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2016.08.23
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カテゴリ: カテゴリ未分類
<日本の反知性主義>

トランプという反知性主義の出現にアメリカが呻吟している昨今であるが、勝てば官軍の日本も似たようなもんなんだろう。
内田先生が言いだしっぺとなって、反知性主義に対する緊急論考を集めています。



内田

内田樹編、晶文社、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
集団的自衛権の行使、特定秘密保護法、改憲へのシナリオ…あきらかに国民主権を蝕み、平和国家を危機に導く政策が、どうして支持されるのか?その底にあるのは、「反知性主義」の跋扈!政治家たちの暴走・暴言から、メディアの迷走まで、日本の言論状況、民主主義の危機を憂う気鋭の論客たちによるラディカルな分析。『街場の憂国会議』に続く、緊急論考第2弾!

<読む前の大使寸評>
トランプという反知性主義の出現にアメリカが呻吟している昨今であるが、勝てば官軍の日本も似たようなもんなんだろう。
内田先生が言いだしっぺとなって、反知性主義に対する緊急論考を集めています。

rakuten 日本の反知性主義


想田和博さんがテレビ・ドキュメンタリーの現場を語っているので見てみましょう。
p245~247
<テレビ・ドキュメンタリーの台本至上主義>
 テレビ・ドキュメンタリーの制作現場に巣食う反知性主義とは何か。
 それは僕が常日頃「台本至上主義」と呼んで批判する制作態度である。
 一見、反知性主義とは関係の薄い議論に思えるかもしれないが、しばらくお付合いいただきたい。

 意外に知られていない事実だが、テレビ・ドキュメンタリーの大半には台本がある。番組ディレクターは通常、作りたい番組がある場合、まずはテレビ局に提案するために企画書を書く。企画書には、番組の「ねらい」や登場人物、テーマ、尺、大まかな内容、コストなどを書き込む。そして局側のプロデューサーからダメ出しを受けながら、何度も書き直す。企画書が通り、予算がついた段階で、番組の方向性は固まる。

 企画書が通ったら、今度は本格的なリサーチに入る。
 例えば「福島第一原発事故による放射能汚染の恐ろしさ」を描くのが番組の「ねらい」であれば、まずは汚染の酷さを証言してくれる科学者や調査機関、汚染が原因で苦しんでいる人などを探し出し、番組への出演依頼をするかもしれない。そして被写体候補との面会や打ち合わせを通じて、どんなシーンが撮れそうかを洗い出していく。

 次に、番組ディレクターはリサーチ結果に基いて、構成台本と呼ばれるシナリオを書く。構成台本には通常、シーンの内容やショットリスト、想定されるナレーションなどを書き込んでいく。登場人物のセリフまでこまごまと想定して書き込む場合すらある。台本の構成には起承転結があり、「落とし所」と呼ばれるエンディングも用意する。要は撮影する前に、番組の青写真を作り上げておくのである。

 この構成台本も企画書と同様で、プロデューサーから一発でオーケーをもらえることは稀である。たいていは何度も書き直しを命じられ、その都度シーンの順番を変えたり、シーンを追加したり、削除したりする。そしてプロデューサーやその上司にあたる人たちから「これでよし」と太鼓判を押されて初めて、撮影が許可されるのだ。

 自然、撮影現場では、ディレクターやカメラマンなど撮影スタッフは、構成台本に従いながら撮影を進めていくことになる。インタビューのときには、被写体に台本に書き込まれたセリフを言ってもらえるよう、あれこれ誘導したい誘惑にかられる。酷いディレクターになると、あらかじめ被写体に構成台本を見せながら、「ここはこういう趣旨のシーンにしたいので、こういうことを言っていただければ」などと打ち合わせたりもする。かくして、番組は反知性主義的な予定調和に陥っていくのである。

 問題は、「現実」は決して台本通りには展開しないことである。
 いくらリサーチを重ねて書いた台本でも、所詮は頭の中で作り上げたことなので、机上の空論の域を出ることはまず稀である。実際に撮影を始めてみると、現実は必ず台本で想定した以上に複雑怪奇で、作り手の予想を裏切り、安易に「理解」されることを拒む。しかも台本よりもよほど面白い。

 その際にディレクターが勇気を持って台本を破棄し、曖昧模糊とした複雑な現実と直に向き合い、ゼロから再出発するならば、彼(彼女)は知性的態度を保つことができるであろう。
 だが、それはかなり至難の技である。


牡蠣工場
想田監督の提唱する観察映画なるものが 「牡蠣工場」を観た で見られます。






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Last updated  2016.08.23 05:01:55
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