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2016.03.13
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カテゴリ: 歴史
図書館で『地図で読む世界情勢』という本を手にしたが・・・・
多数のカラー地図を並べて述べる、著者の時空を網羅した地政学的センスが・・・ええでぇ♪



地図

ジャン・クリストフ・ヴィクトル著、草思社、2007年刊

<「BOOK」データベース>より
イランはなぜ核に固執するのか?アメリカ中東戦略の知られざる要衝とは?世界の成り立ち、各国の国家戦略、ニュースの背後に秘められた真の事情。すべては地図によって驚くほどくっきり見えてくる。世界を見る目が変わる地図。
【目次】
第1章 アメリカ大陸、世界覇権への道(アメリカ合衆国の外交政策/ディエゴ・ガルシア島ー航空母艦の島 ほか)/第2章 欧州とロシア、深遠なる戦略とアキレス腱(欧州連合ー拡大か、排除か/カリーニングラードー欧州にあるロシアの「島」 ほか)/第3章 中東はいかにして世界の火種となったか(影響下にある中東/石油ー依存関係と地政学 ほか)/第4章 アフリカは飛び立てるか(自立するアフリカー「アフリカ開発のための新パートナーシップ」計画/ブルキナファソー何が貧困を招いたか ほか)/第5章 アジアをいかにして読み解くか(パキスタンー無理な外交姿勢/インドー大国になる将来性 ほか)

<大使寸評>
多数のカラー地図を並べて述べる、著者の時空を網羅した地政学的センスが・・・ええでぇ♪

rakuten 地図で読む世界情勢


大使が関心を持っているサウジアラビア、クルド人、中国人あたりを見てみましょう。
まず、サウジアラビアから。

油田油田地帯


p90~92
<サウジアラビア>
■唯一の石油君主王国
 サウジアラビア王国が建国されたのは1932年である。この国の法制度の大部分はイスラム教に基いており、国はおもな聖地を管理している。そして石油では、世界埋蔵量の4分の1がこの国に集中している。

 世界で唯一、サウード家という君主一族の名を国名にしているサウジアラビアは、社会的ならびに政治的な一種の契約で成立している。つまり、憲法のようなものがなく、完全な君主制の下にあって、政治的な異議申し立ては許されないことになっている。

 また、国の要職の大半はサウード家の一族によって占められ、その血筋を引く王子は4200人もいると言われている。

 膨大な石油収入のおかげで、国は福祉国家を実践しており、国民は教育や健康などでさまざまな保護を受けている。そのおかげでサウジ王国は、ベドウィン族など他民族に対しても権力を確立し、永続することができたと言えるだろう。


■石油とイスラム教が政権の支え
 サウード家の権力を正当化する持ち駒は二つある。一つはもちろん石油。もう一つはイスラム教である。サウード家はイスラム教の聖地であるマッカとマディーナ(メッカ、メジナ)の番人なのである。そうしてサウジアラビアは、国全体が崇高な聖域であることを自認し、国が一つのモスクのようである。したがってイスラム教でないものは「公式には禁止」されている。その意味でイスラム教は、石油とまったく同じように、サウジアラビアの正当性をを国際的に認めさせているのである。

■国際的な承認
 イスラム教について言うと、毎年、150万人近くの外国人教徒が巡礼で聖地マッカを訪れている。サウジアラビアは二つの聖地の番人として、イスラム世界の中心で大きな威光を放ち、またスンニ派の「リーダー」として、とくにシーア派のイランに対抗したいと願っている。

 それもあって、1969年には率先してイスラム会議機構(OIC)を立ち上げ、世界イスラム同盟を通して、スンニ派のゲリラ活動を資金的に援助している(フィリピンやナイジェリア、ボスニア、あるいはチェチェンなどでの活動)。

 一方、世界第一位の石油埋蔵量を管理していることから、国際的な経済活動のなかでもきわめて重要な役を演じていっる。石油輸出国機構(OPEC)の創設メンバーとして、しかしそれ以上に、世界第一の原油輸出国として、バレル当たりの原油価格決定に関与しているのである。


2007年発刊のこの本には、シリア紛争やISにはふれていないが、クルド人問題は現在も紛争の発火点であることに変わりないようです。
クルド

p112~113
<クルド人>
■国のない民族
 クルド人は中東に住む民族で、これまでこの民族と領土と国家が一致したことは一度もない。今もなお中東の複数の国に分断されて住むクルドの民族は、イラクへ多国籍軍が介入して以降、どう変化していくのだろう?

 クルド人とは、アラブ人でもトルコ人でもなく、紀元前9世紀頃にザグロス山脈付近で生活していたメデ人の子孫であり、イスラム教徒で、大半がスンニ派である。人口は情報源によってばらつきがあるが、2500万人から3300万人。国家を持たないもう一つの民族パレスチナ人は、各地に離散している者も含めて約800万人である。

■六つの国に離散する民族
 これまでアラブ人に始まって、モンゴル人、ペルシャ人、そして16世紀からはオスマン帝国と、次々に支配されてきたクルド人は、第1次世界大戦が終わると早々にも独立国家が約束されると思っていた。ところが、大戦中にトルコ人リーダー、ムスタファ・ケマルがほしょうしてくれたにもかかわらず、さらには1920年の講和条約、セーブル条約にも記載されていたにもかかわらず、クルディスタンの独立は、自治区の形ですら日の目を見ることはなかった。

