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2016.03.12
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カテゴリ: 歴史
図書館で『ソウルの風景』という本を手にしたが・・・・

ちょっと古くなったが、四方田さんのレポートで2000年当時の韓国を見てみたいのです。


ソウル

四方田犬彦著、岩波書店、2001年刊

<「BOOK」データベース>より
南北首脳会談の実現、大統領のノーベル賞受賞に沸いた2000年の韓国。激動の1979年を過ごしたソウルに再び長期滞在した著者が出会ったものとは何か。高度消費社会と伝統回帰、「北」をめぐるフィルム、光州事件、日本文化開放と元従軍慰安婦の集会…人々の姿、肉声を通して、近くて本当に近い隣国の現在を映し出す。第50回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。

<読む前の大使寸評>
ちょっと古くなったが、四方田さんのレポートで2000年当時の韓国を見てみたいのです。
rakuten ソウルの風景


デアスポラのような韓国人の移民がレポートされているが、若しかしたら未来の日本人の情景なのかと思ったりする。
p39~52
<伝統的なるものの行方> より
 韓国では移民熱がいまだに盛んで、誰もが親戚にかならず何人かは、アメリカかカナダ、ニュージーランドに居住する者をもっている。とりわけ韓国経済が破綻しIMF管理体制が導入された昨今では移民が急速に増加し、2000年には1万5千人に達しようとしていた。
 それも政治的難民や経済的困窮者が海を渡るというのではない。大学を卒業し、経済的にも裕福な家庭が、先行きの怪しい国家の将来に見切りをつけ、子供の教育と先行きの生活を考えてという名目で移民を決心するのだ。当然のことながら、生活水準に大きな変動が生じる。

 70年代に大学の助手だった研究者がロスアンジェルスの自動車整備工場で働いていたり、洗濯屋や八百屋の店員を務めているといった例を、わたしはアメリカに滞在していた頃、あちこちで見聞きした。夫婦の一方が耐えられなくなくて帰国し、家庭が崩壊する例も少なくなく、老人が環境に不適応のまま孤立してしまうことも多い。わたしがその夜にたまたま聞かされたのは、その典型的な場合だった。

 ソウルへと戻る車のなかで、李応寿はいった。たぶん自分の代になったら、裏山に土葬することはやめて、火葬を選ぶことだろう。夫人が、だったら散骨の方が素敵ねと、付け加えた。彼らは、つい先ほどまでわれわれがいた母屋の隣に、いつかスペイン風の洒落たリゾート用別荘が建てられたらなあと、明るい夢を語った。二人の話には封建的な因襲を思わせるものは、もはや何も感じられなかった。もっともそれは、彼らが老母に対し深い敬愛の礼を示していることと、いささかも矛盾していなかった。

 その日の夜遅く帰宅したわたしがTVを点けてみると、その日韓国全土にわたって秋夕が盛大に行われたという報道がなされている最中だった。TV局のKBSは特集を組んで、中国東北部に住む朝鮮族が、やはり同じ日を選んで厳粛な儀礼を行っているさまを映しだしていた。

 信じられないほどの供物が並べられた屋外の祭壇の前で、色鮮やかな朝鮮服の人々が礼拝をし、楽しそうに野山を散歩しているさまを、わたしはソンピョンを食べながら眺めていた。こうした映像には、秋夕という本来は先祖供養にすぎない儀礼を通して、国民的統合を呼びかけようとする強力なイデオロギーが横たわっているように感じられた。

 それは現実の国境を越えてまでの民族主義的統合性を、暗黙のうちに訴えていた。ひとつ興味深かったことは、女性アナウンサーが、文化大革命の時代には朝鮮族のこの儀礼は迫害を受けましたが現在では立派に復興しましたと説明した後で、韓国とは違い、ここでは男性と女性とがまったく対等に儀礼に参加していますと、さりげなく付け加えたことである。そのとき思い出されたのは、その日の朝に立ち会った李家の儀礼で、母親がけっして礼拝をしなかったことだった。
(中略)

料亭料亭

 意図されたノスタルジアがもっとも濃密に感じられる場所は、旧市街の中央、鐘路二街から北に進んだところにある仁寺洞である。もともとこの辺りの一角は、骨董屋と文具店がひっそりと軒を並べ、脇道に入ると韓定食を出す料亭が軒を連ねているばかりといった、静かで地味な場所であった。李朝時代の佇まいをもった旅館や寺院が付近にあったこともあって、わたしはここで何枚かの民画を買い求めたことを記憶している。

