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2014.09.29
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カテゴリ: 歴史
先日、『淡河川・山田川疎水記録誌』や『日本の産業遺産300選(3)』という本を借りて以来、産業遺産づいているわけで・・・


『日本の産業遺産300選(1)』では、関心のあるたたら製鉄について集中的に読んでみました。


遺産1

金子六郎、他編、同文舘出版、1994年刊

<「BOOK」データベース>より
近代の人々の生活を支えてきた「文明財」ともいうべき産業遺産。全国に残されている遺物・遺跡を調査研究し、その意義を説く。
【目次】
農林水産、鉱山、石炭・石油、鉄鋼・金属、伝統技術

<読む前の大使寸評>
「鉄は国家なり」、「たたら製鉄」は関心のあるテーマなんです。
ドングリ国の近くの千草町は備前長船の原材料として珍重された千種鋼のふるさとでもあり・・・
ふるさとの産業遺産について、もっと知りたいのです。

Amazon 日本の産業遺産300選(1)


「鉄は国家なり」という言葉があります。鉄血宰相として知られるプロイセン王国・ドイツ帝国の首相、ビスマルクの演説に由来するこの言葉は、産業遺産を見る上でも欠かすことができませんね。

また、かつて日本で栄えた「たたら製鉄」という独自の技術が、今ではほぼ完璧に廃れて産業遺産として残る有様であるが・・・歴史的にもユニークで興味は尽きません。

<日本の製鉄遺跡について> よりp116~117
 日本の製鉄技術の歴史は、世界の鉄鋼技術の歴史のうえで非常にユニークな存在である。というのは、幕末時西欧の製鉄技術を移植するまで、「たたら製鉄」という独自の技術によって製鉄が行われてきたからである。たたら製鉄の歴史は、近世以前転々と、砂鉄や薪炭を求めて立地が移動していた「野だたら」の段階と、近世以降1ケ所に定着してたたら炉を建設するようになった「近代たたら」(あるいは永代たたら)の段階とに大きく分かれる。しかし、一貫して砂鉄を使用したこと、1回操業するごとに築炉しなおすバッチ・システムであったこと(鉄押し法の出現以来若干状況はかわっていったが)、徹底して人力に依存したことなど、西欧の高炉発展過程とは大きく異なる点である。また近世になるに従って、ほぼ日本全国で行われていたたたら製鉄の立地が、中国山麗部、東北とくに岩手県周辺に集中していく。ここでは、日本のたたら製鉄の代表的遺跡を選び紹介した。

 幕末、西欧勢力との接触を機に、にわかに海防問題が登場してきた。鉄製大砲の鋳造、鉄製軍艦の建造などが、ナショナル・プロジェクトとして登場してきたが、たたら製鉄では、これらの要請に、質的にも量的にも応えることができなかった。西欧製鉄技術の導入が急遽すすめられることとなった。まず各雄藩・幕府の手による反射炉の建造、つづいて高炉の建設・操業が進められた。これら、黎明期における西欧製鉄技術の移植に際して、日本は西欧技術者の援助をうけず、蘭書に書かれた図面だけを見て、日本技術者だけにより進められていることは、きわめて示唆にとんだ経過であった。

 明治以降、一貫製鉄所(官営釜石製鉄所、官営八幡製鉄所など)の建設に際しては、英独などの技術者の指導をうけているが、皮肉なことに、そのいずれの場合も、当初惨憺とした失敗を経験していることもきわめて示唆にとんでいる。野呂景義など日本人技術者の手により、お雇い外人の設計のミスが指摘され、はじめて操業成功にこぎつけている。失敗の原因は、日本の市場条件、資源条件に適合しない、イギリスの高炉、ドイツの高炉を、丸ごと日本にもってきて、動かそうとしたことに原因があった。これらのことも、ことさら、ハイテク技術を指向する発展途上国の近年の動向を考えあわせるとき応分の参考となる事例である。

 さらに、過渡期の現象だが、「たたら」と、「高炉」の合いの子のような「角型高炉」が小花冬吉らによって考案され、第二次大戦後まで、日立安来鋼の優秀な鋼材を供給しつづけたことなども異質の技術が接触した場合の挙動としてみた場合興味ある事例である。
 現在、これらの製鉄技術遺跡は、日本の各地に存在し、ある場合には遺跡として指定され、長く後世につたえる配慮が払われているが、しかし、企業の都合により、撤去される危機にさらされている事例もあることは残念なことである。




<菅谷高殿> よりp120~121
 菅谷たたらは、島根県飯石郡吉田村菅谷にあり全国一のたたら製鉄量を誇った田部家設置のもので、吉田村より北方約2キロの地点にある海抜約350メートルの山間で、周囲500メートル~600メートルの山で囲まれ、設置場所としては優れていたことは自然の風を利用できる三方谷で、その流れる菅谷川に向かって突出した丘陵の突端に街道がすぐそばを通り、川舟を利用する場所へも近く徒歩、牛馬利用をもっぱらとした時代には比較的便利なところに位置していたので、早くより、野だたたらが設置されたようだ。永代たたら(地下構造を施した大きな建物の中で半永久的に操業する施設)は宝暦元(1751)年につくられた田部家4番目に当る。爾来大正10年まで田部家で最も大きな施設で生産高も多く8643代(1代とは1工程で3日3晩操業)操業している。

