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2015.04.01
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カテゴリ: お役所システム
図書館で借りた『東京ブラックアウト』を読破したところです。

この小説の内容は、原発再稼動のメカニズムを解き明かしているわけで、それだけ著者が原発行政の核心部を熟知しているということなんでしょう。



東京

若杉冽著、講談社、2014年刊

<商品説明>より
大ベストセラー『原発ホワイトアウト』を凌ぐディテールと迫力!! キャリア官僚が書いたリアル告発ノベル、最新作!
 「原発再稼働」が既定路線のように進む日本……しかし、その裏には真っ黒な陰謀が渦巻いていた!
 いったん「原発再稼働」を認めれば、「発送電分離」は不可能となる……そのカラクリを暴いていくと驚愕の真実にぶち当たった……そう、「原発再稼働」で殺されるのは、大都市の住民だったのだ!!
 自分の家族の命と財産を守るため、全日本人必読の書!

<読む前の大使寸評>
キャリア官僚がクビ覚悟で執筆したようだが、クビになっても生きてゆけるという大胆さがいいですね♪

<図書館予約:(1/07予約、3/18受取り>

rakuten 東京ブラックアウト


原発事故の発端が見える悪夢のような序章を見てみましょう。

<第7章 メルトダウン再び> よりp182~188
 日本全国で15基の原発が次々と再稼動することになった記念すべき原発再稼動元年の大晦日の夜・・・・大雪の続くなか、大陸の朝鮮族の工作員、崔は、関東山地の奥深く、日本海側に連なる鉄塔の足元に辿り着いた。ちょうど「紅白歌合戦」が終わりに近づくころだった。
 吹雪は激しいままで、「ホワイトアウト」と呼ばれるような、大雪で視界が遮られ何も見えない状況だった。

 崔が手慣れた様子で鉄塔の基礎の部分にダイナマイトを装着し、発破器をつないだ。そして携帯電話で何者かと話し終えたあと、同行している若者に顎をしゃくってうながした。
 若者は朝鮮語で何事かを叫びながら発破器のスイッチを押した。轟音が山中にこだました。雷にも似た火花が暗い山中を不連続に切り開いた。

 「原発ホワイトアウトの始まりだ・・・」
 崔は右側の頬を少しだけ歪めて笑うと、すぐ下山の準備にかかった。汗のひとつもかいていない。
(中略)

 新崎原発で発電された電気は、北新崎幹線と南新崎幹線という二系統の50万ボルトの高圧電線で、それぞれ約200基の鉄塔を介して、関東電力ノエリアに送られていた。
 もし送電線に支障を来たし発電した電気を送り出せない、そんな事態に陥れば、エネルギーが蓄積され、原発自体をスクラム(緊急停止)したとしても、外部電源か非常用電源かで冷却し続けない限り、崩壊熱で炉心がメルトダウンする―。

 「関東地方で大規模な停電が発生、原因は調査中」―テロップがNHKの「ゆく年くる年」の放送の途中に流れたのは、新年を迎える数分前だった。
 停電が起きたのは関東地方の50万世帯・・・だが、停電を食らった世帯ではテレビのテロップを確認することもできず、そのまま床についた。たいていの場合、大雪のせいによる停電なのだろう、くらいにしか受けとめられていなかった。

 翌、元日の早朝6時から、官房長官の緊急記者会見が官邸で行われた。
 「昨夜12時前、関東電力の高圧送電線の鉄塔が倒壊する事故があり、新崎原発が緊急停止いたしました・・・・現在、原子炉を非常用電源で冷却中であります。周辺住民の方々は冷静に対応願います。この事態によりまして、関東電力の供給区域内で、現在、50万世帯に停電が起きておりますが、順次、復旧する見込みであります」

