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2017.08.23
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カテゴリ: 歴史
図書館で『歴史と風土』という文庫本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくると、ウイグル族とか女真族とか、中華から見たら辺境の民族が出てくるわけで…これも大使のツボでおます♪




歴史

司馬遼太郎著、文藝春秋、1998年刊

<「BOOK」データベース>より
司馬遼太郎という作家の大いなる魅力のひとつに、その話術の妙がある。歴史に対する深い造詣から紡ぎ出される数々の興趣つきない逸話は人の心を捉えて離さない。ここに収めたものは全集第1期の月報のために語り下ろしたものと「雑談・隣りの土々」という表題の雑誌連載から三篇(『司馬遼太郎の世界』所収)である。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくると、ウイグル族とか女真族とか、中華から見たら辺境の民族が出てくるわけで…これも大使のツボでおます♪

rakuten 歴史と風土


古代の製鉄について、見てみましょう。
p216~117
<砂鉄業者のきた道>
 ここで話は変わって鉄のことに移りますが、中国大陸の鉄は多くは硬銑鉄です。非常に精錬法が違っていて、古代から鋳鉄なんです。それは大変高度な炉を持たなければできません。

 ヨーロッパでは17世紀くらいに鋳鉄があらわれるわけですが、それを、中国では紀元前からやっていた。
 日本やヨーロッパでやってきた鍛鉄というのは簡単なんです。うんと鉄を焼いて生こげにして、カンカンたたけば、鍛えた鉄になるわけです。中国では、古代から鋤、鍬でも鋳物です。近代の青竜刀に至るまで鋳鉄です。

 中国の冶金技術は、やはり青銅をとかして鋳型に入れるのですが、鉄もまたとかして鋳型に入れるというのが、主でした。

 ところが朝鮮半島では別の方法で精錬していたようです。鋳鉄のような優れた炉を用いなくても、極端にいえば、野焼きだって鉄はできるのです。
 李朝以後、朝鮮は生産が遅れてしまったために、20世紀に入ってからでも、百姓たちが野焼きで鉄をつくっているのを見た学者がいるそうですね。

 ともかくも、製鉄にはおびただしい木炭がいりました。その木炭は一山で、鉄数トンということで、大変な自然破壊をしないと鉄はできない。たちまちにして3,4世紀の朝鮮半島ははげ山になっていったでしょう。

 朝鮮半島はモンスーン地帯から少し外れるので、樹木の復元力が少ない。それだけでなく、はげ山にした後、表土が吹き飛ばされるから山骨があらわれてそのために樹木の復元は非常にむずかしい国になったと思います。

 そのころは国境意識も民族意識も余りなかったから、砂鉄精錬の業者たちは、朝鮮でのしごとに見きりをつけ、慶州のそばの迎日湾から船を出して、島根、鳥取、それから天日槍伝説のある但馬の竹野海岸あたりにやってきたのではないでしょうか。

 彼らは5,6人で来るのではなく、かなりの生産組織で来たはずです。砂鉄探しをする者、木炭をつくる人、本格的に鉄を精錬する人たち、運び人、そして米、稗、栗をつくる農民まで連れてくる。男女入れて五百人とか千人とかにもなったでしょうか。組織化されていますから、フロンティアの中に入っていきますと、軍事的にも土着民に対して非常につよかったと思います。

 砂鉄の採掘には鉄穴流しという、山にヤマタノオロチのごとく長大な人工の溝を掘ります。それで下流の平野の土着農民は、赤い土が流れてきて困るだけでなく、同時に砂鉄業者が連れてきている農民に圧迫されます。彼らは荒野を開拓して力をつけ、たちまち、その地域の首長になった、とはいえないでしょうか。

 朝鮮半島にはうでに古墳文化が成立していました。かれらタタラの親分たちも、故郷の王や貴族にまねた古墳をつくりはじめた、という一面が、日本の古墳の発生にあるような気がしてなりません。


『歴史と風土』1 :古代満州を遊よくした高句麗人
『歴史と風土』2 :紀州の雑賀党
『歴史と風土』3 :関ケ原の意味
『歴史と風土』4 :土佐の風土





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Last updated  2017.08.23 08:21:07
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