 高殿は、たたらの中心をなす土炉を包む建物で、いわば溶鉱炉の建物である。木造の平屋建、高さ地表より棟まで約8.6メートル、前面奥行とも18.5メートルの正方形をなし、屋根は4柱造りの大屋根の中心に切妻のホウチを蓋い破風には上壁を設けている。
 小屋組は径50センチの押立柱4本を軸としその上に梁、隅木を架している。壁は大壁式荒壁で裏戻しがしてあり基礎には野面石が敷かれている。内部は奥の中央に砂鉄を置く。小鉄町(古くは粉鉄松)の左右に木炭を置く、炭町(炭松)これを三階松といっていた。入口近くに炉の土の置き場、土町、内部入口から見て左手に、村下座、炭焚座、山配詰所、右手に炭坂座、炭焚座、小廻詰所があり床張りで休憩する場所である。この地底には、たたら設置経費6割を要する地下構造がなされている。現在その一部が見られる。
(中略)
 附近一帯を山内と称する5000平方メートルの一画に前記した高殿、元小屋(支配人の居所)、手代屋敷(事務員居所)、村下屋敷(技師長居所)など19戸が連なっている(明治末期41戸)。田部家旧記によれば『吉田村は山深く人家も少なき所にて家居を構え候えば諸国漂流の人相集まり召抱候処、色々、種々の人にて強盗或いは武士の浪人、乱国の間なき時節に、ややすば喧嘩口論仕り・・・』とか『猪、狼、鹿の横行する山中を切り開き労働者を各地より雇用するのに前借金を与え衣類、住居を与え』ともあり、大規模たたらの設置に苦難したことが想像される。高殿以外の経過年数は不明であるが、嘉永3年元小屋消失の記録があるので一部は約140年前で、おおかた240年前の全国唯一のたたら施設である。

 全国的にたたら製鉄は古く確証はないが5世紀後半、開発の副産物としての遺跡、遺構が発掘され、しだいに解明されつつある。一人だたら、家内だたら、といわれる小規模のものを加えると吉田村地内にも無数ある。当地方一帯での和鉄生産が全国の70%だったとか先人の生活が、たたら製鉄主体であったことがうかがい知れる。安政4年洋式高炉設置が引金となり明治以降急速に衰退し大正10年、菅谷たたらは廃業となった。


ドングリ国の近くの千草町は備前長船の原材料として珍重された千種鋼のふるさとでもあり・・・
ふるさとの産業遺産について、もっと知りたいのです。

<干種鉄山遺跡> よりp158~159
 中国山塊部で発達した近代たたらの、東限に位置するのが干種(千種とも書く)たたらである。
 しかし、干種たたらの歴史は古く、播磨風土記に「・・・宍粟郡の敷草の村鉄を生ず」と記載されている。また嘉歴2(1327)年、備前長船景光、景政合作の鉄剣を広峰山に奉ずるとか、長亨2(1488)年、備前長船の刀匠上洛に際し、干種鉄20駄(1駄は約16貫)持参などの古い記録がある。さらに、古今鍛冶備考巻之一「鉄山略弁」には、「中古天文の頃より発る播州宍粟郡千種の鉄山において白鋼を吹く法」はじまるとの記録がある。白鋼を吹く法とは、炉中でできた製品を、そのまま空冷で冷却させる方法で、出雲地方の「水鋼」(水冷式)と対比している。

 1630年、千種屋初代が、鉄山経営にのり出してから、千種屋はこの地方で120年鉄山経営にたずさわった。しかし、宝暦8(1758)年、千種屋瓦解、あと鳩屋孫右衛門が肩代りし、高羅山、鍋ヶ谷、内海山、天小屋山その他鉄穴流し場などを経営した。千種屋以外に、湊屋徳兵衛、鍛冶屋喜兵衛、泉屋(大阪の住友家の一族)、塗師屋善蔵など商業資本によって経営されたのが特徴的である。明治10(1874)年、洋鉄の輸入の圧迫をうけ、この地方のたたらは、もっとも早く中止した。

 現地には、つぎのような産業遺跡が現存する。
(1)天ジ屋鉄山跡:最後まで操業がつづけられた同地方の代表的鉄山の一つ。現在県文化財に指定されている。昭和56年に発掘調査が行われた。勘定場跡は、現在廃屋となりつつあるが、高殿跡、鉄池跡、大とお場跡などが整然と配置しており、お城の石垣のような巨石を配した石垣が築かれており往時の盛大さをしのばせる。東西・南北いずれも500メートルに及んだ規模の大きな鉄山跡である。最盛時には、120戸、約600人にのぼる山内住人が住んでいた。この鉄山近くには、山内の人たちを埋葬した郡墓がある。町役場には、明治9~12年と記入された「西河内村之内天ジ屋鉄山」戸籍が残っている。
(2)鉄穴流し跡:この地区には、ほぼ原形をとどめている鉄穴流し跡が数ヶ所現存している。
(3)町立資料館:千草町は、役場の前に立派な町立資料館を建設し、たたら関係の古文書、道具、製品などの展示をおこなっている。
(4)その他:この地方で古代・中世のころ製鉄が行われた高保木遺跡屋や、また近世たたら製鉄が行われた高羅鉄山、荒尾鉄山など高殿跡や、街道わきの供養塔、金屋子神(岩野辺内海)、たたら関係者の墓、砂鉄採取跡など、多くのたたら関係遺跡・遺物が多数、現存している。


日本の産業遺産300選(2)
日本の産業遺産300選(3)





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Last updated  2014.09.30 21:39:08
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