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2014.09.13
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カテゴリ: 気になる本
大使がリタイアする前に、出張でサウジアラビアの現場に行った(行かされた)ことがあるので、彼の地の過酷な自然は体感しているわけで・・・
紅海を挟んで、現場の対岸あたりが、エジプトの砂漠地帯になるわけで、この本に描かれた内容が、よりリアルに感じられるのです。

定宿のホテルから紅海が遠くに見えるので、その写真です。
対岸のエジプトも、たぶんこんな景色ではないかと想像するのです。

紅海紅海
(この写真を撮ったカメラは、現場で落として壊れたので、数少ないサウジ写真となりました)

東アジアの湿潤なモンスーン地域の民としては、炎熱の砂漠地帯は行って体験しないとわからないわけで・・・
地球は広いというか、ま~大変な目に遭ったわけです。

仲間の間で、空気を読みながら暮らす我々と、砂漠の中で一人で自然と折り合いながら暮らすサイードたちノマドでは、価値観がまったく異なるわけで・・・


さて、大使の愚痴話はこれくらいにして、この本からラクダのあたりを紹介します。

ラクダ2 地獄のサウジレポート より

p56~57
 ある男が、オスのラクダをつれて、泉に水くみに行った。発情期だったため、メスのそばにいたがったが、無理やりつれて行ったという。
 泉で水を飲み終わるやいなや、ラクダは男の腕や首に噛みついた。肉片が辺りに散らばった。ラクダだけが帰って来たのを見て、近くにいた人がラクダの足跡をたどって行き、泉のそばのバラバラ死体を発見したそうだ。

 それでも、サイーダのラクダへの愛着は強い。
「ラクダは乗ったり荷物を運んだりできる。ミルクは医者の注射と同じくらい栄養があるんだ。私がこうして元気に砂漠で暮らしていけるのは、ラクダのミルクのおかげ、糞でパンも焼ける。車はしょっちゅう故障するし、タイヤはいつも新しくしておかなきゃいけない。ラクダは砂漠の草を食べていれば動いてくれる」

 遊牧民以外のエジプト人も、主にメディアでの医師の発言などを通じて、ラクダのミルクが体によいことを知っている。双子が産まれたエジプト人が、彼女にラクダのミルクをもらいに来ることがあるそうだ。彼らは町に住む遊牧民の男を使いによこす。彼らが預ってきた容器に、サイーダがミルクを入れて渡す。

 ラクダの気持ちも手にとるようにわかるようだ。
 ある時、歩き疲れた私は、担いでいたカメラバックを岩の上に置いた。その近くでラクダたちが草をはんでいたが、サイーダが、「ラクダが、バッグを見て怖がっているよ」という。ラクダは、前になかった物を見ると怖がるそうだ。

 先に書いた子ラクダ以外にも子どもが生まれたり、家族のラクダを預っているため、今飼っているのは7頭だが、彼女は年をとり、世話が大変になってきたという。4,5頭くらいがちょうどいいそうだ。しかし、必用に迫られたり凶暴なオスであるなどの理由がない限り、売るつもりはない。


エピローグの章で、常見さんが述懐しています。
p56~57
<こんどはコカ・コーラを持って来て>
 「こんど来る時は、ペプシとコカ・コーラ一本ずつ持って来て」
 彼女は3、4回目の滞在あたりから、私が持って来る食料について、それとなく注文をつけるようになった。
 私の持って来たリンゴジジュースを2人で飲みながら、「ジュースは、オレンジがいちばんおいしい」。マカロニを料理していれば、「チキンスープの素があれば、もっとおいしくなるのに」。チョコレート菓子を食べながら、「これよりも、パッケージに〇〇と書いてある物の方がおいしい」・・・。

 私はてっきり、サイーダは、ゴルスばかりの食事に満足していると信じて疑わず、そのストイックともいえる生き方に、尊敬の念すら抱いていた。それが裏切られたような気がして、勝手にがっかりしたものだ。

 彼女の持ち物についても同じだった。最初の頃は、サイーダはラクダに積み切れるだけの荷物で暮らしていると思っていた。しかし実は、砂漠の中に荷物置き場を数ヶ所持っており、すぐに必要ない荷物を保管していた。そこにはドラム缶が数個あり、色とりどりのガラビーヤが入っていた。それといっしょにマニキュアや手鏡数個、スカーフ数枚、指輪3個・・・なども。それらを嬉しそうに私に見せる。私は心の中で少なからず落胆したものだ。
 しかし・・・私は、はたと気づいた。もしかしたら、私は自分の理想像を彼女に押しつけていただけなのかもしれない。

 高校生の時に手にした本。
 その中で見た、ラクダに積めるだけの荷物を持ち、さっそうと移動していく遊牧民の姿を、ずっと私は追い求めてきた・・・。
 しかし現実の遊牧民は、それとはずいぶん違っていた。
 砂漠で一人でたくましく生きていると思えたサイーダも、実は家族や同じ部族の人たちなど、他者とのつながりの中で生かされていた。その事実は、人は一人では生きられないというあたりまえのことを私に思い出させてくれたように思う。

ところで、サイードはケータイを持たない主義とのこと・・・おお 大使と同類でんがな♪



ノマド

常見藤代著、 集英社、2012年刊

<「BOOK」データベースより>
夫や子どもたちと離れ、たったひとりでラクダを連れてエジプトの砂漠で暮らす女遊牧民サイーダ。著者は、彼女と遊牧生活をともにするなかで、これまで自身で思い描いていた、素朴で自由な“ノマド"像とのギャップに困惑しながらも、彼女のたくましい生命力に惹かれていく。
結婚するまでお互いの顔をほとんど見ないという「恋愛」事情や一夫多妻のリアルな内実など、急速に変容するイスラム社会にあっても、日本とはまったく異なる価値観で力強く生きる一族の女たちを鮮やかに描いた渾身のノンフィクション!

<大使寸評>
女ノマドといえば、未知の領域であり・・・ほんと、常見さんの渾身のノンフィクションなんでしょう。
仲間の間で、空気を読みながら暮らす我々と、砂漠の中で一人で自然と折り合いながら暮らすノマドでは、価値観がまったく異なるわけで・・・
そのカルチャー・ギャップが面白いのです。

この本は9/8に図書館に予約し、9/11に図書館に出向きゲットしたものです。

Amazon 女ノマド、一人砂漠に生きる


著者の常見藤代さんの肩書きは、この本ではノンフィクション写真作家となっているが・・・
今、どうしているんでしょうね。たくましく生きているとは思うけど。





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Last updated  2014.09.22 18:10:34
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