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2015.05.19
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カテゴリ: アート
図書館で『毎日つかう漆のうつわ』という本を手にしたが・・・・
朝ドラ『まれ』にも、輪島塗の職人修行が出てくるやないけ♪

で、漆器についてもっと知りたいということで、この本を借りたわけです。



漆

赤木明登, 高橋みどり著、新潮社、2007年刊

<「BOOK」データベース>より
やさしい手ざわり、ほのかなぬくもり、とろっとした口あたり…。基本のお椀から、あると楽しいうつわまで。輪島の塗師と人気スタイリストが、毎日使える漆のうつわを紹介します。

<読む前の大使寸評>
値段からすると高価な民芸品そのものなんだが・・・それを毎日使えるんだろうか?
(つい貧乏人根性が出る大使である)

rakuten 毎日つかう漆のうつわ


この本で、民芸品の本質を語るところがありました。
p56
<塗師屋と作家と職人と>
 ここで、漆の器がどのような流れで作られていくのかを見てみましょう。輪島では、「塗師屋」さんが主に製造の要となる役割を担っています。

 堅牢な輪島塗は、江戸時代にはブランドとして確立し、全国に顧客を持っていました。その顧客を行商してまわり、注文を受け、輪島に帰って、職人さんをとりまとめて製作するのが、塗師屋の親方です。各地の良家に出入りすることのできた塗師屋の親方は、当時の流行や洗練された文化を身につけて帰ります。

 能登半島の先端という僻地にありながら、垢抜けた器を作り続けてこられたのは、優れた塗師屋さんのプロデュース能力ゆえなのです。近代になり、流通制度が発達すると、一部の塗師屋さんは企業化し、製造した漆器をデパートなどの小売店に卸す問屋さんになりました。

 また個人の立場で、作品作りをする芸術家も登場しました。その多くは、蒔絵や沈金など加飾の職人さんですが、自らの意匠と技術を磨き上げ、公募展に応募して受賞を重ねて、やがて漆芸作家として認められるようになります。しかし、漆芸作家も、本来は工程の一部を担う職人の一人です。

 したがって、自分の専門以外の工程は、他の職人さんに注文して製作をしているのです。漆芸作家の作品も、個人の名前を看板のようにしながら、塗師屋さんを中心にした販売システムに組み込まれていきました。

 そして、高度経済成長期から、バブルの時代にかけて、輪島塗は高級漆器として売上を伸ばしました。ただ、作れば何でも高く売れた時代に、多くの塗師屋さんは漆本来のニーズ、つまり「使う」ということを見失っていったように思います。バブルの崩壊とともに市場が急速に縮小すると、漆器が売れない、何を作っていいかわからないという時代がやってきます。

 そんな産地のあえぎの中から、新しい作り手たちが生まれてきたのです。「ぬりもの」を作る人たちです。彼らは、漆の器を「使う」という原点に戻そうとしているように見えます。みな、もともとは木地師だったり、下地職人だったりと、さまざまな工程を担う職人さん。漆という素材に対する愛情に溢れ、何のために作るのかという目的と、美しく良いものを作ろうという意志を持ち担うべき工程では自らの手を動かす。

 漆芸作家の場合は、作品が芸術的な自己表現の手段だったり、技術的なオリジナリティ=起源が、作家自身に帰属していることが重要です。一方、職人は自己表現を目的として物作りをしませんし、技術も意匠もその起源は、作り手個人にあるのではなく、人間の暮らし、日々の営みの中にあるのではないでしょうか。



p66
<輪島の魅力>
 金沢から北へ120キロ。車でも2時間近くかかる。地続きといえども、輪島は日本海に突き出た半島の先端、名前のとおり陸から離れた「島」の感覚に近い。僻地だからこそ、大きな経済の流れに取り残されたように伝統的な文化が残っているのかもしれない。それが、この町のいちばんの魅力なのだ。

 塗師文化もその一つだろう。多くの漆器産地が江戸時代に藩の庇護のもと発達したのに対して、輪島は独自の道を歩んできた。半工半商。つまり、自分で作った漆のうつわを、職人自らが担いで旅に出て売り歩く。この職人自らの行商こそが、現在の輪島塗師屋の起源なのだ。

 お客さんは、当時勃興してきた豪商や豊かな上層農民。つまり武士などの特権階級ではなく、庶民に使われていたのだ。それゆえに輪島は、けっして派手ではないけれど、丈夫で実用的な、そして大らかさと温かみのある漆のうつわを提供しつづけてきた。それを支えていたのが、塗師と顧客との対面販売による信頼関係だった。そのやり方は今もなお受け継がれている。

 だからこそ、多くの産地が衰えたにもかかわらず、輪島塗師は生き残ることができたのだろう。






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Last updated  2015.05.19 01:22:03
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