 久方ぶりに訪れた仁寺洞は、すっかり面変わりを遂げていた。仮面や複製家具、簡略化されたモダンな韓服を扱う民芸品店が外国人相手に派手派手しい看板を掲げ、小さなアクセサリーやガラス工芸、ペイパークラフトを扱う店がそれに続いていた。

 路上には絵文字で名前を描く大道芸人が、いかにも当世風に英語と日本語を流暢に話しながら、客の注文に応じて巧みな筆さばきを見せていた。伝統的な白衣の青年がカチャカチャと鋏の音を高く響かせながら、昔ながらの白い朝鮮飴を屋台で売っていた。

 通行人は圧倒的に若者であり、彼らは喜々としてここで演出されている李朝の「伝統」を満喫していた。いたるところで日本語が聞えてきたのには原因があった。日本で売られている韓国のガイドブックには、この街角のどこに何が売られているかが、こと細かに記されていたのである。

 10月にこの通りの道路改修工事が終了したとき、保守系の「朝鮮日報」はそれを厳しく非難し、伝統が観光にすりかわってしまってよいのかと批判した。だが、すっかり民芸横丁と化してしまった仁寺洞を元の静謐な骨董街に戻すことは、もはや不可能だった。

 わたしを今回最初に、この様変わりした仁寺洞へと案内した女性は日本から来た留学生で、金浦空港と成田空港の間を忙しげに往復しながら、免税店のグッチの横流しに関わるアルバイトをしていた。彼女がわたしを連れていったのは、「伝統茶」を売り物にしている喫茶店だった。伝統茶だって? わたしはそれまでその奇妙な表現を耳にしたことがなかったので思わず聞き返したが、彼女はソウルでは現在、この表現が若者の間で流行しているのだという。ともあれわたしたちは店に入った。扉には60年代初頭の『春香伝』のポスターのカラーコピーが、かつての街角の広告のように何枚も貼られてあった。

 一般的には中国や日本が恐るべき情熱のもとに茶道を発達させたのに比べて、朝鮮では茶を喫む習慣は高麗時代を過ぎると、忘れられてしまったというのが、通説である。現にわたしが昔滞在していた時分、冷えた麦こがしの茶が薬缶に入って出てくることはあっても、烏龍や玉露を出されたことは一度もなかった。

 紅茶に至っては梨泰院洞のアメリカ人向けの雑貨屋に赴かなければならなかったほどで、韓国人がおよそ茶なるものに無関心であると信じていた。ところが渡されたメニュウを見ると、ズラリと未知の茶の名前が並んでいた。ユズをマーマレードにして湯で割ったものから、生姜の煎じ茶まで、おそらく民間に伝わる薬用飲料を再現したものなのだろう。


韓国のハルキ世代が語られています。
p134~136
<日本の影> より
 奇妙な偶然かもしれないが、わたしが最初に村上春樹の処女作『風の歌を聴け』を読んだのは、かつてソウルに滞在していたときだった。当時自分を取り囲んでいる環境とはあまりに異質な発想に、冷たい清涼飲料水を飲んだときのような爽快感を受けた。だが一方で、こうした軽いシニシズムは、明けても暮れてもキャンパスで軍事教練を強いられている韓国の大学生には絶対に受け入れられないだろうなという感想も同時に抱いた。

 だが、90年代以降の、脱軍事政権化した大衆消費社会のなかで、うっすらとした過去へのノスタルジアに捕らわれだした韓国人にとって、村上の作品を享受する文脈は充分に整ったといえる。『喪失の時代』の翻訳は韓国の若い小説家たちに、都市の単身生活者を主人公にすることを示唆し、そのために必要とされる文体見本を提供した。

 これまで息子であるか、でなければ兄か夫か、父親でなければいけなかった韓国小説の男性主人公は、ここではじめて匿名のシティライフを享受し、家族や地位に束縛されない何もない地点から独白を始めることができるようになったのである。

 村上春樹の読者は、これまでの日本文学愛好家とは異なっていた。彼らは日本に対する思い入れから出発したのではなく、ただ気軽に自分の感受性に釣り合う世界を探していて村上に廻りあい、いわば読み終わった後で彼がたまたま日本人であり、書物が日本語からの翻訳であることに気付いたのである。