 結局、北にはトルコの単一国家が形成され、南はイギリスとフランスの利害がからんで、この見通しは反古にされてしっまった。というのも、モスルとキルクーク地区は石油が豊富なことから、イギリスが委任統治しいていたイラクに統合されてしまい、クルディスタン独立国になるはずの地が二つに分断されたからである。こうしてクルド人は現在、六つの国に離散して生活している。

■クルド人の約半分がトルコに
 現在、トルコには1400万人のクルド人が生活している。ということは、トルコの住民の5人に1人がクルド人である。またトルコの面積の30パーセントがクルドである。

 そのトルコは長いあいだ、クルド人を否定する政策をとってきた。少数民族としての身分も、自分たちの言葉を使う権利も認められていなかった。そして、1970年代の終わりからクルド労働党(PKK)のゲリラ活動が活発になると、トルコ政府は軍による弾圧や不法逮捕、強制的な移住措置で応酬してきた。こうして1990年以降、300万人のクルド人が生まれ故郷を去っている。そんななか、アンカラの議会が改革に着手したのはやっと2002年になってから、それも欧州連合の圧力があったからだ。それを機に、1987年からこの地に発令されていた戒厳令は解除され、クルド語の使用や(とりわけテレビで)、学校でのクルド語の学習も認められることになった。

 ところで、2003年にアメリカがイラクに介入して以来、トルコが恐れているのは、イラクのクルディスタン自治区がトルコのクルド人に影響を与えはしまいか、あるいは、そこがゲリラ活動の後方基地になりはしまいかということである。この懸念は、他民族国家で、700万人のクルド人が住む隣国のイランも共有している。


世界にインパクトを与える中国人(漢民族)は、世界の困り者に成り果てるのか?
少数民族

p144~145
<中国の状態2>
 この20年間で、中国ほど急速に、しかもここまで変化した国はない。これらの変化は広大な領土の構成に悪影響を及ぼし、中国人の生活をすっかり変えてしまった。
 1980年からの大がかりな改革は、これまで恒久不変とされていた分野に、どの程度行きわたっているのだろうか?
 (中略)
 これが現在の中国だが、全体では昔より統一性に欠け、あちこちに亀裂が生じている。それは中国人と西方民族(ウイグル族、チベット族)、農民と都会の企業家、農民と都会人である。

 中国は是が非でも近代国家になりたかったのだ。そこで物質的な近代化を進めるために二つの手段をとった。一つは農民を減らして都会に人を増やすこと。もう一つは世界的な資本にもっと開放すること。すなわちより依存することである。こうして国はますます外に向かい、グローバル化のパートナーの一国になる。結局、中国は現在「外に」、世界にいるのだが、「国内」はますます不平等になっている。

■中国の民族
 中国には多種多様な民族がいるが、地図を見ると、東部と東シナ海を起点に、漢民族が主要な領土を占領しているのがわかる。漢民族はみずから「中国人」と名乗り、国の人口の大部分、ほぼ92パーセントを形成している。

 一方北を見ると、モンゴル族や満族がいる。そして北東には朝鮮民族系中国人がいて、西の中央アジアのほうには、トルコ系のウイグル族、カザフ族、キルギス族、南にはクメール族とタイ族系の民族。南西にはチベット・ビルマ民族系の民族がいる。


著者が説く日本経済は、簡潔で鋭いのです。
p156~157
<日本の領土>
■「雁行」経済
 日本は、世界の「三大」経済国の一つである。日本がアジア地域ならびに世界的規模で、どのように投資してきたかを表すのに、経済学者のあいだでよく使われる図式が「雁の飛翔」にたとえた雁行経済発展論である。この名称は、日本が先頭にたって飛び、その後を各国の群れがV字の列になってついていったことからつけられた。その結果、

◎アジア諸国では、韓国と台湾と香港に加えて、現在は東南アジアと中国も、日本に引きずられるかたちで「ドラゴン」いや「タイガー」並みの経済発展を遂げている。

◎アメリカとヨーロッパも、とくに自動車とオーディオの分野で、そして現在は情報産業や電気通信といった新しい科学技術の分野で発展している。
 しかしこの国は1990年代以降、さまざまな局面で景気が後退し、長い経済不況をくぐり抜けることになる。そうなった要因はたくさんある。

◎中央集権的な管理体制が機能しなくなった。
◎銀行の不良債権が膨大になった。
◎改革が遅れた。
◎政権が代わっても変化がもたらされず、政治不信がつのった。
◎人口の高齢化が例を見ない速さで進行した。

 一方、別の角度から見ると、不況とはいえ、状況は羨ましいかぎりとも言える。失業率は5パーセント以下で、これはEUの10パーセント前後に比べると少ないうえ、個人の貯蓄額は膨大で、貿易黒字額も大きく、外貨準備高が世界有数の高水準にある。

 また、日本は今も世界の先頭に立って研究開発に投資しており、これも国の将来の安心材料であることに変わりはない。2004年以降、日本は長い不況を脱したかのように見える。とくに隣国中国への輸出の伸びは大きく、2003年には38パーセント伸びた。これにひっぱられるかたちで、経済成長がもどっている。

■海上の交流ライン
 自然の資源が少ない日本は、貿易と原材料の輸入を海上ルートに依存し、石油は中東から輸入している。これらの海上ルートは東シナ海を通るため、尖閣諸島を要求する中国との対立は、日本人にとって大きな懸念となっている。

シーレーンシーレーン


2007年発刊のこの本では、日本経済の堅調ぶりを述べているが…その後の中国の躍進までは述べられていません。






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Last updated  2016.03.13 19:33:13
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