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2018.01.16
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カテゴリ: 歴史
図書館で『稲のアジア史1』という本を、手にしたのです。
ナショナリストの大使としては、稲作の伝来ルートが気になるのでこの本を借りたのです。
要するに、陸稲の「海上の道」伝来の可能性に賭けて、朝鮮からの伝来説を否定したいのです。



s稲

渡部忠世×福井捷朗著、小学館、1997年刊

<出版社>より
日本文化の基層を形成する「稲」の問題をアジア稲作文化圏の視野から、生態、歴史、技術を通して解明。21世紀の日本の「稲」「稲作」を考えるうえで、大いなる示唆と指針にを与える基本書である。

<読む前の大使寸評>
ナショナリストの大使としては、稲作の伝来ルートが気になるのでこの本を借りたのです。
要するに、陸稲の「海上の道」伝来の可能性に賭けて、朝鮮からの伝来説を否定したいのです。

amazon 稲のアジア史1



「4 アジアの稲」から品種改良の展望について、見てみましょう。
p162~164
<4 アジアの稲…今後の展望:中川原捷洋>
■HYVという品種、その将来
 アジア稲の今後の姿を少し展望してみたいと思う。着実に進行している「緑の革命」によって、アジア各国の稲の生産性は年々向上の一途を辿っている。それによって、栽培させる稲品種も改良の度合いを増してきているが、その実体はどんなものであろうか。

 国際稲研究所(IRRI)による、いわゆるインディカ品種の改良によって、アジア低緯度地域に作られる稲は、アジアの北方で栽培される品種と比べて、収量を上げる能力が劣らないばかりか、いわゆるジャポニカ品種を越える可能性があることが証明された。丈が短く穂の大きい新型の稲は、HYV(高収性品種)と呼ばれ、灌漑の可能な地域に導入されていった。これによって、初期の緑の革命は各地で成功していったのである。このもっともよい例がインドである。

 それまで、インドの米生産は気候環境に影響されることが多く、生産量は大きく変動し、結局、輸入に頼ることが多かった。それが、灌漑田用のHYVが導入され、数年の間に生産量が拡大し、十分自給できるようになった。しかし、その結果、新しい問題も起こってきた。単一の高収性品種が栽培されることによって、病気や虫が異常に発生してきたのである。
 現在の品種改良の主な目標は、このような新たな問題を解決するのを第一としているが、新品種と病虫害とが追いつ追われつのいたちごっこをする結果となっている。

 このような短カンの高収性品種は、アジアでも感慨の可能な水田にしか導入できない。日本の水田はほぼ100パーセント灌漑されているが、アジア全体をみると、灌漑率はまだまだ低い。高収性品種の普及もおのずから限界があることになる。ここに、天水田用の稲品種が必要になる理由がある。

 天水田は田圃の水をすべて降雨の成り行きにまかせたものである。適当に雨が降れば収量が上がるといった、いわば他力本願の水田である。このような田圃がアジアの大部分の地域を占めている。水田造成や灌漑施設造成が簡単に進まない緒条件があるため、品種改良によってある程度は天水田にも向いている品種を作り上げなくてはならない。
(中略)

 では、天水田専用の品種とはいかなる性質を持つ種類であろうか。一言で言えば、特に定まった特性を持つとは限らない。こうした品種を短カン高収性のHYVと比較すると、やや草丈が高く、カンの性質はやや粗剛で耐旱性があり、非感光性で早生種が多い。また、マシェリ品種で明らかにされたように、湛水条件にも適しており、かつ冠水抵抗性なども厳しい条件にも耐えられるものもある。

 以上のような状況はインドに限らず、他の東南アジアでもほぼ同様である。現在では、緑の革命はこうした天水田用の新品種の改良によってさらに進行しているといってもよいのではなかろうか。たとえば、ビルマにおいては、1970年代後半から着実な生産向上が続いている。その大きな理由は、こうした新しい品種が開発され、それが農家に受け入れられていったからであるという。

■新品種の開発と日本
 中国はハイブリッド・ライスの改良に力を注ぎ、世界で初めてそれを実用化した。たがいに遠縁のあいだで雑種(ハイブリッド)を作れば、生産性が格段に向上することを利用した方法である。

 わが国も、中国の成功に刺激されて、ハイブリッド・ライスの開発におおわらわである。中国に遅れること数年、昭和60年(1985)に、「北陸交一号」が育成されたのは記憶に新しい。わが国では、まだ農家の水田では栽培されていないが、中国では800万ヘクタール以上に栽培されている。わが国の水田総面積が200万ヘクタールであることを考え合わせると、その規模がいかに大きいものであるか想像がつく。こうして日本が味や産地銘柄にこだわって育種家が世に出す新系統をみおくっているあいだに、中国を初めアジアの各国はつぎつぎに品種革新を遂げようとしている。

 それに伴って、アジア各地で伝統的な在来種が、前述のように農家の田圃から急速に消滅している。このような変化は人類が稲栽培を開始して以来、おそらく経験したことのない激しさで進行している。考えてみると、将来、よりすぐれたハイブリッド・ライスを育成するためには、失われつつある在来種の遺伝子が必用である。

 新しい品種を育成することと、古い在来種を保存することとは実は同じ作業の両輪である。新品種の育成に力を注ぐのと同じように在来種の遺伝子も大切に保存する必要がある。
 このような立場から、各地にジーンバンク(遺伝子銀行)を設立することが盛んになってきている。国際稲研究所が大規模に遺伝資源保存をしているほか、各地で種子保存のための施設の建設が始まっている。


『稲のアジア史1』1





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Last updated  2018.01.16 08:19:41
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