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2017.08.22
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カテゴリ: 歴史
図書館で『歴史と風土』という文庫本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくると、ウイグル族とか女真族とか、中華から見たら辺境の民族が出てくるわけで…これも大使のツボでおます♪




歴史

司馬遼太郎著、文藝春秋、1998年刊

<「BOOK」データベース>より
司馬遼太郎という作家の大いなる魅力のひとつに、その話術の妙がある。歴史に対する深い造詣から紡ぎ出される数々の興趣つきない逸話は人の心を捉えて離さない。ここに収めたものは全集第1期の月報のために語り下ろしたものと「雑談・隣りの土々」という表題の雑誌連載から三篇(『司馬遼太郎の世界』所収)である。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくると、ウイグル族とか女真族とか、中華から見たら辺境の民族が出てくるわけで…これも大使のツボでおます♪

rakuten 歴史と風土


紀州の雑賀党を、見てみましょう。
p62~64
<紀州のこと>
 有田の商工会の会長の雑賀某という人がいまして、えらい爺さんで孫市みたいな人ですが、それがある日、予告もなし、ベルも押さずに僕の部屋に入ってきたことがありました。それが自分は雑賀党のものであるが、一度雑賀党の小説を書いてくれというんです。話によると全国の雑賀党を組織して廻っているんだそうです。その人は蚊取り線香屋で自分で作ってるんです。あまり時代にあわないんですね。

 今では蚊取り線香は大きなメーカーでつくるもので個人で造っている人なんてあまりいないでしょう。個人企業でつくるせいか渦巻きが凸凹になっていましてね。ところがこれが一番蚊が落ちるんじゃといって、蚊取り線香を新聞紙に包んでおいていったんです。ところがそれをつけてみると、なるほど蚊がよく落ちるのですね。それがまたなんともいえない滑稽な感じがしていたのです。
 そのお爺さんは川崎のサイカ屋百貨店にまで訪ねていったらしい。サイカ屋さんも和歌山の人だから雑賀会に入ったようです。で、帰っては一所懸命商売している。

 こんな滑稽な地帯というのは近畿地方にはないのです。こういう一種滑稽感を持った人材が出る地帯というのは山城国も丹波国も伊勢国にもないのです。もっと小賢しこくて理にも利にも合ったことをするでしょう。河内国は今東光さんによって書かれて随分ひょうきんな所になりましたけれども、庶民のひょうきんさで天下を呑むひょうきんさではないでしょう。雑賀党、つまり紀州人にはそういう人がいるのですね。

 和歌山には今でも雑賀孫市が神前でヒ者をまねた踊りをしたという八咫烏神社があります。三本足の八咫烏が神社の門になっていて、大きな法螺貝が御神宝になっています。孫市が吹いたとも言い、雑賀党が使ったともいう言い伝えのあるものです。僕は会えませんでしたが、最近知人が行った時にそこの神主が雑賀孫市をボロクソに言ったそうです。あんな奴が出たからこの辺一帯が駄目になったんだと。

 やっぱり雑賀党の雰囲気なんですね。それが紀州人の良さで、孫市で紀州が有名になったからうれしいなどとは思わないんです。孫市がそこで踊ったということが唯一の由緒である神社の神主がそういうことを言うあたり、おもしろいと思いました。

 ただかわいそうなことに雑賀党は徳川時代には紀州徳川家の百姓として搾取される側に立ったわけですね。紀州徳川家の政治というのは、五十何万石を維持しなければならないというような、いろいろ同情すべき点もありましたけれども、非常に強い搾取をしています。日本の旧大名で一番悪い政治をしいた藩の1つだったかもしれません。税金が高かったのです。

 天領では幕末でも幕府は政治の模範地帯として四公六民を守っています。諸藩は金がいるために五公五民になったりしていますが、紀州は六公四民までになったといいますから、相当搾取しています。


『歴史と風土』1





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Last updated  2017.08.22 16:26:25
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