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2016.03.20
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カテゴリ: 映画
図書館で『パッチギ的』という本を手にしたが・・・・
おお シネカノンの李鳳宇の本やないけ♪

ということで、借りた次第です。
現在、シネカノンは倒産して存在しないが、李さんがインディペンデント系映画業界に与えた業績は大きかったと思うのです。



【パッチギ的】
パッチギ

李鳳宇著、岩波書店、2007年刊

<「BOOK」データベース>より
日本映画をおもしろくした男の現在進行形・半自伝。インディペンデントの雄・シネカノンを率いる映画界の風雲児が、京都での少年時代、単身会社を興して以降のさまざまな出会い、成功と失敗、「強い映画」を作る信念を、真正面から書き下ろした。知られざる映画評、幻の小説も収録。

<大使寸評>
現在、シネカノンは倒産して存在しないが、李さんがインディペンデント系映画業界に与えた業績は大きかったと思うのです。

rakuten パッチギ的


エリア・カザンの『アメリカ、アメリカ』やパリのシネマテークの思い出を、李さんが回顧しています。
p203~205
<パリで知った日本映画の魅力>
 1985年の冬、僕は当時ポンピドゥー・センターの中にあったシネマテークの前に並んでいた。夜の9時半から始まるエリア・カザンの『アメリカ、アメリカ』を観るために集まった人の列は、8時を過ぎた頃には、ポンピドゥー・センター名物のスケルトンの階段通路を埋めつくしていた。

アメリカ『アメリカ、アメリカ』

 開場時間になり、会員カードを提示して入場しようとしたら、係員はちょうど僕の前で列を切ってしまった。諦めて帰れというのだ。すると僕の後ろに並んだ、おそらく200人近くいたであろう人たちが一斉にブーイングをして、抗議し出した。押し問答が10分くらい続いただろうか、しばらくして係員は仕様がなく、3時間後にもう一度上映するから、いまはおとなしく退去してくれと告げた。勝ち誇ったような歓声があがり、僕たちは思い思いにレアール界隈のカフェで時間を潰して、再度会場に集合した。深夜の一時過ぎから始まった念願の映画『アメリカ、アメリカ』が終了したのは4時過ぎだっただろうか。

 僕は映画の余韻を噛みしめながら、寒い夜明けの街を、6区のムフタール通りにあったアパートまで歩いて帰った。

 映画は言わずと知れたエリア・カザンの自伝的な物語だけれど、僕には主人公の姿がどうしてもアボジのそれと重なってしまい、日本に渡って来た多くの韓国・朝鮮人の個人史を思わずにはいられなかった。もちろん、希望を胸に新大陸を目指したギリシャの若者と、徴兵や徴用で渡日した植民地主義の犠牲者を比べるのはムリがある。でも映画の冒頭と同じく、畑を売ってアボジの日本行きを援助した祖父の祈るような思いが胸を熱くした。
 パリに来て5ヶ月が過ぎていたけれど、ユネスコの中にある学校に通い、残りのほとんどの時間は映画観の中で過ごす日々だった。フランス語の勉強もろくにせず、すでに大学の講座にも顔を出さなくなっていた。25歳になって、フランス語をこれ以上勉強して何になるのだろう?パリに来たら本当に自分のやりたいことが見つかるはずじゃあなかったのか?そんな自問自答をムフタールの狭いアパートで繰り返していた。

 そんな時ユネスコで出会ったドイツ人のロケット技師フランツは、随分と僕の気持ちを和らげてくれた。彼はフランス語もドイツ語も、加えて英語も非常に流暢に喋るインテリだったが、アジア人の友達が初めてだったらしく、僕に随分親切にしてくれた。当時のドイツはまだ分断国家だったこともあってか、朝鮮半島の歴史なども驚くほどよく知っていた。僕たちはお互いが映画ファン(というよりも、パリに住む誰もが映画ファンだった)と認めていた、互いに推薦しては観た映画を批評しあっていた。

 僕もフランツも、当時シネフィルたちの関心を集めていた日本映画大回顧展に競うように通っていた。川喜多映画財団とシネマケークの気が遠くなるような選定作業のお陰で、150本以上の代表的な日本映画を6ヶ月間、破格の料金で鑑賞できる絶好の機会だった。

 上映作品のほとんどは見逃していた作品ばかりだった。僕はパリで日本映画に初めて出会ったと言っても過言ではなく、日本映画の愉しみも初めて知った。『西鶴一代女』も『セーラー服と機関銃』も、シネマテテークでフランス語の字幕付きで観た。

 あの頃をパリで過ごしていなかったら僕は、いま映画を職業にはしていないだろう。なぜか映画のエンドロールにクレジットされるスタッフ名に強く惹かれた。いつか僕も素晴らしい映画を作って、あそこに名を刻みたい、と漠然と思うようになっていた。

 あれから20年が、瞬きするくらいの速さで過ぎてしまった。


『アメリカ、アメリカ』について、くだんの鑑賞フォームを作ってみました。

【アメリカ・アメリカ】
アメリカ

エリア・カザン監督、1963年米制作、1964年頃鑑賞

<movie.walkerストーリー>より
 1896年のトルコでは、ギリシャ人やアルメニア人が政府の弾圧に苦しめられていた。ギリシャ人の青年スタブロスは、親友のアルメニア人バルタンからアメリカの話を聞き、そのきらびやかで自由な国アメリカに対して異常なまでの憧れを持つようになっていった。
 そんなとき、親友バルタンが、トルコの圧政に反抗したために殺された。スタブロスの自由への渇望は爆発し、彼はアメリカへ行く決心を固めた。その頃、素足を引きずりながらひたすらアメリカを目指して旅する、アルメニア人ホハネスと出会い、スタブロスは靴を与えてやった。
 スタブロスの父親イザークは息子のアメリカ行きを許し、一先ずスタブロスをコンスタンチノープルで敷物商を営むいとこのオデッセのもとに送った

<大使寸評>
 昨今では、移民問題が吹き荒れる欧州であるが・・・
 エリア・カザン監督がこの映画で描いた1900年頃のアメリカは、まさに自由の大国であった。
 移民船が、ニューヨークに到着し、自由の女神像が見えたときの感激のシーンが印象的でした。

 オーストラリアに移民した家系のショーン・タンが『アライバル』という絵本で、移民船到着とイミグレーション手続きのシーンを描いているが・・・この映画のシーンを思い出したのです。

movie.walker アメリカ・アメリカ


『パッチギ的』1
『パッチギ的』2





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Last updated  2016.03.20 00:18:33
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