 緊張した面持ちで官房長官がこう述べる。民自党時代とくらべると、政権復帰後の保守党政権の危機管理は、つねにスピーディであるとの評価が定着している。
 記者から次々と質問が浴びせられる。
 「放射能漏れはありますか?」
 「一切ございません」
 「現在、原子炉は冷却できているのでしょうか?」
 「非常用電源が稼動中であります」
 「非常用電源の燃料はどのくらい備蓄しているのでしょうか?」
 「発電所内に1週間分は確保しておりますが、念のためタンクローリー車による輸送を、官邸から指示したところであります」
 「鉄塔の倒壊の原因は何なんでしょうか?」
 「現在、調査中です」
 「停電の復旧にどのくらいかかりますか?」
 「関東電力において、火力発電所の出力上昇を現在、行っておりまして、本日午前中には復旧できる見通し、との報告を受けております」
 「明日の電力需給には問題が生じないのでしょうか?」
 「現在、関東電力において、計画停電の実施について検討中との報告を受けております。他電力からの融通の可能性についても鋭意検討中とのことであります」

・・・新崎原発の緊急停止となれば、仙内と厳海が稼動して比較的余裕のある筑紫電力から、西から東に向け玉突きで電力を融通しなければならない。筑紫電力から、嶋根を稼動させている山陽電力へ、そして高花と大井を稼動させている近畿電力へと、次に東海電力を経由して関東に電力を融通することになる。

 もともと50ヘルツと60ヘルツの壁が東と西の電力会社の競争を妨げているといわれ、フクシマの事故前から東西の連係線を強化すきと、有識者から指摘されていた。しかし、フクシマの事故時には、周波数変換ができる変電所は三つだけ・・・両周波数間で融通できる最大電力は90万キロワットに過ぎなかった。
(中略)

 「除雪車を呼べ、すぐにだ!」
 緊急対策室の所長代理が、必死の形相で施設課長に指示する。その施設課長は除雪業者に連絡を取ったが、業者の事務所の電話は通じなかった。
 しかも、除雪業者の保有する除雪車は、この吹雪のなか、幹線道路の除雪にすべて出払っていた。発電所で除雪車の運転手の携帯番号を把握していない以上、業者が捕まらない限り、連絡を取ることは不可能だ。

 「原子力災害対策特別措置法に基づく15条通報です。原子力緊急事態です!」
 と、所長の留守を預る所長代理が官邸のオペレーションルームに報告する。

 その、官邸内に設置された原子力災害対策のオペレーションルームには、元日早々、原子力規制委員長や原子力規制庁長官、その他の専門職員たちが、そして本部員たる閣僚たちも、関東近県が選挙区の者たちから続々と駆けつけてきていた。


 1000年に一度のような津波には「想定外」との言葉が出たりするが、北朝鮮のテロ活動など、明日起きても不思議ではないのかも?
 小説のほうは、このあと、炉心溶融、東京ブラックアウト、京都遷都にまで、たたみ掛けるように進行するのです。

一方、現実の世界で動き始めた原発再稼動とは・・・・
現状の権力システムに対する踏み絵みたいなものなので、腰を据えたエネルギー・ビジョンが求められているんでしょう。
この小説でも、オルタナティブなエネルギーが述べられています。

<第10章 政治家と官僚のエクソダス> よりp258
 本当は、原発の再稼動に費やすためのコストを送電網の増強や大型蓄電池の整備、それから揚水発電所の建設に振り向ければ、原発はいらないはずだ。
 そこまでの設備投資が間にあわないにせよ、古い発電所を稼動させたり、大工場の自家発電所から電気を購入したり、大口の需要家との需給調整契約による供給停止措置を発動したりすれば、電力は十分足りるのである。

 あるいは日中、太陽光発電で得たエネルギーを使って水を水素と酸素に分解、こうしてつくった水素を燃料電池用に使い、夜間の電力やエネルギー源にしてもよいはずだ。
 しかしそれでは、原発即ゼロ論が全国で勢いづきかねない。レント(超過利潤)の巨大な、すなわち権力者の取り分が多い原発を守る・・・・日村と小島が申し合わせた通りである。



次回の復興はかなり悲観的なものにならざるを得ないでしょうね。

東京ブラックアウト1






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Last updated  2015.04.01 03:34:03
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