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2015.07.16
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カテゴリ: 気になる本
日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。

・勝者なき戦争 世界戦争の二〇〇年 
・紙の動物園

***************************************************************

勝者なき戦争 世界戦争の二〇〇年 より
戦争

<後引く犠牲と損害、勝敗とは?:島田雅彦(作家・法政大学教授)>
 日露戦争で日本は勝利したことになっているが、賠償金も、領土割譲も期待を遥(はる)かに下回り、国民に大いなる失望をもたらした。そもそも、アメリカが調停に乗り出したのも、満州における日露双方の権益拡大を牽制する意図があったからで、結果からすれば、自国のアジア戦略を戦わずして有利に導いたアメリカが日露戦争の真の勝者だったともいえる。

 第二次大戦はドイツ、日本の敗戦に終わったものの、両国はともに民生中心の復興に専念し、戦争に加担しなかったため、「奇跡の復活」を遂げ、戦後三十年にして、経済大国になった。P・K・ディックは『高い城の男』で日独が戦勝国になったパラレルワールドを描いたが、米英が不況に喘いでいた時期は、そのSFの通りの皮肉な結果になったといわれた。

 本書はここ二百年のあいだに起きた戦争がもたらした結果に公正な歴史的評価を下そうとしているが、その結論は歴史上のどんな戦争も、得られる利益より失う犠牲の方が大きいということである。多くの場合戦勝国の損害も甚大であり、歳月の経過とともに勝利や敗北の意味は薄れるどころか、逆転しさえもする。

 アメリカが矛盾だらけの中東軍事介入を行い、実質、タリバンやISなどのテロリスト集団を育成する結果となった今日、戦争は国家間の武力衝突から、テロやサイバー攻撃、経済戦争の形で日常に潜在するものになった。戦争で勝利した国も平和維持のための軍事負担によって滅びたという世界史の法則を顧みれば、どんな国家も極力敵を少なくすることでしか平和を維持できないことは自明である。

 連合国が作った二十世紀の後半の世界秩序も、旧植民地や共産国の逆襲によって綻びが出ている。軍需産業を抱える連合国とその協力国が国益をかざし、さらなる戦争に踏み切れば、おのが没落を早めることになる。


イアン・ビッカートン著、大月書店、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
 ナポレオン戦争、クリミア戦争、日露戦争、第一次・第二次大戦など、過去200年間に行われた「世界戦争」を仔細に検証し、その勝利の代償がいかに甚大なものであったのかを独自のアプローチで明らかにする。これまで十分に論じられてこなかった戦争における勝利と敗北の問題を探究する現代の名著。

<読む前の大使寸評>
アメリカが日露戦争の真の勝者だったんだって・・・・聞き捨てならないのです。

<図書館予約:カートに入れる>

rakuten 勝者なき戦争 世界戦争の二〇〇年



紙の動物園 より
紙の

<未来と郷愁と生の意味を紡ぐ:中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)>
 話題のSF作家による短編集。つよいノスタルジアの感覚が、巧みなプロットの15編を包んでいる。

 表題作「紙の動物園」に、SFエンターテインメントを期待する読者は戸惑うかもしれない。英語がへたな中国人移民の母がつくってくれた、生きて動く折り紙の話だ。アメリカ人として生きるため母を疎んじた息子の前で、紙の老虎が再び動き出す。

 つづく「もののあはれ」は宇宙船の危機を日本人主人公が救う話だし、「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」では人類のほとんどが意識だけになって、データセンターにアップロードされている。だがこうしたいわゆるSFらしい設定は、世界各地の神話や伝統文化、そして現代社会の諸問題と結びつけられ、寓話的な奥行きをストーリーに与えている。

 たとえば「結縄(けつじょう)」ではアメリカの科学者が、縄の結び目で記録を残す古代の技に長けたある民族の老人を、たんぱく質の構造研究に利用する。お礼は収穫量は多いが翌年は発芽しない、遺伝子組み換えの種籾。古い米の遺伝子、螺旋状に縒(よ)りあわされたいにしえの結縄は、忘れられ失われていく。

 異なる文化・信条に葛藤する親子が、時空を超え繰り返し登場する。漢字や中医学、台湾や日本との歴史的関係、合衆国の反共政策も重要なモチーフ。著者は11歳で中国甘粛省から米カリフォルニアへ家族で移住したという。郷愁の源は祖先の国とのつながりか、未来の物語それ自体が懐かしい過去を欲するのか。

 「月へ」では亡命申請中の中国人男性の娘が、新米弁護士に、こういう。「大きくなったら、あなたみたいになりたいな。生きていくためにお話をするの」。暗黒の世界/宇宙へ向けて、物語る人はことばの網を投げかけ、人々が生き延びるのに必要な意味を紡ぎ出す。人の生存には水や食べ物や科学だけではなく、物語が必要だから。



ケン・リュウ著、早川書房、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
ぼくの母さんは中国人だった。母さんがクリスマス・ギフトの包装紙をつかって作ってくれる折り紙の虎や水牛は、みな命を吹きこまれて生き生きと動いていた…。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝いた表題作ほか、地球へと小惑星が迫り来る日々を宇宙船の日本人乗組員が穏やかに回顧するヒューゴー賞受賞作「もののあはれ」、中国の片隅の村で出会った妖狐の娘と妖怪退治師のぼくとの触れあいを描く「良い狩りを」など、怜悧な知性と優しい眼差しが交差する全15篇を収録した、テッド・チャンに続く現代アメリカSFの新鋭がおくる日本オリジナル短篇集。

<読む前の大使寸評>
SF文学賞史上初の3冠に輝いた作品とのこと・・・・いかなるものか?♪

<図書館予約:未>

rakuten 紙の動物園


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Last updated  2015.07.16 01:34:07
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Re:朝日デジタルの書評から73(07/16)  
薔薇豪城  さん
あ、半角じゃなかったかも。何せ初心者なもので♪ (2015.07.16 18:17:53)

Re[1]:朝日デジタルの書評から73(07/16)  
Mドングリ  さん
薔薇豪城さん
>あ、半角じゃなかったかも。何せ初心者なもので♪
-----
<いずれにしても、画像認証成功おめでとうさん♪
このセキュリティ強化は何に役立っているのかよく知らないが。 (2015.07.16 20:47:50)

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