 では日本文化のことはさておいて、日本人は韓国でどう受けとられているのだろうか。もちろん以前からある反日論は十年ひとむかしのように続いていて、機会あるたびに蒸し返されている。90年代には東京に3年滞在した女性ニュースキャスターが帰国後に『日本はない』というエッセイ集を執筆し、たちまちベストセラーになった。その後、この書物が盗作であることが判明し、本来の著者であるジャーナリストの書物も刊行された。

 この後味の悪い事件は、盗作をしてまでも日本を罵倒したいという屈折した情念が現在の386世代にまで継続していること以外に、何も教訓を残さなかったようである。


あまたの嫌韓本と一線を隔した四方田さんの歴史認識を見てみましょう。
p203~205
<歴史と他者> より
 わたしは本書で、日本人と韓国人の国民性の違いであるとか、世界観や人生観の違いを要領よく論じようとは思わなかった。というよりも積極的に、こうした話題に言及することを回避してきたといってよい。読者のなかにはあるいはそれを疑問に思ったり、不満に感じられる向きがあるかもしれないので、ここにその理由を記しておきたい。

 第一に、そのような書物は日本にも韓国にも、すでに無数といってよいほどに存在しているからである。韓国人は個人主義的で喧嘩早く、道徳的正当化をなによりも求める一方で、自分の共同体に関係のない者にはまったく礼儀を示さないとか、日本人は集団主義的でなにごとにおいても準備周到であり、たやすく感情を抑制することを美徳としているとか、われわれはそういう断言に満ちた書物を、いったいこれまで何冊読まされてきたことだろう。日本人がソウルでいざ生活をしてみれば、あるいは韓国人が東京で生活をしてみれば、そのようなことは日常的に体験されることであり、それをあえてわたしが改めて書物として江湖に問う必要があるとは思えない。

 第二に、こうした国民性というものは、あたかも先験的にそれぞれの民族に与えられているように語られるが、実際のところさまざまな歴史的要因が作用することによって成立したものに他ならない。それは近い将来に地政論的な布置が変化するならば、容易に変化をする可能性をもっている。

 韓国人の特性としてしばしば地域感情の激しさが挙げられ、それはけっして日本人には理解できない程度のものだと語られたことがあった。全羅道と慶尚道の間に横たわる対立関係を、朝鮮半島が百済、新羅、高句麗の三国からなっていた古代に遡る宿命として紹介する書物も、少なからず存在している。

 だが先にも述べたように、この地域対立の激しさが60年代から70年代に至る朴正キ時代に、宿敵金大中を追い落とすために与党側が過剰に演出して、一般に定着化させたことは、日帝時代、朝鮮戦争時代に同様のことがもっぱら話題とされていなかったことからも瞭然としている。

 本来が歴史的であるべき現象を非歴史的で宿命的なものであるかのように装い、問題を国民性の次元に摩り替えてしまったとき生ずるのは神話であって、歴史認識ではない。

第三に、こうした国民性の論議はしばしば、日本と韓国とを二つの相対立した民族と見なし、両者の文化が根底的に異質なものでなければならないという大前提に立っている。なるほどこの前提は、韓国国内に強力に横たわる民族主義的情念を充分に満足させもするだろうし、日本人が韓国に対して抱いている観光客的なエクゾティシズムにもそれなりに見合っている。

 だがその根底にある単一民族思想は、今日的な観点に立ったとき、再検討を要するだろう。韓国人が、彼らが自己主張するほどに単一言語、単一民族であるかという問いはさておきたい。こと日本人に関するかぎり、一般の韓国人が信じているほどに純粋で単一の文化のもとに生きてきたわけではけっしてなく、統合的な国民性なるものを享受してきたわけでもない。

 簡単な例を挙げるならば、沖縄である。琉球王国は中世に、高麗や李朝がそうであったように独自の文化と言語をもつ王国であり、朝鮮国と独自の外交関係をもっていた。沖縄は今日においても日本国内にあって、濃厚な文化的・言語的他者性のもとにある。北海道の先住民であるアイヌ民族にしたところで、都心部の工業地帯に急速に増加している日系ラテンアメリカ人にしたところで、彼らを十把一絡げに「日本人」という範疇に括って、韓国人との対立項に仕立て上げることは、現実に存在している多様性を抑圧し、少数派を抹殺することに通じている。

 そもそも国民性という観念自体が国家によって居住民を統合馴致するさいに用いられてきたイデオロギー的なものであり、われわれはこうした擬制が作り出してゆくステレオタイプの日本人観、韓国人観を機会あるたびに相対化してゆくことで、現実に隣人として存在している他者と向き合ってゆくしかないのである。






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Last updated  2016.03.13 16:41:03
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