、そのモノやコトはどうしたら受け入れられるかを探求し、考え、企画する。これが出発点ではないか?そうしてみて、模倣による解決策を考えるのである。

 結局、新市場の創造とは、あなたが世界の何をどう変えたいかという信念ではないか?つまり、あなたがこの世界をどう理解し、何を変えたいと思い、自分に何ができるか、何を分担するかということだ。




敗北

湯之上隆著、文藝春秋、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
「日本の技術力は高い」-。世界では言われているが、なぜ半導体・電機業界が壊滅したのか?日立の技術者から学界に転じた著者が、零戦やサムスン、インテル等を例にとりながら日本の問題点を抉るとともに復活のための処方箋を提示する。

<読む前の大使寸評>
アップルとサムスン電子の製品をボイコットしている大使であるが・・・
とにかく、日本製半導体の敗因を知りたいわけです。

rakuten 日本型モノづくりの敗北


「技術者を盗む」というような大胆な発想が、孫子を産んだ大陸マインドであるが(笑)・・・
わりと視野が狭いのが日本の経営者の弱点なんでしょうね。

企業統合という官主導のわりと安易な方法で、この大陸マインドを蹴散らすことができるとは思えないけど、まあお手並み拝見というところでしょうか(弱気な大使でんがな)。

日本型モノづくりの敗北(その1)
タブレットを買った 2014.04.05





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Last updated  2014.06.18 19:27:39
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