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2017.08.20
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カテゴリ: 中国
図書館で『習近平時代のネット社会』という本を、手にしたのです。
「微博」「微信」などによる世論形成を問題視する習近平政権は、ネット環境の統制を強化する…との報道が流れていてホットな社会現象である。



中国

古畑康雄著、勉誠出版、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
中国のインターネットの発展は、7億の網民(ネット市民)が発言・交流する空間を生み出した。特にモバイル時代に入り「微博」「微信」など交流アプリが世論形成に大きな役割を果たしている。だが言論空間の主導権を奪われることに脅威を抱いた習近平政権は強い言論統制という「壁」を築く一方、利便性の高いネット環境を提供し、網民を囲い込もうとしている。「壁」と「微」の空間で何が起きているかを考察する。

<読む前の大使寸評>
「微博」「微信」などによる世論形成を問題視する習近平政権は、ネット環境の統制を強化する…との報道が流れていてホットな社会現象である。

rakuten 習近平時代のネット社会


中国語メディアの歴史認識を、見てみましょう。
p208~211
<中国語メディアにおける日本観>
 13年7月14日、人民日報の微博が、中国中央テレビ(CCTV)の報道内容を伝えた。
 「『中日戦争で多くの中国人が死んだが、知っていますか』『知らない』『南京大虐殺を知っていますか』『うーん、忘れた』…安倍政権は『侵略、南京大虐殺』などを教科書から抹殺しようとしている。日本の教科書は改ざんにつぐ改ざんで、真実からますます遠ざかっている。歴史を正視できない国が、どうやって未来をはっきりと見分けることができるだろうか」という内容で、番組のビデオ映像も添付されている。

 一見して、ひどい内容だと思った。おそらくは学校で歴史をまだ学んでいない、中学1年生くらいの生徒数人に、街頭で突然インタビューした感じだ。聞かれた方は戸惑った様子で、「知らない、分からない」と答えたのだろう。そしてその後は歴史教科書に批判的な日本人へのインタビューだけを流し、記者の「歴史を正視できない国が」云々のコメントで終っている。

 通常、このような取材をする場合、しかるべき学校や教育委員会に取材を申し入れ、歴史授業の様子を取材したり、教員、生徒から学校できちんと話を聞いたりすべきだ。自分の主張に沿ったコメントだけでなく、反対の声も取り上げなければならないのはメディアとして当然のやり方だが、CCTVは「初めに結論ありき」なのだろう。

 カリキュラムの都合で歴史、しかも近現代史を教わっているかどうか分からない子供に、初めから自分が望んでいたようなインタビューをして、それをもって日本政府がどうだとか、未来がどうだとか言うのはあまりに問題が大きい。

 近現代史については、NHKのドキュメンタリー番組「日本人がなぜ戦争に向かったのか」など、教科書以外にも様々な場を通じて学ぶことができる。そうした日本社会の取り組みを伝えずに、街頭のいいかげんな取材で「歴史を正視できない国が」などと言うCCTVのレベルには本当に恐れ入る。

 だが、この報道を見た網民は、心配したほど愚昧でも、洗脳されてもいなかった。約1万7000本のコメントの一部を見ると、中国政府の歴史教育への批判が強いことがうかがえる。

 「あなた(人民日報)は中日の民族の恨みを煽ることはできる。だが南京大虐殺よりも凄惨だった中国人が中国人を殺した歴史を、人民日報はなぜ書けないのか? 文化大革命、3年の大飢饉、国民党が正面で日本と戦った事実など、歴史書では軽く触れているだけで、詳しくは書かれていない。更に我々の歴史書にはある事件(天安門事件)が抹殺され、まるでなかったかのようだ。歴史を正視できない国に、未来はあるのか」

 「歴史を正視しようとしない国が、他国に歴史を正視するようどうやって要求できるのか。歴史を反省しようとしない国が、他国に歴史を反省するようどうやって要求できるのか」

 「中国政府とparty(共産党)は真実の歴史に向かい合っているのか」

 このようなコメントはきりがないのでこのくらいにする。さらに興味深いのが、この報道を受けて大手サイト『網易』がネットユーザーに「中日歴史教科書」という調査を始めたことだ。この調査によると、「日本の教科書は歴史を悪意をもって改ざんしている」という意見と、「中国の歴史教科書は白は黒と言いふくめている」を支持するという意見が、13年7月時点でそれぞれ2727、8932と明らかに中国の教科書を否定する声が多いことだ。中国の教科書を批判する側には、日本の扶桑社などの教科書の採択率が低いことや、歴史の教科書で日中戦争の経緯や南京事件について記述してあるとの指摘もある。

 このような調査をネットでできること、そして網民がこのように堂々と中国の歴史教育を批判できること、人々がCCTVをメディアとしてあまり信用を置いていないこと、こうしたことに「もはや我々は一方的な情報操作に騙されないぞ」という中国社会の世論の成熟ぶりを感じる。

 日本の政府やメディアも、こうした中国のネット世論の動向を正確に把握し、適切な発信を続けていくことで、中国の民間世論をより理性的な方向に変えていくことも可能ではと考える。


『習近平時代のネット社会』1





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Last updated  2017.08.20 03:12:54
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